■高原川本流へ■
高原川本流は全長7~8mクラスの竿を思いきり振れる里川並の川幅がありながら、河原から冠雪した北アルプスの山々が見え隠れするロケーションがボクにとっては最高に思えるから一番のお気に入りスポットなのだ。
しかし今シーズン、ここからは「絶不調」という情報が聞こえてくるし、ボク自身が一度だけ試しに竿を出した際も実際にもそのような感触を得ていた。しばらくの間は現地から伝わる「全く回復していない」という情報に怖じ気づいていたり、「いざ!」と意気込んでも釣行2日前の大雨と雪解けで大増水があったりで、1ヶ月半近く釣行機会を失っていたが、それをようやく乗り越えてチャンスが巡ってきた。

●河原から見え隠れする焼岳●
高原川では釣行前日に「成魚」の放流があったそうだ。釣行日にも「残り物」はあるだろうけど、ソレを狙っては奥飛騨までやって来ながら「釣り堀の釣り」をすることになるので、プライドが許さない。
「ここでは天然魚を!」ということで、昨年4月半ばにイイ思いをした葛山地区で竿を出すこととして現地へと車を走らせた。しかし、前日午後から冷たい空気に入れ替わり、当日も冷え込むことが予想された。「寒の戻り」というヤツだ。果たして結果は吉と出るのだろうか…。

●午前1時過ぎで気温は2℃、夜明けには更に冷え込むだろう●
■ほとんど水が無い!■
当初に予定した葛山に到着し夜明けを待って行動開始。河原に降りてみた。
事前に「平水よりもやや上昇気味」と聞いていた水量に期待していたのだが、3月初旬に試し釣りをしたときと変わらない水量にガックリと肩を落としてしまう。
どうやら、川の水量バランスが昨年と変わって水位が50cmほど下がり、川幅は半分以下に変わっている。今年のこの地区は、この状況がスタンダードなのかも知れない。
「ポイントになりうる箇所も減っているんだろうな~?」と思いつつ、竿を振り始めた。「しかし」と言うべきか「当然」と言うべきか、一級に思えるポイントを攻めても、竿を通して生命感が伝わってこない。

●好ポイントに見えるが魚は居ない●
昨年、25cm近い山女魚や尺越えのイワナを釣ったポイントも完全に潰れ、アタリすら全くないままに釣り上がってゆく。やがて視界が広がり、そこから見渡す景色に唖然としてしまった。
「ほとんど水が無い…!」

●辺り一帯の水深は15cmほど…●
この状況にガックリと肩を落とし、早々にこの区間を切り上げることにした。そしていつもお世話になっている地元エサ店の「宝フイッシングさん」へ情報収集に向かう。
■笹島地区へ■
宝フイッシングさんの話では、一旦温かくなったものの、この冷え込みが効いて前日の成魚放流の魚すら食い渋ってかなり残っているということだそうだ。
「ボーズよりもマシか?」と思い、「その放流箇所を狙おうか?」というスケベ心が沸きそうになったが、そこは我慢してというか、その実今から行っても場所が空いているハズもないので、当初狙っていたヤマメより低水温に強いはずのイワナ狙いに切り替えることにした。
ボクの頭では高原川の本流では蒲田建設裏~今見あたりまでがイワナが割と多い区間だと記憶しているので、早速そこへと向かった。しかし、どの箇所も車が留めてあって入れそうにない。しばらく探した後に唯一空いていた笹島地区へと滑り込んだ。
この地区に入って数投目、流れていた目印の動きがまるで根掛かりしたように止まった。「アタリかも?」と思った瞬間に竿を持つ首が返って反射的にアワセが入る。
程なく上がったのは18cmくらいのイワナだ。
「やっとボーズを脱出だ!」と思った瞬間、嬉しさに気をとられ長竿が木に引っかかって魚が宙づりになり、モタモタしている間に何とハリハズレをやらかしてしまう。
しかし、「魚が居るぞ!」という感覚はこの日のボクに勇気?をもたらしてくれ、攻めに気合いが入った。キーワードは「石裏のポケットで出るであろう、弱々しいアタリ」だ。
そんな感じで攻め始めていくと現金なのもで「良さげ」なポイントが幾つも見えてきた。

●笹島でのポイント・その1●
程なく「目印が止まるアタリ」を再び捉えて、本日の「確実な」1匹目をゲットする。

●18cmくらいのイワナ●
流すパターンを掴むと次はエサのローテーションだ。そこでキンパク、ミミズ、ブドウ虫と、エサをローテーションさせるが同じポイントを流していても決まってアタるのはキンパクだった。

●当たりエサのキンパク●
流すパターンと当たりエサが判ると更に自信を持って流すことが可能になり、調子づくと共に魚のゲット数も伸びてくる。

●笹島でのポイント・その2●

●22cmのイワナ●

●笹島でのポイント・その3●

●25cmのイワナ●
約200mの間で、アッという間に中~小型ながら7匹ゲットできたが、やがてピタリと当たりが止まってしまった。この区間を振り返ってみると、気付くことがあった。それは昨年とあまり様子の変わらない河原であったことだ。水量が豊富だった一昨年とは確かに違うが、川幅や水深が昨年とほぼ同じであり、そうであるからこそ魚の着き場の傾向もあまり変わらなかったのだろう。しかし、逆にそこから上流は様子が変わっていたからピタリとアタリが止まったのだと予想できた。

●昨年と変わらない様子●
アタリが止まってからもしばらく釣り上がったが、やがて先行者が入ったであろう箇所の駐車車両を発見し、諦めがついて脱渓を決意した。
■平湯川■
この時点で午後2時過ぎだ。まだ少し時間はある。
「下流か上流か?はてさてどこへ行こうか?」と思いを巡らせる。水温の低さとアタリの出具合から想像して下流は時期尚早だと判断し、更に上流か支流を目指すことにした。残り時間の関係から本流部の上流で二又に分かれる蒲田川か平湯川の二つに絞ったが、今期絶不調ということと、元来人気河川だけに人が多そうだということから消去法で選んだ平湯川へと向った。
しかし、ここにも人が多く、ピンポイントで一箇所竿出しできたものの、アタリは皆無のままでこの日の釣りが終わった。

●平湯川の様子●
■やはり変だ■
僅かキャリア3年で「何を言うのか?」と思われるかも知れないが、今年の高原川の不調傾向を分析してみると…。
大雪の影響が最大の原因だと思うが、それに加えてこの地方にも地震があって、その後に温泉の出具合に変化があったそうだから、特に不調が伝えられる蒲田川は、本来ならこの川の水温を上げてくれるハズである温泉水の流入量が変化したのかも知れない。恐らく以下の下流側もその影響が出ているのだろう。
その証拠に釣れたイワナも色は悪くないものの、みんな細かったので、水温低下からくるエサ不足、もしくは魚自体の活性が落ちてエサをあまりとることができなかったのだろう。
何しろ昨年にこの地域の土産物店で手に入った「タラの芽、コシアブラ」などの山の幸類は、今年はまだ店頭に並んでおらず、問い合わせると「例年よりもかなり遅れている」と聞いたから、その傾向は山全体に及んでいるのだと思う。
それらの低温傾向に加えて上から見る限り水量不足の区間も多かったように思える。これは自然の力と人為的な河川の改修具合による川の変化にプラスして取水のバランスが変わったせいかもしれない。
様々な要素から勝手な推測してみたが、やはり今期は、例年とはかなり傾向が違って「何か変だ」ということだけは確かなようだ。
宝フィッシングさんの話によると、「漁協の調査では魚は居る」という結論が出たということだから、今の状態は「居るのに食わない」だけだということを願っておこう。
そうであれば、水温と水量が安定すれば食い出すだろうから、それまでの間は我慢の釣りが続くであろう今年の高原川なのだ。

●平湯峠には、かなりの残雪が…●
高原川本流は全長7~8mクラスの竿を思いきり振れる里川並の川幅がありながら、河原から冠雪した北アルプスの山々が見え隠れするロケーションがボクにとっては最高に思えるから一番のお気に入りスポットなのだ。
しかし今シーズン、ここからは「絶不調」という情報が聞こえてくるし、ボク自身が一度だけ試しに竿を出した際も実際にもそのような感触を得ていた。しばらくの間は現地から伝わる「全く回復していない」という情報に怖じ気づいていたり、「いざ!」と意気込んでも釣行2日前の大雨と雪解けで大増水があったりで、1ヶ月半近く釣行機会を失っていたが、それをようやく乗り越えてチャンスが巡ってきた。

●河原から見え隠れする焼岳●
高原川では釣行前日に「成魚」の放流があったそうだ。釣行日にも「残り物」はあるだろうけど、ソレを狙っては奥飛騨までやって来ながら「釣り堀の釣り」をすることになるので、プライドが許さない。
「ここでは天然魚を!」ということで、昨年4月半ばにイイ思いをした葛山地区で竿を出すこととして現地へと車を走らせた。しかし、前日午後から冷たい空気に入れ替わり、当日も冷え込むことが予想された。「寒の戻り」というヤツだ。果たして結果は吉と出るのだろうか…。

●午前1時過ぎで気温は2℃、夜明けには更に冷え込むだろう●
■ほとんど水が無い!■
当初に予定した葛山に到着し夜明けを待って行動開始。河原に降りてみた。
事前に「平水よりもやや上昇気味」と聞いていた水量に期待していたのだが、3月初旬に試し釣りをしたときと変わらない水量にガックリと肩を落としてしまう。
どうやら、川の水量バランスが昨年と変わって水位が50cmほど下がり、川幅は半分以下に変わっている。今年のこの地区は、この状況がスタンダードなのかも知れない。
「ポイントになりうる箇所も減っているんだろうな~?」と思いつつ、竿を振り始めた。「しかし」と言うべきか「当然」と言うべきか、一級に思えるポイントを攻めても、竿を通して生命感が伝わってこない。

●好ポイントに見えるが魚は居ない●
昨年、25cm近い山女魚や尺越えのイワナを釣ったポイントも完全に潰れ、アタリすら全くないままに釣り上がってゆく。やがて視界が広がり、そこから見渡す景色に唖然としてしまった。
「ほとんど水が無い…!」

●辺り一帯の水深は15cmほど…●
この状況にガックリと肩を落とし、早々にこの区間を切り上げることにした。そしていつもお世話になっている地元エサ店の「宝フイッシングさん」へ情報収集に向かう。
■笹島地区へ■
宝フイッシングさんの話では、一旦温かくなったものの、この冷え込みが効いて前日の成魚放流の魚すら食い渋ってかなり残っているということだそうだ。
「ボーズよりもマシか?」と思い、「その放流箇所を狙おうか?」というスケベ心が沸きそうになったが、そこは我慢してというか、その実今から行っても場所が空いているハズもないので、当初狙っていたヤマメより低水温に強いはずのイワナ狙いに切り替えることにした。
ボクの頭では高原川の本流では蒲田建設裏~今見あたりまでがイワナが割と多い区間だと記憶しているので、早速そこへと向かった。しかし、どの箇所も車が留めてあって入れそうにない。しばらく探した後に唯一空いていた笹島地区へと滑り込んだ。
この地区に入って数投目、流れていた目印の動きがまるで根掛かりしたように止まった。「アタリかも?」と思った瞬間に竿を持つ首が返って反射的にアワセが入る。
程なく上がったのは18cmくらいのイワナだ。
「やっとボーズを脱出だ!」と思った瞬間、嬉しさに気をとられ長竿が木に引っかかって魚が宙づりになり、モタモタしている間に何とハリハズレをやらかしてしまう。
しかし、「魚が居るぞ!」という感覚はこの日のボクに勇気?をもたらしてくれ、攻めに気合いが入った。キーワードは「石裏のポケットで出るであろう、弱々しいアタリ」だ。
そんな感じで攻め始めていくと現金なのもで「良さげ」なポイントが幾つも見えてきた。

●笹島でのポイント・その1●
程なく「目印が止まるアタリ」を再び捉えて、本日の「確実な」1匹目をゲットする。

●18cmくらいのイワナ●
流すパターンを掴むと次はエサのローテーションだ。そこでキンパク、ミミズ、ブドウ虫と、エサをローテーションさせるが同じポイントを流していても決まってアタるのはキンパクだった。

●当たりエサのキンパク●
流すパターンと当たりエサが判ると更に自信を持って流すことが可能になり、調子づくと共に魚のゲット数も伸びてくる。

●笹島でのポイント・その2●

●22cmのイワナ●

●笹島でのポイント・その3●

●25cmのイワナ●
約200mの間で、アッという間に中~小型ながら7匹ゲットできたが、やがてピタリと当たりが止まってしまった。この区間を振り返ってみると、気付くことがあった。それは昨年とあまり様子の変わらない河原であったことだ。水量が豊富だった一昨年とは確かに違うが、川幅や水深が昨年とほぼ同じであり、そうであるからこそ魚の着き場の傾向もあまり変わらなかったのだろう。しかし、逆にそこから上流は様子が変わっていたからピタリとアタリが止まったのだと予想できた。

●昨年と変わらない様子●
アタリが止まってからもしばらく釣り上がったが、やがて先行者が入ったであろう箇所の駐車車両を発見し、諦めがついて脱渓を決意した。
■平湯川■
この時点で午後2時過ぎだ。まだ少し時間はある。
「下流か上流か?はてさてどこへ行こうか?」と思いを巡らせる。水温の低さとアタリの出具合から想像して下流は時期尚早だと判断し、更に上流か支流を目指すことにした。残り時間の関係から本流部の上流で二又に分かれる蒲田川か平湯川の二つに絞ったが、今期絶不調ということと、元来人気河川だけに人が多そうだということから消去法で選んだ平湯川へと向った。
しかし、ここにも人が多く、ピンポイントで一箇所竿出しできたものの、アタリは皆無のままでこの日の釣りが終わった。

●平湯川の様子●
■やはり変だ■
僅かキャリア3年で「何を言うのか?」と思われるかも知れないが、今年の高原川の不調傾向を分析してみると…。
大雪の影響が最大の原因だと思うが、それに加えてこの地方にも地震があって、その後に温泉の出具合に変化があったそうだから、特に不調が伝えられる蒲田川は、本来ならこの川の水温を上げてくれるハズである温泉水の流入量が変化したのかも知れない。恐らく以下の下流側もその影響が出ているのだろう。
その証拠に釣れたイワナも色は悪くないものの、みんな細かったので、水温低下からくるエサ不足、もしくは魚自体の活性が落ちてエサをあまりとることができなかったのだろう。
何しろ昨年にこの地域の土産物店で手に入った「タラの芽、コシアブラ」などの山の幸類は、今年はまだ店頭に並んでおらず、問い合わせると「例年よりもかなり遅れている」と聞いたから、その傾向は山全体に及んでいるのだと思う。
それらの低温傾向に加えて上から見る限り水量不足の区間も多かったように思える。これは自然の力と人為的な河川の改修具合による川の変化にプラスして取水のバランスが変わったせいかもしれない。
様々な要素から勝手な推測してみたが、やはり今期は、例年とはかなり傾向が違って「何か変だ」ということだけは確かなようだ。
宝フィッシングさんの話によると、「漁協の調査では魚は居る」という結論が出たということだから、今の状態は「居るのに食わない」だけだということを願っておこう。
そうであれば、水温と水量が安定すれば食い出すだろうから、それまでの間は我慢の釣りが続くであろう今年の高原川なのだ。

●平湯峠には、かなりの残雪が…●