■とうとう逝ってしまった■
以前にもこのブログで紹介した走行距離21万kmを越えて、まだ健在だった愛車の「平成12年式エルグランド・3000ccディーゼルターボ」のエンジンがとうとう壊れてしまった。
壊れたと言っても、ブーストを掛けなければ実走可能な状態だったので、エンジン本体には不都合はない状態であったが、一度ブーストがかかると黒煙が上がる状態でパワーがかからず、ノンターボ状態なのだ。
恐らくタービンがダメになっているので、修理をすれば15~20万円は確実だが、この車は都市部の規制の対象車であるがゆえに、ボクの住む地域では使用期限があと1年しかない。それに加えて、昨今世間を賑わしているエコカー減税&補助金の内、補助金分10万円のバックが9月一杯となっており、「今買い換えないと、修理代を含めたトータルで30万円の損失になる。」ということで、この際思い切っての買い換えを決意したのである。

●別れの朝、オドメーターは21万kmを越えていた●
■最新ディーゼル事情■
ボクはディーゼルターボエンジンのRV車における「エンジントルク特性」と「合理性」、そしてある意味での「低公害性」を支持しているので、当然候補に挙がるのはそれを積んだ車になるのだが、残念ながら現在のところ国産車では「エクストレイル/日産」「パジェロ/三菱」の2車しか設定がない。
両車ともアウトドア遊びを基本とするボクの車選びでは大切な要素である「しっかりとした四駆のメカニズム」を搭載した車ではあるが、パジェロはエコカー減税の対象にはなっておらず、一種の特殊な車のようであり、実質は選択しにくい状態だった。
ただし、残るエクストレイルを選択するには、これまでミニバン3列シートばかり乗り継いできた立場から言うと、5人乗りになることに対しての決意が必要になってくる。
しかし、現実には既に足が無く、いつまでも嫁に車を借りたままの状態でいられない。そこで意を決し、エクストレイルのディーゼルエンジン搭載車をメインとして、値引き交渉用に2、3の競合他車(ガソリンエンジンだけど)候補を挙げて購入交渉を開始したのである。
ボクのように平均的ドライバーよりも1年間の走行距離が長く、一つの車を乗り潰すまで確実に乗り続けるタイプの人間が、ディーゼルエンジン車を考える時、いつも頭に浮かべるのは、そのコストの低さだ。
試算してみると、エクストレイルの場合、ガソリンエンジンの排気量2Lの燃費が7.5km/L、ディーゼルエンジンの排気量2Lの燃費が10km/Lが妥当な線だというから、15万kmまで走ると、それぞれ20000Lのガソリン、もしくは15000Lの軽油が必要になる。レギュラーガソリンの価格を130円、軽油を110円とすると、最終的に燃料代はガソリン車が260万円、ディーゼル車が165万円となり、価格差は95万円にもなるのだ。
しかし、現代のディーゼル車はガソリン車よりもはるかに高度なエンジンコントロールがなされており、それが価格に反映されるため、ガソリン車に対して約64万円も価格が上昇している。しかもこれはディーゼルエンジン車がマニュアルシフトの場合であり、AT同士になると69万円の差になってしまう。(個人的にはマニュアル・シフト車は大好きなんだけど…。)
これだけで済めば、まだおつりが来るが、ボクの運転パターンだと10万km前後に必ずターボが壊れてしまうから、その交換は避けられない。更には最新ディーゼルエンジンに付き物の、DPFという、ススを焼いて除去する装置も15万kmを走る内の、どこかで交換しなくてはならないと聞いた。この部品代&工賃は結構かかり、各20万円とすると、計40万円の出費になる。そして全てを差し引きすれば14万円の赤字になってしまう。幸いクリーンディーゼルと称するこのディーゼルエンジン搭載車はハイブリッド車と同様に取得税と重量税がゼロになるのだが、それを更に差し引きしても両車の価格差はあと4万ほどしか縮まない。
エルグランドクラスの場合、3500ccガソリンエンジン車と、3000ccディーゼルターボ車の燃費格差は220万円以上にもなっていて、ディーゼル車の方が割高な新車時の価格差を差し引いても200万円近いおつりが出たハズだが、いつの間にかの、この現実に、「ディーゼル乗用車イジメここに極まれり」と、ガックリ肩を落としてしまうのであった。
■結局は…■
で、結局は実質の価格差が赤字であることに加えて、その真意は書かないが、ガソリンエンジンが国産で、ディーゼルエンジンはフランス産だということが最終の決定打となり、2Lのガソリン車を選択するという顛末になってしまった。
しかし、この交渉の最中に各社の営業マンから紹介されたエコカー減税と補助金の内、古い車からの買い換えに対する補助金についてはまだ理解ができたものの、エコカー減税というシステムの方はとっても不可解だった。
普通、車というものは同じエンジンとボディならば低いグレードの方が、装備品が少ない分だけより軽量になり、燃費が良くなるのは当たり前の話であり、燃費が良い=同じ距離を走るにも排出するガスが少なくなって環境に対するダメージが減るのだが、実際は低いグレードの方が減税額が少なく、高いグレードの方が減税額が多くなっている車種が結構な割合で存在していた。そしてその結果、税金を含めた総計ではグレード間での価格差がほとんど無い状態のものまでが存在していたのだ。
更に、ある車種に至っては、より燃費の悪いターボ搭載モデルの方が減税率がかなり高く、自然吸気エンジン搭載の最軽量であるハズのベースモデルは減税なしというケースまであったのだ。
これは「○○kg~○○kgまでの車の場合、大体の燃費はこれくらいだから、それに対して○○%燃費向上したから基準達成!」という「重量ランク内での燃費基準に対する向上率」で区分けされたのが原因だ。すなわちメーカーオプションなどを付けて重くなると重量ランクが上がって、適応される燃費基準が甘くなるからだ。
このような現実に則さないエコカー減税のルールと言い、上述のディーゼルエンジンイジメと言い、「いったいこの国は本気で『エコ』に取り組む気があるのか?」という疑いさえ持たざるを得なかった今回の車選びであった。
何はともあれ、日本人であるボクにとってのこの選択は、結果的に日本のGNP上昇させることになり、それが微量ながらデフレ解消にも繋がって「少しは社会に貢献した。」と喜んでいたワケだが、
「あっ、でもこの会社はフランス企業に半分近くも株を保有されているんだったんだ。」ということを思い出して苦笑してしまうのであった。
■追伸■
何と、アテにしていた補助金10万円が、資金が底をついたために9月7日で打ち切りとなった。商談中の報道では23日頃までは大丈夫なハズだったので、納車の9月20日前後はギリギリのタイミングでセーフだと思っていたのだが…。
途中で9万3000台もの持ち越し?の追加登録があって、一挙に資金が減るなどの不手際は、「如何にも日本のお役所仕事だな。」と、苦笑いをしてしまったが、こればかりはどうしようもない。何ともツイていない顛末だが、諦めるしかない。
■追伸の追伸■
この記事を書いた時は知らなかったが、クリーンディーゼル第2弾として、「パジェロ・ディーゼル」が認可を受け、9月2日から販売開始になったようだ。しかし、廉価版でも360万円…。いずれにせよボクには買えない…。
以前にもこのブログで紹介した走行距離21万kmを越えて、まだ健在だった愛車の「平成12年式エルグランド・3000ccディーゼルターボ」のエンジンがとうとう壊れてしまった。
壊れたと言っても、ブーストを掛けなければ実走可能な状態だったので、エンジン本体には不都合はない状態であったが、一度ブーストがかかると黒煙が上がる状態でパワーがかからず、ノンターボ状態なのだ。
恐らくタービンがダメになっているので、修理をすれば15~20万円は確実だが、この車は都市部の規制の対象車であるがゆえに、ボクの住む地域では使用期限があと1年しかない。それに加えて、昨今世間を賑わしているエコカー減税&補助金の内、補助金分10万円のバックが9月一杯となっており、「今買い換えないと、修理代を含めたトータルで30万円の損失になる。」ということで、この際思い切っての買い換えを決意したのである。

●別れの朝、オドメーターは21万kmを越えていた●
■最新ディーゼル事情■
ボクはディーゼルターボエンジンのRV車における「エンジントルク特性」と「合理性」、そしてある意味での「低公害性」を支持しているので、当然候補に挙がるのはそれを積んだ車になるのだが、残念ながら現在のところ国産車では「エクストレイル/日産」「パジェロ/三菱」の2車しか設定がない。
両車ともアウトドア遊びを基本とするボクの車選びでは大切な要素である「しっかりとした四駆のメカニズム」を搭載した車ではあるが、パジェロはエコカー減税の対象にはなっておらず、一種の特殊な車のようであり、実質は選択しにくい状態だった。
ただし、残るエクストレイルを選択するには、これまでミニバン3列シートばかり乗り継いできた立場から言うと、5人乗りになることに対しての決意が必要になってくる。
しかし、現実には既に足が無く、いつまでも嫁に車を借りたままの状態でいられない。そこで意を決し、エクストレイルのディーゼルエンジン搭載車をメインとして、値引き交渉用に2、3の競合他車(ガソリンエンジンだけど)候補を挙げて購入交渉を開始したのである。
ボクのように平均的ドライバーよりも1年間の走行距離が長く、一つの車を乗り潰すまで確実に乗り続けるタイプの人間が、ディーゼルエンジン車を考える時、いつも頭に浮かべるのは、そのコストの低さだ。
試算してみると、エクストレイルの場合、ガソリンエンジンの排気量2Lの燃費が7.5km/L、ディーゼルエンジンの排気量2Lの燃費が10km/Lが妥当な線だというから、15万kmまで走ると、それぞれ20000Lのガソリン、もしくは15000Lの軽油が必要になる。レギュラーガソリンの価格を130円、軽油を110円とすると、最終的に燃料代はガソリン車が260万円、ディーゼル車が165万円となり、価格差は95万円にもなるのだ。
しかし、現代のディーゼル車はガソリン車よりもはるかに高度なエンジンコントロールがなされており、それが価格に反映されるため、ガソリン車に対して約64万円も価格が上昇している。しかもこれはディーゼルエンジン車がマニュアルシフトの場合であり、AT同士になると69万円の差になってしまう。(個人的にはマニュアル・シフト車は大好きなんだけど…。)
これだけで済めば、まだおつりが来るが、ボクの運転パターンだと10万km前後に必ずターボが壊れてしまうから、その交換は避けられない。更には最新ディーゼルエンジンに付き物の、DPFという、ススを焼いて除去する装置も15万kmを走る内の、どこかで交換しなくてはならないと聞いた。この部品代&工賃は結構かかり、各20万円とすると、計40万円の出費になる。そして全てを差し引きすれば14万円の赤字になってしまう。幸いクリーンディーゼルと称するこのディーゼルエンジン搭載車はハイブリッド車と同様に取得税と重量税がゼロになるのだが、それを更に差し引きしても両車の価格差はあと4万ほどしか縮まない。
エルグランドクラスの場合、3500ccガソリンエンジン車と、3000ccディーゼルターボ車の燃費格差は220万円以上にもなっていて、ディーゼル車の方が割高な新車時の価格差を差し引いても200万円近いおつりが出たハズだが、いつの間にかの、この現実に、「ディーゼル乗用車イジメここに極まれり」と、ガックリ肩を落としてしまうのであった。
■結局は…■
で、結局は実質の価格差が赤字であることに加えて、その真意は書かないが、ガソリンエンジンが国産で、ディーゼルエンジンはフランス産だということが最終の決定打となり、2Lのガソリン車を選択するという顛末になってしまった。
しかし、この交渉の最中に各社の営業マンから紹介されたエコカー減税と補助金の内、古い車からの買い換えに対する補助金についてはまだ理解ができたものの、エコカー減税というシステムの方はとっても不可解だった。
普通、車というものは同じエンジンとボディならば低いグレードの方が、装備品が少ない分だけより軽量になり、燃費が良くなるのは当たり前の話であり、燃費が良い=同じ距離を走るにも排出するガスが少なくなって環境に対するダメージが減るのだが、実際は低いグレードの方が減税額が少なく、高いグレードの方が減税額が多くなっている車種が結構な割合で存在していた。そしてその結果、税金を含めた総計ではグレード間での価格差がほとんど無い状態のものまでが存在していたのだ。
更に、ある車種に至っては、より燃費の悪いターボ搭載モデルの方が減税率がかなり高く、自然吸気エンジン搭載の最軽量であるハズのベースモデルは減税なしというケースまであったのだ。
これは「○○kg~○○kgまでの車の場合、大体の燃費はこれくらいだから、それに対して○○%燃費向上したから基準達成!」という「重量ランク内での燃費基準に対する向上率」で区分けされたのが原因だ。すなわちメーカーオプションなどを付けて重くなると重量ランクが上がって、適応される燃費基準が甘くなるからだ。
このような現実に則さないエコカー減税のルールと言い、上述のディーゼルエンジンイジメと言い、「いったいこの国は本気で『エコ』に取り組む気があるのか?」という疑いさえ持たざるを得なかった今回の車選びであった。
何はともあれ、日本人であるボクにとってのこの選択は、結果的に日本のGNP上昇させることになり、それが微量ながらデフレ解消にも繋がって「少しは社会に貢献した。」と喜んでいたワケだが、
「あっ、でもこの会社はフランス企業に半分近くも株を保有されているんだったんだ。」ということを思い出して苦笑してしまうのであった。
■追伸■
何と、アテにしていた補助金10万円が、資金が底をついたために9月7日で打ち切りとなった。商談中の報道では23日頃までは大丈夫なハズだったので、納車の9月20日前後はギリギリのタイミングでセーフだと思っていたのだが…。
途中で9万3000台もの持ち越し?の追加登録があって、一挙に資金が減るなどの不手際は、「如何にも日本のお役所仕事だな。」と、苦笑いをしてしまったが、こればかりはどうしようもない。何ともツイていない顛末だが、諦めるしかない。
■追伸の追伸■
この記事を書いた時は知らなかったが、クリーンディーゼル第2弾として、「パジェロ・ディーゼル」が認可を受け、9月2日から販売開始になったようだ。しかし、廉価版でも360万円…。いずれにせよボクには買えない…。
磯スペは最近から購読してますので、連載記事を読めなくて残念です。
ところでワタクシは12万キロを走ったハイラックスサーフのディーゼル車に乗っておりますが、買い替えようにもお気に入りのクルマが見当たらず大変悩んでおりました。
今回の記事でランニングコストについて大変詳しく取り上げて頂き、参考になりました。
が…やはりディーゼル車が欲しいワタクシ……かといって、エクストレイルはデザインが…
あまりに選択肢が少なく乗りたいクルマが見つからないのです
とりとめのない話ですみません。
またお邪魔します。
いつもありがとうございます。
ホントにディーゼル車がほとんど不在の状況は何とかして欲しいものです。
釣りをする者なら理解できると思いますが、早朝、渡船乗り場などに早めに到着してチョッと仮眠などをすることが多いと思います。
しかし、そうしているうちにDPFの警告灯が点灯することがあるらしく、それを繰り返すと装置自体が傷んで、やがては交換…。それも保証期間を過ぎれば実費になると聞いて「こりゃ無理だ」と判断した次第です。
また、投稿後に気付いたのですが、通常の制度が終わってもクリーンディーゼルの場合は6年間保有を条件に補助金が継続されているようです。
しかし、これがまた不可解です。「ベースになるガソリン車との差額の半額を補助する。」ということなのですが、エクストレイルの場合は差額が42万円とされ、そのまま受け止めるとその半額の21万円補助してくれそうに思えます。しかし、この話には続きがあってディーラーに値引きをして貰うと、率が下がっていくそうです。
具体的には35万円の値引きを受けると、42-35=7万円になり、その半額の3万5000円しか補助してくれないそうです。当然ガソリン車にも割引があって同じように購入価格下がるので差額は少しくらいは縮まっても、歴然としてあるハズなのですが、それは考慮に入れないそうです。
こんな不条理な補助金を受けとったがために「6年間保有」の約束をさせられるのであれば、こちらから願い下げです。
さりとて、4ナンバーのハイエース等は内装がワゴン並みの4駆の場合は300万円前後もするうえ、2回目以降は毎年車検になります。しかも少しサイズが上がって乗用車でいうところの3ナンバーサイズになれば1ナンバー=中型車扱いになってETC割引が受けられません。
本当に困ったもんです。
磯スペでの連載はもうしていませんが、極たまにスポットで出ることもありますので、紙面で再開できることもあろうかと思います。ではその時まで…。