中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

木曽路の渓流

2010-09-04 12:30:19 | 渓流&管理釣り場での釣り
■奈良井川■

 中山道に沿って北上し続けて木曽路の最奥部に向かうと、右手にそびえる中央アルプスの北端あたりに分水嶺がある。
 とは言っても、この辺りは複雑なので、平たく言えば国道19号が峠山を貫く新鳥居トンネルを越えた先にある奈良井川(ならいがわ)水系は犀川、信濃川等を経て日本海側に注いでおり、トンネル手前の木曽川は伊勢湾=太平洋側に注いでいる。
 従って同じ木曽路の北端部であっても、奈良井川はヤマメの生息域であり、木曽川はアマゴの生息域ということだ。昔のことはよく知らないが、漁協もその辺はわきまえているらしく、奈良井川にはヤマメを木曽川にはアマゴを放流し分けているそうだ。
 今回最初に訪れたのは、奈良井川だ。昨年少しだけ立ち寄って様子を伺った際に「一度本格的に攻めてみよう。」と思っていたのが実現した次第だ。


■贄川付近■

 まず最初に入ったのは贄川(にえかわ)という地区だ。
 実は、全然予備知識がなかったので、「何処に入ろうか?」と散々迷った末に、小さな沢が流れ込むところをピックアップし、カーナビを駆使して入経路を見付けた結果だ。ボクの皮算用では「沢沿いを降りれば何とか本流に出られるだろう。」ということと、「最低でも沢との合流点がポイントになる。」ということの2点があった。


■綺麗な川だが…■

 沢自体は釣りになりそうにもないので、奈良井川との合流部から初めて竿を出すことにした。
 開始直後、辺りは木々の陰の中で、まだ薄暗くて目印が確認し辛くて苦労する。3投目を流し終えてピックアップしようとしたところ、何と仕掛に魚が着いていた。しかし、ちゃんとアワセが出来ておらず、ハリハズレでバラしてしまう。
 続いて魚を狙うが、全くアタリがないので周囲の石をひっくり返しつつ、川虫を採取する。
 ここ奈良井川の水質はクリアで底石も綺麗だが、そこが問題でもあるようだ。何しろひっくり返そうが、足でゴソゴソやろうが、ほとんど川虫が獲れないのだ。底石の綺麗さはヒラタなどが食う底生藻類が少ないと言うことに繋がり、それを食するヤマメにも影響があるかも知れないと、不安要素にもなった。
 ようやく獲れたのはカワムカデとオニチョロが少しという結果で、クロカワムシは巣の跡すら発見できなかった。
 ボク的に言わせてもらうと、カワムカデとオニチョロでの釣果実績はほぼゼロ。同時にクロカワムシやキンパクを使って比較すると、アタリの数自体がかなり少ないことも経験済みなので、持参したミミズとブドウ虫があるものの、先行きが思いやられた。

                   
                            ●ようやく捕まえたオニチョロ●

 
■ポイント選定■

 入った区間は平瀬がメインで、時折変化があるものの、やや単調気味な区間であった。その事が魚の着き場を限定させることになって、絞り込みやすくはなるのだが、誰もが狙うであろうから、その分プレッシャーが高そうだったので、ゼロ竿に0.15号の通し仕掛を使って、慎重に攻めていった。
 そしてやがて誰でも判りそうなポイントに差し掛かった。

                   
                            ●典型的なポイントなのだが…●

 しかしながら、夏場特有の小型ばかりに悩まされる。

                   
                            ●1匹目は10cm足らず…●

 持参分と採取分のエサをローテーションさせても結果は同じなので、見切りを付けて更に上流へと向かう。


■キープサイズ1号■

 どうも、流れの緩いところは小型ばかりの様子なので、そういったところはサッサと流して、より強い流れの中にある変化を求めて移動を繰り返していった。そして「ここは…。」というポイントに差し掛かった。

                   
                   ●川がクランクし、流れが強く当たる部分に大石が見える●

 まず周囲を探るが、アタリは少なく、釣れても小型ばかりだ。そこで本命の石裏のヨレと本流に巻き込まれる部分を攻めてみた。エサはオニチョロを装着して投入すると、すぐにアタって、ようやく本日キープ第1号をゲットできた。

                   
                              ●約20cmのヤマメ●

■橋桁ポイント■

 同じポイントで続くアタリはなく、更に上流へと向かう。そして橋桁部分に流れがぶつかり、渦巻くポイントに到達した。

                   
                      ●ポントは橋桁左端の本流に巻き込まれる渦部●

 エサをローテーションさせつつ、渦の中をシツコく攻めている内に今度はミミズのエサに反応したアタリを捉えて、先程よりも一回り大きなサイズのヤマメをゲットした。

                   
                               ●23cmのヤマメ●

 しかし、続くアタリはなく、移動を余儀なくされてしまった。


■下流部へ■

 ここまでの時点でキープ数はたったの2匹だったが、それよりも何処を探しても川虫が少ないことに不安を感じていた。やはりエサの少ない区間は、魚も少ないようだ。
 ここで浮かんだ考えは
 「エサが少ないのは水温のせいかも?」というものであった。従って、下流に行けば幾分水温も高く、状況が変わるだろうとの考えで、思い切ってかなり離れた下流部へと向かうことにした。
 しかし、ここでも結果は同じで、アタリの無さに加え、拭うことの出来ないエサ不足感とが重なって、再びの大移動を決意した。


■トンネルを抜けて木曽川へ■

 逆に奈良井川の上流部も確認したが、めぼしいところには人が入っており、車を降りて尋ねても、釣っている様子は無い。そこで、一大決心をして鳥居トンネルを抜けた先にある木曽川上流部へと向かうことにした。便利なことに、この一帯では付近の漁協の入漁証がコンビニで購入できるので、こういう際には有り難い。

                   
                         ●奈良井川、木曽川両漁協の1日券●

■木曽川上流部■

 木曽川上流部に到着すると、鮎釣師が撤収するところであった。声を掛けてからその上流部に入らせてもらい、釣り上がっていった。
 奈良井川と違って石にはヒラタなどのエサになる藻も生えていた。試しに底石をひっくり返して手に取ってみると、小さくてハリにはさせないものの、クロカワムシも棲息しており、期待は充分だ。
 しかし、残された時間は2時間ほどしかなく、その意味では安心は出来ない。
 そして程なく、奈良井川では見掛けなかったタイプの、力強い流れが狭められて作り出す典型的な渓流魚ポイントへと差し掛かった。

                   
                        ●如何にも渓流魚が着きそうなポイント●


■今年初アマゴ■

 竿はゼロのままで、0.15号の糸を使っていたのだが、22、3cmあったであろう1匹目は、抜く際に切れてしまい、取り逃がす。そして続いた今年初対面のアマゴはド派手なチビアマゴであった。

                   
                         ●この派手さは養殖物の稚魚だろう●

■木曽のタナビラ■

 同じポイントを攻めている内に、それまでのアタリとは違う鋭さで目印が引き込まれていった。
 ハリスは0.15号のままなので、慎重にやり取りを繰り返す。竿のしなりを最大限に活用しつつ、相手との距離を詰めて行き、時間を掛けて無事に取り込んだのは、本日最大魚であるアマゴだった。

                   
                               ●25cmのアマゴ●

 木曽地方では、アマゴのことをタナビラと言う。これは諸説あるようだが、ボクは「太い刀=段平(ダンビラ)から来ているのでは?」と思っている。
 鋼色をベースに研いだ際に出来る文様が散らばっている様子は正しく日本刀のそれであり、朱点と呼ばれる赤い点は、差詰め付着した血痕であろうか?。今回ゲットしたこのアマゴの美しさは「タナビラ」にふさわしい姿であった。

 その後は、更に釣り上がり、20cm級のアマゴを追加したが、そこで時間切れである日没を迎えてこの日の釣りが終わった。


■川質の違い■

 この日は川質の違いに気付かされた1日であった。違いは、川虫などエサの豊富な木曽川に比べて、それの少ない奈良井川は小型の稚魚を含めて明らかに「魚影感が薄い」ということろにある。
 水中での渓流魚は食物連鎖では上位にあるが、底辺にある川虫類が少なければ頂点の割合も変わってくるのは当然の話である。
 よくよく考えてみると、同じ川であっても川虫の少ない区間の魚影は極端に少ない。これが川全体となると…。答えは寂しいものとなるだろう。
 奈良井川は決して人気のない河川ではないことだけは確かなので、一時的な現象か、ただ単に入った場所が悪かっただけの可能性もある。実際に奈良井川の、事前のルアーでの釣り情報では釣れているようではあった。しかし、これはエサが少なくてフィッシュ・イーターになるのが早いせいなのかも知れない。いずれにせよ素人のボクには判断できず、
 「もしかして、ボクの腕がヘボなだけ?」と言えなくもないが、砂の堆積量も少なく、川全体が綺麗で、ローケーションも良かっただけに残念な結果であった。
 反面、木曽川上流部は、エサ、魚影とも濃くてその面では申し分は無さそうなのだが、いかんせん周囲に民家や人工物が多くてあまりにも開け過ぎで、ロケーション的にヤル気を起こさせるような雰囲気が少ない点が引っかかった。
「アチラを立てればコチラが立たず。」性質の全く違う河川での釣りに、やや戸惑った1日であった。
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