透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「植物はすごい」

2013-03-12 | A 読書日記



 葉室 麟の時代小説『秋月記』を読み終えて『植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫』田中修/中公新書を買い求め、読み始めた。植物の生き残り戦略の数々の紹介。なるほど!な情報満載。

渋いカキの実は鳥などに食べられることはないが、タネができあがってくると食べてもらえるように甘くなる。そうして鳥に食べてもらってタネを運んでもらうという巧妙なしくみを備えている。

一体どんなしくみで渋ガキが甘ガキに変化するのか、本書に紹介されている。

カキの渋みの成分はタンニンという物質で、渋ガキはタンニンが果肉や果汁に溶けこんでいるのだそうだ。このタンニンは「不溶性」に変化する性質があるそうで、そうなるとタンニンを含んだカキを食べても口の中でタンニンが溶け出してこないので、渋みを感じることはないという。なるほど!

タンニンを不溶性にするのはアセトアルデヒドだそうだが、この物質はタネができあがるにつれてカキの実の中でつくられてくるのだそうだ。このあたり、実にうまくできている。不溶性のタンニンが黒ゴマのような斑点だという。なるほど!

本書にはなぜ渋ガキを干しガキにすると甘くなるのかも紹介されている。このことについては書かないでおく。

この本を読了するまでに一体、どの位のなるほど!があるだろう。