■ 日本の近代建築史が専門の藤森照信さんは東京駅の設計者・辰野金吾を主要な研究対象としていたということだから『日本の近代建築 (上)』岩波新書(93年10月発行)でも辰野金吾の作品についてかなり詳しく論じていて興味深い。
この本のあとがきに**なお、この本以後については、子供の頃から文を書くよりは好きだった、物を実際に作る仕事に手を広げられれば、と願っている。**とある。本当にこのころから藤森さんは建築の設計を始めて(デビュー作の神長官守矢史料官は91年竣工)、縄文建築団の仲間と工事にも関っている。
ところで、『積算資料』という刊行物があるが、その12年11月号に藤森さんは「東京駅その1 日本人好みの赤煉瓦」という論考を寄稿している。
改めて読んでみると、**煉瓦だけでなく目地も特別で、今となっては伝説の“覆輪目地”。**とあって、ふくりんとルビが付いていた。これで覆輪はふくりんと読むことがはっきりした。
さらに**T字状の目地の交点にはカマボコどうしが突き当たった形を正確に現すべく、職人用語でいうところの“カエルマタ”を作る。**と続く。(前文38頁)
目地はふくりん、その交点はカエルマタ。
スッキリ!