透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「くさる家に住む。」

2013-04-18 | A 読書日記

  
2層目にあるオープンテラス   7層もある住宅(設計事務所併用)

 くさる家? 腐る家かと思った。それだけではないことが分かった。くさるに熟成や鏈るという意味も込めてのタイトルだ。

『くさる家に住む。』つなが~るズ/六耀社 には10軒の住まいと暮らしぶりが紹介されている。その内の1軒は私の友人、S君が自ら設計した自宅「白山通りのいえ」。

この住宅は東京の幅員が40mもある白山通りに面しているのにも拘らず、その通りに開いている(中の写真:何年か前に遊びに行ったときに撮影した)が、それは友人の社交的な人柄の反映だと私は思う。建築、ことに住宅の設計には設計者が意識していなくても人柄、性格が反映されるものなのだ。

本では「都市の中に自生する一本の木のような家」という見出しをつけてこの住宅を紹介している。「一本の木のような家」というのはこの家のコンセプト、特徴を的確に捉えていると思う。

支持層が深いために打設した24mの杭を利用して地中熱を取り出し、その熱を冷暖房に活用するというシステム、この杭は木の根っこそのもの。屋上に設置されている太陽熱温水器は木の葉っぱそのもの。そしてS君が好きな左官仕上げの外壁は樹皮だ、と言ったら、こじつけだと言われるだろうか・・・。

このように木の家というのはただ単に木と塔状住宅(右の写真:大きな開口のある3層目から上部)の形態上の類似性を指しているのではなく、機能上のそれをも指しているのだ。

内部は素材の持つ質感をストレートに表現していて、実に住み心地がよさそうな雰囲気。それが本の写真からも伝わってくる。

豊かな暮らしというのは時間がゆっくり流れていると感じることができるかどうか、という指標で測れるのではないか・・・。この本に紹介されている暮らしぶりを読み、写真を見て、ふとそう思った。


 


414 筑北村の火の見櫓

2013-04-18 | A 火の見櫓っておもしろい

 
414 東筑摩郡筑北村坂北の火の見櫓 撮影日 130415

平面形が三角の櫓、円形の屋根と同見張り台というオーソドックスなタイプ。梯子の段数はざっと数えて25段、1段を40センチメートルとみると見張り台までの高さは10メートル。見張り台の床面から屋根のてっぺんまで3メートルとみると、この火の見櫓の高さはおよそ13メートルということになる。櫓は緩やかなカーブで末広がりになっている。



ラッパ形というか、アサガオの花のような形の屋根の下に半鐘と照明器具を取り付けてある。床には半鐘の叩き方を記した信号表示板が置いてある。





柱脚のベースプレートを露出させているのは珍しい。コンクリート基礎に埋め込んであるのが一般的。柱材の等辺山形鋼の端部を補強していて、リブまで付けてあるが、アンカーボルトが1本というのは、心もとないような気もする。でもこれで何十年も風や地震に耐えているのだから、問題ないことが実証されていると見てもいいのかもしれない(などと曖昧な表現で逃げておく)。