透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

南海トラフ巨大地震

2013-04-16 | A 読書日記



 内閣府の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」が2012年の8月にまとめた南海トラフ巨大地震で想定される最大被害規模では死者が32万人にもなっているという。東日本大震災後、首都直下型地震の発生を予想する研究者もいる。

先日『東海・東南海・南海 巨大連動地震』 高嶋哲夫/集英社新書を読んだ。著者には自然災害をテーマにした著作が何冊かあるが、この本もその内の1冊。

南海トラフ巨大地震によって甚大な被害を被ると想定されている東京から宮崎までの各都県について、作家のイマジネーションと科学的な知見(著者は工学部の出身)によって「その時」の様子をショートストーリーとして描いている。

読了後、これを小松左京の『日本沈没』のような長編小説に仕立てて欲しかったな、と思った。客観的なデータからリアルなその時をイメージすることはなかなか難しい。東日本大震災の被害を繰り返し映像で見てはいるものの、被害の想定規模が全く違う。

想定される未曾有の大規模広域災害に備える。そのためにはまずリアルにそれをイメージすることではないか。