**「これが江戸か」
半蔵等は八十余里の道を辿って来て、漸くその筋違の広場に、見附の門に近い高札場の前に自分等を見つけた。広場の一角に配置されてある大名屋敷、向うの町の空に高い火見櫓までがその位置から望まれる。**(第一部上156頁)
今読んでいる『夜明け前』にこんな一節がある。主人公の半蔵が結婚後まもなく、義兄の寿平次と伴の佐吉とともに江戸に上ったときの様子で、木曽を発ってから12日目のことだった。
この描写から火の見櫓(小説では火見櫓と表記されている)が江戸の景観を特徴付ける要素として認識され、ランドマーク的な存在で目立っていたことが窺える。過去ログ
今回の再読で『夜明け前』に火の見櫓が出てくることに気がついた。やはり意識していると気がつくものだ。
北杜夫の『どくとるマンボウ青春記』にも松本は縄手の火の見櫓(作品では火見櫓と表記されている)が出てくることに気がついたが、やはり火の見櫓に関心を持ってから再読した時だった。過去ログ
他の作品にも出てきているだろう・・・。