■ 先日行きつけのカフェでたまたま居合わせたお客さんが大の映画好きの方だった。なんと年間100本近く映画館で観ているという。カフェに来る前に「ゴーン・ガール」を観てきたとのこと。この映画のことは全く知らなかったが、14日(日曜日)に観た。
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藤沢周平の「橋ものがたり」という短編集に収録されている「約束」という作品は、奉公に出た幼なじみの男女が5年後に萬年橋で再会する約束をし、実際にその約束を守るという物語。過去ログ この物語ではお互いが信頼し合っていることの素晴らしさに涙した。これが映画化されていればきっと観て、そして涙したことだろう・・・。
先日テレビで放送された映画「幸せの黄色いハンカチ」もやはり「信頼」がテーマ。罪を犯した夫(高倉健)から離婚を切り出されたものの、出所して戻ってくる日をひたすら待っていた妻(倍賞千恵子)。お互いが信頼関係できっちり結ばれていることのすばらしさが風になびく何枚もの黄色いハンカチに象徴的に表現されていた。このシーンにはやはり涙がこぼれた。
人間社会はベースにお互いの信頼関係があって成立するものだと思うが、「ゴーン・ガール」の夫婦には信頼関係が全くない。
夫婦とは相手を騙し、自分をも騙して対外的に幸せ演じるものだという意味のことが最後に語られる。サイコ・サスペンスだからこのようなエンディングもありかもしれないが、私好みのストーリーではなかった・・・。
失踪劇を演じた妻は宿泊していたホテルというかモーテルで所持金を奪われてしまう。そこで元彼に助けを求めて、彼の別荘に身を隠す。この別荘でも信じられない「事件」が起きるのだが、そのことには触れない。
その別荘の様子を観ていて、フランク・ロイド・ライトが手掛けた「落水荘」だと気がついた。このことを指摘する記事はネット上に見つからないが間違いないと思う。エンドロールにこのことが出てこないかとスクリーンをじっと見ていたが、文字が細かくて、いや文字の流れについていけなくて確認できなかった。
「周到に準備して、こんな完璧な仕掛けをされたら完全犯罪が成立するなあ」「この夫婦にはこの先どんな生活が待っているのだろう・・・」