■ 再読するにあたって、新たに文庫を買い求めた藤村の『夜明け前 第一部上』を読み終えた。
『夜明け前』ってどんな小説ですか、とある方から問われた際、「街道を行き来する旅人たちがもたらす情報から読みとる江戸末期から明治維新までの激動を描いた小説」と答えたが、そのような描写が文中にあった。
**年も暮れて行った。明ければ文久三年だ。その時になって見ると、東へ、東へと向かっていた多くの人の足は、全く反対な方角に向かうようになった。時局の中心は最早江戸を去って、京都に移りつつあるやに見えて来た。それを半蔵は自分が奔走する街道の上に読んだ**(355頁)
早朝に松本市内のスタバに出かけ、カウンターで選んだコーヒーを告げると、店員さんが「ショートをマグカップでしたね」と続けた。前にも同様の経験をしたが、その時の店員さんだったのだろう。私は「よく覚えていますね」と返した。 若い女性店員から声をかけてもらって、早朝からいい気分。
スタバで『夜明け前 第一部 下』新潮文庫を読み始めた。幕末から明治初期の劇的な転換期、激流に揉まれ、様々な影響を受けながら生きてゆく青山半蔵と周りの人たち・・・。
加賀乙彦が近代小説の白眉だと評したこの長編小説が年越し本となる。