■ NHKラジオ深夜便の朝4時過ぎからのコーナー「明日へのことば」を今朝(14日)も聞いた。
今朝のゲストは生物学者の本川達雄さんだった。本川さんは『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』中公新書で有名になった。
話の中で興味深かったのは、生き物は多様だけれど形の上での共通性は円柱形だという捉え方、認識。ヒトの指も円柱形、首も円柱形、胴体も円柱形。ヘビもミミズも円柱形、木の枝も円柱形。ここで言う円柱形は幾何学的な形として厳密なものではもちろんなく、輪切りにした時の形が円形ということだと理解した。タコの脚も、バナナもこの意味では円柱形だ。
なぜ生き物は円柱形なのか?
平たい形は薄い方向に弱いけれど、円柱形には弱い方向が無いというのが答え(ということでよかったと思う)。
この話題の他にはハツカネズミもヒトもゾウも心臓の鼓動が15億回で寿命だということ(この話は『ゾウの時間 ネズミの時間』に出ていたような気がする)。ヒトの場合、60回/分として電卓を叩いて自然の寿命を計算すると47年半くらいになる。話の中では自然の寿命は41、2年とのことだった。安静時は60回くらいだが、もっと多いことももちろんあるから納得できる数字だ。
その倍くらいの今の寿命は技術がつくり出したもので人工生命体だという話に、なるほど、確かにと納得した。便座は温まっているし、冷暖房の効いているのも寿命を延ばす。たくさんのエネルギーを使って寿命を技術的に伸ばしている。
本川さんは35年間ナマコの研究を続けてきて、ナマコに人生のあり方を学んだ、というかナマコの生活から人生を考えたそうだ。ナマコは海底に天国をつくっていると本川さんは言う。何もしない、じたばたしない、エネルギーをほとんど使わないナマコ的生活は今の社会、現役時代には無理。でも定年後は生活を便利にしてきたものをできるだけ遠ざけてそのような生活をすべきだと語っていた。
話の内容に感じ入り、本川さんの著書『ウにはすごい バッタもすごい』中公新書をさっそく買い求めた。