■ 寅さんシリーズ第6作「男はつらいよ 純情篇」を観た。
赤ん坊を背負った絹代を演じる宮本信子が若い。それもそのはず、「男はつらいよ 純情篇」は1971年1月の公開、50年も前の作品だから。
木枯らし吹く長崎の港で出合った絹代から話を聞いた寅さん、五島列島の福江島にある彼女の実家へ一緒に行くことに。そこで老いた父(森繫久彌)と娘の話を聞いていた寅さん、里心がついてしまって故郷の柴又へ。
とらやに帰ってみると2階に夫と別居中の夕子(若尾文子)が下宿していた。寅さん夕子に一目ぼれ、さあ大変。それに加えて博がタコ社長の朝日印刷から独立することを考えていて・・・、間を取り持つはずの寅さんが引き起こす大騒動。
ラスト、絹代はよりを戻した夫と子どもと一緒に柴又を訪ねてくる。娘、絹代からの近況報告の電話に涙する父親。とらやの人たちの暮らしぶりに感涙の夕子。
博は独立断念、タコ社長一安心。迎えにきた夫と帰っていく夕子・・・。
柴又駅で電車の中から寅さんは見送りのさくらに「故郷ってやつはよ、故郷ってやつはよ」と声をかける。そこでドアが閉まって、その後の言葉がさくらにも観ている者にも聴こえない・・・。
「本当に恋しいもんだよ」という山田洋次監督のメッセージかな。
雨降りの昼下がり、ひとりこの人情物語に涙、涙。「寅さん」はいいなあ。