透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

路上観察学会も取り上げる「火の見櫓」

2021-06-27 | A 火の見櫓っておもしろい

  路上観察学会って何? 詳しい説明はウィキペディアに委ねるが、街歩きをして「ヘンなもの(*1)」を蒐集して、仲間どうしで見せ合って、あれこれ合評して楽しむ会、とすればその中身についてのおおよその説明にはなると思う。そのルーツをたどれば今 和次郎の「考現学」に至る。ただしこの考現学の対象は路上のヘンなものだけではない。



街歩きをして目にする変なものには「火の見櫓」も入る。目立つし確かにヘンなものだから当然と言えば当然。で、『考現学入門』今 和次郎(ちくま文庫1987年)にも取り上げられていて、昭和初期の木製のもの、鋼製のものが今 和次郎の実に上手いスケッチと共に紹介されている。

*1 藤森照信さんがよく使うことば


 

また、『路上探検隊 奧の細道をゆく』路上学会 編(JICC出版局1991年)でも、藤森照信さんが山形県の火の見櫓を取り上げている(過去ログ)。「なぜ山形の火の見櫓はコンクリート製なのか」というタイトルの文章の結びは次の通り。**山形の消防関係者は、木や鉄への不信を覚えるような痛い目にあったことがあるんだろうか。それとも、コンクリート好きの指導者でもいたんだろうか。**

余談だが、この本の表紙のポストと狸について、蒐集した赤瀬川原平さんは次のような文章を書いている。
**狸本人はポストに化けたつもりだろうか、私たちには明らかに狸に見える。まだ未熟な狸なのだ。誰も自分に手紙を入れてくれないのでがっかりしている。そんな狸が可愛くて、みんな同情の視線を投げかけながらも、手紙はやはり右のポストに入れる。しかし、となると、右側のポストだって怪しいものだ。じつは狸のお母さんではないだろうか。** すばらしい想像力、創造力に拍手。すばらしい!こんな風に観察することができたらどんなに楽しいだろう。

表紙の左上にこの学会のメンバーが載っている。また著者プロフィールの頁を見ると、「山形路上観察倶楽部」のメンバーも載っている。


     



注文していた『岡山おもしろウオッチング』岡山路上観察学会 編(岡山文庫 日本文教出版2002年)が届いた。この文庫も岡山県在住の方に紹介していただいた。感謝。 この文庫本にももちろん火の見櫓が取り上げられている。「現代火の見櫓論」と題した総論に続けて各論で10基の火の見櫓を取り上げて特徴などを紹介している。

1冊丸ごと火の見櫓を扱った本は少ないけれど、本稿で取り上げたような本はまだまだあると思う。


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注:拙ブログでは引用文の前後に**を付けています。