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長野県上伊那郡辰野町横川 2025.02.18
■ 辰野町横川には火の見櫓を見に何回も出かけている。今回(02.18)は石神・石仏を見るために出かけた。辰野町立川島小学校の少し奥に進んだところに石神・石仏が十数基横並びに祀られている(写真①)。②
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右端に祀られた甲子塔と庚申塔(写真②)。庚申塔はあちこちで見かけるが、甲子塔はいままで見たことがなかった。裏面には昭和五十九年と建立年が刻まれている(写真③)。調べると、この年の干支(十干十二支)は甲子。知らなかったが、甲子塔にはオオアナムジ(オオクニヌシ)が祀られているとのこと。なぜ?
『古事記』に答えがあった。④
オオアナムジはオオヤビコにすすめられて根の堅州国(ねのかたすくに)へ行き、スセリ姫と出会う。ふたりとも恋に積極的。恋に落ちて、即、ふたりは夫婦になった。この本は少年少女向けの古典文学集の一冊だから、このような表現になっているのだろう。余談だが、ぼくが好きな北 杜夫の小説『木精』にも**「今宵、ノッコと夫婦になった」という表現がある(新潮文庫1978年 82頁)。オオアナムジは後のオオクニヌシ(大国主)で因幡の白うさぎで有名だが、行く先々で恋に落ち、子どもが何人もいたという神様。
スセリ姫は父親のスサノウの命(みこと)にオオアナムジを紹介する。ろくでもない若造と見た父親はオオアナムジに意地悪をする。蛇がうようよいる部屋で寝るように命じたり・・・。で、一面の草野原に放った矢を取りに行かせ、野原に火をつける。
万事休す! このとき、ねずみが大きな穴を教え、中に入って火をやり過ごせばいいとオオアナムジに教え、救ってくれたのだった(以上『古事記』写真④を参考にした)。
このことから甲子塔は、ねずみに因んでオオアナムジ、後のオオクニヌシ(大国主命)が祀られているとされた、ということだ。なるほど。