■ 8月27日は「寅さんの日」、ブログ友だちのコメントで知った。寅さんシリーズの第1作が公開されたのが1969年のこの日だったことにより決められたとのこと。ちなみに記念すべきこの作品のマドンナは御前様の娘の冬子(光本幸子)。
寅さん、恋の現役引退か?
昨日、寅さんの日にシリーズ第20作「寅次郎頑張れ!」を観た。
とらやの2階に電気工事の仕事をしている良介(中村雅俊)が下宿している。良介は行きつけの食堂で働いている幸子(大竹しのぶ)に恋している。このことを知った寅さん、恋のコーチ役を買って出る。寅さん現役引退か・・・。
ある日のある出来事で失恋してまったと思い込んだ良介はとらやの2階でガス自殺を図る。で、2階が大爆発! 幸い良介は軽傷で済んだものの心の傷は深く、故郷の平戸へ帰っていく。良介のことが心配で平戸を訪れた寅さん(寅さんは実にマメだ)、そこで雑貨店を営む良介のお姉さんの藤子と出会う。彼女が結婚に失敗して独り身だと知るや、現役復帰! 藤子の仕事を手伝うことに。
寅さん他にも田舎の旅館の女将に惚れて旅館の仕事を手伝ったり、寺の娘に惚れて、寺に居候して住職に代わって法事を務めたり・・・。
平戸の街で自転車を飛ばす寅さん。ハンドルを握らずにハンドルの下のブレーキを持って走りながら歌うは「憧れのハワイ航路」。
ある日さくらからの電話で幸子にフラれていなかったことを知った良介は姉さんと一緒に東京へ行くことにする。姉さんに幸子を紹介したかったのだ。姉さんもとらやにお詫びしなくてはならないし。
留守番を頼まれた寅さんだが、藤子の後を追うように柴又に帰る。お金が無くなって上野から柴又ま歩いて、寅さんよれよれ。
良介と幸子、藤子、それから寅さん、今回の「恋愛関係者」、それから幸子のおじさんも、タコ社長もいつものように加わってとらやで乾杯、宴会。
さて、この後に重大な出来事が・・・。
宴会の最中に良介が姉に話があると声を掛け、ふたりは2階へ。ちょうど布団を敷いていたさくらにも、一緒に聞いて欲しいと良介。
良介が姉に問う、寅さんと結婚する気があるのかと。その気がないのなら、寅さんが平戸に一緒に帰るのを断らなくてはいけないと、きっぱりと言う。そう、寅さんは藤子と一緒に平戸に帰って、手伝いを続けようとしているのだ。藤子に惚れているが故に。だが、藤子はそのことに気がついていない。いや、気がついているのかもしれないが・・・。
自分が寅さんだったら、姉さんを許さないと、強い口調で話す良介。好きでもないのに、好きなような態度をとって利用しているだけじゃないか、と迫る。
冷静に寅さんシリーズを観ている人は、マドンナに対してこのように思うことがあると思う。ぼくは第3作「フーテンの寅」で旅館の女将(新玉三千代)にこの思いを抱いた。いいように使っているだけじゃないかと。山田監督がすごいのは、ちゃんと客観的に自分の作品を捉えているところだ。
寅さんはこのやり取りを階段のところで聞いてしまう。ここは実にシリアスな場面だ。
翌朝、さくらはアパート(寅さんシリーズを順番に観ていないので、混乱するが、この時はまださくらたちは一軒家に住んではいなかった)の近くで待つ寅さんにお金を入れた封筒を渡す。さくらはお兄ちゃんに実に甘い。旅先で無一文になった寅さんを迎えに行ったこともある。さくらに見送られて寅さん旅へ。
その後、良介は幸子と一緒に平戸に行き、寅さんは旅先で偶然にも旅芸人一座と再会、トラックから大空小百合ちゃんに「車先生!」と声をかけられる。繰り返す、寅さんに偶然はつきものだ。
この作品はやはり良介の姉に対する、いやマドンナに対する指摘がポイントだろう。
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