■ 中公新書の創刊は岩波新書に次いで古く、1962年のことだそうです。カバーデザインはここ数年の間に創刊された新書(具体的には書きませんが)と比べると地味ですが、私は好きです。内容も濃くて、良書が多いように思います。先日購入したこの『日本の庭園 造景の技とこころ』もそのような良書の1冊です。
この新書を手にするきっかけとなったのが正月4日の午前中に放送されたNHKのテレビ番組でした。
日本各地の名庭を紹介する番組で、小石川後楽園、金沢の兼六園、京都の無鄰庵、龍安寺の石庭、鹿児島の磯庭園、琉球庭園・識名園などが取り上げられました。
平等院の庭園は極楽浄土を示し、大徳寺大仙院の庭は修行の場としての深い山々に見立てたもの、首里城の庭(識名園)は国際外交のかけ引きの場としての庭、というように美しい自然の風景を写した庭園にも様々な意味があるのだ、というような解説をしていました。
『日本の庭園 造景の技とこころ』はこの番組の「参考書」のような本です。第一章で日本庭園の歴史を飛鳥・奈良時代から昭和・現代まで概観し、第二章で作庭の技術、石組法や灯籠や垣根について詳細に解説しています。そして第三章では「日本の名園三十六景」の紹介、という構成です。
自然を縮めた日本庭園は幾何学的な造型の建築の対極にあります。今年は「繰り返さないという美学」を取り上げる、ということで、このような本を少し読んでみようと思います。
『日本の庭園 造景の技とこころ』進士五十八/中公新書
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