■ **ウイルスたちは、自らのリボソームをもたない代わりに、細胞性生物の身中に巧みに潜り込むしくみを手に入れ、さらにそのリボソームを利用して、自らに必要なたんぱく質を作り出すしくみを手に入れた。そのしくみこそ、私たち宿主の側から見れば「感染」という現象として具現化しているものである。**(『生物はウイルスが進化させた』武村政春(講談社ブルーバックス2017年 134頁)
今月6日にファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を受けた。接種したのはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンで、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の一部であるスパイクタンパク質(コロナウイルスという名前の由来になっている突起)の設計図(設計図のコピーとすべきかもしれない)となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤。
ぼくの体の細胞内のリボソーム(タンパク質合成装置)は入り込んできたワクチンのmRNAが示す設計図を読み解いて、新型コロナウイルスの一部であるスパイクタンパク質を生産している(生産した?)だろう。設計図を読み間違えるなどというドジはしていないと思う。
細胞の中で生産されたこのスパイクタンパク質は、どうなっているのだろう・・・。ぼくの細胞の表面に出てきてくっついた状態になっているのだろう。いや、免疫細胞につかまって、分解される。
人にとってスパイクタンパク質は異物。もちろんぼくにとっても異物。この異物を認識した免疫システム(*1)がそうして中和抗体をつくり、新型コロナウイルスの細胞内への侵入をブロック、即ち感染を予防するという仕組み。
ワクチン接種からの流れについてこのような理解で間違ってはいないと思う。2回の接種でより確実になるということだろう。
2回目の接種でもぼくの体がトラブルを起こさないことを願うのみ。
mRNAがDNAに悪影響を及ぼすのではないかと危惧するブログ記事なども見るが、大事なDNAは細胞の核の中にあり、しっかりガードされていて、mRNAは入り込むことができない仕組みになっている、と僕は俄か勉強で理解している。そう、DNAはmRNAに手紙を託すけれど、手紙は受け取らない(受け取れない)(*2)。
*1 新型コロナウイルスワクチンを接種することで免疫システムに良からぬ影響を与えるのではないか、具体的には自己免疫疾患を招くのでは、という懸念があるようだ。このことを心配して接種を見合わせる人もいるけれど、接種は自分のためだけでなく、家族、さらに社会のためでもある、と考えてぼくは接種した。
*2 ただし人はこの不可侵な領域にまで入り込んでいるが、新型コロナワクチンとは全く別の話。
鄙里のおいちゃんの理解はこんなところで可としたい。
本稿には間違っているところもあるかもしれません。関心のある方はご自分でお調べ願います。