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■ 年越し本になるかな、と思っていた『火の見櫓の上の海 東京から房総へ』川本三郎(NTT出版1995)を読み終えた。本書はサブタイトルが示すように、東京から房総への紀行文学で、何人もの作家のエピソードを織り交ぜながら房総の魅力を綴っている。
書名について著者の川本さんはあとがきで**画家の谷内六郎の言葉「上総の町は貨車の列 火の見の高さに海がある」からとっている。**と明かしている。房総半島は低い山が海のすぐ近くまで迫っているところが多く、町が狭い傾斜地に出来ているために、「火の見の高さに海がある」ということになるという。
海沿いの火の見櫓、そう、灯台のように立つ火の見櫓を見たいものだと前から思っている。この本には房総の風景を写した何枚もの写真が載っているが、残念ながらその中に火の見櫓が写っているものは無かった。「海の上の火の見櫓」がテーマではないのだから、仕方が無いが。
房総に「海の上の火の見櫓」は無いだろうか。房総でなくてもよいが、どこかにこのような火の見櫓があるのなら、見に行きたい。知多半島辺りにはありそうだが・・・。
本稿から取り上げる本の出版年も示し、今までと表記を変える。