■ 今回の建築トランプはこの人。K.TATSUNOとカードにある。そう、辰野金吾。辰野金吾といえば東京駅を設計した建築家。
前回の建築トランプで取り上げた高過庵の設計者で建築探偵の藤森照信さんの著書『日本の近代建築』の上巻の帯に東京駅が写っている。竣工時の東京駅はこの写真のように今とは異なる丸いドーム状の屋根だった。
現在は右の写真のような姿(小さくて分かりにくいが)をしているが、これは間に合わせで行なわれた修復工事に因る。今、元の状態に戻す工事が行なわれている。
辰野金吾のカードを引いたとき、困ったと思った。この建築家に関する知識が無いのだ。知っていることといえば東京駅の設計者ということくらい。藤森さんの本を再読すれば、俄知識は得られるが、それをここに書いても仕方がない。
イラストの辰野金吾が被っている帽子が東京駅だと分かるが手に持っているのが何か知らない・・・。
次に東京駅の今の姿が写っている本を探した。建築関係の本には載っているがそれを取り上げても面白くない。で、書棚から見つけ出したのがこれ、夏樹静子さんの長篇ミステリー『東京駅で消えた』中公文庫。
帯に注目、**東京駅の霊安室で男の死体が・・・**とある。現在も使われているかどうか知らないが、霊安室があったのだ。ストリーは忘れたがこれは東京駅を舞台にしたミステリー。霊安室や地下通路の存在などこの小説で大正3年開業の東京駅の知られざる素顔を知った。
先日書店でこの本を探したが見つからなかった。91年発行、既に絶版かもしれない。
今回は辰野金吾から東京駅に逃げて終わりにする。次回引くカードは何だろう・・・。