『やんちゃジジイ・ゆうちゃん』のイカすセカンドライフ

我儘で『やんちゃ』な爺さんの目標は、
周りに笑顔を振りまいて、楽しくセカンドライフを生きる事。

『珈琲への思い』その④

2015年01月09日 | Weblog

叔父の珈琲輸入問屋で珈琲の勉強をしていた頃、まだ創業者の爺さんが元気で居た。
その爺さんは叔父と一緒に会社を作った初代社長です。

明治43年、ブラジル・サンパウロ州政府庁専属ブラジル珈琲発売所『カフェ・パウリスタ』
https://www.paulista.co.jp/introduce/history.html
が開業し、爺さんはそこで呑ませる珈琲をはこぶ給仕から始まって、
喫茶店の運営を学び、珈琲の抽出法、豆の焙煎を探求する等、
数々の修行を重ねて、戦後に独立した。
大正時代の珈琲文化、戦後の珈琲業界の中でも一目置かれる存在だった。

叔父は父親の仕事を大学在学中から手伝い、卒業後に本業として会社を大きくしてきた。
そんな二人に囲まれて、僕は色々な事を教えて貰った。
叔父の会社のアンテナショップで、直営の喫茶店『エビアン』の珈琲は
サイフォンで1杯ずつ淹れた本格的なものだった。
毎朝、開店前に珈琲を飲んで、その日の味を確かめた。
そんな中で、爺さんが教えてくれた珈琲の味を確かめる方法が今でも忘れない。

珈琲の味を確かめる時には、いつも同じ条件で呑む癖をつけなさいと・・・・
要は、『自分なりの物差し』を作るんだそうな。
僕が今の仕事でも『自分なりの物差し』を持つようになったのは、この影響です。

珈琲にはシュガースプーン1杯のグラニュー糖と、珈琲スプーン1杯のミルクを入れる。
爺さん曰く、本当に美味しい珈琲は砂糖を入れてもミルクを入れても美味いんだそうだ。

叔父が焙煎しブレンドした『ロイヤルブレンド』は本当に美味かった。
それでも天候や季節によって、豆の仕上がりが微妙に変わる。
それを何時も同じ味にするようにカップテイスティングをするのです。
自分の舌で味わい、自分の鼻で香りを確かめる。
嗜好品と言うのは人によって好みが違う。これが絶対というものは無い。
だからこそ『自分なりの物差し』を作る事は、『いつもと違う事』に気がつくために大事だった。

前述の直営店『エビアン』で、お客さんに出していた珈琲ミルクも特別なものだった。

『エビアン』のコーヒーミルクは、無糖のエバミルクと生クリームをブレンドしたもの。
 
エバミルクは牛乳を約2.5倍に濃縮したもので、缶に充填したあと加熱滅菌したもの。
生クリームより脂肪分が少ないので飲み物に入れたりするには便利だった。
これに生クリームを加える事で、ミルク自体もまろやかになり珈琲の味を引き立てる。

どんな美人でも、汚い身なりをしていては駄目。
綺麗に着飾ると、美人はより一層美人になる・・・・がごとく、
コーヒーミルクは珈琲の味を引き立てる。
だから『エビアン』では、珈琲1杯の原価よりミルクピッチャー1杯の原価の方が高かった気がします。

今の喫茶店では「スジャータ」や「コーヒーフレッシュ」で代表される
ポーションミルクを出しているがあれはミルクじゃない。
植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたものです。
家庭用の粉ミルク「ニド」や「マリーム」もこの偽ミルクです。
そう云う意味では粉ミルクは『クリープ』だけが本物です。

そんな訳で、美味しい珈琲を探すために『自分なりの物差し』をまた作ってはいるのですが、
今では1日しか持たない「コーヒーミルク」を出す店は滅多にないですね。
だから僕はカフェオレやカフェラテを呑むのです。

コメント
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