映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「わたしに会うまでの1600キロ」 リース・ウィザースプーン

2015-09-30 19:49:19 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「わたしに会うまでの1600キロ」を映画館で見てきました。


実話に基づく話で、リース・ウィザースプーン演じるバツイチの女性主人公が母親の死にも遭遇し、自分を見つめなおすためにアメリカの長距離自然歩道を3ヶ月超かけて歩くロードムービーである。メキシコ国境の砂漠地帯からオレゴン州のワシントン州との境まで延々歩き続ける。

比較的淡々としたリズムである。別れた夫、母親(ローラ・ダーン)、弟との回想シーンが過酷なハイクの間に織り込まれる。一時はすさんだ生活をしてしまったこともある主人公がひたすら前に進んでいく。ものすごく感動するといった映画じゃないけど、ロードムービー好きの自分にはいい感じだ。

岩山で主人公シェリル(リース・ウィザースプーン)がひどい靴擦れで靴を脱ぐと、バランスを崩して谷底に片方を落としてしまうシーンからスタートする。ムカついてもう片方の靴を谷底に放り込むけど、おいおいこんなことくらいでむきになるなよと思わせる。
メキシコ国境の砂漠地帯からパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)のハイキングをスタートする。まわりはいかにも乾ききっている感じだ。荷物は重い。きゃしゃな身体に似合わない荷物を背にする。


いきなり燃料を間違えてコンロが使えないことがわかるが、まわりに店は何もないし、人もいない。死んだ母ボビー(ローラ・ダーン)のことを思い出しながら途方に暮れる。ようやくトラクターで畑仕事をしているおじさんに会い、家に泊めてもらう。燃料を翌日仕入れてもう一度歩きはじめるが、なかなか進まない。シェリルの1日で歩く距離は17、8キロがせいぜい、途中でベテランハイカーにあいこの先のネバダ山脈の雪山情報を得るがなかなか大変そうだ。
こんな出会いを重ねつつ、一歩づつ先に向かうのであるが。。。


1.ロードムービー
この映画の原題は「WILD」である。ショーンペンがメガホンをとった「イントゥ・ザ・ワイルド」というロードムービーの傑作がある。ある意味意識した題名だ。インテリ青年の1人旅が題材だが、ロケハンが非常に巧みと思われる映像が撮影の名手エリック・ゴーティエによりすばらしく仕上げられている。
ただ、自分としてはデイヴィッド・リンチ監督が撮ったロードムービー「ストレイト・ストーリー」を見た時のような映像の匂いを感じた。トラクターに乗った老人が病気になった自分の兄に会いにいく映画だけど、旅の途中で主人公が善意を受ける人情味に共通点が多い。夕日や夜を描く映像も似通っている。

それにしても美しい映像が続く。特にこれがいい。(クレーターレイク↓)


2.リース・ウィザースプーン
なかなかたいへんな撮影だっただろう。ギャラの高さでは有名だった彼女がプロダクションをつくって製作にも回っている。重い荷物を身体がキズだらけになっている姿を、率先してヌードになることできっちりと見せている。サービス精神旺盛だ。30後半になり、そろそろ裸を見せるのも最後と思っているのかもしれない。


ヘロインに手を出し、男と浮気をしてすたれた生活をしている。結局離婚するが、自分が悪いと自覚している。元夫とは愛はないが、まだつき合いはある。DVの父親の元から母親と弟と逃げ出したが、弟は難病で死んでしまい、大学に一緒に通っていた母親も若くして死んでしまう。人生に疲れきっている自分を見つめ直す旅に出たのだ。何でこの映画が15禁なのかな?と思っていたけど、すたれた時代のどん底ぶりをエロ丸出しのきわどい映像で映しているからだろう。

3.コンドルは飛んでいく
この歌が何回も流れる。エンディングロールの締めもこの曲だ。サイモン&ガーファンクルの空前のヒットアルバム「明日に架ける橋」のA面の2曲目で、アート・ガーファンクルの圧倒的歌唱力で盛り上がる「明日に架ける橋」のあとで、ポールサイモンのヴォーカルで南米のリズムのこの曲が流れる。歌詞はきわめてシンプルで英語習いたての自分も懸命に追いついていこうとした気がする。自分の記憶に間違えなければ、日本ではシングルカットされたんじゃないだろうか?ともかく良く聴いた。



周囲に何もない真っ暗な場所で夜を過ごす主人公の孤独な心を表わすように南米の楽器の序奏が何度も流れる。しばらく序奏だけだったので、これしか流れないのかな?と思ったときにポールサイモンのヴォーカルが聞こえる。
I'd rather be a forest than a street.
Yes I would.
If I only could,
I surely would.
「道になるくらいなら森になった方がいい。」この歌詞の真意がわからないけど、主人公シェリルは大好きなようだ。

(参考作品)
イントゥ・ザ・ワイルド
ロードムービーの傑作(参考記事


明日に架ける橋 
「コンドルは飛んでいく」を含む世紀の大ヒットアルバム


ストレイト・ストーリー
アメリカ南部を舞台にしたロードムービーの傑作
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映画「からっ風野郎」 三島由紀夫&若尾文子

2015-09-27 20:39:14 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「からっ風野郎」は三島由紀夫主演で東大の同窓増村保造がメガホンを取った昭和35年(1960年)の大映映画だ。


三島由紀夫はこの当時すでに流行作家となっていた。その三島を主演にして、増村が監督する映画が企画された。三島はインテリ役だけは勘弁ということで、自らヤクザの役を買って出る。出所間もないヤクザの跡とりが抗争相手の組と争うという話に、若尾文子、水谷良重という女優陣をからませる。

正直映画自体は三島由紀夫の大根役者ぶりが目立ち、増村保造がメガホンを取ったとはいえ普通の作品だ。でも映像から昭和35年当時の世相がよく見え、三島の暴れん坊ぶりがハチャメチャで興味深く見れる。実際客の入りはよかったという。


朝比奈一家の二代目武夫(三島由紀夫)は傷害事件を起こし、2年7カ月刑務所に入っている。出所というその日に面会者が来たが、所内のバレーボール大会の途中だったので、朝比奈の番号をつけた服を着た代理の人間に出てもらった。面会者はいきなり「朝比奈だね」と拳銃の引き金を引く。まったくの人違いでかろうじて難を逃れる。
朝比奈一家の大親分(志村喬)と舎弟(船越英二)が出所祝いに車で刑務所へ向かう後を、殺し屋を向けたヤクザ相良商事の社長相良(根上淳)が追う。相良を刺したために朝比奈は刑務所に入っていたのだ。襲撃を恐れた朝比奈は護送の警察車で身内をもだましながら出所して逃げていく。


朝比奈はすぐさま情婦のクラブ歌手昌子(水谷良重)に会った。すぐさま朝比奈は昌子を抱くが、男にもらったと思われる高価なネックレスを見て、それをもぎ取り、彼女と手を切る。朝比奈は逢引きした映画館を根城にしようとするが、そこでもぎりの芳江(若尾文子)に出会う。

芳江は町工場でストライキをおこしている兄(川崎敬三)に弁当を届けにいったが、スト鎮圧に来ていた警察に誤ってブタ箱に入れられる。そうしているうちにも相良一派は殺し屋ゼンソクの政(神山繁)を使い朝比奈を狙っていた。政は銃弾を放ったが、かろうじて急所からはずれ朝比奈は逃げ切る。ブタ箱からでてきた芳江はもう一度雇ってくれと頼みこんで来たので、朝比奈は思わず抱いてしまい自分の女にする。そしてデート中に相良の娘を偶然見つけ誘拐し相良をおどす。大親分の南雲(山本礼三郎)が仲介に入って、痛み分けになるが、相良も黙ってはいない。朝比奈といい仲になった芳江の兄を人質にするのであるが。。。

1.三島由紀夫
昭和32年姦通小説「美徳のよろめき」が大ベストセラーになったあと、昭和33年に結婚している。昭和34年に長編小説「鏡子の家」が出版されたあとでの映画出演である。昭和30年から始めたボディビルで身体を鍛えているので、この映画ではすでにワイルドな風貌にはなっている。それだけにあえてインテリでなく、アウトローの役をやりたがったのであろう。DV丸出しで何回も若尾文子を殴っているんだけど、いかにもウソっぽい動きだ。キスまで疑似である。そういうのを見ていると非常に物足りなくなってくる。


でも最後に銀座三愛で暴漢に襲われるときに昇るエスカレーターに倒れるシーンがある。これだけは妙にリアルだなと見ていたら、なんとこのシーンで大けがをしたという。増村保造の過激な演技指導にそそのかされ、ちょっと無理をしたんだろうなあ。再度撮影するときは永田ラッパ社長も立ち会ったそうな。

2.若尾文子&水谷良重(現水谷八重子)
若尾文子が普通に見える。昭和35年といえば、前後に「浮草」「ぼんち」なんて作品を撮っている。いずれも好きな映画だ。そこで見るスタイリッシュな着物姿は色のセンスもよく引きたってみえる。普通に見えるのは単にアカぬけない洋装だからのせいだろう。


水谷良重は当時21歳でクラブ歌手の役である。「バナナの歌」をうたっている。体格がよくグラマラスな感じが素敵だけど、歌は音痴で、ルックスもまだ今一つだ。山本富士子主演「夜はいじわる」にも出ていたけど、大映に縁があったのかな。母親のあとをついで今も新派の女王だ。本拠地新橋演舞場をはじめとして、幅広く現役で舞台勤めをしているのは両親守田勘弥、水谷八重子からの強いDNAを感じる。

3.山本礼三郎
黒澤明の名作「酔いどれ天使」三船敏郎とともに強烈な印象を残すのが山本礼三郎である。あの凄味のある表情は明治生まれがもつ迫力だ。刑務所から戻ってきて、三船演じるヤクザの縄張りも木暮三千代演じる情婦も奪っていく。最後の2人の格闘は映画史に残る悲愴なシーンだ。この映画では枯れ切ったヤクザの親分だ。これはこれですごい。現代映画界にこの手の顔が少なくなっている気がする。


4.ヤクザと企業
若尾文子演じる芳江が組合でストライキ活動をしている川崎敬三演じる兄を訪ねていくと、運送業者のトラックに乗ったヤクザが一斉に押し掛け、ストライキの妨害をする。そこへ警察が来てストライキに関連する人を検挙する。こういうぶち壊し屋の存在は今では考えられないことだ。60年安保の時は安保反対派の鎮圧のために、右翼と暴力団がぶち壊しに雇われたという話は聞いたことがある。裏社会なしでは物事が解決しなかったわけだ。

暴対法が成立したために、逆に準暴力団的チンピラ組織がのさばるようになったなんて記述はよく見る。たしかに一般の会社では、反社会組織に対する意識が非常に強い。少しでもクロとなると、弁護士名で取引をしない旨の書面を送ったりすることもあるようだ。今は暴力団の脅迫も少なく良くなったと思うが、このころの映画を見ると、反社会的な人がうまく立ち回るものも多い。うーん、戦後のどさくさを引きずるすごい時代だ。

5.五反田の原風景
映画を見はじめてすぐに、五反田駅すぐそばの目黒川にかかるガード下の映像が出てきて驚く。カメラ位置がガード下で、目黒川を大崎橋に向かって映す。自分が持つこのころの写真は白黒なので、カラーの映像でなくなった飲み屋「赤のれん」を映しだすと背筋がゾクッとする。京浜ベーカリーは残念ながら見えない。実はこのカメラ位置のあたりにある産婦人科で私は生まれた。今はラブホに代わっているけど。

どうでもいい話だけど、佐藤俊樹「不平等社会日本」という社会学系の新書で、著者が「自分は生まれた病院を知らない」むしろ「本人は知らないのは当たり前だ」といっている。これって変じゃないかな?自分の生まれた場所って知るべきだし、知らないあんたの方がおかしいんじゃないのと思った。今や別の人に売られて姿を変えているけど、自分にとっては重要な場所だ。
(昭和36年の五反田東急方向からの写真、富士銀行の手前が大崎橋)


(参考作品)
からっ風野郎
三島由紀夫のヤクザ役


美徳のよろめき
後味が最高に悪い三島のベストセラー姦通小説
コメント (3)
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映画「セッション」 J・K・シモンズ&マイルズ・テラー

2015-09-23 09:18:48 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「セッション」を見た。

確かにラストにかけての9分19秒での緊張感はすばらしい。
緊張感が高まったり、静まったりする振動の中で悪い方向に発散するのではなく予想とちがう結果に収束していく。お見事だ。


予告編でJ・K・シモンズがかなり過激な音楽指導をする場面は何度も見た。名門音楽学校の伝説の鬼教師フレッチャーはまったく理不尽にしか思えないイヤな野郎だなと思っていたし、事実映画を通じてイヤな奴だ。スポーツ系に多い話だが、厳しい指導で締めあげるけど最後はサクセスをつかみよかったよかったというパターンになるのかな?と思いしや、そうはいかない。しかも迷彩をかけて我々をだます。

名門のシェイファー音楽院に入学するニーマン(マイルズ・テラー)は、バディ・リッチに憧れている19歳のドラマーだ。音楽院の新学期が始まり練習に励んでいるニーマンの前をスタジオ・バンドを率いているフレッチャー教授(J・K・シモンズ)が通りかかる。黙ったまま、フレッチャーは立ち去る。ある日、ニーマンは、フレッチャーに呼ばれる。「明朝、来い」と。バンドにはドラムの主奏者がいるのに、フレッチャーは自分のバンドに移籍するよう、ニーマンに命じる。喜んだニーマンは、行きつけの映画館で、売り子のアルバイトをしているニコル(メリッサ・ブノワ)をデートに誘う。


フレッチャーの練習が始まると、トロンボーン奏者は「出ていけ!」と追い出されてしまう。ニーマンがドラムを叩く。フレッチャーは、形相を変えて、ニーマンに椅子をぶつける。完璧を求める狂気のレッスンでニーマンは罵声を浴びせられ泣き出してしまう。それでもその後手から血が出るほど、練習に打ち込む。


フレッチャーのスタジオ・バンドが、コンクールに参加する。ニーマンは、ドラム主奏者の譜面めくりを担当するが、うっかりドラムの譜面を置き忘れてしまう。主奏者は暗譜していない。決勝戦ではドラムは譜面を覚えているニーマンが急遽務めることになり、練習の成果が出てバンドは優勝する。

フレッチャーは、ニーマンをドラムの主奏者に据える。しかし、フレッチャーは、正式な主奏者の地位をめぐって、コノリー、タナーとと競わせる。フレッチャーはコノリーを誉める。抗議するニーマンに、フレッチャーは冷たい。ニーマンは、せっかく付き合いはじめたニコルに別れを告げる。


フレッチャーは正式な主奏者を決めるため、課題曲の「キャラバン」を3人を罵りながら演奏させる。ニーマンの手から血が滴るが、結果主奏者となり、大会にフレッチャーのバンドが参加する。ところがとんでもないハプニングがニーマンに起こるのだ。


主人公ニーマンはフレッチャーの狂気のレッスンという恐ろしい状況に陥るが、それだけではすまない。いったん平穏な状況になったと思いしときに困難が彼の元を襲う。これも半端じゃない。次から次へと波状攻撃で窮地に立たされ、主人公は追いつめられるのだ。このリズムが最後まで続く。片時も穏やかにならない。それなのでここまでのすばらしい映画となるのだ。

以下はネタバレあり

1.デュークエリントン「キャラバン」
この映画のメインでニーマンが演奏するのが「キャラバン」である。デュークエリントンの曲では「A列車で行こう」に次ぐ知名度であろう。中東の匂いをさせるエキゾティックなリズムが基調にあり、さまざまなプレイヤーがカバーしている。
1952年のエリントンバンド↓



セロニアスモンク、オスカーピーターソンの名ジャズピアニストばかりでなく、ベンチャーズのギター演奏もすばらしい。高校あたりのブラスバンドあたりもやっているよね。この映画では名ドラマ―であるバディリッチのバージョンを意識している。デュークエリントンのバージョンではここまでドラムス活躍していない。
バディリッチの「キャラバン」↓



2.クラウゼヴィッツの戦争論と師弟の葛藤
この映画を見ていてクラウゼヴィッツの「戦争論」の一節が頭にこびりついてきた。それほど、ニーマンとフレッチャーの葛藤の強さにしびれたのだ。
「戦争においては、かかる強力行為、即ち物理的強力行為は手段であり、相手に我が方の意志を強要することが即ち目的である。」
(戦争論 クラウゼヴィッツ著篠田英夫訳より 以下も同様)
一度はむかついてつかみかかったニーマンだけど、こんな暴力では自分の意志は当然強要できない。
それ以上のパフォーマンスが相手に打ち勝つには必要だったのだ。

「我が方が敵を完全に打倒しない限り、敵が我が方を完全に打倒することを恐れねばならない」
ニーマンとフレッチャーが再会し、2人は再び同じステージに立つことになる。まずはニーマンに「お前がばらしたな」とくぎを刺す。しかも、ニーマンに譜面を渡していない曲でフレッチャーは最初の曲を指揮し始める。あわてるニーマンはぎこちない演奏しかできない。完全な意地悪だ。落胆していったんステージを降りたニーマンはもう一度戻る。


それでもフレッチャーは「スローの曲」をはじめるとアナウンス
そこでニーマンが激しくドラムをたたきはじめる。そして「キャラバン」をやるのだとベースにリズムの催促をする。
意表を突いた攻撃である。この瞬間は本当にしびれる

「我が方の意志を敵に強要しようとするならば、実際に敵の防御を完全に無力にするか、さもなければ確実に無防御になるおそれがあると思はせるような状態に追い込まねばならない」

ビッグバンドもそれに続き、トロンボーンはソロを奏でる。
スタートしてしまったらこっちのもの相手は無防御状態だ。それでもお前を殺すなんて脅すのだが、完全にニーマンのペースだ。
そうして「相手に我が方の意志を強要すること」という目的が達成され、フレッチャーも表情に心変りが見える。ニーマンもそれに応える。最後に向けてまたまた意外な展開

それにしても最後の9分19秒はすごい

WHIPLASH 
J・K・シモンズの怪演
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映画「味園ユニバース」 渋谷すばる&二階堂ふみ

2015-09-22 20:58:25 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「味園ユニバース」は2015年公開の渋谷すばると二階堂ふみの共演映画だ。

大阪を舞台にした「関ジャニ」渋谷すばる二階堂ふみ共演の音楽映画を「苦役列車」の山下敦弘が監督するとなると本来は見に行かねばならないはずだが、2月中旬から忙しすぎてdvdスル―。記憶をなくした歌唱力抜群の男が、地元バンドのマネジャーとともに再生をはかろうとするドラマだ。


平成のはじめに大阪のミナミで仕事をしていたので、映像がしっくりくる。特に地元バンドの「赤犬」と渋谷すばるの組み合わせが相性良くそれなりには楽しめた。

大阪のある広場で開催されていたバンド「赤犬」のライブに男(渋谷すばる)が突如乱入し、マイクを奪う。観客たちは男の他を圧倒するような歌声に息をのんだ。バンドマネージャーのカスミ(二階堂ふみ)は一体何者なのか詰め寄るものの、彼は記憶喪失になっており自分の名前すら思い出せないでいた。歌声に惹かれたカスミは男をポチ男と呼ぶことにし、祖父と暮らす自宅のスタジオで働かせ面倒をみることにする。

男はヴォーカルとしてバンドに迎えられるが、男は少しづつ記憶をフラッシュバックさせていくのであるが。。。。

1.渋谷すばる
記憶喪失した歌好きの男ということだが、もともとは裏社会に近い仕事を請け負って刑務所にも入っていた男の役だ。それにしても「関ジャニ」のメンバーなのに「なにわのチンピラ」が実にぴったりはまっている。大阪出身でそういうDNAがもともとあるんじゃないかと思わせてしまう。


ポチ男(渋谷すばる)の写真が写ったバンド大会のポスターを見て、昔の仲間がポチ男のところへ来るシーンが印象的だ。カスミ(二階堂ふみ)にちょっかいをだそうとするのをみて、昔の仲間に猛烈なパンチをくらわす。まさしく狂犬のようだ。映画「仁義なき戦い」に出てくる前後見境なく暴れまわる思慮のない連中と同様の直線的動きをする。いやはや凄い。面構えがよくまたこういう役で声がかかるのではないか。

2.二階堂ふみ
鈴木紗理奈がコテコテの大阪弁を話しているのが印象的。その一方で沖縄出身の二階堂ふみが今回は大阪弁に挑戦だ。「この国の空」では古典的上流の東京弁を話していたが、自分はピュアな関西人でないけど及第点だ。「あんた」とポチ男を呼ぶそのリズムが、関西育ちの家内が自分を呼ぶ響きに似ていて親しみを覚えたのも事実。二階堂ふみらしさが感じられるしぐさがかわいい。
さすが当代きっての女優というだけある。


3.味園ユニバース
ライブをやっている千日前の店の名前である。千日前というと大阪ミナミでもうらぶれた感じで、暗いイメージがただよう。千日前デパートの火災で多くの人が亡くなったり、バブル末期には尾○縫なんて有名な千日前の料亭女将が興銀をはじめとした天下の一流銀行員を相手に4000億を超える借金を踏み倒した話もあったのがなつかしい。


映像に出てくるバンドの映像はいかにもキャバレーのステージである。そこで歌いまくるバンド「赤犬」が実に味がある。大衆演劇の泥臭さをそのままバンドの世界に持ち込んだようなうさんくささが実に土着の大阪らしくて自分は大好きだ。

(参考作品)

味園ユニバース 
渋谷すばるのやさぐれ男ぶりを楽しむ
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映画「鰻の男」 キムギドク&ハン・チェア

2015-09-21 18:51:34 | 映画(韓国映画)
映画「鰻の男」はキムギドクが脚本製作にまわった2015年日本公開の韓国映画


毎回見ているキムギドクの製作なのに公開を全く気づかなかった。新宿のシネマカルテ公開作はチェックしているだけに残念、でもすぐDVDに回ったからいいか。奇妙な題目とジャケットでまた何かやらかしたのでは?と期待する。
今回は「レッドファミリー」の製作者キムドンフが監督にまわって、パク・ギウンに中国人密航者、ハン・チェアに食品輸入の監視員を演じさせる。中国産のうなぎに水銀が含まれているという疑いで輸出を止められ打撃を受けた青年が疑いを晴らそうと、うなぎの再検査を求めて密入国する。その後、自分が育てたうなぎが市場にまわっていることを知り驚嘆するという話である。

中国でウナギの養殖業を営むチェン(パク・ギウン)は、韓国に輸出したウナギから水銀が検出され輸出差し止めで大きな打撃を受ける。中国産ウナギの安全性を証明するため、生きたうなぎを隠し持って韓国へ密入国する。しかし、食品安全庁前で再検査をするように要請しても受け付けてくれない。


玄関前で居座るチェンを見かねて食品安全庁の女性監視員ミ(ハン・チェア)がうなぎを再検査をしても結果は同様であった。ぼうぜんとする彼に同情して女性監視員ミが自宅で世話するようになる。


ミの紹介で倉庫の警備職に就いたチェンは、警備する倉庫の中から生きたウナギが飛び出してきたのを見て、衝撃的な事実を知ってしまう。倉庫の中で裏組織による違法なウナギ養殖が行われていたのだ。そのとき、安い鰻が売られることで被害を受けた連中が倉庫へ殴り込みに来る。結局追い返すが、たれ込みを怖れた幹部がうなぎごと燃やしてしまおうとするのを見て、チェンは憤慨しある行動に出る。。。

これもワルの映画だ。輸入したものを食品検査で不適格として、実際には廃棄せずに国産品として売るなんて行為はまともな人間の考えることではない。さすが韓国、まだまだコンプライアンスを超えた悪いことするんだねえ。こんな連中が多いから、わざわざ買い物をするだけのために訪日客が多いのだろう。みんな自国の製品を信頼していないのだ。

1.メイドインチャイナ
この映画の英題は「メイドインチャイナ」である。
女性監視員ミの家で主人公チェンはヒモのような生活をはじめて、ミが描いた買い物リストに基づき、スーパーで食料品を買っていく。ミが帰った後に冷蔵庫をあけると、そこにはメイドインチャイナの食品が置いてある。ミは狂ったようにその食べ物を捨てていく。
それを見てチェンは何で食べないんだと怒るのだ。ウナギ養殖が生業で韓国へ輸出しているわけだからなおさらだ。


日本でも毒入り冷凍餃子問題のあと、中国産食品の買い控えはあったが、ここまで毛嫌いする話はない。朴大統領が習主席の前では仲良さそうな顔をしているけど、実際問題こういうふうに一般韓国人は中国人および中国製品を毛嫌いしているのだ。これは知らなかった。

2.中国の朝鮮族
中国人女性がつく飲み屋にいくと、たまに朝鮮族の女の子に出くわす。ちょっと見ただけではわからない。韓国映画「哀しき獣」では韓国人ヤクザの殺人を依頼をうけたハ・ジョンウ演じる中国延吉出身の朝鮮族の男が主演である。映画の原題は「黄海」まさしく海を超えて密入国するのである。主人公が船で密入国するときに、一緒に乗船している朝鮮族の女がいる。ソウルの食堂で再会し、言葉が全く通じないミとチェンの通訳をかってでることがある女性だ。中国系朝鮮族は我々にはわからない差別を受けているのかもしれない。

3.ハン・チェア
なかなかの美人だ。キャリアを見ると、むしろテレビ出演の方が多いようだ。チェンとイタしてしまうわけだが、ほとんど肌を見せない。それだけが残念だ。こういう役柄はあっているかもしれない。そういえば誰かに似ているなあとずっと思っていたが、杉野希妃だ。お互い東洋クール美人だ。


冷静沈着な公務員かと思ったら、ワルと通じて検査で輸入食料品を差し止めする。その品はワルの手で韓国内で流通する。最低といった感じだけど、その悪さで途方に暮れている中国人がちょっとばかりいい男だから囲う。でも彼女自体が裏組織のトップの情婦なのだ。だからいいマンションにも住めるし、金には不自由しない。歴代大統領がみんな汚職で捕まるような韓国だからこんなワルがヌクヌク生きていてもおかしくない。
まあイヤな役だけど、美人だけに今度はもうちょっとまともな役やってよ。

(参考作品)
鰻の男
中国産うなぎは大丈夫?


レッド・ファミリー
キムギドクが脚本にまわった作品


哀しき獣
密入国した朝鮮族の悲哀


孤独のグルメ2
うなぎもあるでよ
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浜離宮とスッポン

2015-09-20 15:16:49 | 散歩
この9月は本当に雨降るねえ
ヤザワのコンサート以外は面倒な話が続いてまいっちゃうなあ。

そういうときにはビルの借景が美しい浜離宮でくつろぐのもよい
東京でも有数の美しい光景だ。


友人が再婚することになった。
お互いバツイチ同士である。お祝いにスッポンづくしだ。

先付けのあと生き血

渋い

肝とか心臓とか生で食べる。

完全な珍味

茶碗蒸し


揚げもの


1ピン撮り忘れて
いよいよ鍋


まあ出汁がよくきく。コラーゲンたっぷり




合わせて雑炊で締めて、次のスナックへ
翌日も同じように高級肉スタートでバシバシたべる。

ところが、今週お腹を壊してしまう。
高熱がでたので、いったん医者で風邪薬をもらおうとしたらなんと胃腸炎
熱下がらず、一日おやすみ
どれでひっかかったのであろう。
それとも翌日生肉食べたからか?わからないなあ。四連休もしばらくはおとなしくしていよう。
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映画「カリフォルニア・ダウン」 ドウェイン・ジョンソン&ポールジアマッティ

2015-09-20 09:52:07 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「カリフォルニアダウン」を映画館で見てきました。

ネバダ州で観測史上世界最高の地震が起き、その断層ズレはロスだけでなくサンフランシスコまで被害をもたらすという壮大な話である。ロスレスキュー隊のパイロットが閉じ込められている娘を救出に出るという話に焦点をあてる。


パニック映画ってそんなに見ない。でも今回の「カリフォルニア・ダウン」の解説をよんで、最新CGを駆使した地震の映像ってどんなものなのか急に気になってくる。映画の大画面でみるとさすがに迫力ある。地震でビル群が崩れ落ちるシーンや大きな津波にサンフランシスコの街が襲われるシーンなど、一度や二度の恐怖のシーンでなく最後の最後まで波状攻撃でくるので眠気に襲われることが全くなく最後まで見れた。


1300kmに渡る超巨大地層“サン・アンドレアス断層”が横ずれ、大地震を巻き起こし平穏なカリフォルニアに猛烈な揺れが襲う。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスを容赦なく破壊、都市文明が壊滅していく危機の中、高度上空での特殊任務に従事する消防庁ヘリコプター・レスキュー隊の凄腕パイロット、レイ(ドウェイン・ジョンソン)は捜索救難チームとして出動。崩落寸前のビル屋上に別居中の妻が取り残されたことを知り、自ら操縦するヘリで駆けつけ間一髪で救出。そしてサンフランシスコにいる娘ブレイク(アレクサンドラ・ダダリオ)の救助に向かう。


話の要旨はざっとこんなところだ。
いきなりドキッとする救出シーンを見せる。
アメリカ西部ロスアンゼルス郊外、突然起こった地震の落石で、女性が運転する車が道路から崖の側面に転落してしまう。車内に残されてしまった女性を救出すべくレイ(ドウェイン・ジョンソン)率いるレスキューチームがヘリコプターで出動する。だが、車に救助に向かった隊員は、車両と崖の間に片腕が挟まり、身動きがとれなくなる。レイは両者を助けるため、自らロープを下ろして降下する。ヘリコプターの墜落危険が迫るなか、なんとか全員を助ける。

クレパス状になっているところにある車からの救出だが、ヘリコプターで侵入するのが大変
それなのにレイはきっちり仕事をする。まずはレイの実力を映像で見せるというわけだ。

でも物語の定石どおり、レイには欠落しているものがある。家族である。
主人公レイは妻と別居していて離婚同意書も手元に送られてきている。娘から自宅に残した荷物を届けてほしいと言われて向かうと、大富豪である妻のボーイフレンドもいて、2人は同居することが決まっているようだ。落胆するしかない。

でも妻がピンチになっていると聞くと出動する、続いて娘を探しに行くのだ。日本で震災時にレスキュー隊員が真っ先に家族を助けたなら、大バッシングを浴びるはずけど、ここが違いかな




1.世界的大地震
ポールジアマッティ演じる大学教授が地震の講義をしている。東日本大震災もスケールの大きい地震だったが、これまで一番大きかったのは1960年のチリ地震だったそうだ。マグニチュード9.5というのもすごい。何と11分揺れ続いていたそうだ。マグニチュード9.0の東日本大震災の時も長く揺れるなあと思っていたが、11分も強く揺れているとこの世も終りと思ってしまうだろう。ハワイのヒロ島に10mの津波が襲ったようだし、遠く離れた日本にもすごい津波が押し寄せ人命を奪ったのも有名だ。

この映画ではそれを超えるマグニチュード9.6の地震が西海岸エリアを襲うという設定だ。
ここで見せる映像の迫力はさすがハリウッド映画というべきものだ。


2.ポールジアマッティ
好きな俳優である。今回は地震の権威を演じる。まさに西海岸を舞台にした「サイドウェイ」のワイン好き国語教師役はうまかったし、その前後の「アメリカンスプレンダー」のオタク役「シンデレラマン」の鬼コーチ役も絶妙にうまい。特に鬼コーチ役あしたのジョーの丹下段平ばりの演技はすばらしかった。その後もずっと追いかけてきて、最近ではビーチボーイズのブライアンウィルソンを描いた「ラブ&マーシー」の精神科医役も彼ならではの味を出していた。


父親はなんとアイビーリーグの名門イェール大学の学長だというインテリ家系で本人もイェール大学出身である。こういう大学教授の役はDNAだけで演じられるかもしれない。

3.地震についてのツッコミ
ビルの倒壊
マグニチュード9.6のすごい地震なんだろうけど、ちょっとビル群壊れすぎじゃないの?古い建物ならいざ知らず、巨大といわれるロス地震をも経て造られたビルならいくらなんでもここまでの被害はないでしょう。911の時にビルが崩れ落ちたけど、あの場面を意識している。あれは突っ込んだ飛行機が強い熱をもっていたからでしょう。でもこのくらい大げさにしないと観客は喜ばないか


ビル10階以上まで津波があがるのかな?
東日本大震災でもっとも高いところまで押し寄せたのは、女川の笠見島で43Mだそうだ。通常のビルで階高平均3Mとして14階くらいかな?今回は津波を避けるためにサンフランシスコの坂を上っている。そこに建っているビルだから海抜で適度な高さだ。そのビルで12階から15階まで津波がくるのかな?アメリカの映画なので、綿密に裏付けをしているとは思うが、ちょっよ高いような気がするんだけど

(参考記事)
ワイルド・スピード SKY MISSION
ドウェイン・ジョンソンのド迫力


サイドウェイ
カリフォルニアを舞台にしたポールジアマッティの初期の名作


大地震
その昔のロス地震映画、当時は日本でも大ヒット
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映画「赤い玉」 奥田瑛二

2015-09-18 21:33:33 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「赤い玉」を映画館で見てきました。

奥田瑛二の不良オヤジ姿が妙に気になる。エロっぽさにあふれている気がしたので、見てみた。
離婚して2回目の独身を謳歌する映画専攻の大学教授が、はるかに年下の高校生の姿に翻弄されるという話だ。監督の高橋伴明は現在京都造形芸術大学の教授で映画を教えている。主人公の設定をある意味監督本人とかぶらせているので、今回は大学での教え子たちがかなりこの映画製作にからんでいる。そういう素人ぽさも見せるが、主演奥田瑛二と不二子の2人はきっちりプロの仕事をこなすので締まるところは締まっているという印象だ。


大学で映画撮影の教鞭をとりながらも、自らは新作映画の撮影に入れないでいる映画監督・時田修次(奥田瑛二)。“映画とは自らの経験が投影されるもの”と考えている時田は、まるで自分が映画の登場人物でもあるかのように、人生を流浪しているようにも見える。新作の脚本に取り掛かる時田の私生活には、唯(不二子)という愛人の存在が根を下ろしているが、その現実から虚構である映画の世界に誘うように、女子高生・律子(村上由規乃)が時田の前に現れる。
やがて、世界の境界さえも喪失してゆくように、いつしか律子の存在が時田の人生を狂わせて行く……。(作品情報より)

ムードはにっかつポルノって感じ。高橋監督が撮っているんだから、その匂いをさせるのは当然でしょう。
映画専攻の大学生の素人たちのふるまいがなんか冴えないなあと思う場面がずいぶんと目立った。主人公がはまっていく女もそれほどいい女ではない。もちろん目の前に現れたら、同じように一気に引き込まれるだろうけど。それでも京都を舞台にしたのは大正解で、ロケハンを丹念にしたと想像できる京都の街並みが映画に絡みつくセンスがよく、バックに流れる音楽も粋で映画のレベルをかなり高めている。




1.奥田瑛二
昨年娘2人の活躍がめだった。「0.5ミリ」「百円の恋」を自分も見に行ったが、いずれも昨年を代表する作品だと思う。それなのにオヤジはどうなのか気になってしまう。奥田が女性に人気最高だったのは昭和の最後の頃だったかもしれない。年齢を重ねた今もいい男で奥さんはさぞかしやきもきしてきたことだろう。


映画製作の指導ではときおり鋭いことも言うが、どちらかというと、かなりぼんくらな大学教授を演じる。妻子がいたのに離婚、別れた2人の面倒もちゃんと見てはいない。大学の事務員である不二子扮する唯の家にもぐり込んで生活している。脚本を書こうとしているが、すべて口述である。そんな主人公がある時ビビッとくる女子高生を見つける。ストーカー気味に後ろをつけていくとダンススタジオにたどり着く。そこでエキゾティックなダンスを踊るのだ。そんな女の子にはまっていくスケベ親父だけど、精子打ち止めの「赤い玉」が出てもおかしくないくらいエレクト能力は衰えているのであるが。。。

2.不二子
映画やテレビではよく見かける女性だけど、考えてみれば名前と一致していなかったかもしれない。
ここではいい味出していると思う。ヌード姿もスリムボディに形のいいバストで男をやる気にさせるナイスバディだ。奥田にくらみつく裸体の動きが活きのいい魚のようだ。今回は高校生を演じる女の子に関心を持って出かけたが、結果的には逆となってしまう。


主人公が勤務する大学の事務室職員だ。わけありで京都に流れてきて独身で一人住まい。ちゃっかり主人公がもぐり込んで来ている。女の一人住まいは男が住み着いちゃうものだ。かなり献心的に主人公に尽くす。どんなに自分勝手な男でもこういう女にはまるだろう。

3.高橋伴明と高橋恵子
関根恵子が結婚するというだけで、当時たいへんな話題になったものだ。それまでかなり大胆な私生活だったけど、結婚してからは悪いうわさはなくなった気がする。きっといい男なんだろう。ここでもセリフなしで出演したけど、あの独特なムードはいつになってもいい感じだ。

自分の仕事を今回の主人公に演じさせているので、脚本も作りやすかっただろうと思う。
でもこの役は奥田瑛二しかいないよね。まさにぴったりだ。


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映画「セックスチェック 第二の性」 緒方拳&安田道代

2015-09-09 21:30:04 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「セックスチェック 第二の性」は昭和43年(1968年)公開の大映映画だ。

男女両性の性器をもつ女子陸上選手とコーチがメキシコオリンピックをめざして苦闘する姿を描く。緒方拳と安田道代主演2人のきわだつ強烈な個性を増村保造監督が巧みに引きだした大映末期の傑作である。


宮路司郎(緒方拳)は、戦前100mの日本を代表するスプリンターであった。出場予定だった昭和15年の東京オリンピックは戦争で中止になってしまう。その後自堕落な生活をおくるようになり、昭和42年の今はバーホステスのヒモ暮らしだ。同じ時代に陸上選手として活躍した峰重正雄(滝田裕介)から、峰重が会社医をつとめる木下電気陸上部のコーチ就任を依頼される。勧誘されたその夜、久々に峰重宅で飲んでいたが、その昔思いを寄せていた峰重の妻・彰子(小川真由美)を夫が外出している隙に無理やり犯してしまう。宮路はその顛末を峰重に告白して陸上部の監督就任を断る。

ところが、帰り際何気なく見ていたバスケットボールの練習で、コーチに逆らうほど気の強い南雲ひろ子(安田道代)に才能を見いだしもう一度コーチをかって出る。宮路がコーチになるなら自分は退社すると言って峰重は木下電気を辞めた。

ひろ子を陸上部にスカウトした宮路は、同棲していたホステスと別れる。しかも、女を断つと宣言する。他の陸上部の選手を置き去りにしてひろ子だけを個別指導する。会社の寮に2人で住みつき、勝つために男性的にしようと「ひげ剃り」までさせて鍛え上げる。


猛練習の甲斐あって、練習で好タイムをだすようになる。宮路は旧知の日本陸上協会幹部にメキシコオリンピック候補として売り込む。最初は相手にされなかったが、記録会で日本記録まで0秒1にせまる11秒7の好記録を出して協会幹部が驚く。幹部はひろ子が男まさりなので念のため「性別チェック」をうけるように勧められる。担当医は峰重だった。
ひろ子は診断をためらっていたが、結果は女子競技出場には適さないという診断だった。宮路は峰重がうらんでそう診断したのかと憤慨するが、半陰陽で両方の性器も未熟だということがわかる。失意のひろ子は陸上部から去り伊豆の実家に帰る。しかし、宮路はひろ子の元へ向かい、ある行動に出るのであるが。。。

性同一障害の話はヒラリースワンク「ボーイズ・ドント・クライ」のアカデミー賞受賞以来取り上げられることが多くなった。でもその話とかなりちがう。
両方の性器が未熟でどっちつかずだというのだ。そうなると女性とは判断されない。
それだったら性的に「女にしてしまえ!」というのがこの映画の主旨である。

1.安田道代
現在も大楠道代の芸名でときおり映画に出演する。彼女の出演している作品にハズレはない。酒とタバコでかすれてしまったドスのきいた声で「赤目四十八瀧心中未遂」「人間失格」のようなやり手ババアの役を演じさせると天下一品だ。自分としては大映の映画館にあった壺ふり姐さんのポスター姿が印象的で小学生なのに安田道代が気になって仕方なかった。でもその時は残念ながらみていない。
こんな感じ(江波杏子と一緒)↓


向こう気が強くバスケットボール部のコーチから文句を言われたら、逆にやりかえして取っ組み合いだ。その男まさりの気質を見込んで緒方拳扮する宮路がスカウトする。当時23歳の安田道代は初々しさを残しながら男まさりな視線や言葉遣いを駆使する。しかも、スプリンターの役なので全速力で100M走を何度も走りぬく。田舎娘らしい荒々しさから転じて女を意識させる場面での対照的な美貌も魅力的だ。
それにしても大楠道代に100Mもう一度走らせてみたいなあ。

2.緒方拳
昭和40年「太閤記」の秀吉役で一気にスターになり、翌41年も「源義経」の弁慶役と2年連続でNHK大河ドラマに出演して国民的人気者だった。幼い自分もこの二作ではテレビにクギ付けになっていた。そのあとまもなく新国劇を退団したころの作品で、それまではほとんど映画には出ていない。
そののちの今村昌平監督「復讐するはわれにあり」の凶悪犯人役を思わせるワイルドな演技は称賛に値する。

かなり自分勝手な男である。安田道代演じる攻撃的なひろ子の姿を見て、緒方演じる宮路が自分と似たものを見出し、指導してあげたいと思う。でも他の選手にはまったく目もくれない。会社の上司から他の選手も指導しろと言われたら、オリンピックにでる選手をつくるのとどっちが大事かなんて言い張る。
宮路は「お前の奥さん犯しちゃったよ」なんて、もしやっても黙っていればいいことまであっけらかんと友人に話す。普通じゃありえないけど、この宮路はそういうがあってもおかしくない異常性を感じさせる男だ。まあ映画が終わるまでずっと我を通すことしかない。この性癖の見せ方は増村保造の演技指導もあったと思うが、緒方拳らしさが活かされ実にうまい。


3.寺内大吉
この映画の原作は寺内大吉「すぷりんたあ」である。自分が少年のころはキックボクシングの解説に出てくるベレー帽のおじさんという感じで、坊主兼作家なんてまったく思っていなかった。この間も小沢昭一「競輪行人行状記」を見たが、作家とはいえナンパ系坊主の匂いがプンプンするおもしろいオヤジだ。

映画では、主人公は昭和15年の東京オリンピックに出損なったという設定だ。逆算するとおおよそ大正の二桁生まれということだろう。寺内は大正11年生まれ、増村保造監督は大正13年生まれで主人公の年齢に近い。この映画は昭和43年公開だけど、1932年のロスオリンピックの時の日本応援歌を映画の中で歌わしたり、まだ戦時中を引きづっている設定が残る時代なんだろう。

4.池田一朗
脚本を担当するが、名前に見覚えがある。惜しまれて亡くなった作家の隆慶一郎なのだ。この人の時代小説は実におもしろい。「吉原御免状」を読んだ時はビックリした。吉原遊郭内部の話かと思ったら、奇想天外な発想でかつスケールが大きく一気に引き込まれる。この人すごいなあとしばらく追ったがあっという間に死んでしまった。旧制三高、東大出の秀才で立教の先生もやったあと脚本家になったおもしろい経歴だ。

現代の映画に比べれば、細かい点でアラも目立つが、この映画のもつエネルギーはすごい。

大島渚はこう言う。「日本の映画界でこのように鮮明に自分の方法を論理化して語った監督はいなかった。しかも、このように自覚された方法が具体的な作品で見事に映像化されていた。」増村保造を評する。
近代主義者の増村保造「生きる人間の意思と情熱だけを誇張的に描くことを目的としている」という。
まさにこの映画の2人の主役はその言葉にあてはまるよう描かれた人物だ。
後世に残る傑作といえる。

(参考作品)

セックス・チェック 第二の性
追いつめられた選手とコーチの異常な関係


痴人の愛
増村保造と安田道代のコンビ
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映画「おみおくりの作法」

2015-09-09 17:49:29 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「おみおくりの作法」は2015年日本公開の英国映画

孤独死した人を弔う民生係を描いた作品である。題名から日本映画「おくりびと」を想像してしまうが、主人公は葬儀屋ではなく公務員である。地味そうにみえて映画館には足を運ばなかったが、非常に繊細で胸にしみる映画であった。


ロンドンの南部ケニントン地区の民生係ジョン・メイ44歳(エディ・マーサン)はひとりきりで亡くなった人の葬儀を執り行うのが彼の仕事である。几帳面で、何事にもきちんとしているジョン・メイは、孤独死した人の家族を見つける努力を怠らない。彼らのためにしかるべき葬礼の音楽を選び、その人ごとに弔辞を書く。亡くなった人々の魂が、品位ある方法で眠りにつくのをきちんと見届けるのが彼の作法だった。

毎日同じ服を着て、遅れることなく仕事に行くジョン・メイ。まったく車が通らないような道であっても、渡る前には必ず左右確認。毎日同じ昼食をとり、帰宅すると同じメニューの夕食をとる。夕食後には、これまで弔った人々の写真をアルバムに収めるのが彼の日課だ。


ある日の朝、ジョン・メイの真向いのアパートで、ビリー・ストークという年配のアルコール中毒患者の遺体が見つかる。いつも亡くなった人の想いを汲み取り続けてきたジョン・メイだが、自分の住まいのすぐ近くでその人を知らぬままに孤独のうちに人が亡くなってしまった……。小さなショックを受けるジョン・メイ。さらに、その日の午後、ジョン・メイは解雇されることを言い渡される。「君は仕事に時間をかけすぎだ」。

こうして、ビリー・ストークの案件はジョン・メイの最後の仕事になった。これまで以上に仕事に情熱をかたむけるジョン・メイ。彼はビリー・ストークの部屋から古いアルバムを見つける。そこには、満面の笑みで笑う少女の写真が貼られていた。ジョン・メイは写真を手掛かりに、ロンドンを飛び出してイギリス中を回り、ビリーの細切れの人生のピースを組み立ててゆく……。(作品情報より)

1.孤独死した人の死後処理をする仕事
日本でも高齢化が進み、老人の孤独死がときおり話題になる。この主人公はまさに孤独死の人たちの死後処理を一手に引き受ける公務員だ。部屋の中に残された故人に関わりのある資料を手がかりに、親族や友人を探す。しかし、孤独死するくらいであるからみんな故人に関わりをもちたくないのである。それでも、主人公は葬儀に参列し弔辞を書く。1人しか参列しないこともよくある。寡黙で誠実な男でバカまじめといってもいい。どちらかというとまじめな日本人に多いタイプのような気がする。

2.最後の仕事
孤独死した人の葬儀を出してあげるだけでも費用がかかるし、遠くまで故人の身寄りを探すとなると交通費もかかる。経費過多と上層部がみなしても、それ自体はおかしなことではない。上司は時間をかけ過ぎだと解雇されてしまう。これはちょっと大胆かなという気もする。
最後の仕事は自分の身近でおきたことである。アル中男だったけど、残された少女の写真を見て、今まで以上に親身になって探してしまうのだ。英国中を探しまわり、元妻や娘、そして昔の友人にあう。誰もいい顔をしない。それでも主人公は地道に追っていく。


公務員が最後の仕事に執着するというのは黒澤明監督「生きる」に似たパターンだ。志村喬演じる区役所の職員が公園をつくろうと最後の力を振り絞って仕事をする姿は胸にしみる。志村扮する職員はがんに侵されているという設定だが、ここでは解雇での最後の仕事と設定は違う。でも両者には通じるものがある。

3.最後に向けてのどんでん返し(軽いネタバレだけど)
最後の仕事を情熱をもって成し遂げようとしつつあるとき、主人公は思わぬ災難にでくわす。孤独死で誰も立ち会わない葬儀にも出席してきた主人公には家庭の匂いが全くしなかったが、災難に出くわした時誰も面倒をみないとはちょっと悲しいなあと思ってしまう。
でも最後に奇跡が起きる。


人のためにしてあげたことは必ず返ってくると言わんばかりの持っていき方だった。
他人に尽くすことの大事さを改めて感じさせてくれただけでもこの映画を見た甲斐があった。ケビンコスナ―「フィールドオブドリームス」を見たときに感じた後味であった。

(参考作品)
おみおくりの作法
解雇された公務員の最後の仕事


生きる
がんに侵された役所職員が最後の力をしぼって仕事する。
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矢沢永吉2015東京ドーム参戦3

2015-09-06 15:48:40 | 矢沢永吉
オープニング一曲目に登場してもおかしくないレイニー・ウェイが流れる。
ここでも照明が効果的に視覚を刺激する。
グリーンのレーザービームが東京ドームの天井めがけてチカチカ光る。
どしゃ降りの雨の歌詞とロックの匂いが強いギターにはよく似合う。

ここでヤザワがバイクで会場を1周する。この演出もなんとも言えずしびれる。
最後一気にステージへバイクが駆けあがる時には観客から「オー!!」という声があがる。
その途中から「サイコーなROCK YOU!」のギターイントロがガンガン流れ、ヤザワがそれに合わせて歌う。
コンサート開始から時間もたって、ヤザワがクライマックスにめけて押し進んでいく。
いつものように、肌もあらわにした女性ダンサーたちがヤザワを取り囲んで踊る姿がかっこいい。

次のワン・ナイト・ショーに曲が変わるとアッと驚く演出が!!
なんと、ステージが宙に浮きアリーナの観客の上を移動するのである。
アリーナのお客さんは下からエーチャンを見上げるのだ。
もう!「ロックンロールに感謝」なんていつものセリフでノリノリになってくるヤザワ。
そしてアリーナの中心部にギタープレイヤーと一緒に移動してシャウトしまくる


移動先でまた一段高い位置にすっと上がる。
ヤザワ自身もここは高いねえなんていっている。
そこで情感を込めて歌う苦い涙はしみじみとしていい曲だ。

その後でディスコティックでは再びステージが宙に浮き観客の上を移動して元に戻る。
行ったきりになったらどうするんだろうなんて見ていた。
このステージ装置も凄いねえ。「ディスコティック」もそうだけど今回はアルバム「A DAY」の曲も多かったな。
「土曜日のディスコティック」で始まる歌詞はノリノリになれるが、これが発表された昭和51年はまだ「サタデイナイトフィーバー」以前で、ディスコは大学生などが集う健全な社交場になっていなかった。どちらかというと不良のたまり場的な遊び場だった。ある意味不良まっしぐらの少年たちにこの歌は受けまくったのだ。野暮で無邪気な70年代後半を象徴する歌といえる気がする。


次にメンバー紹介へ移ったが、安定したリズムを曲に与えるジョージ・ホーキンス、ガイ・アリソンの2人のメンバーの活躍が今回も目立ったし、昨年から加入したジェフコールマンのギターがヤザワの歌と引き技、押し技の応酬を繰り広げるのがすばらしい。柳を外して再起用とはたぶんヤザワも気に入っているんじゃないかな?

ニューグランドホテルでは逆に米川英之のリードギターが目立った。彼はC-C-Bの元メンバーだ。この横浜っぽい歌詞がなんとも言え素敵だ。そしていったん 逃亡者で締める。

アンコールがはじまり、最初曲名がわからなかったが、キャロルの 「ミスター・ギブソン」だということに気づく。これもコンサートで聞いたことがない。当時アルバムでは地味な歌だったけど、ずいぶんとうまい具合にアレンジしたなあ。
そしてトラベリン・バスだ。いつもながら「ルイジアナ」の声でアッと気がつくとトラバステープが飛ぶ。
観客たちも今度はタオル投げするのに準備万端で、みんなで「その日暮らしが。。。」と歌い込む声がドーム中に響く。


これで終わりかな?と思ったらバラードの雰囲気だ。
この「いつの日か」が本当によかった。白ではなく、グリーンの星屑が東京ドームの天井を埋め尽くす。
この瞬間こそ、ヤザワのコンサートに来て本当によかったと思える瞬間だ。

最後バラードで締めるのかと感じた観客がボチボチ帰りはじめていた。
自分もこれで最後と思っていたら、まだ間がもっている。場内照明が明るくならない。どうしたんだろう。

ヤザワはROCK IN DOME 2015 で最後まだやり残したようだ。
白スーツ&パナマ帽でさっそうと登場する。もしかしてもう一回Ha~Ha~やるの???そうだ!特別サービスに大興奮する。
帰りかけていた観客まで立ち止まる。
意表をついて2曲目に歌った「 止まらないHa~Ha~」がもう一度流れる。ヤザワがバラードで引き絞っていた手綱を放しきる
と、観客はいつものように「止まらない、離れない」とロック演歌を自ら歌い、タオル投げにわれを忘れる。二階席から見るタオル投げは実に壮観だ。すごいなあ!

最後のどんでん返しの伏線は最初の四分の一の段階で張るのが小説の鉄則とすれば、今日のヤザワは優秀な推理小説家のようだな。

でも困っちゃうなあ。
反省会をしながら今年本当にこれで終わりなの。なんとかオマケで年内やってほしいものだと思いながらタクシーに乗る。
さすがに前日の痛飲とは一変、静かに飲んだだけだった。

(参考作品)
ALL TIME BEST ALBUM
ROCK IN DOME 2015 と連動


EIKICHI YAZAWA 40th ANNIVERSARY LIVE 『BLUE SKY』
日産スタジアムのライブ
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矢沢永吉2015東京ドーム参戦2

2015-09-06 14:30:34 | 矢沢永吉
ゴールドラッシュで雰囲気を盛り上げたあとはロックンロール
ヤザワが何度もカモンと叫ぶBIG BEAT
今回ドームの選曲はALL TIME BEST ALBUM Ⅱ を意識している気がする。
BIG BEATもその一つだ。
そしてまた初期の歌に戻り「黒く塗りつぶせ」が流れる。
このあたりのノリはギンギンだ。


その後でヤザワがアコースティックギターを肩にかけ歌いだす。
未来をかさねては比較的最近のバラード系の傑作
「遠い夜空にまたたく星が」というメロディラインがきれいで自分は好きだ。
武道館で星屑のような灯りをバックにこの曲を歌った時は実によかったなあ。

次のMCに入るといきなり「未来をかさねて」の詩がいいよねという。
おれはふけていないよ。これからもふけないよ。と言い切る。
66歳になったけど、いったいいつまでやるんだろう。

三吉のアコースティックギターが入る。美しい音色だ。
ファーストアルバムから「安物の時計」だ。
「チッチ、チッチ」と歌いたくなる。
普通の歌手の歌であれば、最初のアレンジからこんなに大きく変わることはない。
ヤザワは進化している。他の歌もそうだが、初期のアレンジからどの歌も洗練させていく。これがヤザワの凄味だ。

アルバム「ゴールドラッシュ」からロックンロール「鎖を引きちぎれ」
これは実にワイルドな曲。元来のヤザワらしい荒々しさがニクイ。
スネイクのサックスも冴えている。
おなじみGET UP では歌詞にあわせて観客もノリまくる。
「ゲラゲラ」といって手をあげる調子だ。

ここで衣装チェンジとなり、コーラスとYOKOが間をつなぐ。
それにしてもバックバンドのレベルは今回実に高い。それぞれのソロを聞いているだけでもしびれる。
赤い服に着がえた後でMCへ


MCでは前回のコンサートでYOKOとデュエットをした話をしていた。
一度コンサートツアーをやめた時があって、その時は結局酒を飲んでばかりいて何も変わらなかったと言っている。
そうなんだよね。辞めてもらっては困るんだよ。今からじゃ遅いけど、来年は武道館復活させてよ。

このあとはALL TIME BEST ALBUM Ⅱに入っている選曲が続く。
世話がやけるぜのあとはファーストアルバムから恋の列車はリバプール発
ガイアリソンのキーボードがギンギンにきいたイントロがノリを高めるご機嫌なロックンロールだ。
例によって50代以上のオールドファンにとってはヤザワと一緒に歌えてしまうので楽しい。
ここでステージ後ろの大型スクリーンにアニメが映る。また、これが笑えてしまう。
これってモンキーパンチ製作「PURE GOLD」のPVだよね。ムチャクチャこの曲に合ってる!!


つづく初期の歌「最後の約束」がやさしい響きで、これがよかったと懐かしむ人が多いようだ。
その気持ちわかるなあ。色々ヤザワ自身の秘話があるようですねえ。
これもスネイクのサックスがきいている

MARIAが流れた後で末延のバイオリンにあわせて流れるのが LAHAINAだ。


今回の東京ドームコンサートROCK IN DOME 2015 では個人的には一番いいと思った。
日産スタジアムの時に夏の終りの季節感よく「棕櫚の影」をだしてきたが、ここでもその流れだなあ。
なんとも言えない胸にしみるバラードだ。
すばらしい!!

(続く)

(参考作品)
ALL TIME BEST ALBUM
東京ドームの選曲はこのアルバムを基調


EIKICHI YAZAWA 40th ANNIVERSARY LIVE 『BLUE SKY』
日産スタジアムのライブ
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矢沢永吉2015東京ドーム参戦1

2015-09-06 07:04:17 | 矢沢永吉
矢沢永吉2015東京ドームに参戦してきました。

年末恒例の武道館コンサートを今年はやらないという。そうすると、今年は東京ドームが最後になってしまう。
これはいくしかないだろう。


会場にいくと、たぶん全国からきているいつもながらのヤザワファンに加えて、なぜか子供がめだつ。
武道館ではあまり見ない光景だ。家族でディズニーランドにいく感覚なのであろうか?
入口では荷物検査はきっちりやっていたが、飲酒検問はめずらしくやっていなかった。
さすがにヤザワファンで酒飲んだら入れないのは知っているから、検問やっていなくても飲んでこないでしょう。

今回は2階席だけど、全体を見渡せてなかなかいい感じだ。
あちらこちらから恒例のエーチャンコールがすごいけど、ここまで広いと個別のお兄さんたちの声が混ぜ合わせて聞こえない。
ウェーヴを会場の中でやっているなあと思っているうちにいよいよ開演

スクリーンに矢沢が大型の車で乗り付けるシーンが流れたあと、真っ赤なアメ車のオープンカーが現れる。
矢沢の登場だ。
熱狂的なファンの声援に応えながら矢沢の車は会場内を一周する。

そして「RUN & RUN」でスタート
今回は照明設計が実に巧みで、我々の末梢神経を鋭く刺激する。
マイクスタンドを20代の時のようにビュンビュン振りまわす。ノッテるねえヤザワ
後ろのバックバンドにトシ柳がいない。若干メンバーが変わっている。
昨年いたジェフ・コールマンのギターが抜群にいい。

そしたら突然「止まらないHa~Ha~」だ。
これには意表を突かれた。
タオルを用意していない人もいるんじゃない。それでも会場の興奮は絶頂に。


続いてキャロルの曲「愛の叫び」
「恋しい君の名を呼べば、むなしい想い出」
中学生の時にこの曲はレコードがぐちゃぐちゃになるくらい聞いたけど、キャロル時代でなくヤザワのコンサートで聴いたのはじめてだなあ。
キャロルのバージョン↓
ウッチャンのギターいいよね。




懐かしいなあと思っていたらまたまたキャロル
「ファンキー・モンキー・ベイビー」で波状攻撃だ。
どうしちゃったの?!サービス精神旺盛じゃない。
誰もが知っている歌だけに会場内には観客の歌声が響く。


最初のMCだ。
「ようこそ」といつものように感謝の意を表してくれる。

「二発目にHa~Ha~をやるとは思っていなかったでしょ」確かに意表をつかれたなあ。
「ごめんなさい」とまで言っていた。

タオル投げヒストリーということで、最初ある会場で一部のファンがパラパラやるようになり、次の会場にに行っても同じようにファンがパラパラあげるようになる。これも悪くないなあと思っているうちに1年たつと「ドカーン」になると。
矢沢さん「タオル家で使っているんですか?」と聞かれるけど、本人なんで遠慮しているとのこと。
なるほど

5曲目にバラードに
「ゴールドラッシュ」だ。
この曲こんなにいい曲だったっけと思わせるバックの演奏だ。
今回は日本人のギターリスト米川も加わるが、なんせジェフ・コールマンのギターが超しびれる。

(続く)

(参考作品)
ALL TIME BEST ALBUM
ROCK IN DOME 2015 と連動


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日産スタジアムのライブ
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映画「ギリシャに消えた嘘」 ヴィゴ・モーテンセン&キルスティンダンスト

2015-09-06 06:06:17 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ギリシャに消えた嘘」は2015年日本公開のサスペンス映画だ。

公開当時仕事多忙で見に行けなかった映画の1つだ。「太陽がいっぱい」「見知らぬ乗客」という映画史に残るサスペンスの原作者パトリシア・ハイスミスの作品と聞けば、見てみたくなる人は多いだろう。題名から連想して地味系の欧州映画と連想してしまったのは軽率だった。帽子をかぶった主人公の顔をみてヴィゴ・モーテンセンと気づかなかったし、キルスティンダンストも洗練された女の雰囲気でポスターからは想像がつかない。


自分が一度も行ったことのないギリシャでのロケが中心で、遺跡をバックに出演者の服装も粋でバックの音楽が情感を高める。
見てみるとなかなかセンスのいい映画だ。

1962年。ギリシャのアテネでツアーガイドをしているアメリカ人青年ライダル・キーナー(オスカー・アイザック)は、パルテノン神殿を訪れた際、優雅な装いのアメリカ人夫婦、チェスター・マクファーランド(ヴィゴ・モーテンセン)と若く美しいその妻コレット(キルステン・ダンスト)と知り合う。


コレットの依頼でガイドを引き受けたライダルは、夫妻と夕食を共にして、楽しいひと時を過ごす。その夜、夫妻の元へ1人の探偵が訪ねてくる。チェスターは、ニューヨークで裏社会の連中を相手に投資詐欺を働き、大金を奪って逃亡中だったのだ。揉み合いの最中、誤って探偵を殺害してしまったチェスターは、偶然ホテルにいたライダルに嘘をつき、協力を要請。やむなくライダルは偽造パスポートの制作を知人に依頼し、後日、クレタ島で受け取る段取りを整える。


アテネを脱出し、船とバスを乗り継いでクレタ島に向かう途中で身の上話を語り合う3人。しかし、親しげにコレットと接するライダルに嫉妬の炎を燃やしたチェスターは、次第に酒を飲んで粗暴な言動を繰り返すようになってゆく。一方、ラジオのニュースでチェスターが探偵を殺害した事実を知ったライダルは、正当防衛が認められるからと自首を勧めるが、相手にされない。逃亡を助けて共犯者となったライダルも、既に後戻りできない。夫婦を殺人容疑で指名手配した警察が大規模な捜査を開始しているようだが。。。

1.ヴィゴ・モーテンセン
「ヒストリーオブバイオレンス」で演じた裏社会から堅気に変貌しようとした影のある男が最も印象深い。死んだ双子の兄弟になりすました1人2役で演じるアルゼンチン映画「偽りの人生」もよくできている。
サマースーツが似合う紳士で顔がバタ臭い。ヴィゴだと気づかなかった。


裏社会の男たちを相手に投資詐欺をやったら、ただじゃ済まないだろう。こういう時のマフィアにしろヤクザにしろメンツをかけて徹底的に追う。ニューヨークから遠く離れたギリシャにいても追手の探偵は見つけてしまう。しかし、探偵は功を急ぎすぎてヴィゴにやられてしまう。正当防衛だけど、取り調べを受ければ、姿を隠して逃げまくっている自分の正体もばれてしまう。とっさにガイドの手を借りて探偵の部屋へ死体を運ぶのだ。しかも、その場でホテルから脱出する。ここから逃走劇がはじまるのだ。

2.キルスティンダンスト
「スパイダーマン」のヒロイン役が出世作だけど、ソフィアコッポラ監督「マリーアントワネット」も新婚早々のかわいい姿が中心の演技だったのでかわいいイメージがこびりついている。彼女も一瞬気がつかなかった。


30代をすぎて少し色っぽくなったのかもしれない。下着姿が妖艶である。

3.パトリシア・ハイスミス
「見知らぬ乗客」は戦後のヒッチコックでは代表作の1つ。交換殺人を持ちかけられたテニスプレイヤーを窮地に陥らせるスリリングな展開が痛快で、最後のメリーゴーランドのシーンを最初に見たときはびっくりした。ルネ・クレマン監督アランドロン主演の「太陽がいっぱい」は、アランドロンの姿がかっこいいので、自分が少年時代は下敷きの中にこの写真を入れている女の子がいっぱいいた。でも、映画はその写真のイメージとは裏腹でドロドロしているし、本当の最後に悪巧みがわかってしまうのがミソ。

いずれも、犯人をあてるというよりも、悪さをした犯人が逃げ切れるかに焦点があてられる。「ギリシャに消えた嘘」もそういった意味では同じかもしれない。最近は悪さをしても逃げ切れる脚本が時折あるので、映画の最後までひやひやするが、パトリシア・ハイスミスの原作だと、一時代前の作品なので、結局つかまってしまうんだろうなあと自分は読みすぎてしまう。


4.アルベルト・イグレシアス
流れている音楽のタッチが不安を増長させるなかなかいけるものだ。何か違うなあと思っていたらアルベルト・イグレシアスの作曲だとわかる。スペインのペドロアルモドバル作品でエキゾティックな音楽を奏でている。こういう情熱的な音がギリシャの美しい景色をバックに流れるのはいい。風景の力と音楽の力がかみ合っている。

(参考作品)
ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヴィゴ・モーテンセンがカッコよすぎ


見知らぬ乗客
パトリシア・ハイスミス原作でヒッチコックの演出が冴える。
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映画「サニー 永遠の仲間たち 」

2015-09-02 09:03:28 | 映画(韓国映画)
映画「サニー 永遠の仲間たち 」は2011年の韓国映画だ。

dvdショップで見かけていたけど、あまりご縁がない映画と思っていた。たまたま「怪しい彼女」に出ていたシム・ウンギョンが出ているという情報だけで、見てみたら意外にいける作品だった。


高校生の娘のいる平凡な主婦が、母親が入院している病院で高校時代の仲間に偶然出くわす。彼女ががんに侵されていることを知り、あわてて高校時代の仲間の消息を探しに行く過程を、高校時代の回想シーンを交えて描く。題名にある「サニー」は懐かしいR&Bの名曲。ボビーへブの原曲を父が大好きで、つられてボニ―Mのディスコ版もカセットに入れて車でよく聴いていただけに懐かしい。

優しい夫と高校生の娘に恵まれ、何不自由ない日々を送りながらも、どこか物足りなさも感じていた専業主婦のナミ。ある日、母の見舞いに行った病院で高校時代の親友チュナと再会する。彼女は、田舎から転校してきたばかりでイジメられそうになっていたナミを助けてくれた恩人。ナミはチュナがリーダーを務める仲良しグループ“サニー”の7人目のメンバーに迎えられ、永遠の友情を誓い合ったのだった。

それから25年、チュナはガンで余命2ヵ月となっていた。ナミは“死ぬ前にもう一度だけサニーの仲間たちと会いたい”というチュナの願いを聞き入れ、ある事件がきっかけで音信不通となっていた仲間たちの消息を調べるため、輝かしい青春時代を過ごした母校へと向かうのだったが…。




同窓会で再会して新たな恋がなんてパターンの話はときおり見かけるが、この映画はちょっと違う。特に女性が中心の話になると、金まわりのいい家庭へのそうでない家庭からの嫉妬話が中心になる。ここでもそれに近い部分はあるけど、25年前の高校時代を描く部分が鮮烈でずいぶんとちがう。

7人それぞれのキャラに個性があって実におもしろい。
親分格の長身のチュナがカッコいいし、いじめっ子がいかにもワルに徹底しているのが韓国らしい。
懐かしのメンバーでステップダンスを踊る「サニー」も抜群にいいが、ソフィーマルソーの出世作「ラブーム」のテーマ曲がナミが恋する場面で効果的に流れる。挿入歌の使い方が上手な映画だ。


印象に残ったシーン1
スケ番少女が自分の縄張りを確保するために、他の少女と対決するなんてシーンは日本の映画にも以前はあった。韓国版の女子高校生の抗争がここでは語られる。人の立ち寄らない場所に呼び出し、集団でケンカをする場面だ。それも普通の少女たちがにらみ合う。こういう少女同士のケンカって、日本の高校で、実際にあったのであろうか?自分は男だけにどうしてもピンとこない。こういう回顧談を取り上げるところは、暴力好きの韓国らしい気がする。
味方は↓


敵のグループはこんな感じ↓


印象に残ったシーン2
主人公のナミには高校生の娘がいる。ふとしたことからナミは他の女子高校生たちから娘が陰湿にいじめられているところを目撃してしまう。娘は母親には言えなかったのだ。そこでナミは再会した昔の友人たちをつれて、娘をいじめた女子高校生のグループへ仕返しにいく。中年のオバサンたちがつるんで蹴りを飛ばしたりするのだ。通報で警察が来てつかまってしまうが、さっぱりとした顔をしている。これも凄いシーンだ。さすがにこの復讐パターンは日本映画その他で見たことがない。


こんな話があったら、相手の親や学校が黙っていないだろうし、下手をすると娘の退学処分になる。テレビのワイドショーで取り上げられてもおかしくないよね。でも笑える。

印象に残ったシーン3
高校時代のナミは田舎から出てきたばかりで、方言丸出しだ。グループの中にはドンくさいナミに反発している女の子スジ(ミン・ヒョンロン)もいる。ナミは何で自分にだけ冷たくするの?と気になってそのスジの家にいく。するとお母さんが出てきてナミを大歓迎するのだ。お母さんは後妻だ。後妻とナミが同郷なので義母は大歓迎するが、娘スジは逆にそれがいやなのだ。いかにも意地悪い女らしい話だ。

追っ払おうとするスジだが、ナミを近場の屋台へ誘う。最初は飲めないというナミは恐る恐る韓国版オチョコで酒を飲むが、気がつくと泥酔。2人で飲みながら語り合う。このシーンが好きだ。ちょっと違うが、こんなスタイルで友達と高校生の時自分もよく飲んだなあ。


どんよりとした日本の屋台とは違って黄色や赤の韓国流原色カラーで非常に派手だ。2人が酔って語り合うここでの屋台の風貌が印象的で脳裏に残る。

(参考作品)
サニー 永遠の仲間たち
韓国のおばさんたちの回顧物語
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