スタートは映画「OUT」に似ている。元夫に付きまとわれる松雪泰子母子が元夫を殺してしまうところからスタートする。どうしようかとあわてる母子のもとへ隣の家の堤真一が訪れる。堤は高校の数学教師であり、松雪の経営する弁当屋に弁当を買いに行く常連。場面は変わって、元夫の死体が発見される。夫婦だった松雪のところにも刑事が訪ねてくる。その状況をいつものように刑事柴咲コウが湯川博士こと福山雅治に相談する。話を聞いていて松雪の隣家の住人堤が福山の大学の同窓の「数学の天才」であることに気づくが。。。。
物理や数学を取り入れて、推理を積み上げていく。堤は松雪を守るために論理的にアリバイを組み立て、福山はそれを懸命に崩そうとする。単純な勘だけで積み上げていかないところが、面白さを増幅している。原作にもあった言葉だが、「幾何の問題と見せかけて、実は関数の問題だった。」というような単純な引っかけ問題を作るといっている。これってあるかしら?古典的な幾何の証明で解くよりも、座標を使った解析幾何的に解く方がやりやすい。またはその逆というのはある気がする。行列の問題を解いているつもりが、気が付いてみると三角関数tanの基本式に当てはまって、結局円の軌跡を書くのが最終目標だった。なんて問題は昔やった覚えがある。でも幾何が関数?の問題ってあるのかしら?三角関数というとあるのかな?
福山雅治は実にのびのびと演技している。いい家の出身で、大学院博士課程までお金の苦労なく勉強させてもらって、かっこよくて、本当の意味で頭がいい。こういう奴って現実にいると思う。また彼のキャラがそういうノリにぴったりだ。きっと医者を演じさせてもうまいと思う。俳優としてもすばらしい。
堤真一もがんばっているが、ミスキャストのような気がする。堤の役にぴったりという現存人物にこれまでの人生でずいぶんと出会った。単なる努力家というだけでない。むしろ本当に「ボー」とした奴なのである。いざとなると、自分なりの設計図を組み立ててあっと驚くようなことをする。そういう奴は堤くんとちょっとイメージ違う。あとはそれなりだ。キャスティングは悪くはない。松雪泰子も年齢なりの役がこなせるようになってきた。傑作とまでは言わないが、それなりには楽しめた。