映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

容疑者Xの献身  福山雅治

2009-06-30 22:11:17 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
物理学者湯川が殺人事件のなぞを解いていく。今回は重要容疑者の隣家に住む人物が、湯川の昔の仲間であった。その二人の対決とされるが、迷彩をちりばめながら最終結論に導く。福山雅治は彼自身のカラーを前面に出して、のびのびと演技している。

スタートは映画「OUT」に似ている。元夫に付きまとわれる松雪泰子母子が元夫を殺してしまうところからスタートする。どうしようかとあわてる母子のもとへ隣の家の堤真一が訪れる。堤は高校の数学教師であり、松雪の経営する弁当屋に弁当を買いに行く常連。場面は変わって、元夫の死体が発見される。夫婦だった松雪のところにも刑事が訪ねてくる。その状況をいつものように刑事柴咲コウが湯川博士こと福山雅治に相談する。話を聞いていて松雪の隣家の住人堤が福山の大学の同窓の「数学の天才」であることに気づくが。。。。

物理や数学を取り入れて、推理を積み上げていく。堤は松雪を守るために論理的にアリバイを組み立て、福山はそれを懸命に崩そうとする。単純な勘だけで積み上げていかないところが、面白さを増幅している。原作にもあった言葉だが、「幾何の問題と見せかけて、実は関数の問題だった。」というような単純な引っかけ問題を作るといっている。これってあるかしら?古典的な幾何の証明で解くよりも、座標を使った解析幾何的に解く方がやりやすい。またはその逆というのはある気がする。行列の問題を解いているつもりが、気が付いてみると三角関数tanの基本式に当てはまって、結局円の軌跡を書くのが最終目標だった。なんて問題は昔やった覚えがある。でも幾何が関数?の問題ってあるのかしら?三角関数というとあるのかな?

福山雅治は実にのびのびと演技している。いい家の出身で、大学院博士課程までお金の苦労なく勉強させてもらって、かっこよくて、本当の意味で頭がいい。こういう奴って現実にいると思う。また彼のキャラがそういうノリにぴったりだ。きっと医者を演じさせてもうまいと思う。俳優としてもすばらしい。
堤真一
もがんばっているが、ミスキャストのような気がする。堤の役にぴったりという現存人物にこれまでの人生でずいぶんと出会った。単なる努力家というだけでない。むしろ本当に「ボー」とした奴なのである。いざとなると、自分なりの設計図を組み立ててあっと驚くようなことをする。そういう奴は堤くんとちょっとイメージ違う。あとはそれなりだ。キャスティングは悪くはない。松雪泰子も年齢なりの役がこなせるようになってきた。傑作とまでは言わないが、それなりには楽しめた。
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ジェインオースティンの読書会  マリアベロ

2009-06-29 21:10:59 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
さまざまな境遇にある5人の男性と1人の女性によるジェインオースティンの読書会を開く。代わる代わるホストになり課題図書を選んで、ディスカッションの場を持つ。現代アメリカの姿が浮き彫りになる画像が良い。

年齢層がバラバラ。夫婦関係がうまくいかず、夫に飛び出される妻。その娘で歳若いレズビアンの女性。子供のいない夫婦なのに夫が勝手なことをしてばかりで不満を示すフランス語教師。フレッドアステアとも付き合いがあったというのが自慢の結婚6回を重ねた老婦人。ITバブルはじけて派遣社員の男。そしてメインになるのはマリアベロ、40代の独身である。
男性的な見方からすると、この映画でマリアベロの出すオーラが非常に素晴らしい。ちょっぴりインテリで、恋も重ねたけれどなぜか独身といったところだろうか?彼女の魅力にノックアウトである。あとはエミリーブラントである。フランス語の教師なのに一度もフランスに行ったことがのがコンプレックスで、旦那に盛んにフランスに行こうといっているが聞く耳も持たない。そんな中、若い往年のディカプリオのような美少年と恋に落ちる。女性陣はうらやましがるのでは?24才と若さの絶頂の彼女も素敵である。しかし、マリアベロにはかなわない。
映画的にはそんなにいい映画とは思わないが、BGM的に見ているといいかもしれない。独りよがりの自分には読書会は合わないけど、こういう仲間と楽しんで見たい気がする。
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映画「父、帰る」

2009-06-28 19:16:57 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)

12年ぶりに帰った父親とのふれあいに戸惑う兄と弟の姿を描くロシア映画。日本でいえば小学校高学年から中学生くらいの思春期の男の子の感情の起伏を巧みに描いている。水の映し方が非常にうまい撮影がよく、画像の美しさも映画の価値を大きく押し上げる。

 刑務所にでも行っていたのであろうか?12年ぶりに父親が母親と暮らす二人の兄弟の元に戻ってくる。写真に出ている父と顔は同じであり、間違いはない。でも戸惑いがある。父親の態度が高圧的だ。その父と一緒に釣りドライブに出る。海といってもおかしくない湖である。その湖にある島に嵐の中3人でわたるが。。。。

海かと最初は思ったが、舞台になったのはラドガ湖という湖のようだ。シカゴの町のそばにミシガン湖がある。地図上では五大湖の一つと地理の時間で習ったが、対岸はまったく見えない。日本の湖の感覚とは違う。なんせ世界最大の湖カスピ海のある国である。ラドガ湖は日本の四国より少し小さいくらい。その湖をとらえる画像が非常に美しい。何日もそのアングルを撮るのにベストの天候を待ったのではなかろうかと思わせる美しい画像が続く。
若い二人の演技がうまい。感情の起伏が激しくかなり難しい役である。ストーリーもそのうまい彼らの演技に合わせるように起伏をつくる。後味が良くない部分もある。でも映画としてのレベルは非常に高い。

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マイケルが死んだ翌日

2009-06-28 07:26:34 | Weblog
朝から車で各部署を走って廻った。車の中でFMがずっとマイケルを流していた。チャンネルを変えると、どこかで流れていた。人が死ぬショックというならジョンレノンの方がショックだったが、今回は同世代なので、自分の健康と照らし合わせるということがあり、大きく違う。

今月は酒も飲みに行っていない。数えたら4日だけである。家ではイベント時以外は酒を飲まないので、アルコール分が抜けているのであろう。

今月は仕事の数字もまとまりそうで、どこかしら上昇機運が流れている。昇給もこの景気にしては予想以上にあった。ボーナスは下がるだろうが、給料下がらなくて良かった。
家では娘の期末試験の勉強を手伝っている。非常に変則的で金曜と月曜日に試験がある。試験一日目の話はするな!というのに妻と娘で二人で理科の話をしている。止めろといっても聞かない。「やるな」と言うとやりたがる気質は誰に似たのか?中間テストに比較すると、理科の難易度が上がったので、前みたいに90後半の点数は無理であろう。中学生の彼女にまだ先は長い。親の方は毎月の業績のよしあしでアップダウンの繰り返しである。長い人生の間ではどうでもいいことだよとはいっているが、気になるものは気になるようだ。

映画もちゃんと見ていない。DVD見ると娘の気が散るので、音楽中心にしている。レッドフォード「普通の人々」みたけど、そんなに好きになれなかったなあ。
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マイケルジャクソン お疲れさん

2009-06-27 06:39:45 | 音楽

昨日朝会社に行こうとしたら、マイケルが呼吸のないまま病院に運ばれたというニュースが流れていた。驚いた。そしてまもなく死亡が伝えられた。同世代としては、ショックである。奇怪な行動が全世界の注目を浴びていた。その注目も皆が彼を愛していたからだと思う。

手元の資料ではジャクソン5全米ヒットチャートno.1に最初になったのは、1970年の1月である。日本題「帰ってほしいの」。その前後がポールニューマンとロバートレッドフォードの映画「明日に向かって撃て」の主題歌「雨にぬれても」と何度もいろんな歌手に歌われた「ヴィーナス」の両曲である。次の「ABC」がヒットチャートNO.1になったとき破ったのはビートルズの「レットイットビー」である。その前のNO.1が「明日に架ける橋」と超有名曲が続く。
そういう並みいる名曲を破って全米NO.1を、日本でいうと小学生の時に勝ち取ってから、ざっと40年近く活躍してきたことになる。本当に良くがんばったと思う。 結局は4曲でトップの連勝記録は途絶えたが、5曲目の「NEVER CAN SAY GOOD BYE」がすきだった。個人的にはそのあたりから彼らを注目するようになる。

 声変わりも経験して、彼の活躍が顕著になるのは「オフザウォール」からであろう。クインシージョーンズとの出会いは彼にとっては大きかったと思う。ディスコ大全盛の時代であったが、彼は非常に光っていた。
そして世紀の傑作「スリラー」はレコードが擦り切れるほど聴いたし、車の中でも聴きまくった。これを聴きながら首都高を走るのがすきだった。「スリラー」のプロモーションフィルムのマイケルを想像して、聴いているとスピードが加速された。 死んだ父も好きだった。親父にもあの世で聴いてほしい。そしてあの世で「スリラー」のダンスを見せてやってほしい。

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富田勲  惑星

2009-06-25 19:22:41 | 音楽

disc union の片隅に500円以下で売られていた。これは安すぎる。これも自宅にレコードがある。すぐかって聴いた。いやー完成度が高い。富田勲にしばしはまりそうだ。
音楽家富田勲は大学は慶応文学部で音楽大学の出身ではない。しかし、NHKの大河ドラマや名曲と言われる「新日本紀行」の主題歌の作曲でその名を知られていた。その彼がシンセサーザーの音にはまった。少年時代の自分も富田の音を聞いて大きく衝撃を受けたものだった。
ホルスト「惑星」自体は中学の友人に教わって初めて聴いた。カラヤン指揮のオーケストラ版レコードは擦り切れるほど聴きまくった。最近ヒット曲になった「ジュピター」の躍動感あるスタートが大好きだった。あとは神秘的な海王星に惹かれた。そんな時、富田勲が「惑星」をやるということで真っ先に買った。シンセサイザーと宇宙のムードは相性がいい。原曲のオーケストラを宇宙のムード音楽に変えたところが良かった。
これが今の自分にすんなり入ってくる。どうも心に傷があるのであろうか?「金星」の優しい音楽がヒーリングミュージックのように心をいやす。

ホルスト「惑星」を教えてくれた中学の同級生にあらためて感謝!彼は中学3年のときに初めて一緒のクラスになった。中学1,2年のときから秀才と言われていた。クラスが一緒になったとき、彼がすさまじい音楽の才能を持っていることを知った。最近盲目のピアニストのことで大騒ぎだが、彼も一度耳で聞いた音楽をすぐピアノで弾いてくれた。一般にはこの技能ができる人はいるのかもしれないけど、はじめて見た自分には衝撃だった。それから会社に入るくらいまで、私の自宅で彼にピアノを弾いてもらった。
彼は天才であった。中学卒業後同じ高校にすすんだ。高校に入って2年まではあまり勉強をしていなかった。成績も良くなかったようだ。自宅が個人商店を営んでおり、その跡継ぎのために大阪に丁稚奉公に出されるとまで言っていた。それはいやだったらしい。現役合格前提に勉強を始めた。もともと天才肌の彼であるから、みるみるうちに成績が良くなった。もっと別の道もありそうだが、彼は商売の道へ進むため経済学部か商学部を目指した。それについては自分も大きく影響受けた。
第一希望慶応経済で結局英、数、社以外は勉強しなかった。「現役以外はない。」と担任に言ったら、「お前の学力で現役ならN大とかも受けないとダメだよ」と言われていた。いつもボーとしていた彼の評価は低かった。担任には彼の才能が見抜けなかったのだ。現役前提にかなりの学校を受験させられた。本番は早慶含め連戦連勝であった。国語、理科は全く勉強していなかったのに最終一橋まで受かった。あの時、仮に東大受けていても通ったと思う。実際東大の入試問題を解かせたらすいすい解いた。定石といわれる問題だけでなく、未知の問題に対する感性がすごかった。要は天才なのである。

天才は努力の結晶とか言うけれど、私は根っから「天才」に値する人はいると思う。頭のいい人には社会でてからもずいぶんと出会った。それだけでなく、高校の同じクラスに学年トップで東大院から旧帝大の教授になったやつや東大在学中に司法試験合格の女性など頭のいい女性がいた。でも彼ほどの天才気質はない。その彼は一橋卒業後大企業とはいえない某流通系の会社に就職したあと、すぐに家を継ぐ道を選んだ。人との交渉がうまいわけではない。天才の才能が生かされていない。そういう人もいるのであろう。才能ってどこに隠れているのかわからない。その彼を「惑星」を聞きながら思い出した。
話が脱線した。富田勲も天才というべき才能を感じる。シンセサイザーを操るためにものすごい苦労したと聞くが、この感性はやはり天才なのであろう。

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鍵  市川昆

2009-06-24 22:25:07 | 映画(日本 昭和35年~49年)
市川昆監督による谷崎潤一郎原作の映画化。若干変態気味の親父役は中村雁治郎得意の役。その妻が京マチ子。いつもよりも強烈なメイクで気味が悪い。ぎりぎりの裸の表現とかこの当時としてはどぎつい表現だったのではないかな。。

大学教授の夫婦に中村雁治郎、京マチ子夫婦。娘に叶順子と彼女の恋人である医者のインターンが仲代達也である。京都のアッパー層を描く同じような作品はよくあるパターン。一言でいうと、中村雁治郎が娘の恋人仲代に自分の妻をくっつけてしまうことで刺激を得ようとしている変態じみている話。それを娘も知って困惑すると同時に四角関係に身を落とす不思議な世界に飛び込んでいく。
雁治郎も京マチ子もうまい。同じころ雁治郎と京マチ子で小津安二郎「浮草」というすごい傑作がある。でもこれはおもしろくないなあ。宮川一夫のカメラワークもあまりいかされている感じがしない。
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ムーディーブルース  童夢

2009-06-23 22:52:02 | 音楽
仕事が比較的上向きになってきた。いい知らせが続いている。このまま行ってほしい。娘の期末テストも近づき、少しづつ追い上げにかかっている。映画を見るのも娘と勉強しているのに悪い気がする。

気持ちをやわらげるのは70年代の音楽を聴くのが良い。
レコードプレイヤーがおかしくなって、自宅のレコードが聞けないのが残念だけど、プレイヤーをなかなか買う気になれない。擦り切れるほど聴いた中に「ムーディーブルース」がある。先日ディスクユニオンで中古CD買う際に思わず手に取った。家にあるのに「童夢」買ってしまう。

プログレッシブロックとも言われた。「ピンクフロイド」「キングクリムゾン」と比べると最近まったくうわさを聞かない。でもこうやって38年たったアルバムを聴いてみると、まったく色あせずに聴ける。すばらしい!
トータルアルバムである。1曲目から最後までつながっているようだ。作曲者がそれぞれ違っているのに、よくもまあ同じ流れになるものだ。2曲目の「ストーリーインユアアイズ」がヒットしたし、当時深夜放送でずいぶんと流れたものだ。でもこの曲がすべてという訳ではない。
テクニックで売るわけでもない。何がいいかと言われると根本に流れる「やさしさ」であろう。メンバーがかわるがわるに歌っているがどの声も優しい。流れるムードもやさしい。

「サテンの夜」をもう一度聴きなおしてみよう。
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愛と喝采の日々  シャーリーマクレーン

2009-06-23 17:15:18 | 映画(洋画 89年以前)
シャーリー・マクレーンとアン・バンクロフトの2大女優による女の友情の映画。バレエーダンサーとして当時絶頂だったミハイル・バリシニコフも超絶的なバレエーを見せ、バレエーの場面も充実している。

シャーリーマクレーン
アンバンクロフトは20年前プリマドンナの座を争ったバレエーダンサーであった。シャーリーマクレーンは夫と3人の子供を持ち、ボルチモアに住んでいる。長女のレスリーブラウンは一流のバレリーナを目指している。一方のアンバンクロフトは相変わらずバレリーナとして活躍しているが、年齢的にも限界が来ていて、演出家とも合わないこともある。その二人が再会する。アンはシャーリーの娘を見て、新作のバレエー作品のプリマドンナに推薦する。シャーリー母娘は、ニューヨークに行く。そして娘はバレエーのスターミハイル・バリシニコフと共演することになり、アンからもアドバイスを受けるようになるが、昔のライバルであるシャーリーはどこかアンが気に入らない。。。。。

単に女の友情だけにとどまらないところがすごい。シャーリーとアンはまさに熱演。久々の再会の場面は旧交を深めるだけだったが、次第に熱を帯びてくる。大スター同士ではあまり見られないようなすさまじい葛藤の場面もある。シャーリーはいかにも普通のアメリカの中年の体型で、元プリマドンナには見えない。逆にアンバンクロフトは極度にスマートでいかにもバレリーナだが、ちょっと年とりすぎの印象。この当時で47歳くらいだと思う。英語元題「ターニングポイント」がやはり適切な題名であろう。アンバンクロフトというと何よりも「卒業」のミセスロビンソン役の誘惑の目つきが印象的。ここでも同じようなドキッとする目つきを見せる。

世紀の亡命バレエーダンサーであるミハイル・バリシニコフのダンスが見られるのが、何よりのこの映画の見所であろう。当時彼の亡命は冷戦下のアメリカとソビエトの関係の中で象徴的な存在であった。大学のときの英書購読の時間に、バリシニコフのことを扱った時事英語を読んだ記憶がある。そこではアメリカがかなり強烈な歓迎で彼を迎えたと書いてあった気がする。それにしてもすごい踊りだ。オリンピックの体操競技で超絶的な演技を見るのと同じ印象だ。全盛期の彼の画像を見るだけでも価値のある映画だと思う。

アルトマン監督の「バレエーカンパニー」は登場人物がたくさんいて、意図的に特定のダンサーに絞らない匂いがあった。今回は二人の巨頭に加えて、バレエー場面ではバリシニコフとレスリーブラウンに絞る。この方がわかりやすくて私には良かった。
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いつか読書する日  田中裕子

2009-06-22 05:08:20 | 映画(自分好みベスト100)
ここ10年の邦画では間違いなくベスト5に入る傑作だ。

田中裕子が50歳の独身女性を演じる。青春時代に想いあっていた二人が、知らん顔をしながらずっと同じ街で暮らしていく。明るい笑顔をいつも振りまく田中裕子が能面のような無機質な顔をする。脚本がよく、坂の多い街並みを映す撮影も美しい。田中裕子の動きも躍動的で映画を盛り上げる。

田中裕子スーパーで働く独身女性。朝の牛乳配達を16年以上も続けている。坂の多い街なので普通よりもたいへんだ。町を出て行く人たちが多いが、一生この町で暮らしていきたいと思っている。岸部一徳はその町の児童課の課長。妻仁科亜希子末期がんにかかり、もう長くない状態である。田中と岸部は学生時代付き合ってお互い思いを寄せていた。ところが、未亡人であった田中の母と岸部の父が不倫をしていた。二人は自転車の二人乗りをしているときに交通事故にあい亡くなった。それを機として、お互い口を利かなくなっていたが。。。。。


実にうまいストーリー立てだ。それに加えて映像が素晴らしい。架空の街西東市とするが、道が細い坂の画像から最初から長崎がロケ地と想像できた。ただ、このカメラワークはこの街を熟知していないと映せない高度なカメラワークだと思う。ルーティーンのような牛乳配達のシーンも坂道を走る田中裕子の軽快な動きを絶妙に映す


田中裕子しけた女を好演する。色気はない。スーパーのレジ係と牛乳配達をずっと続ける単調な日々だ。村上春樹の小説「ノルウェイの森」「国境の南太陽の西」無表情の女性というのがでてくる。村上のイメージした無機質な顔ってこの映画の田中裕子の顔のようなのじゃないであろうか?そんな彼女が突然表情を変える。映画がスタートして1時間半たったときだ。これは田中裕子の顔だ。たとえば高倉健主演「夜叉」あたりと比較するとおもしろい。

田中裕子の旦那ジュリーの昔の仲間岸部一徳も俳優業が板についてきた。この役も実にうまい。市役所の児童課職員の仕事も適任。小さい街だけにすべてがつながっている。彼の存在が二人を取り巻くコミュニティを結びつける。脇を固める渡辺美佐子がずいぶん年取ったなあと思った。仁科亜希子も病弱の役がいい。伊丹十三映画に欠かせない脇役上田耕一が痴呆症をうまく演じる。

ともかくすごくレベルの高い作品だ。

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津軽じょんがら節  江波杏子

2009-06-19 22:32:16 | 映画(日本 昭和49~63年)
73年の作品。津軽の海沿いの故郷に帰ってきた女とその情夫の物語。荒波が響きわたる漁村の荒廃した暮らしの中で、大映で壺ふり賭博師で鳴らした江波杏子の着物姿が美しい。

新宿の飲み屋に働く江波杏子は津軽の田舎に情夫をつれて帰ってきた。情夫がヤクザ同士のいざこざで組の人間を殺してしまったからだ。逃げてきた彼らには、住むところもない。幼馴染が海岸沿いの小屋を修復してそこに二人で住むことになる。追われる立場の情夫は働きようがなく、江波が飲み屋で働くことになった。何もせずぶらぶらしている情夫は盲目の若い娘と知り合う。盲目の娘はおにいちゃんと言って近づいていくが。。。。

北国の波の荒い海というと、高倉健の映画を思い出す。降旗監督はこういう画像が得意だ。世捨て人が堕落した世界で暮らすすさんだ気分の映画だが、最後の場面で若干の光をともす。しかし、自分の犯した悪事は世間に忘れられず、自ら仕打ちを受ける。ワンパターンのストーリーだ。三味線と海の匂いが映画を引き立てるが私には稚拙な演出と映る場面が多かった。
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生きものの記録  黒澤明

2009-06-18 21:21:41 | 映画(日本 黒澤明)

昭和30年の黒沢明監督作品。原子爆弾から水素爆弾にパワーアップし、実験が繰り返された世相を反映して、水爆被爆の恐怖症の老人を描く。三船をはじめ、志村喬、千秋実、藤原釜足といった黒澤組が中心で、昭和30年前後の前近代的家内工業の雰囲気もよく表わしている。

いきなり家庭裁判所がでてくる。調停員を演じるのは志村喬である。内容は水爆被爆を恐れ、ブラジルへ渡ろうとする三船敏郎演じる鋳物工場の経営者がいる。その行動がおかしいと準禁治産者の申し立てを三船の息子たちがおこなっている場面である。ブラジルであれば、水爆の恐怖から逃れられると、ブラジルの農場主東野英治郎と土地を交換をしようとしている。もちろん息子たちは大反対。三船の気持ちに志村喬はむしろ三船に同情するが。。。

トロリーバスと都電が走る都内の風景は懐かしい。映画「キューポラのある街」で鋳物工場が舞台となり、同じような工場の場面がでてくる。ここでは住所が品川区東大崎の設定だ。自分の生まれた五反田のそばである。今は大崎駅付近は工場が減って、マンションが増えて大きく変わった。
主人公三船の設定が、妻や子供たちのほかに妾が二人、死んだ妾の子供までいて、面倒を見なければならない人たちがごまんといる。こういう設定はこの当時はまだまだあったと思う。何せ貧富の差が激しい時代である。女が男を頼りに生きていかねばならない時代だったからだ。溝口健二監督はこういうスタイルを描くのが得意だった。あとは、三船の奥さん役がいかにも明治の女を演じているのが印象的。たしか「わが青春に悔いなし」でも同じような役をやったおばさんだ。黒澤映画では人気がない方だが、わりと世相を良くつかんでいる気がする。

私がこの映画にひかれるのは、三船の設定が風貌含めて私の祖父にそっくりであることで妙な親近感があるからだ。そういう映画があってもいいであろう。うちの祖父は明治生まれで戦争に行っていない。本当に運が良かったと思う。きっと三船演じる主人公も同様であろう。戦争に行かず自営の社長をやっていたがんこ親父はなんか共通したところがある気がする。あらためてそう思った。

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アイアンマン

2009-06-17 22:38:08 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
アメコミ映画。スター俳優勢ぞろいでオチャラケタ話を盛り上げる。

軍事産業の社長ロバートダウニーjrは幼いころから天才としてならしており、MITを17歳で卒業して父親の後を継いだ。米軍の大佐テレンスハワードは主人公の親友。彼と一緒にアフガニスタンに行き、最新兵器のデモを一緒に見る。ところが、主人公は現地のゲリラに捉えられてしまう。ゲリラのアジトに行き、そこで新兵器を作るように命令される。しかし、主人公はロボットを作り、ゲリラのアジトから脱出する。アメリカに凱旋してもどって記者会見をおこなう。そこで主人公は「もう兵器は作らない。」といってしまい重役ジェフブリッジスはあわてるが。。。。
マグマ大使と鉄人28号を思わせるようなロボットである。話自体はばかげた話である。
グウィネスパルトロウは主人公の秘書役。いつもどおりの落ち着いた声がいい感じ。しっとりしている。軍事兵器の会社の番頭さんジェフブリッジスは禿げちゃったのかな?頭はスキンヘッド「シービスケット」のときはカツラだったのかな?名作「ラストショー」の若き日の姿から、「カリブの熱い夜」のベタベタのラブシーンが目に浮かぶ。好きな俳優だ。テレンスハワードは若い黒人の中心俳優。「クラッシュ」あたりからかなりメジャーになった。デンゼルワシントンがやらないような黒人の役がみんな彼に回っている気がする。 3人好きな俳優が出ていて、安心してみていられた。
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ペパーミントキャンディ  ソルギョング

2009-06-14 18:30:54 | 映画(韓国映画)
韓国映画隆盛のきっかけとなった作品。ある男の人生を1999年から79年まで時代をさかのぼって描く。韓国映画らしい暴力描写がきつい。どう見ても本気モードで殴ったりする姿は演技を超えている。

主人公ソルギョングが川のそばで遊んでいる仲間に加わる。しかし、精神的に不安定な彼はふらふらしていて、川の上にある鉄橋の上を歩いている。仲間たちは冗談だと思っていたが、そのまま通り過ぎる列車に向かって自殺してしまう。その彼の3日前の動き、5年前、12年前、17年前の動きを回想していく。今は自営で商売しているが、元々は警察官だった。そして当然のように兵役についていた。小さいころから想い続けている人への恋に加えて、妻となった女性との想いやつらい思いを回想していく。
ソルギョング「力道山」を演じたと思うと、この映画からは想像がつかない。あまりにも体型が違う。この映画では「明石屋さんま」にそっくりのやせた姿である。役柄にあわせて体重を調整する俳優にロバートデニーロがいる。彼も同じように器用な俳優である。「力道山」ではこの人って在日?と思わせるくらい日本語がうまかった。評判高い「オアシス」はちょっと暗すぎた。映画自体私の肌に合わなかった。

それにしても暴力描写がすごすぎる。警官だった時代に、被疑者を拷問するシーンが出てくる。日本でも普通のピンタくらいだったら、本気でやったりする場面がある。ここではまるで格闘技「プライド」を見るくらいに本気で殴りまくる。水槽に強引に顔を埋めさせたり、ちょっと凄すぎる。こういうところが韓国映画の凄みであろう。私の好きな「殺人の記憶」でも暴力描写が強烈だった。怒りっぽい韓国人の特性を表わしている映画のほうがおもしろい。 韓国はおそろしいと感じさせる作品
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ついに地価反騰(バブル前夜祭)

2009-06-13 20:39:00 | Weblog

ここのところ経済の末端で動きが変わっている。日経平均10000円乗せは新聞にも載っているし誰でも知っている。 大きな変化がでてきたのが、地価動向である。
不動産屋筋から話しを聞くと、ここ1月もたたないうちに、買い一色になったようだ。売り物件が品薄になっているらしい。

まずいつもお世話になっている不動産屋が南浦和に持っている土地があった。約1年半売れていなかった土地である。それが先月末突然決まった。かすりもしなかったのに突如情報が来たようだ。
知り合いが浦和で土地を買おうとした。最近の相場からいうと、明らかに高い額である。買い付け証明をだして、いざ契約となったとき、坪10万高い額で買おうとする人が現れたらしい。結局買えなくなった。
矢沢栄吉のコンサートのチケットをいつも取ってくれる不動産流通の若い友人がいる。彼は東京で勤務。年末の武道館公演が決まったので、チケットの件で連絡を取り合った。ものすごい忙しいらしい。2月から3月にかけては暇そうだったけど、今日は6件案内があるといっていた。 世田谷あたりは売り物件がぱったり消えたようだ。
あるとき突然地価の動きが変わるのを昭和60年秋から何回も見てきた。今回も同じような動きがでている。売り物件が少なくなって真空状態になるのは間違いない。世の中スピードが速くなってきたのか?悪くなるのも早いけど、良くなるのも早いようだ。 バブル前夜祭とも言うべきすさまじい動きになりそうだ。

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