映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「イ二シェリン島の精霊」コリンファレル

2023-01-29 17:28:02 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「イ二シェリン島の精霊」を映画館で観てきました。


映画「イニシェリン島の精霊」は「スリービルボード」マーティンマクドナー監督、コリンファレル主演のシリアスドラマだ。幸先よく本年のゴールデングローブ賞をいくつか受賞している。アカデミー賞の有力候補という触れ込みに思わず映画館に向かう。

1923年のアイルランド西岸に浮かぶイニシェリン島の狭い人間関係の中で起きた出来事を綴る作品だ。突如友人から絶交を言い渡された主人公が戸惑う姿と、絶交した友人が奇怪な行動を起こすという話である。


残念ながら期待はずれだった。
というよりも、この映画で語られる世界が異常すぎてついていけないというのが本音だ。孤島に暮らす人たちはおそらく古代、中世の世界を引きずって生きてきた訳で、文明開化も進んでいない。宗教的な感覚もわれわれとは違うであろう。

原題The BANSHEES of INISHERINのBANSHEESは人の死を予告するケルトの妖精のことを指すという。この映画では奇妙な老婆が死の予言をしている。イングマールベルイマンの「第七の封印」のような死神の世界にも通じる世界かもしれない。このあたりを理解するのはむずかしい。この映画についてはコメントがきわめてむずかしい。登場人物が何でこんな行動をとるのか意味がわからない。われわれが生きている世界とあまりに違うからだ。

ただ、コリンファレルをはじめとした俳優陣の演技のレベルが高いのは間違いない。舞台劇として見ているような感覚を持つ。レベルの高い演技は堪能できるし、この海を見渡す奇妙な島を映し出すカメラワークも良かった。それでも、ちょっとうーんとなってしまう。

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映画「パーフェクトドライバー 成功確率100%の女」 

2023-01-23 19:32:20 | 映画(韓国映画)
映画「パーフェクトドライバー 成功確率100%の女」を映画館で観てきました。


映画「パーフェクトドライバー」は「パラサイト」ソンガンホの娘役を演じたパクソダム主演のアクション映画だ。裏の車輸送請負人と言うと、ジェイソンステイタム「トランスポーター」ライアンゴズリング「ドライヴ」を連想する。いずれもスピード感ある娯楽の最高峰だ。ただ、今回のドライバーは女性。韓国系サスペンス映画のスリリングな展開を期待して映画館に向かう。ここでの悪役は人気TVシリーズ「マイディアミスター」の三兄弟の1人ソンセビョクである。メガネ姿でないので気がつきにくい。

車のスクラップ工場で働くウナ(パクソダム)は、裏の輸送ブツを途中の妨害をかわしながら確実に時間どおり届けるドライバーだ。賭博に手を染めた元プロ野球選手が国外脱出するにあたって、ムスコと一緒に連れ出そうとする。そうはさせないと裏の顔を持つ警察のチームリーダー(ソンセビョク)から狙われる。


いきなり、ウナのドライブテクニックを見せる。これがまたすごい。執拗に追ってくる敵を交わしにかわす。カッコいい。これって「トランスポーター」「ドライヴ」のスタートと一緒である。主人公の実力を見せつけて観客の目を引きつけるのだ。

この間の梨泰院の群衆パニックでもわかるように、韓国の大都市は新旧の街並みが入り乱れて細い道路が多い。舞台になる釜山の狭い路でのカーチェイスはスリリングだ。歴史ある欧州の都市でのアクション映画を観るような気分になれる。


でも期待したほどではなかった
「パラサイト」で社長の息子役だった少年を起用して主人公ウナと組ませる。多額のお金が入っている貸し金庫の鍵を持っているというのだ。それをめぐってのドタバタ劇が続く。


深みを持たせようとして、ドライバーウナを脱北者に仕立てる。主人公を追う国家組織も横ヤリに存在させる。方々に入り乱れたアクション劇も見せつけてくれる。それにしても、イマイチのれなかった。色んなアクション映画の引用が多いのは仕方ない。ただ、ストーリーづくりのうまい韓国映画には珍しく脚本が全部読めてしまう意外性がないのが自分には弱いところだったかもしれない。
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映画「ザ・ビージーズ 栄光の奇跡」

2023-01-22 08:51:28 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ザ・ビージーズ how can you mend a broken heart」を映画館で観てきました。


映画「ビージーズ」は一世を風靡したビージーズの軌跡を描くドキュメンタリー映画だ。これも後回しになってしまった。放映終了が近づきあわてて映画館に向かう。あとで触れるけど、ビージーズには子供の頃からの思い入れが強いのだ。でもこれは観て、本当に良かった。いくつかのシーンでは思わずジーンとしてしまう。

子供の頃からバンドを組んでいたアンディ、モーリス、ロビンのギブ家の三兄弟がレコードデビューして一気に「マサチューセッツ」をはじめとした大ヒット曲を連発する。その後一時軽い独立騒ぎのあと、再結成で「傷心の日々how can you mend a broken heart」ではじめての全米ヒットチャート 1位となる。でも、あとが続かない。その後、マイアミで音楽活動をはじめ、ディスコ調のリズムの曲で全盛時代を迎える。

自分の若いころは、色んな面でビージーズの音楽に関わっている。
特に4曲とのつながりが強い。自分を振り返る意味でも想い出に触れたい。

⒈マサチューセッツ
小学校のまだ低学年の頃、兄貴がいる友人にポップスが好きな奴がいた。その影響でビートルズを聴きはじめていた。当時、洋楽を中心に紹介する大橋巨泉司会の「ビートポップス」というTV番組があった。洋風ポップスがスタジオに流れるバックで、小山ルミや杉本エマなんていう混血美人モデルがミニスカートで踊るのだ。大人の世界への第一歩だった。土曜の昼の午後に大人の男性陣はしびれただろう。

その番組で、モンキーズ「デイドリーム」ビージーズ「マサチューセッツ」が流れていた記憶が鮮明にある。親にシングル盤を買ってもらった。ステレオで聴いても「マサチューセッツ」の曲自体は短いので何度も何度も同じ歌を聴くのだ。普通のヒットパレード系のTV番組でも「マサチューセッツ」は日本人歌手も歌ったりして紹介されていた。この頃はまだ自分は深夜放送をはじめとしたラジオは聴いていない。夜9時には寝ていた。

今回1968年4月のオリコンヒットチャートで「マサチューセッツ」が洋楽として初めて1位になっていたことを知った。まあ小学生の自分でも聴くくらいだから、学生運動で騒乱だった世の若者は当然聴くだろう。でも、その時のヒットチャートで2位が伊東ゆかり「恋のしずく」、3位が小川知子「ゆうべの秘密」、4位がテンプターズ「神様お願い」、5位がモンキーズ「デイドリーム」と知り、すごい曲が並んでいるのを知り思わず感動した。


⒉メロディフェアと傷心の日々
「マサチューセッツ」の後しばらくビージーズのことが語られることは少なくなった。小学校高学年から土曜のラジオのヒットチャート番組に興味を示すようになり、気がつくとアメリカの「ビルボードヒットチャート」に強い関心を示すようになる。毎週のヒットチャートをノートに転記するようになったのは1971年の6月ごろだ。

1971年夏の東京では3つの洋画がクローズアップされていた。「ある愛の詩」「小さな恋のメロディ」「エルヴィスオンステージ」だ。「小さな恋のメロディ」の主人公マークレスターとトレイシーハイドは、自分と同世代なので、目線が合いもっとも関心をもった。10代向けの「平凡」や「明星」をはじめとして、あらゆる雑誌で2人の記事が紹介されていた。しかも、東京の至る所で「メロディフェア」が流れていた。


全米ヒットチャートの動向をラジオで確認するようになって、いつ「メロディフェア」がヒットチャートを登りつめるかと思っていた。その時なんとビージーズの別の曲がトップになるではないか。「傷心の日々how can you mend a broken heart」である。実はこの曲は日本ではシングルのB面である。この映画の最初に演奏される。テーマ曲でもある。ただ、この曲の良さがわかるのは自分が大人になってからかもしれない。

⒊ユーシュッドビーダンシング
高校生になる頃ビージーズは忘れられた存在になる。中学も高学年になるにつれて、当初のヒットチャートマニアからニューロック、クロスオーバー、ジャズはたまたクラッシックまで幅広い音楽を聴くようになっていた。

そんな高校時代FMで聴いたディスコ風の曲の声に聴き覚えがあった。ビージーズだとすぐに気づく。「ユーシュッドビーダンシング」である。1976年には日本でもディスコが人気となっているが、まだ不良のたまり場的存在にすぎなかった。中学時代一緒だった連中と新宿のディスコに恐る恐る数回行った。その頃ダンスフロアではみんな同じステップで踊っていた。


それにしても「ユーシュッドビーダンシング」には衝撃を受けた。これはジャイブトーキンに続く1976年9月の全米ヒットチャートナンバーワンだ。久しぶりの復活がうれしかった。今でもダンスフロアでよくかかる「ザッツザウエイ」は1975年11月のナンバーワンだ。この辺りからダンス系ソウルミュージックのナンバーワンが急激に増える。70年代後半はディスコ系の嵐だ。

なんといっても、映画「サタデーナイトフィーバー」でのジョントラボルタの歴史的ソロダンスで流れるのは「ユーシュッドビーダンシング」である。


⒋サタデーナイトフィーバー
日本のディスコを不良の溜まり場から、「普通の」若者とサラリーマンの娯楽場に変えた大きなきっかけが映画「サタデーナイトフィーバー」であろう。1978年大学生だった自分は、東京のディスコでも湘南、伊豆あたりのリゾート地にある臨時ディスコのどこへ行ってもフィーバーしていた。そこではビージーズの曲だけでなく、「シャドウダンシング」などの弟アンディギブの曲も流れている。

映画は渋谷の映画館で観たが、どこだったか記憶にない。その後、videoになってもDVDになっても観ている。ジョントラボルタの能天気な雰囲気が、若者の思想を変えた。ほぼ同世代に近い佐藤優が関西で送った青春時代の話を読むと、自分よりひと時代前の学生運動世代の匂いがする。われわれとはまったく違う青春だ。東京と京都で違っていたのか?

そんな大きな影響を与えてくれたビージーズは常に不死鳥のように蘇った。ただ、流行の狭間で停滞があったことを知る人は少ないだろう。エリッククラプトンのインタビューがあるので、なんでと思ったけど、実は停滞して向かったマイアミ時代に強い縁があったことを知った。そういった意味でも、この映画は意義がある。
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映画「アバター ウェイオブウォーター」 ジェームズキャメロン

2023-01-17 05:11:35 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アバター ウェイオブウォーター」を映画館で観てきました。


映画「アバター ウェイ オブウォーター」はジェームズ・キャメロン監督による「アバター」の続編である。かなり後回しになってしまった。3時間を超える上映時間に尻込み気味だった。主たる舞台が海になり、前回以上の映像美が楽しめるらしい。期待感を持ち映画館に向かう。

パンドラの星に住み着いて平和に暮らしていたジェイク(サムワーシントン)は先住民ナヴィの娘ネイティリ(ゾーイダルドナ)と結婚して子どもを5人つくり、しあわせな生活をおくっていた。そこにクオリッチ(スティーヴン・ラング)率いる人間を含めた侵入者が現れてパンドラを荒らす。自分が標的とわかり、トノワリ(スティーヴン・ラング)とロナル(ケイトウィンスレット)率いる海辺の部族の集落に向かい身を寄せる。その後子どもたちも海の生活に慣れはじめた時にクオリッチたちが再度襲ってくる


たしかに現代最先端の技術を駆使した映像が美しい。
前作「アバター」は観ているけど、登場人物双方の関係が最初はつかめない。ジェイクの家族が海に向かっていき、アジトを攻めた連中が追いかける頃にようやくアタマが整理されていく。ストーリーは侵略と対抗が基本でたいした話ではない。美しいトロピカル風景を基調にした物語が、途中からは最後に向けては「007」系のアクション映画のように攻守入り乱れた闘いになっていく。

南海で泳ぐ魚がすいすい泳ぐ水族館にいるような大画面の映像でさわやかな感覚を感じる。登場人物が異類の半魚類に乗って気分良く水中から飛び上がるシーンも気分がいい。


一方で、巨大クジラのような生き物を殺したりする画像で気分が悪くなり、海辺の部落で火を放ったりする場面で目を背ける。どちらかというと、快適だった感覚が下降に向かう。その上で殺し合いが始まると粗暴で醜悪なパフォーマンスに神経が刺激され疲れる。


アニメの場合、別に英語のセリフを聞かなくてもいいような気もして日本語吹き替え版を観ることがある。「アバター」ではそれなりの俳優で配役が決まっている。CGで別の姿になっていてもそれぞれの俳優がリアルな演技もするので基本的には字幕版を選択する。メイキング映像で、撮影風景を確認すると人間の姿で演技している。するとやはり感情が入ったリアルな肉声を聞くべきだと感じる。最新の映像技術を駆使するジェームズキャメロンはそれにしてもすごい。
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映画「SHE SAID」キャリーマリガン&ゾーイカザン

2023-01-16 05:04:58 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「SHE SAID その名を暴け」を映画館で観てきました。


映画「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」は映画プロデューサーによる性的関係強要のセクハラ被害に関する新作である。監督は女性のマリア・シュラーダーで、キャリー・マリガン、ゾーイ・カザンの2人がニューヨークタイムズの記者を演じる。2人の作品はほとんど観ている。ゾーイカザンのパートナーであるポールダノの監督作品「ワイルドライフ」にはキャリーマリガンが主演で出ている。ゾーイカザンが童顔で年下に見えるが、キャリーマリガンの方が年下だ。

加害者であるハーヴェイ・ワインスタインは映画配給会社「ミラマックス」の創始者で名プロデューサーである。彼が手掛けた作品のリストを見た映画ファンは誰もが名作ばかりなのでアッと驚くだろう。自分もその1人だ。

ワインスタインがホテルの自室に映画の話をするふりをして女優を呼び出し、いつのまにか性的関係を強要する訳だ。ニューヨークタイムズのジョディカンター記者(ゾーイカザン)とミーガントゥーイー記者(キャリーマリガン)は上司のレベッカ(パトリシアクラークソン)の指示を仰ぎながら被害者と思しき女性にインタビューを試みる。しかし、口が堅い女性が多く、取材は難航する。


これはおもしろい!必見である。
女性監督作品で主演2人が女性となると、フェミニスト映画を想像してしまう。でも、その要素は少ない内容満載で、ネタが次から次へと出てくる。真の報道ってこんな感じなのかと映画を観ながら男性も感じるであろう。テンポが良く、リズミカルに映画は展開する。傑作だと思う。

⒈キャリーマリガンとゾーイカザン
2人が演じるニューヨークタイムズの記者は、いずれも夫も子供もいる。夜討ち朝駆けの仕事と家庭を両立するのはすごい。ゾーイカザンが演じるジョディ記者は休日に家族で外出している時でも、取材者からのTELがかかってきたらすぐさまそちらに向かう。情報が得られそうなワインスタインからの被害者がロンドンにいようが、カリフォルニアにいようがすっ飛んでいく。女優のアシュレイジャッドもその情熱に押される。

出演作では、パートナーのポールダノと知り合った「ルビースパークス」が最高、前作の「ニューヨーク親切なロシア料理屋」の話は主人公に感情移入できなかった。名監督エリアカザンの孫だ。ここではアクティブなゾーイカザンの活躍が目立つ。


キャリーマリガン演じるミーガン記者はもともとドナルドトランプのセクハラを追っていた。劇中トランプが電話で強く反発する音声が含まれる。その後、大統領選に勝ち、保守系TVのFOXの勢いに押されて取材を断念せざるを得ない状況になる。そんな時、ワインスタインのセクハラネタをジョディ記者と追って行くのだ。赤ちゃんを出産したばかりだ。精神状態は良くない上に産休なんて文字は存在しない。近作「プロミシングヤングウーマン」には驚いたが、いい味を出していた。バーでナンパされた時の罵声が強烈。ここでも好調。


⒉ハーヴェイ・ワインスタイン
このプロデューサーのセクハラ話にはまったく呆れるしかない。異常としか思えないし、これは病気だね。名作「イヴのすべて」をはじめとして、ハリウッドの上昇志向物語はいくつかある。女優のセクハラ被害で大騒ぎと聞いていたが、お互い様なんだろうなというように正直思っていた。でも、まったく違う。

女優ばかりでなく、制作会社「ミラマックス」のスタッフに声をかけてホテルの個室に呼び出して性的サービスを要求する。干されることを恐れて受け入れることもある。その後被害者がクレームをつけた場合、弁護士も入れて示談に持ち込む。そこで機密保持の契約書にサインを被害者がしているので、その後取材の話があっても逆訴訟を恐れて沈黙するのだ。

これが1回だけの話であれば、驚かない。でも、それを繰り返し続けて、示談になったのも8~12回あるし、実際の被害は100件近くある。これは異常性的思考の病気でしょう。このセクハラ行為がずっと延々と数十年続いていたことに驚く。自分の地位は揺るがない自信だろうが、いつかは崩れる。


⒊記事にするための周到な準備
この映画を観て、すごいなと思うのはニューヨークタイムズが会社をあげて、じっくりと記事にしていく過程が描かれているところである。記者の上司役のパトリシアクラークソンも久々の活躍だ。被害者である女優やスタッフへのインタビューでも、告白ができる人を見つけるのが大変だ。ワールドワイドで探して取材ネタを苦労して引き出す。加えて制作会社の元幹部や顧問弁護士を含めて、閉じた口を割らせるまで徹底的に取材する。

そこでの話は一方的にはならない。最終記事の前には加害者にも通知する。反論の余地も残す。日本よりも訴訟リスクが高いアメリカでの法を重視しながらの理にかなった報道姿勢に凄みを感じる。
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映画「恋のいばら」松本穂香&玉城ティナ&城定秀夫

2023-01-12 05:02:46 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「恋のいばら」を映画館で観てきました。


映画「恋のいばら」は驚異的な量産で新作を撮り続ける城定秀夫監督の作品である。「愛がなんだ」澤井香織と城定秀夫の共同脚本で、松本穂香と玉城ティナのW主演である。先入観なしに映画館に向かう。対照的な2人がある写真家の彼女と元彼女を演じて、ちょっとしたキッカケで共謀する話だ。別れた恋人が恨んで、撮ったエロいきわどい写真をSNSなどに流出させるというリベンジポルノが題材である。

写真家の健太郎と付き合っている莉子(玉城ティナ)がバスの中で元カノの桃(松本穂香)に話しかけられる。桃が頼みがあると、莉子と話すと「リベンジポルノ」の話題を持ち出す。


健太郎が撮った2人だけの秘密の写真が流出すると困るので、パソコンにある写真を消してくれというのである。一瞬相手にしなかったが、莉子にも健太郎に何枚もきわどい写真を撮られた覚えがあり、協力に応じるという話である。


これはなかなかおもしろい。
一種のコメディだ。もともと、健太郎の自宅の合いカギを桃は持っていたが、もう取り替えられている。何とかして、カギをゲットしようと策略を組んだり、ヒッチコック映画や「パラサイト」のようなハラハラドキドキの場面も出てくる。フランス映画「悪魔のような女」は妻と愛人が結託して、夫を殺そうとする男からするとおそろしい話だった。テイストは違うが、似たようなものだ。


松本穂香は真面目っぽい図書館員で、玉城ティナはダンサーだ。風貌自体は対照的だが、2人とも好感が持てる。いくつもの小話を積み上げて笑いを誘うおもしろい作品に仕上げる。気がつくと2人には友情のようなものが生まれる。途中では、最終の結末が想像しにくい。凝ったストーリーを展開する。ラストに向けてはアレ?と感じさせるシーンもある。ただ、せっかくのピンク映画出身の城定秀夫作品なんだから、他の作品のようにもう少し露出があってもいいような気もした。


健太郎が住む家には祖母が同居している。ガラクタ集めが趣味のようなおもしろいばあさんは少し観て日活ポルノの白川和子だとわかる。この間「ある男」に山口美也子が出ていた。元日活の女優陣が老人役で次々と出ているのに自分も歳とったなあと感じる。
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映画「とべない風船」 東出昌大&三浦透子

2023-01-11 17:07:15 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「とべない風船」を映画館で観てきました。


映画「とべない風船」瀬戸内海の孤島を舞台にした人間ドラマだ。不倫事件で干されてから、ひっそりと映画キャリアを積み上げている東出昌大「ドライブマイカー」のドライバー役でハマり役をつかんだ感じの三浦透子の共演、ベテランの小林薫と浅田美代子が脇を固める。

瀬戸内海の孤島にいる元教員の父(小林薫)を東京で派遣事務をしている娘の凛子(三浦透子)が訪れる。妻を亡くし一人住まいの父は島の港で働く若者から慕われている。居酒屋の女将(浅田美代子)のたまり場の店で、漁師仲間がワイワイ飲んでいる中で一人だけ影のある男憲二(東出昌大)がいる。憲二には妻子を豪雨による土砂崩れで亡くしたつらい過去があり心を閉ざしていた。そんな憲二に凛子は関心をもつ。

のどかな瀬戸内海の周囲に小島が浮かぶ孤島の風景が美しい。大画面いっぱいに海が広がる映像を観ると、心が豊かになる。宮川博至監督の出身地広島の離島でのオールロケで、時間がゆったりと流れる人々を映す。


東出昌大、三浦透子いずれも好演、小林薫が円熟味あふれる演技で渋い。浅田美代子も永瀬直美監督「朝がくる」に引き続きいい味を出している。しかし、この狭い島での逸話だけではネタづくりに限界がある。大きくは動かない。島以外のエピソードを交えた変化がないので、傑作という領域までには届かない。でも、心地よい時間を過ごせた。

「とべない風船」という題名は、東出演じる憲二の家にある黄色い風船だ。その黄色は「幸せの黄色いハンカチ」からとっているそうだ。

⒈東出昌大
世間の週刊誌ネタでは相変わらず悪者扱いだが、東出昌大映画界で引き続き活躍している。この映画は、2018年に中国地方を襲った豪雨の影響もテーマの一つにしている。東出演じる憲二の妻と子が、豪雨の中父親の様子を見に行ったときに土砂崩れで亡くなった。その余韻で失意のあまり閉じこもっている。

過去を振り返って東出昌大が号泣する場面もある。実際に不倫で杏と子どもと別れざるをえなかった実生活にもつながる。配役のオーダーがあったときどんな気持ちだったであろうか?一見クールに見える東出もこの映画に感情移入している気がした。

⒉三浦透子
つい先日「そばかす」を観たばかりである。結婚や恋愛に関心のない30歳の女性を演じる。喫煙者ドライバーの「ドライブマイカー」と同じようなキャラクターの女性に見えた。今回は瀬戸内海の孤島でのロケで、広島の海辺を悠々とドライブしていた「ドライブマイカー」に近い場所だ。父親同様に教員になったけど、うつで教員を辞めて派遣の事務をやっている。もう一度教員の道に進もうかと考えているのも父親に会おうとするきっかけだ。

現代の若者にはたまにいるタイプである。その独自のキャラクターで今後も起用されるだろう。それにしても、男性共演者がいるんだけれど、恋愛とは無縁の映画が続く。そろそろ大恋愛物語があってもいいかもしれない。


⒊小林薫
妻に先立たれた元教員だ。ここで死にたいと妻が選んだ島で、もともと住んでいたわけではない。ここでの小林薫の演技はいぶし銀という感じでよく見える。前作の阪本順治監督の「冬薔薇」は犯人捜査が絡むストーリーなのに現代のIT捜査の要素がうまく織り込まれていなかった。難ありの映画ではあったが、小林薫は良かった。時々、痛みで胸を押さえる。心臓疾患にかかっているようだが、病院に行かない。その健康状態の悪化も映画の題材になる。

うつで教員を辞めた娘に、「自分が長く教員を勤められたのも、適当にサボっていたからだ」と言う。たしかにそうだよね。その気持ちはよくわかる。いい感じだ。


⒋浅田美代子
浅田美代子の顔をみていると童心に戻れる。デビュー時に生まれた人でも今年50歳だ。「時間ですよ」での大フィーバーを知っている人は少ないだろう。当時中学生の自分の仲間たちはアコースティックギターを弾きながら「赤い風船」を歌った。目をそわそわしながら歌う仕草がモノマネ芸でずいぶんとマネされた。最初は西城秀樹と噂されたけど、結局吉田拓郎と結婚、その後離婚で芸能界復帰。元祖天然ボケキャラさんまとのコンビでずいぶんと活かされる。


「朝が来る」も広島の海辺の施設が舞台だった。望まぬ妊娠をして産んだ子どもを斡旋する施設で働く役柄をみて、自分より年上ながら、浅田美代子も大人になったなあと思ったものだ。ここでの居酒屋の女将役もうまい。かわいい東京女学館の制服が似合う東京育ちの浅田美代子が、地方を舞台とした映画で味のある役柄で活躍している。気がつくといい役者になっていて個人的にはうれしい。
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映画「マイ・ブロークン・マリコ」 永野芽郁&タナダユキ

2023-01-10 05:22:43 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「マイ・ブロークン・マリコ」を映画館で観てきました。


映画「マイブロークンマリコ」はタナダユキ監督の2022年の作品。タナダユキ監督の作品はこれまで続けて観ているのに、日経新聞の映画評の評価が低く後回しにしているうちに見損なった。年明けにamazon primeで無料で見れるようになり、何気なくプチっとすると、目が離せなくなり一気に見てしまう。映画評ではイマイチの永野芽郁抜群にいい。これはうっかりしてしまった。やはり好きな監督の作品はすぐさま映画館に行くべきだったと反省する。

ブラック企業で飛び込み営業をしているシイノ(永野芽郁)が定食屋でTVニュースを見ていると、小学生から高校にかけての親友マリコ(奈緒)が自殺したというニュースが報道されていた。マリコは小学生の頃から父親に虐待されていて、シイノは相談を受けていた。飛び込みセールスのふりをして、マリコの親がいるアパートを訪問して、マリコの遺骨を見つけると思わず持ち出そうとする。マリコの父親と押し問答となるが、用意していた刃物を突き出し、アパートの窓から脱出する。

タナダユキ監督作品らしい人間味あるハートフルな作品であった。
原作漫画があるという。もちろん未読。原作漫画との比較コメントもいくつかupされているようだ。どうでもいいことだ。名脚本家向井康介のシナリオも悪くない。それよりも永野芽郁がここまで役柄に没頭していることに感動する。

共演の奈緒も、小さい頃から親の虐待に遭い、高校生の頃は性的虐待まで受けている女性を実にらしく演じる。結局、付き合った男性にも暴力を振るわれる悲しい人生だ。マリコのハートは壊れているのだ。それでも、永野芽郁演じるシイノは懸命にマリコをかばっていた。回想シーンを交えながら、マリコとシイノの友情を語っていく。


マリコの父親と対峙して、遺骨を持ち出すシーンがこの映画で1番の見どころだ。お前がいけないんだとばかりに父親に暴言をはいて、包丁も差し出しアパートの2階から飛び降りる。そして、目の前の川を渡り懸命に逃げる。まだ若い永野芽郁にここまでの迫力があるとは思えなかった。


結局、シイノは自室を飛び出して、マリコと行こうと話をしていた青森県のまりがおか岬に向かう。そして、いくつかの出会いがある。この海辺の田舎風景は味わいがある。ブラック企業の営業で、上司をクソ上司と言いながら男勝りに立ち回る


そんな永野芽郁演じるシイノはタバコも吸うし、大酒も喰らう。気がつくと、青森では海辺の小舟で一夜を過ごす。永野芽郁の意外な一面を垣間見れてうれしい。今後に期待する。
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映画「非常宣言」 ソ・ガンホ&イ・ビョンホン

2023-01-09 09:56:02 | 映画(韓国映画)
映画「非常宣言」を映画館で観てきました。


映画「非常宣言」はバイオテロに遭遇した旅客機のパニック映画である。韓国の2大スター、ソン・ガンホとイビョンホンの共演である。カンヌ映画祭で主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンが国交大臣役で加わる。予告編で,ホノルル行きの飛行機がウィルスをまき散らされパニックになる映像を見ていた。2大スターの共演ならそれなりのレベルだろうと推測して映画館に向かう。

仁川発ホノルル行きの旅客機に異常人物が搭乗する。事前に犯行予告をSNSにアップしていた。飛び立った飛行機の中にウィルスがまき散らされ乗客が次々と倒れる。犯人を捕まえたが,バイオテロと判明した段階でアメリカの当局から着陸の許可が出ない。被害は乗客ばかりでなく搭乗員にまで及び,機長も疾患して操縦不能となり飛行機は墜落しそうになる。

出来過ぎの展開であるが,娯楽として楽しめる。
飛行機という密閉空間はサスペンス映画の道具としては相性が良い。ハイジャックなどを題材にしてパニック映画として数々の名作が作られてきた。この映画はそれらに比べても、スマホやSNSのハイテクな題材を加えてネタが満載だ。しかも、不気味で変質的な異常犯罪者を登場させる。死に至るウィルスを旅客機という密閉空間に撒き散らす。コロナ感染に戸惑う現代社会に即した題材である。


どこにでもいるような若者の変質者は,犯罪の目的が金銭目当てではなく,ただ単に大量殺人を起こしたいだけである。序盤戦から空港内で不穏な行動を起こす。映画の中には不気味な雰囲気が漂う。団地の中の1室で人体実験をしてウィルスの効果を確認した上で,犯行に及ぶ。本人は生き延びるつもりはない。巻き添えにすることだけを考えている。普通じゃない。ただ,我々も安倍元総理事件を身近に体験しているので,こんな変質者が世の片隅にいる事だけはわかっている。


それにしても,次から次にこの旅客機は窮地に立たされる。ウィルス感染はもとより,長時間運行による燃料切れの不安,緊急着陸を要請した日本とアメリカからの着陸拒否,韓国に帰国しようとしたときの住民の着陸反対運動など次々と面倒な障害が出現する。以上に挙げただけではない。当事者を苦難に突き落とすことだけでいえば、これまでのパニック映画を大きく上回っている。出来過ぎのストーリーとは言え,いかにも,観客をドキドキさせようとする脚本のうまさが光る。それを映像に具現化させたのもすごい。墜落しそうになる機内の無重力空間のような場面には驚いた。

⒈ソンガンホ
熱血刑事役である。住民の通報で,テロの犯行予告が出ていることを知る。また, 異臭のする団地の部屋の捜索をして人体実験で殺された死体を発見する。被疑者が仁川発ホノルル行きの旅客機に搭乗していることがわかり,慌てて航空当局に飛行機を引き返すように要求する。でも、根拠がないと突き返される。飛行機はそのままホノルルに向かって進んでいる。ところが、その飛行機に乗って自分の妻がバカンスで遊びに行っていることを知りまた驚く。

途中で,犯人の素性が分かり,熱血刑事は証拠をピックアップしようと犯人が在籍した元会社に乗り込もうとする。きっちりした証拠に基づいた捜査令状を出せるわけではないので会社内には入れない。そこで押し問答が起きる。この辺の熱血刑事ぶりは「殺人の記憶」の頃のソン・ガンホを彷彿させる。


⒉イビョンホン
最初はアトピー疾患で悩む娘を連れている単なる乗客であった。ただ,娘につきまとう変人と空港で出会う。,旅客機でその男の搭乗を確認して,ウィルストラブルが起きた後で客室乗務員にあいつは怪しいと訴えるだけの乗客に過ぎなかった。ただ,副操縦士とは面識があるらしい。一体どんな存在だろうかと思っていた後で,機長のウィルス感染で操縦不可能となった時点で存在感を示す。実はもともと同じ航空会社の機長だったのだ。


2人のスターは,面と向かって共演はしない。1人は韓国にいて, 1人は旅客機の中だ。娯楽作品としてねられた脚本に加えて格の違う2人のスターを登場させるだけで,映画の水準が高くなった。
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映画「THE FIRST SLAM DUNK」

2023-01-08 17:33:32 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「THE FIRST SLAM DUNK」を映画館で観てきました。

映画「THE FIRST SLAM DUNK」は人気漫画の映画化で、原作者井上雄彦自ら脚本監督を受けもつ。現在興行ランキングトップを独走中である。もともとアニメは年に数作観るかどうかで、最近の人気作も観ていない。それでも、アニメ技術に見所があり、試合から感じるエナジーがすごいと聞き観ることにした。高校バスケットボールの名門校と戦う試合を中心に、登場人物の背景を探る展開である。


自分はアニメやCGの技術には疎いので偉そうなことは言えない。確かに、バスケットボールの試合で、3ポイントシュートなどは静的だが、プレイヤーが鋭く切り込むプレーを動的に映像化したのは現代のアニメ映画技術の大きな進歩だと感じる。リアルで写実的なバックで、アニメ顔の登場人物を縦横無尽に動かす。

試合は途中で強豪高校のチームに続けて点数を入れられ劣勢になり、それをどう挽回するのかがポイントだ。自分は中学からハンドボールをやっていた。バスケットボールとの類似点もあるスポーツなのでよくわかる。(あまりうまくはないけど。)点数差が10点以上ついて負け試合と思しき戦いが、ある転換点から大きく挽回して奇跡のように勝ってしまう試合はリアルで経験している。この試合で逆転に向かう流れがまんざらありえないことでもない。

試合における点数の入れ方も3ポイントオンリーでなく、速攻あり、ダンクシュートあり、デフェンスの間を切れ込むシュートありで偏りなく表現して、リバウンド処理や一対一の防御などデフェンスにも焦点を合わす。ゲームのストーリーとしても緩急をつけて、反撃も一方的にはならない。どちらが勝ってもおかしくない流れをつくる。選手の顔つきもゴリラのような顔をした奴らが実際にいそうな感じだ。内容的には脚本、映像とも満足だ。

でも、この映画は好きになれなかった。
登場人物の性格がほぼ全員悪い。最後の最後までチームはもとより誰も応援する気にならない。いろんな人種が集まる普通の公立中学やレベルの低い高校にはこの手の登場人物はいるかもしれない。そうでなくても、スポーツ選手にありがちな自分勝手で性格の悪い奴らはいる。まあ、すべてのパフォーマンスが好きになれない奴らのドラマにはおもしろ味を感じない。ヤクザ映画の方がまだまだ感情移入できる。少なくとも中学はともかく高校より後でこんな奴らには会わなかった。

小学生くらいの息子を連れている母子がそばの座席に座っていた。まあ、普通の学校でバスケットボールをやったらこういうクズな奴がいっぱいいるよと見せにいくならいいだろう。
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映画「ドリームホース」ト二・コレット

2023-01-07 19:35:45 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドリームホース」を映画館で観てきました。


映画「ドリームホース」は田舎町の素人共同馬主の馬が這い上がっていく過程を描くトニコレット主演の物語である。新年に入ってから、最初の映画館作品だ。トニコレットが「勝った!」とはしゃぐ姿のポスターから、一見してサクセスストーリーとわかる。一緒に体感してみたくなり、正月の映画館一作目は気分の良さそうなこの映画でスタートしたくなる。

トニコレットの作品ではキャメロンディアスと姉妹役を演じた「インハーシューズ」が好きで、その後も「リトルミスサンシャイン」といったインディーズの名作でも活躍している。直近では「ナイトメアアーリー」にも出演していた。Netflix作品でもよく出会う好きな俳優である。田舎町でのルーティーン生活で刺激のない主婦が馬主になって町の仲間と歓喜するのだ。


ウエールズの田舎町で、夫婦2人暮らしでパート勤めのジャン(トニコレット)がバイトしているバーで共同馬主の話をしているハワード(ダミアンルイス)に出会う。興味をもったジャンは貯金をはたいて牝馬を買い、町の知り合いに共同馬主の話を持ちかける。集めた金で血統のいい牡馬に種付けさせ、生まれた馬を「ドリームアライアンス」と名づける。大きくなると、調教師の厩舎に押しかけて引き取ってもらいデビューの日を待つという話だ。


お決まりの競馬サクセスストーリーだけど、気分良く観れた
実話をもとにしているようだ。最初はスタートで出遅れたりイマイチだった馬も徐々に良くなっていく。スポーツ映画特有の調子を上げていくときの高揚感が生まれる。早い時期にレースに勝つので、ずいぶんと早い展開だなあと思っているうちに転落する。もう終わりかと思ったら、復活に向かって進む


定石通りのストーリーなんだけどのれる。共同馬主である田舎町の住民たちが気もいい人だらけというせいもあるだろう。一緒に何かを購入する共同勘定というのは、問題が起きたときの判断が割れるのが常である。ここでもその葛藤が生まれる。でも、複雑ではない。のどかである。


最後のレースはウエールズでは最高のレースだということで、ウエールズ国歌が劇中に歌われる。ロッドスチュアートもレースに来ているというセリフもある。きれいな芝で競走馬が走る。レース自体は障害走である。ただ、早いだけでも勝てない。その中で、接戦のレースを躍動感ある移動カメラで映す。競馬が題材の映画には「シービスケット」という名作がある。出演者は皆メジャー級で、人間物語的要素も強かった。比較するのは酷だが、レースの緊迫感は同じようなものだ気分の良い映画新年を迎えられた。
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