映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「007 スぺクター」 ダニエル・クレイグ

2015-12-21 20:28:07 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「007 スぺクター」を映画館で見てきました。


最近、映画は割とみているのであるが、連日の飲み会で脳細胞がいかれてしまいコメントがかけない。昼間もスケジュール多忙で疲れきっている。土曜日の飲みは控えめにして早めに自宅へ帰ったので、日曜日映画館に向かう。ダニエル・クレイグはもう終わりなんていう人も多く、賛否両論のようだが、50年近くの007ファンである自分には十分楽しめた。


最初のメキシコのアクション場面はかなり粋だ。がい骨の仮面をつけた人たちが祭りをしている場面で、美女とたわむれようとホテルに入ったダニエル・クレイグがさっと抜け出し、自分の標的を狙う場面の連続性にはしびれる。ヘリコプターをくるくる回転させてのアクションも、ちょっと間違えれば大惨事だけにドッキリだ。


説明はかなり省かれているので、わかりづらい場面もあるが、娯楽を意識したアクションを体感するだけで楽しい。ボンドガールの使い方よりも、Qやアシスタント役のナオミハリスの使い方に妙を感じる映画であった。

殉職したM(ジュディ・デンチ)の遺言を受け、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)はメキシコで1人の男を始末し指輪を奪う。少年時代を過ごした ”スカイフォール” で焼け残った写真を受け取ったボンド はその写真に隠された謎に迫るべく、M (レイフ・ファインズ) の制止を振り切り単独でローマへと赴く。そこでボンドは殺害された悪名高い犯罪者の元妻であるルチア・スキアラ (モニカ・ベルッチ) と出逢い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。

その頃、ロンドンでは国家安全保障局の新しいトップ、マックス・デンビ (アンドリュー・スコット) がボンドの行動に疑問を抱き、Mが率いるMI6の存在意義を問い始めていた。ボンドは秘かにマネーペニー (ナオミ・ハリス) やQ(ベン・ウィショー)の協力を得つつ、スペクター解明のてがかりとなるかもしれないボンドの旧敵、Mr. ホワイト (イェスパー・クリステンセン) の娘マドレーヌ・スワン (レア・セドゥ) を追う。


死闘を繰り広げながらスペクターの核心部分へと迫る中、ボンドは追い求めてきた敵と自分自身の恐るべき関係を知ることになる-。
(作品情報引用)



この映画を面白くないという人は若き日あるいは少年時代に007を見てときめいたりしたことがない人であろう。
最初のメキシコでの強烈なアクションは昔を知らなくても楽しめるが、小道具がたくさん装着されている新型アストンマーティンを見るだけでかなり満足してしまうものだ。細かいディテールをQから聞いていないのに、小技をひねり出すスウィッチボタンを押しながらダニエルクレイグが運転する姿は楽しめる。ましてやアストンマーティンとジャガーのそれぞれ新型同士の対決だ。伝統の英国車対決にはうなってしまう。


今回のボンドガールは2人だ。

1.モニカベルッチ
もうすでに50歳を超えるというのにフェロモンむき出しだ。
比較的最近のルイガレル主演作品「灼熱の肌」で、ヌードを見せる。いかにも熟女らしい熟れきった身体を見て、20代の少年たちは何も思わないかもしれない。今回のようにムチムチの肌で言い寄られる姿を見ると「マレーナ」あたりで感化された40代以上の野郎は股ぐらがドッキリしてしまうであろう。

ただ、いかにも出番が少なすぎだ。最後に向けてもう一回くらい出番があってもいいのでは?

2.レア・セドゥ
ミッションインポッシブルの前作「ゴーストプロトコル」で女同士格闘技対決する謎の女性を演じた。これが実に良かった。その後もレズ映画「アデル、ブルーは熱い色」のヌードできっちり存在感を示した。ここでの最初の登場はオーストリアの雪山で診療する医師だ。まったく普通だが、タンジールに行くあたりから豹変する。列車でのディナーでムチムチの身体にピッタリしたドレスを着て、見ている我々を挑発する。歩きながら見る目がいい感じだ。

そしてすぐ直後の体当たりアクションだ。なかなかやるね。

3.サムメンデス
サムメンデス監督作品ではポールニューマンとトムハンクス、ジュードロウ出演ロード・トゥ・パーディションが大好きだ。晩年のニューマンの老練な演技が抜群で、萬屋錦之介ばりの子連れ狼の様なトムハンクスを追うジュードロウの冷たい表情が真に怖い殺人鬼のようだ。その暗黒なムードを作り上げたサムメンデスに脱帽した。その映画にも007でブレイク前のダニエルクレイグ出ているんだよね。
この映画でも監督の技は冴えわたり、当初のメキシコでのアクション、オーストリアの雪山での飛行機を使った派手なアクション、北アフリカの砂漠を走る列車内における格闘劇、あまり見れないローマでのカーチェイスなど見どころは盛りだくさん。

いずれも007の文法の域を意識しながら我々を楽しませてくれる。
Qという存在を出すことで、初期の007よりもテクノロジーが著しく進化させている部分をだしている。そこがニクイ。

(参考作品)
007/スカイフォール
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「コードネーム U.N.C.L.E.」 ナポレオン・ソロ

2015-11-23 16:17:43 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「コードネーム UNCLE」を映画館で見てきました。


ナポレオン・ソロという響きに魅かれる。小学生の低学年の頃、日本テレビで日曜夜9:30にロバート・ボーンとデイヴィッド・マッカラム共演で放映されていた。CIAとKGBのスパイが組むなんて設定も、冷戦時代の映画ではありえないのでおもしろそうだ。ナチス残党の組織に大量破壊兵器をつくれる能力をもつ科学者が拉致される。それを米露のスパイが一緒になって救い出そうとする話だ。


自分の理解度が弱いのか、ストーリーの詳細がわかりづらいまま話が展開されていく。スパイ映画なので本来の敵と味方がだましだまされる中で進むので、一緒に組むのにもかかわらず、わけがわからなくなるからだ。それでも、60年代を舞台にしたストーリーを現代的センスを交えて映す映像は、バックの音楽も含め実にお見事でそれを見ているだけで楽しい。若い人というより50代後半以降の男性が見ると楽しめる映画なのかもしれない。


冷戦下の60年代、謎の国際的犯罪組織の核兵器による世界破滅計画を阻むため、米ソはCIAのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)にチームを結成させる。組織に拉致された天才科学者ウド・テラー博士の身柄の確保と、相棒を出し抜いてでも博士の研究データを自国に持ち帰ることが、2人に与えられたミッションだ。性格も仕事のスタイルも真逆の2人は反発し合いながらも、博士の娘ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)とともに、ナチの残党組織を牛耳るヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)に接触する。(作品情報より)


主演2人はヘンリー・カヴィル「マン・オブ・スティール」スーパーマン(クラークケント)役、アーミー・ハマー「ローン・レンジャー」の主役と、赤丸急上昇中の今が旬の男優である。いずれもイイ男で、これから映画界を背負って立つ存在だ。ここでも2人の頑張りが目立つ。むかしのリメイクと書いてあるが、ちょっとちがうよな。

当時の西側陣営の映画ではKGBのスパイは、どの映画でも敵そのものなのだ。それと西側の諜報組織が組むというのは絶対ありえなかった。ここでは新たにこの映画シリーズを造ろうとするがごとく、共通の敵というべきナチス残党およびその血をひいた悪党をつくってストーリーを成り立たそうとしている。しかし、2人の主人公それぞれにいつでも敵(米に対する露、露に対する米)を始末していいよと指令が出ていく。それなので、最後の最後までお互いの対決が見られそうな展開が続くところに緊張感を生むところがうまい。

1.ナポレオンソロ
スパイ映画全盛時代である。アルフレッド・ヒッチコックも「007」の流行に影響され、ポールニューマンとジュリー・アンドリュース主演の「引き裂かれたカーテン」なんて作品を撮っていたし、日本が舞台のショーンコネリーの「007は二度死ぬ」が大ヒットして、子供だった自分たちもわけもわからず、スパイごっこをしていた。
このワルサ―の銃にしびれたんだよなあ。↓


そんなころ、ロバート・ボーンとデイヴィッド・マッカラム「0011ナポレオン・ソロ」のスティール写真をみて我々子供も興奮していたが、当時はまだ小学校低学年で夜9時にはもう寝ていた。気合を入れて起きようとしても、すぐ眠ってしまう。それなんで2人のカッコいい姿は印象深くてもストーリー展開はまったくわからない。

このテレビシリーズはテーマソングも実にカッコよかった。ベンチャーズ「秘密諜報員」とともに「ナポレオン・ソロ」のテーマ音楽を演奏していたレコードを持っていて針ですりきれるくらい聴いたものだ。本当に懐かしい。
これはベンチャーズの「ナポレオンソロ」のテーマ



2.ごきげんな60年代映像
テーマ音楽からしびれまくる。時代がかった盗聴器やテープレコーダーなどが映ったり、60年代後半の匂いがプンプンする映像に興奮する。自分がこの世の車で一番好きなジャガーEタイプがでてくる。この時代のしなやかな欧州車のボディラインは本当に美しい。それにあわせて、2人の美女がいかにもその当時のスタイルで出演するのがニクイ。

2人を煙に巻いて、騙し騙されあう教授の娘を演じるアリシア・ヴィキャンデル峰不二子のように自由奔放にふるまう。自分にはヒッチコックの「鳥」「マーニー」で主演したティッピ・ヘドレンの匂いを感じた。このオレンジのドレスはクレージュ製だそうだ。なるほど。自分が大学生の頃はクレージュのバッグ持った女の子いっぱいいたなあ。最近見かけないけど、本家のフランスではどうなんだろう。


同時に悪の親玉エリザベス・デビッキがしびれるほど妖艶だ。彼女はなんと190cmもあるそうだ。でけえ!!この小悪魔的な雰囲気はイタリア映画「黄金の七人」のロッサナ・ポデスタを連想させる。この映画の字幕がまさに「黄金の七人」のような感じで、ローマも出てくるので、なおのこと感じてしまう。見ようによってはパリスヒルトンにも似ているゴージャスなイメージだ。


そういえば、ディカプリオ版「華麗なるギャツビー」にもでていたね。モデルみたいでちょっとイメージが違うかなとあの映画では感じたけど、この映画の悪役はまさに適役だ。

ストーリーが途切れ途切れ理解できなかったけど、60年代の雰囲気を見ているだけでたのしい作品だった。

(参考作品)
引き裂かれたカーテン
ヒッチコックのスパイ映画


黄金の七人
エリザベス・デビッキは悪党女同士この映画のロッサナ・ポデスタとつながる
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ドローン・オブ・ウォー」 イーサン・ホンク

2015-10-28 20:02:39 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ドローン・オブ・ウォー」を映画館で見てきました。


総理官邸の上をドローン機が飛んでいたことがわかり大騒ぎになってから、日本でも一躍ドローンの存在が話題になり規制が加わった。この映画では、実際に中東の紛争地区でアメリカのドローン機がテロリストの疑いのある連中をゲーム感覚でミサイルで攻撃するという話だ。狙撃のためのスイッチを押しているのは1万2000キロ離れているラスベガスである。ちょっと驚く。

映画の内容はイーストウッド監督「アメリカンスナイパー」に似ていて、ドローン機の狙撃の名手が大量に人を殺すことで感じるストレスで精神が不安定になる主人公をイーサン・ホンクが演じている。厭戦映画ともいえるが、自分の知らない世界を描いて興味深い。

ラスベガス郊外の空軍基地の一角にあるコンテナで、テロリストの動きを常に監視しているチームの姿を映しだす。トミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、かつて戦闘経験豊かなパイロットであった。現在は紛争地域から約12000キロ離れた場所から、タリバンに攻撃を加える任務についている。地上3000mの高さに位置するドローンから映し出される映像が、テロリストのアジトを映しだす。間違いないと上司が判断した時、命令に従ってミサイルで攻撃するのだ。


上司のジョンズ中佐(ブルース・グリーンウッド)は、トミーの腕を高く評価している。トミーは、妻モリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)と幼いふたりの子供と近くの一戸建て住宅に暮らしている。監視は延々と続き、重要人物が射程に入った時は家にも帰れないことがある。ある日、新人の女性兵士スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)が入隊、トミーとコンビを組むことになる。スアレスは、ミサイルを誘導するレーザー照射の任務につく。2人が標的とする場所を民間人の子供が歩く、それなのに命令がくだり、関係ない人たちが巻き添えになってしまう。こういう理不尽な命令が続き、トミーのストレスは高まり、酒量は増え続けている。夫婦の仲もうまくいかなくなっているのであるが。。。


いくつかネタバレあります。

1.民間人を巻き込む狙撃命令
映画「アメリカンスナイパー」で狙撃された男が持っていた武器を小さい子供がもって射撃しようとしているところを主人公が狙いを定め、武器を捨てろ捨てろと言いながら、子供が武器を置いてその場を離れ、撃てなくてよかったとつぶやくシーンがあった。ここではモニターを見ている上司から容赦なく命令が下る。この要人を生かせていたら、いずれアメリカの一般人が被害を受ける。そう説得されて狙撃するが、まわりには無実の人たちも含まれている。むごいなあ。


モニターで、トミーと女性兵士がタリバンのナンバー2の隠れ家を監視している。ナンバー2の使用人らしい女性が、その隠れ家を訪れるタリバン兵らしき男から暴行を受けるばかりでなく、強姦される。ドローンが生々しく映しだし、女性兵士が顔をそむける。でも関係ない人物には何も手を出せないのだ。女性にとって屈辱的なシーンが何度も続き、女性兵士もだんだんイヤになってくる。でもこれでは終わらなかった。
ラストに向けて、この場面の決着が出てくる。それまでイヤなシーンが続いたが、妙にすっきりしてしまう。

2.攻撃結果確認
ミサイルで対象物を爆破したあと、何人が死んでいたか確認する場面が出る。「攻撃成果評価」とここでは言っている。民間人が絡んだちょっとやばい狙撃ではそれをしないが、基本的にはすべて行われる。ドローン機からの映像は鮮明でそれがわかるのだ。当たり前におこなわれるべき行為だと思うが、第2次世界大戦中の日本ではこれがおこなわれず、推測で戦果を過大評価し、誤った作戦に進んでいってしまったことが1人の大本営参謀堀栄三によって語られている。


戦果は大きくない。。。第一誰がこの戦果を確認してきたのだ。。。。やはりこれが今までの○○島沖海軍航空戦の幻の大戦果だったのだ。堀はそう直感した。ブーゲンビル島沖航空戦では、後になってみると、大本営発表の十分の一に足りない戦果であった。(大本営参謀の情報戦記 堀栄三より引用)

そして堀参謀は航空戦での戦果は大きくないと現地より電報を打つ。それでも「君の台湾沖航空戦の戦果判断は間違っている」と他の軍幹部にたじたじにされる。しかし、実際には大きな被害を受けていないアメリカの艦隊は正攻法でレイテ島に上陸し、日本軍はコテンパンにやられるのだ。

米軍は常に戦果確認機をだして写真撮影をするのが例となっているが、日本の海軍でも陸軍でもその方法は採られなかった。これが国運を左右する結果を招いてしまったことは肝に銘ずべきであろう。とにかく目で見ることは戦果確認の一番大事なことであった。(大本営参謀の情報戦記より引用)

台湾沖航空戦で大勝利したという誤った情報で、大元帥である天皇陛下にも誤った判断をさせてしまった。堀参謀の情報もありルソン島を守ろうとする山下奉文大将と寺内元帥の意見はまとまらない。それに対して天皇陛下は「一度「レイテ」で叩いて、米がひるんだならば、妥協の余地を発見できるのではないかと思ひ、「レイテ」決戦に賛成した。」(昭和天皇独白録より引用)
天皇陛下は台湾沖航空戦の誤った報告があったため、寺内元帥に指示し、山下大将はいやいや受けさせられた。それは単純に軍部が戦果確認をしていなかったということのせいだとすると軍の怠慢の責任は重たい。

上司や株主に対してはいい話をしたいのは山々だけど、結果がよくなくても正確に報告するのはビジネスでも同じだと思う。

3.無差別殺人とストレス
米軍によって日本領土は東京大空襲をはじめとしてたいへんな爆撃の被害を受けた。その戦闘機に乗っていた人たちは同じようなストレスになることはなかったのであろうか?無差別に爆弾を投下しているなら、相手の顔を見ることはない。それだけでも違うだろう。今回の主人公のようにドローン機から相手の姿やふるまいがはっきり認識できると、違うかもしれない。そんなことを思った。自分がこの主人公の立場になったら、命令には従うけど、同じような悪夢に襲われる気がする。

いろいろと考えさせられる映画だ。
いずれにせよ、科学の力による戦闘がひと時代前とちがうことを実感させる。

(参考作品)
アメリカン・スナイパー
天才狙撃者の精神の不安定


大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇
日本軍の怠慢さが顕著にわかる名著
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ジョン・ウィック」 キアヌリーブス

2015-10-21 19:05:44 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ジョン・ウィック」を映画館で見てきました。


キアヌ・リーブスが殺し屋を演じる新作の評判がいい。気になり足を運ぶ。CIAなどの諜報機関を引退したオヤジが、ひょんなことで事件に巻き込まれ、寝た子を起こされ立ち回るなんてパターンは多い。ここでも似たようなパターンだけど、むかし凄腕の殺し屋で今は堅気の主人公が昔は味方だったロシアンマフィアと対決するという話である。古典的なアクション映画の色彩が強く、なかなかおもしろいけど絶賛という所まではいかないなあ。

ニューヨークの片隅で、主人公ジョンウィック(キアヌ・リーブス)が車をぶつけながら、スマホで妻(ブリジット・モイナハン)と一緒の映像を見ながら感傷に浸っている。妻は病気で亡くなってしまい一人暮らしとなる。葬儀のあと遺言のように子犬がおくられ、妻の生き変わりと思って大事に扱うとする。


ジョンは69年型ムスタングを大事に乗っていた。ある時、ガソリンスタンドで給油をしていると、3人組の不良連中が同じように給油で来る。そのうちの1人ヨセフが車を気にいり、「いくらで譲る」といってきたが、売る気がないジョンはその場を立ち去る。
その夜、子犬の様子がおかしいので目を覚ますと、覆面をした3人組が家に侵入していて、ジョンは不意打ちをくらい倒れる。しかも子犬を殺して、カギをもってその場を立ち去った。


その3人は改造車をつくっている自動車工場へ向かう。首領格のエセフが工場主に改造を依頼すると、車に見覚えがある工場主がヨセフを問い詰める。ヨセフ(アルフィー・アレン)はロシアンマフィアの親分ヴィゴ・タラソフ(ミカエル・二クビスト)の息子で、工場は父親の配下にあるものだった。それでも工場主はヨセフを殴り追い返した。殴ったことに腹を立てた父親ヴィゴは工場主に電話を入れる。すると、工場主は「この車はジョンウィックのものだ。」と答える。ヴィゴは何も言えない。

ジョンウィックはロシアンマフィアのヴィゴと一緒に仕事をしていた殺し屋だったのだ。以前ジョンから恋人と一緒になるために足を洗うと聞いたとき、この殺しをやってくれたら赦すという条件をジョンが引き受け、仕事を完遂し、ヴィゴは今の地位を得たのだ。
えんぴつ一本でも人を殺せるという殺しの実力を知っているヴィゴはジョンに電話を入れるが、返事はない。すぐさま自分の手下をまとめてジョンの家に送る。ヴィゴは大勢の殺し屋をあっさりさばき、次の標的を息子のヨセフへの復讐とするのである。


このあとは、ジョンはまわりの護衛を倒せてもなかなか本丸にはとどかない。しかも、ヴィゴはジョンウィックの親友を殺し屋として雇い、それ以外にも女殺し屋を刺客としてジョンの部屋に送るが。。。

1.キアヌ・リーブス
「スピード」や「マトリックス」で名をあげたキアヌリーブスも今や51歳である。それでも根強い女性ファンがいるのか、アクション系映画では珍しく女性の1人鑑賞も目立つ。「るろうに剣心」の佐藤健のように次から次へとスピーディーに相手を倒す。この身動きは十分彼女たちの期待にこたえていることだろう。

格闘アクションでは柔道技が目立つ。外国のアクション映画で投げがこれほど多いのも珍しいし、関節技もよく見せてくれる。


この主人公は「ゴルゴ31」のような完ぺきな殺し屋というわけではない。最初に住居侵入された時も、不意打ちにあってしまうし、ラストに向かっては相手に拘束されてしまうことすらある。キアヌリーブス「三船のような人物」とインタビューで語っているのをみて、この時なるほどと思う。映画「用心棒」でも、三船敏郎演じる用心棒が圧倒的な強さをほこるのに、最後に向かってあっさり相手に拘束されてしまうシーンがある。そのシーンを連想した。強いだけでない人間性も示す。

2.殺し屋支援部隊
この映画では殺し屋の裏方も見せてくれる。ロシアンマフィアに自宅を襲われたときに、相手をコテンパンにやっつけたあとに、ワゴン車が来る。そこに乗っているのは「掃除屋」の連中だ。死体を運び、部屋をクリーニングをして匂いを消す。そんな奴らを映しだす。これって一回見たことあるなあ。
サミュエル・ジャクソン主演の「ザ・クリーナー」という映画で同じような「掃除屋」を映しだしたけど、今回見るのは二回目だ。こういう連中って日本にもいるのかな?そればかりは反体制系とご縁のない自分はわからない。

あとは、仕事をするときに宿泊する定宿のフロントマンだ。久々に来た主人公にたして、殺しのコンシェルジェ的仕事をする。相手にやっつけたときに、黒澤映画「酔いどれ天使」の志村喬のような闇の医師を手配したりもする。その時の報酬は金のコインだ。最初何と思ったけど、殺し屋界に流通する特別効果ということなのだろう。おもしろいなあ。

60年代の映画というと、冷戦を反映して米英ともに対ソビエトが鮮明な映画が多かった。今はロシアンマフィアがよく出てくる。働きものが多く、移民の中でも財を築いている人が多いという。この映画の中でも夜の遊び場スポットを映しだして、プレイボーイ誌のヒュー・へフナーみたいにロシアンマフィアが女をはべらせているシーンの印象は強く残る。

いつも思うんだけど、銃をバンバン撃っているのに、最後は武器なしで素手で戦おうってなること映画見ていると多いんだよね。
こんなことないでしょ。それにこの映画死んでもいいのに生かされることが多すぎ、それがマイナス


(参考作品)
ザ・クリーナー 消された殺人
死体の掃除屋登場する。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「アメリカン・ドリーマー」 ジェシカ・チャスティン&オスカー・アイザック

2015-10-14 18:53:45 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「アメリカンドリーマー 理想の代償」を映画館で見てきました。


「インターステラー」以来のジェシカ・チャスティン登場で、まだ自分が大学生だった頃のニューヨーク移民の話だという。主人公は「インサイドルーインデイヴィス」オスカー・アイザックである。一代で財産をつくりあげたニューヨークで商売を営む移民上がりの主人公が業況拡大をいやがるライバル業者の執拗な嫌がらせを受ける話である。80年代前半の退廃的なニューヨークの姿をあらわにした映像が気になり見にいった。原題は「A Most Violent Year」、まさにその年1981年はニューヨークが最悪に荒れきっていたころで映像でもその部分をあぶり出す。
しかし、内容の要旨がつかみづらい。異邦人の自分には理解不能な部分があるのか、雰囲気をつかみながらもそのまま成りで最後まで見たといった感じだ。

1981年、ニューヨークが舞台だ。ヒスパニック移民のアベル(オスカー・アイザック)とその妻アナ(ジェシカ・チャスティン)は灯油の販売でのし上がっていた夫婦だ。


石油の備蓄をして事業拡大するために、イーストリバー沿いでマンハッタンのビル群を見渡せる250万ドルの土地購入の手付金としてユダヤ人の地主に40%の100万ドルを支払った。その直後、彼の成功を阻止しようとする何者かの手によって、タンクローリーに積荷したオイルの強奪、誰かのタレこみによる地方検察からの嫌疑などの嫌がらせを次から次へと受ける。30日後に土地残金決済がきまっていたが、信頼していた銀行からの融資を突然断られる。アベルは金策へと動くが、簡単には150万ドルは用意できない。このままいくと、100万ドルが手付流しとなってしまうのであるが。。

日本ではせいぜい土地購入の手付金は10%である。ところが、ヒゲのユダヤ人売主は40%とる。銀行とは信頼関係で結ばれていたが、地方検察に立ち入り調査を受けていることや、タンクローリー強奪に抵抗した社員が銃をつかって撃ち合いになったことを警察にとがめられたことなどで、銀行が不審に思い融資が断られる。他に金の目当てはない。ひたすら金策するしかないのである。

八方ふさがりなのに、いまだ周りでは変な事件が起きる。
この映画は追いつめられた主人公がどう切り抜けていくのかをしっかり追跡する。




以下若干ネタバレだが

緊迫感のあるシーン1
従業員と無線で連絡をとりあって、何か危険なことがあれば知らせろということになっている。すると、自社のタンクローリーが襲われる事件がおきる。現場にすぐさま向かう主人公アベル。タンクローリーのあとを懸命に追うベンツ。緊迫感のあるシーンだ。車はクネクネと普通に道をそれ、地下鉄の横トンネルの中にまで入っていく。気がつくとタンクローリーは倒れている。


中には男がいたが立ち去る。逃げる男を主人公が追いかける。男は地下鉄で電車に乗る。閉まる寸前のドアに入り込むのをみて、あわてて車両に入る主人公だ。主人公は懸命に探すがわからない。そして見つける。このあたりドキドキしてしまう。

全体的にわかりづらい部分が多いけど、このあたりは万国共通のスリル

緊迫感のあるシーン2
手付流しを目の前にして、懸命に金策に走る主人公は高利貸しや同業者のあたりもまわる。なかなかうまくいかず、ユダヤ人の地主にいったら、3日だけ待ってくれるという。ここで妻アナ(ジェシカ・チャスティン)が登場、思いもかけない展開へ。そう彼女が助け船を出すのだ。


何が言いたいんだろう。自営業者の夫婦一心同体ということが言いたいのであろうか?このあたりは自営業者の人が見ると、何か思う所があるだろう。いや、サラリーマンでも妻に隠れてこそこそ悪いことをしていたが、最終奥さんにあと始末をしてもらうことがあるかもしれない。

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
オスカーアイザックのフォーク歌手ぶり


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「パパが遺した物語」 ラッセルクロウ

2015-10-07 19:54:49 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「パパが遺した物語」を映画館で見てきました。


もともと父娘の交情を描いた映画は好きで、予告編でピンと来て見に行ってきました。母を交通事故で亡くした後に父娘で生活することになった時の2人の話と25年後セラピストになっていた娘が精神の安定を失いながらも再生していこうとする話を交互に語っていく。
こういう映画にはいつも涙腺を刺激されるが、今回はまったくそうならなかった。
ここまで泣けないのはちょっと期待外れということかな。

作家ジェイク(ラッセルクロウ)は浮気を妻に見つかり、車の中で攻め立てられている時に交通事故を起こしてしまう。夫はなんとか助かるが妻は亡くなってしまう。結局7歳の娘ケイティ(カイリー・ロジャーズ)と2人で暮らすことになる。ところが、仕事がうまくいかないことで躁うつ病を発症し、かなり強い発作をおこすようになり長期の入院を余儀なくされ、娘は妻の姉(ダイアンクルーニー)の家族のもとで預けられる。7ヶ月たって退院して、娘を迎えにいくと、義姉より養女に欲しいと言われる。父ジェイクは当然拒否し、娘を連れ帰る。その後も義姉夫婦は作品が売れず困窮している父への不信感から引き取ろうとするのであるが。。。


25年後、ケイティ(アマンダ・サイフリッド)は大学院で心理学を学び、心理セラピストになっていた。しかし、幼少時のトラウマがあるせいか、精神的に不安定で夜バーで一晩限りの関係をもつ男あさりをすることがあった。その後父の作品を読んだことがあるという作家志望の青年キャメロン(アーロン・ポール)と知り合う。


会話を重ねるうちに一気に魅かれていくのであるが、長い間に身についていた悪い習慣から抜けきれずにいて、夜1人で飲んでいる時に男を誘惑してしまう。それがキャメロンにもわかってしまうのであるが。。

それにしても脇役の顔触れすごいよなあ。ジェーンフォンダ、オクタビア・スペンサーのアカデミー賞受賞組だけでなく最年少でアカデミー賞主演女優賞の候補になったクヮヴェンジャネ・ウォレス、フランスの美人女優ダイアンクルーガ―などちょっと良く集めたよね。でも活かせていないんじゃない。泣けない期待外れの話をするのもちょっとどうかと思うけど、ネタバレありでちょっと語ってみる。

1.父親(ラッセルクロウ)
なかなか作品がうまく書けずスランプになり、躁うつ病になってしまうという構図はありがちだ。ここではかなり強い発作を発症する場面を序盤戦から何度も映す。2回もアカデミー賞の主演男優賞をゲットした実力があるラッセルクロウだけにこのあたりの演技は抜群で、症状を研究して演技に臨んだ感じもうかがえる。でもそれだけなんだよなあ。


7ヶ月間預けた先の義姉に養女にするということを何度も言われる。それ自体もストレスを加速させる原因だ。しばらく子供を預かった母親が、育てた子供から離れたがらないなんて話は自分の身内にもよくあるしわかるけど、ちょっと大げさにとれちゃうんだよなあ。
それはそれでいいけど、訴訟をおこしたり、その弁護費用のために父親が必死の金策をしたりということがあるけど、その後がちょっとあっさりしすぎじゃない。ここまできたら、徹底的に主人公たる父親ジェイクを窮地に追いやってもいいような気もするけど。このストーリーの作り方が不満

2.娘(カイリー・ロジャーズ&アマンダ・サイフリッド)
娘役のカイリー・ロジャーズはかわいいし、演技力も抜群だ。将来のハリウッドスターになる十分なる素質があると思う。うまい。
売り出し中のアマンダ・サイフリッドも決して悪くない。精神の不安定さを表情や化粧で表わすところはいいと思う。口を利かなくなった黒人の少女のカウンセラーの逸話もいいいけど、25年後の逸話がどうしても中途半端に見えちゃうんだよなあ。


それにしても、新しいステディな恋人がいるにもかかわらず、夜男あさりをして、自宅に連れ込んでコンドームを恋人に発見されるあの構図はストーリーだから仕方ないけど、妙に不自然だな。恋人と同棲する家にゆきずりの男を連れてくるのも不自然だし、普通処理したあとのコンドームはわかならないようにするでしょう。うかつというよりもこんな子っている??

そういえば「パパが遺した物語」の内容ってどんななんだろうね。
ポテトチップス以外何も触れられていないけど
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「セッション」 J・K・シモンズ&マイルズ・テラー

2015-09-23 09:18:48 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「セッション」を見た。

確かにラストにかけての9分19秒での緊張感はすばらしい。
緊張感が高まったり、静まったりする振動の中で悪い方向に発散するのではなく予想とちがう結果に収束していく。お見事だ。


予告編でJ・K・シモンズがかなり過激な音楽指導をする場面は何度も見た。名門音楽学校の伝説の鬼教師フレッチャーはまったく理不尽にしか思えないイヤな野郎だなと思っていたし、事実映画を通じてイヤな奴だ。スポーツ系に多い話だが、厳しい指導で締めあげるけど最後はサクセスをつかみよかったよかったというパターンになるのかな?と思いしや、そうはいかない。しかも迷彩をかけて我々をだます。

名門のシェイファー音楽院に入学するニーマン(マイルズ・テラー)は、バディ・リッチに憧れている19歳のドラマーだ。音楽院の新学期が始まり練習に励んでいるニーマンの前をスタジオ・バンドを率いているフレッチャー教授(J・K・シモンズ)が通りかかる。黙ったまま、フレッチャーは立ち去る。ある日、ニーマンは、フレッチャーに呼ばれる。「明朝、来い」と。バンドにはドラムの主奏者がいるのに、フレッチャーは自分のバンドに移籍するよう、ニーマンに命じる。喜んだニーマンは、行きつけの映画館で、売り子のアルバイトをしているニコル(メリッサ・ブノワ)をデートに誘う。


フレッチャーの練習が始まると、トロンボーン奏者は「出ていけ!」と追い出されてしまう。ニーマンがドラムを叩く。フレッチャーは、形相を変えて、ニーマンに椅子をぶつける。完璧を求める狂気のレッスンでニーマンは罵声を浴びせられ泣き出してしまう。それでもその後手から血が出るほど、練習に打ち込む。


フレッチャーのスタジオ・バンドが、コンクールに参加する。ニーマンは、ドラム主奏者の譜面めくりを担当するが、うっかりドラムの譜面を置き忘れてしまう。主奏者は暗譜していない。決勝戦ではドラムは譜面を覚えているニーマンが急遽務めることになり、練習の成果が出てバンドは優勝する。

フレッチャーは、ニーマンをドラムの主奏者に据える。しかし、フレッチャーは、正式な主奏者の地位をめぐって、コノリー、タナーとと競わせる。フレッチャーはコノリーを誉める。抗議するニーマンに、フレッチャーは冷たい。ニーマンは、せっかく付き合いはじめたニコルに別れを告げる。


フレッチャーは正式な主奏者を決めるため、課題曲の「キャラバン」を3人を罵りながら演奏させる。ニーマンの手から血が滴るが、結果主奏者となり、大会にフレッチャーのバンドが参加する。ところがとんでもないハプニングがニーマンに起こるのだ。


主人公ニーマンはフレッチャーの狂気のレッスンという恐ろしい状況に陥るが、それだけではすまない。いったん平穏な状況になったと思いしときに困難が彼の元を襲う。これも半端じゃない。次から次へと波状攻撃で窮地に立たされ、主人公は追いつめられるのだ。このリズムが最後まで続く。片時も穏やかにならない。それなのでここまでのすばらしい映画となるのだ。

以下はネタバレあり

1.デュークエリントン「キャラバン」
この映画のメインでニーマンが演奏するのが「キャラバン」である。デュークエリントンの曲では「A列車で行こう」に次ぐ知名度であろう。中東の匂いをさせるエキゾティックなリズムが基調にあり、さまざまなプレイヤーがカバーしている。
1952年のエリントンバンド↓



セロニアスモンク、オスカーピーターソンの名ジャズピアニストばかりでなく、ベンチャーズのギター演奏もすばらしい。高校あたりのブラスバンドあたりもやっているよね。この映画では名ドラマ―であるバディリッチのバージョンを意識している。デュークエリントンのバージョンではここまでドラムス活躍していない。
バディリッチの「キャラバン」↓



2.クラウゼヴィッツの戦争論と師弟の葛藤
この映画を見ていてクラウゼヴィッツの「戦争論」の一節が頭にこびりついてきた。それほど、ニーマンとフレッチャーの葛藤の強さにしびれたのだ。
「戦争においては、かかる強力行為、即ち物理的強力行為は手段であり、相手に我が方の意志を強要することが即ち目的である。」
(戦争論 クラウゼヴィッツ著篠田英夫訳より 以下も同様)
一度はむかついてつかみかかったニーマンだけど、こんな暴力では自分の意志は当然強要できない。
それ以上のパフォーマンスが相手に打ち勝つには必要だったのだ。

「我が方が敵を完全に打倒しない限り、敵が我が方を完全に打倒することを恐れねばならない」
ニーマンとフレッチャーが再会し、2人は再び同じステージに立つことになる。まずはニーマンに「お前がばらしたな」とくぎを刺す。しかも、ニーマンに譜面を渡していない曲でフレッチャーは最初の曲を指揮し始める。あわてるニーマンはぎこちない演奏しかできない。完全な意地悪だ。落胆していったんステージを降りたニーマンはもう一度戻る。


それでもフレッチャーは「スローの曲」をはじめるとアナウンス
そこでニーマンが激しくドラムをたたきはじめる。そして「キャラバン」をやるのだとベースにリズムの催促をする。
意表を突いた攻撃である。この瞬間は本当にしびれる

「我が方の意志を敵に強要しようとするならば、実際に敵の防御を完全に無力にするか、さもなければ確実に無防御になるおそれがあると思はせるような状態に追い込まねばならない」

ビッグバンドもそれに続き、トロンボーンはソロを奏でる。
スタートしてしまったらこっちのもの相手は無防御状態だ。それでもお前を殺すなんて脅すのだが、完全にニーマンのペースだ。
そうして「相手に我が方の意志を強要すること」という目的が達成され、フレッチャーも表情に心変りが見える。ニーマンもそれに応える。最後に向けてまたまた意外な展開

それにしても最後の9分19秒はすごい

WHIPLASH 
J・K・シモンズの怪演
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「カリフォルニア・ダウン」 ドウェイン・ジョンソン&ポールジアマッティ

2015-09-20 09:52:07 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「カリフォルニアダウン」を映画館で見てきました。

ネバダ州で観測史上世界最高の地震が起き、その断層ズレはロスだけでなくサンフランシスコまで被害をもたらすという壮大な話である。ロスレスキュー隊のパイロットが閉じ込められている娘を救出に出るという話に焦点をあてる。


パニック映画ってそんなに見ない。でも今回の「カリフォルニア・ダウン」の解説をよんで、最新CGを駆使した地震の映像ってどんなものなのか急に気になってくる。映画の大画面でみるとさすがに迫力ある。地震でビル群が崩れ落ちるシーンや大きな津波にサンフランシスコの街が襲われるシーンなど、一度や二度の恐怖のシーンでなく最後の最後まで波状攻撃でくるので眠気に襲われることが全くなく最後まで見れた。


1300kmに渡る超巨大地層“サン・アンドレアス断層”が横ずれ、大地震を巻き起こし平穏なカリフォルニアに猛烈な揺れが襲う。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスを容赦なく破壊、都市文明が壊滅していく危機の中、高度上空での特殊任務に従事する消防庁ヘリコプター・レスキュー隊の凄腕パイロット、レイ(ドウェイン・ジョンソン)は捜索救難チームとして出動。崩落寸前のビル屋上に別居中の妻が取り残されたことを知り、自ら操縦するヘリで駆けつけ間一髪で救出。そしてサンフランシスコにいる娘ブレイク(アレクサンドラ・ダダリオ)の救助に向かう。


話の要旨はざっとこんなところだ。
いきなりドキッとする救出シーンを見せる。
アメリカ西部ロスアンゼルス郊外、突然起こった地震の落石で、女性が運転する車が道路から崖の側面に転落してしまう。車内に残されてしまった女性を救出すべくレイ(ドウェイン・ジョンソン)率いるレスキューチームがヘリコプターで出動する。だが、車に救助に向かった隊員は、車両と崖の間に片腕が挟まり、身動きがとれなくなる。レイは両者を助けるため、自らロープを下ろして降下する。ヘリコプターの墜落危険が迫るなか、なんとか全員を助ける。

クレパス状になっているところにある車からの救出だが、ヘリコプターで侵入するのが大変
それなのにレイはきっちり仕事をする。まずはレイの実力を映像で見せるというわけだ。

でも物語の定石どおり、レイには欠落しているものがある。家族である。
主人公レイは妻と別居していて離婚同意書も手元に送られてきている。娘から自宅に残した荷物を届けてほしいと言われて向かうと、大富豪である妻のボーイフレンドもいて、2人は同居することが決まっているようだ。落胆するしかない。

でも妻がピンチになっていると聞くと出動する、続いて娘を探しに行くのだ。日本で震災時にレスキュー隊員が真っ先に家族を助けたなら、大バッシングを浴びるはずけど、ここが違いかな




1.世界的大地震
ポールジアマッティ演じる大学教授が地震の講義をしている。東日本大震災もスケールの大きい地震だったが、これまで一番大きかったのは1960年のチリ地震だったそうだ。マグニチュード9.5というのもすごい。何と11分揺れ続いていたそうだ。マグニチュード9.0の東日本大震災の時も長く揺れるなあと思っていたが、11分も強く揺れているとこの世も終りと思ってしまうだろう。ハワイのヒロ島に10mの津波が襲ったようだし、遠く離れた日本にもすごい津波が押し寄せ人命を奪ったのも有名だ。

この映画ではそれを超えるマグニチュード9.6の地震が西海岸エリアを襲うという設定だ。
ここで見せる映像の迫力はさすがハリウッド映画というべきものだ。


2.ポールジアマッティ
好きな俳優である。今回は地震の権威を演じる。まさに西海岸を舞台にした「サイドウェイ」のワイン好き国語教師役はうまかったし、その前後の「アメリカンスプレンダー」のオタク役「シンデレラマン」の鬼コーチ役も絶妙にうまい。特に鬼コーチ役あしたのジョーの丹下段平ばりの演技はすばらしかった。その後もずっと追いかけてきて、最近ではビーチボーイズのブライアンウィルソンを描いた「ラブ&マーシー」の精神科医役も彼ならではの味を出していた。


父親はなんとアイビーリーグの名門イェール大学の学長だというインテリ家系で本人もイェール大学出身である。こういう大学教授の役はDNAだけで演じられるかもしれない。

3.地震についてのツッコミ
ビルの倒壊
マグニチュード9.6のすごい地震なんだろうけど、ちょっとビル群壊れすぎじゃないの?古い建物ならいざ知らず、巨大といわれるロス地震をも経て造られたビルならいくらなんでもここまでの被害はないでしょう。911の時にビルが崩れ落ちたけど、あの場面を意識している。あれは突っ込んだ飛行機が強い熱をもっていたからでしょう。でもこのくらい大げさにしないと観客は喜ばないか


ビル10階以上まで津波があがるのかな?
東日本大震災でもっとも高いところまで押し寄せたのは、女川の笠見島で43Mだそうだ。通常のビルで階高平均3Mとして14階くらいかな?今回は津波を避けるためにサンフランシスコの坂を上っている。そこに建っているビルだから海抜で適度な高さだ。そのビルで12階から15階まで津波がくるのかな?アメリカの映画なので、綿密に裏付けをしているとは思うが、ちょっよ高いような気がするんだけど

(参考記事)
ワイルド・スピード SKY MISSION
ドウェイン・ジョンソンのド迫力


サイドウェイ
カリフォルニアを舞台にしたポールジアマッティの初期の名作


大地震
その昔のロス地震映画、当時は日本でも大ヒット
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「おみおくりの作法」

2015-09-09 17:49:29 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「おみおくりの作法」は2015年日本公開の英国映画

孤独死した人を弔う民生係を描いた作品である。題名から日本映画「おくりびと」を想像してしまうが、主人公は葬儀屋ではなく公務員である。地味そうにみえて映画館には足を運ばなかったが、非常に繊細で胸にしみる映画であった。


ロンドンの南部ケニントン地区の民生係ジョン・メイ44歳(エディ・マーサン)はひとりきりで亡くなった人の葬儀を執り行うのが彼の仕事である。几帳面で、何事にもきちんとしているジョン・メイは、孤独死した人の家族を見つける努力を怠らない。彼らのためにしかるべき葬礼の音楽を選び、その人ごとに弔辞を書く。亡くなった人々の魂が、品位ある方法で眠りにつくのをきちんと見届けるのが彼の作法だった。

毎日同じ服を着て、遅れることなく仕事に行くジョン・メイ。まったく車が通らないような道であっても、渡る前には必ず左右確認。毎日同じ昼食をとり、帰宅すると同じメニューの夕食をとる。夕食後には、これまで弔った人々の写真をアルバムに収めるのが彼の日課だ。


ある日の朝、ジョン・メイの真向いのアパートで、ビリー・ストークという年配のアルコール中毒患者の遺体が見つかる。いつも亡くなった人の想いを汲み取り続けてきたジョン・メイだが、自分の住まいのすぐ近くでその人を知らぬままに孤独のうちに人が亡くなってしまった……。小さなショックを受けるジョン・メイ。さらに、その日の午後、ジョン・メイは解雇されることを言い渡される。「君は仕事に時間をかけすぎだ」。

こうして、ビリー・ストークの案件はジョン・メイの最後の仕事になった。これまで以上に仕事に情熱をかたむけるジョン・メイ。彼はビリー・ストークの部屋から古いアルバムを見つける。そこには、満面の笑みで笑う少女の写真が貼られていた。ジョン・メイは写真を手掛かりに、ロンドンを飛び出してイギリス中を回り、ビリーの細切れの人生のピースを組み立ててゆく……。(作品情報より)

1.孤独死した人の死後処理をする仕事
日本でも高齢化が進み、老人の孤独死がときおり話題になる。この主人公はまさに孤独死の人たちの死後処理を一手に引き受ける公務員だ。部屋の中に残された故人に関わりのある資料を手がかりに、親族や友人を探す。しかし、孤独死するくらいであるからみんな故人に関わりをもちたくないのである。それでも、主人公は葬儀に参列し弔辞を書く。1人しか参列しないこともよくある。寡黙で誠実な男でバカまじめといってもいい。どちらかというとまじめな日本人に多いタイプのような気がする。

2.最後の仕事
孤独死した人の葬儀を出してあげるだけでも費用がかかるし、遠くまで故人の身寄りを探すとなると交通費もかかる。経費過多と上層部がみなしても、それ自体はおかしなことではない。上司は時間をかけ過ぎだと解雇されてしまう。これはちょっと大胆かなという気もする。
最後の仕事は自分の身近でおきたことである。アル中男だったけど、残された少女の写真を見て、今まで以上に親身になって探してしまうのだ。英国中を探しまわり、元妻や娘、そして昔の友人にあう。誰もいい顔をしない。それでも主人公は地道に追っていく。


公務員が最後の仕事に執着するというのは黒澤明監督「生きる」に似たパターンだ。志村喬演じる区役所の職員が公園をつくろうと最後の力を振り絞って仕事をする姿は胸にしみる。志村扮する職員はがんに侵されているという設定だが、ここでは解雇での最後の仕事と設定は違う。でも両者には通じるものがある。

3.最後に向けてのどんでん返し(軽いネタバレだけど)
最後の仕事を情熱をもって成し遂げようとしつつあるとき、主人公は思わぬ災難にでくわす。孤独死で誰も立ち会わない葬儀にも出席してきた主人公には家庭の匂いが全くしなかったが、災難に出くわした時誰も面倒をみないとはちょっと悲しいなあと思ってしまう。
でも最後に奇跡が起きる。


人のためにしてあげたことは必ず返ってくると言わんばかりの持っていき方だった。
他人に尽くすことの大事さを改めて感じさせてくれただけでもこの映画を見た甲斐があった。ケビンコスナ―「フィールドオブドリームス」を見たときに感じた後味であった。

(参考作品)
おみおくりの作法
解雇された公務員の最後の仕事


生きる
がんに侵された役所職員が最後の力をしぼって仕事する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ギリシャに消えた嘘」 ヴィゴ・モーテンセン&キルスティンダンスト

2015-09-06 06:06:17 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ギリシャに消えた嘘」は2015年日本公開のサスペンス映画だ。

公開当時仕事多忙で見に行けなかった映画の1つだ。「太陽がいっぱい」「見知らぬ乗客」という映画史に残るサスペンスの原作者パトリシア・ハイスミスの作品と聞けば、見てみたくなる人は多いだろう。題名から連想して地味系の欧州映画と連想してしまったのは軽率だった。帽子をかぶった主人公の顔をみてヴィゴ・モーテンセンと気づかなかったし、キルスティンダンストも洗練された女の雰囲気でポスターからは想像がつかない。


自分が一度も行ったことのないギリシャでのロケが中心で、遺跡をバックに出演者の服装も粋でバックの音楽が情感を高める。
見てみるとなかなかセンスのいい映画だ。

1962年。ギリシャのアテネでツアーガイドをしているアメリカ人青年ライダル・キーナー(オスカー・アイザック)は、パルテノン神殿を訪れた際、優雅な装いのアメリカ人夫婦、チェスター・マクファーランド(ヴィゴ・モーテンセン)と若く美しいその妻コレット(キルステン・ダンスト)と知り合う。


コレットの依頼でガイドを引き受けたライダルは、夫妻と夕食を共にして、楽しいひと時を過ごす。その夜、夫妻の元へ1人の探偵が訪ねてくる。チェスターは、ニューヨークで裏社会の連中を相手に投資詐欺を働き、大金を奪って逃亡中だったのだ。揉み合いの最中、誤って探偵を殺害してしまったチェスターは、偶然ホテルにいたライダルに嘘をつき、協力を要請。やむなくライダルは偽造パスポートの制作を知人に依頼し、後日、クレタ島で受け取る段取りを整える。


アテネを脱出し、船とバスを乗り継いでクレタ島に向かう途中で身の上話を語り合う3人。しかし、親しげにコレットと接するライダルに嫉妬の炎を燃やしたチェスターは、次第に酒を飲んで粗暴な言動を繰り返すようになってゆく。一方、ラジオのニュースでチェスターが探偵を殺害した事実を知ったライダルは、正当防衛が認められるからと自首を勧めるが、相手にされない。逃亡を助けて共犯者となったライダルも、既に後戻りできない。夫婦を殺人容疑で指名手配した警察が大規模な捜査を開始しているようだが。。。

1.ヴィゴ・モーテンセン
「ヒストリーオブバイオレンス」で演じた裏社会から堅気に変貌しようとした影のある男が最も印象深い。死んだ双子の兄弟になりすました1人2役で演じるアルゼンチン映画「偽りの人生」もよくできている。
サマースーツが似合う紳士で顔がバタ臭い。ヴィゴだと気づかなかった。


裏社会の男たちを相手に投資詐欺をやったら、ただじゃ済まないだろう。こういう時のマフィアにしろヤクザにしろメンツをかけて徹底的に追う。ニューヨークから遠く離れたギリシャにいても追手の探偵は見つけてしまう。しかし、探偵は功を急ぎすぎてヴィゴにやられてしまう。正当防衛だけど、取り調べを受ければ、姿を隠して逃げまくっている自分の正体もばれてしまう。とっさにガイドの手を借りて探偵の部屋へ死体を運ぶのだ。しかも、その場でホテルから脱出する。ここから逃走劇がはじまるのだ。

2.キルスティンダンスト
「スパイダーマン」のヒロイン役が出世作だけど、ソフィアコッポラ監督「マリーアントワネット」も新婚早々のかわいい姿が中心の演技だったのでかわいいイメージがこびりついている。彼女も一瞬気がつかなかった。


30代をすぎて少し色っぽくなったのかもしれない。下着姿が妖艶である。

3.パトリシア・ハイスミス
「見知らぬ乗客」は戦後のヒッチコックでは代表作の1つ。交換殺人を持ちかけられたテニスプレイヤーを窮地に陥らせるスリリングな展開が痛快で、最後のメリーゴーランドのシーンを最初に見たときはびっくりした。ルネ・クレマン監督アランドロン主演の「太陽がいっぱい」は、アランドロンの姿がかっこいいので、自分が少年時代は下敷きの中にこの写真を入れている女の子がいっぱいいた。でも、映画はその写真のイメージとは裏腹でドロドロしているし、本当の最後に悪巧みがわかってしまうのがミソ。

いずれも、犯人をあてるというよりも、悪さをした犯人が逃げ切れるかに焦点があてられる。「ギリシャに消えた嘘」もそういった意味では同じかもしれない。最近は悪さをしても逃げ切れる脚本が時折あるので、映画の最後までひやひやするが、パトリシア・ハイスミスの原作だと、一時代前の作品なので、結局つかまってしまうんだろうなあと自分は読みすぎてしまう。


4.アルベルト・イグレシアス
流れている音楽のタッチが不安を増長させるなかなかいけるものだ。何か違うなあと思っていたらアルベルト・イグレシアスの作曲だとわかる。スペインのペドロアルモドバル作品でエキゾティックな音楽を奏でている。こういう情熱的な音がギリシャの美しい景色をバックに流れるのはいい。風景の力と音楽の力がかみ合っている。

(参考作品)
ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヴィゴ・モーテンセンがカッコよすぎ


見知らぬ乗客
パトリシア・ハイスミス原作でヒッチコックの演出が冴える。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ナイトクローラー」 ジェイク・ギレンホール

2015-08-26 19:09:10 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ナイトクローラー」を映画館で見てきました。

夜のロスを舞台にした、スリリングでドキドキしながら楽しめる快作だ。
ジェイク・ギレンホールの一人舞台の怪演が光る。


テレビのワイドショーでは凶悪犯罪の報道にかなりの時間がかけられているのは、日本もアメリカも同じだ。日本でもときおり読者提供と称されるすごい映像が見れることがある。ここでは警察無線を傍受して事件現場に一目散に駆けつけ、きわどい映像を映し出してそれをテレビ局に売り飛ばす男の物語である。

この男はワルである。
そもそもコソ泥した盗品を買い取り業者に引き取らせることを生業としている悪いやつだ。その男がひょんなことから、事件現場の映像をテレビ局に売りつけると、金になることを知りはまっていく。映画の中では軽い紆余屈折があるが、この男は生活力がありたくましい。ひと時代前だったら、こういうワルの手口を成功させようとすると、映倫系で厳しいチェックが入ったはずだが、最近はどうなんだろう。
ワルが有利に話を終えるパターンも割と多く、最後までどっちに転ぶかヒヤヒヤして見れる。
眠気を全く起こさせないように映画は一気に2時間駆け抜ける。面白い!!お見事!

眠らないロサンゼルスの街で、闇にまぎれて金網を盗もうとしている男(ジェイク・ギレンホール)がいる。呼び止める警備員を殴り倒した男は、戦利品を車に載せて工場に売りつける。そこで男は自信満々で自分を売り込み、「コソ泥は雇わない」と断られても笑顔で去って行く。この不気味な男の名は、ルイス・ブルーム。友達も家族もなく、ネットとテレビと共に孤独に暮らしている。

帰り道、交通事故現場を通りかかったルイスは、事件や事故報道のスクープを専門にしている映像パパラッチ、通称〈ナイトクローラー〉と遭遇する。悲惨な映像がテレビ局に売れると聞いたルイスは、盗んだ自転車と交換にビデオカメラと無線傍受器を手に入れる。
その夜から警察無線を盗み聞き、車で現場に急行するようになったルイスは、カージャックの被害者の撮影に成功する。しかも先に到着していたナイトクローラーより接近した生々しい映像だ。


あるテレビ局に早速映像を持ち込むと、女性ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)が映像を買い取ってくれた。そこで「視聴者が求めているのは、刺激的な画。さらに望ましいのは被害者が郊外に住む白人の富裕層で、犯人はマイノリティや貧困層。」とアドバイスをもらう。ルイスは、何か撮ったら一番に彼女に連絡すると約束するのだった。

 本格的に事業を始める決意をしたルイスはアシスタントを募集し、面接に来た住所不定で何の特技もないリック(リズ・アーメッド)を僅かな賃金で雇う。助手席で進路を指示する仕事さえ満足にできないリックを冷酷に叱咤するルイス。 


 ある夜、住宅街の発砲事件に駆けつけるが、負傷者もなくハデな映像は撮れそうになかった。ルイスは被害宅の裏に周りこみ、関係者たちの隙をついてコッソリ中に忍び込み、冷蔵庫の生々しい銃弾跡の横に家族の写真を置いて撮影する。映像を持ち込まれたニーナは「最高の素材よ!」と絶賛、編集担当の「不法侵入だ」という制止を振り切って放映する。
 それからもセンセーショナルなスクープ映像を次々にモノにしたルイスは、車はスピードの出る赤い高級車に、機材も最新型に買い替える。壮絶な横転事故の無線を傍受した時も、その車で誰よりも早く現場に駆け付け、絶好のアングルのために、ルイスは血だらけの遺体を車の下から引きずり出すという暴挙に出る。


ネットで学んだビジネスノウハウや格言を狂信し、成功だけに邁進するルイスに、怖いものなど何もなかった。そんな絶頂への階段を駆け上がるルイスに、思わぬ落とし穴が待っていたが。。。(作品情報引用)

夜のロスアンゼルスを描いた作品なので期待して見に行った。ロスには魔物が住んでいるとよく言われる。サスペンスもので比較的新しいのでは「カリブの熱い夜」「マルホランドドライブ」と現代の夜のロスを的確にとらえた傑作が多い。その期待はまったく裏切らなかった。
最新の「ミッションインポッシブル」は娯楽として実に楽しめたが、最終的にイーサンハントが死ぬわけがないという先入観がある。ここではワルの設定の主人公が最後までどうなるのかわからない。事件のある場所へ車ですっ飛んで行く姿にはすごいスピード感もあるし、次どうなるのか予測がつかない展開がドキドキさせる。

1.ジェイクギレンホールと主人公
ジェイクギレンホールとは相性がいい。最近ではヒュージャックマンと共演した刑事役の「プリズナーズ」はおもしろかったし、「ソディアック」グゥイネス・パルトロウとの共演の「プルーフオブライフ」も自分の好きな映画だ。

この主人公は高等教育を受けてない。でも弁がたつ。ネットのビジネススクールで学んだという。ビジネス本で語られるようなセリフが次から次へとでてくる。しかも、要領よく生きるすべを知っている。こういうワル賢いやつって日本にもいる。育ちは悪いけど、実生活での「私の大学」を出て生活力のあるたくましい男である。アメリカも一部の高学歴の連中に支えられているようにみえるが、実は悪知恵のはたらくこういった男もかなりいるんだろう。かなりの早口でセリフを全部理解できなかったが、dvd化の時にもう一度セリフをかみしめてみたい気もする。


2.ルネロッソ
主人公ルイスが売り込む先のテレビのディレクターだ。「あれ?どこかで見たことある」と思いつつ、途中でルネロッソだと気がつく。イーストウッドの「シークレットサービス」、メルギブソンの「身代金」はいずれも悪役に切れ味のあるムチャクチャおもしろいサスペンスだし、トラボルタの「ゲットショーティ」もいい。50年代セクシーハリウッド俳優の系譜を受け継ぐ色っぽいルックスには昔から魅了されていたので、懐かしい感じがする。その彼女も60代、何で彼女が起用と思ったら、なんと監督のダン・ギルロイの妻だという。なるほど


ルイスが映像を売り込むと同時に、彼女を口説こうとするシーンがある。「あなたの倍の年齢なのになんでくどくの。。。?」と彼女はためらうが、結局デートすることに。確かにこの2人実年齢も倍近い。さすがにルネロッソは60になってもきれいだけど、いくらなんでも脱げないよね。

3.最後の逸話(ネタバレあり)
ラストに向けて緊張感が高まる。
いつものように警察無線を傍受する。強盗犯らしい。しかも、ニーナがネタになると言っている高級住宅街で起きている。
現場へ速攻で行くと、警察はまだ来ていない。まだ犯人が住宅の中にいてドンパチやっている。それを隠れて撮影すると同時に、犯人の2人が逃げるところをカメラがとらえる。車のナンバーも撮っている。
そのあとで、豪邸の室内に入る。すでに殺されている。それをじっくり映像に撮っていく。


警察がいつ来るのかと思うと、見ているこちらもドキドキしてくる。相棒は外で待っている。全部撮り終わってテレビ局へ向かう。映像を見せるとディレクターはビックリ。同時にギャラのアップ要求を出す。
あまりにきわどさに周囲は放映をとまどうが、ディレクターは思い切ってオンエアーさせる。

放映後しばらくして、刑事の訪問をルイスは受けるが、犯人の顔や車のナンバーについて何も言わない。
そうしているうちに、主人公は犯人の車のナンバーから人物を特定して、密かに内偵する。そして2人が中華料理屋に入っているところを警察に通報するのだ。ここから最後に向けての緊迫感はなかなかだ。予測が立たない。(さすがにこれは見てのお楽しみ)
この展開の見事さに思わずうなってしまった。

(参考作品)
プリズナーズ
ジェイクギレンホール出演犯人が読みづらいサスペンス


身代金
今よりはずいぶんと若いルネロッソ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「博士と彼女のセオリー」エディ・レッドメイン

2015-08-12 05:55:20 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「博士と彼女のセオリー」は2014年のアカデミー賞主演男優賞受賞作品である。


公開当時ものすごく忙しく見に行けなかった。待望のdvd化ですぐ見たが、映画全体を流れるほんわかした感じが自分には合っている。
天才科学者の物語って割と好きなほうだ。こういう天才って何から何までできるというわけでなく、どことなく抜けている場合が多い。そのギャップを埋める女性がそこに登場することが多い。この作品はその女性による手記がベースになっているようだ。

ケンブリッジ大学の大学院で天才物理学者として将来を嘱望されているスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)がパーティで中世スペイン詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、二人は恋に落ちる。そしてスティーヴンはペンローズの特異点理論を宇宙に応用できるのではと考えた。ところが、スティーヴンの身体に異変が起こる。医師の診断では難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症で余命2年という宣告を受ける。落胆してひきこもってしまう。しかし、恋の覚悟を決めたジェーンは、彼と一緒に病気と闘う道を選択し二人は結婚する。


2年目には子供も生まれ、「時空の特異点」の論文で博士号を得ることができた。それでもスティーヴンの病状は進行し、車椅子が手放せなくなる。その後スティーヴンは「ブラックホールの消滅」を提唱した論文を発表し、ネイチャー誌の表紙を飾る。ジェーンはスティーヴンの介護と2人の子供の養育に疲れ、教会の聖歌隊に通うことになる。そこで運命の男性と知り合うのであるが。。。

1.エディ・レッドメイン
自分の不勉強のせいか、スティーヴンホーキングの学問上の業績というのは知らない。よく雑誌やテレビで見て、彼が宇宙についての博学だといわれてもぴんと来なかった。生まれながら小児まひにでもかかったのかなと思っていた。大学院時代に発症して、余命少ないといわれた時は本人も動揺しただろう。でもこの病気で今でも生きているのは脅威だ。


ここで語られるのは無神論者のスティーヴンホーキングだ。英国では生活の基盤が信仰であるのに、宇宙論を信じる彼にとっては神などいない。

オペラ公演の最中にスティーヴンは肺炎で病院に担ぎ込まれる。医師はジェーンに対して、昏睡状態にあるスティーヴンの生命維持装置を外すことをアドバイスした。ジェーンはそれを断固拒否する。スティーヴンを声が出なくなっても生かせるために、喉を切開して呼吸装置を付ける。

このあたりはドツボにはまっていく感じだ。

2.奇妙な四角関係
ジェーンは気分転換のため、週に1度教会の聖歌隊に通うことになる。そこで聖歌隊の指揮者ジョナサンと知り合う。その後、ジョナサンは息子にピアノを教えるため、スティーヴンの家に出入りするようになる。これまでと状況が一変する。スティーヴンも何かおかしいと嫉妬心を見せる。ここで接近してしまうのがなんか嫌な感じだけど、スティーヴンがこんな感じだと仕方ないのかな?しかも、スティーヴンがヨレヨレなのにジェーンが第三子を妊娠する。おいおい本当にスティーヴンの子なの?と周囲まで思ってしまう。つらいよね。ジェーン。


手術後声を失ったスティーヴンは新たな訓練が始まったが、エレインという女性を看護師兼教師役として雇う。コンピュータプログラムによる合成音声を使っての意思疎通がエレインとの間で頻繁になるにつれて、新たな関係が生まれてくるのである。

これはとんでもない四角関係だけど、成り行き上、仕方ないのかもしれない。

3.フェリシティ・ジョーンズ
このやさしいムード好きだなあ。ちょっと奥手のホーキングと結ばれるシーンはジーンとくる。このあたりの恋愛映画としてのリズムは最高だ。


ところが、ある時から豹変していく。スティーヴンの介護と子供たちの世話に明け暮れる中で、次第に疲れ果ててくる。それはそうだろう。この看病に付き合うのには忍耐がいる。これが映画の最大のテーマなんだろうなあ。




(参考作品)
博士と彼女のセオリー
障害をもってしまった天才物理学者の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」 トム・クルーズ

2015-08-09 19:30:34 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」を早速映画館で見てきました。


気がつくと前作より3年半経つんだね。あの時はドバイの高層ビルをよじ登るシーンに度肝を抜かれたが、今回も予告編をみると、トムクルーズが離陸する飛行機につかまっていくシーンはすごすぎる。当然のごとく、映画館に足を運ぶ。夏休みのせいもあって、少年たちの姿が目につく。アメリカでは早速興行成績ランキング1位で初登場、幸先いいらしい。

タイトルの「ローグ・ネーション」とは米国、ロシア、英国各国の秘密機関からドロップアウトした元エリート・エージェントたちがつくった組織だ。これがなかなか手ごわい。しかも、CIA長官からIMFの存在自体が否定されてしまうということで、自分の居場所がなくなるイーサンハントは絶体絶命だ。ベラルーシ、ウィーン、モロッコ、ロンドンと次々舞台を替えてド派手なアクションをみせる。

IMFのエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は謎の多国籍スパイ組織<シンジケート>を秘密裏に追跡していたが、催涙ガスによって敵の手に落ちてしまう。目覚めると後ろ手に拘束されており、目の前には謎の女(レベッカ・ファーガソン)と、3年前に死亡したはずのエージェントがいた。まさに拷問が始まろうとしたその時、女は驚くべき格闘術でイーサンを脱出させる。


IMFのアナリストブラント(ジェレミーレナー)からIMF解体を知らされたイーサンは<シンジケート>の殲滅を誓うのだが、彼は国際手配の身となっていた…。組織の後ろ盾を失ったイーサンと仲間たちは<シンジケート>とどう闘うのか?敵か味方か、謎の女の正体とは?そして究極の諜報バトル、その結末は―??(作品情報より)

映画が始まってすぐに、予告編で見せたシーンを見せる。一気に観客を興奮させる魂胆だ。映画ファンは誰もがトム・クルーズがスタントなしで過激なシーンに挑むことを知っているのでドキドキする。でもこれだけでは最初の10分で映画は終了してしまう。
ウィーンのオペラ座での立ち回り、カサブランカでのカーチェイス、ボンベなしで水中に潜ったりなど次から次へとアクションは用意されている。

印象に残ったシーンをネタばれありで語る。

1.飛行機につかまるシーン
よくやるなあというのが本音。時速400KMのスピードで軍用機は離陸して1500Mの上空に上昇する。さすがのトムクルーズもやらなきゃよかったとまで思わせるようなそのアクションを合計8回のテイクを演じたそうである。


2.オペラ座での立ち回りとトゥーランドット
ウィーンのオペラ座で、味方か敵かわからない謎の女とシンジケートのメンバーが政府要人をねらっている。それを阻止しなければならないシーンにはうなった。プッチーニの「トゥーランドット」が演奏される中で、舞台裏で懸命にイーサンハントと敵が戦いを続ける。ヒッチコックの「知りすぎた男」でも使われている手であるが、ドキドキ感がすごい。このシーンが大好きだ。

荒川静香さんがオリンピックで金メダルを取った時の「イナバウアー」のバックに流れたのが「トゥーランドット」だ。一番有名な「誰も寝てはならぬ」は、あのトリノ・オリンピックの開会式で世界三大テノール歌手の1人パヴァロッティがこの曲を歌ったのがあまりに印象が強いからね。

パヴァロッティのトゥーランドット↓



映画に関係ないけど荒川静香さんの「トゥーランドット」をバックにした金メダル演技↓




3.カサブランカでのカーチェイス
映画「カサブランカ」で有名なモロッコ・カサブランカの街中でド派手なカーチェイスが繰り広げられる。いつもは人が大量にたむろっていると思われる街中に人がいない。完全に撮影のために閉鎖されているんだろう。こんなこと日本じゃ無理だよな。そこをBMWの最新モデルM3を使って、バイクを追い細い道を走りまくる。最後には強烈なバック走行のあとで空中ジャンプするシーンがでてくる。さすがにこれはスタントだろうなあ。


でもそれだけでは終わらない。ヘルメットなしでものすごいバイクチェイスが繰り広げられる。山道をスポーツバイクであるBMW S1000RRで素っ飛ばす。前を走るのは謎の女だ。自動車の間をくりぬけていく。カーブを全速力で曲がるが、日本のオートレースのバイクのように器用に曲がる。モロッコの山道じゃ舗装もされていないところもあるだろう。最後は謎の女のせいでエライ目に会うが、ご愛嬌


4.レベッカ・ファーガソン
ミステリアスな存在である。謎の組織に属するのに、イーサンハントを助ける。でも味方か敵だかわからない。
この映画じゃ完全にトムクルーズをくっているような存在だ。


敵の上に飛びついてひねり倒していきなり大男を始末する。普通の女の子とは違う、ダイナミックな身動きが堂に入っている。どうやら映画の出演が決まってから激しいトレーニングをしたようだ。それにしてもスウェーデン出身というレベッカは色っぽいなあ。自分はオペラ座のドレス姿が一番好きだ。


いつもながらの手を思いっきりふる「トムクルーズ走り」を見ているとまだまだやってほしいと思ってしまう。



(参考記事)
ミッションインポッシブル ゴーストプロトコル

コラテラル(自分の一番好きなトムクルーズ作品)

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
ドバイの超高層ビルをよじ登るトムクルーズ


コラテラル
稀代の殺人鬼を演じるトムクルーズ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」ヴィム・ヴェンダース

2015-08-05 06:18:01 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」を映画館で見てきました。


世界的な報道写真家セバスチャン・サルガドの膨大な作品と、本人へのインタビューで構成するドキュメンタリーである。映画解説を読んでいて、ものすごい写真がいくつかあり、自然に映画館に引き寄せられた。予想通り見応えのある映像でおすすめのドキュメンタリーだ。。

20数年前、映画監督ヴィム・ヴェンダースが、写真家セバスチャン・サルガドが撮った一枚の写真に魅せられる。難民となったトゥアレグ族の盲目の女性の写真である。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などドキュメンタリー監督としても精力的に活動するヴィム・ヴェンダースは、サルガドの長男で映画作家のジュリアーノ・リベイロ・サルガドが共同監督を務め、この作品を作り上げた。


セバスチャン・サルガドもともと写真家を目指していたわけではない。ブラジルの小さな農場主の息子として生まれて経済学を学んだ後にフリーランスの写真家になったのだ。


南米やアフリカにいったり、貧困にあえぐアフリカ難民の姿を撮ったり、被写体は多岐にわたる。結局被写体が人間から自然環境になった理由、そして生まれ育った農場を干ばつによる荒廃から植林によって再生させた活動“インスティテュート・テラ”を映しだす。
彼が撮ってきた写真の歩みにインタビューを組みこむ。その映像の迫力はすごい。
予告編↓




ネタばれ気味だが、いくつか印象に残る写真をピックアップする。

まずは金鉱で働く労働者たちの映像にびっくりする。アリの巣のようだ。
 

ブラジルの金鉱セラ・パラーダを見渡したサルガドが言う。「体中に鳥肌が立った。人類の歴史とピラミッド建設の歴史、バベルの塔やソロモンの洞窟だった」5万人いる労働者たちは金鉱山を金の入った砂を取ろうとして1日に何度も上下往復する。これは命懸けだ。見るからにヒヤヒヤするが、落ちる人はいないという。サルガドは、カメラを担いで1日に何度も往復して撮るのだけど、この場面を最初に見た時は恐れおののいただろうなあ。






なんとも言えない美しさである。よくもまあこんな大群の被写体に近づいたものだ。
白クマに接近する映像もいい感じだ。


クウェートが侵攻され、油田が破壊される映像も凄い


映画の最後に出てくる。アマゾン奥にいる部族が近年発見されて、そこを訪れる。全裸であごのところに角みたいなものがある。女の人が赤い色のパウダー??を塗りたくっている。この部族についての記述は16世紀のイエズス会の著述にもあるそうだ。昔の人って冒険家なんだよね。この人たちイスラムの一夫多妻でなく一妻多夫なんてことがあるらしい。女性天国だ。

メインはエチオピア、ルワンダ、コンゴの難民たちの悲惨な姿を撮った写真だ。あまりにも悲惨なのでここには載せない。
サルガドは、時間をかけじっくりと被写体に寄り添い撮るらしい。どう考えても、これらの写真はホテル住まいで撮ったものでなく。キャンプに寝そべって撮ったのであろう。栄養失調で苦しみ、コレラで死んでいる人たちの中で生活するってこと自体が信じられない。

(参考作品)
Genesis
サルガドの写真集


Africa
写真集
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「K2 初登頂の真実」

2015-07-29 17:51:52 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「K2 初登頂の真実」は2014年日本公開のイタリア映画

公開時から気になっていた映画をようやく見れた。
過酷な登山のシーンが映し出される中、エゴ丸出しの人間模様が語られる。


世界最難関の高峰K2(8611m)。それは世界最高峰のエベレストよりも登頂が圧倒的に困難とされる標高世界第2位の「非情の山」。1954年、その名誉ある初登頂を果たしたのは、アキッレ・コンパニョーニ、リーノ・ラチェデッリの二人。本来であれば、その偉業を達成した二人は国を挙げて祝福されるはずだった。しかしイタリアは「登頂は隊全体の名誉」として、長い間その名前を公表しなかった。その陰で、50年以上に亘って1954年のイタリア隊によるK2初登頂をめぐりクライマー達の思惑、そして名誉を懸けた訴訟が繰り広げられていた。

世界第2位の高峰初登頂の記録が公になるとともに、隠されていた事実は明らかになり、アキッレ・コンパニョーニ、リーノ・ラチェデッリの名前が世界に知れ渡ることとなる。結果的に54年のイタリア隊はK2初登頂に成功したが、頂上アタックにおけるメンバー間の齟齬はヴァルテル・ボナッティを精神的に傷つけることとなってしまう。デジオ教授による下山後の登山報告書や、登頂から10年後のマスコミの報道などで、K2初登頂におけるボナッティの役割が歪曲して記録、報道されたことが発端で、50年以上にわたりヴァテル・ボナルッティは裁判で争い、初登頂から54年後にようやくK2登頂における事実が認められた。2004年にはCAI(イタリア山岳会)の公式見解も訂正され、名誉回復がなされた。

1.K2について
中華人民共和国の新疆ウイグル自治区とパキスタンのギルギット・バルティスタン州との国境にある、カラコルム山脈に属する山である。標高は8611mでエベレストに次ぐ世界第2位の標高である。人里から遠く離れた奥地にあるため、19世紀末まではほとんど人々に存在を知られることもなかった。不安定な天候や地形の厳しさにより世界第2の高峰であると認知されたのは、他の8000メートル峰よりも後の事である。


中国側からのアプローチは困難なため、ほとんどの登山者はパキスタン側からアプローチをする。K2は世界最高峰のエベレストよりも登る事が困難な山と言われている。その理由として、人が住む集落から離れているためアプローチが困難であること、エベレストよりも厳しい気候条件、急峻な雪崩、滑落の危険性などが挙げられており、冬季における登頂は未だ達成されていない。2010年までの時点で、エベレストの登頂成功者は延べ5104人、K2の登頂成功者は延べ302人。遭難者の数も多く、4人に1人が命を落とすと言われている。


2004年初頭の時点で登頂に成功した女性登山家は5人。しかし、5人全員が下山中に死亡あるいは遭難死している。2009年6月、イタリアのミシェル・フェイトが山頂からの滑降に挑戦したが転倒して死亡。当時、同行していたスウェーデンのプロスキーヤーは翌2010年再挑戦するも、滑落死。2011年8月カルテンブルンナーらは再びK2にアタックし無酸素登頂を成し遂げたが、カルテンブルンナー自身は4度目の挑戦であり、パーティーには7回目の挑戦となるメンバーもいた。

2.ストーリー概要
1954年、イタリア・ミラノでは野心家のデジオ教授が密かに最強のアルピニスト・チームを集めていた。厳しいトレーニングで中には肉体的、精神的な限界にぶつかる者もいた。だが、皆前へ進みたい。登頂したいのだ。強靭な精神力と足腰を持つ青年ボナッティはその代表格だ。最終的には12人が選ばれる。


男たちが地球を半周し命知らずの登攀を始めると、それぞれの個性がぶつかり合い、結束したチームに嫉妬と不信が見え隠れし始める。だが、嵐、雪崩、高山病、そしてクライマー感の葛藤の中でそれぞれのクライマーはただならぬ闘志を見せ、徐々にチームの結束力が高まっていく。ところがボナッティは失意の底に落ちる。最終的にデジオは頂上アタックのクライマーとしてコンパニョーニと、彼自身にもう一人選ばせる、という決断を下したのだった。


しかし、最年少のボナッティは、遅れる仲間を引っ張り上げ、高所でも無類の強さを発揮していた。そんなボナッティに初登頂の偉業を奪われると危惧したコンパニョーニは、荷揚げ予定のボナッティが届きそうもない、当初予定していた場所より高い位置までのぼりキャンプを設ける。何も知らず頂上アタック用の酸素ボンベを荷揚げしたボナッティはキャンプ予定地に到着するが、誰も何も見当たらない。彼は、疲れ切ったハイポーターをかばいながら必死のビバーグを強いられた挙句、ハイポーターが重度の凍傷を負った為、下山せざるを得なくなる。そんなボナッティが必死の思いで荷揚げした酸素ボンベでコンパニョーニと彼に選ばれたラチェデッリは、K2初登頂へ向けて出発するのであった…(作品情報より)

けっこういやらしい話だなあ。
フィクションと思われるそれぞれの家族の話がからまっていくんだけど、功を誰がつかむかでエゴがもろ出てきてしまう。
山のシーンを除くと、いかにも楽天家っぽいイタリア人の話といった映画なんだけど
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする