映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

師走を前に

2009-11-30 20:56:20 | Weblog
金曜日は元上司との飲み会を神楽坂で
土曜日はライバル会社の支店長さんと大宮で飲み会でした。
日曜日はのんびりとたたずみ過ごす。

神楽坂の高そうな店で懐石を食べる。それも良いけれど、お酒も高そう。
個室で雰囲気も良い。外に出たら二次会にないそうな店がいっぱい。すごいなあ。
お土産に五十番という店の中華まんをもらった。ものすごくでかい。
日曜日に蒸かして食べようとしたら、いくらやっても蒸かせない。妻が不機嫌だった。

土曜日は大宮の西口の割烹で飲む。
なぜかライバル会社の人も何度かきたことのあるらしい店。
ジャンボ油揚げとそばがうまい店だ。
そこを出て、女性のつく店を二軒はしごして帰った。

日曜日は娘と卓球場に行き、卓球で遊ぶ。
娘も前よりは期末テストの点数がよくなさそうだ。失敗したといっていた。
まあそういうこともあるだろう。

会社の11月の数字はまだまとまっていない。異様に悪すぎた前年に比べるとどうやらプラスになりそうだけど、きびしいなあ。本社報告の明日の朝まで営業は踏ん張る模様。明日の朝を迎えるのが、不安と期待で複雑だ。

民主党政権が決まったときに、この景気の悪さは決まったようなものだった。イヤーきつい。前からの持論で、ブログでもいっているけれど、円安誘導以外に手はないと思う。為替円売り介入をやりすぎるくらいやらないと、日本経済は絶対ダメになる。円安誘導で大企業の活力を回復させることで、末端の中小企業まで金がまわるようになるのだ。ハイテク株中心の日経平均も上がるのは間違いない。そうすると心理状態が急転する。現政権も組合母体の連合が支持団体で、しかも社民党が連立政権に入っていると経済音痴のかたまりで世の中は破滅になるのは間違いない。まあすぐには為替介入はやらないであろうから、こういうときこそ海外旅行に行かなくてはも思う。
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エイプリルの七面鳥 ケイティ・ホームズ

2009-11-26 06:17:12 | 映画(洋画:2000年以降主演女性)
いわゆる感謝祭が過ぎた。thanks giving dayをテーマにした映画の一つである。トムクルーズの奥さんケイティホームズがごく普通の女の子を演じる。

ケイティホームズはニューヨークで家族と離れて一人暮らしをしている。黒人の恋人が一人いる。もともと仲が良くなかった彼女の母親パトリシア・クラークソンががんにかかっている事を聞き、ニューヨークのアパートに感謝祭の日に招待する。ケイティは七面鳥のローストを恋人と一緒に調理しようとする。ところが、オーブンが壊れていた。焼けないことに気づき、同じアパート内の住人の中をオーブンを貸してもらおうとあたふたと歩き回る。一方パトリシアをはじめとした家族は一緒になってニューヨークに向かいはじめるが。。。。

1時間20分程度の小品である。そんなにいろんなことは語らない。ニューヨークのアパートに居住している一癖のある多国籍の住人たちとの関わり。仲たがいしても強く残っている親との絆。それらを短い時間で語っていく。
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甘苦上海3

2009-11-25 21:25:20 | 
もう一度甘苦上海読み直している。

1年少し連載されていたわけだが、読み直して見ると4冊は割とあっさり読める。前回指摘したように、自分の同級生に照らし合わせて、読んでみたりもした。その友人にかかわりのある会社名や地名も出てくる。いずれにせよ、上海は街路に名前があるのが素敵だ。

図書館で上海の写真集を借りた。買うほどのものではないからね。時代は小平が復活して統治しているころの上海だ。光景が若干違う。外灘の由緒ある建物だけでなく、街中の建物がみな戦前から残っておるもののようだ。今でも貧しそうな人はいるが、このころはもっと多そうだ。なんせ文化大革命や四人組の粛清など大事件が次から次へとおきた訳である。このころフランス租界の大邸宅は紅衛兵によって人民に解放なんていっていたのであろうか?

甘苦上海3で衡山路とクロスする東平路の光景が出てくる。このあたりは日本で言うと、麻布~六本木に向けてといったところか?香港の中環セントラルにも素敵なエリアがある。でも東平路のあたりの方が素敵だ。時代を経て残っている古い洋館が多いせいであろう。しかし、ランカイフォンなんて素敵なバー街が香港のセントラルに接してある。猥雑な感じで、セントラルで働く欧米のエリートたちがお酒を楽しんでいる。上海の「新天地」は作られた空間といった印象が強い。猥雑な感じが少し薄れると、楽しくはない。むしろ観光地に近いのではないか?文中に出てくる四川料理俏江南はたくさん支店がある。安定した良い味を出してくる。新天地に近いランドマークにある店が良い。夜のイルミネーションも美しく街並みもきれいだ。

そういったエリアが次から次へと甘苦上海には出てくる。作者はきっと違うというだろうが、私はその昔の田中康夫「なんとなくクリスタル」を連想させる。あの作品でも次から次へと当時の東京の最先端スポットが出ていた。年齢は大学生たちと、中年の遊び人たちと設定は違う。でも主人公紅子ときっと成長したであろう「なんとなくクリスタル」の主人公の年は一緒のはずだ。こんな風に成長してしまうということかもしれない。京との関係にさまよう激しい官能的な表現は、クリスタルの主人公が感じていたそれと似かよっている印象だ。

作者はきれいなところだけを見せるのではなく、中国の真実のようなところに入っていく。カラオケ嬢を作品の中で登場させる。しかも、彼女たちのルーツ、田舎まで追いかけていく。そこには都市部との落差が激しいものが存在する。彼らの顔を見ると、そこに住む人たちの年齢は、明らかに今の日本人よりも10歳はふけていると思う。紅子は運転手と一緒にそこへ向かう。作者は取材で当然田舎の方も行ったはずだがタイムマシーンに乗ったような錯覚に陥ったのだと思う。いかにも中国は奥が深い。
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結婚式にでて

2009-11-24 06:40:13 | Weblog
22日は宇都宮で部下の結婚式があった。
昨年は4回あったが、今年は初めてである。
宇都宮には5年いたことがある。平成7年から12年にかけていた。いろんな思い出があるところである。

駅からタクシーで15分程度乗ってつくと、モダンな白い建物の結婚式場であった。中学生のときの陸上部の先輩女性と結婚する話だ。なんとロングランの恋なのであろう。しかも、人口1万2000人ほどの田舎町の出身者同士である。地元の隣組のおじさんおばさんがたくさん出席していた。それだからか、出席者は150人もの大多数で貸切だ。夫側の主賓のため、トップバッターのスピーチである。難なくこなして、ひたすらワインを飲みまくっていた。
恥ずかしながら、結婚式最後のお涙頂戴の場面は苦手である。娘のことを考えてしまうと、なぜか涙が出てしまう。それにしても、結婚式もずいぶん変わってきた。かなりこった演出である。ひたすら感心する。引き出物がやけに多かった。それを見て妻が東京の結婚式はボッタクリだといっていた。

2時に披露宴が終わってすぐ帰ればいいものの、会社の人間がせっかく宇都宮に来たんだから餃子を食べていこうという。タクシーに宇都宮一番の老舗みんみんの本店に向かうように話をした。ところが、横を通るとものすごい大行列になっていた。こりゃダメだと駅に向かった。駅にもみんみんがあるので、そこへ向かったがやはり大行列。それで適当に餃子屋に入った。
正直宇都宮だからものすごいおいしい餃子が食えるというわけではない。みんみんもごく普通の味である。ただ、宇都宮の餃子屋がすごいのは、餃子しかないことである。ラーメンとかはないのだ。焼き、揚げ、水の3種類だけで商売が成り立つんだからいいよね。駅前の無名の店で餃子をつまみに5時前までひたすら飲みまくった。

その後は大宮でみんなですこし飲んだ。家に帰ったのが7時過ぎ。延々7時間近く飲んでしまった。若い連中は時計が翌日を示すまで飲んだらしい。翌日は体がだるかった。娘と勉強する約束がどうも調子が出ない。今週末は期末テスト。中間は学年9位で今度はもう少し上を狙っているが、はたしてどうなることやら?
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マイティ・ハート アンジェリーナ・ジョリー

2009-11-23 15:53:03 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
パキスタンの大都市カラチで、ウォールストリートジャーナルの記者が何者かに誘拐され姿を消した。記者の妻であるアンジェリーナ・ジョリーを中心に描いていく作品である。

アンジェリーナ・ジョリーと夫である記者はカラチを去ろうとしていたところ、アンジェリーナは妊娠中で身重である。夫はユダヤ人、それを隠しながらイスラム系組織の取材を続けていた。ところが、夫が誘拐される。手がかりを得ようと妻や捜査当局は懸命に探していくが。。。

アンジェリーナはいつものようなどぎついメイクは落として、かなり薄いメイクである。パキスタン人が数多く出てきて、話が展開するが、どうも話のテンポが緩慢な気がした。大きなヤマがあるわけでなく、今ひとつ楽しくはなかった。
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母一周忌

2009-11-23 15:37:59 | 家族
11月23日は母の命日である。
21日に妹と一緒に高輪の寺に行った。1年なんて早いものである。品川の家に寄ったら、葬儀屋さんがきて花を届けてくれた。ありがたい。初盆の時も含めていろいろとお世話になった。

死ぬ寸前、母がモルヒネの影響で意識を失った。ある意味安楽死に近い状態だったのかもしれない。その状態が突然来て、本人が一番驚いたのであろう。
思えば3年前、ガンが分かって、母と一緒に大学病院にいった。そこで担当医から聞いたのが「あと半年の命」ということ。本当に驚いた。悲しくなり、涙が出て母の顔を見れなかった。でもまだ体力があり、約2年間抗がん剤治療をやった。母もまだまだ生きたい気持ちで頑張ったと思う。しかも、父の具合も悪かったせいもあり、「父を先に看取りたい気持ち」だけが強かったのかもしれない。

死んだ後すぐよりも、最初に医師から母の状態を聞いたときの方が悲しかった。死んですぐ、葬式の段取りに終われて、悲しいどころの話ではなかった。葬式には450人の人が来てくれた。中にいる自分には分からなかったが、外は大行列だったそうだ。でも母の親友が京都からわざわざ来てくれたのが何よりうれしかった。その時、なぜか「冬のソナタ」の音楽が流れていた。悲しくなった。
そんな日からはや一年、今どうしているのであろうか?

母が死んで、昔の母の日記を読んだ。嫁いだ東京での生活で、向上心を持って生きているのがよくわかる。自分の母親ながら、けなげな印象を受けた。結婚してすぐ子供ができた。自分である。父が結婚して間もないので、最初の子は流そうと言っていたと書いてあった。でも、祖父祖母に話が伝わり、生むことになったと聞いた。父の意思が通ったら、今の自分は存在しない。日記では当時の五反田の様子もよくわかる。母が結婚前つとめていた田村町の話も出ている。結婚して慣れないときに、田村町の会社の先輩によく連絡しているのがよくわかる。田村町の名前はもうなくなっている。一度その住所を追いかけに新橋に行ってみたい。生まれた五反田の産婦人科は今ラブホテルになっている。

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私をスキーに連れていって  原田知世

2009-11-22 07:36:01 | 映画(日本 昭和49~63年)
ここに来て寒さが増してきた。ジングルベルが鳴るころには、毎年この映画を観ながらスキーの計画を練ったものだった。この映画を観るとスキーに行きたくなる。そういう吸引力を持った87年のホイチョイプロダクションによる作品である。90年代のトレンディドラマの流れを先駆したという意味で、日本映画界における存在感が大きい映画だと私は思う。

三上博史は独身スキー狂。商社勤務で地味な軽金属部にいるが、むしろ田中邦衛がいるスポーツ部に入りびたりである。昔からの仲間である沖田浩之、原田知世の姉上、布施博、高橋ひとみとつるんでスキーに行っている。今回は三上の相手になる女性一人を連れて来ているが彼はのれていない。そんな時、ゲレンデで出あったのが原田知世である。初心者に毛の生えたような腕前だ。その彼女を指導しつつ仲良くなる。しかし、後もう一歩というところで布施博が同伴の女の子を二人がいる前につれてきて、仕方なく三上は一緒にすべる。原田は落胆して、仲間の鳥越まりと去ろうとするが、三上は原田の電話番号を聞く。

しかし、街に戻って原田の電話番号をまわすが通じない。どうやら偽の番号を教えられたようである。失意の中、仕事で大きな失敗をしてしまい、上司と一緒に役員の部屋に怒られにいった。その時お茶を持ってきたのがなんとゲレンデで逢った原田知世であった。同じ会社の秘書課にいたのである。。。。。

ユーミンの「サーフ&スノー」が出たのはこの映画の10年以上前だと思う。正直どうってことないなあと思っていた。しかし、この映画のイントロで流れるのを観て、スキーには欠かせない曲になった。映画の内容の詳細は忘れても、三上博史が車でカセットを入れるシーンが忘れられない。「恋人がサンタクロース」も同様である。ゲレンデで流れていると、ノリが良くなる。

何よりも「ブリザード」だ。滑走不可の雪山の中、原田知世三上博史が追いかける有名なシーンがある。今回もそこでこの曲が流れたとたん、やはり背筋が「ゾク!」となった。最高である。この映画のためにつくられたわけでないのに、ものすごく合っている。この映画の後くらいからであろう。冬にユーミンのCDがバカ売れしたのは。それにこの映画は多少は影響している気がする。

原田知世三上博史が滑っているところを指で「バーン」と撃つ、これまた有名なシーンがある。なんとかわいいことか。角川映画であたりまくったあとでこの映画ができたと思う。そこに絡むのが、原田の姉上と高橋ひとみである。スタート前に路面の状態を指で触った後に、セリカで暴走する二人の姿は実にかっこいい。当時スキーをすべる連中にセリカがはやった気がする。

布施博が売れ始めたのもこの映画からではないか?満面に笑みを浮かべた彼のやわらかさがよく出ている。亡くなった沖田浩之も突っ張りキャラから転換するきっかけになった。「とりあえず」なんていいながら防水のカメラを写すシーンが懐かしい。

70年代後半には、大学からゲバ棒をもった学生がじょじょに去っていった。気難しいことは言わず、能天気にみんなで遊ぼう。という空気が強くなった。最初は不良の溜まり場に過ぎなかった「ディスコ」が大学生の溜まり場になっていったのが70年代を終えようとしたころで、80年代はまさに一般学生の社交場になった。そういう学生生活を送っていた連中が社会人になって、その生活をひきづるようにスキー場に繰り出していったのである。自分もそうだった。良い時代だったと思う。
でも残念ながらもう10年以上ゲレンデに立っていない。娘とまた復活するか。

参考作品

彼女が水着にきがえたら
原田知世&織田裕二で昭和の終わりを楽しむ


波の数だけ抱きしめて
中山美穂&織田裕二


私をスキーに連れてって
これを見たらスキーに行きたくなる
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ブラックレイン  松田優作

2009-11-21 22:22:01 | 映画(洋画 89年以前)
マイケルダグラス全盛時の大阪を舞台にした89年の作品。マイケルダグラス、アンディガルシアと当代きっての役者が揃い、日本側も高倉健、松田優作、若山富三郎と対抗する。遺作になると意識したのか?松田優作の狂気の演技が実に光る。

マイケルダグラスはニューヨーク市警の刑事。強引な捜査で評判の悪いオートバイ狂である。その彼がたまたま昼食時レストランで松田優作が日本人ヤクザを懲らしめ殺すところに出くわす。それを見たマイケルダグラスは決死の思いで松田を捕らえる。しかし、日本大使館の意向で日本へ護送することとなり、マイケルダグラスとアンディガルシアは日本への引渡しに同行する。飛行機が着き内田裕也とガッツ石松の刑事たちが出迎え、松田優作を引き渡す。さてこれから遊びに行くかと思ったところで、本物の刑事が現れる。騙されたことに気がついたら逃げ去られていた。
大阪府警にマイケルとアンディが向かい、捜査を担当することになった日本人が高倉健である。言葉が通じない、地理がわからない場所でマイケルたちは松田優作を追うことになる。。。。。

この映画も久しぶりに見る気になった。ちょうど89年、大阪のバブルの絶頂に私も大阪へ異動になった。細かいところは覚えていなかったが、日本に到着したときに、松田優作が仲間に連れ出されるシーンが非常に印象的でそれだけはよく覚えていた。

こうやって久しぶりに見ると、いくつか気になるところがある。リドリー・スコット監督は近未来映画「ブレードランナー」を作るときに、日本人街を登場させている。あの映画と若干ダブる場面が多い。しかし、「ブレードランナー」の不自然さと比較すると、大阪で撮られているだけあって、よりリアルな感じがする。
大阪の道頓堀のナンパ橋の近くで撮ったシーン、梅田駅の阪急デパートの横で撮ったシーンは良くぞここでロケしたなあという印象。自転車がわっさわっさ行き交う工場のシーンもなかなか難しいロケである。

あとは暴走族がたびたび登場する。いまでこそかなり減ったが、89年の日本では暴走族はまだまだたくさんいた。リドリースコットは何かのきっかけで暴走族をみて、映画に取り入れようとしたのであろう。ある意味ヤクザイコール暴走族のような感覚である。十三の街中やモータープールの中でのシーンでは彼らを思いっきり走らせる。

マイケルダグラスは「危険な情事」「ウォール街」の後、「氷の微笑」の前で人気絶頂のときである。今よりも若く、動きもよくかっこいい。高倉健は格で出演しているが、普通かな?でもクラブでアンディガルシアとレイチャールズの「ホワット・アイ・セイ」を歌うのは日本映画では観られない光景かもしれない。ご愛嬌だ。

何よりもすごいのは松田優作である。ここにはオーディションで選ばれ出演したようだ。そこで見せる狂気の表情がいかにもすごい。「ぞくっ」とする。その昔ジーパン刑事で見せた大胆な演技が、子供心に強い印象を与えたが、ここで見せる表情もそれに劣らない。ある意味死期を察した演技なのかもしれない。脱帽だ。

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青いパパイアの香り トラン・アン・ユン

2009-11-19 20:25:29 | 映画(アジア)
この映画を観るのは3回目である。「甘苦上海」で中国のけなげな少女たちの話をしたら、急にこの映画を思い出した。ベトナム映画である。お手伝いさんとして10歳のときに旧家に預けられた少女がその家でさまざまなことを学び、成長していく姿を描く。ベトナム映画の名監督トラン・アン・ユンがその名声を高めた作品で、美術も音楽もよく、しっとりと心にしみていく。

1951年のベトナムサイゴン、父を亡くして母と妹と暮らしていた主人公の少女は10歳にして、ある家の使用人として預けられる。その家族は夫婦の他に祖母、3人の息子がいた。まず同じように女中をしているおばさんに、料理や家事一般を仕込まれる。その家の主人は何度も家出したり、戻ったりしている。主人公が預けられて間もなくまた家を飛び出す。妻が布地屋で家計を支えているが、生活は苦しく、手持ちの骨董品を売って生活の足しにしている。家の中は非常に複雑だ。そんなあるとき、長男の友人が訪ねてきた。音楽家志望というその男性に幼心に一目ぼれした。
その後10年後に時は飛ぶ、生活も苦しいのでお暇を出された主人公は、その音楽家の家に家政婦としていくことになるが。。。。

美術が良い。セットの家は、彫刻のように細かい細工がはいった木の造作がしてあり、そこにアレンジされた植栽が美しい。いわゆるアジアンテイストのインテリアである。小さな昆虫や小動物が効果的に使われ、少年や少女にからんでいく。画像的にアジアの匂いがぷんぷんする。音楽もやさしい。

奉公に出てすぐ、年上のお手伝いさんから炒め物のコツを教わる。「野菜は強火で炒めて。。」とか「塩分が多いとご飯が欲しくなるから、おかずの量が少なくても大丈夫。。。」とか話が出てくる。この映画では、料理が一つの見せ所になっている。新しくお仕えする主人にだす料理も、パパイアで作った料理もみなおいしそうだ。楽園のような世界にも見える。

主人公の少女が本当にけなげな表情をしている。家の奥様は優しい女性。同じ年の娘を亡くしていて、お手伝いに来ている少女に強い愛情を見せる。このあたりのほのぼのさは小津安二郎の世界にもつながる。

物語は1951年と61年を写す。その後、あのおぞましいベトナム戦争が起こるのは、すぐ後だ。この子はいったいどうなったのであろう。
調べてみると、トラン・アン・ユン監督は戦争が始まるやいなやフランスに亡命したそうな。むごい戦争の事実を知らなかったせいか、もう一つの傑作「夏至」もほんのりとしている。もっともそこがいいけどね。その彼が村上春樹「ノルウェイの森」を撮っている最中という。どう仕上げるのか楽しみだ。


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銀嶺の果て  三船敏郎

2009-11-18 21:15:38 | 映画(日本 黒澤明)
三船敏郎のデビュー作である。戦後間もない昭和22年、谷口千吉監督による作品で黒澤明が脚本を書く。黒沢映画常連の三船、志村喬の二人の最初の共演で、雪山に逃げ込んだ銀行強盗の逃亡劇を描く。まだ若い三船敏郎が、このあとの作品での活躍を先取りするような力強い演技を見せる。

東京で銀行強盗した3人組が長野に逃げ込むニュースの話題で持ちきりである。長野の旅館にいる若者二人が、同じ旅館に宿泊する3人組が怪しいとにらむ。3人組の一人志村喬は黒い手袋をいつもしていた。噂では銀行強盗の一人は指がないという。若者は露天の浴場で志村が来るのを待っていた。そして、志村にちょっかいを出したが、自分が怪しまれたのに気づいた志村は仲間の三船敏郎らに声をかけて、宿泊者たちを拳銃で脅して雪山に逃げていった。警察が追うが、銃撃戦の末なだれがおき、3人組の一人が死ぬ。志村と三船の二人はさらに懸命に逃げたところ、山奥に山小屋を見つける。そこには老人と孫娘、そして雪山の登山で来訪している男河野秋武がいたが。。。。。

山小屋はセットだと思うが、あとはロケのウェイトが高い。したがって、時代の古さを感じさせない。雪の中のロケでなだれが起きたり、大胆な登山場面があり、ハラハラさせる場面も多い。撮影はかなりたいへんだったのではないか?

このすぐあと黒澤監督で三船と志村は「酔いどれ天使」を撮る。妙に共通するところがある。デビュー作にして、三船はものすごいパワフルである。逆に志村はのちの叙情的なキャラクターを時おり見せる。いかにもこの二人がらしい演技を見せることでうれしくなってしまう。
あとは「わが青春に悔いなし」で重要な登場人物だった河野秋武もかなりウェイトの高い存在だ。あの映画に引き続き、インテリらしさをかもし出している。
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甘苦上海2

2009-11-17 22:20:40 | 
書き足りなかったことがあったので、付け加えておく。

この小説を読みながら、上海在住の大学の同級生を思い出した。
京や紅子が上海に住みついたのと同様に、友人は上海に住み着いた。香港に15年以上住んだ彼が、上海に移り住んで3年である。
もともと香港にはまった彼であったが、今では商売上は上海の方が良いようだ。給料もかなりのハイレベルだ。
そして四川出身の中国人女性と暮らしている。彼は離婚歴一回、二人目とも離婚交渉中であるが、離婚成立しても3回目の結婚はするつもりはないらしい。一度四川の彼女の故郷へ行ったといっていた。四川で大きな都市である成都から相当時間がかかるらしい。かなりの田舎のようだ。みんなどうやって暮らしているのであろう。

上海はあの街の中で、物価の差が信じられないくらい大きい。例えば普通のコンビ二で500mlの水を買うと2元すなわち約27円である。日本では自動販売機で110円から120円だ。安売りの店でもそこまでは安くはない。そのほかのものもみな安い。給料が2000元程度の人が多いわけだから当然だろう。その一方でレストランでちゃんと食事すると、日本と比較すれば安いが、それなりの価格がする。でも郊外の食事店に行くと、ビールをがぶがぶ飲みながら食事をがんがん頼んでも一人40元もしない。信じられないくらい安い。不思議なところだ。その中国で自動車が飛ぶように売れているらしい。彼らが自動車をどうやって買っているのかがよくわからない。

この小説の中にも触れられているが、「カラオケ嬢」の存在がある。日本のキャバクラよりは安いが、彼女たちのチップを300元ほど払う。おそらくは彼女たちはそれで暮らしているのであろう。それと合わせて自由恋愛代が彼女たちの生活費となる。ほとんどが田舎からの出稼ぎである。
この小説に出てくるカラオケ嬢がいる。日本人商社マンがはまっている女性である。彼女は田舎に10歳の子供を残している。その話で驚いたのは、私の友人の話に通じていることだ。友人の彼女は彼よりも20以上若い。20代後半である。しかも昔結婚してできた10歳の子供がいるという。アレ!同じだと思った。

レストランのウェイトレスの顔を見ると皆若い。というよりも幼い。中学を出てすぐ働いていると思われる女の子ばかりに思われる。こういう子たちを見ていると、なぜかけなげに見えてくる。不思議なことだ。中国の教育に関しては大きなギャップがあるのであろう。日本だって、昭和30年代くらいまでは高校に行かない人たちがいっぱいいたはずだ。それと同じことであろう。10代後半で子供を生むということは不自然ではないのかもしれない。非常に興味がある。そういう中国の女の子になぜかはまっていく日本人駐在員はたくさんいるのであろう。気持ちはよくわかる。
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甘苦上海  高樹のぶ子

2009-11-16 07:18:55 | 
週末は何かと忙しくなり、昨日もイベントごとで出社した。
映画も数日ご無沙汰で、移動時間に本を読んだ。日経新聞の連載を先ごろ終えた「甘苦上海」である。日経新聞では、私の履歴書は必ず見ているが、これは読んだり読まなかったりであった。細切れになるとどうしてもわからなくなる。ただ、こうやって連載でなく一冊の本になるとまとまりがついている。
同じ日経連載の「失楽園」や「愛の流刑地」のようなかなり過激な性表現ではないが、51歳の独身社長の年下男になびく女心と上海在住日本人の偶像を上手に描いている。

都内でエステチェーン展開に成功して、3年前から上海に来ている紅子は、ひょんなきっかけで京という新聞記者上がりで上海に来ている39歳の男性と知り合う。危険人物と知りながら、京の大胆な女性の扱いに惹かれていき、はまっていった。そこに絡むのが京の中国人の恋人24歳の周さん、紅子のお抱え運転手の姪の中国人カラオケ嬢と彼女に惹かれる日本人商社マン石井と男女関係がからんでいく。

上海はすべての街路に名前がついている。それに味がある。南京東路、福州路、長楽路など響きが良い。特に旧フランス租界の街並みは非常にきれいだ。蒋介石や孫文に嫁いだことで有名な宋姉妹の旧家などもある。香港だけにコロニアル文化があるわけでなく、魔都上海のもつ雰囲気はある意味、香港を大きくしのぐ。文化大革命のときはあの洋風邸宅はどう扱われたのか、それだけが疑問に残る。賛否両論あるが、この小説は上海の街をよく知っている人には読みやすいのではないか?街路の名前や現代的なスポットを取り混ぜながら、登場人物を自由自在に作者は操っている。

上海に日本人は5万人程度いるといわれる。駐在の日本人男性は日本と比較すれば安い価格で女の子と遊んでいる。彼らは中国の田舎から来ている女性たちの低賃金に驚き、妙な同情心をもちながら若い子たちにはまっていく。登場人物の商社マンもその一人である。不思議なことに、こういう同情心は、日本の飲み屋にいる中国人女性たちにはそんなには抱かないものである。なぜなのであろうか?
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スイミング・プール  フランソワ・オゾン

2009-11-12 06:38:28 | 映画(フランス映画 )
フランスの気鋭フランソワ・オゾン監督がベテラン女優シャーロット・ランプリング主演で描くサスペンス。若手フランス女優リュディヴィーヌ・サニエがボリュームたっぷりのピチピチ裸体をここぞとばかり見せ、ドキッとさせる。画像の美しさも色を添える。

英国の人気ミステリー作家シャーロット・ランプリングはスランプに悩み調子が出ずヒステリー気味である。そんな彼女を見かねた出版人から、彼の所有するフランスの別荘で休養をとりながら静かに小説の執筆することを勧められる。プールのある別荘は静かな良い場所にあり、シャーロットもご機嫌であった。ところが、突然出版人の娘だという女の子リュディヴィーヌ・サニエがやってくる。自由奔放な彼女は、男をとっかえひっかえ別荘に連れ込んだりするので、シャーロットは戸惑うが。。。。

ミステリータッチに進んでいくが、殺人がなかなか起きない。むしろ官能的なシーンが多い。どっきりさせる部分も多いが、そらしながら映画は展開していく。 シャーロット・ランプリングはポールニューマンと共演した「評決」での謎の女が素敵であった。インテリ役が似合うが、大胆な裸体を見せたこともある。ツンとして無表情なところには女の色気は感じさせない。日本映画でいうと「いつか読書する日」の田中裕子が当てはまるような表情のなさである。それがあるときに変わっていく。そして最後に向かってあれという展開を見せる。

同居する若い娘を演じるリュディヴィーヌ・サニエは、「8人の女たち」にも出演していた。序盤からムチムチの裸体を見せ続ける。肌がパンパンにはっていて、シャーロットといかにも対照的である。自由奔放な役柄を非常に上手に演じている。背景の美しい画像とあわせて絵になる。
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フロスト×ニクソン

2009-11-11 10:43:26 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
リチャード・ニクソン大統領ということでは、ウォーターゲート事件による辞任だけでなく、電光石火のような中国訪問での毛沢東との会談やドルの固定相場からの転換など数多くの業績を思い起こさせる。でも、個人的に一番印象に残るのは1972年大相撲で高見山が初優勝したときに、ニクソン大統領からの祝電が届いたときに館内が騒然としたことである。アメリカ大統領という存在は今以上に雲の上の存在だった。そんな偉い人が日本の一力士を見つめているということがなぜか子供心にうれしかった気がする。当時その祝電を日本人がみんな喜んだと思う。

そのニクソンがウォーターゲート事件で失脚したあと、英国のテレビショーの司会者デイヴィッド・フロストのインタビューに応じて二人が対談することを、事前の準備から終わるまで周囲の動きを取り混ぜて描く傑作である。120分間飽きさせることがなくつくられているのはさすがロン・ハワード監督の手腕というべきであろう。

デイヴィッド・フロストは英国のテレビで活躍するコメディアン出身の司会者であった。その彼がリチャードニクソン大統領とのテレビインタビューの企画でアメリカ進出を図ろうとしていた。ところが、アメリカ3大ネットワークを始めとしてメディアはそのインタビューにスポンサーになろうとしなかった。それでも、その企画を実現しようと自腹を切って、前金の小切手を切る。ニクソンの秘書ケビンベーコンは、内容の精査をはかり、みんなが聞きたがっているウォーターゲートの話は4回のうち1回にしてあとはそれまでの実績に焦点をあてようとするが、そこでフロスト側との葛藤が生まれる。。。。。

ストーリーのテンポがスピーディでいい。役者をそろえているので、安心してみていられる。フロスト役のマイケルシーンが安定しているだけでなく、ニクソン役もうまい。ただ、ちょっとよれよれに見えるのが違うような気がする。ケビンベーコンのニクソン秘書役は適役だし、フロストの恋人を演じるレベッカホールもキュートで良い。
見ものは3回の討論を終えた後からである。二人の育ちに関する話とかがわかる対話から展開が急激に面白くなっていく。ロン・ハワードはこういう作品を作らせると実にうまい。
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ダウト メリル・ストリープ

2009-11-10 19:06:14 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
オスカー俳優メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの共演である。カトリック教会に付属する学校が舞台である。話自体はそんなに面白くない。教会だけを舞台にしたおそらくは二人のギャラが予算のほとんどであったと思われる低予算映画である。単調な展開の中、おそろしい演技を見せるのは主演二人だけでなく黒人女優ヴィオラ・デイヴィスである。

時はケネディが暗殺されたあとの60年代半ば、ニューヨークの教会のカトリック学校が舞台である。周りの尊敬を集める神父フィリップ・シーモア・ホフマンは、生徒への性的ないたずらの疑いがあることが噂されていた。それを若いシスターであるエイミーアダムスが厳格なシスター校長であるメリルストリープに話をする。神父と話していったん疑いを解いた若いシスターの代わりにメリル校長が疑いを持つようになるが。。。。

舞台風景が単調で、話も単調。早く終わらないかなと思ってしまったころ。突如違った展開となった。そこにはまだ黒人差別に根ざされた社会背景がある。60年代半ばといえば、シドニー・ポワチエの「夜の大捜査線」がオスカーをとったころ。その映画で映る世界はかなり強烈な差別社会である。
それを背景にしたメリルストリープとヴィオラ・デイヴィスの掛け合いはすごいシーンである。ヴィオラのセリフにはシーンと来る。このシーンだけでヴィオラはオスカー助演賞の候補になったというのがよくわかる。ともかくこの二人の掛け合いが強烈に印象に残った。
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