映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

アンナと過ごした4日間  

2010-08-31 05:39:18 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
「アンナと過ごした4日間」は典型的なネクラ映画でありストーカー映画だ。
映画を支える音楽はよく、映像の雰囲気も悪くない。でもどうもこういう映画の評価はむずかしい。

ポーランドのとある田舎町、数年前のある日、釣りに出かけるが雨に降られた主人公は、家路を急ぐ途中、小屋で男にレイプされているアンナの姿を目撃してしまう。現場に釣り道具を忘れ逃げ出したレオンは、容疑者として逮捕され服役したのだった…。
主人公は、近くの看護師寮に住むアンナの部屋を毎晩のぞき見ることだった。そして彼は大胆な行動に出てしまうのであるが。。。。



合わない映画かもしれない。こういう映画を評価する人がいるってことは、映画評論家は基本的にネクラということなんだろうなあと思う。
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三回忌を終えて

2010-08-28 20:44:19 | 家族
父と母が亡くなってあっという間に2年がたった。
三回忌となる。49日や一周忌とちがって、妹とうちの家族の合計4人で供養した。
本来は母の姉妹とか呼ぶ必要もあるだろうけど、あっさりとした。
坊さんのお経を聞きながら二人が病についたときからのことを考えた。

寺のそばのシェラトン都ホテル「四川」で中華を食べた。
名の通り四川料理で辛い。ランチにシュウマイをつけてもらった。
自分が酢豚嫌いなので、妻たちは外食で酢豚を食べたがる。
でも酢が強すぎるらしい。
ここのマーボーは実に辛い。これはうまかった。
娘が何度も水をお代わりした。ホテルだから給仕の女性が何度も水をくみに来る。
サービスはいい。
席にはセレブ風のご婦人たちと業界人たちが目立った。

昨日は上海から友人が上京してきて飲みすぎた。1日ボーとしていた。
いつものように六本木比呂に集合。昨日はK大OBで超満員だった。大繁盛だ。
そのあとは銀座へ突入、朝気づくと二日酔いだった。
それでも8月は酒を飲む回数も少ない。
まだ5日しか飲んでいない。健康だ。
万歩計で1万歩以上を続けているし、人に会うとやせたねえと感心される。

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雪に願うこと  伊勢谷友介

2010-08-27 06:01:29 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
北海道帯広のばんえい競馬をめぐって語られる人間模様を描いている根岸吉太郎監督の2006年の作品である。東京で事業に失敗した伊勢谷友介が、故郷に戻ってきてばんえい競馬の調教師佐藤浩市を訪ねていきそこで起きる出来事を描く。やさしい目線で描かれていて心温まる傑作だと思う。

北海道帯広にある競馬場では、ばんえい競馬という重量物を搭載したそりを従えた馬のレースが行われている。それを一人見に来ていた伊勢谷友介は女性騎手吹石一恵が乗る馬に有り金全部ぶちこんだが外れてしまった。そして、厩舎にいる調教師の兄佐藤浩市を訪ねる。長年疎遠だった弟がきて兄は驚いた。久々に戻った故郷で、厩舎に泊った弟だったが、厩務員の一人に金の無心をしていることを聞き弟を問いただす。弟は東京で事業をしていたが、失敗してお金に困っていて、疎遠だった兄弟に助けを求めようとしていたのであった。



このあと厩舎に入った中での出来事を描写していく。
根岸監督の作品だからか?出演者は豪華なキャストである。口だけでなく手が最初に出てしまう兄佐藤浩市がいかにも昔堅気の人間のようだ。素朴な荒々しさの見せ方がうまい。好演だと思う。
あとは小泉今日子と吹石一恵がいい。厩舎の賄いをやっている小泉は、夜は帯広のスナックのママもやっている。こんなママがいる店だったら週に何回か通ってしまうよなと感じた。吹石一恵は騎手を演じる。女性であること新人であることで大きなハンデをもらっていたが、新人のハンデが亡くなったとたん勝てなくなったことで悩むキャラクターである。実際に馬に乗って演技するが、そう簡単にできることではないと思う。見事だ。



そのほかも豪華だ。山崎努はいつもながらいい。草笛光子にあえたのがうれしい。
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王手  赤井英和

2010-08-26 17:07:56 | 映画(日本 1989年以降)
赤井英和が大阪通天閣の新世界エリアで賭け将棋の真剣士に扮する91年の作品である。荒戸源次郎が制作にあたっている。いかにもディープなエリアの中で、こってりした大阪弁でのやり取りはいかにも大阪らしくて好感が持てる。20年くらい前の猥雑な大阪にタイムスリップした気分を味わせてくれる。



大阪の将棋真剣師の赤井英和と、プロの名人を目指して奨励会に通う加藤雅也は二人は将棋が取り持つ親友だった。赤井は新世界の将棋道場の顔役だが、生活が荒れて借金取りに追われてあたふたしている。ひょんなことでタクシーの運ちゃんと縁ができ、彼の故郷の日本海の町に出向いた。そこで赤井はストリッパーと出会い、想いを果たす。その翌日プロとの交流戦で赤井はその勢いに乗ってプロ棋士に勝ってしまい有頂天だ。そんな折り、伝説の老真剣師若山富三郎が現れ、対局でコテンパンにやられるが。。。。



平成3年はちょうど自分も大阪にいたころである。天王寺から駅一つの所に住んでいた。このロケ地もさほど遠くない。東京から初めて大阪に行くと聞かされたときはショックだった。でもバブルの絶頂の大阪は何かと楽しかった。勤務地は難波だった。
大阪着任してすぐ、地元の人間に通天閣へ行ってみたいんだけどというと、やめておいた方がいいよと言われた。あのあたりは大阪でも有名な危険地域だとね。それゆえか新世界エリアにはあまり近寄らなかった。

そういうディープな場所で、そこを地元とする赤井英和が主演だからいいテンポで話が進む。大阪というのは赤井英和のようなタイプの男は多い。気性がワイルドだ。今回地でいっているので彼もやりやすかっただろう。今よりもやせている。かっこいい。

あとは若山富三郎だ。伝説の真剣士ということでプロとの交流戦で勝つ赤井を赤子を手でひねるように退ける。ふるまいはさすがに貫禄がある。出演した大阪ロケの「ブラックレイン」から数年たったばかりだ。「ブラックレイン」の直後、松田優作が亡くなった。この映画のあと若山富三郎が亡くなっている。ネタばれになるので言えないが、この映画で何かを案じさせるようなセリフを通天閣の上で言っている。不思議だ。
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裸の十九歳  新藤兼人

2010-08-26 07:48:01 | 映画(日本 昭和35年~49年)
「裸の十九歳」は連続殺人で死刑となった永山則夫をモデルに新藤兼人監督がメガホンをとった70年の作品だ。主演はさきごろ参議院選挙に出馬して話題になった原田大二郎で、新藤監督の長年にわたるパートナー乙羽信子が母親役を演じる。主人公の境遇があまりにも悲惨でやるせない気持ちにさせる映画だ。学生運動全盛時代の40年代半ばの世相が手に取るようにわかる映像が貴重である。観て損のない映画である。

道夫こと主人公原田大二郎は中卒の集団就職の一人として青森県から上野駅に着いた。そして渋谷のフルーツパーラーに就職した。寮に住み込み生活を始めた。
しかし、一緒に就職した仲間が徐々に去り、やがて道夫も辞めてしまう。辞める時外国に行くとはったりを言った手前、横浜港の貨物船で密航を企てた道夫は捕まった。保護観察処分がでて長兄の家に引き取られた。しかし、長兄の嫁が自分のことでの愚痴を言うのを聞き、道夫は長兄の狭いアパートを飛び出す。
その後、大阪の大きな会社に再就職すると上京した母親に嘘を言い、大阪へ向かい職を探す。大阪で住み込みで働き始めたが、すぐやめて再び東京へ舞い戻り、いくつもの職を転々とした。そして自衛隊の募集に応募するが不合格となり、徐々に精神がすさんできていたが。。。。

このあと犯罪のルーツを探る意味合いもあり、青森県で魚の行商をしている母乙羽信子の幼いころからの軌跡を描いていきながら、映画は進んでいく。

主人公やその母親はこれほどまでにドツボな素性もないだろうと思わせるほどかわいそうな人生を歩んできたようだ。父親がばくち好きで金がないのに子供8人つくってしまうというのが今の世相からすると奇妙だがそれは事実だ。実際そういう家庭が多かったと聞く。
先日母親が1,3歳の子供を残したまま餓死させてしまう信じられないような悲劇があった。でも彼も同じようなことを経験させらている。
昭和40年代前半はまだ集団就職という制度は残っていた。いわゆる安い労働力は金の卵と言われたものだった。自分の実家にも中卒で地方からくる従業員が40年代前半まではきていた。でもいずれの実家もここまでの悲劇はなかった。

この映画では当時全盛だった学生運動のリアルな活動場面での撮影や、上野駅に向かう集団就職の中卒者、不良がたむろう深夜喫茶、ゴーゴークラブなど、ひと時代前の日本の姿がリアルに描かれている。
主人公が最初に勤めた先が渋谷の西村フルーツパーラーだ。ここでは当然名前を変えているが、この画像はおそらく西村のフルーツパーラーでロケしたのではないかな?昔からずっとある渋谷の店が少なくなる中、相変わらず頑張っているようだ。

演技者としては新藤のパートナー乙羽信子が汚れたシーンも嫌がらずに体当たりしている。こういったところは新藤監督はかなり強引だ。昭和45年当時といえば、乙羽はテレビのホームドラマの常連で、いつもやさしい母親役を演じていた記憶がある。元宝塚スターの彼女にここまで汚れた役を演じさせるとは観ていてかわいそうになってくる。でもこの役者魂はすごい。
不慮の事故で亡くなった太地喜和子も娼婦役で出演する。人気が出てくる前だと思うが、彼女の役もこの映画の中では重要な位置を占める。

この映画では主人公の描写だけでなく、性の問題が一つのキーポイントになっている。上の二人をはじめとして、かなり多数の女性を汚れた世界に陥らせる。田舎社会での性、都会生活での性、今とは違う何かがあるのを感じさせてくれた。
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日本経済と円高に思う2

2010-08-24 22:18:10 | Weblog
円相場と無策の政府の関係は、つまらない映画よりも面白い

今円相場見ていたら83円台に突入した。経済界からのパッシングがこれほどまでに出ていたのにもかかわらず、何もしないし何もできない。

先週から日本人は逆張りの円売りを大幅に増やした。新聞でも取り上げられていた。
おそらくはロスカットラインに達して損切りするか?追い金払うか?の水準だ。
最近銀行や証券会社がすすめていた外国投信もさすがにこれほどの円高を予測していなかっただろう。相場に参入している人たちの大部分は大損だろう。

ふと思った。
小沢さんもここまで来たら、おとなしくするのではないだろうか?
なぜならどう考えても経済の破たんがすぐ目の前にある。
再選しても菅政権が市場と、世間の不信任を浴びるのは目前だ。
だまっていても政権が転がってくるといった心境かもしれない。

今年初め、円安歓迎の声明を出した菅財務大臣には感心するコメントをここで書いた。
同じ人とは思えない。
口先介入がうまくいくと思っているのか?ばかだなあ
新卒の雇用政策一生懸命やっているといっていた。
それで円高しずまるの?
連合の人間の腐った連中と話しても意味ないんだよ。

日本経済は本当にやばいかもしれない。
円売り介入を今夜でもスタートすべきだと思う。

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アイガー・サンクション  クリントイーストウッド

2010-08-24 04:46:17 | クリントイーストウッド
75年のイーストウッド作品である。元殺し屋で今は足を洗おうとしているイーストウッドがやむなく黒幕の仕事を請け謎のターゲットを追うというお話である。中盤は西部劇で有名なモニュメントバレー、後半はスイスのアイガー北壁を舞台にした映画である。CG時代になっていないころの、あっと言わせるようなリアルな撮影シーンがいくつかある。



クリント・イーストウッドは、元殺し屋で、今は美術の大学教授をしている。しかも、趣味は高価な美術品の蒐集で、2度までもアイガーの岩壁に挑んだ登山家でもある。
殺し屋稼業からも足を洗いつつあった彼のもとに、アメリカのスパイ機関の黒幕から殺しの依頼があった。依頼を断ったが、黒幕はイーストウッドが所有している絵画の資金ルートを税務当局にパクルぞと脅す。絵画を正当なルートで手に入れたという政府発行の保証書を手に入れんがために、イーストウッドはその依頼をひきうけ殺し屋を難なく始末した。イーストウッドは、報酬の小切手と証書を手にした。だがその帰途、飛行機のなかで美人スチュワーデスに心を許し一夜を楽しんだ。目をさましたときは既に小切手と証書は消えていた。彼女は黒幕が派遣したスパイ機関の女諜報員だったのだ。それは黒幕の思惑で、報酬をふいにしたイーストウッドは第二の殺人をひきうけることになった。
目標の名前や人相は一切不明、唯一分かっているのはその男が近々アイガーに挑戦する国際登山チームの一員であることだけだった。イーストウッドはまず昔の登山仲間でホテルの経営者におさまっている旧友ジョージ・ケネディのところで登山トレーニングに励んで、国際登山チームに参加することにした。

映画の序盤は、007的スパイ映画の色彩でイーストウッドが黒幕から依頼された仕事を成功させるまでを描いている。中盤はモニュメント・バレーでの登山訓練。そして終盤がいよいよアイガー北壁への挑戦だ。


前半のアクションはそんなに凄みを感じない。中盤の登山訓練からエンジンがかかる。イーストウッドは若い女性の体力トレーニングのコーチと登山訓練に励む。モニュメント・バレーで迫真の登山訓練を見せてくれる。高い岩山でイーストウッドとジョージ・ケネディを映し出すシーンには観る方がドッキリさせられる。アイガーの登山シーンもドキドキだ。
撮影もかなりたいへんな映画だと思う。カメラにも殊勲賞を上げたい。

ともかく実際に困難な山登りに挑戦したイーストウッドに感心した。
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日本経済と円高に思う

2010-08-23 21:23:34 | Weblog
最近の日経新聞を見ていると、日本の衰退が顕著に見えてくる。
正直この先どうなるのかが気になってくる。

1$85円あたりに相場が定まってきた。一瞬だけ85円あたりをつけて反発するのではなく、寝城を定めてきた印象がある。最近の記事を読んでも、日本は円高に対して無策で、米国債の国家主導での買いが続く米国の円安政策になにもなすすべがないように書かれている。
ユーロはギリシャだけでなくスペイン、アイルランドなどの景気の悪い国の問題が足を引っぱってドル円相場よりもここ数日は軟調だ。しかし、それを一番喜んでいるのはユーロ圏で一番の経済大国であるドイツである。ドイツ企業の決算は好調のようだ。
ウォン安を享受して抜群の決算数字となったサムソン電子のように、ユーロ安は本音で大歓迎であろう。
今の日本はそれを指をくわえてみているしかない。

アメリカが90年代以降70%程度の物価上昇率になっているのに対して日本は10%程度で、ドルの通貨価値の下落による相対的な円高は経済の当然の道理だ。しかも相変わらずデフレが続く中、金利にもう下げ余地はほとんどない。日銀総裁と首相が話しても円高に対してたいした策もないはずだ。
同じものを買うのにいくらかかるかという発想で為替交換比率をたたく「購買力平価」でいくと、今の日本の水準は95年に1$80円を一瞬切ったときとは違うようだ。
あのときの1$80円は今の1$50円台半ばと同じだという。
世界のビックマックの価格で為替水準をだす「ビックマック指数」で言うなら、今回の200円セールでは1$53円程度になるらしい。

本当に1$80円を大きく割ったとき日本はどうなるであろう。

一昔前と大きく変わったのが、新興国が発展途上国ではなく市場で同等に近いレベルに戦える国になったことだ。
大学のとき、経済政策の授業があった。おもしろい授業だったのでめずらしくまじめにでていた。
そのとき教授がエッジワースの箱という経済学の道具を使って発展途上国への援助について説明していた。
発展途上国は無差別曲線が重なり合う「貿易」というゲームに入ることができないので、彼らを援助してプレイヤーとして参加させることが重要だということだった。
今はその発展途上国のレベルがものすごく上がった。競争市場のプレイヤーとしてみれるようにもなっている。新興国に市場があることだけで日本は助かっている。
経済発展してもまだ賃金は安い。円高が続くようならますます日本で物をつくるという議論ではなく、現地にて円換算でより安い労働力を使って固定費の削減を図ることを考えるであろう。ますます日本の雇用が厳しくなる。
アメリカもリーマンショック以降失った840万人の雇用が、65万人しか取り戻せていないそうだ。それは単純労働が海外に移っているからだ。日本も同じことだろう。

中国と日本では少し前までは社会主義国家と資本主義国家という大きな違いがあった。
今は一党支配による資本主義と政党乱立の資本主義国の違いとなった。
一党支配であるから、今の日本の政治家のような足の引っ張り合いがない。
決断がスムーズに末端まで伝わる。これはすばらしいことだ。
しかも、日本のようにつまらないコンプライアンスにこだわっている連中なんて
中国にはいやしない。みんな一生懸命に働く。
ある意味うらやましい。

GDPは今年中国に抜かれる。このあとはずっと差をつけられる。
ゆとり教育で若者の能力は低下傾向をたどる。しかも日本企業が外国に労働力を求めたら国内の正社員の雇用は大きくは増えない。日本の衰退はずっと進んでいく。

これを変えるのはただ一つ。私は大連立による強固な国家体制の樹立しかないと思う。
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サッド・ヴァケイション  浅野忠信

2010-08-23 20:50:05 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
青山真治監督による北九州市を舞台にした人間ドラマである。キネマ旬報の2007年ベストテンで4位に入る作品ということでみた。浅野忠信、宮崎あおい、オダギリジョーをはじめとして近年活躍する若手俳優にベテランを組み合わせた映画である。序盤戦が意味不明で何が何だかよくわからない。途中からいいテンポになるけど、過剰評価の映画だと思った。



中国人の密航を手助けした浅野忠信は、中国人の少年を預かることになる。幼馴染の妹とその少年を養うため北九州市内で運転代行をしていた。ある日、浅野が仕事で送った先の運送会社の事務所で、5歳のときに自分を捨てていった母こと石田えりを目撃する。その後浅野は母親を訪ねる。母親は笑顔で息子を迎える。そして運送屋に住み込んで一緒に暮らさないかと提案する。中村嘉津雄が社長を務めるその運送会社はさまざまな過去を持つ人たちがたくさん働いていた。実際、割とたやすくその中に入っていけた。しかし、石田えりがその後生んだ高校生の弟は反抗期のせいかなついてはいかないが。。。



映画が始まってしばらく聞き取りにくいセリフが続き、ボリュームをかなり高く上げても何を言っているのかわらない。石田えりが出てきたあたりからようやくぼんやりと見えてくる。それまではよくわからない。監督がコーエン兄弟ならこの序盤は20分以内で駆け抜けるであろう。何でこんなに回りくどくするのであろうか?これが青山監督の思い上がりだと推定される。あまり評価できない。1時間近くたってからようやく映画らしい展開になってくる。福岡弁がなじみやすく聞けるのだけが救いだ。
浅野忠信は好演だと思う。宮崎あおい、板谷由夏など女優陣が健闘するが、二人はセリフが不足していて活躍の場も少ない。もったいない。

青山監督の映画づくりとはちょっと合わないなあといった感じだ。
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マーティ  アーネスト・ボーグナイン

2010-08-21 05:54:36 | 映画(洋画 69年以前)
「マーティ」は1955年のオスカー作品賞である。ロバートアルドリッチ作品で強烈な個性を見せる彼が風采の上がらない独身男を演じてアメリカの大衆から支持を得た映画といわれていた。DVDレンタル化して初めて観た。オスカー作品といわれると少々首をかしげる。

ニューヨークの肉屋に働いているマーティことアーネスト・ボーグナインは風采の上がらないイタリア系の34歳の男で結婚せずに母と2人暮しをしていた。良い相手があったら早く身をかためたいとあせっていた。マーティは親友とダンスホールへ行った。マーティは相変らず、まごついていた。パートナーとなった青年が置き去りにした娘が、そっとバルコニーに出て泣いているのに気がついた。マーティは遠慮深く声をかけて、彼女と踊ってから近くの店で遅くまで話し込んだ。娘は29歳で高校の化学の教師をしていた。マーティは心が傷ついている彼女と意気投合したのであるが。。。



1時間半の映画の中でいくつもの問題にスポットをあてる。大戦後のアメリカの一般家庭で問題になっていたことなのであろうか?もてない男の結婚問題、大学を出ているのに独身でいるインテリ女性の結婚問題、イタリア系と他民族との結婚問題、嫁姑問題と同居がいいのかどうかの話など。。
いわゆるホームドラマの延長と考えていい映画だ。とらえる話が多すぎて時間が足りない印象を受けた。

アーネスト・ボーグナインはロバートアルドリッチ映画では独特の風貌で圧倒的な存在感を誇っている。「特攻大作戦」「ワイルドパンチ」は映画史上でも名作といわれる作品だ。むしろ悪役をやらせる方があっているが、ここで見せる善良な男も悪くない。本当の彼はきっとこの映画のようにいい男なのであろう。私生活では5回も結婚して90過ぎてまだ存命と聞く。
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ダーティ・ハリー3  クリントイーストウッド

2010-08-20 05:29:14 | クリントイーストウッド
「ダーティハリー」シリーズの3作目、はみ出し刑事イーストウッドが毎度のごとく上司と市長とケンカしながら異常犯罪者に立ち向かう76年の作品である。当時46歳のイーストウッドの動きは若い刑事と比較すると華麗とは言えないが、サンフランシスコ市内を縦横無尽につかった映像で楽しませる。彼の映画では異例の女性刑事が出てくるところも見どころの一つだ。

サンフランシスコ市警殺人課のハリーキャラハンことクリント・イーストウッドは、相棒とパトロール中、強盗事件に駆り出された。現場に直行したハリーは強盗の要求の一つである車で店の中に突っ込み、犯人たちへ銃弾を見舞い鎮圧した。しかし、いつも通り行き過ぎ刑事ハリーの事件処理にクレームがつき、上司に怒られ人事課に転属される。そしてその職務で面接をして婦人警官を刑事に昇進させることになる。
そのころ若い過激派グループが、ガス会社の人間と偽り、陸軍の兵器庫に押し入り、兵器を盗み出そうとしていた。パトロール中に異常に気付いたハリーの元相棒に重傷を負わせ、そのまま逃走した。彼らは殺人を好む異常なテロリスト集団だ。殺人課に戻ったハリーの新しい相棒として、刑事に昇進したばかりの女性、ムーアが付けられた。一緒に過激派の行動を追うことになるのであるが。。。



少年時代に父と昔観たことがあったけれど、内容を全く忘れていた。はみ出し刑事が上司にいつものように、その破天荒のふるまいを注意される。それに反抗しながら、犯人を撃退する。ワンパターンだけれど、「水戸黄門」を観るがごとく後半活躍して相手を打ちのめす姿は痛快だ。

坂の多いサンフランシスコはロケ地として取り上げやすい場所が多いところだ。古くはキムノバックがヒッチコック映画に出演した「めまい」の情景が美しい。映画「ブリット」でスティーブマックイーンが自らハンドルを握ってぶっ飛ばした場所がここでも出ている。またこの3年後にイーストウッド自ら取り上げるアルカトラズ島の牢獄も出てくる。
単に犯人を追うだけでなく、どこで追うのかが大切だ。行ったことのない場所に映画が何度も連れて行ってくれる。これも映画の醍醐味だ。
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誰も守ってくれない  佐藤浩市

2010-08-19 05:28:30 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「誰も守ってくれない」は若き友人より「お勧め映画」ということで観た。
殺人を犯した容疑者の家族にスポットをあて、家族をマスコミや興味半分の外野たちから守る刑事との関係を中心に描いていく。序盤戦より飛ばしていく展開にスピード感があり、途中だれることなく盛り上げていく。ネット社会特有の現象も取り上げ、レベルが高い映画と感じた。

幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕された。その瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれた。中学生の妹こと志田未来の担当は刑事の佐藤浩市に任される。追うマスコミを避けながらホテル、刑事の自宅アパート、刑事の友人のマンションを転々とするが、どこへいってもマスコミに追われる。そうしている時に容疑者の母親がトイレに閉じこもったままでてこない。。。



逮捕された瞬間に加害者の家族は世間の冷たい目にさらされる。そうとはわかっていても、彼らがどうなるのかを考えてみたことはなかった。家族に姓を変えるように離婚届を出させたり、あっと驚くようなことを容疑者家族に警察が強いる。。
パパラッチのように追う報道機関、インターネット掲示板への書き込み、加害者だけでなく家族まで写真公開がネット上にされてしまう。世の中には愉快犯がごまんといるのである。加害者の家族も大変なんだなあと感じた。そういう意味でこの映画のもつ意義は大きい

ごちゃごちゃしたその構図を君塚監督が実にうまくまとめている。ネット時代の今だから描ける傑作である。若き志田未来は好演だと思う。その恋人役の男性が出てくるが、女性かと思っていた。女子高生で女友達が男友達のようにふるまうことかと思っていた。調べたらなんと男のようだ。これには驚いた。
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8月に入って

2010-08-18 10:34:24 | Weblog
8月に入ってからのんびり仕事をしている。
2,3日に飲み会があった後、最初の週後半に休みを取った。

今までは夏休みというと旅行だったが、娘も受験なのでほとんど家で過ごした。
受験勉強の手伝いというか、○つけをやっていた。
最近つくづく思うが、暗記物の方が点数稼げるのかな?って
早めに社会、理科に力をおいたほうが点数を稼げてよさそうな気がする。

いわゆるお盆のときは会社は休みが目立つのでのんびりしていた。
これはこれでいいだろう。
のんびり仕事していた時、部下に頼まれてある顧客にあいさつした。
お金持ちと聞いていたが、調べてみると、その人はとんでもないお金持ちだった。
なんと所得番付全国ベスト100以内に入ったことのある人だった。
その事実が分かって会社で思わず奇声を上げた。
自分はいわゆる金持ちに出会った経験は少なくないほうだ。でもここまでの金持ちとの出会いは人生初めてである。このくらいの金持ちはなかなか人には会わないものだ。

これは何かいいことの前触れであろうか?
その人にあることを頼まれた。
妻にこの話をしていたら興奮していた。次に会うときは一番いいスーツをきるようにメモをしていた。
そうは言ってもせいぜい5万円くらいのスーツしか持っていないけど。。。。

今日も暑いのかな?
千葉は海風があっていいけど、埼玉はだめだな
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ペイル・ライダー  クリントイーストウッド

2010-08-15 17:47:12 | クリントイーストウッド
村上春樹がエッセイで絶賛したクリントイーストウッドの西部劇がある。
オスカー作品賞「許されざる者」より7年前につくられた85年の西部劇「ペイルライダー」である。基本的な流れはイーストウッドが圧倒的に強い「牧師」を演じ、攻め入られている集落を助ける話である。よくできた映画だと思う。



ゴールドラッシュのころのアメリカ西部、一攫千金を狙って金採掘をする集落に、他の集落の人間が攻め入る場面から映画はスタートする。15歳の少女ミーガンと母のサラは、サラを求婚するハルやその仲間とともにこの集落に暮らしていた。この日も山を支配する鉱山会社のラフッド社のいやがらせに遭ったのだ。その後、ハルが町に行き、買い出しに行ったところラフッド社の人間からまたいじめを受けていた。そこを通りかかったのがクリントイーストウッドだ。棒と素手で6人ほどいたメンバーたちをコテンパンにやっつけてハルを助けた。ハルはお礼にイーストウッドを集落に誘った。そこには恋人のサラと娘が待っていた。嫌がらせをする人間を撃退した話を聞いたので、暴力的な男と思った恋人のサラだったが、イーストウッドが牧師だということがわかり彼を歓待する。
その後コテンパンにやられた鉱山会社の御曹司がアンドレ・ザ・ジャイアント風の力の強い男をつれてお礼参りに来るが。。。。。

西部劇の名作「シェーン」を思わせるところもある。この映画では最初から拳銃のドンパチが続くという訳ではない。あわてずじっくりとストーリーを作っていく。85年の作品だが、70年代前半の作品と比較して現代的なスマートさを感じる。25年たった今と大きく変わらない。

なんせイーストウッドがかっこいいし、強い!
余計なセリフは排除して短い言葉で簡潔に話す。それがまた味がある。
「神と金両方には仕えられないぜ」「女の決心を待っていたら時間がかかるぞ」など
メモに書いておきたいくらいだ。

自分の記憶に薄いイーストウッド作品をちょいとまた追いかけるか
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異人たちとの夏  大林宣彦

2010-08-15 09:43:49 | 映画(自分好みベスト100)
実に泣ける映画である。心が温まりたまらなくなって泣ける。
大林宣彦監督による昭和の最後63年の作品である。原作は山田太一である。「岸辺のアルバム」「想い出づくり」などのテレビドラマの脚本で当時ナンバーワンの売れっ子だった。風間杜夫が主人公で、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子が脇を固める。離婚後一人暮らしになった風間杜夫の周りに奇妙な事象が次から次へと起きていく。映画の技巧が今ひとつと思わせる部分もいくつかあるが、話の展開がひたすら泣かせる。

テレビの脚本の仕事をしている風間杜夫は、離婚して今は一人暮らしである。その部屋を同じマンションに住む名取裕子が突然訪れる。不意の訪問に風間は身構える。辛いことがあったのか?少し酔っており部屋で一緒に飲みたいという。美女の訪問だが、風間はドアを閉めた。その翌日から彼にとって奇妙なことが起きる。
気分転換に浅草に行った。浅草は主人公にとって12歳まで育った懐かしいところだ。ぶらぶらしたあと、六区の演芸場にはいった。そこで落語を楽しんだ。ある落語家の小噺のとき、客席の男性から声がかかった。その声には聞きおぼえがあった。席を前にうつしてみた。似ていると思った。座が終わると、その男こと片岡鶴太郎がうちに遊びに来いよと誘ってきた。風間は下町の裏通りを歩きながらついていって部屋に入った。そこには秋吉久美子がいて、歓待してビールを注いでくれた。片岡と秋吉は28年前に亡くなった風間の父と母にそっくりだったのである。帰りがけに名前を聞いたら「なんで親の名前を聞くんだと言われた」間違いない自分の親だと確信するが。。。。



このあと話は奇妙な方向に進んでいく。
小さいころに別れた父と母との再会を何度も楽しむのである。しかし、彼はだんだんとやつれていく。それは同じマンションの名取裕子にも指摘される。。。

ゴースト映画の色彩もある。しかし、根底に流れるのは父母と子供との厚い愛情である。それを思わせる言葉を聞きながらそこはかとなく涙が出てきた。こんなに泣けるのは久しぶりだ。そして一昨年連続して亡くなった自分の父と母のことを思った。何もしてあげられなかった無念さを心に思いながら泣けてきた。

昭和の最後である。東京の土地が史上空前の上昇をした直後だ。実勢地価のピークは国土法届け出の通達が出た直後の62年の冬だろう。その色彩を浅草の下町情緒と対比させながら穏やかに映画ができている。傑作というにはちょっと違う。何とも言えないハートフルな気持ちにさせる映画だ。
コメント (2)
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