映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「サムライ」 アランドロン

2016-12-31 17:57:32 | 映画(洋画 69年以前)
映画「サムライ」は1967年のアランドロン主演のフランス映画である。


アランドロン主演でもこの映画はなかなか見るチャンスがなかった作品だ。いわゆるフィルムノワールとされるジャンルに入る渋い映画で、極めて寡黙に演じるアランドロンの魅力が満載である。

ジェフ・コステロ(アランドロン)は古ぼけたホテルに小鳥とともに暮らす殺し屋だ。鍵のあいているシトロエンに忍び込み合鍵で車を発進させ、場末の修理工場へ向かう。そこでナンバープレートを変えてそのままナイトクラブに行き、経営者を殺す。その場を立ち去ろうとしたら、クラブで演奏する女性ピアニスト(カティ・ロシェ)とすれ違う。ジェフはアリバイを示すために真夜中に愛人(ナタリードロン)のところへ行く。


殺しの現場に警察がすぐ駆けつけた。目撃者の証言では、帽子をかぶったトレンチコートの男らしい。街の賭場でカードゲームしているジェフは警察に引っ張られる。クラブの店員に面通しをしたが、ピアニストはこの男でないと証言し、愛人は自分のところにいたと話したのでジェフは釈放される。釈放されたジェフは依頼人筋と待ち合わせるが、「おまえは取り調べを受けただろ」と言われ銃で撃たれる。

警部(フランソワ・ペリエ)はアリバイを示す証言があってもジェフを犯人とにらんでいたので、そのまま内偵を続ける。一方で依頼人筋はある事情からもう一度ジェフに接近し、報酬を払うと同時にもうひと仕事をしてほしいというのであるが。。。

1.アランドロン
1960年の「太陽がいっぱい」は全世界でアランドロンの名をとどろかせる。そこでは役柄からすると殺人を犯した単なる若いアンちゃんなんだけど、60年代から70年代にかけて日本でもすごい人気だった。ハンサムというとアランドロンの名前がすぐさま出てくるくらいの存在である。「太陽がいっぱい」で裸でヨットの舵をとるアランドロンの写真を下敷きの中に入れていた小学校や中学の同級生もずいぶんといた。


この映画でも確かにそのカッコよさがにじみ出ている。端正な顔立ちにトランチコートがよく似合う。しかも寡黙である。登場人物の動きが割とあるのに、映画全体に無駄なセリフが少ないフィルムノワールのタッチである。主人公ジェフが犯人と警部に決めつけられるが、いったん釈放される。

それでも警察は盗聴をかけたり、尾行をする。この地下鉄での尾行シーンがいい。60年代後半のパリの街並みが映像ににじみ出る。パリの警察が威信をかけて、至る駅周辺でアランドロン演じるジェフをマークする。ジェフも電車を降りないようでドアが閉まる寸前で降りたりして懸命にまこうとする。沈黙の中で繰り広げられる心理戦が見ものだ。


2.美女二人
ナタリードロンは当時アランドロン夫人である。これがまた美しい。設定では娼婦ということであるが、下品なイメージはない。旦那にまだまだ映画界で仕事をさせてくれと言ってから関係が悪化したと言われる。あまり資料がなくわからないが、ピアニストを演じたこの映画のカギとなる存在のカティ・ロシェが魅力的だ。黒人ということだが、メイクであろうか?この細みの女性の魅力も映画の格をあげている。


どうして殺し屋を依頼主が雇ったのか?殺し屋ジェフはどういう素性に育った男なのか?愛人とされる女はどういう素性で、ジェフとどういう関係なのか?ナンバープレートを変える自動車修理工はどういう男なのか?疑問は尽きない。でも何も明かさず、最後まで進む。簡潔だ。

この映画の寡黙ぶりはいろんな映画に影響を与えていると言われる。確かにそうだが、個人的にはアランドロンの一時期のライバルであるチャールズ・ブロンソン主演の「メカニック」の冒頭でセリフなく10分以上ブロンソンが殺しのための仕事をするシーンを連想した。殺し屋の過ごした数日という設定はある意味トムクルーズ「コラテラル」を彷彿するものもある。
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映画「聖杯たちの騎士」 テレンス・マリック&クリスチャン・ベイル

2016-12-31 15:08:27 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「聖杯たちの騎士」を映画館で見てきました。


テレンス・マリック監督の新作である。出演者は超豪華でクリスチャンベールにケイトブランシェット、ナタリーポートマンなどの女優陣が加わる。以前カンヌ映画祭パルムドールの「ツリー・オブ・ライフ」を見た時は、あまりに抽象すぎて何が何だかさっぱりわからなかった。その後の「トゥ・ザ・ワンダー」は映像美がすばらしくうなってしまった。どうせまたその手の類かな?と思いながらも、3年連続でアカデミー賞撮影賞の名手エマニュエル・ルベツキが今回も撮影者だとわかると、一度その映像は映画館で見てみたくなる。

舞台はハリウッドとラスベガスで繰り広げられる、煌びやかなセレブリティの世界。脚本家として成功への階段を駆け上がったリックは、業界の有力者の豪邸で開かれるパーティーに頻繁に招かれ、金と欲望にまみれた頻繁に出入りし、そこで出会った女たちとの享楽的な日々に溺れていく。

一方で、崩壊した家族の絆を取り戻そうと奔走し、富と引き換えに自分を見失っていく自らの姿に人生に胸を痛めてもいた漠然とした不安を抱いていた。やがて、“漠然とここにはない何か”を探してさまよい始めたリックは、6人の美女たちと巡り会う。彼には、女たちは自分が知るよりも多くのことを知っているように思えた。彼女たちに導かれ、リックは自らが探し求めていたものへと近づいて行く——。(作品情報引用)


こういう作品情報はあるが、細かい説明は一切ない。
作品情報らしきものが語られるセリフもないし、俳優の動きで何かが想像できるわけでもない。

海辺や大豪邸とそのプールで遊ぶ映像などにあわせてクリスチャンベールと美女たちが出てくる。内容はさっぱりわからない。よくぞ集めたという美女たちに接近し、映画は続くだけで、これといったストーリーはない。「トゥザ・ワンダー」の時にはなんとなくこんな感じという動きがわかって、そのわからなさを埋めるエマニュエル・ルベツキの映像が堪能できたのでまだよかったけど、これはちょっとね。。。。
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2016年読了本

2016-12-31 11:17:03 | 
1.ヘイトスピーチ 安田浩一
2.ふわふわ主婦のインバウンド旋風で儲ける「おもてなし」不動産投資 板垣ひろ美
3.中古アパート・マンションが生まれ変わる airbnb空室物件活用術
4.常識外の一手 谷川浩司
5.桁外れの結果を出す人は、人の見ていないところで何をしているのか 鳩山玲人
6.「オモロー式」不動産投資講座
7.映画時評2009-2011 蓮實重彦◎
8.映画が語る昭和史 川西怜子
9.脳内イメージと映像 吉田直哉
10.権力の終焉 モイセス・ナイム
11.旅はゲストルーム 浦一也
12.僕の死に方 金子哲雄
13.WORK RULES ラズロ・ポック
14.老後破産したくなければいますぐ「都市型新築アパート」に投資しなさい  長岐隆弘
(1月)
15.まだ東京で消費しているんですか イケダハヤト
16.あの日 小保方晴子◎
17.好きなようにしてください 楠木建◎◎
18.女子高校生社長経営を学ぶ 椎木
19.東京七福神の町歩き 泉麻人
20.箱の産業 松村秀一他
21.オーソンウェルズ アンドレ・バザン
22.偉人たちのブレイクスル―勉強術 齋藤孝
23.学問の下流化 竹内洋
24.ぼくらの近代建築デラックス 万城目学
(2月)
25.映画西口東口 芝山幹郎◎◎
26.自分を成長させる極意 ハーバードビジネスレビュー
27.反戦、脱原発、リベラルはなぜ敗北するのか 浅羽通明
(3月)
28.年収1億円を実現するFP独立開業読本 黒松雄平
29.リーダーのためのレジリエンス入門 久世
30.言ってはいけない残酷な事実 橘玲◎
31.ザ・町工場 諏訪貴子
32.映画なしでは生きられない 真魚八重子◎
33.仕事で成長する人はなぜ不安を転機にかえられるのか 久世
34.闇経済の怪物たち 溝口敦◎
35.自分で治す気の健康術 早島正雄
(4月)
36.読書は格闘技 瀧本哲史◎◎
37.暴力団 溝口敦
38.東京最後の異界 鴬谷 本橋信宏
39.なぜ人は詐欺師にだまされるか 内藤誼人
40.映画の奈落完結編 伊藤彰彦◎◎
41.面白くて眠れなくなる数学 桜井進
42.天才を考察する デイヴィッド・シェンク◎◎
43.打撃の真髄 榎本喜八伝 松井浩
44.超面白くて眠れなくなる数学 桜井進
45.殺人犯はそこにいる 清水潔◎◎
46.マネーの闇 一橋文哉
47.天才の脳科学 ナンシー・アドリアセン◎
48.日本人が知らない「怖いビジネス」 門倉貴史
49.わかるということの意味 佐伯胖
50.遅読家のための読書術 印南敦史◎
51.翻訳の手法 斎藤兆史
52.暴力団 続 溝口敦
53.ポジショニング戦略 アルライズ、ジャックトラウト◎
54.創作の極意と掟 筒井康隆
55.ニッポンの貧困 中川雅之
56.成瀬巳喜男映画の面影 川本三郎
57.圏外編集者 都築響一◎
58.ノンフィクションはこれを読め2014年
59.アウトローたちの履歴書
60.好き嫌いと才能 楠木建◎
61.天国は水割りの味がする 都築響一
62.波の音が消えるまで上 沢木耕太郎◎◎
63.波の音が消えるまで下 沢木耕太郎◎◎

64.居酒屋ほろ酔い考現学 橋本健二
65.ぼくには数字が風景に見える ダニエル・タメット
(5月)
66.真実 高田昌幸
67.格差の戦後史 橋本健二
68.成功する練習の法則 ダグ・レモフ ◎
69.ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい クリスティン・バーネット 
70.家族喰い 小野一光
71.リベラルさがうさんくさいのには理由がある 橘玲
72.キリンビール高知支店の奇跡 田村潤◎
73.ヤクザマネー
74.無縁社会 NHK
75.自殺の9割は他殺である
76.はみだす力 スプ二ツ子
77.元祖プロコーチが教える育てる技術 ジョン・ウッデン
78.ニッポンの書評 豊崎由美
79.完全なるチェス 天才ボビーフィッシャーの生涯◎
80.ギャンブル酒放浪記
81.確率思考のコツ
82.愛に生きる 鈴木鎮一◎
83.書いて稼ぐ技術 永江朗
84.覆す力 森内俊之
85.恋する天才科学者 内田真理香
86.江戸の理系力 洋泉社編集部 
87.決定力を鍛える ガルリ・カスパロフ◎
88.賭博偶然の哲学 檜垣立哉
(6月)
89.伯爵夫人 蓮實重彦◎
90.ミライの授業 瀧本哲史
91.超企画会議 川村元気 
92.靴下バカ一代 越智直正
93.「暗黒・中国」からの脱出 顔 伯鈞 ◎
94.詐欺の帝王 溝口敦
95.早期教育と脳 小西行郎
96.伝わる文章を書く技術 印南敦史◎
97.悪い奴ほど出世する ジェフリー・フェファー◎
98.タテ社会の人間関係 中根千恵
99.知性とは何か 佐藤優
100.世界記録はどこまで伸びるのか
101.パトリの方へ
102.1974年のサマークリスマス 柳沢健◎◎
103.あやしい統計フィールドガイド
104.経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由 清水勝◎
(7月)
105.直観力を高める数学脳のつくりかた バーバラ・オークリー◎
106.「勝ち方」の流儀 桜井章一、勝間和代
107.調べる論 木村俊介
108.習得への情熱 ジョッシュ・ウェイツキン◎◎
109.だれも買わない本はだれかが買わなきゃならないんだ 都築響一
110.働く、編集者 加藤晴之
111.正直書評 豊崎由美
112.ヒラノ教授の線形計画法物語 今野浩
113.野生の教育論 野村克也
114.世界史の極意 佐藤優
115.面白い本 成毛眞
116.私の東京町歩き 川本三郎◎
117.私説東京繁昌記 小林信彦、荒木経惟◎
118.死んでもいい:マニラ行きの男たち 浜なつこ
119.47原則 服部周作
120.即決営業 堀口龍介◎
121.超一流になるのは才能か努力か アンダース・エリクソン◎

122.超箇条書き 杉野幹人
123.細木数子魔女の履歴書 溝口敦
124.ほとんど記憶のない女  リディア・デイヴィス
125.パーキンソンの法則  CNパーキンソン◎
126.不格好経営 南場智子◎

127.間取りの手帳 佐藤和歌子
128.映画放浪記 色川武大◎
129.反知性主義に陥れないための必読書70冊 文藝春秋
130.でっちあげ 福岡殺人教師事件の真相 福田ますみ◎
131.東京の空の下、今日も町歩き 川本三郎◎

132.めぐらし屋 堀江敏幸
133.リクルート創刊男の大ヒット発想術 くらたまなぶ◎
134.わが悲しき娼婦たちの思い出 Gガルシア・マルケス
135.島へ免許を取りに行く 星野博美
136.小説の方法 伊藤整◎
137.シンプルに考える 森川亮
138.安部公房とわたし 山口果林
139.ヤクザと原発 鈴木智彦
140.大村智物語 馬場◎
141.適応の条件 中根千枝
142.先生と私 佐藤優
143.新宿情話 須田慎太郎
144.東京ひがし案内 森まゆみ
145.六本木アンダーワールド 杉
146.ROADSIDE BOOKS 都築響一
147.覚えない記憶術 樺沢紫苑 
(8月)
148.君は一流のデカになれ 
149.731 青木冨美子◎
150.数学に感動する頭をつくる 栗田哲也◎◎

151.あのメニューが生まれた店 菊池
152.ノンフィクションはこれを読め2013 
153.絆 田中京
154.日本映画を歩く 川本三郎◎
155.ケンブリッジ数学史探偵 北川智子
156.GRIT やりぬく力 アンジェラ・ダックワ―ス◎◎
157.クリントイーストウッド 中条省平
158.時間をかけずに成功する人、こつこつやっても伸びない人 シェーン・スノウ
159.帝都東京を中国革命で歩く 譚 璐美
160.南方熊楠 唐澤太輔
161.東大で文学を学ぶ 辻原登
162.営業と詐欺の間 坂口孝則◎
(9月)
163.リーダーを目指す人の心得 コリンパウエル◎
164.検証学歴の効用 濱中淳子◎

165.映画批評は批評できるか 重政隆文
166.フィールドワーク 佐藤郁哉◎
167.賭けるゆえに我あり 森巣博◎

168.読書は1冊のノートにまとめなさい
169.批評の事情 永江朗◎
170.ギャンブラーの数学 ジョセフ・メイザー
171.映画は爆音でささやく 樋口泰人
172.影響力の正体 チャルディーニ◎
173.バースト!  アルバート=ラズロ・バラバシ
174.究極の鍛練 ジョフ・コルヴァン◎
175.なぜ占い師は信用されるのか 石井裕之
176.日本に絶望している人のための政治入門  三浦瑠璃◎
(10月)
177.日本を滅ぼす教育論議 岡本薫◎◎
178.正直シグナル Aペンドランド
179.格差固定 三浦
180.図解なぜ人は詐欺師にだまされるか 内藤誼人
181.狼の牙を折れ 門田隆将
182.世界の経済学者はいま何を考えているのか 入山章栄◎
183.教育と平等 苅谷剛彦
184.ブラックスワンの経営学 井上龍彦
185.ザ・会社改造 三枝匡◎◎
186.非道に生きる 園子温
187.伝説のロックライヴ名盤50 中山康樹
188.するめ映画館 吉本由美
189.週末香港マカオでちょっとエキゾチック 下川裕治
190.飛田の子 杉坂圭介
191.あなたを天才にするスマートノート  岡田
192.週末作家入門
193.アナロジー思考 細谷功◎
194.道徳感情論 アダムスミス
195.ピカソ剽窃の論理 高階秀彌
196.上海時間旅行 佐野眞一ほか
197.分類脳で地頭がよくなる 石黒謙吾
198.台湾海峡1949 龍應台
(11月)
199.「超」進学校開成・灘の卒業生 濱中淳子◎
200.古市くん、社会学を学び直しなさい!! 古市憲寿◎
201.映画の戦後 川本三郎◎

202.撮る 今村昌平
203.路上観察学入門 藤森他
204.「あたりまえ」を疑う社会学 好井裕明
205.社会学入門 見田宗介
206.生産性 伊賀泰代◎
207.パクリ経済 カル・ラスティアラ
208.帰郷 大佛次郎
209.ずるい勉強法 佐藤大和
210.説得力を強くする 藤沢
211.開成番長の記憶術 繁田和貴
212.犬養由美子の人生を変える一皿
213.成功することを決めた 遠山正道
214.仕事の中の曖昧な不安 玄田
215.ジャズメン、ジャズを聴く 小川隆夫◎◎
216.マイルス・デイヴィス 中山康樹
217.マイルス・デイヴィスの真実 小川隆夫◎
218.頭がよくなる本(第4版) トニー・ブザン◎

219.金子勝の仕事道 金子勝
220.5分間で自分の考えをつくる 斎藤孝
221.知のソフトウェア 立花隆◎◎
222.働き方は自分で決める 古市憲寿
223.軋む社会 本田由紀◎
224.模倣の経営学 井上達彦
225.ものぐさ精神分析 岸田秀◎


◎◎GOOD ◎気にいる ▼ ちょっと。。。

2013年202冊→2014年278冊→2015年179冊だったので、少しはまとも
購入しなくても図書館で借りれるならば、その方が優先で金もかからない。気になったところは附箋をつけて、そこだけをipadで写真を撮っておく。そうすると、いいとこどりの部分がいつでも見れる。その中で気にいるものが出てくる。アマゾンで関連作品を検索すると、いい推薦書が出てくる。それをまた借りればいい。でも、新刊はそうはいかないので購入する。

新刊では「1974年のサマークリスマス 柳沢健」「ジャズメン、ジャズを聴く 小川隆夫」の二冊は音楽関係の本だけど、抜群によかった。

会社での社員の成長を祈りつつ、教育関係の本は割と読む。今年は天才と遺伝との関係に興味をもったので、その類は読んだ。努力志向でいえば「超一流になるのは才能か努力か アンダース・エリクソン」「天才を考察する デイヴィッド・シェンク」の見方も大切だと思う。
橘玲は近年の著作で盛んにとりあげているが、今年は「言ってはいけない」で遺伝子の件でとどめをさす。橘玲のネタ本の作者である慶大教授安藤寿康はこう言う「行動にあまねく遺伝子の影響がある以上、そしてその遺伝子の組み合わせが人によって異なる以上、いくら学校でみんなが同じことを同じだけ学んでも、そこには成績の出来不出来、能力の得意不得意があるのは当然なはずです。ところが、学校ではそれが好ましくないものと考えられ、勉強のできない子は努力が足りないとか、しかるべき時にしかるべきしつけができていなかったと考えられて、本人や親に負の烙印を押されがちです。このほうが、真の意味で遺伝子の不都合な真実なのではないか」
その通りだと思う。いくらやってもダメなものはダメ。早くに自分にあった動きをする必要がある。

「圏外編集者 都築響一」の中で「ひとよりたくさん本を読む必要なんてない。それよりはるかに大切なのは、100回読み返せる本を、何冊か持つこと。映画監督になるのだって、たぶんそう。寝る間を惜しんで何千本観た。というのは評論家にとっては大切だろうけど、作り手はそうじゃない。100回見ても感動する、そういう映画と出会って、繰り返し見続けて、自分のものにするほうがはるかに大切なはずだ。」と書いてあった。

暇さえあれば本か映画かというより、もう少しアウトプットを意識した生活に転換する必要がある。


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2016年見た映画

2016-12-31 09:57:42 | 映画 ベスト
1.イン・ユア・アイズ
2.ワイルドスピード
3.ラン・オールライト
4.皇帝のために
5.はじまりのうた
6.真夜中のゆりかご◎
7.国際市場で会いましょう
8.完全なるチェックメイト◎
9.ブリッジ・オブ・スパイ◎◎

10.駆けこみ女と駆けこみ男
11.ザ・ドライヴ
12.グローリー
13.白鯨との闘い
14.殺されたミンジュ
15.予告犯
16.ビューティフル・インサイド◎
17.悪党
18.共犯
19.極道大戦争
20.俳優 亀岡拓次◎◎
21.ブラック・スキャンダル
22.ザ・ウォーク
23.オデッセイ
24.ドリームホーム 99%を操る男◎
25.99分世界美味めぐり
26.キャロル◎◎
27.あの日のように抱きしめて
28.アリスのままで
29.ロマンス
30.テッド2
31.死刑台のメロディ
32.ドライバー
33.愛のメモリー
34.ヘイトフル・エイト◎
35.マネーショート
36.マイ・インターン
37.彼は秘密の女ともだち
38.ピース・オブ・ケイク
39.バットマンVSスーパーマン
40.蜜のあわれ▼
41.砂上の法廷
42.ヴィンセントが教えてくれたこと
43.孤独のススメ
44.dear ダニー 君へのうた
45.マジカルガール
46.ボーダーライン
47.トランスポーター イグニション
48.夏をゆく人々
49.ごろつき
50.歌行燈
51.リアリティのダンス
52.ヴィヴィアンマイヤーを探して
53.黒衣の刺客
54.グラスホッパー
55.スポットライト世紀のスクープ◎
56.レヴェナント◎◎

57.コインロッカーの女
58.グランドフィナーレ
59.ステーキ・レボリューション
60.さよなら人類
61.奴がわらう
62.岸辺の旅
63.北陸代理戦争◎
64.RE LIFE
65.悪党たちに粛清を
66.ディストラクション・ベイビーズ◎◎
67.顔のないヒトラーたち
68.エベレスト
69.海よりまだ深く◎
70.64前編
71.64後編
72.レジェンド 狂気の美学
73.教授のおかしな妄想殺人
74.ふきげんな過去▼
75.ブルックリン◎
76.Xミッション
77.独裁者とその孫
78.起終点駅 ターミナル
79.サウルの息子
80.失楽園
81。いますぐ抱きしめたい
82.シアタープノンペン
83.遊び
84.どっこい生きている
85.キクとイサム◎
86.花芯
87.後妻業の女
88.ギターを持った渡り鳥
89.COP CAR
90.家族はつらいよ▼
91.オーバー・フェンス◎◎
92.イッツ・フォローズ
93.恋人たち
94.怒り
95.女が眠る時▼
96.あの頃エッフェル塔の下で▼
97.ハドソン川の奇跡◎
98.シン・ゴジラ
99.インサイダーズ
100.裁かれるは善人のみ
101.SCOOP◎◎
102.君の名は
103.ニューヨークの眺めのいい部屋▼
104.リリーのすべて
105.アイヒマンショー
106.クヒオ大佐
107.ジェイソン・ボーン
108.へイルシーザー▼
109.殿利息でござる◎
110.サウスポー
111.湯を沸かすほど熱い愛
112.奇跡をくれた数式
113.香港華麗なるオフィス・ライフ
114.二つ星の料理人
115.さよならをもう一度◎
116.極秘捜査◎
117.ジュリエッタ◎◎
118.エブリバディ・ウォンツ・ヒム◎◎
119.ソフィーの選択◎

120.ベストセラー編集者パーキンズに捧ぐ
121.ロスト・バケーション
122.クーパー家の晩さん会
123.ボバリー夫人
124.社長洋行記
125.弁護人◎
126.すれちがいのダイアリー
127.JACO
128.ヒッチコック&トリュフォー◎
129.ダニエラという女
130.めまい◎

131.3つ数えろ
132.間違えられた男
133.ヤングアダルトニューヨーク▼
134.MILES AHEAD
135.エクス・マキナ
136.疑惑のチャンピオン
137.帰ってきたヒトラー
138.サムライ
139.聖杯たちの騎士▼
140.マイケルムーアの世界侵略のススメ◎
141.さざなみ
142.エイト・デイズ・ア・ウィーク

◎◎ 自分にあっている。好み ◎ いい感じ ▼ちょっと

今年は例年に比べて大幅減で終わりそう。
2009年 254本、2010年 222本、2011年 210本、2012年 191本、2013年 216本、2014年 258本、2015年 178本
ブログにアップできていない作品も多い。アウトプット能力が衰えている。
古い映画では「愛のメモリー」「ソフィーの選択」「ギターを持った渡り鳥」が書けそうでかけていない。「リリーのすべて」や韓国映画の「極秘捜査」や「インサイダー」も途中で書ききっていない。

時間がないだけ、事前情報も得ながら選んで映画をみようとしたが、そうはうまくはいかない。
この数だと、年間ベスト10はちょっと選べないなあ。反省しきりだ。

それでも◎◎をつけた中から洋画で自分の好みにあったのは
1.レヴェナント
2.キャロル
3.ブリッジ・オブ・スパイ
4.ジュリエッタ
5.エブリバディ・ウォンツ・ヒム

あとはドリームホーム 99%を操る男とハドソン川の奇跡

日本映画で自分の好みにあったのは


1.俳優 亀岡拓次
2.SCOOP
3.ディストラクション・ベイビーズ
4.オーバーフェンス
5.海よりまだ深く


ダメ男に惹かれるのかもしれない。
ふきげんな過去、家族はつらいよなどが冴えなかった。

俳優 亀岡拓次
2016年日本映画ベスト
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映画「MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間」

2016-12-28 22:41:32 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「マイルス・アヘッド」を映画館で見てきました。


ジャズ界を常に引っ張っていたマイルス・デイヴィスが突如演奏を休止した70年代後半の話を映画化したものであるが、元妻であるフランシス・テイラーの幻影を追うために60年代後半とみられる映像を組み合わせている。中学時代から常にマイルス・デイヴィスを追っていた自分からすると、興味深い。B級と受け取られてもおかしくないレベルではあるが、最後に60年代の史上最強のバンドで活躍したウェインショーターとハービーハンコックがマイルスを装った男の後ろで自らの姿を誇示しながら演奏する姿をみて感動してしまった。それを見れただけで満足だ。


1970年代後半のニューヨーク。長らく音楽活動を休止中のマイルス・デイヴィス(ドン・チードル)の自宅に、彼のカムバック記事を書こうとしている音楽記者デイヴ(ユアン・マクレガー)が押しかけてくる。しかし体調不良に苦しみ、ドラッグと酒に溺れるマイルスは、創作上のミューズでもあった元妻フランシス(エマヤツィ・コーリナルデイ)との苦い思い出にも囚われ、キャリア終焉の危機に瀕していた。


やがてデイヴと行動を共にするうちに、悪辣な音楽プロデューサーに大切なマスターテープを盗まれたマイルスは、怒りに駆られて危険なチェイスに身を投じていく。その行く手に待ち受けるのは破滅か、それとも再起への希望の光なのか……。

1.フランシステイラーとジャケットを飾った女たち
マイルスデイヴィスは女性のポートレートをレコードジャケットにのせるのが好きだ。「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME」で美しい姿を見てるのがマイルス元夫人のフランシステイラーである


。「ポギ―とべス」ギル・エヴァンスと制作している最中に2人が恋に落ちるシーンもある。


この映画ではかなりキーになる存在だ。「ESP」のジャケットにもフランシステイラーが映る。それまでライブレコーディングが多かったマイルスが久々スタジオ録音でつくったものだ。

その後、フランシステイラーと別居することになり、「ソーサラー」では81年に結婚する女優のシシリー・タイソンのポートレートをジャケットに使う。離婚前とはいえ、シシリーに入れ込んでいるのが良くわかる。でもシシリーと真の意味でつき合うようになるのは、長い沈黙時代の後半1978年ごろである。シシリーがいなかったら、マイルスデイヴィスは麻薬に入れ込んだままで復活しなかったかもしれないのだ。


2.60年代の最強クインテット
ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンスがいるときに、ジャズのベストセラー「カインドオブブルー」という代表作を送り出す。映画でもライブハウスで白人のピアニストが出てくるシーンがあるが、これはビル・エヴァンスということであろう。その後60年代に入り次のサックス奏者が定着しない時期が続く。ようやく63年に当時まだ若かったハービーハンコック、ロンカーター、トニーウィリアムスの素晴らしいリズムセクションに恵まれた。トニーウィリアムスに至ってはまだ17歳である。同時にアートブレイキーとジャズメッセンジャーズにいたウェインショーターを招き、1964年最強クインテットができる。個人的にはジャズ史上最強だと思う。



この映画でも当時のメンバーに似たメンバーが登場し、「ネフェルティティ」を演奏する場面が出てくるが、マイルスとフランシステイラーと夫婦喧嘩をしていて、あんまりいいシーンではない。
67年の映像 トニーウィリアムスのドラムスが冴える



3.ウェインショーター
先日元ウェザーリポートのジャコ・パストリアスのドキュメンタリー映画「JACO」を見たときにウェインショーターのインタビューが含まれていた。80歳を過ぎてまだまだ健在だというのを見せつけてくれ、本当にうれしかった。自分はマイルスデイヴィスクインテット時代のウェインショーターが好きだ。マイルス後半やウェザーリポートの頃からソプラノ・サックスが目立つようになるが、豪快なテナーの音がいい。

アルバム「ソーサラー」ではメンバーのオリジナル曲ばかりでマイルスの曲がない。2曲目の「ピー・ウィー」ではなんとマイルスが演奏していないのだ。実際にウェインショーターカルテットだけど、そこにはいないマイルスの匂いがたちこめるのは不思議だ。ウェインショーターはかなりしつこくマイルスデイヴィスからメンバーになるように誘われたらしい。2人の緊張感あふれるプレイはすばらしい。そんなマイルスデイヴィスの映画なので、「黄金のクインテット」のウェインショーターとハービーハンコック2人もライブに参加してくれたんだろう。ウェインショーターは座ったまま吹いていて、年齢を感じさせたが、先日に引き続き映画でその姿を見れただけでもうれしかった。


ドン・チードルはマイルスに似ているかな?ちょっとイメージが違うかな?と思っていたが、かなりなりきっているとみた。最後のライブシーンのふるまいもいい感じだ。

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映画「間違えられた男」 ヘンリー・フォンダ&ヴェラ・マイルズ

2016-12-23 21:26:53 | 映画(洋画 69年以前)
映画「間違えられた男」は1956年のアルフレッド・ヒッチコック監督の作品


「ヒッチコック/トリュヒュー」の中でも「間違えられた男」がとりあげられていた。「めまい」の前に製作された作品で、急に見てみたくなった。数多いヒッチコック作品の中でも、実話をもとにした異色作品である。映画の冒頭で、ヒッチコックが自らそのことを観客に向かって語る。

ヒッチコック映画の中にも犯人に間違えられる話はよくあるパターンだが、むしろ「北北西に進路をとれ」や「逃走迷路」のように逃げ回る話の方が多い。冤罪でとらえられた実話となるとより犯人にさせられた男が気の毒に見えてくる。ここでは、ヘンリーフォンダがはめられていく中で、徐々に人相が悪くなっていく。表情もなかなかうまい。1956年当時のニューヨークの風景もふんだんに出てきて、それ自体も楽しめる。

ニューヨーク、妻ローズ(ヴェラ・マイルズ)の歯の治療費が多額になることが分かり、クラブでベーシストをやっているマニー(ヘンリーフォンダ)は妻の生命保険を担保にお金を借りようとして、証書をもって生命保険会社を訪れる。受付で対応した事務員がマニーの顔を見て驚き、別の事務員に声をかける。以前、会社に強盗で襲った男に似ていることに気づいたのだ。妻のサインが必要なので、また改めて来てくださいと告げて帰ってもらった後で、あわてて警察に連絡する。そして自宅に帰る直前に警察に任意同行を求められる。


警察で筆跡を鑑定したところ、字がよく似ていて同じようなスペリングの間違いをしていた。同じような強盗に入った場所で顔を見てみてもらったところ、似ているということになりマニーは拘束される。いつも定時に自宅に帰るマニーが帰らず、妻ローズは心配して、マニーの実家にその他に連絡するがつかまらない。結果、警察に拘束されていることが分かり驚く。その後も不利な状況が続いたあとで、牢屋に入れられたが、保釈金を身内に出してもらいなんとか釈放される。

証人を探したが、すでに死亡している。弁護士をなんとか頼んで裁判に持ち込むが、少しも好転しないk状況が続くのであるが。。。

1.ヒッチコックはなぜモノクロで撮ったのか?
アルフレッド・ヒッチコックは1955年に「ハリーの災難」を撮り、同じ1956年にはドリス・デイが劇中で「ケセラセラ」を歌う「知りすぎていた男」を撮っているが、いずれもカラーである。その後の「めまい」もサンフランシスコの景色をカラーで実に美しく撮っている。それなのに、モノクロで撮っている。ヘンリーフォンダの顔立ちはいかにも不安を醸し出している。それを陰影の強い白黒で示すことで実話ではあるがスリラー的な要素を見せているのではないか?その後「サイコ」でもう一度モノクロで撮っている。ヒッチコックの中でもスリラー的な要素が強い映画である。


2.ヘンリーフォンダ
法廷物の名作「十二人の怒れる男」の前年に撮られている。「十二人の怒れる男」も白黒であるが、この映画の弱々しさとは対照的な裁判員を演じている。艶福かとしても知られ、子供で俳優であるピーターフォンダジェーンフォンダと長らくあまりいい関係ではなかったのは、あまりにも有名だ。この映画の顔立ちと最後の作品でアカデミー賞を受賞した「黄昏」キャサリーン・ヘップバーンと娘のジェーンフォンダと共演した時の円熟した枯れ切った演技を見せた時の表情はまったく異なる。

3.ヴェラ・マイルズ
ここでのヴェラ・マイルズは実に美しい。


「めまい」でもヴェラマイルズを起用しようとしていたという逸話はよくわかる。ご懐妊で出演できなかったらしい。いかにもヒッチコック好みである。結局、「サイコ」ジャネット・リーの妹役を演じて、映画「サイコ」の後半戦で活躍した。でもジャネットリーとまるで一人二役やっているみたいに良く似ていたなあ。




間違えられた男
珍しい実話に基づく映画
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矢沢永吉2016年武道館最終日137回目3

2016-12-21 15:39:01 | 矢沢永吉


「バイバイサンキューガール」のあとのMCでは20代の後半、街から街へ移ってやるツアーではこの曲よくやったなあと言っていた。今日も白の上下多いよね。なぜ白といわれるとわからないなあと。
ちょうどキャロルの4人組からソロでやるようになって、すごく不安だったと。そんな時、日比谷の野外音楽堂でやるのに当時住んでいた横浜の弘明寺の洋服屋でオーダースーツをつくった。その時なぜか白をつくったとのこと。でも何でだかよくわからない???

「ため息」では「お前のためなら死ねる」と会場のファンにコーラスを呼び掛ける場面も
「GET UP」から「YOU」とコンサートの定番でいったん終了する。この曲の流れは実にいい。「ゲラゲラ」と手をあげながら、ファンも大満足だ。この二曲は「苦い雨」同様コンサートでよくやる曲だし、ドームでもやった。まるでカラオケにいるかのように思わず歌ってしまう所がいい。


アンコールでは白い上下に帽子をかぶって登場する。
「anytime woman」でも往年のストーンズばりのロックンロールでギター2人とベースを引き連れステージのへそのところまで歩いていく。これがノリノリでいい。

そのあとで「haha」と「トラバス」で終了する。
今年最後とあって、恒例のファンのタオル投げも周辺を見回すと気合が入っている印象だ。
二階からトラバステープが飛ぶ場面はいつ見てもいい。友人の話だと、トラバステープをとろうとして、大けがをして救急車に運ばれた人がいるそうな。必死になるのはわかる。幕張の時とりそこなったけど、何か興奮するんだよね。「トラバス」で今日初めて、「帰りにおいしいビール飲んでよ」と言っていた。


今回は総じてヤザワのバラードのレベルが高かった。それを引き立てるためのガイ・アリソンのキーボードが実によかった。あの音色は他のプレイヤーでは出せないレベルだと思う。さすが、ドゥービーブラザースのメンバーだけあるなあという感じだ。

昨年やっていなかっただけに今年はやってくれてうれしかったなあ。
帰りの反省会での話題はいつまでやるのか?ということだけど、ポールマッカートニーやミックジャガーがやめるまでは、当然やめないだろうという結論に達する。仮に150回目の武道館まではやるとなると、2019年になる。東京オリンピックの前の年末だ。今日もまだまだ頑張ると何度も行っていたけど、あともう一息頑張ってください。

ALL TIME BEST ALBUM Ⅱ
うなるヤザワのボーカル
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矢沢永吉2016年武道館最終日137回目2

2016-12-21 15:06:11 | 矢沢永吉
ロックが続く
スネイクのサックスも冴える「カサノバで囁いて」のあとに「イッツアップトゥユー」だ。
70年代ローリングストーンズのようなギターのイントロで始まる。この曲はエーチャンも好きなんじゃないかな。東京スカイツリーのこけら落としでも「東京」とともに展望台で歌ったし、特別参加の「紅白歌合戦」でも歌っていたね。ステージではえる曲だと思う。


MC3回目だ。
お気に入りの「イッツアップトゥユー」の話をした後で、昨年ツアーを中断した話をしていた。長い音楽生活で2回目だと。確かにわれわれファンもつらかった。ずいぶんとショックでお手紙もかなり送られたようだ。そしてオーストラリアの事業ではめられた多額の借金の話になる。男には人生で何回かの落とし穴がある。という言葉には実感がこもる。毎日がどんよりした雲の下にいたようなものだった。と言っていた。でもいったい本当に返せるのか?と思っていたけど、返すためにはコンサートをやるしかないと、やり続けてきたという話だ。つらかっただろうなあ。

続いてバラードだ。
「燃えるサンセット」だけど、ジェフ・コールマンの甘いギターが合わさる美しい曲だ。ヤザワ友達のpaseoraさんもこの曲が実によかったと事前情報を教えてくれていたが、確かにいい。続く「ピアス」では2つのミラーボールがクローズアップされる。そして武道館の天井が光の星屑だらけになる。恒例の武道館コンサートの中で1つのヤマである。今までの武道館の同じ星屑天井の場面ではバラード曲「東京」をしみじみと歌ったのが自分としては一番よかったなあ。


続いての「苦い雨」はヤザワファンが大好きなヤザワがシャウトするロックだ。そしてステージ横で火が噴き上がり「傘」となる。この曲もファンが一体になって乗りやすい。幕張の時もやっていた。あの時は大雨が降っていたのが印象的だ。Z's TOURにはじめていったけど、なかなか良かった。たぶん食わず嫌いじゃないかと思われるファンも多いような気がするけど、バンドの腕前もレベルが高く、おそらくはヤザワもご満悦だったんじゃないかな。

そして「BOY」ヤザワ曰く、久々にコンサートツアーの曲に入れたとのことだ。この曲もヤザワ友達のpaseoraさんがいいと言っていたが、その通りでヤザワがのっているのが歌声でわかるし、ガイ・アリソンのエレクトリックピアノがこの曲でもいい感じだ。「boy」に続いてのMCで矢沢も年をとりましたなんて言いながら、ガールズコレクションの話をしていた。そして3曲目のキャロル曲のメドレーの話となり、ジョニー大倉の詩ってチャーミングだよね。とヤザワが言う。思わず拍手が起こった時に、胸がジーンとなった。


またまた冴えるバラード曲のあと「時計仕掛けの日々」「バイバイサンキューガール」と続く。これは自分も好きな歌だ。

(続く)

ROCK IN DOME
バックのツインギターは今回と同じ


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矢沢永吉2016年武道館最終日137回目1

2016-12-21 14:23:09 | 矢沢永吉
矢沢永吉2016年武道館最終日に行ってきました。


昨年は残念ながら矢沢永吉の武道館コンサートがなくさみしい思いをしましたが、今年は再開しました。自分の2年前の記事をみると132回ということだったので、今回の最終日は137回目ということになる。5月に幕張の「Z's TOUR」コンサートに行ってきたけど、多忙すぎて感想をブログにアップしそびれたので、今回はまじめにチェックしておきます。

会社の最重要会議で6時まで事務所にいて、あわてて新宿をでる。いつものようにイチョウの落ち葉をみながら6時40分過ぎに武道館に入る。仲間と待ち合わせてすぐさま入るが、かばんの点検はあったが、飲酒運転の検問並みの厳格な検査はなかった。

年齢層は高い。でも隣の席にはコスプレの若い女の子が座っている。往年のツッパリ女といったオバサンが多い中で、これはめずらしい。白い上下スーツを着たオジサン達が恒例のエーチャンコールを繰り広げていたが、年々はげたオヤジが目立つ。いつ死んでもおかしくないような連中だ。

大歓声の中、ジャケットをはおって矢沢永吉が時間通りに登場。会場の歓声はピークに達する。
「テレフォン」でスタートである。定番のロックンロールでマイクスタンドを投げつける姿は若々しい。続いて「ドンウォナストップ」と典型的ロックが続く。バンドを見ると、トシ柳はいない。ジェフコールマンと米川英之というツインギターだ。このコンビは昨年の東京ドームと同じだ。ヤザワのお気に入りなのかな?


アコースティックギターをもったヤザワをみて、会場は皆おとなしく着席する。キャロルの歌だとすぐわかる。 「コーヒー・ショップの女の娘」だ。ジョニー大倉が甘ったるい声でリードヴォーカルをしていた曲だ。幕張の「Z's TOUR」でやはりジョニー大倉のヴォーカル「レディセブンティーン」を珍しく歌っていたけど、慣れないせいか?とちっていた。

メドレーで続いての「最後の恋人」キャロルでヤザワがリードボーカルだった曲だ。ヤザワのリズミカルなベースが印象的だった。ギターの米川ウッチャンこと内海利勝のリードギターそのものでフレーズをコピーしていたのに好印象をもつ。


続いての「今、揺れる、おまえ」でバラードとなる。今日歌ったバラードはどれもこれも抜群に冴えていた。照明設計がムーディで雰囲気を盛り上げる。

最初のMCだ。ようこそみなさんで挨拶をした後、今年最後の武道館だとしみじみと話す。若い頃からEMOTIONとかPASSIONとかで突っ走ってきたけれどといったあと、観客の声でちょっと本意が語れない感じだったけど、まだ頑張る!と力強いお言葉

「ヘイ ボビー」では躍動感あるパーカッションが入り、最後にはブラスも加わる。「ロックミートゥナイト」はオープンニング曲にもなる絶妙なロック曲でジェフコールマンと米川英之の絶妙なツインギターがギンギンだ。そしてバラード「紅い爪」だ。これが抜群によかった。ガイ・アリソンのエレクトリックピアノの音色がきれいで、ヤザワのバラードとの相性が抜群にいい。最後に向けてはスネイクのサックスも入り、ヤザワが観客を魅了する必勝パターンだ。


二回目のMCだ。今はメール時代になり、ファンから次から次へとメールが来る。悪いメールは見ない。今回のコンサートツアーの曲の並びがいいというメールもきていたという。これは確かにそうだと思う。自分の父親がヤザワと同じだという女の子からメールが来ていた。エーチャンはお父さんとちがってお腹も出ていないし、歌もうまい。なんて書いてあるおけど、お父さんが「同じ年には負けんで」とライバル心をもっているなんて話だ。でも自分の過去ブログをみるとこんな話していたかもしれない。

(続く)

LIVE HISTORY 2000〜2015
やっぱりヤザワはライブが一番
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映画「めまい ヒッチコック」 ジェームズ・スチュアート&キム・ノヴァク

2016-12-18 21:32:50 | 映画(洋画 69年以前)
映画「めまい」はアルフレッド・ヒッチコック監督による1958年の作品

先日「ヒッチコック/トリュフォー」の映画を見に行った。その中でも「サイコ」と「めまい」の2作品を綿密に解説している。もう一度見てみたい衝動にさらされ、「めまい」を再見した。妻と愛人が共謀して男を殺そうとする怖いあらすじで結末は言うな!とくぎを刺すフランス映画「悪魔のような女」の原作者であるピエール・ポワローとトーマ・ナルスジャックのミステリー作家チームによる作品である。詳細はともかく大枠のストーリーは把握しているので、映画のディテイルに目がいく。傑作は何度見てもいいものだ。


警察に勤めていた中年男性「スコティ」ことジョン・ファーガソン(ジェームズ・スチュアート)が高所恐怖症の影響で退職したことを聞きつけ、造船所の経営者である旧友エルスターから連絡が入る。妻マデリンの様子がおかしいので尾行してくれないかという依頼である。


スコティは夫とレストランで食事している美しい妻マデリン(キム・ノヴァク)の顔を確認した後、妻の居場所で待ち伏せして、彼女が運転する深緑のジャガーを自分の車で追う。彼女はサンフランシスコの街を彷徨い美術館に行ったり、買い物をしたり、お墓に行ったりしている。スコティは美術館でじっと眺めていた女性の絵の髪型が彼女にそっくりだということに気づく。どうやらその絵の女性はマデリンの祖先で26歳で自殺をしたということを依頼者である友人から聞きつける。

その後も尾行が続くが、似たようなルートを彷徨って、ゴールデンゲイトブリッジ横の海岸に向かう。そこでなんと、彼女は飛び込むのだ。あわててスコティも海に飛び込み、マデリンを救出する。そして自宅に連れていく。


自宅で目覚めたマデリンにはほとんど記憶がなかった。スコティから事情を聞き、あわてて自宅に帰宅する。その後も尾行を続けたが、行き先はスコティの自宅だった。やがて二人は惹かれあい、逢引きをするようになる。しかし、マデリンの不安定な状況は続く。そして郊外の教会の鐘楼の上に向かって、とりつかれたように階段を昇っていく。追いかけようとしたスコティはめまいでクラクラして階段が登れない。その時、屋上から女性が落下するのを目にするのであるが。。。

物語はここでは終わらない。尾行を依頼されながら、自殺させてしまった失意にスコティは神経が衰弱してしまう。でもこの後にものすごいドラマが待っている。前半で終わったように見せかけて、後半に別の女性を登場させる。

1.美しいサンフランシスコのロケ地
尾行を依頼され、2人それぞれの大きなアメ車がサンフランシスコの街中を走る。坂の多いサンフランシスコの街で向かう場所それぞれが実にすばらしい。最初に見たとき、まさに総天然色で映すその美しさにため息が出た。衣装を含めて色彩設計は抜群である。
ピックアップしてみる。

The Palace of the Legion of Honor, Lincoln Park


ゴールデンゲイトブリッジ


The Palace of Fine Arts



2.キムノヴァクの美貌
一人二役というべき役柄を見事にこなした。サンフランシスコの海には実際に飛び込んだという。さぞかし冷たかっただろう。この映画でのヒッチコックとの関係は最悪だったと言われる。それだからか、映画「ピクニック」や「愛情物語」で見せる美貌の方が上ではないかと個人的には感じる。


映画「ヒッチコック/トリュフォー」では髪型をマデリンそっくりに変えて登場したキムノヴァクが、ジェームズ・スチュアートの前に現れる場面がすばらしいとマーティンスコセッシが絶賛していた。

3.サプライズ
自分が最初に見た時、三つの場面で驚いた。
まずは、キムノヴァクがサンフランシスコ湾に突然飛び込んでしまう場面、すでに亡くなったマデリンとそっくりな女性を街の中でスコティが見つけて驚く場面、スパニッシュ系の鐘楼の上にマデリン(ジュディ)とスコティがいるときに突然人影が現れて、マデリン(ジュディ)がうろたえる時


それぞれにドッキリしてしまったが、今回は結末がわかっているとさほどでもない。それでもアルフレッドヒッチコックは驚かすのが巧みである。ブライアン・デ・パルマも驚かすのが好きな監督だが、そのエッセンスはヒッチコックから得たと言ってもいいだろう。「めまい」が基本になってデ・パルマ「愛のメモリー」が生まれたと言っても過言ではない。マーティンスコセッシもかなり影響を受けているようだ。


4.女のやきもち
この映画の冒頭にでてくる主人公スコティの元婚約者で友人のロイド眼鏡をかけた女性という存在は映画のバランスをとるために脚本家が考えた人物であろう。もともとは旧友だけにちゃんと相手にしていないが、尾行している女性が美女とわかると、密かなやきもちを妬いているようなそぶりを見せる。そういう第三者の存在はヒッチコックの妻が考えたような気がする。そういえば「見知らぬ乗客」に出演しているヒッチコックの娘もロイド眼鏡をかけていたっけ

この映画の評価は最初あまりよくなかったようだ。それにはヒッチコックもがっかりしたようだが、今では最大級に評価されていると言ってよい。同じようなストーリーも数多く、この展開は日本のサスペンスドラマでもよく見るなあ。

めまい
死んだはずだった愛する女性が現れる
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映画「ヒッチコック/トリュフォー」

2016-12-13 04:52:36 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ヒッチコック/トリュフォー」を映画館で見てきました。


ヒッチコック好きの自分からすると見逃せない作品である。インタビュー自体を映像で撮っているわけではないが、膨大なインタビューのテープが残されている。それにあわせて、ヒッチコックが監督した名作の重要なシーンが次から次へと映しだされる。二人の対話は淡々としたものだが、むしろマーティン・スコセッシなどの監督が実にヒッチコック作品をよく見ていて、ディテイルの素晴らしさを語ってくれるところがいい。もう一度彼のたどった軌跡を追いかけてみたくなるような素敵な映画である。


1962年の春、フランソワ・トリュフォーアルフレッド・ヒッチコックにインタビューを申し込む長い手紙をしたためる。インタビュー本出版の暁には、“あなたが世界中で最も偉大な監督であると、誰もが認めることになるでしょう”と宣言入りで。

長年、アメリカでの評価にフラストレーションを募らせてきたヒッチコックは、この若きフランス人監督からの手紙に歓びを隠さなかった。その返事には、手紙を読んで涙が出たと告白し、 トリュフォーからの申し出を快諾する旨を書き送っている。

こうして1962年8月13日、ヒッチコック63歳の誕生日にインタビューは始まった。ユニバーサル・スタジオの会議室にまる1週間こもって、通訳者ヘレン・スコットの助けを借りて行われたインタビューは、録音テープざっと50時間分にも及んだ。そのインタビューから膨大な音源を書き起こし、一作ごとに豊富なスチール写真やコマ撮りのイメージでヒッチコックのテクニックと映画理論を解説してゆく「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」は、4年後の1966年、フランスとアメリカで同時に出版。このヒッチコックを真の映画作家、芸術家として世界に認識させることに成功した伝説の映画本は、各国で翻訳され、世界中の若い映画作家や映画ファンのバイブルとなった。

映画『ヒッチコック/トリュフォー』は、この「映画術」のための伝説的インタビューの貴重な音源と、写真家フィリップ・ハルスマンによるインタビュー風景、その後20年にわたるふたりの友情を感動的に映し出すドキュメタリーだ。さらにマーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイター、黒沢清といったそうそうたる現代の巨匠たちが登場し、いかに「映画術」の影響を受けてきたかを熱く語り、独自の視点でヒッチコック映画を解説してみせる。
(作品情報より引用)

この映画を一回見ただけで、ヒッチコック/トリュフォー二人の会話の内容や名監督たちのヒッチコックへの思いを語る部分を頭に刻み込むのは困難である。どちらかというと、DVDを手に入れて、メモをしながら映画への思いをじっくり書き込んでいくといった作品である。

1.サボタージュ
英国時代のピークともいえる1936年の作品である。何と言ってもシルヴィア・シドニー演じる妻が夫を刺してしまう衝撃シーンをこの映画でも取り上げる。肉切りナイフをめぐって夫、妻それぞれの目線の動きが緊迫感がある。カメラワークの巧みさは歴史上有数の素晴らしさだ。そのポイントを取り上げるのでこちらもドキドキしてしまう。


2.ティッピ・ヘドレン
小学生の時、テレビの名画劇場で「鳥」を初めてみて、なんとも言えない怖さを感じた。その「鳥」と次作「マーニー」でのヒロインはティッピ・ヘドレンである。モデル出身のヒッチコック好みの美貌をもつ。「鳥」では徹底的に攻撃されてエライ目にあうが、再度「マーニー」で起用する。「007」で人気急上昇しているショーンコネリーがお相手だ。でもこの「マーニー」ではグレースケリーに出演してもらおうとモナコにわざわざヒッチコックが向かっている。これが実現したらすごいことだったろう。でもいくらなんでも泥棒役は王妃はできないよね。


「マーニー」では赤いインクがこぼれるのを見て、赤外線のようなスポットがティッピヘドレンにチカチカあてられるのが印象的だ。精神の不安定さを示していて、ここでもそのシーンが取り上げられている。

3.「めまい」のキム・ノヴァクと「サイコ」のジャネット・リー
この映画の中では代表作である「めまい」と「サイコ」の二作に時間をかけて解説している。有名監督たちが実に細かくこの映画を見ていることに驚いた。特にマーティンスコセッシ監督のコメントには感銘を受ける。名作をつくるためには、名画のディテイルを徹底的に検証することが重要なんだと再認識させられた。

「めまい」の中で教会から転落して死んだはずだったキムノヴァク演じるヒロインとそっくりな女性がジェームス・スチュワート演じる主人公の前に現れる。髪型が違うが、そっくりだ。その女性がサニタリールームに入って戻ってくる時の姿に対して細かく解説される。これがまた美しいシーンだ。


「サイコ」のジャネットリー演じるヒロインが会社に入金された4万$をもちだし、車で彷徨うシーンも印象的である。目がぱっちりしたジャネットリーが淡々と運転するが、途中警官の検問などを受けたりして、ドキドキしながら運転していくシーンも印象的だ。これをマーチンスコセッシがとりあげている。あまりにも有名なシャワーシーンもゾクッとする刺激の強いシーンだが、この映画はそういう観客をハラハラさせるシーンに満ちあふれている。


その他にもモンゴメリークリフトとヒッチコックとに葛藤があった話。「汚名」ではケイリーグラントとイングリット・バーグマンが呆れるくらい何度も何度もキスをするのであるが、2人はそれを嫌がっていたという話など興味深い話が盛りだくさんであった。自分としては今、ヘンリーフォンダ主演「間違えられた男」を見てみたい欲求にさらされている。

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー
フランソワ トリュフォー,アルフレッド ヒッチコック
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ドキュメンタリー映画「JACO」 ジャコ・パストリアス

2016-12-12 05:38:11 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
ドキュメンタリー映画「JACO」を映画館で見てきました。

天才ベーシストのジャコ・パストリアスを映しだしたドキュメンタリー映画が公開されると聞いた。しかも、彼の人物像を浮き上がらせるためにさまざまなミュージシャンにインタビューしているようだ。その中には自分が敬愛してやまないサックス奏者ウェイン・ショーターもいるではないか。これは見に行くしかないと映画館に急いだ。映画館は満席で、女性は少なく音楽ファンと思しき中年の男性が目立った。


1976年当時、自分は音楽好きの高校生だった。噂の天才ベーシストの登場に各音楽雑誌はジャコパストリアスの強烈なテクニックを取り上げていた。ベストセラー「ヘビーウェザー」の中で、ウェインショーターのソプラノサックスにはじまる「ティーン・タウン」ではそれまで聴いたことのないベースソロで我々の前に存在感を示す。これはすげえやと思った。

でも37歳で早死にしてしまう。ジミー・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンといったロックのスター同様あっという間にあの世に行ってしまった。独創性あふれるプレイを見せてくれると一方で、生活がずいぶんと荒れていたようだ。最後の死に方は決してきれいとは言えないむごい話だ。




1.ウェザーリポート
マイルスデイビス、ウェインショーター、ハービーハンコック、ロンカーター、トニーウィリアムズの史上最強ともいえるマイルスデイビスクインテットの中でウェインショーターの役割は大きかった。70年代にかけてエレクトリック化したマイルスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」で参加したジョー・ザヴィヌルと組んでウェザーリポートが1971年誕生する。これはこれでショッキングであった。

ウェインショーターもまだ健在↓でうれしい。


当初はマイルスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」や名作「ビッチェズ・ブリュー」の延長線上のタッチであったが、当時クロスオーバーと呼んでいた音楽の系統で徐々にファンクな要素が加わる。同じマイルスデイビスのバンドにいたハービーハンコックのファンキーなサウンドの影響もあるかもしれない。そのころ登場したのがジャコパストリアスである。彼の登場はウェザーリポートのサウンドに深みを与えた。


この映画でも取り上げられているが、ジョーザヴィヌルとジャコパストリアスには確執めいたものがあったようだ。天才同士やむを得ない部分があるだろう。ウェインショーターという巨匠の裏でリズムセクションを担当する中で、むしろリードギター的な動きをする天才ベーシストとキーボードに争いが起きてもおかしくない。クリームのライブを聴くと、エリッククラプトン、ジャックブルース、ジンジャーベイカーそれぞれが自分の力量を示すがごとくのセッションに走るのと似たようなものだ。

でもこの映画で鳴り響くウェザーリポートの曲での2人の競演には何とも言えない凄味を感じる。

2.ジョニ・ミッチェル
映画の案内を見て、並みいるジャズミュージシャンの中にフォーク系のジョニ・ミッチェルがいるのに不自然さを感じた。でも映画が進む中、ジョニのアコースティックサウンドに独創性あふれるジャコパストリアスのベースがしっくりなじむのを聴いて驚いた。これも凄い。



共演ライブより



3.マイルスデイビスの追悼曲
マイルスデイビスとジャコパストリアスとは直接共演していない。それでもマイルスは晩年に「ミスター・パストリアス」という曲を書いてある。ジャコパストリアスのプレイへの敬愛をこめたものであろう。なかなか素敵な曲である。映画の中で演奏されたものがyoutubeにアップされている。↓





中学生のころからずっと追いかけているウェインショーターやハービーハンコックが健在なのは本当にうれしい。自分もまだまだ頑張らねばという思いを強くした。
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韓国映画「弁護人」 ソン・ガンホ

2016-12-11 18:02:51 | 映画(韓国映画)
韓国映画「弁護人」を映画館で見てきました。


「殺人の記憶」「大統領の料理人」などの韓国の名優ソン・ガンホが弁護士役を演じるという。お世話になっているある弁護士もこの映画を推薦していて、見てみようかと思う。ノ・ムヒヨン(盧武鉉)元大統領の若き日の姿がモデルのようだ。

主題となる事件の前にこの弁護士の物語が割と長めに語られる。裁判官をやめて弁護士になったあと、本来司法書士がやるべき不動産登記業務を請け負い仕事を増やしていく様子が語られる。その後、他の弁護士もまねて登記業務をやることになり仕事が減ってしまった時も、商業高校出身で帳簿系の知識をいかして税務専門の弁護士になり、ますます仕事を増やす姿などを映しだす。そういう生活力旺盛の苦労話もソン・ガンホがうまく演じる。

でも昔からのなじみの店の店主の息子が公安に「アカ」の疑いで引っ張られ、拷問を受けていることがわかると正義の心がめばえて豹変する。ここからの法廷話はなかなか見ごたえある。公安当局の男を演じるクァク・ドウォンがうまく、判決に向けての対決が見ものである。

高卒で司法試験に受かり判事になったが、学歴社会の法曹界では差別が多く、弁護士に転身したソン・ウソク(ソン・ガンホ)。学歴もコネもないウソクは、まだ誰も手を付けていなかった不動産登記業務に目を付け、釜山一の税務弁護士へとのし上がっていく。ある日、馴染みのクッパ屋の息子・ジヌ(イム・シワン)が公安当局に突然逮捕されたと知る。自分の担当分野ではなかったが、ジヌの母親・スネ(キム・ヨンエ)からの懇願を受け、拘置所へ向かうが面会すらできない。


ようやく会えたジヌは、すっかり痩せ細り、顔や身体には無数の痣がある衝撃的な姿だった。ウソクは拘置所での取り調べに不信感を抱き、ジヌの無実を証明しようと立ち上がるが―。(作品情報引用)

1.元大統領の若き日の物語
映画情報によれば、韓国では大ヒットだったという。最近日本で石原慎太郎の著書がきっかけで田中角栄人気が再燃しているのと同様に、たたき上げで大統領になったノ・ムヒョンも人気があるのであろうか?ただ、この人も汚職疑惑で自殺して死んでいる。韓国の大統領はものすごい権力をもつと言われるが、次から次へと退任後失脚しているし、パク・クネ大統領に至っては弾劾されてしまった。まあ、ものすごい国だ。

フィクションとはいえ、この映画の前半をつかってノ・ムヒョン半生記を語っていると言ってもおかしくない。弁護士資格をもっているとはいえ、それだけではメシは食えない。至るところで名刺を配りまくる営業的な部分は好感が持てる。弁護士になるために勉強している時に、釜山港沖を見渡すマンションの工事にバイトの建設作業員として加わっていた。そしてリッチになり、このマンションの一室をむりやり購入しようとする姿は立身出世物語ともいえるのだ。


そうやっていながら、結局正義の道を歩もうとする。そこからは1962年のアカデミー賞主演賞作品グレゴリーペックの「アラバマ物語」の世界である。グレゴリーペックが冤罪の黒人を弁護する話に似た匂いを見ながら感じた。

2.学歴社会への反発
弁護士になって釜山の弁護士会に出席すると、目の前で別の弁護士が今度弁護士になった奴は高卒で不動産時の業務をやるとバカにしている。それだけでなく、裁判に臨んだときに検事と別の弁護士と判事が同じ大学の先輩後輩で「今度はお手柔らかに」なんて話もしている。そういう逸話で、韓国の法曹界の学歴社会を皮肉る。でも主人公はそれはさておいて生活力満点のパフォーマンスを発揮していく。


(ネタバレ注意)
ところが、公安当局に単なる読書会をやっただけで連行されたメシ屋の息子を助けようと奮闘する姿が続いていく。読書会で読まれていた本はEHカーの「歴史とは何か」で、検事や裁判長に向かって、これはあなたたちが出た大学の課題本ですよ。という法廷場面はなかなか痛快だ。

最初はバカにしていた釜山の弁護士会の面々も正義感を発揮する主人公の姿に共感をもつようになる。最後に向けての弁護士会の面々が仲間になり助けてくれる逸話はなかなかいい感じであった。

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映画「社長洋行記」 森繁久彌&新珠三千代

2016-12-07 20:37:59 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「社長洋行記」は昭和37年(1962年)の東宝映画


おなじみ森繁久彌主演の社長シリーズの作品で、香港ロケをおこなっている。

晩年の森繁のイメージしか知らない人からすると、コメディアン森繁久彌のイメージがなかなかわかないようだ。傑作とされる淡島千景共演「夫婦善哉」のダメ男ぶりのあと、東宝で社長シリーズで能天気でエロな社長のイメージを確立させる。

毎度のことながら、久慈あさみ扮する社長夫人の目を盗んで浮気をしてやろうとする森繁久彌の前に美女が次々と現れるが、あともう少しのところでうまくいかないというワンパターンは、そののちのフーテンの寅さんがマドンナとの恋をあと一歩のところで実現できないパターンと似ている。


サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、東南アジア販路拡張に苦戦していた。本田社長(森繁久弥)は東海林営業部長(加東大介)から国外販売は加藤清商事にまかせきりだと聞く。改善をお願いすべく社長(東野英治郎)に直談判しようとしてゴルフに誘った。ところが、ゴルフの当日娘が男を自宅に結婚したいと連れてきてビックリ、アポをすっぽかしてしまう。汚名挽回に社長は悦子マダム(新珠三千代)のいる香港亭へ加藤清商事の社長を招待したが、ちょっとしたことからケンカ別れになってしまう。社長は自力で国外に売り出そうと決心し、社長秘書の南(小林桂樹)と営業課長の中山(三木のり平)が同行して香港に向かうことになる。


中山は、図々しく送別会を準備して大騒ぎ。そんなとき、東海林の行きつけの割烹の女将あぐり(草笛光子)の義兄(フランキー堺)が香港の商社にいることがわかる。社長は商売上のつてがあるという東海林を中山のかわりに随行員にさせる。送別会の当日、それを知り中山はションボリうなだれる。

出発の日、羽田でジェット機にのり込んだ社長一行は、香港亭の悦子にばったり会う。彼女も香港で経営する日本料理屋へ行くところだ。香港に着き、女将の義兄にあったが、その日は自由行動となる。社長が香港亭のマダムとデートの約束をしていたからだ。東海林営業部長は西洋式のお風呂になれず、水びだしにしてしまう。秘書の南は街に散歩に出ると、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏(ユーミン)と共に香港を案内してくれて南はニコニコだ。そして社長はマダムと中華料理屋で待ち合わせをして楽しいデートとしようとするのであるが。。。

このころの社長シリーズの4人のレギュラーの顔をみると、なぜか安心感がある。子供のころ、家の近くにそのあとTOCとなった星製薬の廃墟のような建物があり、東宝映画の看板が掲げられていた。子供心にゴジラの看板が一番インパクトあったが、森繁、加東、三木、小林という怪優たちと美女の組み合わせの看板もよく見ていた気がする。

1.社長シリーズのワンパターン
源氏鶏太原作「三等重役」の映画化で軽薄でずるい課長を演じた後、40代で社長役を演じるようになる。この「社長洋行記」で社長を演じた時で49歳だ。今の自分より全然若い。この当時の重役連中は皆戦争を経験しているはずだが、いかにも能天気でお気楽なところは苦労知らずに思えてしまう。



ロイド眼鏡の奥でエロな雰囲気を醸し出す森繁久彌の滑稽な姿は、新珠三千代や淡路恵子などの常連たちの前でより好色な匂いをだす。当然金のある社長のところに美女が寄ってくるのであるが、小林桂樹扮する秘書のガードでなかなかうまくいかず久慈あさみ扮する奥方の登場でがっかりというワンパターンだ。

村上春樹都築響一との対談の中で
「森繁の社長は人ごとながらとてもかわいそうな気がする。あともうちょっとのところなのに。」と同情する。
一方都築響一
「大映映画だと、浮気やその先にあるドロドロしたところからお話は始まります。」たしかに増村保造監督作品などはそのパターンかも。東宝映画独特の家族でも見れる安心感があるのだ。

2.香港ロケ
香港好きな自分からすると、昭和30年代の香港が実際の映像として映る日本映画は見逃せない。どちらかというと、東映映画となると香港マフィアの黒社会との絡みとなり暗くなる。東宝映画は人気シリーズ、クレージー映画、若大将シリーズいずれも香港ロケ作品がある。クレイジー映画も杉江敏男監督がメガホンをとっているのだが、香港は藤本真澄プロデューサーの趣味なのかなという感じがしてしまうのであるが


3.三木のり平
コメディ映画の笑わせ役というよりも桃屋のコマーシャルでの三木のり平の印象が我々には強いインパクトとして残る。社長シリーズでは宴会課長で「パァーッといきましょう」とこの映画でも自称宴会嫌いの社長を強引に壮行会に誘う。そこで踊る宴会芸はいかにも古典的宴会芸で、現代のサラリーマンでは出来る人は少なくなっている。


小林信彦は名著「日本の喜劇人」の中で三木のり平をこう評する。
「主役を張れないタイプで、映画、舞台、ともに主役の場合は、成功していない。あくまで脇の、しかも、完全な<ぼけ>でないとうまくいかない。」せっかく海外出張できると思ってはりきっていたのに、上司に譲るという場面はなぜかさみしさを感じさせる落胆ぶりだ。こういう役柄も良く似合う。





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