映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」

2017-07-30 18:56:33 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「幸せなひとりぼっち」は2015年公開のスウェーデン映画だ。


ミニシアターでロングランでやっていた。スウェーデンでは人気だったということだったけど、主人公の顔がどうも好かなくてdvdスルーだ。でも気になるので観てみる。最初はこの主人公の振る舞いがうっとうしくて、いやな感じだったけど、回想場面での妻役のイーダ・エングヴォルがチャーミングで素敵な女性を演じてくれるので映画に引き込まれる。作品情報には書いていない後半戦の展開はなかなかいい感じで良作だと思う。

愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ(ロルフ・ラスゴード)。近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会長選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っている。


オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたが、突如クビを宣告されてしまう。亡き妻の面影が脳裏をよぎり孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図る。ところがその時、向かいへ引っ越してきたパルヴァネ一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んでくる。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまう。オーヴェは外へ飛び出すと烈火のごとく怒り、挨拶もしないまま代わりに車を駐車場にきれいに車を停め、ぶつぶつ文句を言いながら家に帰る。

翌日、迷惑をかけたと思ったパルヴァネ(バハー・パール)が、お詫びのペルシャ料理を届けに来る。この美味しい手料理をきっかけに、思いがけない友情が芽生えていく。近所同士のあたたかい交流に心を溶きほぐされていくオーヴェ。やがて、オーヴェは妻・ソーニャ(イーダ・エングヴォル)との出会い、そして、妻と自分の人生を一変させたある出来事について語り始めたのだった…。(作品情報より)


設定では59歳で自分もその年齢に近づいてきたけど、老けているなあこの主人公。60歳代半ばにしか見えないよ。しかも頑固おやじで融通が利かないイヤな奴だ。しかも長らく務めた勤務先ももクビになる。愛し合って結婚した妻はもうこの世にいない。子供もいない。自殺しようと何度も試みるけど、そのたびごとに誰かが訪ねてきたりして失敗する。

そんな話が繰り返しあり、なんかつまらないなあと思っているときに回想シーンになる。若き日のオーヴェがソーニャと知り合うシーンが出てくる。列車の中で偶然出会った2人だけど、徐々に近づいていく。内気なオーヴェをソーニャがリードして結ばれていく。この時のソーニャの振る舞いが実に素敵だ。そうしていくうちに目が覚める。死ねない。


2人には子供がいない。何でいないの?とも思っていたが、かなり重要な秘話が隠されている。ここからはネタバレになるから言えないが、この映画ここから先がいい。エンディングへの持ち込み方もうまい。残り4分の1でもっている映画かもしれない。

でも若き日のオーヴェと今の親父ぶりはちょっとギャップがありすぎるんじゃないのかな?
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映画「僕と世界の方程式」エイサ・バターフィールド

2017-07-30 17:35:14 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「僕と世界の方程式」は2017年日本公開の英国映画だ。


昨年は数学者ラマルジャンの若き日を描いた「奇跡がくれた数式」があったが、こういう数学の天才の話は自分がそうでないだけにあこがれる。今回は自閉症の数学好きの少年が「数学オリンピック」でのメダル獲得を目指すという話だ。あれ?こんな映画公開されたっけと思うほど、話題になっていないのでてっきりDVDスルーの映画かと思っていた。

でも見てみると面白い。「数学オリンピック」の会場がケンブリッジ「奇跡がくれた数式」にだぶる。傑作というわけではないが、なんかほのぼのとしていい感じだ。

大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサン(エイサ・バターフィールド)は、他人とのコミュニケーションが苦手な反面、数学の理解力に関しては飛びぬけた才能を持っていた。母親ジュリー(サリー・ホーキンス)は、普通の学校に適応できない息子の才能を伸ばそうと、数学教師マーティン(レイフ・スポール)に個人指導を依頼し、ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。


代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルの中国チームの少女チャン・メイ(ジョー・ヤン)と出会う。彼女と共に学ぶ日々は、数学一色だったネイサンの人生をカラフルに変えていく。そして、数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる… (作品情報より)

異様に数字に強い自閉症の男は、なんといっても「レインマン」ダスティン・ホフマンに勝るものはない。でも最近でもベンアフレックの新作「コンサルタント」で自閉症の会計士がむちゃくちゃ数字に強い。この少年も子供の時に数字に目覚めるが、「お前は特別だ」と父親に言われている矢先に交通事故で父親を亡くす。


母親は自閉症の息子をもてあますが、レベルの高い学校で受け入れてくれ、特別な数学の教育を受け数学オリンピックを目指す。同じ志の仲間は優秀だけど、超変わっている奴らばかりだ。数学オリンピックでは中国が強い。そこで合同合宿をすることになり、台湾に向かう。そこでは中国のメンバーとペアで行動することになり、一緒になったのが可愛い中国人の少女だ。変人のネイサンをみて、世話好きのメイがやさしくしてくれる。自閉症のネイサンでも少しづつ違う感情を持つようになるのだ。


普通に学校の授業についていくのを第一段階だとすると、一般の入試にでるような暗記数学で対応できる範疇が第二段階だ。ここまでは進めるようになってもここからが難しい。一定以上のパターンを知っていても、それだけでは解けないレベルがある。そんなレベルに達するにはどうしたらよいのかはわからない。小さい時からの数字への修練ができているかどうか?あとは遺伝だね。これだけはどうにも一般人では届かない世界があるような気がするなあ。

この映画の最後に向けての展開は若干意外に進む。
それはそれでいいかも?

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映画「溺れるナイフ」菅田将暉&小松菜奈

2017-07-05 18:43:42 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「溺れるナイフ」は2016年公開の菅田将暉と小松菜奈主演の作品


なんとなく気になっていた作品である。激しい暴力表現が映画の中でずっと続く「ディストラクションベイビーズ」菅田将暉と小松菜奈は共演している。髪を染めた菅田将暉の雰囲気が変だけど、「ディストラクションベイビーズ」同様地方の町でのロケ作品で小松菜奈との取り合わせがよさそうだ。それでも結局DVDスルーとなってからみた。映画が始まりしばらくして河口に映る工場と鉄橋を見てこのロケ地は和歌山の新宮だなと確信する。それがわかったとたんに次第に映画に引き寄せられる自分に気付く。


東京で人気モデルとして活躍していた望月夏芽(小松菜奈)は、父の都合で東京から遠く離れた田舎町「浮雲町」に引っ越すことになる。祖父(ミッキーカーチス)が経営する旅館に同居するのだ。そんな夏芽が神の地だという海辺の出入り禁止エリアに迷い込んだとき、髪を染めた一人の青年に出会いときめく。学校に行ってみると、その青年はなんとクラスメイトの長谷川航一朗(菅田将暉)だったのだ。彼は浮雲町の有力者の子孫だ。


転校した中学では有名人の夏芽が田舎に突然転校してくるということで同級生は大騒ぎだ。傲慢なコウこと航一朗の奔放さに戸惑う夏芽は同世代の注目を集めながら、次第にコウに惹かれ合うようになる。コウの幼馴染松永カナ(上白石萌音)や大友勝利(重岡大毅)は2人が付き合うことを応援している。コウと付き合いだした夏芽だったが、火祭りの日、突然祖父の旅館に泊まりに来ていた客がお祖父さんが倒れたとウソをつき夏芽を車に乗せ人気のない場所に連れ込もうとする。お祖父さんが倒れたのはウソだと気づき、コウは懸命に夏芽の元へ駆けつこうとするのであるが。。。


菅田将暉と小松菜奈が話すセリフはまだ未熟な中学生を思わせる稚拙な感じだけど、これはこれで仕方ないだろう。田舎町を舞台に奔放な若者をそれなりに頑張って演じている印象を受ける。

1.新宮と南紀の田舎町
高良健吾、鈴木杏主演中上健次原作の映画「軽蔑」では新宮の町がロケに使われている。商店街や路地裏まで舐めるように新宮の町を映し出していた。鈴木杏演じるヒロインがストリッパーをしていた新宿歌舞伎町との対比を際立たせる。中上健次の主たる小説の舞台である南紀新宮市は本当に遠い。東京駅から特急を乗り継いでも最短で7時間半かかる。映画の設定になっている東京から5時間ではここまでは行けない。熊野川河口に列車が走る新宮大橋があり、その向こうに北越紀州製紙の工場が見える。工場が位置するのは三重県だ。この河口に向けての風景は美しい。


歴史が古い街だけあって、城址や神社など映画のロケにはぴったりくるロケーションづくりができる。新宮市から和歌山側に南に向かい、風景のきれいな勝浦、串本方面でいい場所をピックアップして、小松菜奈と菅田将暉を巧みに風景に溶け込ませている。ロケハンティングには成功していて、映像造りは若手監督ながらうまい。

2.印象的なシーン
主演2人は期待通りの活躍であるが、目についたのはジャニーズwestの重岡大毅である。中学時代は単なる物分かりのいいクラスメイトであるが、夏芽に事件が起き、2人が別れざるを得なくなり、重岡大毅演じる大友が一気に夏芽に接近する。それはそれでうまくいくのであるが、都会育ちの夏芽が映画を撮るために田舎町を去らなければならない。そのままでいて欲しい気持ちが強い大友を振り切り夏芽が東京に向かおうとする。


別れをめぐる2人のやりとりが場末のスナックであり、あきらめた大友が吉幾三の「おら東京さ行くだ」をおもむろに歌いだす。このシーンがこの映画で一番印象に残る。コミカルな重岡大毅のパフォーマンスは結構ロングバージョンなのに飽きずに笑える。小松菜奈も本気で笑っている感じだ。平成の初め、自分も和歌山にいた。その頃行きつけた場末のスナックにあたかもいるような感じがしてきた。この感じは悪くない。それだけで映画をみた甲斐があった。
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映画「グッバイ、サマー」

2017-07-02 20:55:05 | 映画(フランス映画 )
映画「グッバイ、サマー」は2016年公開のフランス映画


中学生の夏の想い出なんてテーマって昔から好きなテイストである。「アメリ」以来ずっと追いかけているオドレイトトゥも出演しているし、ロードムービーは大好きなので気になっていたが忙しさにかまけて結果DVDスルーとなるが、DVD化されたので見逃せない。
オーディションで選ばれたという2人の若者が好演、しかもかわいい。性的に目覚めて好きな女の子ができたにもかかわらずうまくいかないなんてシーンを見ると、自分の中学生時代を思い出す。


14歳。子供でもない、大人でもない狭間の時期。画家を目指すダニエル(アンジュ・ダルジャン)は沢山の悩みを抱えていた。
中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれて馬鹿にされており、恋するローラ(ディアーヌ・ベニエ)にはまったく相手にされていない。おまけに母親(オドレイ・トトゥ)は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。誰も本当の自分を理解してくれる人はいない……。
そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生がやってくる。名前はテオ(テオフィル・バケ)。


目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは意気投合し、やがて親友同士になっていく。学校や家族、そして仲間達、みんなが二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から脱出するため、彼らは“ある計画”を考え付く。それは、スクラップを集めて〝夢の車”を作り、夏休みに旅に出ることだった―。(作品情報より)

1.2人の少年の珍道中
主人公のダニエルは長髪で女の子に間違えられることが多い。自分でオナ〇ーをしようとしても、まだ精〇がでない。美術オタクでパンク好きの兄貴のバンドの絵も巧みに描いてしまう。そんなダニエルの前にテオガ現れる。家が骨董屋で機械好きのテオとダニエルは意気投合する。


廃品を集めてゴーカートのような車をつくるが認可は出ないし、そもそも子供が運転するなんて話になる。そこで二人で知恵を出して、家の形をした車をつくる。運転しているのがばれそうになったら、家だと言い切るというのだ。そんな2人の珍道中では、子供のいない中年夫婦に好かれたり、得体のしれない風俗のような床屋で髪を刈られたり、腕っぷしの強いアメリカンフットボールの選手などが出てきておもろい話が続く。

2.風俗風床屋の顛末
女の子に間違えられることが多く、もっとたくましくなりたい願望も強かったダニエルが髪を切りたいと床屋に向かうがどこも閉店だ。いくつか回っているうちにいかがわしい床屋に入っていく。日本語を話すアジア女性が「かわいい」といってダニエルを出迎える。でも周りには与太者がたむろっている。バリカンで頭の中心部を刈ったとたんに店の中でドタバタ劇が始まり、そのままダニエルが逃げる。髪の毛はバリカンで刈ったままだ。このあたりの顛末がおかしい。


以前は台湾などで風俗系の床屋があったけど最近はどうなんだろうか?もしかしてフランスにそういう風俗があったりして?!

オドレイトトゥは今回は過保護の母親だ。眼鏡をかけていかにもという雰囲気である。でも息子が戻って抱きしめている顔つきは優しさがあふれている印象を持った。
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