映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「貴公子」キムソンホ

2024-04-29 21:13:57 | 映画(韓国映画)
映画「貴公子」を映画館で観てきました。


映画「貴公子」は韓国得意のアクションサスペンス作品で、名作「新しき世界」パクフンジョン監督がメガホンをもつ。GWに入って何気なくNetflixオリジナルの日本のアクションモノ「シティハンター」を観るが、面白くない。リカバリーで何かアクションモノを観ようとこの映画を選択する。実績のある監督だけに期待できそう。

地下格闘技の世界でボクサーをやっているフィリピン在住の青年マルコ(カンテジュ)は、母親の医療費を捻出するために略奪の一味にも加わる養護施設育ちの底辺を彷徨う男だ。そこに富豪の父親の代理人と称する弁護士が現れる。すぐさま韓国に帰国して欲しいと飛行場に急ぐ。航空機の中で友人だと名乗る不気味に笑う男(キムソンホ)に声をかけられる。


韓国で父親と称する男に会いに行こうと、弁護士と同乗していると、飛行機で出会った男が運転するベンツが幅寄せをしてきて、クルマは道路を外れて大破する。追ってきた男から懸命に逃げようとするが。


韓国アクション映画らしくレベルは高く、スリリングな場面が続く。
カーチェイスと家の屋上や塀をつたわっての逃亡劇は見ごたえ十分だ。


フィリピンと韓国の混血をコリアンフィリピーノ略して「コピノ」というらしい。これは初めて聞く。日本に大挙して出稼ぎに来たジャパユキさんが混血の子どもを産んでいたのと同じように韓国でも同じようなことがあったのであろう。施設で育った青年だ。裏社会の格闘技でキックボクシングをやって母親の治療費のために金を稼ぐが、強奪にも加わる。バクチにもカネを投入して負けている。

その混血青年マルコが富豪の息子とわかるので、てっきり彼が主人公の貴公子だと思ったら違う。徹底的に追跡する常に不気味な笑みを浮かべる男が実は貴公子なのだ。演じるキムソンホはNHKからフジTVに移った青井アナウンサーに似ているイケメンだ。

最後まで味方なのか悪役なのかよくわからない。この男だけ意図が見えない。格闘能力は高い。コピノと言われる混血少年をひたすら追い続ける。観客に恐怖心すら起こさせる。韓国クライムアクションによく登場する不死身な男だ。マルコはひたすら逃げまくる。スリラー映画での悪役みたいだけど結局主役だ。


マルコの追跡にかかわるユンジュという女や富豪の息子にあたるハンなど残忍な奴らも登場させてのカーチェイスはもの凄い迫力だ。中央分離帯のない自動車専用道路でバシバシUターンを連発する。高級車やベンツもつぶしてしまう。カメラアングルもいったいどうやって撮っているんだろうというスリリングなショットだ。

韓国映画の予算取りは日本より大きい感じがする。日本映画ではなかなかこうはいかない。東南アジアでの外国ロケの映画も目立つ。ここでも不気味なフィリピンの夜を映し出す。映像のレベルは高い。
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映画「ブルックリンでオペラを」ピーターリンクレイジ&アン・ハサウェイ

2024-04-26 09:08:07 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ブルックリンでオペラを」を映画館で観てきました。


映画「ブルックリンでオペラを」は小人の俳優ピーターリンクレイジとアン・ハサウェイ主演のニューヨークを舞台にしたラブコメディだ。監督は女性監督のレベッカミラーだ。いかにもアンバランスにピーターとアン・ハサウェイが並ぶポスターが目立つ。そこにベテラン女優のマリサトメイが加わる。スキマ時間ができた時に、いくつかの作品から選ぶ。主演の2人よりマリサトメイが出ていることが気になる。

ニューヨークブルックリンに住む現代オペラの作曲家のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)は。5年前にスランプに陥り、担当医となったパトリシア(アン・ハサウェイ)と出会い結婚した。でも、状況が変わらず曲想が浮かばない。

スティーブンが散歩に出てバーでウイスキーを飲んでいると、女性客カトリーナ(マリサ・トメイ)に話しかけられる。タグボートの船長だという彼女に誘われ船に入ると、カトリーヌは黒い下着姿になり気がつくとメイクラブ。我に返って船から逃げ出す。すると突如、曲想がわいてくる。


スティーブンの作った新作現代オペラは公演で大喝采を浴びる。その話はスティーブンのちょっとした気まぐれな逢引きがきっかけだ。すると、もともとストーカーの気があったカトリーヌはスティーブンを追いかけるようになる。

事前予想よりおもしろかった。
アメリカのラブコメディだけに、ロケ地の設定、室内の調度品も含めた美術、登場人物の衣装を含めて完璧だ。ピアノ基調の音楽もよく、現代オペラは自分には縁のない世界だけど、普通の現代演劇をオペラ歌手が演じるようでおもしろそう。アンハサウェイもニューヨークのセレブらしさがでていていつもより美しく見える。


さすがに基調となるストーリーだけでは2時間はもたない。主人公の18歳の息子のラブストーリーも並行する。息子の16歳の彼女の母親はなんとスティーブンの家のメイドだったのだ。裁判所の速記官である相手の継父は娘の相手が気に食わず一悶着が起きる。16歳では結婚できないのに彼氏とメイクラブしている証拠を見つけ、裁判にかけると大騒ぎ。そんなドタバタが続く。


久々にマリサトメイを観た。60歳に近づいてきた。若き日にいとしのビニーでアカデミー賞助演女優賞を受賞している。でも停滞期を経て、40代になってからストリッパー役だった「レスラー」「その土曜日, 7時58分」などで形のいいバストを披露した。これはなかなかの美乳でこちらも興奮する。今回、黒い下着姿でピーターリンクレイジにかぶさる場面では久々に見れるかと一瞬ドキドキしたがそれはなかった。さすがにその年齢では無理か。
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映画「異人たち」

2024-04-22 18:48:40 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「異人たち」を映画館で観てきました。


映画「異人たち」山田太一原作、市川森一脚本、大林宣彦監督による1988年の作品「異人たちの夏」のリメイクである。自分のベスト100に入れているくらい好きな映画である。泣けて泣けて仕方なかった。今回はロンドンと郊外の町が舞台で、「さざなみ」「荒野にて」アンドリュー・ヘイが監督である。主人公がライターということは同じで、亡くなった父母に会う設定も変わらない。前回、主人公風間杜夫の恋人役で名取裕子が登場していた。主人公はゲイの設定で、男性の恋人を持つ。原作のファンだけに見逃せない作品だ。


孤独に暮らす中年の脚本家アンドリュー・スコット)が住むロンドンのマンションには、2戸しか住んでいない。ある夜、もう1人の住人(ポールメスカル)が突然、ウィスキーを片手に誘ってくる。でも、その場は酔客の申し出を断る。

脚本家は自分が幼少期を過ごした郊外の町を訪れると、町の店で父によく似た男(ジェイミーベル)を見かける。あとをつけて行くと男の方から声をかけてきた。そのまま家に向かうと母(クレアフォイ)もいた。12歳の時に両親は交通事故で死んだのに、前と変わらない姿でやさしくしてくれる。世界を不思議に思わない。自宅に戻った後でマンションの住人に近づき、やがて恋人のようになっていく。そして何度も両親に会いにいくのだ。


もう一歩のれなかった。
ストーリーの基調として、なつかしの父母に会う設定は変わらない。同じアパートに住む恋人と親しくなるのも変わらない。でも、恋人は男性だ。ゲイ映画の色彩が強い。ゲイ同士の恋の映画は苦手。男性同士の性的な場面も多い。セリフも当然変わってくる。母親がひと時代前の価値観なのかもしれない。息子がゲイであることに対して,強い嫌悪感を持つ。でも、最終的にはかわいい息子だけに少し気持ちが変わってくる。


演技のレベルは高かった。特に主人公と母親とのセリフのやりとりが良かった。母親は自分の息子がゲイになることに対して嫌悪感を持ち態度がかわる。主人公の悲しい表情がリアルであった。それでも,母親は優しい。こうやって映画を見ていると亡くなった父母が自分の目の前に現れてくるような感覚を少しだけ持った。「異人たちの夏」を直近で観たのは父母が亡くなって少し経ったときだった。泣けて泣けて仕方なかった。そこまでの感覚はなかった。


いまいち乗れなかったけれども,父母がもうこれ以上自分たちに会ってはいけないと語るシーンはジーンとしてきた。浅草とロンドンと舞台が変わり,大衆的なムードはない。いかにも英国的な雰囲気が漂う。しかも、今回は恋人になったマンションの男性は名取裕子のように大暴れはしなかった。大きく違うのはそこなのかもしれない。
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映画「あまろっく」 江口のりこ&中条あやみ&笑福亭鶴瓶

2024-04-20 21:13:19 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「あまろっく」を映画館で観てきました。


映画「あまろっく」は江口のりこ主演の尼崎を舞台にした人情コメディーである。監督は中村和宏。私の妻は尼崎生まれで、小学校高学年までそこで育った。以前一緒に尼崎に行った時,阪神尼崎駅近くの古典的な商店街に驚いた。昭和にタイムスリップしたかのようだった。妻の生家の近くの風景が,映るので、気になっていた映画である。加えて、自分は江口のりこのファンで「ソロ活女子のススメ」が特に大好きだ。早速映画館に向かう。

京大を出て大手総合研究所に勤めていた主人公近松優子(江口のりこ)は現在39歳、会社で理不尽なリストラにあって尼崎にある実家に戻った。母(中村ゆり)は既に亡くなっていて,町工場を営む父親近松竜太郎(笑福亭鶴瓶)と一緒に住むことになった。ある日、父親から再婚しようと思ってると聞き承諾したが,連れてきたのは20歳の早希(中条あやみ)だった。市役所に勤める早希は育った家庭環境もよくなく、一家団欒に憧れていた。3人の共同生活が始まる。


ストーリーは単純にはいかず、面白かった。
たまにこういう日本映画を観るのはたのしい。演技巧者の江口のりこや笑福亭鶴瓶は、当然安定感があるが,中条あやみも、この2人を相手に堂々とした演技を見せてくれる。よかった。もし仮に本当に同じようなことが起きるなら,誰もがびっくりするだろう。娘優子は年齢相応の女性を連れてくると思っていた。最初は連れ子かと間違える。お嫁さんになった早希は一生懸命優子に近づこうとするが、なかなか受け入れられない。

やがて,大きな異変が起きる。父親の竜太郎が突如亡くなってしまうのだ。この映画は3人の生活を描いていくのかと思ったら,唐突に亡くなるのだ。結局2人で住むことになる。様々なできごとが起きていく。

しかも、竜太郎が亡くなっていたにもかかわらず,早希は妊娠してしまうのだ。


江口のり子演じる優子は、子供の頃から周囲と馴染めない性格であった。会社に入っても同様である。できない男を罵倒する。京大出のエリート社員だったにもかかわらず,リストラにあってしまう。近所のおばさんの息子が30代で、同じ京大出の独身ということで,お見合い話が出てくる。ボート部の選手だった優子の姿を知っていたお見合い相手が,裕子に関心を示す。この恋の行方も見どころの1つである。


飄々とした江口のりこのキャラは「ソロ活女子のススメ」に通じるものがある。長身の江口のりこに引けをとらないモデル出身の中条あやみの2人が並ぶと周囲が小さく見える。


バックに映る尼崎の風景は,いかにも庶民的で親しみが持てる。竜太郎が町工場の社長で、鉄工所や竜太郎が通う銭湯なども大衆的だ。昭和の匂いをプンプンさせる商店街も何度も出てくるし,阪神尼崎駅も登場する。観光名所の1種として尼崎城というのがある。今回は尼崎城で優子がお見合い相手とデートするシーンが何度も出てくる。あまろっくというのは、台風などでの水害に悩まされてきた尼崎を守る水門である。工場のベテラン工員役が佐川満男と知り、懐かしくなったが、訃報に接して驚いた。
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映画「再会長江」 竹内亮

2024-04-17 20:02:15 | 映画(アジア)
映画「再会長江」を映画館で観てきました。


映画「再会長江」中国在住の日本人監督竹内亮が、中国を流れる6300キロの長江沿いの町に暮らす人たちとの交流を描くドキュメンタリーだ。2011年にNHKで放映された「長江 天と地の大紀行」を撮った時に出会った人たちとの再会場面も多い。竹内亮監督は前回ドキュメンタリーを撮った時は、中国語はまだ話せなかった。その後中国人女性と結婚して、現在南京に住んでいる。今回は主人公的存在だ。


上海からスタートして武漢、重慶という内陸の大都市を過ぎてからは、色んな少数民族と出会っていく。長江沿いに完成したダムのために以前あった建物がなくなっている場所もある。そして、長江の最初のしずくを映し出すためにチベット高原に向かうのだ。


期待を裏切らないすばらしいドキュメンタリーであった。
長江沿いの町に4億人が住んでいるという。大都市部を過ぎると、少数民族だらけである。女性中心の村もあるし、民族衣装は華やかだ。観光案内的要素も若干あるが、以前出会った人たちとの再会を感動的に描く。ウブな少女が10年の月日を隔てて美しい女性に成長している姿を映し出すシーンはいい感じだ。

大きなダムが完成して、以前は急流だったところが、穏やかな流れになっている。10年で大きく変わっている。ダムができているところは大きな観光船をエレベーターで位置を上昇させる。3000tの船まで大丈夫と聞くと驚く。

2011年の放送時にまだウブだった女の子と母親を上海まで連れていった。それはそれで感動的だったと思う。以前、上海に行った時、地下鉄から降りようとしたら、いかにも田舎から出てきた人たちがこちらの真正面に押し寄せてきて驚いたのを思い出した。17歳で親のススメで隣の村の男と結婚した。結婚するまで一度も会っていなかったという。戦前の日本でよく聞くような話が、ほんの10年前の中国の田舎でもあったようだ。その少女が民宿経営者になって、美しく成長している。これも感動的だ。


他にも女の国とも言われる女性中心の村も再度訪れる。男性は女性の家に「通い婚」で生活するらしい。近くに湖があり,エンジンを積んだ船は禁止だ。透き通った湖を船で優雅に乗っている姿はいい感じだ。

最後に向けては、4000mを超える高地を進む。空気は薄い
竹内亮監督も高山病にかかってしまう。数々の困難にもぶち当たる。それでも向かっていく。
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映画「パリブレスト」

2024-04-15 19:51:50 | 映画(フランス映画 )
映画「パリブレスト 夢をかなえたスイーツ」を映画館で観てきました。


映画「パリブレスト夢をかなえたスイーツ」はフランスの実在のパティシエであるヤシッドイシェムラエンの幼少期からの人生を描いた作品である。監督は本作が長編デビューのセバスチャン・テュラール。素敵なデザートの映像を観て気になっていた。グルメ映画の色彩は当然もつが、貧困家庭から這い上がろうとする少年の生き様を描く。デザートは美しいけど、話は泥くさい。

ヤシッド(リアド・ベライシュ)は育児放棄の実母と別れ、里親に預けられた。里親の家ではお菓子づくりに精を出していて、ヤシッドも関心をもつ。やがて,少年養護施設に預けられ周囲の不良たちの中に入って生活する。ちょっとした策略でパリの高級レストランに潜り込み見習いとして、働き始める。パティシエシェフとしての修行をする。


2013年ヤシッドはコートジボワールのレストランで副シェフとして働いていた。ヤシッドが作ったパリブレストが美食家の絶賛を浴び,さらに上のランクを目指そうとしていたが,同僚の嫉妬でクビになってしまう。路頭に迷うヤシッドを美食家であるホテル経営者が助ける。

グルメ映画というよりも,最悪の生活環境から這い上がって、パティシエになる少年の成長物語である。映画としては普通。

いきなり、ヤシッドがスーパーで万引きをするシーンが出てくる。実母は乳児を抱えて貧困を彷徨っている。ヤシッドを連れて役所に行き、里親を悪者にして金をせしめるとんでもない女だ。里親はやさしくしてくれるが、実母に振り回される。少年養護施設にもまともな奴はいない。そんな中、子供の頃からあこがれているパティシエシェフの元へ飛び込む。それも騙し騙しもぐり込むのだ。育ちの悪さを示すような逸話が続いていく。


成長物語につきものの主人公を窮地に落とし込む場面はこれでもかと続く。少年養護施設の周りは低層社会を象徴する札付きの不良だらけである。しかもパリにバイトに行って終電に乗り遅れると,駅で寝ざるを得ないバイト代を寮長に没収されることもある。せっかくコートジボワールのレストランで認められたのに,ライバルの副シェフに嫌がらせをされる。果物担当だったヤシッドのフルーツにカビの生えたものを入れ込まれるのだ。ムカついても遅し、クビになってしまうなどなど最悪だ。

そんなムードが続くけど、映像に映るデザートは実にきれいだ。きっとおいしいだろうなあと舌なめずりする。最初に修行についたシェフも,ともかく食べる前の目の刺激が大事だと強調する。そして食感の良さを訴える。3つを超える食材の組み合わせはダメとシェフは言っていた。


いくつかの関門があるが、ヤシッドはうまく乗り越えていく。実話を元にしているようだが、名パティシエになる素質はあったのであろう。そんなにデザートにはこだわりのない自分でも引き寄せられる美的センスはあった。

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番外22(毛蟹三昧)

2024-04-11 05:50:04 | 食べもの
東京のど真ん中で毛蟹を食べてきました。



蟹のコンソメ


前菜
桜を意識


お椀 貝の白玉


毛蟹洗いとたらば蟹と鰹


ザ毛蟹 これがむちゃくちゃうまい


蟹グラタン


肉 超柔らかい


甲羅焼き


その後お酒を入れて


鯛入り食事


デザート


蟹は面倒だけど、今回は全然大丈夫
おいしかった。

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映画「アイアンクロー」 ザック・エフロン

2024-04-10 20:25:04 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アイアンクロー」を映画館で観てきました。


映画「アイアンクロ-」はプロレスラーの鉄の爪フリッツフォンエリックと4人の息子との物語である。自分と同世代か少し下までの少年たちには、フリッツフォンエリックの存在はかなり強烈なものがある。馬場、猪木時代の日本プロレスに再三来日して、我々少年たちを恐怖に陥れた存在だった。プロレスごっこをすると、アイアンクローをやる少年は多かった。題名自体にグッと引き込まれてしまう。映画館内も自分と同世代か上の男性が目立つ。同じような思いで来ているのであろう。


1960年代から70年代にかけて、プロレス界で一世を風靡した鉄の爪フリッツフォンエリック(ホルトマッキャラニー)、は,息子3人をプロレスラーに育てあげた。1980年代次男ケビン(ザックエフロン)、 三男デビット(ハリスリキンソン), 四男ケリー(ジェレミーアレンホワイト),五男マイク(スタンリーシモンズ)は世界の頂点を目指していた。しかし,デビットが日本でのプロレスツアー中に急死する。さらにここから悲劇に見舞われる。フォンエリック家は祖母の血筋の名前であるが,呪われた家族と言われていた。


まさに呪われた家族の物語である。
1980年代になると,自分はあまりプロレスを見ていなかった。それなので、あのフリッツフォンエリックの息子たちがここまでプロレス界で活躍していることを知らなかった。しかも、亡くなったケリーはNWAの王者にもなっている。息子たちが次々と亡くなるのには驚いた。

次男のケビンを中心にストーリーが展開する。ザック・エフロンはいかにもプロレスラーらしく、体を鍛えて、この映画に登場する。プロレスファイトのシーンも多い。NWA世界チャンピオンハーリーレイスやリックフレアも出てくる。両者との戦いもすっきりした形にはならない。プロレスファイトのシーンで高揚感を覚えることもほとんどない。ただただ,悲劇的な家族のことを描き出す。


映画自体は,最後まで飽きずに観ていける。ひいき目もあるかもしれないが、父フリッツ役ホルトマッキャラニーの好演が目立った。それにしても、これって本当に実話なのかと思ってしまうような悲劇であった。

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映画「パストライブス」

2024-04-07 20:11:04 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「パストライブズ」を映画館で観てきました。


映画「パストライブス」は韓国系アメリカ人の監督セリーヌソンによるニューヨークを舞台にしたラブストーリーである。オバマ元大統領が、年末にその年のベスト映画を発表している。これは大変参考になるリストだ。数々の名作に加えてこの「バストライブス」も入っていた。まだ日本未公開の次の年の優良作品がここでリストアップされるのは助かる。

とりあえず作品情報を引用する。
12歳の時一緒に学校に通っていた韓国人の2人が36歳で再会する。既に女性はニューヨークで結婚している。それでも韓国に幼なじみの男が訪問してくる。12歳, 24歳, 36歳の2人を追いかけていくのと同時に,夫の反応も映し出していく。

ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。

そして12年後の36歳、ノラ(グレタ・リー)は作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソン(ユ・テオ)はそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。


居心地の良い映画である。
大きな起伏は無い。でも好感が持てる。

韓国映画によくあるハラハラドキドキ感は皆無である。末梢神経も刺激されない。かといって,ラブストーリーであっても、きわどいベッドシーンがあるわけではない。各種映画賞でノミネートされたということは、あまり意識しないほうがいい。この映画を見て、男性から昔の彼女に電話をしたいとか連絡をしたいとか思う人は多いだろう。女性の立場でもあるかもしれない。

事前情報を得てマギーチャン主演の「ラブソング」を思い浮かべていた。双曲線を描くように、ロングタームで続く2人の軌跡を描く名作だ。でもこれは違う。しっとりと2人に加えて、現在の夫のアメリカ人の3人の姿を描くストーリーだ。意外性はない。恋の深層に迫る映画だ。


いかにも韓国映画によく出てくるソウルの急な坂が最初に出てくる。そこで12歳の2人を移す場面はそんなに多くはない。セリフは英語と韓国語が半々だ。

その後はパソコンを通じての2人の会話だ。最初に出会ってから12年後に男性からアプローチするのだ。そこで一旦近づく。男からもっと近づいてもいい気がする。うまくいってるように見えるけれども、途中で彼女の方がしばらく距離を置きたいと拒否する。その辺の女性の気持ちは男性にはよくわからない。でもその後, 12年後に転換する。12年前と彼女の顔は大して変わらない。美人ではないけれども、魅力的だ。

そこから展開する。直近のニューヨークロケの映像はなかなか素敵だ。大画面で見ると、すごく心地が良い。空いてる映画館で見たほうがいいかもしれない。自分は心地よい気分がした。バッテリーパークから先の自由の女神付近も遊覧船で回る。ブルックリン橋のそばの映像も大画面で見るとそこにいるかの感じがする。みんな素敵だ。ニューヨークロケの映画でもこんな感じを味わえる事はありそうで滅多にない。


この映画に韓国映画で通常求めるストーリーの可変性はなくていいかもしれない。個人的には楽しめたと同時に心の安らぎと昔の女性への想いを感じた。それだけで充分だと思う。感謝したい。
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映画「オッペンハイマー」クリストファーノーラン&キリアン・マーフィー&ロバート・ダウニー・Jr

2024-04-01 17:06:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「オッペンハイマー」を映画館で見てきました。


映画「オッペンハイマー」は、本年度アカデミー賞作品賞に輝いた原子爆弾製造のリーダーを務めたロバートオッペンハイマー博士の物語である。クリストファーノーランがメガホンを取る。アメリカの公開からかなり遅れての日本公開である。下手すると同時公開がある位の時間的感覚なのに、今回は原子爆弾が題材になっているだけでせっかくの傑作をようやく見れた。3月は飲み会だらけで,映画をあまり見れなかった。本当の最終日にようやく観れた。

アカデミー賞受賞の主演男優賞のキリアン・マーフィー,助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr、いずれもハイレベルの演技で当然の受賞であった。キリアンマーフィーは、特徴ある目の演技が素晴らしかった。オッペンハイマーと敵対するルイスストローズ役をロバート・ダウニー・Jrであると一瞬でわかる人は映画ファンでも少ないだろう。


3時間ずっと音楽がなり続ける。不穏な音楽だ。流れるムードは暗い。
原子爆弾がテーマではあるが、よくよく見ると,マッカーシズムの赤狩り摘発の映画と言ってもいい。東西冷戦に至る前、共産主義に強い対抗意識を持った戦後アメリカ史を理解しないで,この映画を理解できるのかなと言う感じもした。オッペンハイマーは、いらぬ疑いをもたれた被害者である。


原子爆弾製造の過程のプロセスと,原子爆弾の実験, 投下にもっとストーリーのウェイトがあると思っていた。オッペンハイマーがもともと共産主義者だったこと,組合結成に入れ込んでいたことなどを通じて左翼思想者だった事実が強調される。戦後ソ連が原子爆弾を開発する。それに対して,オッペンハイマーがソ連のスパイではないかと疑われた。そのための公聴会だ。映画を通して、その公聴会の映像が映る。周辺には確かにソ連のスパイが存在した。オッペンハイマーの妻は元共産党員であり,エロい場面もある浮気相手も共産党員だ。要はかなり前に共産主義者だった人まで摘発してしまおうとするマッカーシズムの怖さである。赤嫌いの自分が見てもやり過ぎだ。

いくつかの出来事が,時間差で映し出される。頭が混乱する観客も多いだろう。戦後の公聴会でのオッペンハイマーのパフォーマンスと, 1942年原爆製造の「マンハッタン計画」が始まってから原子爆弾完成までの映像が交差する。

コンピューターを作り上げ、原子爆弾製造にもにも関わった物理学者フォンノイマンの伝記を繰り返し読んでいたので,原爆投下までの流れは一応わかっているつもりだ。フォンノイマンはバリバリの赤嫌いだ。逆にオッペンハイマー共産主義に入れ上げていた過去がある。対照的なので、ファンノイマンの伝記ではオッペンハイマーの存在は英雄ではない。水爆の開発に関わった人たちに、オッペンハイマーに不利な証言をした連中がいたようだ。


原子爆弾の後に,より強い破壊力を持った水素爆弾製造に至るときに,オッペンハイマーが反対していた事は本を読んで知っていた。原子爆弾投下で一躍ヒーローとなったオッペンハイマーをトルーマン大統領がホワイトハウスに招いたときに、その発言に、あいつは二度と呼ぶなと言ったシーンもある。水爆製造反対だからといって,ソ連寄り、共産主義者とは違う。


この映画はオッペンハイマーの苦悩を示すものとなっていると想像はできた。確かに,原子爆弾が広島に投下された時、歓喜の声を上げるシーンはある。日本人はむかつくだろうと想像したわけだ。でも,原子爆弾投下完了の時点でも自分がリーダーとして爆弾を作ったのにオッペンハイマーは良心の呵責に悩まされている。それなのに、こんなに世論を気にして、この映画を公開させない日本映画興行界の知的レベルの低さを感じた。
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