映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ANTIPORNO」 園子温&冨手 麻妙

2017-09-27 18:46:21 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「ANTIPORNO」は2017年公開の日活ポルノ映画だ。


現代日本映画の鬼才たちによる新生日活ポルノ映画作品に園子温監督も作品を提供している。これは割によかった。そもそも日活ポルノ映画は単にやるだけでなく、ストーリー性があるのが特徴。ここでは園子温監督独特の映像美が繰り広げられ、「映画の中の映画」の手法をとるが、ストーリー性は強くない。他の作品とは違う個性を持つ。


園子温監督らしくかなり本気の演技だ。黄、赤の原色の壁面の部屋で、元AKB48研究生冨手 麻妙演じる人気作家とその秘書や取り巻きを中心とした話である。豊田議員ばりの激しさで、女流人気作家が秘書をこけおろす。映画「淵に立つ」浅野忠信の相手役になった筒井真理子をたじたじにする。50歳代なかばにして筒井真理子は全裸になる。昔の日活ポルノはまだヘア時代に入っていないけれど、ここではバシッと見せる。

1.エロイ女
同じく日活ポルノ映画「牝猫たち」の感想をアップした。「凶悪」の白石和彌監督がメガホンをとる。現代を象徴するデリバリー風俗嬢を描いた映画であるが、現代のひずみを取り上げようとしてストーリーは中途半端であった。しかも、女性があまり肉感的でなく物足りなかった。


ここではいかにも園子温監督らしくエロイ女をピックアップする。映画「冷たい熱帯魚」では愛妻神楽坂恵の肉感的なボディを前面に出し、男性の股間を刺激し、黒沢あすかに熟女AVばりのなまめかさを押し出す。映画「恋の罪」では人気女優水野美紀を脱がせ、冨樫真にエロイ娼婦を演じさせる。ひと時代前の日活ポルノをスケールアップさせた凄みを持つ。

そんな園子温監督が起用したのが元AKB48研究生冨手 麻妙だ。これがいい。映画「牝猫たち」と違いかなり肉感的なボディが楽しめる。23歳と若いのでピチピチだ。いきなり、黄色や赤色の色がきつい部屋で裸で目覚めるシーンに目を奪われる。健康な男性であれば股間を刺激されるのは間違いない。身体中色鮮やかなペンキ?を裸にぶっかけるシーンはいかにも園子温らしい。

2.筒井真理子
映画「淵に立つ」では浅野忠信演じる男が刑務所帰りに、一緒に犯罪を犯した男が経営する工場に突如現れ住みつく。工場を預かる男の妻が筒井真理子だ。そして浅野が筒井を誘惑する。これはこれでよかったが、今度ははるかに大胆だ。このあいだも映画「ELLE」イザベルユベールが60過ぎにもかかわらず、ボディを披露したが、いい勝負だ。スタイルはいいので、まだまだいけるという感じだ。


ここでは冨手 麻妙演じる作家の秘書役で、とことんいじめられる。これは映画の中の映画の世界で、実際には立場が違い、逆に筒井真理子が徹底的に冨手 麻妙をいじめるシーンがある。これがまた面白い。




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フランス映画「あさがくるまえに」 カテル・キレヴェレ

2017-09-24 19:15:14 | 映画(自分好みベスト100)
フランス映画「あさがくるまえに」を映画館で観てきました。


ついに今年一番好きな作品に出合いました。当分の間おすすめと言える映画です。
心臓移植の話という先入観で映画館に入りました。ドキュメンタリー色が強いかというとそうでもない。それぞれの登場人物のキャラクターを丁寧に浮き彫りにする。セリフでというより映像で見せる。このあたりは抜群にうまい。

フランスの女流監督カテル・キレヴェレによる作品だ。フランス映画でも観念的なセリフが続く難解な映画ではない。映画音楽の名手アレクサンドラ・デプラによる静かなピアノの響きに合わせて、じわりじわり着実にストーリーをすすめる。心臓移植の手術を写すリアルな映像やサーフィンを映し出す映像だけでなく、ドナーが走らせる自転車やサーフボードの移動撮影も巧みである。しかも、それぞれのキャラクターに感情移入することができるので、今年もっとも好きな映画となる。

まずはル・アーヴルに暮らす17歳のシモンが彼女の家の窓から早朝飛び出してサーフィンに向かうシーンを映し出す。3人で楽しんだ後、車で帰る途中に事故にあう。少年は助手席にいてシートベルトをしていなかった。頭を強く打ってこん睡状態で病院に運ばれる。


知らせをうけた母親のマリアンヌ(エマニュエル・セニエ)は息子の惨事に驚く。夫は別居中だ。呼び寄せて主治医から一緒に話を聞くと、すでに脳死状態だという。移植コーディネーターのトマ(タハール・ラヒム)からシモンの臓器提供を持ちかけられた夫婦は、息子の脳死を受け入れることができず断る。

一方、パリでは、2人の息子をもつクレール(アンヌ・ドルヴァル)が、心臓の難病に苦しんでいた。容態は日に日に悪化し、臓器移植しか選択肢はないと言われている。女流ピアニストの元恋人のコンサートに行ったあと、レズビアンの彼女と2人で過ごし告白するが、若くない自分が他人の命と引き換えに延命することに悩んでいる。
そんな中、シモンの両親は臓器提供を受諾するのであるが。。。


1968年札幌医大の和田寿郎教授による日本初の心臓移植成功の時は、日本中大騒ぎであった。自分もまだ小学生だったが、あの時のことは今でも記憶に残る。でも、その反動も大きく、和田教授もドナーの死亡確認で窮地に陥った。和田教授と同じ大学に所属する作家の渡辺淳一もいくつか書いている。でもこの騒ぎで日本における心臓移植の進歩が遅くなったのは確かであろう。

そんな心臓移植のリアルな映像が映し出される。実際の手術を映し出したのであろう。再度患者に移植して動き出す瞬間はなかなか感動ものだ。


1.映像で示すセリフにしない表現
この映画では、臓器提供する人、移植をする人だけでなくそれぞれのプロフィルを丹念に短い時間で映し出す。露骨なセリフで説明するわけではない。

特に印象に残ったのがドナーのシモンのエピソードだ。
以前から気になっていた同じ学校の彼女をずっと遠目で見つめ街中で声をかける。彼女は帰宅中で、山の上にある自宅に帰るためケーブルカー乗り場で別れる。シモンはそのあと自転車で懸命に坂を走る。山の上の停留所についたとき、彼女を出迎え感動させる。この間、余計なセリフはない。このエピソードでドナーであるシモンの心臓がいかに頑丈だということを示しているのではないか。実にうまい。


2.美しい映像
サーフィンのあと、風車がまわる田園風景を車を走らせる映像が美しい。そのあとアイスバーンに入り込み、事故に結びつくときのシーンもなかなかだ。シモンが自転車やボードで走る姿を移動撮影で撮るのも見事で撮影の巧みさも楽しめる。単に心臓移植の話だけでない。クレールのレズビアン話、別居して心離れている夫婦が再度結びつく話などディテイルにも凝っている。


いざ心臓を移植する際、手術中に移植コーディネーターがドナーの好きな波の音を聞かせる。素敵なシーンである。

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映画「スウィート17モンスター」ヘイリー・スタインフェルド

2017-09-24 17:41:50 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「スウィート17モンスター」は2017年日本公開のアメリカ映画


映画「トゥルーグリット」で大ベテランのジェフブリッジスを相手に聡明な天才少女を演じた子がいた。ヘイリー・スタインフェルドである。父の復讐のためにジェフブリッジスと組む役で頭はキレる。彼女が主演する新作はそれとは真逆のちょっといけてない変人の女の子という設定だ。それでも、ヘイリー・スタインフェルドがホントパンツをはいているアメリカンスクールスタイルのいでたちは、カッコイイ女の子だけど。

監督のケリー・フレモン・クレイグは女流監督で、女ならではのいやらしさの表現がうまい。男の前ではいい顔するけど、女の前では陰湿ないかにもイヤな女ぽさが本人、友人いろんな役から感じさせる設定になっている。

主人公のネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は17歳。キスもまだ経験なしの,イケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空まわりして,教師のブルーナー(ウッディ・ハレルソン)や,母親(キーラ・セジウィック)を困らせてばかり。


たったひとりの親友クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけが,自分のすべてだと思っていたのに,何をしてもかなわないとコンプレックスを抱いていた天敵の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と親友クリスタが恋に落ちてしまう。

この衝撃的事件により,ネイディーンは父が他界して以来ずっと取り乱しがちな母や,何故かシンパシーを感じる変わり者の教師ブルーナー,自分とは正反対のイケメンで誰からも愛される兄ダリアンなど,自分を取り巻く人々へ新たな視点と気持ちを向けざるをえなくなる。
人生は,彼女が思う以上に複雑で,誰もが何かをこじらせながら大人になっているのだ...。(作品情報より)

小さい頃から優等生の兄貴に母親はかかりっきりで、ネイディーンはひねくれて母親とはケンカしっぱなし。そんな主人公を暖かく見守るのは父親だけ。その父親がまさかの交通事故で亡くなってしまう。学校では一人ぼっちで、イジメっ子の女どもにはやられっぱなしだ。そんなとき、1人の少女が声をかけてくれる。たちまち大親友になる。2人で似たような青春を過ごし成長して今に至る。


友人のクリスタはときおり家に遊びにきてくれたが、あるとき兄貴とたちまち意気投合してしまう。2人一緒にベッドにいるところを見てしまいビックリだ。兄貴と別れなきゃ絶交よと言っても、離れられない。また、一人ぼっちだ。

その彼女には気になる男性が3人いる。
教室の隣席にいるアジア人、ぐちをぶつける教員、そして憧れの先輩である。
⒈グチをぶつける教員
ハゲ男だ。もう学校辞めてやると何度も来るネイディーンに対して、柳に風とばかりに優しく見守る。ネイディーンはハゲで独身で年収も4万5000ドルしかもらっていないと、豊田議員ばりに暴言を吐くがさらっと流す。いい奴だ。


⒉隣席のアジア人
アニメ映画オタクで韓国人。ネイディーンに話しかけるけど、素っ気ない。自主映画製作に燃えている。誘いを受けて自宅に行くとプール付き大豪邸。親のいない隙に一緒にプールに入るシーンはいい感じだ。でもちょっとブルジョアすぎる設定かな?キッスのチャンスをうかがうが、外されっぱなしでちょっとムカつく。


⒊上級の憧れの先輩
フェイスブックで友達申請をしても無視される。アルバイト先のペットショップに乱入して、働いている熱帯魚売り場で言いよるが相手にされない。それでも、エロい言葉を並べた下書きを書いていたら、うっかり送信してしまう。これには笑う。今度は誘いに乗ってくる。さて、どうなる。


こんな不器用な女の子の話って好きだな。

スウィート17モンスター
自由奔放な17歳の女の子のふるまいを楽しむ
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フランス映画「めぐりあう日」セリーヌ・サレット&ウニー・ルコント

2017-09-19 21:22:08 | 映画(フランス映画 )
映画「めぐりあう日」は2016年のフランス映画


生みの親を懸命に探すというストーリーは古今東西数多くつくられてきた。「めぐりあう日」「冬の小鳥」で名をあげた韓国系フランス人ウニー・ルコント監督の作品である。「冬の小鳥」は韓国の孤児院から外国人に引き取られる女の子の話であった。今回の主人公エリザは幼くして生みの母親と別れたが、成長して会おうとするが、なかなか会えないという話である。

いわゆる典型的フランス美人セリーヌ・サレットを中心に、最近見たばかりの映画「ダンケルク」の舞台フランスの港町ダンケルクで繰り広げられる話である。専門機関で教えてくれないなら、自力で探してやろうとダンケルクにやってくる。出産した場所その他から目安が立つが、個人の秘密を守るための法律のためになかなかたどりつかいない。しかし、何かの縁か、主人公の理学療法の患者である一人の中年女性が自分と別れた娘ではないかと疑い始めるのだ。

内容がわかっているので、すぐさま患者が実の母親だということはわかる。そこでのミステリー的な要素はない。ここでは精神的に安定せず、若い男と浮気して夜遊び、挙句の果ては妊娠してしまうという主人公のエリザが彷徨う姿を描いていく。

現代ダンケルクの風景はなかなか港町ぽくっていい。特に海岸ぞいを母子二人で自転車で走る海辺のシーンは情緒あふれる。でも普通のフランス映画だな。


パリで夫と8歳になる息子と一緒に住むエリザ(セリーヌ・サレット) は身体の機能回復をサポートする理学療法士をしている。 産みの親を知らずに育ったエリザは養父母の了解のもと、実母の調査を専門機関に依頼しているが、 匿名で出産した女性を守る法律に阻まれ、実母にたどりつくことができない。

6か月後、ついにエリザは自ら調査をするために、自分の出生地である港街ダンケルクに、
息子ノエ(エリエス・アギス)と共に引っ越して来る。 一方、ノエが転校した学校で給食の世話や清掃の仕事に従事する中年女性アネット(アンヌ・ブノワ) は、 母親と同じアパートの別の階で一人暮らしをしている。
ノエは初めての給食時間、容貌のせいでまたもある誤解を受けてしまった。 そんなノエがなぜか気になってしまうアネット。 ある日、背中を痛めたアネットが、学校から聞いてエリザの診療所にやって来る。 「長いまつ毛ときれいな目をしたかわいい息子さんね」とノエを褒めるアネット。 二人は治療を重ねるうちに、互いに親密感を増していく。
エリザはアネットに子供はいるかとたずねるが、即座に返ってきた答えはノーだった。


ある日、ひょんなことからアネットは、エリザに「ノエはあなたの実の子?」と尋ねてみる。 エリザは表情を硬くし、「養子は私の方よ」と切り返す。 次第にアネットの心は乱れ始め、エリザは自分が30年前に産み、放棄した子供ではないかと思いはじめる。 アネットは自分を探している女性の名前を知るために、匿名解除を決意する。(作品情報より)

別れた母親は遊び人のアラブ人と結ばれ、心ならず妊娠して出産する。望まれない子供は養女として預けられるので、お互い合う機会はこれまでなかったし、消息すらわからなかった。ここでの主人公エリザも夜のディスコンに繰り出し、若い男を家に連れ込む。それに気づくと、息子はいい気がしない。実際にはシングルではないのだが、母子家庭のように暮らしている。


ここでは姿かたちは違っていても、淫行体質は変わらないとでも言いたいのであろうか?探していた相手は、実際にはすぐそばにいたということ。お互い気が付かない。しかし、あることがきっかけで急速に接近する。うーんとりあえずはハッピーエンドかな。監督はこういう経験を韓国でしたのかしら??

冬の小鳥
韓国の孤児院舞台のウニールコント監督のデビュー作
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映画「三度目の殺人」福山雅治&役所広司

2017-09-18 19:34:48 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「三度目の殺人」を映画館で観てきました。


是枝裕和監督の新作は殺人犯人役の役所広司とその弁護を務める福山雅治のコンビだという。ミステリータッチのようだ。福山雅治の作品は「SCOOP」も観た。自分的には好きな作品である。是枝監督とのコンビは「そして父になる」以来である。

いきなり役所広司の殺人シーンが流れ、逮捕され福山雅治が弁護するシーンが出てくるので犯行は間違いないので、減刑に向けての話かと連想する。しかし、次から次へと新事実が出てきて役所広司と被害者家族との関係が暴露されわけがわからなくなる。映画としては上質なサスペンスだけれど、ちょっとエンディングに向けてはよくわからない?

観ているものに何かを考えさせる映画のであろうか?ちょっと消化不良のまま見終わる。

容疑者の三隅(役所広司)が以前勤めていた食品加工会社の社長を殺し、遺体に火をつけた容疑で逮捕される。三隅は、30年前にも強盗殺人の前科があった。今回有罪なら死刑は確実だ。弁護士の重盛(福山雅治)は、同僚の摂津(吉田鋼太郎)から殺人事件の弁護をひき継ぐ。腕利きの弁護士重盛は無期懲役に持ち込もうと三隅と面談を始める。


そんなおり、三隅は週刊誌に、社長の奥さんの美津江(斉藤由貴)に頼まれて保険金目当てで社長を殺したと告白した。重盛は美津江にそそのかされ殺人を犯したという方向性で、助手の川島(満島真之介)と三隅の身辺を調べ始める。すると、三隅の家に、脚の不自由な娘が出入りしていたとの話を三隅の大家から聞く。それは社長と美津江の娘・咲江(広瀬すず)だった。被害者の娘と容疑者の接点を探ると新しい事実が浮かび上がってくるのであるが。。。


演技的には申し分ない。不倫問題で世間を騒がせている斉藤由貴も彼女らしい演技でいい。ラストに向けての刑務所の面会室での役所広司福山雅治とのやり取りは緊迫感がある。これはさすが千両役者という感じである。しかし、その後の展開がよくわからない。妄想か?真実か?よくわからない殺害現場のシーンがいくつも出るので、観ている我々を混乱させる。


考えてみれば、夜の暗い河原に被害者である元社長が行くのも不自然だし、被害者の娘広瀬すずと被疑者役所広司との関係も変だ。そういう方向なの?と思っているとあっけない裁判結果になる。自分の感度が悪いのか?うーんわからない?三度目の殺人というのに殺人は2回しかない。もう一人誰か殺したという話もない。結局この題名が示す殺しの相手は。。。ということなのか!

そして父になる
是枝監督と福山雅治とのコンビ(参考記事


海街diary
是枝監督と広瀬すずのコンビ(参考記事
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フランス映画「たかが世界の終わり」 

2017-09-18 06:57:50 | 映画(フランス映画 )
映画「たかが世界の終わりJuste la fin du monde」は2017年日本公開のカナダ制作フランス映画


ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティアール、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥと現代フランス映画を代表する主演級を集めてできた作品で、グザヴィエ・ドラン監督がメガホンをとる。カンヌ映画祭グランプリに輝く作品である。

1995年、38歳の若さで亡くなったフランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスの戯曲に「まさに世界の終わり」がある。これをグザヴィエ・ドラン監督が映画にした。長きにわたる日々を描いているわけではない。死を告げるために久々に実家に帰った主人公が、実家にいる母、兄、兄嫁、妹の4人と過ごす1日を描いているのだ。死に至る前の自らの帰郷体験が基調にあったのかもしれない。


ここで繰り広げられるのは、フランスを代表する国際俳優たちで繰り広げられる演技合戦だ。久々帰郷した主人公がそれぞれの肉親および兄嫁と会話を交わす。それ自体は日常ありがちな会話に聞こえる。けっして、非現実的ではない。ただ、長年のお互いの思いがうまく通じ合えないところがある。しかも、少し卑屈な生き方をしている人もいる。久々出会って本来はもっと楽しく会話をしたいところがそうならないもどかしさが我々には伝わる。


「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)は息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)、彼の妻のカトリーヌ(マリオン・コティアール)はルイとは初対面だ。


オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる――――。(作品情報より)

帰郷したルイはナイーブだ。口数は少ない。その一方で4人はよくしゃべる。兄嫁が自分の子供の名づけかたなど話す。それを兄がそんな話ルイに話をしても楽しくないだろうとチャチャを入れる。お互いが話すことそれぞれをお互い気に入らない。すぐさま家族げんかになってしまう。母親は仲よくしてほしいと望むがそうならない。でもこんな感じ、日本でもよくあることなのかもしれない。久々の再会で最初はよそゆきの会話をしていても、しばらくしてお互いのいやがることに触れて混乱する。ぜんぜん非日常でない会話が続く。


グザヴィエ・ドラン監督はまだ28歳なのに若くしてすばらしいキャリアを積んでいる。その成果はすばらしいということもあるせいか、フランスを代表する俳優5人が集まった。これもすごいことである。
彼はカンヌ国際映画祭での受賞スピーチで述べる。「登場する人物は意地悪く、時に毒を吐きますが、何よりみな心に傷を負った人たちです。彼らは我々の周りにいる人たち、母や兄弟、姉妹たちの多くがそうであるように、恐怖を感じ、自信を失い、愛されていると確信できないで生きています。そんな登場人物たちの感情を描き出すことを、僕は目指しました」と。


何でこんなこと言うの?というようなヴァンサン・カッセルの癇癪とその癇癪に真っ向から対抗するレア・セドゥのあばずれぶりが印象的だけど、それぞれの俳優の演技合戦に優越はない。その実力を引き出した天才監督グザヴィエ・ドランの将来を期待したい。

たかが世界の終わり
現代フランス映画を代表する俳優の演技合戦
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映画「ダンケルク」 クリストファー・ノーラン

2017-09-17 18:44:10 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ダンケルク」を映画館で観てきました。


クリストファー・ノーラン監督の新作は戦争ものだ。それも英国との間のドーバー海峡に面するフランスの町ダンケルクドイツ軍に包囲された英仏両軍が逃走する姿をここで描いている。要は真っ向勝負の戦争を描いているわけではない。

いきなり包囲するドイツ軍に囲まれた英国兵がクローズアップされる。空からはドイツ軍得意の宣伝ビラが落ちてくる。君たちは包囲されていると。もはや逃げるしかない。防波堤には大勢の英国軍兵士がいるけれど、空からはドイツ空軍の戦闘機の爆弾攻撃を受けている。逃げようとするが、容易にはいかないし八方塞がりになってくる。

英国人、フランス人はどうなのかは知らないが、日本の高校世界史の教科書では、この撤退の事実をあまり語っていない。日本人にはなじみが薄い事実である。その撤退劇をクリストファー・ノーラン監督がじっくりと映像化している。低音が利いた音楽がうるさくなく響き、逃げ場がない状況に近い英国軍の兵士たちが追いつめられる姿を描く。どちらかというと、スリラー映画的な気味の悪さが全編を流れる。

歴史上、英仏軍が撤退したことは知られている。しかし、ここで登場する出演者たちが個別に逃げられたかどうかは、予備知識として持っていない。そこに緊迫感がある。しかも、最後の最後まで危機一髪の状態が続く。誰が助かるのかわからない部分があるので目が離せない。
実に見ごたえのある作品である。

1940年5月、仏英連合軍40万の兵士は、フランス北部ダンケルクの海岸に追い詰められていた。トミー(フィオン・ホワイトヘッド)やアレックス(ハリー・スタイルズ)ら英兵たちは、英海軍中佐(ケネス・ブラナー)が指揮する撤退作戦のもと、艦船での帰国を目指すが、空と陸から攻撃してくる独軍が行く手を阻む。


一方、英国では、900隻の民間船が兵士を救出する“ダイナモ作戦”が動き出していた。息子とその友人を乗せて出港したドーソン船長(マーク・ライランス)は、海上を漂流する謎の英国人(キリアン・マーフィー)を救出する。空軍のファリア(トム・ハーディー)も、戦闘機スピットファイアで出撃し、空から作戦を援護する。(作品情報より)


1.時代背景
1939年9月にナチスドイツポーランドに侵攻して第二次世界大戦がはじまる。この時点では1939年8月に独ソ不可侵条約を結んでいるので、ソ連はドイツとともにポーランドを分割する。1940年4月にドイツは西部電撃戦を始める。デンマーク、ノルウェイをあっという間に占領し、ベルギー、オランダ、そしてフランスに侵攻する。ドイツ軍が最も勢いがあるころの話である。パリ陥落はこの映画での撤退劇の後の1940年6月である。


1940年5月英国ではチャーチル首相が指揮を執る。大戦前まではネヴィル・チェンバレン首相がナチスドイツに宥和する政策をとっていた。チャーチルは戦火激しいフランスからいったん撤退を命令する。しかし、40万ともする英仏連合軍が逃げられるのであろうか?それがこの映画の時代背景である。

2.撤退
戦争末期の日本軍的には撤退という言葉はなく、玉砕しかないといった感じである。しかし、欧州戦では撤退によって、戦力を温存し次に備え逆転したという歴史上の事実がいくつかある。

例えば、1815年幽閉されたエルバ島から脱出したナポレオンが起こしたワーテルローの戦いでは、プロイセン軍とウェリントン将軍率いる英国軍が立ち向かう。ナポレオンは自ら軍を率いる戦いではほとんど勝つ。まずはプロイセン軍を制覇し、英国軍と対しようとする。ナポレオンはもはや勝ったも同然の気分である。しかし、プロイセン軍は敗兵軍を再陣営して、英国軍と共同戦線が組みやすい場所に移動する。そして、侮ったナポレオンは楽勝ムードで英国軍と対戦するが、目の前に現れた加勢するプロイセン軍に驚きやられ、連合軍が勝つ。


チャーチル首相ダンケルクから撤退するおかげで、多くの兵士を温存できた。これが最終的に勝つことにつなげられたのだと思う。

3.空間設計の巧みさ
大画面で見たほうがいい映画である。広がりのある海岸の爆破シーン、トム・ハーディ演じる英国空軍の戦闘機とドイツ空軍の戦闘機との海上での空中戦など大画面をうまく生かした映像である。その一方で、逃走する輸送船がドイツ軍の潜水艦の魚雷攻撃を受け、船のなか兵士が溺れながら逃げるシーンや船底に銃弾を撃ち込まれ穴から水が漏れ兵士たちが絶体絶命に追い込まれるシーンなど、全く逆に閉鎖的空間の使い方もうまい。


豪華キャストではあるが、絶対的な主人公がいない映画である。それがいいかもしれない。一か所ではなく、湾岸、救助しようと英国港を飛び出した船、撤退から守ろうと出発した空軍の飛行機といくつもの場面を並行的に描く。編集もお見事である。
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映画「パターソン」 ジム・ジャームッシュ&アダム・ドライバー

2017-09-03 20:29:10 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「パターソン」を映画館で観てきました。


奇才ジム・ジャームッシュ監督の新作は何気ないバス運転手の日常を描いたものだという。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」以来独特のムードを持つ作風のジム・ジャームッシュ監督が人気俳優アダム・ドライバーを起用してできた新作は、アメリカの地味な町で普通に暮らすバスドライバーの1週間を追ったものである。末梢神経を刺激するような過激なシーンもなく、淡々と一人の男とその家庭を描く。素敵な映画である。

ニュージャージー州パターソン市でバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライバー)は妻(ゴルシフテ・ファラハニ)と一匹のブルドックと暮らしている。朝6時過ぎに妻と一緒のベッドで目を覚まし、歩いてバスの車庫に行き、頭に浮かんだ詩をノートに書いた後一日の運行に出る。それぞれの乗客の様子を黙って感じながら、倉庫へ戻り、自宅に決まった時間に帰る。食事の後は犬と夜の散歩に行き、なじみのバーで一杯飲んで帰る。決まった生活が続く中で、様々な人に出会う。その月曜日から日曜日までを映画は描いていく。


決まった時間に会社に行き、同じような生活だが、バスの乗客の他愛のない会話、町で出会った詩が好きな10歳の少女やコインランドリーでラップ風に詩を作り上げる男とのふれあい、バーの酔客やマスターとのやり取りなどをつづっていく。固定した場所での話なのに、どちらかというと、様々な人との出会いからロードムービーの匂いを感じさせる。

衝撃的な事件が起きるのではと思わせるが、それらしき展開になってもおとなしく収まる。詩が好きで、ノートに手書きで書いていく。地元パターソン市出身の詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズを敬愛し、自分の思いを詩にするが、妻にもそのノートを見せているわけでない。バスの運転手なのに携帯電話をもたない。束縛されたくないからだという。中東系の奥さんとどうやって知り合ったのかということは一切語られずに、2人のアツアツのムードがにじみ出る。

1.ジム・ジャームッシュ
現代の吸血鬼を描いた「オンリー・ラヴァーズ・レフトアライブ」以来の新作である。「アイ・プット・スペル・オン・ユー」が繰り返し流れる「ストレンジャー・ザン・パラダイス」で名を挙げた後は「ナイト・オン・ザ・プラネット」、工藤夕貴や永瀬正敏も出演した「ミステリートレイン」など名作を少しづつ世に出している。個人的に最も好きなのはビル・マーレイ主演の「ブロークン・フラワーズ」である。いつもながらのポーカーフェイスのビル・マーレイ演じる主人公のもとへ昔の彼女からあなたの子供があなたのもとへ訪ねていくよと言われ、昔の彼女が誰か特定できないまま旅に出るロードムービーが人をくった感じで好きだ。


今回もいつも通りのムードだけど、よくできている。出演した永瀬正敏「ジム・ジャームッシュのつくる現場は温かい。」とほめちぎる。初めて組む主演のパターソンを演じるアダム・ドライバーも絶賛だ。いい奴なんだろうね。

2.パターソンの町
ニュージャージー州にある人口14万の町だ。地図を見るとニューヨーク・マンハッタンから遠くない場所にあるけれど、古いレンガ造りの建物が多い地味な町である。美しい滝が流れる。


その場所での日本人の詩人である永瀬正敏とのやり取りが素敵だが、地元の少女との詩作談義で「water fall。。」と語り合う場面もいい感じだ。映画「コラテラル」マイルスデイヴィスの「スパニッシュキー」を聴きながらトム・クルーズの標的になったバリー・シャバカ・ヘンリー演じるマスターが営むバーがソウルフルな選曲もよくムード満載で、パターソンのように毎日通いたくなる感じがした。


コーエン兄弟やウェス・アンダーソンなどの名監督と組んで少しづつキャリアを重ねているアダム・ドライバーが何気ない普通の男を演じてすごくいい。奥さん役のイラン出身のゴルシフテ・ファラハニがかわいらしい。昭和から平成にかけて日本ではやった石原真理子のような濃い眉毛メイクがエキゾティックだけど、パターソンにやさしく寄り添うのでいい感じだ。ヒステリックでいやな女が多いアメリカ映画中ではぴか一だ。あとはブルドック犬の名演技これもすげえや!なくなったと聞き、残念


ブロークンフラワーズ
ジム・ジャームッシュ監督で一番好きな作品
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映画「ロスト・イン・パリ」ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードン

2017-09-03 20:26:27 | 映画(フランス映画 )
映画「ロスト・イン・パリ」を映画館で観てきました。


「アイスバーグ!」「ルンバ!」で知られるベルギーの道化師夫婦ドミニク・アベルとフィオナ・ゴードンの製作・監督・脚本・主演による、夏のパリを舞台にしたコメディ映画。主人公の女性のメガネがおかしそうで気になっていたけど、なかなか渋谷で映画を見るチャンスがない。公開からしばらくたってしまった。パリセーヌ川やエッフェル塔を舞台にウェス・アンダーソンやアキ・カウリマスキの作品を連想させる色彩設計で色付け、その昔のコメデイタッチでなかなか楽しい。若干親父ギャグ的だけど単純に気楽に楽しめた。


雪深いカナダの小さな村、さえない日々を送る図書館司書フィオナ(フィオナ・ゴードン)。ある日、パリに住むおばマーサ(エマニュエル・リヴァ)から助けを求める手紙が届き、臆病者のフィオナは勇気をふり絞って旅に出る。ところがアパートにマーサの姿は見当たらず、セーヌ川に落ち所持品全てを失くす大ピンチ!おまけに風変わりなホームレスのドム(ドミニク・アベル)につきまとわれて…。いったいマーサはどこに?!(作品情報より)


主人公のフィオナがバカでかい赤いバックパックにご丁寧にカナダ国旗までつけてパリの街を歩く。慣れない地下鉄に乗って、叔母のところへ行けど、不在。そのままセーヌ川に行き、橋の上でエッフェル塔をバックに写真を撮ってもらおうとしたら、重いバックパックのせいで後ろに一回転、セーヌ川に転落してしまう。


予備知識がなくこの映画を見たので、この転落シーンに思わず大きな声で笑ってしまった。どうもこの映画合いそうだ。なぜか、セーヌ川の遊覧船に助けられるんだけど、写真を写そうとした人がスマホを走って返そうとしても、フィオナが気づかない。バックパックはセーヌ川の中だ。結局、そのバックパックはセーヌ川の岸辺のホームレスであるドムが釣り糸で引っ張り込む。その中に入っている黄色いセーターを着て、中に入っているバックにあるお金にシメシメ。飯を食いに行く。


一方、何から何までなくなってしまったフィオナは大使館に助けを求めていくが、レストランのタダ券だけもらう。行ってみると、予期せぬお金が手に入ったドムがいて、ここから2人のドタバタ劇が始める。船上レストランで2人が出会い、ドムの誘いで異様なタンゴを踊る。それから、何度もセーヌ川の底に沈んでしまうシーン、火葬場のエレベータで顔が挟まって眼鏡が壊れてしまうシーンなど、人により好き嫌いはあるかもしれない。でも、気楽に見ればいいじゃないかな?笑いの渦に後味はいい。
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映画「ワンダーウーマン」 ガル・ガドット

2017-09-02 17:28:54 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ワンダーウーマン」をみてきました。


ガル・ガドット演じるワンダーウーマンの姿はかっこいい。これは観るしかないと映画館に向かう。ルパート・グレグソン・ウィリアムズの音楽が終始高らかに鳴り響く中で、テンション高いままに映画は進む。途中退屈な部分もあり、一瞬寝てしまったが、美しいガル・ガドットを見ているだけで楽しい。

女性だけのアマゾン族は、外界から隔絶された島に住んでいる。プリンセスのダイアナ=ワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、子供のころから叔母のアンティオぺ(ロビンライト)の指導で戦士として鍛錬を積んでいた。ある日、ドイツ軍の攻撃を受け海岸に不時着した小型飛行機から、初めて目にする男性を助け出す。米軍のスパイだと身分を明かすスティーブ(クリス・パイン)から、外の世界で戦争が起きていることを聞いた。


ダイアナは、2度と戻れないことを承知の上で、争いを止めるために故郷をあとにする。2人は、軍事会議でドイツ軍の毒ガス砲撃計画の阻止を訴えるが、進行中の休戦協定交渉を理由に却下される。そこで彼らは、計画の首謀者であるルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)の息の根を止めようとするが……。(作品情報より)

最初、パリにいるガル・ガドットのもとに写真と手紙が届くシーンが出てくる。現代の物語かと思うと、離れ小島で暮らす女一族が剣の鍛錬に励むシーンと幼いダイアナの姿が映し出される。やたら、古代ギリシャ神話の話も出ているので、これっていつの時代背景なの?と思ってしまう。


そうしたときに、突如戦闘機が海に墜落するシーンが出てくる。これってまだ初期の飛行機だ。特に時代は語られていない。ただ、オスマン帝国がまだ登場し、墜落した飛行機の乗組員は米軍からドイツ軍に侵入したスパイだと独白する場面があり、第一次世界大戦のころとわかってくる。第一次世界大戦は初めての戦車、飛行機利用と毒ガスで有名だ。戦いの神が大暴れをしているのではと、ワンダーウーマンが心配し、神を征伐すれば戦いが終わると信じている。その中でバリバリ現代の映像特撮技術を駆使してワンダーウーマンが大暴れをする。


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映画「ELLE」 イザベル・ユベール&ポール・ヴァーホーヴェン

2017-09-02 09:44:58 | 映画(フランス映画 )
映画「ELLE」を映画館で観てきました。


鬼才ポール・ヴァーホーヴェン監督がフランスを代表する名女優イザベル・ユベールと組んだ新作である。サスペンスタッチでなんか面白そう。ポール・ヴァンホーヴェン作品は「氷の微笑」からずっと追いかけている。特にオランド系ユダヤ人女性の生涯を描いた「ブラックブック」のスケールの大きさに感嘆した。

正直、事前の期待度にくらべると、ちょっと物足りなかったが、スリラーの匂いが強くおもしろい。「ブラックブック」の時もよかったが、アン・ダッドリーの音楽も不安感、緊迫度を高める。いきなりの激しいレイプシーンには驚くが、謎解きの要素があり面白い。


ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)は、瀟洒な邸宅に猫と暮らしている。ある昼下がり、彼女は自宅に侵入してきた覆面の男に襲われ、性的暴行を受けるが、何事もなかったかのように日常生活を送り続ける。その頃、ミシェルが10歳の頃に実父が起こした衝撃的な犯罪に、再び世間の注目が集まってしまう。

警察に関わりたくないミシェルは、売れない小説家の元夫、ワンマン社長のミシェルを恨んでいる部下、秘密の恋人、意味深な視線を送ってくる隣人など、身近な男たちに疑いの目を向け、真犯人を見つけ出すために罠を仕掛けていく。(作品情報 引用)

レイプ映画とはいえ、ジョディフォスターの映画のような犯人探しや訴訟といった感じではない。レイプされても警察に届けない。それは、小さいときに実父が起こした殺人事件の影響で、警察への信頼性がないということなのだろう。あやしいと思われる人物に接近し、ペ〇スの形で犯人かどうかをチェックする。途中で体形でこの男かな?と想像できるが、軽い迷彩で分からなくする。


1.ポール・ヴァーホーヴェン監督
1938年生まれだからもう79歳だ。エロチックサスペンスの名作「氷の微笑」からは25年ほどたつ。シャロンストーンポール・ヴァーホーヴェンと出会わなければ、今のキャリアはなかったであろう。いきなりのベッドでの殺人は本当にドキドキした。この映画と同様に謎解きの要素を持つ。マイケル・ダグラスを翻弄しまくるシャロンストーンの悪女ぶりを引き出したのはポール・ヴァーホーヴェンの力だろう。


そのすぐ後の「ショーガール」はラジー賞にもなり、酷評されたけど、個人的には悪くないと思っている。ラスベガスにやってきたカントリーガールがショービジネスで這い上がる物語は、プールでの激しいファックシーンも含めてドキドキさせられる。そういった刺激の強さはこの映画でも発揮されている。ヒッチコックというよりも、ブライアン・パルマの映画のように観客をびっくりさせて楽しんでいるようだ。

アメリカ映画、欧州の映画とどんな国の映画でも作ってしまう。でも、この映画をみると、わかりやすいフランス語のセリフでいかにもフランス映画の映像と感じさせてしまう。器用な監督だね。


2.イザベル・ユペール
イザベルユベールは64歳にして、ボディをさらけ出す。映画では年齢をはっきりさせていないが、50代半ば前後の設定だ。実際自分も年を取ったので、こういった熟女系の女も悪くはないが、60代には見えないボディだ。同じ年のキムベイシンガーも以前はよく脱いだが、最近は露出度は低くなった。それにしても、イザベルユベールはまあよくやるね!

殺人鬼だった父親は刑務所に入ったまま、町であんたの家族は最低なんて今でも言われる。考えてみたらフランスは死刑廃止なんだね。日本だったら絶対死刑と思われる事件をおこした父親と70歳を過ぎていまだ若い男と付き合っている派手の化粧の母親との関係でこの主人公の性格をあぶりだす。


ゲーム会社の社長という設定だ。超人ハルクのような怪獣と女がからむアニメのシーンも異様な雰囲気で、エロチックな匂いをさせる。ミシェルはレイプされながらも男の割礼をしっかり確認している。ゲーム会社の同僚、隣人、友人の夫などのパンツを脱がして相手のあそこを確認する。このあたりの変態的動きで異常性を強めている。

氷の微笑
ヴァンホーヴェン監督の異常性
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