映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」 ジュリアンムーア&ナタリーポートマン

2024-07-14 17:40:39 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「メイディセンバー」を映画館で観てきました。


映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」ジュリアン・ムーアとナタリー・ポートマンのメジャー女優の共演で、監督は「キャロル」トッド・ヘインズだ。ジュリアンムーアはトッドヘインズと「エデンより彼方へ」で組んでいる。アメリカ映画には珍しく紅葉が美しく色彩設計にすぐれた映画だった。

36歳の女性が13歳の少年との戯れで懐妊する。そのために懲役刑を受け服役後結婚する2人の話が映画化される。主演女優が実在のカップルの元へ取材に訪れる話だ。教師と教え子の情事は実話であり、「メイ・ディセンバー事件」と呼ばれた。以前観たケイト・ブランシェット主演「あるスキャンダルの覚え書き」を思い出す。どうやら事件をモデルに映画化されたようだ。

人気女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)が、次回作で演じる実在の人物グレイシー(ジュリアン・ムーア)とその夫ジョー(チャールズメルトン)に取材をするため2人の家を訪れる。グレイシーは36歳のときに、13歳の韓国系少年ジョーとの情事で懐妊して子供を獄中出産した。出獄後、2人は結婚し、平穏な家庭を営んでいる。23年後映画化が決定されて、主演のエリザベスは何かを探るように当事者2人とその家族と生活を共にする。


観た感触は普通の映画。
でもセリフのいくつかが後で尾を引く映画だ。


アメリカの地方都市にいる普通の家庭の様相だ。当然、アメリカ映画らしく周囲の風景は美しく室内のインテリアはすばらしい。映像のトーンは暗めで光の加減を落としたまま進んでいく。でも、いったいこの家族は何でこんなすごい家に住んでいるの?どうやって生計を立てているの?と思ってしまうほど素敵な家だ。そこには事件の当事者2人やその子どもだけでなく、前夫との間に生まれた息子もいる。

若かりし日の想い出を再現フィルムで追うことはしない。事件の当事者を演じる人気女優(ナタリーポートマン)が23年後の家庭に接して、少しづつ当事者の思いに迫ろうとする。ガツガツ取材するわけではない。演じる本人との対話だけでなく、周囲と語り合う中でいくつかのことがわかる。映画の中で、強烈な事件が起きるわけでない。


それだけに、当事者2人、前夫との間に生まれた息子、そして演じる女優それぞれの何気なく発した言葉が伏線で、映画が終わるまでに別のセリフや行為で回収する。映画を観ている時には気づきにくいが、観終わってしばらくして自分の脳裏に色んなセリフが浮かび上がっていく。ナタリーポートマンが現地の学生との懇談会で「SEXシーン」についてどうか?と質問を受ける。公私の境界線があやふやになることがあると答える。これはのちのある行為への伏線となる。

個人的には「キャロル」に流れるアメリカ映画らしいムードが好きだ。ケイトブランシェットとルーニーマーラの同性愛が基調でも衣装、美術すべてにおいて洗練された美的感覚に魅せられる。残念ながら、ムードの良さは感じても「キャロル」までのレベルには感じられなかった。ケイトとルーニーの関係をジュリアンムーアとナタリーポートマンの関係に対比してしまう。当然2人の演技レベルは高い。映画ポスターにある鏡の前で2人並ぶシーンはドキッとする。でも、一部の評論家が言う傑作とまでは思わない。


この事件を題材にした「あるスキャンダルの覚え書き」は女教師のケイトブランシェットが少年と交わる設定だ。この映画はジュディデンチとケイトとの関係もあってなかなか奥の深い映画だった。あの傑作と比べるともう一歩かな。トッドヘインズ監督が意識的にしたのかどうか、クレイシーの息子のオンチな歌が2曲も流れるだけでなく、音楽がうるさすぎる印象をもつ。グレイシーの息子は曲者、ナタリーポートマンは息子のお願いを巧みに交わす。いかにもいい女の振る舞いだ。
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映画「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」 ユアン&クララ・マクレガー

2024-07-12 08:15:55 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ブリーディング・ラブ」を映画館で観てきました。


映画「ブリーディングラブ」ユアンマクレガーの実の娘クララ・マクレガーが企画した脚本を父娘共演のロードムービーにした作品である。監督はオランダ人女性のエマ・ウェステンバーグだ。有害薬物とアルコールの依存症になった娘が母親との離婚で別で暮らす実父とトラックでアメリカの荒野を走っていく。もともとロードムービーが好きで、父娘の交情というテーマは娘がいる自分にはなじみやすい。

実生活でも父母の離婚を経験しているクララの企画で、かわいい娘のプロジェクトにはアメリカのメジャー俳優であるユアンマクレガーも喜んで参加したのであろう。ユアンの親バカになる気持ちはよくわかる。あえてエンディングロールのクレジットトップを娘に譲る

しばらく疎遠だった父(ユアンマクレガー)の車に娘(クララマクレガー)が同乗してサンディエゴから広い荒野の一本道をニューメキシコへ1400キロ走って向かう。走っていく道の周囲には見渡す限り何もない。途中で寄る小さな町でのできごとを語っていく。娘は酒の小瓶に目がない。レストランで別の客の酒に手を出して店員に注意される。途中、アルコール中毒者の禁酒会に立ち寄るあたりで、若くしてアル中になってしまったことを観客にわからせる。娘をリハビリ療養施設に連れていくことが父の目的だと、偶然娘がわかった途端に姿を消す。


普通のロードムービーに複雑な家庭事情を結びつける。
ユアンマクレガー主演でなかったら日本で劇場公開もされなかったであろう。アメリカでは配信のみだったらしい。疎遠だった父娘が2人で旅立つ目的が明示されるわけではない。手持ちカメラで2人を追うが、よくわからないままに前半は比較的退屈だった。途中から逸話を重ねつつ、娘が小さい時の父娘の映像を織り交ぜる。そして、尻上がりに離れた2人の交情に焦点を持ってくる。


ジョンウェインが活躍する西部劇の舞台を思わせる荒野をひたすら走る。公衆用トイレもあるわけがない。トイレが近い娘は草むらでオシッコをする。そこで何かに刺されてしまって性器に違和感を感じる。薬局に行こうとして小さな町に寄っても、早い時間に店じまいしてどこもやっていない。そんな時、父が通りで娼婦に誘われる。そんな気はまったくないが、彼女に娘のアソコを見てくれといい見てもらうシーンが笑える。この辺りから、徐々に展開のリズムがよくなっていく

一緒に暮らした子どもの頃は父娘仲良くても、その家庭を捨てて父は出て行った。本来疎遠である2人がこうして一緒に行くわけがない。きっと娘の素行があまりにも悪いのであろう。本来は頼りにできない元夫に預けざるを得ない状況と察するしかない。あり得ない話ではない。ニューメキシコにある回復のための療養施設にむかっているとは娘はわからずにいる。でも父の真意があるきっかけでわかる。ここで泊まっているモーテルを飛び出す娘、不在であわてる父親。微妙な2人をカメラが追う。娘の彷徨いを思わず心配してしまう。


ラストに向けてはいい感じにまとめた。
ちょうど自分の家でも娘が旅立つ。映画を観て何か感じるものはあった。
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Netflix映画「ファミリーアフェア」 ニコール・キッドマン&ザック・エフロン

2024-07-10 08:01:45 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
Netflix映画「ファミリーアフェア」はアメリカ映画


Netflix映画「ファミリーアフェア」ザックエフロンとニコールキッドマンのビッグネームが揃うラブコメディだ。超豪華出演者で思わず観てしまう。若手のジョーイキングがザックエフロン演じるハリウッドスターのマネジャー役でニコールキッドマンの娘を演じる。ニコールキッドマンの義母役にはキャシー・ベイツで、オスカー主演女優賞の揃い踏みとはNetflixの資金力を感じさせる。「ファミリーアフェア」というとスライ&ファミリーストーンの同名全米No.1ヒット曲を連想するがまったく流れない。

ザラ(ジョーイキング)は人気ハリウッド俳優クリス(ザックエフロン)のアシスタント。クリスは女を取っ替え引っ替えでザラは後始末をさせられている。その割には自分が軽い扱いを受けていることでクリスとケンカ別れをしてしまう。その後、反省したクリスがザラの家に謝りに行くと、美人の母親ブルック(ニコールキッドマン)がいて話し込む。母親は夫と死別していた。意気投合した2人はそのままベッドにいく。その頃、帰宅したザラが母親の寝室で行為に進む2人を見て卒倒する。


暇つぶし向けの人気スターによるラブコメディ
ストーリーは単純で、大きなサプライズもない。設定は強引だが、最終的にはこんな感じなんだろうなあという方向に進む。アメリカのラブコメディだけに美術やヴィジュアル系はまさに完璧スターのパフォーマンスを軽い気持ちで楽しむ作品だ。

ザックエフロンとニコールキッドマン共演では「ペーパーボーイ 真夏の引力」という映画があったことを思い出す。ニコールキッドマンは刑務所内の囚人を好きになるエロい女だった。そんなアバズレ系の女を演じるのは上手い。今回はそういう匂いは消して、魅力的な女性になりきる。

50代半ばになっても美貌は衰えないので、男女の性的交わりのシーンがあっても不自然ではない。11年前の「ペーパーボーイ」の頃とそんなに風貌は変わっていない。ところで、自分も歳をとって、整形している顔に共通性があるのがわかってきた。先日銀座の高級クラブに行った時、ニコールキッドマンと同世代の美人ママの顔の目尻に整形の匂いを感じた。日米人種が違っても整形すると同じように見えるんだなとこの映画を見て感じる。

ちょうど映画「アイアンクロー」でプロレスラーを演じたばかりのザックエフロンは筋肉もりもりのムキムキ男に変身している。男性ホルモンでも注入されたがごとく、顔つきも濃くなり剛健な感じだ。まだ若かった11年前の雰囲気とはずいぶんと違う。ここでは女にだらしないハリウッドスターになりきる。



いかにもアメリカンラブコメディの登場人物がお似合いのジョーイキングは、キャンキャンとうるさい女の子。長身のニコールキッドマンからこんな華奢な女の子が産まれるのかというツッコミもあるが良いだろう。クリスの撮影にも同行して、スクリプターのようにカメラの前に陣取る。外国の監督からのクリスへの演技指導を同時通訳のように翻訳するのに、まったく違う訳を伝えるのには笑える。母親と自分の上司の恋をなんとか阻止しようとドタバタする役柄だ。


ジョーイキング演じるザラの祖母がキャシーベイツだ。アカデミー賞主演女優賞受賞のスティーブンキング原作「ミザリー」で恐怖のストーカーを演じた時のような怖さはない。直近ではクリントイーストウッド監督「リチャードジュエル」で誤った疑惑を受けた主人公の母親役での毅然とした演技が脳裏に残る。うまいと思った。もともと老け顔なのかそんなに歳をとった感じがしない。ニコールキッドマンとの触れ合いはいい感じだ。
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映画「ドライブアウェイドールズ」 イーサン・コーエン

2024-06-11 05:36:19 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドライブアウェイドールズ」を映画館で観てきました。


映画「ドライブアウェイドールズ」コーエン兄弟の弟イーサン・コーエン監督脚本の新作である。コーエン兄弟の新作なら内容は確認せずに観に行くはずだった。どうやら女性2人のロードムービーだというのはわかる。コロナ禍もあったけど、コーエン兄弟はずいぶんと久しぶりである。この沈黙は何だったのだろう。それにしても、世間の評判はあまり良くはない。eiga comは3点未満だし、日経映画評も2点と最悪だ。逆に女性でもいい評価をする人もいて、評価が割れた時は観ろという個人的な直感で映画館に向かう。


1999年のフィラデルフィアが舞台だ。いきなり殺しの場面が登場して何だと思う。いつも通りのブラックコメディかと思った瞬間にレズビアンっぽい女性の戯れが映る。じっと観ていてもよくわからない。ただ、結局2人の女性ジェイミー(マーガレット・クアリー)とマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)がクルマの配送(ドライブアウェイ)でフロリダ州タラハシまでドライブに出発する。ところが、2人が出発した後で、最初の殺人に絡んだギャングが配車所に現れる。荷物が入っているクルマに女性2人が乗ったのがわかり大慌てで追いかける。

ドライブを始めた2人は行き先をかえながら進む。その途中でクルマがパンク。タイヤを交換しようとした時にトランク内の荷物を見つける。スーツケースの中には人間の生首が入っていて2人は驚く。追うギャングたちは2人の行方を探りながら徐々に近づいていく。


観る人を選ぶ映画だ。
ここでは題材がレズビアンで、大人のおもちゃの男根が頻繁にでてくる。女性どうしの会話でも卑猥な言葉が次々とでてくる。女性どうしが愛し合ったり、オナニーシーンも多い。巨根の大人のおもちゃも出ずっぱりだ。アメリカでどう受けるのか知りたいが、一部を除いて日本女性には受けないだろう。長年にわたって、ブラックコメディの作品をつくってきたのがコーエン兄弟だ。ハラを抱えて笑える作品も多い。過去の暗めのレズビアン映画と違うスタイルでつくったそうだ。

ドライブする2人の1人は性的におおらかで、もう1人のインド系美形は関係を嫌がる。でも、徐々に接近していく。ドライブしていく行き先ごとにレズビアンが集まるバーなどの場所に行く。レズビアンのサッカーチームなんて集団まで出会う。ジェイミーの同性愛の元恋人に1人太めの女性がいて、何と警官だ。演じるビーニー・フェルドスタインは大きな男根に執着してとても警官とは思えない。でもいい味を出しているコメディアンっぽさがある。


コーエン兄弟の新作というだけで観ようとしても、消化不良気味だ。それにしても、ラストに向けては超大物マット・デイモンの登場とはね。ここにも男根がからむ。こういう系のコメディはむずかしいなあ。アメリカ独特の仕組みもあって解説を読まないとあらすじもよくわからない。良かったのはハイセンスなポップスの組み合わせの音楽だ。
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映画「チャレンジャーズ」 ゼンデイヤ

2024-06-08 16:51:35 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「チャレンジャーズ」を映画館で見てきました。


映画「チャレンジャーズ」はメジャー大作のヒロインとしての出演が続くゼンデイヤ主演のテニスを題材にしたアメリカ映画だ。「君の名前で僕を呼んで」などのルカ・グァダニーノ監督の作品。まったく意識していなかったが、ここしばらくアメリカ映画とごぶさただ。日本映画以外はアジア系か欧州系になってしまうのは、全米俳優組合ストライキの影響で新作が少ないからかもしれない。この映画も公開が延期されたようだ。

サーカスが題材の「グレイテストショーマン」で自分の度肝を抜いたゼンデイヤ、「スパイダーマン」「DUNE」と大作のヒロインが続き存在感を高めている。アフリカ系とドイツ系の混血であるゼンデイヤは多様化する現代アメリカ映画界のスターだ。アメリカ映画らしさを感じて映画館に向かってよかった


映画では全米オープンに挑戦しようとするトーナメントの決勝シーンがベースとなる。戦うドナルドソン(マイクファイスト)とズワイグ(ジョシュオコナー)の2人はスタンフォード大学の同期で、もともと子供の頃からの腐れ縁だった。でも逆に今は疎遠。13年前すでに女子テニスのスター選手となっていたタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)の圧倒的なテニスプレーに2人は憧れ近づいていく。予期せず、三角関係となるが、タシは試合中に足のケガで選手生命を絶たれる

もともとズワイグに好意を寄せたタシに対して、ズワイグがつれなくなっていたところをドナルドソンが失意のタシの心の支えになる。やがてタシはドナルドソンのコーチとなり公私ともに結ばれてスター選手となるが、ここのところドナルドソンはスランプが続き出場した試合だ。ズワイグはホテル代も払えないくらい落ちぶれている。その2人が決勝で対決する。絶縁状態だった2人が戦うにあたって、タシがズワイグに久々再会して三角関係がよみがえる。


スポーツのライバル物語に当代きってのスターであるゼンデイヤがすごい存在感を示してくれて十分堪能できた。おもしろかった。
こういうアメリカ映画が観たかった。衣装、美術、住居のインテリアも含めて全体的な雰囲気にアメリカ映画らしいゴージャス感を感じる。音楽も現代的だ。貧困そのものの日本映画界とは違う魅力だ。そこにゼンデイヤというまさにゴージャスな女優が登場する。

ストーリーもおもしろいけど、ゼンデイヤの圧倒的な存在感に魅了される。テニスのスター街道を歩む頃を演じる若き日を映すゼンデイヤの迫力あるテニスプレイは見応えがある。誰しもがカッコいいと思うであろう。それだけではない。自分に恋憧れる2人の青年とベットでディープキスを交わすシーンがある。これが極めてエロい。これこそ現代の千両役者だ。

ゼンデイヤにテニスの素養があるのかと思っていたら違うようだ。驚いた。3ヶ月コーチを受けてということだが、天性のバネを持っているのであろう。大坂なおみが上り詰めていく試合と同じ躍動感を感じた。残念ながら,日本の女優にここまでの迫力を感じさせる女性はいない。


相撲で言う露払いと太刀持ちのような存在の2人の男性テニスプレイヤーは、そつなくゼンデイヤの相手役をこなした。
映画の基調はこの2人のテニス対決だ。土壇場までこじれるヒッチコックの「見知らぬ乗客」のようにテニスの試合中観客が右に左に首を振る仕草が笑える。もともと学生時代、タシ(ゼンデイヤ)は格上の存在だった。テニスのレセプションに潜り込み,ダメ元でタシを誘ったら部屋に来てくれた。2人が舞い上がるのは無理はない。あのかっこよさは普通じゃない。しかもその後で3人でディープキスを交わす。なんて、夢のようなんだろう。その時の2人の立場になってみれば、そう思うであろう。そんな青春モノの要素を、映画の中ににじませる。それがこの映画の魅力でもある。


ここではスポーツメーカーのブランド満載である。お金も出資しているのであろう。Wilson、adidas、NIKEに加えて、ドナルドソンが着るウェアには日本語でユニクロの表記がある。コマーシャリズム満載だけど、予算をたくさんもらってゴージャスな映画が見れるから悪くない。

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映画「パストライブス」

2024-04-07 20:11:04 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「パストライブズ」を映画館で観てきました。


映画「パストライブス」は韓国系アメリカ人の監督セリーヌソンによるニューヨークを舞台にしたラブストーリーである。オバマ元大統領が、年末にその年のベスト映画を発表している。これは大変参考になるリストだ。数々の名作に加えてこの「バストライブス」も入っていた。まだ日本未公開の次の年の優良作品がここでリストアップされるのは助かる。

とりあえず作品情報を引用する。
12歳の時一緒に学校に通っていた韓国人の2人が36歳で再会する。既に女性はニューヨークで結婚している。それでも韓国に幼なじみの男が訪問してくる。12歳, 24歳, 36歳の2人を追いかけていくのと同時に,夫の反応も映し出していく。

ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。

そして12年後の36歳、ノラ(グレタ・リー)は作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソン(ユ・テオ)はそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。


居心地の良い映画である。
大きな起伏は無い。でも好感が持てる。

韓国映画によくあるハラハラドキドキ感は皆無である。末梢神経も刺激されない。かといって,ラブストーリーであっても、きわどいベッドシーンがあるわけではない。各種映画賞でノミネートされたということは、あまり意識しないほうがいい。この映画を見て、男性から昔の彼女に電話をしたいとか連絡をしたいとか思う人は多いだろう。女性の立場でもあるかもしれない。

事前情報を得てマギーチャン主演の「ラブソング」を思い浮かべていた。双曲線を描くように、ロングタームで続く2人の軌跡を描く名作だ。でもこれは違う。しっとりと2人に加えて、現在の夫のアメリカ人の3人の姿を描くストーリーだ。意外性はない。恋の深層に迫る映画だ。


いかにも韓国映画によく出てくるソウルの急な坂が最初に出てくる。そこで12歳の2人を移す場面はそんなに多くはない。セリフは英語と韓国語が半々だ。

その後はパソコンを通じての2人の会話だ。最初に出会ってから12年後に男性からアプローチするのだ。そこで一旦近づく。男からもっと近づいてもいい気がする。うまくいってるように見えるけれども、途中で彼女の方がしばらく距離を置きたいと拒否する。その辺の女性の気持ちは男性にはよくわからない。でもその後, 12年後に転換する。12年前と彼女の顔は大して変わらない。美人ではないけれども、魅力的だ。

そこから展開する。直近のニューヨークロケの映像はなかなか素敵だ。大画面で見ると、すごく心地が良い。空いてる映画館で見たほうがいいかもしれない。自分は心地よい気分がした。バッテリーパークから先の自由の女神付近も遊覧船で回る。ブルックリン橋のそばの映像も大画面で見るとそこにいるかの感じがする。みんな素敵だ。ニューヨークロケの映画でもこんな感じを味わえる事はありそうで滅多にない。


この映画に韓国映画で通常求めるストーリーの可変性はなくていいかもしれない。個人的には楽しめたと同時に心の安らぎと昔の女性への想いを感じた。それだけで充分だと思う。感謝したい。
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映画「マダムウェブ」 ダコタジョンソン

2024-02-27 18:19:36 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「マダムウェブ」を映画館で観てきました。


映画「マダムウェブ」マーベルコミックの新作。ここ最近アメコミ系はご無沙汰だけど、主人公が近未来を予知する設定が気になる。過去にトムクルーズ「マイノリティレポート」クリストファーウォーケン「デッドゾーン」など自分には相性の良い映画がある。他のチョイスがしづらい中で、たまにはマールルで選択する。S・J・クラークソン監督ダコタジョンソンの主演である。

いきなり1973年のペルーの山奥でクモ探しをしている男女の映像が出てくる。見つけた時に仲間割れ、女性は懐妊しているがそこで出産する。

2003年のニューヨーク。救急救命士として働くキャシー・ウェブ(ダコタジョンソン)が、救命活動中にクルマごと川に転落して生死を彷徨う。 その時からキャシーは近未来の様子を予知する体験を重ねるようになる。30年前にペルーで生まれた赤ちゃんが大きくなってキャシーになったのだ。同僚の自動車事故を予知して、懸命に運転を止めるが、事故に遭って亡くなってしまう。それ以降も予知能力を自分で自覚するになる。

地下鉄に乗った時に、出会った3人の少女たちが、それぞれ謎の男に殺されるシーンを見てしまう。キャシーはあわてて、男が襲う前に少女たちを助けようと地下鉄内構内から引っ張り懸命に脱出する。路上のタクシーを盗んで飛ばす。追っ手は防犯カメラを駆使して3人を懸命に探す。


娯楽として楽しめた。
製作費8000万$の割にはメジャー俳優の出演は少ない。その分アクションとVFXにお金が費やされているのか。スパイダーマンのようなクモ男が出てくるが、正義の味方ではなかった。もともと、アカの他人だった3人の少女たちがお互いの境遇に共通点を感じて連んでいく。

謎の男はその3人に殺される悪夢を見ていて、成長する前に殺すというのがこの映画のストーリーの基調である。3人の少女とマダムウェブことキャシーが組んでいく。ピンチとは言え、NYのイエローキャブや救急車を盗んで逃走とはお行儀はよくはない。


見ている分には気楽に見れるが、途中からいかにもアメコミらしいドタバタアクションが続く。音楽は高らかに鳴り響いてちょっとうるさいくらいだ。ただ、途中で流れる挿入歌のセンスはいい。3人の若者も曲に合わせて踊る。たまにはこんなアメコミ映画もいいんじゃないといった感じだ。

エンディングロールで流れる曲に聴き覚えがある。アレ!これってウォンカーウァイ監督の香港返還前の映画「恋する惑星」のテーマ曲だと気付き驚く。オリジナルのクランベリーズ「ドリームス」が流れる。大好きな曲なのでうれしい。思わず香港のアパートメントに忍びこむフェイ・ウォンの顔を思い浮かべる。
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映画「カラーパープル」 ファンテイジア・バリーノ

2024-02-11 17:44:02 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「カラーパープル」を映画館で観てきました。

映画「カラーパープル」アリスウォーカーの原作を1985年にスティーヴンスピルバーグが映画化した。それが2005年ミュージカルになり大人気。今回はミュージカル映画としてリバイバル公開される。今回もスピルバーグや前回音楽担当のクインシージョーンズがプロデューサーとなる。なぜかスピルバーグの前作を見落としていて、初めて知るストーリーである。音楽家のブリッツ・バザウーレが監督を受けもつ。

1909年アメリカジョージア州、母が死んだ後父親の子を2人も産んでその子を里子に出されたセリー(ファンテイジア・バリーノ)は妹ネティと仲良く暮らす。子どもが3人いるミスター(コールマン・ドミンゴ)に父はセリーを押し付ける。ミスターのDVはひどく、セリーは耐えざるをえない。その後実家を出たネティがセリーと同居したがミスターに言い寄られ関係拒否した後に追い出される

ミスターの昔の愛人だった歌手のシュグ(タラジ・P・ヘンソン)が街に帰ってくる。ミスターは元の女を家に引き入れる。セリーは一緒にいる方がミスターのDVがおさまるので同居を受け入れる。息子は子持ちでしっかりしたソフィア(ダニエル・ブルックス)とくっつき、すぐ近くに小屋を建てる。落ち着いたように見えるが、何かと男女間のもつれがつきものであった。


黒人女性陣の歌声に高揚感を感じるミュージカルだ
いきなり教会で信者たちが踊りまくるシーンが出てくる。これって映画「ブルースブラザーズ」教会シーンを連想する。神父のジェームス・ブラウンがソウルフルに歌って、色鮮やかな服を着た黒人たちが踊りまくりジョンべルーシがバク転するシーンだ。同じようにウキウキした気分になる。初っ端から盛り上げる。


歌のシーンについては、ミュージカルでも主役を演じたというファンテイジア・バリーノにせよ、歌手シュグ役のタラジ・P・ヘンソンにせよ、義理の娘になるソフィア役のダニエル・ブルックスにせよパワフルですばらしい歌を聞かせてくれる。曲もオールドファッションというより現代的で、アップテンポもバラードもいい曲だ。

ただ、正直なところ、最初は黒人の登場人物に目が慣れず、出演者が同じように見えて人間関係がよくわからなかった。主人公セリーが出産して、父親が里子に出すというシーンだけど誰の子なのかわからない。父親役の男性も最初単なる雇い主かと思ったら、どうやら父親だ。しばらくして、近親相姦でできた子だとわかってエグいなあと思う。しかも、嫁いだ先の主人のDVがひどい。黒人メインの映画だと白人の暴力がクローズアップされることが多いけど、ここでは黒人社会での女性蔑視がテーマとなる。


黒人が数多く住むエリアでの飲食店などでの黒人だけのシーンがほとんどだ。途中まで、白人系の登場人物が出演せず、珍しく黒人だけの映画かと思っていた。途中で少しだけ白人が出て来る。そこで、人種差別的場面があっても他の映画と比較すると少ない。同じ黒人同士でも、女性が奴隷のように扱われる女性蔑視が酷い話が中心だ。最後に向けてようやく変わる。オリジナル版で白人がずいぶんと黒人を悪く描いたと批判されたそうだ。わかる気もする。


でも基本的にはのれるミュージカルだった。普通はこれだけ暗い話だと,一気に気持ちが沈んでしまう。ただ女性ボーカルのパワフルな歌声はひたすら明るい。希望に満ちてくるはずだ。
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映画「哀れなるものたち」エマ・ストーン

2024-01-28 17:42:16 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「哀れなるものたち」を映画館で観てきました。


映画「哀れなるものたち」はエマ・ストーン主演の新作で、すでにベネツィア映画祭で金獅子賞ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞している。前評判が高い。でも予告編で観るとSF映画的な雰囲気を感じる。エマ・ストーンの顔はいつものような端正な顔ではない。どうしたんだろう?監督は「女王陛下のお気に入り」エマ・ストーンと組んだヨルゴス・ランティモスだ。エマ・ストーンはプロデューサーも兼ねている。ネット予約しようとしたら18歳以上ですか?と確認してきて驚く。

ロンドンの天才科学者ゴドウィン(ウィレムデフォー)が、川に転落して自殺を図った女性を解剖してベラ(エマ・ストーン)として蘇生させる。懐妊していたベラのお腹の中にいた胎児の脳をベラの脳に移植するのだ。ゴドウィンは弟子マックス(ラミーユセフ)とともに、大人の身体をして知恵遅れの脳を持ったベラをゴドウィンの家から外へ出さずに育てていく。

やがて言葉を徐々に覚えて性的にも目覚めたベラを弁護士のダンカン(マークラファロ)が外の世界に誘い出す。豪華客船に乗りこみリスボンからヨーロッパ縦断の旅に出る。ベラは様々な人々と出会い,世間の矛盾に関心を持つようになる。


映画としての完成度の高い作品である。
エマストーンに圧倒され続けると同時にウィレムデフォーの科学者が老練でうまい。セット中心の美術,的確な編集,ゴージャスな衣装その他すべてでレベルの高さに感嘆する。予算の少ない貧弱な日本映画を見慣れているのでなおさらだ。過去がカラーで現在がモノクロかと思いきや、旅に出てもカラーで美術の素晴らしさを引き立てる。魚眼レンズを使ったかのようなカメラアングルも特筆すべきところだ。感動するというよりも、映画表現の上限に挑戦している作品と感じる。

18禁の作品なのでそれなりのエロチックなシーンは予測されたがここまでやるとは驚き。主演のエマ・ストーンの脱ぎっぷりは想像以上だ。性的な目覚めとしてのオナニーシーンから始まって,騎乗位の激しいファックシーンと続き、パリの娼館で娼婦になってしまうエマ・ストーンが大胆だ。賞狙いに徹しているふんばりとしか思えない。「女王陛下のお気に入り」エマ・ストーンは気前よくバストトップを披露してその時も驚いた。そこで組んでいるヨルゴス・ランティモス監督を全面的に信頼しているのがよくわかる。


20世紀前半の風景と近未来の風景が混在しているようなリスボンのシーンはどうやって撮ったんだろうと映画を見ながら思っていた。セットと確認してリアル度はすごいなと思う。豪華客船の船内風景やアレクサンドリアでの背景についても美術のレベルが高い。


また,パリの娼館もゴージャスだ。今年に入って「ラメゾン 小説家と娼婦」で 小説家がパリの娼館で実体験する内容の映画を見たばかりである。妙なアナロジーだ。映画1本で映しだす娼館に来る客とのやりとりを,ここではエマ・ストーンが客とこなす数多くのシーンを短時間で簡潔にまとめる。オスカー女優がやるようなシーンではない。そう思いながらエマストーンの頑張りには呆れる位だ。

エマ・ストーンの演技と美術に圧倒された欧州への旅の後にロンドンに戻った後のストーリー展開も軽いどんでん返しがある。なかなか味があって楽しい。


この作品でエマ・ストーンアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。前回受賞した「ラ・ラ・ランド」と比較すると今回の方が難易度の高い役柄だ。昨年末見た同じくノミネートされているキャリー・マリガン「マエストロ」ブラッドリー・クーパーとのやりとりが超絶技巧の演技で素晴らしかった。ただここでのエマ・ストーンのがんばりにはかなわないかもしれない。
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映画「僕らの世界が交わるまで」 ジェシーアイゼンバーグ&ジュリアンムーア

2024-01-21 19:55:22 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「僕らの世界が交わるまで」を映画館で観てきました。


映画「僕らの世界が交わるまで」は俳優ジェシー・アイゼンバーグの初監督作品である。ジェシー・アイゼンバーグというと、出世作「ソーシャルネットワーク」の早口言葉が記憶に残る。今回はちょっとおせっかいな母と息子にスポットをあてる。世間でリベラルと言われるような人物を登場させる。

DV被害に遭った人々のためのシェルターを運営する母・エヴリン(ジュリアン・ムーア)と、ネットのライブ配信で人気の高校生ジギー(フィン・ウォルフハード)。社会奉仕に身を捧げる母親と、能天気に自分のフォロワーのことしか頭にない息子は、お互いわかりあえない状態だ。

DV被害を受けシェルターにかくまった母親と17歳の高校生がいる。エヴリンは気の優しい少年が気に入り、奨学金を得て大学で福祉を学ぶことを熱心に勧める。でも、少年は父親と同じ自動車修理工を目指しているのでいい迷惑だった。


エヴリンの息子ジギーは音楽活動でSNSのフォロワーを増して投げ銭をもらうことしか考えていない。好きな同級生の女子生徒は政治問題や環境問題に関心を持っていた。でも、ジギーに知識がなく話題にはついていけない。彼女の気を引こうと集会を訪れたり、政治ネタを仕込もうとする。加えて、彼女の作った詩に曲をつけて自分のSNSで歌って,課金をもらう。これでカネを稼ぐという感覚がリベラルなませた女子高生にはガマンならない。余計なことするなというわけだ。


良かれと思って相手にしてあげることが,受ける当人にとってはおせっかいだと言う話

感動するとか心に残るといった話ではない。宣伝文句にあるような共感するといった気持ちには全くなれない。アイゼンバーグがこういった2人を取り上げるのは,現代アメリカ社会にこういったすれ違いがあるからなのであろうか?

エヴリンに熱心に福祉系の大学進学を勧められた少年が,「もし大学に行かなかったら自分はこのシェルターを出て行かなければならないのでしょうか」と言うセリフが印象に残る。そんな悩みをしなければいけない少年がかわいそう


自分も初老の域に入ったので,周囲からおせっかいな勧めごとをされる事はなくなったが,若い頃は目上の人から無理矢理こうした方がいいよとおせっかいをされた経験はある。死んだ自分の母親もジュリアンムーアのようにでしゃばりでおせっかいな女だった。さぞかしイヤな思いをした人もいるのではとこの映画を観て感じる。

先日大学のOB会があり,現役の大学生たちとも懇談した。若い人から元気をいただいた。ついつい余計なお世話にもつながるアドバイスをしてしまうことがある。相手にとってはいい迷惑なんだろうなと考えずに,何か言ってしまうのはやっぱりだめだな。自分自身への戒めのような映画だ。
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映画「ブルーバック あの海を見ていた 」ミア・ワシコウスカ

2024-01-03 19:47:10 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
明けましておめでとうございます。
新年早々ビックリすることが続き呆然としていました。
日本海側エリアで被災された皆さんにはお見舞い申し上げます。

映画「ブルーバック あの海を見ていた」を映画館で観てきました。


「ブルーバック あの海を見ていた」はオーストラリアの美しいシーサイドを舞台にしたミア・ワシコウスカ主演作品である。監督は「渇きと偽り」ロバート・コノリーだ。今回は自分と相性の良いエリックバナも出演している。ミア・ワシコウスカのポスターが清々しい。玄人筋の評判はもう一歩だけど、このスタッフなら観てみたい。正月なのにこれといって必見の劇場公開映画が見当たらないので、この映画を選択する。

海洋学者のアビー(ミア・ワシコウスカ)のもとに、母ドラ(リズ・アレクサンダー)が脳卒中で倒れたという連絡が入る。西オーストラリアの海辺にある実家にもどる。命には別条なかったが、言葉を発することが困難になっていた。アビーは8歳の少女の頃や高校進学する前15歳の時に起きた出来事を追想する。

海のブルーに触発される居心地の良い映画。
比較的前方の席で毎回観るが、この映画こそ大画面の前方で観て、七変化する海のブルーを体感して欲しい。

すばらしいロケ地である。青々とした空のもと海の上で繰り広げられる場面だけでなく、夕暮れの地平線を見せるシーンは美しい。それに加えて、海底でブルーバックと名付けたウエスタン・ブルーグローパーという大きな魚と戯れるシーンがでてくる。「ブルーバック」と名づけた魚は、個人的には日本で言う大きなクエや香港の海鮮料理屋で見たナポレオンフィッシュのようだった。どのショットも大画面で前方のゆったりとした座席で観ると快感である。


映画のストーリーはどうってことない。美しいシーサイドをリゾート開発業者が生態系の環境破壊したり、業者の一味が獲ってはいけない網で密猟したり、水中銃を使用するのに母ドラ(ラダ・ミッチェル)が抵抗する主人公が15歳の時の想い出を回想する。どちらかというと、道徳的な話だ。美しい海のロケ地を映し出すために強引につくった話で構成されている感じがした。

ロバート・コノリー監督「渇きと偽り」はかなり手の込んだミステリー映画で息をのむシーンも多々あったが、そういう緊張感はなかった。でも、こういう映画もあってもいい。最後まで気分良く観れた。


ミア・ワシコウスカ「ベルイマン島にて」で久々観たが、「イノセントガーデン」「永遠のぼくたち」など一時期はずいぶんと取り上げた好きな女優である。自ら潜水にチャレンジしている。幼なじみの原住民の男性との恋愛も映画のテーマの一つだけど、今回15歳の時の主人公を演じたイルサ・フォグが良かった。オーディションで選ばれたそうだけど、「キッズオールライト」の頃のミア・ワシコウスカを彷彿させる雰囲気で巧みにこなした。格上のエリックバナはまさに友情出演といった感じだった。

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映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

2023-11-20 19:17:32 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」を映画館で観てきました。


映画「モナリザ アンド・ザ・ブラッド・ムーン」は精神病院を脱走した少女がニューオリンズの街を彷徨うブラックコメディだ。「次世代のタランティーノ」との呼び声も高いアナ・リリ・アミリプール監督がメガホンをもつ。クレジットトップはケイトハドソンで名前に聞き覚えあったけど、思い出せない。映画を観終わって「あの頃ペニーレインで」のヒロインとわかりビックリした。一見して誰も気づかないだろう。ボリューム感たっぷりのストリッパー役だ。脱走する女性は韓国人俳優と聞いていた。気づかなかったけど、村上春樹原作の韓国映画「バーニング」のヒロイン、チョン・ジョンソだ。この2人の怪演が見どころである。

アメリカニューオリンズの満月の夜、統合失調症で12年精神病院の個室に隔離されているモナリザ(チョン・ジョンソ)が見廻りに来た女性職員に罵倒されてキレる。突如として超能力を発揮して、女性職員を痛めつけ、鍵を奪って脱走する。

街を彷徨うモナリザは、ダイナーで女性同士のケンカを見つけて、暴れていた一方の女性を持ち前の超能力で自爆させる。精神病院からモナリザが脱走した通報で警察は捜査体制に入っていた。ある警官が見つけて追うが、モナリザの超能力で警官が重傷を負う。一部始終を見ていたストリッパーのボニー(ケイトハドソン)にその超能力を見込まれて家に匿われる


いかにもアメリカらしいBC級映画の肌合いをもつブラックコメディでおもしろい。
催眠術を操るがごとくの超能力を駆使する映画はゴマンとありそうだ。ちょっと古いが「奥様は魔女」サマンサのような仕草で、相手に魔法をかけてあやつる。ただ、精神病院の隔離された病棟にいる患者にこんな能力を与えたことはないだろう。しかも、組むのはシングルマザーのストリッパーだ。悪知恵が働くストリッパーが息子とモナリザの2人を巻き添えにする。


宮沢りえ主演の「月」では重度障がい者施設が舞台になった。障がい者たちが施設職員に虐待されるシーンがある。ここでも、モナリザは病院の女性職員にバカ扱いされている。アメリカの施設も日本と似たようなものだと思っていると、キレたモナリザが軽く超能力をみせる。職員に人智を超えた力が働き、自らの手で刃物を自分の足に突き刺して大騒ぎだ。観ている自分は爽快な気分になる。

ただ、ストリッパーの女とBKのATMに行き、アカの他人にモナリザが魔術をかけて500$おろさせる。加えて、ストリップ小屋にいる男たちに魔術をかけて、操る。チップを出すつもりのない男たちに(人智を超えた力で)財布から金を出させる。そんな悪さにも活用する。これは良くない。いじめっ子にいじめられるストリッパーの息子を助けるのは善行でこれは観てスッキリする。そんな小さいエピソードが続いていく。そうやって、この先モナリザはどうなるんだろうと思わせる。


この映画には、屁理屈を唱える理屈っぽい登場人物はいない。どちらかと言うと、社会の下層部にいるような連中だ。妙にあっけらかんとしたニューオリンズに住む面々の動きは単純だ。実にわかりやすい。辛気臭い映画を観るよりはマシかもしれない。深く考えず、アメリカらしいブラックコメディを楽しみたい。最後はこれからどうなるんだろうと、興味しんしんになる。

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映画「パトリシア・ハイスミスに恋して」

2023-11-06 17:58:28 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「パトリシアハイスミスに恋して」を映画館で観てきました。


映画「パトリシアハイスミスに恋して」アランドロン主演「太陽がいっぱい」ヒッチコックの「見知らぬ乗客」などの名作映画の原作者として名高いパトリシアハイスミスの人生に接近するドキュメンタリーである。レズビアンで惹かれ合う2人を描いた近年のヒット映画「キャロル」の原作は別名義で出版している。

パトリシアハイスミス原作の映画はほぼ観ていて、「見知らぬ乗客」アルフレッドヒッチコックの小技炸裂の映画で最初観たとき終盤の遊園地の場面におったまげた。他にもヴィゴモーテンセン主演「ギリシャに消えた嘘」が好きだ。パトリシアハイスミスが書いた「サスペンス小説の書き方」は謙虚に彼女自身の小説の書き方にふれている。書棚にあってたまに覗き込む。そんなパトリシアハイスミスの人生をもっと知りたいと思っていた。


「キャロル」の映画を地でいくパトリシアハイスミスは男性よりも女性に惹かれる人生を歩んだ。このドキュメンタリーでは、ウマの合わない母親との関わりやルーツをたどる。そして、まだ存命の付き合った女性たちへのインタビューでパトリシアハイスミスの人間像に迫っていく。

パトリシアハイスミスに関心のない人には退屈なドキュメンタリーかもしれない。でも興味深い
映画では「キャロル」「見知らぬ乗客」、マット・デイモン主演の「リプリー」のいくつかのシーンが引用される。われわれの同世代より上の世代にアランドロンの強い印象を残した「太陽がいっぱい」「リプリー」が取り上げられているので省略ということだろう。

映画「キャロル」で、デパートのおもちゃ売り場の売り子だったルーニーマーラが遠目に見た美貌の婦人ケイトブランシェットに一瞬にして目を奪われる。視線に気づいたケイトがルーニーの売場に来て語り合うシーンがある。恋のはじまりである。この印象的なシーンをクローズアップして、パトリシアハイスミスレズビアンの恋に結びつける。


映画によれば、当時のニューヨークにはかなりの数のゲイバーがあったようだ。(レズビアン向けもゲイバーとするのは初めて知った。)そこで数々の女性と知り合う。ただ、当時はまだオフィシャルにできるような話ではなかった。「キャロル」もあえて正体を見せず別名義で書き上げているし、パトリシアハイスミスの小説の大半は男性が主人公である。

パトリシアハイスミスはアメリカにずっといたわけではない。ニューヨークを後にしてロンドンに移り住む。それからフランスの郊外の田舎町に居を構え、最終的にはスイスに家を建てて生涯を終える。それぞれに恋人がいた。


この映画ではパトリシアハイスミスの執筆手法についてはあまり触れていない。若干期待していたので残念である。逆に映画を観たあとで「サスペンス小説の書き方」のこの部分が気になったので引用する。
主人公に視点をおきつつ, 3人称単数で語ることを好んでいるのは、おそらくあらゆる点でその方が簡単であるからだ。かつ男性の視点にしている。。女性の方が人や状況を動かすより動かされやすく、「こうしよう」や「こうする予定だ」と言うよりも「こうできない」と言いがちだと考える癖がある。p125
女性をよく知っているパトリシアハイスミスならではの著述だ。
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映画「バーナデット ママは行方不明」 ケイトブランシェット&リチャードリンクレイター

2023-09-25 18:29:54 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「バーナデット ママは行方不明」を映画館で観てきました。


映画「バーナデット ママは行方不明」はケイトブランシェット主演の最新公開作で2019年に米国で公開されている。最新作と勘違いしてしまった。人付き合いが嫌いな元建築家の主婦が近隣関係ですったもんだした後に南極に1人旅立つ物語だ。リチャード・リンクレイター監督とケイトブランシェットのコンビとなれば観てみたくなる。いずれも相性がいい「ブルージャスミン」でコンビを組んだサリーホーキンスの映画を観た後で思わず選択する。結果はうーん。

マイクロソフトのエリートを夫にもつバーナデット(ケイトブランシェット)は建築界の賞を受賞したこともある元設計士だった。今はシアトルに住んで中学を卒業して上級学校に進学する娘(エマネルソン)のいる専業主婦だ。ただ、人付き合いが嫌いで、近隣関係も最悪だ。しかも、精神状態は不安定である。ゴタゴタが次々と起こる中で思わず南極に1人旅だって行く。


居心地が悪い映画だった。
「TAR」は今年日本公開の作品の中でも、指折りの傑作だと思う。ケイトブランシェットは精神状態が不安定な指揮者を巧みに演じた。その次作だと思って勘違いした。

この映画では、元建築家というプロフィールではあれど、よくある普通の主婦のヒステリックな面を前面にだす映像が続く。近所付き合いや娘の友人の親との付き合いに疲弊するバーナデットの気持ちはよくわかる。力量が飛び抜けた建築設計士が異様な行動を起こすという設定もわかるけど、ずっと続くと女性のヒステリーは疲れる。居心地は最悪。男性陣は奥さんのヒステリーを連想してイヤかも?

こういう精神が破滅状態の女性はケイトブランシェットにはお似合いだ。キャリアから考えても「ブルージャスミン」にせよ「TAR」にせよ普通じゃない女だ。演技はもちろんレベルが高い南極って撮影できるのかしら?と思っていたら、どうやらグリーンランドでの撮影だそうだ。まさに氷の世界で美しい景色である。見渡す限り氷河が続く海でカヤックを操るケイトブランシェットは楽しそうだ。娘役のエマ・ネルソンがなかなか上手で、良い味を出している。


コロナ禍はあったとはいえ、4年も経って日本公開されるのは不自然だ。TARでケイトブランシェットの存在感が高まって集客が見込めるのと、俳優ストライキも絡んでかハリウッド作品の公開が不足していることの両方だろう。リチャードリンクレイター監督作品は、ほとんど観ていてどれも好きな作品だけど、次作に期待だな。


あえて主人公の夫がマイクロソフトに勤務と書いた。セリフで会社名をマイクロソフトと話していて支障のないものだけ字幕にでる。他はマイクロソフトと書かず、「会社」の文字がでる。マイクロソフトの株が上がって財産を築いて今は秘書のいる幹部社員という設定だ。日本だと、こういうのは全部匿名にしているけど、パソコンもGoogleで検索しているし、スポンサーでもないのに普通の会社名がでるのは問題にならないようだ。お国柄の違いか?

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映画「バービー」 マーゴットロビー&ライアンゴズリング

2023-08-12 17:07:24 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「バービー」を映画館で観てきました。


映画「バービー」は長年にわたって親しまれているバービー人形を主体として実写化したコメディ映画である。マーゴットロビーとライアン・ゴズリングの当代きっての人気スターを主演にして色合い鮮やかに展開するのは予告編から気になっていた。監督は「レディバード」や「ストーリーオブマイライフ」で女性映画を撮ってきた女性監督グレタ・ガーウィングである。

小学校低学年の頃出来の悪かった自分は、積極的な女の子の家に引っ張られて人形遊びで遊んでもらった。妹用ということもあったけど、家にも人形がたくさんあった。当時、日本ではリカちゃんとタミーちゃんの両方の人形に人気があった。バービーで遊んだ記憶がないと思ったら、当時バービー人形をあまり日本に積極的に売り込んでいなかったようだ。典型的な8頭身は受けなかったのか。ストーリーはまったく想像できなかったが、好奇心で映画館に向かう。

オーソドックスなバービー(マーゴットロビー)とケン(ライアンゴズリング)を中心として、ドールハウスを中心にしたバービーワールドで楽しく生きてきた2人がちょっとしたきっかけで現実の人間世界を垣間見ようと入り込む。でも、奇異な目で見られてあまり相手にされない。

バービーを製作しているマテル社に行き着いたら歓迎を受けるが、そこは男性中心で成り立っている会社だった。刺激を受けたケンはドールハウスを占拠して男性中心の世界に人形の世界も変貌させてしまう。バービーたちはそれを良しとせずに変えようとする。


色鮮やかなカネのかかった映像を楽しむといった映画だろう。
美術と色彩設計は完璧である。ハリウッドの映画スタッフのレベルの高さを示す。ピンクが基調だけど、色の使い方のセンスは一歩抜けている。ストーリーを楽しむというよりも感覚的にハリウッド映画を2時間楽しむと思えばいいのではなかろうか。みんな仲良くディスコでダンスするシーンはウキウキする。マーゴットロビーは前年の「アムステルダム」「バビロン」に引き続き存在感を示す。現代ハリウッド人気女優の頂点にいると言ってもいいのではないか。


ストーリーとしては、フェミニズムの強い映画である。バービーが実在するマテル社にいってもCEOをはじめとした役員が全員男性だし、現実の世界が男性に牛耳られていることが気に食わない。女性蔑視をやたらに途中から訴えるけど、男性の自分は冷静に見てしまう。内田樹によれば、アメリカ映画は女性嫌悪が強いという。アメリカでの興行成績はとてつもなくいいけど。フェミニズム的要素による人気があるのであろうか?


小学校の頃女の子と人形遊びをした話をしたけど、日本のおもちゃ業界でも昭和40年代前半から中盤が人形遊びがピークだったのではなかろうか?TVのCMの量がすごかった。日本女性の今の年齢で 言えば50代後半から60代か。バービーってみんな知っているけど、日本ではメジャーではなかった気もする。アメリカほどには人気作品にはならない気もする。
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