映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ドライブ・イン・マンハッタン」ショーン・ペン&ダコタ・ジョンソン

2025-02-14 20:52:21 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドライブ・イン・マンハッタン」を映画館で観てきました。


映画「ドライブインマンハッタン」は、タクシー運転手ショーン・ペンと乗客のダコタジョンソンの2人のやりとりが基調の新作だ。閉鎖的な室内劇は苦手な部類で、見て後悔することも多い。監督はクリスティホールだ。

今回はニューヨークケネディ空港からマンハッタンへの車窓の夜景も見られるとあって,しばらくニューヨークに行っていない自分は気になってしまう。ショーンペン「イントゥザワイルド」「プレッジ」などの監督作品を含めて好きな映画が多い。前週はあまり良い公開作品がなかったが,今週は目白押しで楽しみだ。その中でもこの映画を真っ先に観に行ってしまう。ダコタ・ジョンソン自らプロデューサーに名を連ねる作品で、タクシーの座席に浮かび上がるダコタジョンソンが美しい。

夜のニューヨーク、ジョン・F・ケネディ空港から一人の女性(ダコタジョンソン)がタクシーに乗車する。行き先はマンハッタンミッドタウン44丁目で定額料金だ。ちょっとしたきっかけで運転手(ショーンペン)と女性が会話を交わすようになる。

CPUの仕事をしている女性客は故郷のオクラホマに2週間ほど帰郷して帰ってきたところだ。恋人の男性から会いたいとチャットがひっきりなしに届く。どうしようかと迷っているうちに、運転手は恋人が既婚者であることを見抜く。運転手自らは2度の結婚を経験、どんな女性だったかと話をしている。会話が進んでいく中でクルマは事故渋滞に巻き込まれて止まってしまう。徐々に2人はお互いの過去の秘密を次々と暴露していく。


予想以上によかった。絶妙な会話劇である。
初老の域を過ぎつつある自分には実感として感じる部分が多くてつい腑に落ちる

今のニューヨークの中心部には高くて住めない。女性は大卒でCPU系の仕事をしている美貌のインテリだ。年齢をはっきり言わないが30前半だということがわかる。運転手はインテリ女が不倫をするケースをこれまでも見てきて、彼氏が既婚者と読む。彼氏の年齢層も含めて当たりである。運転手は2度結婚しているが、最初の妻はクルマの中でゲロ吐いたらしい。巨乳で愛らしい(sweet)だが頭の中は空っぽだと。


女性の携帯には彼氏から会ってすぐにもメイクラブしたいチャットがきている。運転手は慣れてきて卑猥一歩手前の会話にもなってくる。やがて不倫している既婚者の家族に子どもが3人いるなど話はどんどん突っ込んでいく。女性は心に傷を抱えている。二度と会うことがないと思うのか、女性の本音を運転手がカウンセラーのように聞き、的確な回答をしていく感じがいい。

アメリカの大学の学費は高く、日本のようにはいかない。大卒者の女性と一般男性の組合せによる会話の化学反応も見どころのひとつだ。少し古いけど、ジョントラボルタの「サタデーナイトフィーバー」にそんな対比があった。女性の彼氏との卑猥なチャットや会話があっても、それは本筋ではなくものすごくハートフルな会話が続く。

映画を観ていてまったく飽きることがない会話劇だ。しかも、それぞれのセリフに味がある。自分が生きてきたこれまでの人生に共通するような場面がいくつかあってアナロジーを感じる。

やがて高層ビルのネオンが見える夜のマンハッタンにイエローキャブは進んでいく。その場面を観て初めてニューヨークに降り立った時にマンハッタンの高層ビル群を見て感じた感動が蘇った。マンハッタンの街に入っても2人の会話が続いていた。そこで女性は驚くような告白をする。身の回りの誰にも話をしていない話だ。それは映画の重要事項で、ネタバレだから言えない。思わず息を呑む


運転手ショーンペンは、「日本に行きたい」と言う。理由は自動販売機で使ったパンティが売っているからだと言う。最近では見かけなくなった大人のオモチャ屋のそばなのかな?自分は実感なく思わず吹き出す。タクシー運賃はみんな現金払いだったけど、最近はカード払いが多くてチップが少なくなったと運転手は残念がる。

そんな運転手との会話で女性は気が紛れたんだろう。カード精算時にチップ欄に$500と打ち込む。おいおい75000円かよ。気前がいいなあと思いながら、映画を観て、後味がよくなるいちばんいい話だった。
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映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」ペドロ・アルモドバル&ティルダ・スウィントン&ジュリアン・ムーア

2025-02-02 17:15:29 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ザ ルーム ネクストドア」を映画館で観てきました。


映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」は毎回欠かさず観ているスペインの鬼才ペドロアルモドバル監督の新作である。2024年ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。待ちに待った新作で英語圏では短編映画「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ」はあっても長編は初めて。初日に映画館に向かう。ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアの2人の大物女優を起用して、末期がんで死に向き合う女性と付き添う女性を中心に映し出す。ペドロアルモドバルらしい奇抜な発想を期待する。

作家のイングリッド(ジュリアン・ムーア)は、友人からかつての親友でNYタイムズの戦場記者だったマーサ(ティルダ・スウィントン)がガンであることを知らされる。早速彼女のもとへ駆けつけ、長く会っていない時間を埋めるように病室で語らう。


自らの意志で安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、「その日」が来る時に隣の部屋にいてほしいとイングリッドに頼む。マーサにはベトナム戦争退役後に幻覚に囚われた若き日の恋人との間に生まれた娘ミシェルがいた。結婚せずにシングルマザーとなって育てたが、娘への愛情がなく距離を置いて暮らしている。


当初はためらったがマーサの最期に寄り添うことを決めたイングリッドは、マーサが借りた森の中にある小さな家の隣室に移り住む。そして、マーサは「ドアを開けて寝るけれどもしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない」と告げて最期の時を迎える彼女と暮らす。

ペドロアルモドバル作品らしく赤や緑の原色を基調にした色彩設計は完璧である。死に向かうという陰湿さと悲壮感が抑えられている。
不安を増長するアルベルト・イグレシアスの音楽も映像にマッチしてすばらしい!


インタビュー記事(ユリイカ2月号)によると、これまでペドロアルモドバルにはアメリカから企画が何度も持ち込まれたようだ。当然だろう。ペトロアルモドバルは「英語で映画を作るのに適した題材を見つける」ことを待ち望んでいた。今回原作となるシーグリッドヌーネスの小説を気に入り、それならとアメリカで撮影することとなる。

死と向かいあう主人公にはティルダスウィントンを指名して快諾を得られる。それと同時にティルダスウィントンに相手役の指名を依頼して、ジュリアンムーアが共演することになった。この2人の大女優がペドロアルモドバルの期待に応えている。そして高いレベルの作品になった。

色彩設計の美しさには定評のあるペドロアルモドバル作品でも、今回はこれまで以上に赤の使い方が上手い。移動する車が赤いトラックだったり、室内のインテリアでも赤のドアが使われる。補色となる緑などの色を対比させて衣装、調度品、美術に最高峰のレベルで臨む。ティルダスウィントンによれば、お互いの衣装に触発されるし、テンションもあがる。色合いは演技にもいい影響を与えているようだ。


ビビったのはティルダスウィントンが死を覚悟して服を着替える時、イエローのセーターを着て真っ赤な口紅を塗った時の色合いの美しさ。表情はクールだ。歳を重ねても自分もこんな原色で派手な感じに身を包み死に向かいたい欲望が出てきた。

女性色の強い映画でもワンポイントで男性を登場させる。
ゲイをカミングアウトするペドロアルモドバル作品では必ずホモセクシャルの話がでてくる。ここではイラク戦争にマーサがNYタイムズの戦場記者としていくシーンで、一緒に同行する記者と現地人男性との関わりがでてくる。

死後の処理で要らぬ疑いが起きないようにイングリッド(ジュリアンムーア)が旧知の男性に会う。ジョンタトゥーロが演じる。自殺幇助に関わったと警察から疑われるのを予測してイングリッドが周到に手を打つ。死を見守る受け身の立場だったイングリッドが見せた積極性である。そしてその後クライマックスに向かう。


若干ネタバレだが
ラストに向けてはマーサの娘ミシェルが満を持して登場する。髪は長く、メイクは華やかで女性的だ。アレ?ティルダスウィントンの娘って女優だったのか?とふと思うくらい似ている。振る舞いは母親同様クールで落ち着いている。これって1人二役だったの?と映画の終わりかけに気づく。結果そうだった。似たような人物を映画に放って観客を惑わすペドロアルモドバル流だと気づき感嘆する。
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映画「ノーヴィス」イザベルファーマン

2024-11-03 07:33:06 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ノーヴィス」を映画館で観てきました。


映画「ノーヴィス」大学のボート部に所属する女子学生を描いたアメリカ映画、「セッション」などで音響を担当した女性のローレン・ハダウェイ監督が脚本・編集も手がける。「ノーヴィス」とはスポーツ分野において一定のランクに達していない初心者のことだ。直近は観たい映画がなく、短期間映画をご無沙汰してしまったが、何となく気になる作品である。

映画を観てしばらくして、「アレ?もしかして?似ているなあ?」と思っていたら、見終わった後その通りだとわかる。主人公アレックスを演じるのがあのホラーサスペンス「エスター」の子役イゼベルファーマンだと気がついたのだ。ある意味自分自身にとって最も印象深いホラーの主人公で何かの縁を感じる。

大学に入学したばかりのアレックス・ダル(イザベル・ファーマン)はボート部に入部を決める。物理を専攻するアレックスは学業にも力を入れるだけでなく、1年生としてコーチの指導を受けながら練習にも励んでいた。同期にはスポーツ万能のジェイミーもいたが、1人で黙々と早朝から練習して少しづつ認められていた。上級生の一軍チームとの対決にもアレックスを含む2軍チームが勝つ。そんな時、レギュラー争いでジェイミーと争う中でイザコザが起きてから、アレックスの精神は安定しない状態となっていく。


文武両道を目指す女子学生の奮闘と精神の乱れを描いた見応えのある作品だ。
映画の登場人物とはいえ、こんなにストイックに学業にもスポーツにも真剣な女子学生って今の日本にいるのだろうか?高校生の時は学年の成績上位を争い、結局学年2番だったが、大学は特待扱いで学費タダで通う奨学生だ。ボート部でのレギュラーを目指して過酷なトレーニングで自分を追い込む。専攻する物理の小テストも完璧を目指すため何度も見直して時間をかける。高校時代から努力の鬼だった。たえずメモをとり常に改善の意識を持つ。

日本映画でも上昇志向の強い女性はいても、観たことがないタイプだ。マジメに一心不乱に努力するタイプの女性は魅力的で個人的には好感をもつ。

⒈悪夢
この「ノーヴィス」を観ながら連想する言葉は悪夢だ。映画「ブラックスワン」ナタリーポートマン演じる主人公がバレエのライバルに負けないように奮闘しながら、悪夢のように徐々に精神が破壊する姿に共通するものを感じた。ナタリーポートマンにもミラクニスというライバルの存在があった。ここでも主人公にジェイミーという同期のライバルがいる。

ローレン・ハダウェイ監督ボート競技(ローイング)の経験があるようだ。コーチからの指導で「脚、体、腕」というタイミングでボート漕ぎのトレーニングをするのも自身の経験から出た言葉だろう。同じようにストイックに練習したのかもしれない。ローレン・ハダウェイ監督自らの練習でのつらい体験がこの映画につながった印象を受ける。


⒉主人公に追随するカメラと音楽
「ノーヴィス」で注目するのはカメラワークと音楽だ。いきなり空から捉えたボートの映像が映る。ボートの水上シーンを躍動感をもって捉えて、アップで登場人物の圧倒的な情熱と苦痛の表情を映す。映像に濃淡をつけつつ、現実と虚構らしきものを混ぜている編集も悪くない。できるかぎり大画面の映画館で観たい映画だ。観る映画館を変えたのは正解だった。

ドラマーの成長物語「セッション」の音響デザインを担当したローレン・ハダウェイ監督は割と多めに演技者のバックに音楽を流す。不安を呼び起こす弦楽器の音楽だけでなく60年代のブレンダリーやコニーフランシスの曲を織り交ぜるところにセンスを感じる。でも、音楽の量に賛否はあるかもしれない。

⒊エスターの子役
今回事前にあの「エスター」イザベル・ファーマンが演じていることはまったく知らなかった。自分のブログを読んでくれた女性から「エスター」を勧められて観たら、イヤイヤ凄い恐怖の波状攻撃であっと驚いた。色んな人に勧めて驚いてもらってからもう13年経つ。当初の「エスター」は映画ファンには有名作品のはずなのに、その主役であることを強調しないというのが自分には不思議でならない。


精神が徐々に不安定になっていくシーンは見ものだ。自傷行為には思わず目を背けてしまう。衝撃のラストも印象的だ。今回は大人の世界を垣間見るためにパーティで男といい仲になっての濡れ場女性の恋人とのレズビアンシーンも用意されている。あのエスターも大人になったんだね。ただ、ボート競技が主題のこの映画の主役は楽ではないはず。撮影前の6週間、毎朝4時半に起床し、1日6時間の水上トレーニングを実施したという作品情報を見ると相当な鍛錬を重ねたようだ。イザベル・ファーマンの成長を感じてうれしい。


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映画「憐れみの3章」 エマストーン

2024-09-28 19:07:55 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「憐れみの3章」を映画館で観てきました。


映画「憐れみの3章」はアカデミー賞作品「哀れなるものたち」ヨルゴス・ランティモス監督の最新作である。「哀れなるものたち」同様にエマ・ストーンが出演し、ウィレム・デフォー、ジェシー・プレモンスとともに異なる3つの物語を演じる。ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督は毎回奇怪な発想の新作を発表している。これも異様な世界だ。

それぞれの要旨は次のようになっている。

第1話
日々の行動から食事、妻との性生活まで社長(ウィレム・デフォー)の指示にひたすら服従する男性(ジェシー・プレモンス)がありえない無理難題を突きつけられる話



第2話
海で遭難した海洋学者の妻(エマ・ストーン)が奇跡的に帰還したのに警官の夫(ジェシー・プレモンス)が妻に対して尋常じゃない要求をする話



第3話
カルト教団に取り憑かれて死んだ人物を生き返らせる特別な霊能者を探す女性(エマ・ストーン)の話



常人では理解しづらいわかりづらい話だ。
映画を観ながら、訳がわからないなあと感じていた。ヨルゴス・ランティモス監督は常人と違う発想をもっているようだ。自分はついて行けない。正直感想アップするか迷った。備忘録としておく。前回の「哀れなるものたち」は人造人間の話だけど、理解不能という流れでなかった。今回は困ったなあと思いながら席は立たず最後まで観る。本を読んでいるのであれば途中でやめてしまうような気分だ。映画宣伝に何度も観たくなると書いてあるが、もうコリゴリ

第1話より第2話の方がわかりやすい。海で遭難した妻がせっかく生きて戻ってきたのに夫は違う別人だと言い張る。「哀れなるものたち」もきわどいファックシーンが多かったが、第2話も変わらない。エマストーンも前回同様裸体を見せる。眉毛のメイクも前回同様だ。撮影時期が変わらなかったのだろうか?エマストーンは前作から妙に変貌してしまい、少し前のイメージが消え失せ色きちがいのようだ。

マットデイモンにそっくりのジェシー・プレモンス演じる警官も変に見えてくる。食欲がない。食事を出されても食べない。そんな時に妻に親指を詰めて炒めてくれと要求する。このあたりのシーンが強烈だ。


第3話もよくわからない。オ◯ム真理教ばりに超能力に狂う。死人を蘇生する霊能者を探し出す
ということで訳のわからない世界に入る。困ったものだ。
ただ、美貌の女性たちが次から次へと脱いでいくのはサービス精神旺盛かもしれない。でも意味不明?
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映画「#スージー・サーチ」

2024-08-13 20:14:39 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「#スージーサーチ」を映画館で観てきました。


映画「#スージー・サーチ」ポッドキャストの配信をしているアメリカの女子大学生が主人公。未解決事件の推理が好きな女の子カーシークレモンズが演じる。ポップなアメリカンイメージの背景で現代っぽい展開を予告編で感じて選択する。自分はポッドキャストには縁がない方だ。ネットを駆使して謎解きをするイメージを持って観たが予想と違う展開に驚く

孤独な大学生のスージー(カーシークレモンズ)はポッドキャストで未解決事件の配信を続けるものの、中々フォロワーの増えない日々を送っていた。そんなある日、保安官事務所でのインターン中に、インフルエンサーとして絶大な人気を誇る同級生のジェシーが、行方不明になっていることを知る。

ジェシー失踪後1週間経ったころ、独自の調査でスージーは、ポッドキャストの配信中にジェシーを発見する。番組は大きな反響を呼び、一躍脚光を浴びる存在になる。一体スージーはどうやって居場所を見つけたのか?!バズるごとに熱気を帯びる期待と注目。そして誰もが羨む名声を手に入れたスージー。未だ捕まらぬ犯人を追い配信を続ける中、事態は思わぬ方向に転がっていく(作品情報引用)


結果的に自分にはあわない展開だった。
現代ポップ調の映像は悪くない。その映像に合わせて流れる音楽もピッタリあっている。ムードはいい感じだ。スージーは幼児の頃から母親からミステリーの読み聞かせを受けて育っている。ストーリーを少し読んだだけで犯人を当ててしまう能力を持っている。それがスージーにとっての取り柄だ。世間の未解決事件には関心を持っていて、ポッドキャストで次々と自分の推理を発信する。でもイイネがもらえない。ネット上で自己承認がされないストレスを持つ。


そのストレスのせいでよからぬことを考えるのだ。同居する母親は要介護で金がかかる。バイトをいくつもやっているが、それでは足りない。ポッドキャストによる反響でカネを稼ごうと考える。結局は単なる自己顕示欲の強い女子学生の物語に過ぎない。映画の宣伝部門は主人公の無謀な企みをうまく隠したものだ。

ただ、それだけではすまない。危ない世界に陥っていくのだ。もっとやりようがあるのにと思っても、フィクションの世界だ。ツッコミどころ満載の映画だ。なんでそうなるの?と思うことばかり。映画を観ていて、パトリシアハイスミス原作アランドロン「太陽がいっぱい」を連想してしまった。きっと何かバチを受けるだろうと思いつつ最終場面を迎える。たまにはハズレもあるだろう。
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映画「時々私は考える」 デイジーリドリー

2024-08-06 19:10:09 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「時々私は考える」を映画館で観てきました。


映画「時々私は考える」はアメリカの小さな港町が舞台のドラマ映画。人気若手スターのデイジーリドリーが主演。女性監督のレイチェル・ランバートがメガホンを持つ。他にはのれそうもない題材の映画が多く、その中からピックアップする。人付き合いも少ない孤独な女の子という設定に惹かれる。

人付き合いが苦手で不器用なフラン(デイジーリドリー)は、会社と自宅を往復するだけの静かで平凡な日々を送っている。友達も恋人もおらず、唯一の楽しみといえば空想にふけること。それもちょっと変わった幻想的な“死”の空想。そんな彼女の生活は、フレンドリーな新しい同僚ロバートとのささやかな交流をきっかけに、ゆっくりときらめき始める。デートを重ねる二人だが。。。(作品情報 引用)


居心地のいい映画だった。
やさしい感触をもつ。魅力的な主人公だ。
ロケーションがいい。海と橋が印象的な坂のある函館を連想する港町という印象を持った。実は海でなくコロンビア川でオレゴン州アストリアだそうだ。街の名前はでない。人口1万人だから確かに小さい。女性社長の小さな会社で働く。得意なのは表計算ソフト、変わらない毎日だ。

退職した女性の後に1人の男性が入社してくる。シアトルから来たようだ。事務用品の購入で質問してきたのをきっかけに付き合いが生まれる。映画に誘われてついていく。でも付き合いは得意ではない。徐々に接近していくがつい余計なことを言ってしまう。


こういう無器用な生き方をする女性が好きだ。恋愛経験はない。フランス映画の「アメリ」のようにいつも夢想している。そんな1人の内気な女の子に焦点を合わせる。女性向きの映画かもしれないが、男性の自分も親しみを覚える。徐々にそれまでの日常から変化が生まれる姿をやさしいまなざしで追う。後味は悪くない。
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映画「ツイスターズ」デイジー・エドガー=ジョーンズ&グレンパウエル

2024-08-01 20:50:45 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ツイスターズ」を映画館で観てきました。


映画「ツイスターズ」はオクラホマ州の巨大竜巻を題材にしたアメリカ映画。最近、暑い夏も夕方になると天候が急変して強烈な夕立の豪雨に見舞われる日が多い。そんな天候が続く中、面白そうな題材の映画が公開される。全米興業ランキング1位でスタートした「ツイスターズ」を観てみたくなる。エリアにより頻繁に発生するアメリカと違い竜巻が日本で発生することは少ない。でも時折発生した時に家屋破壊するのを見ると怖い感じがする。でも日本で発生する竜巻よりはかなり巨大だ。

気象学を学ぶケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は学生時代、竜巻を化学反応で鎮静するプロジェクトに仲間と取り組んでいた。ところが、試験中に巨大竜巻にのまれて友人たちは亡くなってしまう。その5年後、オクラホマでは巨大竜巻が次々と発生していた。ニューヨークで気象予測に取り組んでいたケイトのもとにプロジェクト・チームの生存者ハビ(アンソニーラモス)が突然現れて、竜巻破壊に一緒に取り組んでくれと言われ1週間の約束で故郷のオクラホマへ帰省する。


現地では竜巻チェイサー兼人気YouTuberのタイラー(グレンパウエル)のチームと出会う。竜巻へのトラウマのあるケイトやハビ率いる慎重なチーム員と異なり、タイラーのチームは果敢に竜巻に飛び込み動画もアップしている。もともと両チームは対抗意識を持っていたが、竜巻が発生する雲の動きを読み取るケイトに魅かれてタイラーも近づいていく。大学時代には気象学を専攻し精通している。相変わらず、オクラホマには巨大竜巻が襲撃して街が大きな被害を受ける中で、もともと取り組んでいた竜巻破壊計画に着手しようとする。


これはおもしろい!既視感のない映画だ。
地平線まで続く大平原があるアメリカの国土には巨大な竜巻が発生する。日本では滅多に見ない。そもそも北海道以外の日本にはそんな大平原がない。パニック映画の要素は持っていても、どこか違う。台風や地震は対抗のしようがない。それよりも恐怖感がある竜巻のど真ん中に飛び込んだり、鎮静しようなんて発想があるのは初めて知って驚く。子供連れで行っても十分楽しめるのではないか。むずかしい英語ではないので字幕版でもなじめる。

アメリカ映画らしいスケール感で最初から最後まで飽きない。映画を観ていて、日本とアメリカは違うなあと感じる。重篤な自然災害が起きているど真ん中に飛び込もうとしたら、日本だったら周囲が絶対止める。フィクションであってもこんな話はできそうもない。主人公のケイトや仲間たちがヘラヘラした顔をして、竜巻を鎮静させようとする学生時代のシーンを見てこんなことあるのかと思っていた。いきなり、仲間が竜巻に飛ばされるのでホラ見たことかと思ったくらいだ。


すると、竜巻が発生するのを待っているタイラーのチームが登場して竜巻のど真ん中に平気な顔をして飛び込み、特別装備したクルマをドリルで固定させて止めて花火を放つシーンに驚く。実際にこんなことやる連中がいるのだろうか。竜巻を見ようと色んなところから観光でオクラホマ州に来る人も多いようだ。それにしても、一旦巨大竜巻が押し寄せたら被害は大きいだろう。すごいところによく住むなと感じてしまう。


監督は「ミナリ」リー・アイザック・チョンだ。特撮技術も多用していかにもアメリカ映画らしい娯楽作品に仕立てている。主演のデイジー・エドガー=ジョーンズはベストセラー小説の映画化作品「ザリガニの鳴くところ」でもヒロインで自分の好きなサスペンス映画だった。グレンパウエル「トップガン」で重要な役だし、ラブコメ「恋するプリテンダー」でも主演を張る。2人は今後日本でもメジャーになるだろう。俳優ストライキもあってか、アニメやキャラクターもの以外のスケール感あるアメリカ映画が少なくなったのでこういう作品はうれしい。
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映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」 ジュリアンムーア&ナタリーポートマン

2024-07-14 17:40:39 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「メイディセンバー」を映画館で観てきました。


映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」ジュリアン・ムーアとナタリー・ポートマンのメジャー女優の共演で、監督は「キャロル」トッド・ヘインズだ。ジュリアンムーアはトッドヘインズと「エデンより彼方へ」で組んでいる。アメリカ映画には珍しく紅葉が美しく色彩設計にすぐれた映画だった。

36歳の女性が13歳の少年との戯れで懐妊する。そのために懲役刑を受け服役後結婚する2人の話が映画化される。主演女優が実在のカップルの元へ取材に訪れる話だ。教師と教え子の情事は実話であり、「メイ・ディセンバー事件」と呼ばれた。以前観たケイト・ブランシェット主演「あるスキャンダルの覚え書き」を思い出す。どうやら事件をモデルに映画化されたようだ。

人気女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)が、次回作で演じる実在の人物グレイシー(ジュリアン・ムーア)とその夫ジョー(チャールズメルトン)に取材をするため2人の家を訪れる。グレイシーは36歳のときに、13歳の韓国系少年ジョーとの情事で懐妊して子供を獄中出産した。出獄後、2人は結婚し、平穏な家庭を営んでいる。23年後映画化が決定されて、主演のエリザベスは何かを探るように当事者2人とその家族と生活を共にする。


観た感触は普通の映画。
でもセリフのいくつかが後で尾を引く映画だ。


アメリカの地方都市にいる普通の家庭の様相だ。当然、アメリカ映画らしく周囲の風景は美しく室内のインテリアはすばらしい。映像のトーンは暗めで光の加減を落としたまま進んでいく。でも、いったいこの家族は何でこんなすごい家に住んでいるの?どうやって生計を立てているの?と思ってしまうほど素敵な家だ。そこには事件の当事者2人やその子どもだけでなく、前夫との間に生まれた息子もいる。

若かりし日の想い出を再現フィルムで追うことはしない。事件の当事者を演じる人気女優(ナタリーポートマン)が23年後の家庭に接して、少しづつ当事者の思いに迫ろうとする。ガツガツ取材するわけではない。演じる本人との対話だけでなく、周囲と語り合う中でいくつかのことがわかる。映画の中で、強烈な事件が起きるわけでない。


それだけに、当事者2人、前夫との間に生まれた息子、そして演じる女優それぞれの何気なく発した言葉が伏線で、映画が終わるまでに別のセリフや行為で回収する。映画を観ている時には気づきにくいが、観終わってしばらくして自分の脳裏に色んなセリフが浮かび上がっていく。ナタリーポートマンが現地の学生との懇談会で「SEXシーン」についてどうか?と質問を受ける。公私の境界線があやふやになることがあると答える。これはのちのある行為への伏線となる。

個人的には「キャロル」に流れるアメリカ映画らしいムードが好きだ。ケイトブランシェットとルーニーマーラの同性愛が基調でも衣装、美術すべてにおいて洗練された美的感覚に魅せられる。残念ながら、ムードの良さは感じても「キャロル」までのレベルには感じられなかった。ケイトとルーニーの関係をジュリアンムーアとナタリーポートマンの関係に対比してしまう。当然2人の演技レベルは高い。映画ポスターにある鏡の前で2人並ぶシーンはドキッとする。でも、一部の評論家が言う傑作とまでは思わない。


この事件を題材にした「あるスキャンダルの覚え書き」は女教師のケイトブランシェットが少年と交わる設定だ。この映画はジュディデンチとケイトとの関係もあってなかなか奥の深い映画だった。あの傑作と比べるともう一歩かな。トッドヘインズ監督が意識的にしたのかどうか、クレイシーの息子のオンチな歌が2曲も流れるだけでなく、音楽がうるさすぎる印象をもつ。グレイシーの息子は曲者、ナタリーポートマンは息子のお願いを巧みに交わす。いかにもいい女の振る舞いだ。
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映画「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」 ユアン&クララ・マクレガー

2024-07-12 08:15:55 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ブリーディング・ラブ」を映画館で観てきました。


映画「ブリーディングラブ」ユアンマクレガーの実の娘クララ・マクレガーが企画した脚本を父娘共演のロードムービーにした作品である。監督はオランダ人女性のエマ・ウェステンバーグだ。有害薬物とアルコールの依存症になった娘が母親との離婚で別で暮らす実父とトラックでアメリカの荒野を走っていく。もともとロードムービーが好きで、父娘の交情というテーマは娘がいる自分にはなじみやすい。

実生活でも父母の離婚を経験しているクララの企画で、かわいい娘のプロジェクトにはアメリカのメジャー俳優であるユアンマクレガーも喜んで参加したのであろう。ユアンの親バカになる気持ちはよくわかる。あえてエンディングロールのクレジットトップを娘に譲る

しばらく疎遠だった父(ユアンマクレガー)の車に娘(クララマクレガー)が同乗してサンディエゴから広い荒野の一本道をニューメキシコへ1400キロ走って向かう。走っていく道の周囲には見渡す限り何もない。途中で寄る小さな町でのできごとを語っていく。娘は酒の小瓶に目がない。レストランで別の客の酒に手を出して店員に注意される。途中、アルコール中毒者の禁酒会に立ち寄るあたりで、若くしてアル中になってしまったことを観客にわからせる。娘をリハビリ療養施設に連れていくことが父の目的だと、偶然娘がわかった途端に姿を消す。


普通のロードムービーに複雑な家庭事情を結びつける。
ユアンマクレガー主演でなかったら日本で劇場公開もされなかったであろう。アメリカでは配信のみだったらしい。疎遠だった父娘が2人で旅立つ目的が明示されるわけではない。手持ちカメラで2人を追うが、よくわからないままに前半は比較的退屈だった。途中から逸話を重ねつつ、娘が小さい時の父娘の映像を織り交ぜる。そして、尻上がりに離れた2人の交情に焦点を持ってくる。


ジョンウェインが活躍する西部劇の舞台を思わせる荒野をひたすら走る。公衆用トイレもあるわけがない。トイレが近い娘は草むらでオシッコをする。そこで何かに刺されてしまって性器に違和感を感じる。薬局に行こうとして小さな町に寄っても、早い時間に店じまいしてどこもやっていない。そんな時、父が通りで娼婦に誘われる。そんな気はまったくないが、彼女に娘のアソコを見てくれといい見てもらうシーンが笑える。この辺りから、徐々に展開のリズムがよくなっていく

一緒に暮らした子どもの頃は父娘仲良くても、その家庭を捨てて父は出て行った。本来疎遠である2人がこうして一緒に行くわけがない。きっと娘の素行があまりにも悪いのであろう。本来は頼りにできない元夫に預けざるを得ない状況と察するしかない。あり得ない話ではない。ニューメキシコにある回復のための療養施設にむかっているとは娘はわからずにいる。でも父の真意があるきっかけでわかる。ここで泊まっているモーテルを飛び出す娘、不在であわてる父親。微妙な2人をカメラが追う。娘の彷徨いを思わず心配してしまう。


ラストに向けてはいい感じにまとめた。
ちょうど自分の家でも娘が旅立つ。映画を観て何か感じるものはあった。
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Netflix映画「ファミリーアフェア」 ニコール・キッドマン&ザック・エフロン

2024-07-10 08:01:45 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
Netflix映画「ファミリーアフェア」はアメリカ映画


Netflix映画「ファミリーアフェア」ザックエフロンとニコールキッドマンのビッグネームが揃うラブコメディだ。超豪華出演者で思わず観てしまう。若手のジョーイキングがザックエフロン演じるハリウッドスターのマネジャー役でニコールキッドマンの娘を演じる。ニコールキッドマンの義母役にはキャシー・ベイツで、オスカー主演女優賞の揃い踏みとはNetflixの資金力を感じさせる。「ファミリーアフェア」というとスライ&ファミリーストーンの同名全米No.1ヒット曲を連想するがまったく流れない。

ザラ(ジョーイキング)は人気ハリウッド俳優クリス(ザックエフロン)のアシスタント。クリスは女を取っ替え引っ替えでザラは後始末をさせられている。その割には自分が軽い扱いを受けていることでクリスとケンカ別れをしてしまう。その後、反省したクリスがザラの家に謝りに行くと、美人の母親ブルック(ニコールキッドマン)がいて話し込む。母親は夫と死別していた。意気投合した2人はそのままベッドにいく。その頃、帰宅したザラが母親の寝室で行為に進む2人を見て卒倒する。


暇つぶし向けの人気スターによるラブコメディ
ストーリーは単純で、大きなサプライズもない。設定は強引だが、最終的にはこんな感じなんだろうなあという方向に進む。アメリカのラブコメディだけに美術やヴィジュアル系はまさに完璧スターのパフォーマンスを軽い気持ちで楽しむ作品だ。

ザックエフロンとニコールキッドマン共演では「ペーパーボーイ 真夏の引力」という映画があったことを思い出す。ニコールキッドマンは刑務所内の囚人を好きになるエロい女だった。そんなアバズレ系の女を演じるのは上手い。今回はそういう匂いは消して、魅力的な女性になりきる。

50代半ばになっても美貌は衰えないので、男女の性的交わりのシーンがあっても不自然ではない。11年前の「ペーパーボーイ」の頃とそんなに風貌は変わっていない。ところで、自分も歳をとって、整形している顔に共通性があるのがわかってきた。先日銀座の高級クラブに行った時、ニコールキッドマンと同世代の美人ママの顔の目尻に整形の匂いを感じた。日米人種が違っても整形すると同じように見えるんだなとこの映画を見て感じる。

ちょうど映画「アイアンクロー」でプロレスラーを演じたばかりのザックエフロンは筋肉もりもりのムキムキ男に変身している。男性ホルモンでも注入されたがごとく、顔つきも濃くなり剛健な感じだ。まだ若かった11年前の雰囲気とはずいぶんと違う。ここでは女にだらしないハリウッドスターになりきる。



いかにもアメリカンラブコメディの登場人物がお似合いのジョーイキングは、キャンキャンとうるさい女の子。長身のニコールキッドマンからこんな華奢な女の子が産まれるのかというツッコミもあるが良いだろう。クリスの撮影にも同行して、スクリプターのようにカメラの前に陣取る。外国の監督からのクリスへの演技指導を同時通訳のように翻訳するのに、まったく違う訳を伝えるのには笑える。母親と自分の上司の恋をなんとか阻止しようとドタバタする役柄だ。


ジョーイキング演じるザラの祖母がキャシーベイツだ。アカデミー賞主演女優賞受賞のスティーブンキング原作「ミザリー」で恐怖のストーカーを演じた時のような怖さはない。直近ではクリントイーストウッド監督「リチャードジュエル」で誤った疑惑を受けた主人公の母親役での毅然とした演技が脳裏に残る。うまいと思った。もともと老け顔なのかそんなに歳をとった感じがしない。ニコールキッドマンとの触れ合いはいい感じだ。
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映画「ドライブアウェイドールズ」 イーサン・コーエン

2024-06-11 05:36:19 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドライブアウェイドールズ」を映画館で観てきました。


映画「ドライブアウェイドールズ」コーエン兄弟の弟イーサン・コーエン監督脚本の新作である。コーエン兄弟の新作なら内容は確認せずに観に行くはずだった。どうやら女性2人のロードムービーだというのはわかる。コロナ禍もあったけど、コーエン兄弟はずいぶんと久しぶりである。この沈黙は何だったのだろう。それにしても、世間の評判はあまり良くはない。eiga comは3点未満だし、日経映画評も2点と最悪だ。逆に女性でもいい評価をする人もいて、評価が割れた時は観ろという個人的な直感で映画館に向かう。


1999年のフィラデルフィアが舞台だ。いきなり殺しの場面が登場して何だと思う。いつも通りのブラックコメディかと思った瞬間にレズビアンっぽい女性の戯れが映る。じっと観ていてもよくわからない。ただ、結局2人の女性ジェイミー(マーガレット・クアリー)とマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)がクルマの配送(ドライブアウェイ)でフロリダ州タラハシまでドライブに出発する。ところが、2人が出発した後で、最初の殺人に絡んだギャングが配車所に現れる。荷物が入っているクルマに女性2人が乗ったのがわかり大慌てで追いかける。

ドライブを始めた2人は行き先をかえながら進む。その途中でクルマがパンク。タイヤを交換しようとした時にトランク内の荷物を見つける。スーツケースの中には人間の生首が入っていて2人は驚く。追うギャングたちは2人の行方を探りながら徐々に近づいていく。


観る人を選ぶ映画だ。
ここでは題材がレズビアンで、大人のおもちゃの男根が頻繁にでてくる。女性どうしの会話でも卑猥な言葉が次々とでてくる。女性どうしが愛し合ったり、オナニーシーンも多い。巨根の大人のおもちゃも出ずっぱりだ。アメリカでどう受けるのか知りたいが、一部を除いて日本女性には受けないだろう。長年にわたって、ブラックコメディの作品をつくってきたのがコーエン兄弟だ。ハラを抱えて笑える作品も多い。過去の暗めのレズビアン映画と違うスタイルでつくったそうだ。

ドライブする2人の1人は性的におおらかで、もう1人のインド系美形は関係を嫌がる。でも、徐々に接近していく。ドライブしていく行き先ごとにレズビアンが集まるバーなどの場所に行く。レズビアンのサッカーチームなんて集団まで出会う。ジェイミーの同性愛の元恋人に1人太めの女性がいて、何と警官だ。演じるビーニー・フェルドスタインは大きな男根に執着してとても警官とは思えない。でもいい味を出しているコメディアンっぽさがある。


コーエン兄弟の新作というだけで観ようとしても、消化不良気味だ。それにしても、ラストに向けては超大物マット・デイモンの登場とはね。ここにも男根がからむ。こういう系のコメディはむずかしいなあ。アメリカ独特の仕組みもあって解説を読まないとあらすじもよくわからない。良かったのはハイセンスなポップスの組み合わせの音楽だ。
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映画「チャレンジャーズ」 ゼンデイヤ

2024-06-08 16:51:35 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「チャレンジャーズ」を映画館で見てきました。


映画「チャレンジャーズ」はメジャー大作のヒロインとしての出演が続くゼンデイヤ主演のテニスを題材にしたアメリカ映画だ。「君の名前で僕を呼んで」などのルカ・グァダニーノ監督の作品。まったく意識していなかったが、ここしばらくアメリカ映画とごぶさただ。日本映画以外はアジア系か欧州系になってしまうのは、全米俳優組合ストライキの影響で新作が少ないからかもしれない。この映画も公開が延期されたようだ。

サーカスが題材の「グレイテストショーマン」で自分の度肝を抜いたゼンデイヤ、「スパイダーマン」「DUNE」と大作のヒロインが続き存在感を高めている。アフリカ系とドイツ系の混血であるゼンデイヤは多様化する現代アメリカ映画界のスターだ。アメリカ映画らしさを感じて映画館に向かってよかった


映画では全米オープンに挑戦しようとするトーナメントの決勝シーンがベースとなる。戦うドナルドソン(マイクファイスト)とズワイグ(ジョシュオコナー)の2人はスタンフォード大学の同期で、もともと子供の頃からの腐れ縁だった。でも逆に今は疎遠。13年前すでに女子テニスのスター選手となっていたタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)の圧倒的なテニスプレーに2人は憧れ近づいていく。予期せず、三角関係となるが、タシは試合中に足のケガで選手生命を絶たれる

もともとズワイグに好意を寄せたタシに対して、ズワイグがつれなくなっていたところをドナルドソンが失意のタシの心の支えになる。やがてタシはドナルドソンのコーチとなり公私ともに結ばれてスター選手となるが、ここのところドナルドソンはスランプが続き出場した試合だ。ズワイグはホテル代も払えないくらい落ちぶれている。その2人が決勝で対決する。絶縁状態だった2人が戦うにあたって、タシがズワイグに久々再会して三角関係がよみがえる。


スポーツのライバル物語に当代きってのスターであるゼンデイヤがすごい存在感を示してくれて十分堪能できた。おもしろかった。
こういうアメリカ映画が観たかった。衣装、美術、住居のインテリアも含めて全体的な雰囲気にアメリカ映画らしいゴージャス感を感じる。音楽も現代的だ。貧困そのものの日本映画界とは違う魅力だ。そこにゼンデイヤというまさにゴージャスな女優が登場する。

ストーリーもおもしろいけど、ゼンデイヤの圧倒的な存在感に魅了される。テニスのスター街道を歩む頃を演じる若き日を映すゼンデイヤの迫力あるテニスプレイは見応えがある。誰しもがカッコいいと思うであろう。それだけではない。自分に恋憧れる2人の青年とベットでディープキスを交わすシーンがある。これが極めてエロい。これこそ現代の千両役者だ。

ゼンデイヤにテニスの素養があるのかと思っていたら違うようだ。驚いた。3ヶ月コーチを受けてということだが、天性のバネを持っているのであろう。大坂なおみが上り詰めていく試合と同じ躍動感を感じた。残念ながら,日本の女優にここまでの迫力を感じさせる女性はいない。


相撲で言う露払いと太刀持ちのような存在の2人の男性テニスプレイヤーは、そつなくゼンデイヤの相手役をこなした。
映画の基調はこの2人のテニス対決だ。土壇場までこじれるヒッチコックの「見知らぬ乗客」のようにテニスの試合中観客が右に左に首を振る仕草が笑える。もともと学生時代、タシ(ゼンデイヤ)は格上の存在だった。テニスのレセプションに潜り込み,ダメ元でタシを誘ったら部屋に来てくれた。2人が舞い上がるのは無理はない。あのかっこよさは普通じゃない。しかもその後で3人でディープキスを交わす。なんて、夢のようなんだろう。その時の2人の立場になってみれば、そう思うであろう。そんな青春モノの要素を、映画の中ににじませる。それがこの映画の魅力でもある。


ここではスポーツメーカーのブランド満載である。お金も出資しているのであろう。Wilson、adidas、NIKEに加えて、ドナルドソンが着るウェアには日本語でユニクロの表記がある。コマーシャリズム満載だけど、予算をたくさんもらってゴージャスな映画が見れるから悪くない。

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映画「パストライブス」

2024-04-07 20:11:04 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「パストライブズ」を映画館で観てきました。


映画「パストライブス」は韓国系アメリカ人の監督セリーヌソンによるニューヨークを舞台にしたラブストーリーである。オバマ元大統領が、年末にその年のベスト映画を発表している。これは大変参考になるリストだ。数々の名作に加えてこの「バストライブス」も入っていた。まだ日本未公開の次の年の優良作品がここでリストアップされるのは助かる。

とりあえず作品情報を引用する。
12歳の時一緒に学校に通っていた韓国人の2人が36歳で再会する。既に女性はニューヨークで結婚している。それでも韓国に幼なじみの男が訪問してくる。12歳, 24歳, 36歳の2人を追いかけていくのと同時に,夫の反応も映し出していく。

ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。

そして12年後の36歳、ノラ(グレタ・リー)は作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソン(ユ・テオ)はそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。


居心地の良い映画である。
大きな起伏は無い。でも好感が持てる。

韓国映画によくあるハラハラドキドキ感は皆無である。末梢神経も刺激されない。かといって,ラブストーリーであっても、きわどいベッドシーンがあるわけではない。各種映画賞でノミネートされたということは、あまり意識しないほうがいい。この映画を見て、男性から昔の彼女に電話をしたいとか連絡をしたいとか思う人は多いだろう。女性の立場でもあるかもしれない。

事前情報を得てマギーチャン主演の「ラブソング」を思い浮かべていた。双曲線を描くように、ロングタームで続く2人の軌跡を描く名作だ。でもこれは違う。しっとりと2人に加えて、現在の夫のアメリカ人の3人の姿を描くストーリーだ。意外性はない。恋の深層に迫る映画だ。


いかにも韓国映画によく出てくるソウルの急な坂が最初に出てくる。そこで12歳の2人を移す場面はそんなに多くはない。セリフは英語と韓国語が半々だ。

その後はパソコンを通じての2人の会話だ。最初に出会ってから12年後に男性からアプローチするのだ。そこで一旦近づく。男からもっと近づいてもいい気がする。うまくいってるように見えるけれども、途中で彼女の方がしばらく距離を置きたいと拒否する。その辺の女性の気持ちは男性にはよくわからない。でもその後, 12年後に転換する。12年前と彼女の顔は大して変わらない。美人ではないけれども、魅力的だ。

そこから展開する。直近のニューヨークロケの映像はなかなか素敵だ。大画面で見ると、すごく心地が良い。空いてる映画館で見たほうがいいかもしれない。自分は心地よい気分がした。バッテリーパークから先の自由の女神付近も遊覧船で回る。ブルックリン橋のそばの映像も大画面で見るとそこにいるかの感じがする。みんな素敵だ。ニューヨークロケの映画でもこんな感じを味わえる事はありそうで滅多にない。


この映画に韓国映画で通常求めるストーリーの可変性はなくていいかもしれない。個人的には楽しめたと同時に心の安らぎと昔の女性への想いを感じた。それだけで充分だと思う。感謝したい。
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映画「マダムウェブ」 ダコタジョンソン

2024-02-27 18:19:36 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「マダムウェブ」を映画館で観てきました。


映画「マダムウェブ」マーベルコミックの新作。ここ最近アメコミ系はご無沙汰だけど、主人公が近未来を予知する設定が気になる。過去にトムクルーズ「マイノリティレポート」クリストファーウォーケン「デッドゾーン」など自分には相性の良い映画がある。他のチョイスがしづらい中で、たまにはマールルで選択する。S・J・クラークソン監督ダコタジョンソンの主演である。

いきなり1973年のペルーの山奥でクモ探しをしている男女の映像が出てくる。見つけた時に仲間割れ、女性は懐妊しているがそこで出産する。

2003年のニューヨーク。救急救命士として働くキャシー・ウェブ(ダコタジョンソン)が、救命活動中にクルマごと川に転落して生死を彷徨う。 その時からキャシーは近未来の様子を予知する体験を重ねるようになる。30年前にペルーで生まれた赤ちゃんが大きくなってキャシーになったのだ。同僚の自動車事故を予知して、懸命に運転を止めるが、事故に遭って亡くなってしまう。それ以降も予知能力を自分で自覚するになる。

地下鉄に乗った時に、出会った3人の少女たちが、それぞれ謎の男に殺されるシーンを見てしまう。キャシーはあわてて、男が襲う前に少女たちを助けようと地下鉄内構内から引っ張り懸命に脱出する。路上のタクシーを盗んで飛ばす。追っ手は防犯カメラを駆使して3人を懸命に探す。


娯楽として楽しめた。
製作費8000万$の割にはメジャー俳優の出演は少ない。その分アクションとVFXにお金が費やされているのか。スパイダーマンのようなクモ男が出てくるが、正義の味方ではなかった。もともと、アカの他人だった3人の少女たちがお互いの境遇に共通点を感じて連んでいく。

謎の男はその3人に殺される悪夢を見ていて、成長する前に殺すというのがこの映画のストーリーの基調である。3人の少女とマダムウェブことキャシーが組んでいく。ピンチとは言え、NYのイエローキャブや救急車を盗んで逃走とはお行儀はよくはない。


見ている分には気楽に見れるが、途中からいかにもアメコミらしいドタバタアクションが続く。音楽は高らかに鳴り響いてちょっとうるさいくらいだ。ただ、途中で流れる挿入歌のセンスはいい。3人の若者も曲に合わせて踊る。たまにはこんなアメコミ映画もいいんじゃないといった感じだ。

エンディングロールで流れる曲に聴き覚えがある。アレ!これってウォンカーウァイ監督の香港返還前の映画「恋する惑星」のテーマ曲だと気付き驚く。オリジナルのクランベリーズ「ドリームス」が流れる。大好きな曲なのでうれしい。思わず香港のアパートメントに忍びこむフェイ・ウォンの顔を思い浮かべる。
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映画「カラーパープル」 ファンテイジア・バリーノ

2024-02-11 17:44:02 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「カラーパープル」を映画館で観てきました。

映画「カラーパープル」アリスウォーカーの原作を1985年にスティーヴンスピルバーグが映画化した。それが2005年ミュージカルになり大人気。今回はミュージカル映画としてリバイバル公開される。今回もスピルバーグや前回音楽担当のクインシージョーンズがプロデューサーとなる。なぜかスピルバーグの前作を見落としていて、初めて知るストーリーである。音楽家のブリッツ・バザウーレが監督を受けもつ。

1909年アメリカジョージア州、母が死んだ後父親の子を2人も産んでその子を里子に出されたセリー(ファンテイジア・バリーノ)は妹ネティと仲良く暮らす。子どもが3人いるミスター(コールマン・ドミンゴ)に父はセリーを押し付ける。ミスターのDVはひどく、セリーは耐えざるをえない。その後実家を出たネティがセリーと同居したがミスターに言い寄られ関係拒否した後に追い出される

ミスターの昔の愛人だった歌手のシュグ(タラジ・P・ヘンソン)が街に帰ってくる。ミスターは元の女を家に引き入れる。セリーは一緒にいる方がミスターのDVがおさまるので同居を受け入れる。息子は子持ちでしっかりしたソフィア(ダニエル・ブルックス)とくっつき、すぐ近くに小屋を建てる。落ち着いたように見えるが、何かと男女間のもつれがつきものであった。


黒人女性陣の歌声に高揚感を感じるミュージカルだ
いきなり教会で信者たちが踊りまくるシーンが出てくる。これって映画「ブルースブラザーズ」教会シーンを連想する。神父のジェームス・ブラウンがソウルフルに歌って、色鮮やかな服を着た黒人たちが踊りまくりジョンべルーシがバク転するシーンだ。同じようにウキウキした気分になる。初っ端から盛り上げる。


歌のシーンについては、ミュージカルでも主役を演じたというファンテイジア・バリーノにせよ、歌手シュグ役のタラジ・P・ヘンソンにせよ、義理の娘になるソフィア役のダニエル・ブルックスにせよパワフルですばらしい歌を聞かせてくれる。曲もオールドファッションというより現代的で、アップテンポもバラードもいい曲だ。

ただ、正直なところ、最初は黒人の登場人物に目が慣れず、出演者が同じように見えて人間関係がよくわからなかった。主人公セリーが出産して、父親が里子に出すというシーンだけど誰の子なのかわからない。父親役の男性も最初単なる雇い主かと思ったら、どうやら父親だ。しばらくして、近親相姦でできた子だとわかってエグいなあと思う。しかも、嫁いだ先の主人のDVがひどい。黒人メインの映画だと白人の暴力がクローズアップされることが多いけど、ここでは黒人社会での女性蔑視がテーマとなる。


黒人が数多く住むエリアでの飲食店などでの黒人だけのシーンがほとんどだ。途中まで、白人系の登場人物が出演せず、珍しく黒人だけの映画かと思っていた。途中で少しだけ白人が出て来る。そこで、人種差別的場面があっても他の映画と比較すると少ない。同じ黒人同士でも、女性が奴隷のように扱われる女性蔑視が酷い話が中心だ。最後に向けてようやく変わる。オリジナル版で白人がずいぶんと黒人を悪く描いたと批判されたそうだ。わかる気もする。


でも基本的にはのれるミュージカルだった。普通はこれだけ暗い話だと,一気に気持ちが沈んでしまう。ただ女性ボーカルのパワフルな歌声はひたすら明るい。希望に満ちてくるはずだ。
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