映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ハケンアニメ!」 吉岡美帆&尾野真千子

2022-05-29 19:19:37 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ハケンアニメ!」を映画館で観てきました。


映画「ハケンアニメ!」は朝が来る辻村深月原作の映画化である。「ハケン」という言葉がカタカナで派遣社員を想像し、日本映画で最近得意の格差社会を描いた映画かと勘違いしていた。ある人の映画評を読んで、それが誤解とわかり気になったので映画館に向かう。アニメの覇権をとるという「ハケン」である。

国立大学をでて県庁に勤めていた主人公斎藤瞳(吉岡里帆)は、アニメ界で活躍している人気監督王子千晴(中村倫也)を凌駕する作品を作ってやろうと、業界で働きはじめて7年、ようやく新作の監督の座をつかむ。土曜日の5時というアニメのゴールデンタイムにはライバルのスタジオえっじも王子監督の新作で臨み視聴率対決するという話だ。

よくできた快作である!
予想以上に映画の出来は良かった。おもしろかった!この映画には「好きをつらぬけ」という副題がある。この映画にでてくるアニメ制作関係者はともかくよく働き、まさに好きを貫いて働いている。すばらしい!逆にアニメの世界ってこんなに大勢のスタッフがいて、会社の利益収支がうまくいっているの?と思ってしまうくらいだ。外注が多いのかな?


日本では生産性向上が誤って解釈されている。残業を少なくすれば良いということで、労基署の臨検も厳しく、「働き方改革」という名のもとに日本人が働かなくなった。総務系部署が残業時間の表を出して説明してくると複雑な気持ちになる。

確かに、ひと時代前のオフィスには帰りたくないおじさんたちがいて、みんなつられて帰れないでムダに無償残業させていたことは間違いない。でも、今は働きたい人も働かせてくれないのだ。日本も社会主義国のようになってしまった。分配ばかり気にして、競争を避けようとする日本社会ばかり描いても良いことがない。

こういった真摯に働く人たちを描く映画を観ていると気持ちがいい!


⒈吉岡里帆演じる斎藤瞳監督
県庁から中途入社でアニメ制作会社に入社して、演出や助監督をやってきた。7年でようやく掴んだ監督の座だ。TVのゴールデンタイムに同時間に放送するライバルは目標としていた王子監督の作品だ。

それぞれにクセのある美術や作画や撮影のスタッフの意見調整だけでも大変だ。理詰めで数字を重んじる人もいれば、感覚的な人もいる。声優もアイドル系で押し付けられた女の子で、思い通りに吹き替えができない。それなのに柄本佑演じるプロデューサーは次から次へとスケジュールを入れて、斎藤瞳監督をマスコミの話題にしようとしたてる。

主演の役柄設定に関するエピソードは十分すぎるほどあって、吉岡里帆演じる斎藤新監督のプロフィールが浮かび上がる。吉岡は期待に応えていると思う。仲野大賀と共演した「泣く子はいねえが」では、別れた前妻役で性格的にもイヤな役だったが、今回は心から応援したくなる。


⒉柄本佑演じるプロデューサー
アニメプロダクションの背広組で、冷静沈着なプロデューサーだ。マスコミ、TV局などからのあらゆる情報収集に長けていて、斎藤瞳監督を売り込もうとして、最終的に視聴率での優位を目指す。

柄本佑がここまで冷静沈着な役柄ってあったかなあ。どちらかと言うと、うまくいかずに表情変えて叫んでしまうシーンの方が多い気がする。似たような漫画が題材の「先生、隣に座って。。。」なんて映画はずっとオドオドしたままだったな。真骨頂をみたと感じる。


⒊尾野真千子演じるプロデューサーと王子監督
強烈なライバルがいないとストーリーは引き締まらない。同じ時間に放映される番組の監督は主人公斉藤瞳がこの世界に入る前から目標としていた王子監督だ。でも、王子監督は製作発表の直前になっても姿を消していた。行方もわからない。TV局からこんな男を起用して大丈夫かと責められる。プロデューサーの有科(尾野真千子)は大慌てだ。でも、直前に現れる。怒ってぶっ飛ばす。

そんな感じで、わがままな王子監督の姿を何度にわたってクローズアップすると同時に、有能なプロデューサーぶりを尾野真千子が演じる。昨年、女優賞を総なめしたが、口でいかせる風俗嬢やキャバクラ嬢も演じて、むしろレベルが低い役柄も多かった。今回のキャリアのあるバリバリ仕事する女もなかなかいける。いろんな役柄を演じて、今回は主役でないが、尾野真千子は大女優への道を歩んでいる感がある。


⒋最後のオチと職人魂
良いアニメをつくってもヒットしないこともあるし、大したことなくても流行ることもある柄本佑演じるプロデューサーが言う。確かにそうだ。ただ、この映画にでてくるアニメの製作関係者はほとんど職人気質である。斎藤瞳監督も王子監督も納得できずに手直しを要求する場面がでてくる。結局はいいものを世に出すことがいちばん重要だと考えて、場面が進む。それはそれでいい。


TVの連続シリーズのオチをどうするのかも最後までそれぞれ混乱する。ここでも職人魂が生きていく。こんな感じは悪くない。エンディングまで目が離せない。ちなみにエンディングロールまで観ても帰らないように。オマケがある。
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映画「トップガン マーヴェリック」 トムクルーズ

2022-05-28 21:00:29 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「トップガン マーヴェリック」を映画館で観てきました。


映画「トップガン マーヴェリック」は1986年の「トップガン」の30年後の姿を映し出したトムクルーズ主演の新作である。待ちに待った無冠の帝王トムクルーズの登場で、早速映画館に駆けつける。ここから映画ブログへの復帰を図る。

出世を拒み、パイロット人生を全うしようと大佐にとどまり続けたマーヴェリック(トムクルーズ)が、敵国への侵入飛行でのミッションを果たそうとするエリートパイロット養成所(トップガン)にいる10名のパイロットの指導にあたるという話である。


これは最高だ!文句なしの5つ星である。
低予算の日本映画を見続けた後に、たまに金がかかったハリウッド作品を観るのはいいものだ。娯楽映画の最高峰だ。ストーリーは単純に見えてそうではない。いくつもの起伏を作り、常に逆風がトムクルーズやトップガンのパイロットたちに吹き荒れる中で、前回の「トップガン」で亡くなった仲間の息子が訓練生にいて、トムクルーズとの葛藤をみせる。敵国との交戦シーンは出来すぎという部分はあっても、ハラハラドキドキでおもしろい。

今回の続編は、今から36年前の公開作を観ているかどうかは関係ない。当然前回からのファンは中年の域を超えている。そのファンだけの映画ではない。前作を観ていない若い映画ファンが観ても十分楽しめる快作だ。


⒈トムクルーズ
千両役者の登場である。姿を見ると、思わず声をかけたくなってしまう。現役のパイロットに固執して、マッハ10(音速10倍)の飛行に挑戦する男である。教官になると言っても、実際に戦闘機に乗って隊列の周囲で指導するというわけだ。

もちろん、戦闘機内の操縦席での映像が多く「ミッションインポッシブル」のような激しいアクションが多いというわけではない。でも、実際に飛行機の操縦をしてしまうトムクルーズだけにリアル感がでている。戦闘機の操縦には、ずば抜けた体力が必要だというのも我々に教えてくれる。


カッコいい場面だけでなく、ドジな場面を用意して笑えるムードもあるのにも娯楽映画を知り尽くしたトムクルーズ映画ならではの楽しさがある。誰もが知っている「トムクルーズ走り」で手を振りながら走るシーンもあり、思わず声を上げたくなる。

⒉ジェニファーコネリー
トムクルーズとは旧知の仲で、航空基地の側にある訓練生たちが通うバーの経営者という役柄だ。軽い恋の場面がある。ここまでメジャーな役柄は久しぶりではないだろうか?若いころの「ロケッティア」は好きだったし、アカデミー賞作品の「ビューティフルマインド」での数学者の妻役が自分にとっては印象に残る。


アレ?前作出ていたっけか?とふと思ったけど、でていない。あの時のヒロインは別だった。ヒロインはさすがに50歳ともなれば、往年の美貌も衰えるが、今回の起用は成功だと思う。若けりゃ良いってもんじゃない。年相応の魅力ってある。

ジェニファーコネリーの子どもが友人の家に行って今日は泊まってくる時に、トムクルーズが家に遊びに行って戯れているときに、娘が突然帰ってきて大慌てするシーンは場内の笑いを誘っていた。

⒊前作の流れを踏襲するミュージック
映画が始まり、マッハ飛行に挑戦するトムクルーズを映し出す。いきなりテーマ曲とも言える「デンジャーゾーン」が流れるだけで、背筋がゾクッとする。「キター!」と叫びたくなる。「トップガン」には大ヒットした「take my breath away」をはじめとして、信じられないくらい名曲が多い。多分映画を見たことない若者でも知ってる曲が多いんではないだろうか?


前作と変わらずジェリーリールイスの「火の玉ロック」が流れるだけで、ウキウキする。エルトンジョンがコンサートでよく歌っていたロックンロールの名曲だ。亡くなった仲間がピアノで歌っていたのと同様に息子が歌っている姿を見てトムクルーズがジーンとするシーンもいい感じだ。

久々に映画の醍醐味を味わえた。自分は映画館原理主義者ではないが、大画面で観るべき映画である。
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番外9 九州和食

2022-05-24 20:53:19 | 食べもの
九州にコロナ明け出張解禁で2年ぶり方々行ってきました。
この日に食べた和食は絶品、日本酒が進む

そら豆を玉子豆腐のような感じで


夏がき


ゆりねにウニ



エビと鮑、この鮑やわらかい


牛タン、これもやわらかい


造り


渡り蟹に赤唐辛子添えて
酒が進む。唐辛子も赤くなると少しやわらぐ


春巻、ふつうの春巻に見えるが


中にはフカヒレ


マナガツオ焼物


九州出張でいろんな美食にありつけたが、この和食三昧がいちばん良い
5種類の日本酒を飲んで勘定はいっちゃう!と覚悟したら拍子抜け
同じような東京の店の半分いや三分の一程度だね。

いい映画やっていないのでグルメブログに変貌してしまうのはちょっとヤバイ
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番外8 鉄板焼き

2022-05-21 19:53:20 | 食べもの
東京のど真ん中で高級鉄板焼きを食べてきました。
おもしろい映画やっていないので、番外だらけになってしまう。

シーフード伊勢海老


鉄板で焼いてもらう


出来上がりはこんな感じ





出来上がりはこんな感じ


肉は2種類


出来上がり


部屋からは絶景


焼酎お湯割りを飲んだ。
高級イタリアンの時調子に乗ってワイン飲みすぎたので、落ち着かせるつもりだったけど、結局お湯割りがどんどん進む。
勢い止まらず夜の繁華街に行ってしまい、店のママのススメでシャンパンをあけてしまい二日酔い

コロナよ去れ
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番外7 イタリアン

2022-05-18 09:48:24 | 食べもの
東京のど真ん中で高級イタリアン食べてきました。
これは絶品

あゆ、エビの踊りのようにバタバタしたあとで


フレッシュなミニトマトと冷やしたカペッリーニパスタにウニを添える


アスパラと生ハムに卵入りのチーズがからむ


ペペロンチーノにはからすみや新たけのこなどの食材が絡む


この肉は軟らかい。焼き具合はヒアリングせずに理想的な焼き加減で登場、絶品


マンゴを急速に冷凍


こんなうまいマンゴ香港でも食べられない
マンゴが口の中でとろける


料理に合ったワインがセレクトされてかなり酔った。
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映画「流浪の月」広瀬すず&松坂桃李

2022-05-14 20:03:12 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「流浪の月」を映画館で観てきました。


映画「流浪の月」は凪良ゆうのベストセラー小説を、「怒り」の李相日監督広瀬すずと松坂桃李の主演で映画化した作品である。最近いい公開作がなく困っているところの新作である。

まず、雨の公園でびしょ濡れになっていた10歳の少女・家内更紗に、19歳の大学生・佐伯文(松坂桃李)が傘をさしかけるシーンからスタートする。15年経って更紗(広瀬すず)は恋人中瀬亮(横浜流星)と同棲して、昼間はファミレスでバイトをしながら結婚を控えている。

ある日、友人と入った喫茶店で更紗は文と再会する。2人は会話を交わさないが、衝撃を受けた更紗が喫茶店に通うようになる。同棲相手の亮が挙動がおかしくなった更紗を追いかけ喫茶店に乗り込むようになると同時に、昔の監禁事件に絡んでいた文だとわかり問い詰めていくという話である。


話自体は興味深く見れる作品だが、後半戦でかなりダレる。
広瀬すず、松坂桃李の2人は悪くない。少女を脱皮した広瀬すずは美しく瑞々しい「空白」「狐狼の血LEVEL2とちょっと合わないと感じる役が続いた松坂桃李も今回は本来のキャラにピッタリのプロフィールである。地方都市を舞台にしたストーリーで、アップを多用すると同時にワイドスクリーンを思いっきり使ったカメラワークもいい。大画面にはえる。

ただ、後半戦に入ってから、話の辻褄が合わない断片的なシーンが増える。週刊誌ネタになるのもちょっと不自然だ。意味がないカットが目立つようになるのは残念、150分にまで長くしない方が良かった。

⒈広瀬すず
きれいになったなあと唸るショットが多い。少女を脱皮したことを示すようにベッドシーンもある。当然、まだ脱がない。しばらくお預けだろう。少女時代の監禁事件に絡んで、被害者なんだけど、別に悪いことをされたわけでないし、むしろやさしくしてくれた文を慕う。ストックホルム症候群と言われる監禁した人間に同情するという心理と若干違うが、近いものがある。短期間一緒に暮らした文への恋心に近い気持ちが伝わる好演である。10歳のころの更紗を演じた子役もいい感じだ。

ヤキモチを妬いた同棲相手からのDVを受けるシーンもある。でも、酷い仕打ちを受けたのにも関わらず、その相手から逃げきれず、「亮くん」なんてセリフを使うのには観ていてしっくりこなかった。これって絶対おかしい。


⒉松坂桃李
ロリコン男だ。別に少女にいたずらするわけではない。一人でたたずむ少女に声をかけて、自宅で一緒に暮らす。それだけである。今はコーヒーしか置いていない喫茶店を営む。余計なしゃべりはない。地味に生きている。そんな役柄が松坂桃李にあっている。小さい時の母親との葛藤がきっかけでおかしくなったというストーリーの流れだが、これがよくわからない。


横浜流星は自ら志願しただけあって、DV男に変貌する役柄をうまく演じる。観ていて、こいつムカつくと観客に思わせるものをもっている。
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映画「マイスモールランド」と60年目のキューポラのある街

2022-05-08 18:11:03 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「マイスモールランド」を映画館で観てきました。


映画「マイスモールランド」は埼玉川口を舞台に在日クルド人の高校生の悲哀を描いた作品で、是枝裕和監督の映画制作集団に属する川和田恵真の監督第1作目である。1962年の吉永小百合が川口を舞台に演じたキューポラのある街」で、高校に行けたくてもいけない悲しい中学生を描いていたのとアナロジーを感じる。あえて「60年目のキューポラのある街」と言わせてもらう。


在日クルド人のサーリャ(嵐莉菜)は家族とともに小学校のときに来日して、現在は17歳の高校生となって小学校の教員免許がとれる大学を目指している。父親は建物解体業に従事して、妹と弟と4人で暮らしている。


父親は難民申請を出しているが、却下されて当局から家族全員の在留カードを無効にされた。父親は仕事をするなと命じられ、家族全員県をまたいで移動はするなと言われている。サーリャは荒川を越えて東京のコンビニでバイトしていた。そこで知り合った聡太(奥平大兼)と軽い恋に陥るが、県境を越えて働けなくなるのであるが。。。


リアル感が半端じゃない映画である。
脇役として出演する名優たちの顔を見なければ、ドキュメンタリーのように錯覚をもってしまう。優れた映画という感じはない。中途半端と思えるシーンも多い。ただ、主演と家族のパフォーマンスが実話のようで、在日クルド人の悲哀が伝わってきた。予想よりも心に残る映画になった。

⒈川口とキューポラのある街との類似
1962年のキューポラのある街では、川口の鋳物職人の娘である中学3年生の吉永小百合が、勉強はできるのに修学旅行にも行けないくらい貧乏で行きたい名門校への進学をあきらめる。貧しかった当時の日本を象徴する悲しい物語である。「マイスモールランド」でも、サーリャは友人に教えるくらい勉強ができて担任の先生から大学進学の太鼓判をおされているのに、在留カードもなくビザなしでは大学への推薦は難しいことになるのだ。

キューポラのある街で水戸黄門役で有名な東野英治郎が演じる父親が娘の吉永小百合の友人から紹介されて勤めた鋳物工場を辞めて失業してしまう。ここでも同様に主人公の父親が解体工事の職を失う。格差社会と言われて久しいが、1962年の日本の格差は今と比べものにならないほど酷い。しかし、難民として、正式な日本への移住ができていない人たちにとっては現在も格差を超越した世界に直面する。


キューポラのある街吉永小百合が通っていた荒川沿いの中学校が、建て替えられた姿で映し出される。東京と川口を結ぶ京浜東北線の鉄橋の下で吉永小百合が初潮を迎えるシーンに対して、国道122号が通る鉄橋を何度も自転車でサーリャが渡ったり、鉄橋の下で恋人の聡太と語り合う。

60年前の川口には朝鮮人が数多く住んでいた。左翼思想が浸透していた時期のキューポラのある街では北朝鮮への帰還に前向きな語り方をしていた。今の状況は想像もつかなかっただろう。このクルド人問題はそれよりもややこしい感じがする。

⒉クルド人
埼玉南部の蕨、川口を中心に中東系の顔立ちをしている人たちを見かけることが多くなった。それがクルド人とわかるようになったのは最近だ。公園にもいるし、楽しそうに家族でサイゼリヤで食事している。同じエリアには中国人の方が多い。川口の芝園団地では4500人の団地に2300人中国人が居住している。中国人の場合、一瞬の見かけではわからないが、中東系はすぐわかるのでもっといるように見える。


クルド人はもともとトルコやシリア地域に昔から住んでいた民族で、もともとの領土が分割してあぶれてしまったというセリフがある。歴史的に見ても、国境線が常に変わってきたわけだ。難民申請が通らないのは、日本政府と親しい関係にあるトルコとの関係を尊重して、本国の情勢が厳しい時に難民として引き取るという難民ルールに矛盾するという理由のようだ。この映画を観ると、日本在留に超越した対応をして欲しいという気持ちになる。

⒊美貌の主人公
主人公のサーリャを演じた嵐莉菜超越した美貌の持ち主だ。誰しもがそう思うであろう。父親は中東系だが、ドイツも含めた5カ国の混血だという。

キューポラのある街で、吉永小百合が友人に誘われて、夜の街を彷徨い不良に睡眠薬を飲まされて危ういシーンがある。この映画で似たようなシーンがある。友人に誘われ「パパ活」でカラオケに行って小遣いをもらったのに味をしめたサーリャが、賃料滞納で家主から催促を受けたので、一人でパパ活をやって賃料の足しにしようとするシーンがある。これも一瞬危ない

友人に「サーリャくらいかわいかったら、パパ活でもっと稼げるよ」と言われてやったわけだ。確かにそのとおり可愛い。それにしても、脚本は60年前の作品をうまく現代風にアレンジしたものと想像する。嵐莉奈もきっと数十年後に大物女優になるかもしれない。

今回の父親、妹、弟がなんと実の家族だという。妙に息が合っているのはそういうことなのか。ちょっと古いがTV「チャコちゃん」四方晴美の実の両親新派の名優安井昌二小田切みきがコンビを組んだ時を思い出す。


⒋川和田監督と名優ぞろいの脇役たち
エンディングロールのクレジットに是枝裕和や西川美和という現代邦画を引っ張る映画人の名前がある。日英の混血だという川和田恵真監督は著名映画人の下働きで腕を磨いてきたようだ。

大物映画人が関わっていることからか、脇役に名優が揃う。
難民の支援者である先生役に、数多くお父さん役を演じた平泉成、サーリャの家族が住む賃貸住宅の大家役に、昭和のTVドラマで気の弱い若者役を演じた小倉一郎、おせっかいなコンビニ店長役が藤井隆、コンビニ店で知り合った恋人聡太の母親に池脇千鶴が加わる。おそらくこの題材に関心を持ったのであろう。

驚いたのは池脇千鶴だ。稲垣吾郎主演の「半世界」で見てからちょっと太ったのかな?クスリを飲んでいるかのように顔が病的にむくんでいて一瞬わからなかった。異様に感じた。
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鎌倉散策

2022-05-07 18:03:14 | 散歩
久々に娘と鎌倉散策に行ってきました。

まずは鎌倉長谷に向かってから



オープンエアの大仏さんはいいね。

長谷寺


由比ヶ浜から遠くは逗子まで見渡す抜群の景色


お地蔵さんもマスキング


鎌倉文学館、旧前田家の素敵な洋館


庭のツツジがきれい


由比ヶ浜海岸に行ってみる。ウィンドサーフィンやっている


鶴岡八幡宮、駅から大混雑


北鎌倉で円覚寺


国宝 舎利殿
屋根のラインが美しい


強烈な階段を上がるとまた国宝の鐘




ここまでで2万歩超える
石川町から中華街、通勤ラッシュ並みの大混雑、コロナ流行まもないときの閑散がウソのよう

娘が好きな中華街の店で四川のコースデザート含めて合計9品、いくつかピックアップ
おそらく横浜中華街で最高のコストパフォーマンスだと思う。

点心


ここの麻婆豆腐はうまい

どこかで特集するか

コース食べ過ぎて娘は体重増加、嫁に行かさない気かと家に帰ると妻に怒られる
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映画「死刑にいたる病」 阿部サダヲ&白石和彌

2022-05-06 21:27:36 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「死刑にいたる病」を映画館で観てきました。


映画「死刑にいたる病」は当代きっての人気監督白石和彌とダメ男を演じたら天下一品の阿部サダヲが組んだクライムサスペンス作品である。櫛木理宇の原作を高田亮が脚本を書くというのも好材料だ。
ここ最近予告編を観た中では、いちばん行ってみたくなる作品で、連続殺人犯が「この殺しだけは自分がやっていない。」と語る阿部サダヲのセリフには興味をそそられた。どんな展開になるのかストーリーの先行きが気になる

大学に通う雅也(岡田健史)の家に、殺人犯として逮捕されていた榛村(阿部サダヲ)から手紙が届いた。中学時代榛村が営むベーカリーに通っていた関係で気になり、拘置所で榛村と面会する。

24件の殺人を犯して、そのうち9件が立件されている榛村が「9件の殺人のうち最後の殺人は自分がやっていない。事件の詳細を担当弁護士に聞いてもらって、手がかりを探してくれ」と雅也に依頼する。

弁護士事務所で資料をもらって、早速調査を始めると、榛村と雅也の母(中山美穂)と旧知の仲だったことがわかり、自らの周辺にも絡んでいくという話だ。


予告編での大きな期待は残念ながらトーンダウンした。
5点満点で甘くつけて3.5点って感じかな。前半戦で残虐度がエスカレートしそうになったが、抑えられた。12禁の映画としないと、観客動員に影響が出ると思ったのか、韓国が得意とするクライムサスペンスのレベルよりはスリリング度合いは弱い。これまでの白石和彌作品と比較すると、ストーリーの弱さもあるがこれはヤバいと思わせるシーンが少ない。

⒈阿部サダヲと出演者たち
阿部サダヲはいつもながらの怪演でドラマを引っ張る。17〜18歳の若い男女を人の良さそうなベーカリーの店主の顔で誘い出し、睡眠薬を飲ませて自宅で残虐行為をする設定は、いつもの阿部サダヲより過激である。爪をはがして苦しませるなんて、ヤクザの手口だ。

でも、岡田健史をはじめとした周囲が弱すぎかな?岩田剛典が最初からいかにも犯人っぽい感じで出ていて、怪しさを観客に誇示するが、それほどではない。強烈な脇役がいないので、インパクトが少ない。でも、中山美穂が少しづつこういう映画に出てくるようになったのはいい傾向ではある。


⒉強引な設定
宇都宮が舞台である。自分は転勤で5年間住んだことがあるので、よくわかるが、なんせ栄えているエリアは狭い街である。市の郊外に向けてすこし走ると、確かにこの映画のような森林地帯もあってむごい殺人が行われてもおかしくない。

ただ、首都圏の感覚よりいかにも田舎の高校生も多く、大学は数えるほどしかない。カフェ的なベーカリーがあっても少ないだろう。若者の殺しが何度も続くような設定には無理がある。


どんな凶悪犯でも、宇都宮を拠点に未成年を引きずり回しての殺人が出来そうな街ではない。街の真ん中で女性被害者を車に引きずりこんでという設定がありえない。雅也が逆上して、ゆきずりの一般人を痛めつけるシーンがある。この後、何にも雅也におとがめがないの?知っている町だけに、うーんと思ってしまう。あと、家庭内暴力で虐待された子が保護されるという設定がこの映画のテーマになっている。このDVについても無理がある。

ただ、最後の展開は意外?うっとうしいやつと思った人物が妙なセリフを言って終わる。この意味は今もよくわからない。

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映画「パリ13区」ジャック・オディアール

2022-05-01 17:44:54 | 映画(フランス映画 )
映画「パリ13区」を映画館で観てきました。


映画「パリ13区」はフランスの奇才ジャック・オディアール監督が2021年カンヌ映画祭に出品した現代若者の偶像を描いた18禁作品である。パリ13区はセーヌ川の南側にあるパリには珍しく高層ビルが立ち並ぶエリアで、アジア系も含めて多様な人種が住んでいる。1980年代ごろはパリでタクシーに乗ると運転手がベトナム人で、中国人は少ないと思ったが、パリ13区には多いようだ。久しくパリに行ったことのない自分は街の存在を知らなかった。

大胆な性的描写がきわだつ映画である。
現代フランス人の若者の性への考え方は、平均的日本人の思考を超越している。もともとベルナルド・ベルトリッチ監督の映画ドリーマーズに登場する1968年5月革命時代におけるフランスの若者も一歩進んでいた。映画では開放的な裸の女性も出てくる。「パリ13区」に共通するものを感じる。純粋な白人のフランス人だけが登場する映画でなく、アジア系、アフリカ系のフランスで育った若者がメインになる。ジャック・オディアール監督は直近トレンドの多様性にも焦点を合わせる。

18禁とはいっても、現代ネット社会を見据えた話の流れになっている。性的交わりを見せる場面が多いにも関わらず、映画の中身は奥が深く計算され尽くしている。


コールセンターでオペレーターとして働く台湾系のエミリー(ルーシー・チャン)のもとに、ルームシェアを希望するアフリカ系の高校教師カミーユ(マキタサンバ)が訪れる。二人は即セックスする仲になるものの、ルームメイト以上の関係になることはない。
同じ頃、法律を学ぶためソルボンヌ大学に復学したノラ(ノエミ・メルラン)は、年下のクラスメートに溶け込めずにいた。金髪ウィッグをかぶり、学生の企画するパーティーに参加した夜をきっかけに、元ポルノスターでカムガールの“アンバー・スウィート”本人(ジェニーベス)と勘違いされ、学内中の冷やかしの対象となってしまう。大学を追われたノラは、不動産会社に勤めるカミーユの同僚となり、二つの物語がつながっていく。(作品情報 引用)



⒈ジャック・オディアール監督
ジャック・オディアール監督作品では2000年代前半の「リードマイリップス」真夜中のピアニストに強い衝撃を受けた。特に「真夜中のピアニスト」の主人公は悪徳不動産屋というべき辛辣な地上げをする男だ。そんな男にも子どもの時に習っていたピアノに才能があり、アジア系美人ピアニストから指導を受けるストーリーで、善悪のコントラストが印象に残った。


今度も元教員のアフリカ系男性が不動産業に携わるストーリーで「真夜中のピアニスト」を連想する。台湾系のエミリーが祖母の所有するアパートに1人住まいでなくルームメイトを求めてひと稼ぎを目論む。眺めのいいアパートだ。所有のマンションにもう1人賃貸人を呼び込むのは今の日本ではあまり聞かない。大学を辞めたノラも賃貸系の不動産のリーシングに携わる。ジャック・オディアール監督に不動産の素養があるのかな?

⒉脚本の力
1974年生まれの米国の作家エイドリアントミネ原作の3つの作品が元になっている。映画を観終わると、うまい具合に3つの作品の要素をひとつにまとめたなと感心する。ジャック・オディアール監督のインタビューによると、原作を読んで「登場人物が自分には思いつかないオリジナリティーあふれる人物像」だと思ったようだ。初老の域に入った自分も監督の気持ちには同意する。

フランスではジュリア・デュクルノー監督のパルムドール作品TITAN をはじめとして女性監督の活躍が目立つ。2人の女性映画人セリーヌ・シアマとレア・ミシウスとともに脚本を書き上げたという。物語の原型というのは古今東西似たようなものであっても、登場人物は現代的で進化している。しかも、フランスの若者には昔の感覚ではありえない思考がある。さすがに70代のジャック・オディアールではこの飛んでいる若者たちの心境は読めないでしょう。

18禁で性描写も多い作品であっても奥が深いと思わせる構造には、女性的な感覚を織り込んだことが大きい。


⒊大胆なルーシーチャン
映画が始まり、いきなりバストトップを露わにした女性の裸が見える。中国系のようだ。ルーシー・チャンである。2000年生まれでまだ若い。ルームメイトになったというだけで、アフリカ系の男性とすぐ交わってしまうその心境にぶっ飛ぶ。ベットシーンも大胆である。ひょんなことでコールセンターを失職してしまうが、その後の自由奔放さにはついていけない。


⒋ノエミ・メルランと両刀使い
その一方で、大学に復学したノラが金髪のカツラをかぶってダンスパーティーに登場したことで、ポルノスターに間違われて落胆して辞めてしまう。アレ、この子見たことがあるなと気がつき、2020年の傑作燃ゆる女の肖像の主人公を演じたノエミ・メルランと気づく。今回の脚本セリーヌ・シアマが監督した作品だ。途中からレズビアンムードが強くなる映画でノエミ・メルランは全裸で女性同士交わっていた。

ここでは勤めた不動産屋の同僚となったアフリカ系の男性カミーユと全裸でカラダを合わせる。モノクロで色彩が強調される男性の黒い裸がまとわりつき刺激的だ。おいおい、こんなにくっついているけど、男は前貼りしているのか?と気になってしまう。大きすぎて前貼り無理か?


自分が間違えられたポルノスターに接触するという展開がおもしろい。最初は課金サイトで女性同士トークするだけだったのが、Skypeで話すようになるのだ。どんどん親密になっていく。こんな展開は単なるポルノではない面白い展開だ。
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