映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

娘の高校と自習2

2011-05-31 05:49:56 | 家族
1週間ブログ更新できていなかった。
仕事も忙しかったせいもある。見た映画も面白くなかったせいもある。でも一番大きいのは娘の中間テストと返されたテストに関するストレスだった。
先週娘の中間テストがあった。なんせ科目が多い。合計で10科目ある。国数英社理それぞれ2つずつある。これは確かにしんどい。捨て科目もあるなあと思っていた。なんでおそらく受験とは無縁となると思われる地学なんかは捨てていた。週例テストがある数学にはいちばんのウェイトを置いた。英語はそれなりにやったが、国語は比較的手を抜いていた。世界史は割とやった。

寸前はわりと付き合ってあげた。でも結果は良くなかった。
理科は仕方ないと思っていた。内容自体はそう難しくはないとかんじていた。なので最悪は脱することはできると思っていたが、悪かった。これは完全に自分の責任である。捨てろ捨てろといったら、本当にダメになった。学校はプリント中心である。教科書と全く連動していない。そして試験前にセンター試験問題等を抜き出したようなプリントも配られた。これさえやっていれば大丈夫なんて言っていたら、それを超越した問題が出た。プリント中心の授業をやっているなら、その中で全部出来るものかと思っていたがそうはいかない。生まれて初めての悪い点数だった。平均点も異様に低いがそれ以下だった。

理科はやっていないのだから仕方ないだろう。でも数学はショックだった。妻にはあんたの指導が悪いと責められる。高校入って数学に時間かけて勉強しているのに本人も自分もショック極まりない。
毎週数学チャートの確認テストがある。それに備えて勉強する。よくあるパターンだ。毎週のテストの結果は割と良かった。クラスで一番のときもあった。でも中間テストは計算ミスを連発したせいもあるけれど、うまくいかなかった。本人も妙に苦手意識を持ったようである。これはやばいと思って、中間テストの直後の週例テストはまじめにつきあった。でも返却されていないが、感触は良くないようだ。これまでずっとよかったのに、心理的なものかもしれない。
数学も丸暗記がうまく行ったときはいいが、解き方を応用が利くように理解していないとだめだ。

英語リーディングは良くはないが平均よりは上。でもわりと勉強した英文法が一番点数が良かった。これはもう少し緻密にやればもっと点数がとれるかもしれない。英語は入試で最も重要な科目だから、もっと時間をかけた方がいいのかもしれない。学校も英文法に力を入れているのはいいことだと思う。

逆にやっても点数よくならないから、ウェイトを置かないように言っていた国語が割とましだった。特に現代文。娘によると先生の授業はおもしろいとのことである。おもしろいから頭に入るのであろうか。中学の時はヒステリックな女性の教師で、テストは割といい方だが、女性教師だけに気分で作文に悪い点数をもらったこともあった。国語は男の教師に限ると言っていた。高校入ってやった実力テストもなぜか国語だけ学年上位10%にはいっていた。不思議なものである。

高校生なんだから親がかりもおかしいかもしれない。でも気になる。数学については、もう少し指導法を考えた方がいいのかもしれない。反省しきり。初心者に教えるのはむずかしい。
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ブラックスワン  ナタリーポートマン

2011-05-25 16:28:52 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ブラックスワン」劇場で見てきました。幻惑されました。
ナタリーポートマンがオスカー主演女優賞をとったとなると、映画館で見るしかありません。音響効果も抜群で映画館で見て良かったと思った。
大役に抜擢されたバレリーナが、そのプレッシャーから少しずつ心のバランスを崩壊させていく。苦悩する。サイコサスペンスと言うべきであろうか?現実と悪夢が交錯する映像に完全に幻惑された。



主人公のバレリーナ二ナことナタリー・ポートマンはニューヨークのバレエ・カンパニーに所属する。元ダンサーの母親ことバーバラ・ハーシーの過保護に近い干渉のもとトッププリマを目指していた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。純真な白鳥の女王だけであれば、問題なくこなす彼女は邪悪な黒鳥も演じねばならない。演出家ことヴァンサン・ カッセルからするとそこが難しいと思っていた。
売り込みに演出家の部屋に行った彼女は彼から突然キスされる。ナタリーは突然の行為に腹を立て彼の舌をかむ。そんなことがあり、プリマは外されると思っていた。あきらめていたところが、ふたを開けると自分の抜擢だった。舌をかむ彼女の激しさを演出家がかったのだ。
しかし、この難役は、優等生タイプのナタリーにとってハードルの高すぎる挑戦であった。演出家からの指導に心のバランスを崩すナタリー。そこにさらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリーことミラ・クニスが出現する。精神的にますます追いつめられる。やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったのだが。。。。


悪夢と現実が交錯する。映画では悪夢であっても、出演者は両方実際に演じなければならない。これを演じるのは大変だ。スリラーとゴシックホラーが入り混じった映画だけに本当に大変だ。主役のナタリーポートマンだけでなくライバル役のミラク二スには敬意を表したい。

「イヴの総て」を思わせる新旧ヒロインの逆転劇もそこにはある。同じバレエ題材の「愛と喝采の日々」も連想させる。ライバルとの葛藤は同じだ。落差が激しい画面で、官能的な場面を織り交ぜながら狂気に迫る。徐々に映画のテンションが高まる。そこに激しくチャイコフスキーの音楽が高らかになり響く。ますますテンションがあがる。同時にのけぞってしまうような怖いシーンも現れる。

監督のダーレン・アロノフスキー「レスラー」では静かに衰えたレスラーを描いた。この映画の方がかなり動的ではないかと思う。映像の中のナタリーの出演場面が多い。手持ちカメラは常にナタリーポートマンを追いかける。舐めるように追いかける。手持ちカメラ中心の映像には臨場感がある。現実的な印象をもたせる。でもときおりカメラは観客を強烈に覚醒させる。
映像作りにはおそれいった。

「レオン」は大好きな作品だ。スピード感がすばらしい。その作品で天才子役として売り出したナタリーポートマン「クローサー」で自分をハッとさせた。あの映画のストリッパー役で、格上のジュリアロバーツを完全にくってしまった。でも「クローサー」を最初見たときに、「レオン」に出ていた彼女と全く気付かなかった。その後もキャリアを高めていくが、「クローサー」を超える作品はないと思っていた。
この作品で明らかに一皮むけた。まさに大女優への道を歩んでいく姿が目に浮かぶ。



ミラ・クニスもすごい。ナタリーポートマンと同じくらいに評価されるべきであろう。背中に強烈なタトゥーがあるワイルドなダンサーを実にうまく演じた。実にエキゾチックだ。ちょっぴりあばずれな役を演じさせると天下一品だ。ナタリーポートマンとの官能的絡みのシーンはぞくぞくさせられた。へたなエロ映画よりも股間が刺激された。
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ゴールデンスランバー  

2011-05-23 04:38:43 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「ゴールデンスランバー」は仙台が舞台だけにちょっとアップしづらかった作品だ。
伊坂幸太郎は東北大出身だけに地の利のある仙台が好きだ。ここでも市内を縦横無尽に主人公を走らせる。他の地に行かないところがミソかもしれない。ほのぼのとした逃走劇でまとまっていると思う。予想よりは良かった。


仙台市内、宅配便ドライバーの主人公こと堺雅人は、大学の旧友こと吉岡秀隆と久々の再会を果たしていた。二人で釣りに行くという話であった。車に乗ると、吉岡の様子がおかしい。彼は言う「妻が浪費かで借金を作ってしまった。それを帳消しにするために依頼を受けた。それはここに君を連れてくることだ」

その時仙台の大通りを首相が凱旋パレード中、突如ラジコンヘリ爆弾が直撃して爆破される。吉岡は「お前はJFK事件のオズワルドのようなものだ。首相暗殺犯に仕立てられるぞ」と主人公に訴える。突然警官が現れ、拳銃を構えた。「逃げろ」と言われてあわてて飛び出す主人公。その直後、吉岡の乗っていた車が爆破される。吉岡の遺言の言うまま、意味がわからないままひたすら走る。
世間では、暗殺現場にいたことを証言する目撃者や、ラジコン店に主人公が居る証拠映像などが次々現れ、身に覚えのない証拠とともに見えない力によって無実の暗殺犯に仕立てられていくが。。。。

予想もしない事件にはめられ、犯人でもないのに逃げ回るパターンはヒッチコック映画によくあるパターンだ。この映画が他と違うのは、真犯人の姿がなかなか見えないこと。通常であれば、真犯人は誰かと追い求めていくパターンが多いが少し違う。あくまで政治の抗争の中で、影の大物が関わっているということにしたかったのであろうか?


超スピード感があるというわけではない。大学の同窓ということで竹内結子や劇団ひとりなどを登場させる。花火のからんだ回想場面も悪くない。主人公がアイドルの女の子を救ったことがあると逸話の混ぜ方もうまい。一つ一つの逸話をうまく一本にまとめていくという感じだ。
俳優的には伊坂作品に以前出た濱田岳がいい味出していた。主人公が窮地になった時、なぜか現れる彼の存在が映画を面白くしている。わざとらしさもなく好感が持てた。永島敏行が銃を持って主人公を追う姿は妙な感じがした。不気味さを出すためかセリフがない。悪役変身も悪くはない。



ビートルズの「ゴールデンスランバー」は想い出深い。「アビーロード」のB面はビートルズのアルバムでもベストだという人もいる。実質的には最終の収録である。ジャケットの4人が横断歩道を歩く姿が印象的、当時メンバーの死亡説がマジに語られた。「ポリシーンパン」からジョンが次は頼むぞとばかり最後の友情の声をかけスタートするポールの「シーケイムインスルーザバスルームウインドウ」への軽快な歴史的メドレーが終わった後、ポールのピアノが流れながらしんみりと奏でる。短い曲ながらビートルズの終わりを告げるような名曲である。
伊坂幸太郎もいい曲選んだものだ。「ソーシャルネットワーク」で最後にビートルズ「ベイビーユアリッチマン」が流れた時も興奮した。同じような衝撃だ。

映画に「必殺技」と称して柔道の大外刈りが出てくる。これもあれっと思った。主人公が以前アイドルを救ったときに、使った裏技の設定である。
これには一言言いたい。右技同士が技をかけあうときはそう簡単には大外刈りは決まらない。力の差がないときつい。なぜなら右利きと同時に右足の方がきき足で強いということがあるからだ。

でも実は高校時代自分の必殺技として相手の左足めがけて入る大外刈りを覚えていったものだ。黒帯をとってまもなく背負い投げに行き詰まりどうしようかというときに覚えた。右足と違って左足に一瞬のすきをついてはいる技が割と決まる。30代に高校のOB会で現役に対して華麗に決まったこともある。設定にもう一工夫あるともっと感激したかも。

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ケース39   レネー・ゼルウィガー  

2011-05-22 19:17:28 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「ケース39」怖い!
本当に怖い映画で途中で何度もDVD止めてしまった。
目を伏せること数回、ドキッとして思わず声をあげてしまいのけぞること数回
オスカー女優レネー・ゼルウィガー主演のホラーサスペンスということで、苦手のホラー系だけどなんとなく見た作品だった。こんなに凄いとは思わなかった。制作の後公開に数年かかったのがわかる。「エスター」と似たようなテイスト。子供を主演にしたホラーは別の意味で怖い。こういうのが好きな人には超おすすめだ。


(日本でいえば)児童相談所のソーシャルワーカーである主人公ことレネーゼルウィガーは、児童虐待を受けている可能性が高いエミリーという10歳の少女を担当することになった。女の子はレネーに恐怖心を語る。しかし、少女の両親との面談では本人は特に話さず、上司からは問題がないと判断された。

それでも気になるレネーは、エミリーに何かあれば連絡するようにと電話番号を教える。すると、深夜エミリーからSOSの電話が入った。すぐに親しい刑事と家に向かった。エミリーは両親にオーブンに押し込められ、焼き殺されそうになっていた。両親と格闘の末、エミリーを保護した。レネーはソーシャルワーカーとしての本来の業務を逸脱して、彼女への同情心を持った。施設に預けられたエミリーをしばらく預かる事にした。ところが、少女を預かった後次から次へと奇怪な事件が起こる。。。。。


「エスター」との類似点がある。細かいストーリーは異なるが、一人ぼっちの少女に同情して、預かってみると奇妙な事件が次から次へと起きていくという流れだ。若干「ケース39」の方がオカルト的要素が強いかもしれない。
最初は児童虐待の色彩が強い作品なのかと錯覚した。そう観客に思わせるような迷彩もうまい。どきどきした。でも途中で流れが変わる。この上ない虐待者と思わせていた少女の両親の立場がガラッと変わる。「悪魔」という概念は日本ではあまり強くないのかもしれない。葬式を仏式でやって、クリスマスを祝って、正月には神社に初詣をする無宗教といってもおかしくない日本では、宗教に対抗する存在としての悪魔の存在の影が薄くなる気がする。そんな悪魔にどう対抗するか最後まで読めなかった。



エスターもこの映画も両方とも少女が異様なくらいの怪演を見せる。なんでここまでできるの?と思うぐらいだ。同級生たちがまだ小学校でおままごとのような劇をやっている中、大人と対等に勝負している。すごい。学校でいじめられないかな?と心配するくらいだ。
オスカー女優レネーゼルウィガーもよくこういう映画に出たなあと感じた。落ち着いた冷静沈着なソーシャルワーカーが次第に狂っていく。その落差を演じるのはさすがにベテランの域に達しているのだと思う。少々顔がむくんできたなあという気もするけど。。。ベティデイヴィスやジョーンクロフォードが晩年ホラー映画得意となったのとは違う気もするが、これから増えるかも。

最近はラブコメの常連となったブラッドリークーパーの恐怖のシーンこれも怖かったなあ。
恐怖の波状攻撃。いやー凄かった。
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どいついたるねん  赤井英和

2011-05-21 14:48:50 | 映画(日本 1989年以降)
「浪速のロッキー」とまで言われた赤井英和の自伝的作品だ。荒戸源次郎事務所作品として、今でこそ日本映画の巨匠となった阪本順治監督と俳優としてはほとんど実績のない元ボクサー赤井英和がコンビを組む。プロによる本格的なボクシング映画だ。少し太めになった赤井英和の姿から見ると、20年前は実に精悍だ。


大阪が舞台、試合でノックアウトされ再起不能となった元チャンピオンこと赤井英和は、自らのジムを設立した。ある日、ジムにふらりと中年男が現れた。男は元ウェルター級の日本チャンピオンこと原田芳雄だった。赤井は原田をコーチとして雇うが、ジムに集まった練習生たちは赤井のあまりの横暴さに嫌気をさし、みな去ってしまう。結局、ジムを閉めることになった赤井は、元の所属ジムに戻り、会長麿赤児とその娘こと相楽晴子、そして原田と共に現役カムバックへと向かっていった。過酷な減量に苦しむ赤井だ。4回戦ボーイからやり直しとなった赤井のカムバック戦の相手が決まったが。。。。

コテコテの大阪が舞台である。なつかしい。
これが公開された89年に会社の異動で大阪へ行った。天王寺から一つ先のところに住んだ。最初に天王寺動物園が出てくる。御堂筋線のホームはいかにも動物園らしくなっていて途中下車したくなるが、周りの連中は「あそこで降りたらあかんで」と言う。確かに行ってみると驚いた。通天閣は大阪の象徴だと思っていたが、通天閣に上ったことがないという関西人にずいぶんと出あった。そんなコテコテのディープなエリアがこの映画の舞台だ。新世界のロケってものすごく情緒を感じる。飛田も出てくる。

映画公開の数年前まではバリバリの現役だった赤井英和だけにリアル感がある。彼は大学の時からものすごく有名だったらしい。当時を知る人の話では、近大に赤井ありと言われていたらしい。かっこいいので有名だったそうだ。本気で殴っているなあ!と思しきシーンもずいぶんとある。原田芳雄も今からすると22年前だけに、その昔の荒々しさを残している。

何と言っても適役なのは麿赤児だ。関西の匂いをぷんぷんさせる彼に「あしたのジョー」の丹下役をやらせてみたかった。途中だれておもしろくないという展開もあったが、試合の場面では盛り上がりが凄い。ある意味名作ロッキーのような後半戦となっているのでわくわくする。
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八日目の蝉

2011-05-18 11:01:09 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
paceolaさんお勧めの映画「八日目の蝉」を劇場で見てきました。
ひたすら涙の大洪水、映画が終わってハンカチを吹きながら洗面所で自分の顔を見ると目は真っ赤。カバンからティッシュを取り出してジュルジュルした鼻をかんでしまった。
誘拐犯の女性がその子を育てるという前提のみ知って、劇場に向かったが、なかなか考えさせられる映画であった。不倫相手の子供を中絶した主人公こと永作博美は、本妻こと森口瑤子が生んだ赤ん坊を盗み、逃亡する。永作博美は赤ん坊に、堕胎した子につけるはずだった薫という名前を付け、実の娘として育てる。
xy座標軸を永作博美と井上真央の2人に置きながら、z座標の時間軸を前に後ろに振る手法で映画を作り上げていく。フラッシュバックを基本にした3次元の構成は巧みだと思う。


生後4カ月の女の子を誘拐、4年間逃亡した野々宮希和子こと永作博美が逮捕されるシーンからスタートする。「なぜお母さんが。。。」と戸惑う4歳の女の子。真実の両親に会ってもピンとこない。裁判所で永作博美への論告求刑が告げられた後、永作は静かにこう述べた。「四年間、子育ての喜びを味わわせてもらったことを感謝します」傍聴席から猛烈に反発する母親こと森口瑤子だ。
妻帯者の男を好きになった永作は彼の子供を身ごもる。「今は無理だ。もう少し待ってくれ」と中絶する道を選ばせる。そのあと、男は妻と子供をつくる。永作は、夫婦の留守宅に忍び込み、赤ん坊を見つけ魅せられる。思わず抱かかえて雨の中を飛び出す。永作は子供を薫と名づけた。彼女の逃避行が始まる。カルト系集団のアジトに世話になったり、小豆島へ行ったりしたのであるが。。。。


誘拐された女の子秋山恵理菜こと井上真央は21歳の大学生となった。無神経に事件が書きたてられる中、家族は疲弊していった。誰にも心を開かないまま、井上は家を出て一人暮らしをする。井上は所帯持ちの男岸田こと劇団ひとりに好意を寄せられていた。そんな頃、恵理菜のバイト先にルポライターこと小池栄子が訪ねてくる。小池は昔の記事の切り抜きを井上に示し、あの誘拐事件を本にしたいと接触する。拒絶する井上。しかし、小池が井上を度々訪れるうちに拒絶できなくなる。そんな時、井上は自分が妊娠していることに気づく。自分の父親が永作にした行為との類似点を見いだしながら、小池に語っていくのであるが。。。。


前半では、生まれて間もない子供を置いて、外出するなんてバカな母親だ。そんなことする親だから子供をさらわれてしまうんだなんて思ったりして不愉快な始まりだった。小池栄子もうっとうしく井上真央につきまとい、これもいやらしかった。誘拐犯にさらわれた子供のころの話をさせようとするなんて、なんて嫌な奴と思っていたのであるが、あとでオチがついた。


長時間の映画で脚本、監督もどこをカットするか迷った印象のある映画だ。構成はうまいが、編集はものたりない。島の人に協力してもらうからなのかもしれないが、祭りや舞台などここまで挿入する必要はないのではないか?と見ながら思っていた。でも、そう思った後の展開には涙腺を強烈に刺激させられた。


4歳の時の記憶ってあると思う。自分に振りかえってみても、3歳後半くらいから残っている。三歳の七五三のとき、母と五反田の写真館に入った記憶がある。主人公と同じような立場になってみたら、大変なことだったろうかと思う。子役のブルーの服が、娘が小さい頃によくきていた服によく似ていたので妙に親近感をもった。演技ができるという段階ではないと思うが、赤ちゃんが妙にかわいかった。衝動的に奪い取ってしまいたい気持ちにさせられる赤ちゃんだ。

クレジットは井上真央をトップにして永作博美をラストにしているが、実質的に主演2人とするべきであろう。この二人については完ぺきだと思う。永作博美についてはここで「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の演技を絶賛したこともある。今回も狂喜迫る表情と子供への異常な母性を見事に演じた。井上真央も外に心を開かない今風の女の子を見事に演じた。うまい!適切な配役だ。
小池栄子は「接吻」で大きく変化をとげた。その実力を評価され、今回も出ていたのかと思う。もともとの小池のキャラと違う役柄を演じるとうまい。あと驚いたのは母役の森口瑤子だ。実は個人的に彼女の大ファンである。それなのに最初はわからなかった。最後にクレジットを見るまで確信が持てなかった。それだけ彼女が役に没頭しているのだと思う。ある意味CMクイーンで、幸せそうな奥さんを演じるのが得意な彼女が正反対のヒステリー女を演じる。こうも変わって見えるものなのか。女は怖い。
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ミラーズ キーファーサザーランド

2011-05-15 18:46:16 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
たまにはホラー映画もということで「ミラーズ」を見てみた。
確かに怖い。次から次へと怖い場面を見せる。
今夜寝てから洗面所に行くのが一番怖いかも?



ニューヨーク市警の刑事として勤務していた主人公ことキーファー・サザーランドは、誤って射殺させ停職処分を下される。今は妹のアパートに居候の身だ。妻ことポーラ・パットンとは別居中だ。二人の子供との生活を取り戻そうとしていた。主人公はニューヨークのデパートの焼け跡を巡回する夜警の仕事にありつく。そこは、5年前の大火災で多くの死者を出して閉鎖された場所だ。火災保険会社との係争が長引き現場はそのままだった。
焼け残ったデパートの内部は異様な雰囲気だった。フロアのあちこちにマネキンが転がっている。その中で、巨大な鏡に引き寄せられた。すると突然、どこからともなく聞こえてくる呻き声。鏡に映し出される焼けただれた女性が。。。この夜以来、主人公の周囲で奇怪な出来事が続発する。しかも、主人公の妹が自宅のバスルームで無残な死体で発見される。同時に別居中の妻と子供の周辺にも妙な動きが見えるようになるが。。。。

ストーリーに入る前にいきなりある男が鏡に引き寄せられ、鏡の中の自分が首を切りつける残虐な場面が出てくる。いきなりどぎつい。
自分の姿を写す鏡って、そのまま自分の動きに合わせるけど、鏡の中に映っている自分の姿をした者が自分とは違う動きをする。しかも残虐な動きをする。気味が悪い。

いちばん怖かったのは主人公の妹がバスルームに入っているシーンだ。おっとこう来るといった感じで、目をそむけてしまった。口裂け女もびっくりのシーンだ。

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オーケストラ!

2011-05-11 18:42:22 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「オーケストラ!」は想像以上におもしろかった。元気が出る映画だ。
旧ソ連時代に地位を奪われたロシアの元天才指揮者が、30年後の今、共に音楽界を追われた演奏家たちを集め、ボリショイ交響楽団に成り済ましてパリ公演を行う話だ。単純な話と思しき映画だが、徐々に盛り上がる熱い感動に胸がジーンときた。


モスクワの劇場清掃員として働く主人公アンドレイ・フィリポフことアレクセイ・グシュコブは、ロシア・ボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者だった。彼は、30年前“ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶して解雇された。ある日、清掃中にアンドレイは、1枚のFAXを目にする。それは、パリの音楽の殿堂シャトレ座に出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容だった。その瞬間、彼は、かつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込むことを思いつく。


アンドレイはまず、元チェロ奏者で今は救急車の運転手に話を持ちかける。呆気にとられるが、アンドレイの熱意に押され、一緒に昔の仲間を訪ねていた。最後に干されたマネジャーまで引っ張り出し、タクシー運転手、蚤の市業者、ポルノ映画の効果音担当……モスクワの片隅でかろうじて生計をたてている彼らを訪ねる。ほとんどが二つ返事で承諾する。演奏曲はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ソリストはパリの若手バイオリニストであるアンヌ=マリー・ジャケことメラニー・ロランを指名。受け入れないと思っていたオーダーを彼女が受託しパリ行きが本当のものになりそうであったが。。。。。

オーケストラだけに登場人物が多い。でもそんなに複雑にはならない。キーとなる指揮者を主役として流れから外していないので、ストーリーが大きく脱線しない。わかりやすい脚本だ。
単純な構図ではあるが、共産党独裁時代、ロシアにおけるユダヤ人問題など政治的要素も加わり、見ようによっては壮大なテーマである。設定がありえそうにないのに、共産圏の政権の大変動もあったので、もしかしたらこんなことあるかもと思わせるのは映画脚本がうまいのかと思う。
主役のアレクセイ・グシュコブはポーランド人、準主役のフランス人若手美人女優メラニー・ロランはユダヤ系である。同時にフランスやロシアの俳優も大勢引っ張り出す。人種のるつぼといった感じだ。ここではあえてユダヤ系登場人物のせこさを前面に出す。


コメディタッチで数多くの俳優を平等に活躍させる中、やはり際立つのがメラニー・ロランの美貌であろう。現代的な美貌の中にバイオリニスト役としても通じる上品さを兼ね備える。タランティーノの「イングロリアルバスターズ」にも出演と、将来の活躍を予感させる大器である。

最後にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を迫力満点に楽しめた。
これは本当によかった。
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プロフィル 好きなもの

2011-05-11 09:45:04 | プロフィル
好きな町  香港、横浜元町、神保町、神楽坂

好きな花  梅

好きな映画ベスト3 アラビアのロレンス、ブルースブラザーズ、天国と地獄

好きな映画監督 クリントイーストウッド、デイヴィッド・リーン、黒澤明、神代辰巳

好きな男優  クリントイーストウッド、トムクルーズ

好きな女優  イ・ジウン、江口のりこ、スカーレット・ヨハンソン

好きな飲み物  サンセール(フランスワイン)、富乃宝山のお湯割り、カナディアンクラブのソーダ割り

好きな歌手  矢沢永吉、吉田美奈子、森高千里

好きな演奏家  マルタ・アルゲリッチ、マイルスデイビス、高中正義

好きな作曲家  ラフマニノフ、ベートーベン、ポールマッカートニー

好きな音楽ジャンル  70年代のポップス、ソウル 70年代後半~80年前後のファンキーM&フュージョン

好きな曲 高中正義「サンドロップス」、クルセーダース「ラストコール」、マイルスデイヴィス「スパニッシュキー」

好きな野球選手  王貞治、テッドウィリアムス、江夏豊

好きな駅  御茶ノ水

好きなブランド ブルックスブラザース

好きな画家  クロード・モネ、エドワード・ホッパー

好きな科目  現代中国史、統計学、歴史社会学

好きな作家  村上春樹、色川武大(阿佐田哲也)、中島敦

好きな本 城山三郎「成算あり」松本富雄「超ニ流セールスマンへの道」星野博美「コンニャク漂流記」

好きな小説   宮本輝「錦繍」、村上春樹「国境の南太陽の西」、中島敦「山月記」、ドストエフスキー「賭博者」

好きな古典  クラウゼヴィッツ「戦争論」、ミルトン・フリードマン「資本主義と自由」、アダムスミス「国富論(諸国民の富)」、フリードリヒ・ハイエク「隷属への道」

好きな学者  ミルトン・フリードマン、アダムスミス、ジョン・メイナード・ケインズ

好きなお守り  宮城県 金華山黄金山神社のストラップ

好きな料理  デリーのタンドリーチキン、四川風マーボー豆腐、ボルシチ

持っている資格 映画検定二級

小学生の時なりたかった仕事 スポーツのアナウンサー

行ってみたいところ  高知県、イグアスの滝、カスバ

この世に生れて一番うまかった3つの料理
香港「福臨門」福建炒飯、和歌山 クエチリ、桑名「柿安」肉の網焼き

好きな古典曲  ラフマニノフピアノ協奏曲2番、ベートーベンピアノソナタ悲愴、ホルスト「惑星」、マーラー交響曲第5番、プロコティエフピアノ協奏曲第3番
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サマーウォーズ

2011-05-11 08:02:39 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「サマーウォーズ」は細田守監督が描くオリジナル長編アニメーション映画だ。数学が得意だが気弱な高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、彼女の実家で夏希のフィアンセとして過ごすことになる。健二はネット上の仮想空間OZで起きた事件に巻き込まれ、その影響が現実世界にも波及するという話だ。仮想空間とは正反対の長野県上田市の田舎を舞台にして人情とハイテクの両面を描くアニメだ。


東京の高校2年生である主人公小磯健二は、数学が得意な高校生だ。しかし、数学オリンピック日本代表の座を取りそこないがっかりしていた。夏休みにふとしたきっかけから憧れの先輩、篠原夏希に誘われて長野県の上田市を訪ねた。向かっていた上田には夏希の曾祖母陣内栄がいた。陣内家は室町時代から続く旧家で、栄の90歳の誕生日を祝うため、各地から多彩な親戚が集まってくる。そこで健二は突然、夏希から将来のフィアンセを装うよう頼まれる。健二は困惑しながらも栄のために4日間の滞在をすることになった。



その夜、不審な数学クイズのメールを受け取った健二は、数学好きの虫が疼きだし夜を徹して解答する。翌朝、仮想都市OZに出現した謎のアバター“ラブマシーン”は、完全無欠と思われていたOZ管理棟のパスワードを入手する。健二を始めとする多くのアバターにクイズ形式で解析させていたのだ。OZの心臓部に侵入したラブマシーンは4億人以上のアカウントを奪取、現実の世界を一変させてしまう。緊急通報システムと交通管理システムを麻痺させ、警察や消防署、病院は機能しなくなり、大混乱に陥っていったが。。。。


都市部の風景だけを映すだけのではなく、田園地帯を臨む上田を舞台にしたところがこの映画の成功したところであろう。オタク達だけが登場しての仮想空間での争いという一面では見るものも疲れてしまう。誰もが夏休みにはのどかな田舎で過ごしたいものである。なぜ上田?と一瞬思ってしまうが、真田幸村の反目の戦いという歴史的ルーツを引っかけた部分もあるのであろう。

大学の時、合宿はいつも長野の高原地帯でやっていた。その途中で先輩の出身地である上田にも寄ったことがある。最近は変わったかもしれないが、典型的な田舎だった。
劇中、親戚の一人に上田高校野球部員がいて、高校野球の長野大会をテレビで映し出す場面が出てくる。こういう時は、架空の高校名を出すのが一般的であるが、上田高校、松商学園とリアルな名前をだす。なぜか自分の人生の中で、不思議なくらい上田高校出身者に縁がある。高校の理科の教員が上田高校出身、大学のときにはクラブの1年、2年先輩、1年後輩にも上田高校出身者がいた。クラスメイトに1人いた。会社に入ってからも6年間世話になった支店長が上田高校出身、重要顧客にもいらっしゃった。みんなまじめな人たちだ。大学の時宴会芸で先輩たちが上田高校校歌を歌っていた。これが実にいい歌で、関係ない連中までこの歌を覚えてしまった。真田の戦いを連想させる格調高雅な歌だ。実は今でも僕はこの歌をそらで歌える。奇妙な話だ。自分の出身校以外でさびだけでなく歌詞まで正確に歌えるのはこの歌だけだ。そんなこともあり、この映画に妙に親近感があった。

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キカ ペトロ・アルモドバル

2011-05-10 17:45:33 | 映画(洋画 99年以前)
スペインの巨匠ペトロアルモドバル監督の93年の作品だ。いつもながら色彩設計の凄さに圧倒される。正直ストーリーは支離滅裂で、いつも通りにあらすじを書くのも難しい。基本はサスペンスであるけれども、色彩や衣装に目を奪われて話の内容はどうでもいいと思ってしまう。



数あるペトロアルモドバル監督の作品の中でも、登場人物がハチャメチャである。
メイクアップアーチストである女性主人公キカを中心に動いている。でも放浪作家やその息子であるカメラマンを登場させキカと三角関係にさせたり、ちょっと不思議な格好をした異常なニュースキャスターに、ピカソのような顔をしたメイドとその弟にあたりポルノ男優だった犯罪者などを登場させかく乱させる。


ペトロアルモドバル監督の作品はストーリーをまともに受け入れようとすると頭が混乱してしまう。不思議系である。でもずっと見ていて飽きない。それは、色彩設計が非常にうまいからだろう。
原色の使い方の巧みさは群を抜いている。赤、黄色、オレンジといった原色に彩られたインテリアは本当にすごい!美術のセンスがいい作品を見ると、それだけで楽しい。
衣装にもびっくりだ。特にSMクラブのお姉様のようなニュースキャスター役の衣装は映画史上でも際立つ異常さである。



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運命の逆転  ジュレミー・アイアンズ

2011-05-07 05:23:56 | 映画(洋画 99年以前)
「運命の逆転」は実話に基づく90年のサスペンス映画である。「危険な情事」で世紀の悪女を怪演したグレンクローズが、貴族出身の貴婦人と正反対の役柄を演じる。彼女がクレジットトップだが、夫役ジュレミー・アイアンズがアカデミー賞主演男優賞をこの映画で受賞した。冷静沈着な男を演じた。犯罪者なのか無罪なのかきわどい男を演じた。実に巧妙だ。

富豪の令夫人サニーことグレンクローズが病院で植物人間のように寝ている場面から始まる。その彼女が回想するがごとく話が始まる。
1980年の大富豪のお城のような家が舞台だ。主人であるクラウス・フォン・ビューローことジュレミー・アイアンズが朝食時に妻が不在ということに気づき、サニタリールームを見た。グレンが倒れていた。グレンは再婚で二人には妻グレンの連れ子の2人と二人の子供の妹がいた。ジュレミーの振る舞いをみて、連れ子の二人が疑問を持つ。結局彼女は植物状態に陥ってしまった。夫は財産目当てで妻の殺害を企てたと訴えられた。そして証人の証言、証拠などから裁判では1審で懲役30年の有罪判決を受けた。
ここまで速い展開で進んでいく。


ハーバード・ロー・スクールの教授アラン・ダーショウィッツことロン・シルヴァーはある日、ニュー・ポートに住む大富豪のジュレミーから弁護の依頼を受ける。ユダヤ人の教授は最初は裁判の引き受けをためらった。この事件は上流階級のスキャンダルとして世間の注目を浴びていた。会ってみると上流ぶった元ドイツ貴族のジェレミーからユダヤ差別と受け取りかねない発言も出ていた。元検察の人間がからんだ一審の判決への疑問、別の人権関係の事件の裁判費用を調達するためにも依頼を引き受けることにする。同時に同僚とチームを組んで事件を洗いなおす。
調べていくうちにいろんな事実が見えてきた。夫の供述もおかしくはない。確かに夫には愛人もいたり、不利と思われる事実も数多くあった。しかし、少しづつ裁判に有利な状況も浮かび上がってきたが。。。。

なかなかおもしろい作品だ。日本で言うと三浦事件のようだ。夫に愛人がいたりして、いかにもクロという印象を最初に我々に持たせる。簡潔に一審までの話を述べた後で、教授と主人との会話の中でわずかながら妻がみずから薬中毒になってしまったのではとしだいに思わせる。つくり方が上手だなと思う。
しかし、実話に基づくせいか、「逆転」という割にはびっくりさせるようなストーリーではないかもしれない。詰めが甘いような印象を持った。それは仕方ない。


主人公ジュレミー・アイアンズはいかにも冷静沈着な印象を与えるキャラクターを演じた。アカデミー主演賞というと、普通と違ったキャラクターを演じている時に与えられていることが多いと思う。今回は動の印象はない。でもこの役ってそう簡単ではない。お見事というのに尽きる。それを引き出したグレンクローズも貫禄の演技だ。せわしない教授を登場人物に入れたのも、主人公の冷静沈着ぶりを逆に印象付ける。対照的な存在をうまく引き出すことで主人公のオスカーが勝ち取れた印象を受けた。
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KT  金大中事件

2011-05-05 06:55:35 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
73年の金大中事件を題材にした日韓合作の映画作品だ。KTとは金大中のイニシャルだ。
歴史上の事件を再現したので、リアル感はある。当時の時代設定もまあまあよくできていた。けれど佐藤浩市のような存在本当にいたのかなあ。


1971年に行われた韓国大統領選挙で朴正熙の三選が決まった。敗れた野党候補の金大中が予想を上回る得票を得た。朴正熙大統領は金大中をはじめとした反対勢力の存在を疎んじて戒厳令を出し、朴政権に反するものを弾圧した。金大中は日本とアメリカを行き来して亡命を続けて、反朴政権の民主運動を続けている。追われる金大中と追う当局の戦いがはじまっていた。
73年6月、自衛隊のキャリアである主人公こと佐藤浩市は、旧陸軍士官学校に所属した朴とのつながりを持つ上層部からの命令で民間興信所の所長となり、ある任務を受けた。それは、KCIA(韓国中央情報部)による金大中の捜索であった。駐日韓国大使館一等書記官・金東雲らが強くかかわっていた。金らは本国から特命を受けていた。
名付けてKT作戦。しかし、内部の密通者に偽の情報を掴まされてしまうこともあった。
そんな中、佐藤浩市は金大中の取材に成功していた夕刊トーキョーの記者こと原田芳雄に接近し、遂に金大中が8月9日に自民党で講演を行うとの情報を入手。報を受けた金東雲は、それを機に作戦を実行しようとする。ところが、その計画が漏洩し、記者原田芳雄を通して週刊誌にスクープされた。この事態に、KCIAは金大中が8月8日に日本滞在中の民主統一党党首・梁宇東をホテルに訪ねる機会を狙って、強行手段に打って出ることになった。。。


子供のころ、金大中事件は新聞で繰り返し報道されていた。
当時、父親がよく韓国に遊びに行っていた。息子の自分は詳細はよくわからないが、戒厳令になって夜間外出禁止令が出ていたので楽しい思いをしたのであろう??身近な気がした。
現在のインターネット社会だったらこういう事件も起きなかったであろう。なんせKCIAという存在は、すべての日本人にとって脅威の存在だった。日本のホテルから行方不明になって、突如として韓国では発見なんて話はいかにもスパイ映画のようで、そういうことが本当に起こるのかという思いをみな思った。ものすごく怖い存在に韓国の人間が見えたものである。
当時金大中氏がインタビューに答えて流暢な日本語を話していた記憶がある。この映画で金大中に扮する韓国人俳優が話す日本語とは比べ物にならない本物だった。大統領になったあとは、立場上日本語をオフィシャルな場面では使わなかっただろうけど、戦前日本語教育が韓国できっちりされていたことが印象深かった。そういえば朴正熙も日本語がうまかったらしいなあ。映画「大統領の理髪師」で朴大統領が日本語を話す場面を思い出した。不思議な感じだ。



当然歴史上の史実に基づいたとは思うが、この事件に絡んだとされる佐藤浩市扮する自衛官の存在には驚いた。戦前の旧日本陸軍士官学校に朴大統領が所属していたこと自体は、あまりにも有名である。そのつながりで自衛隊の一人の幹部がこのような任務をせおったなんて話は当然当局は否定するだろう。凄い話である。でもこれに近い事実って本当なのかなあ?

映画の出来も悪くはない。阪本順治監督の作品にはずれはない。緊迫感が前半から続き、飽きがこなかった。ただ、「チェイサー」「殺人の記憶」といった出来のいい韓国映画と比較するとパンチがたりない印象もある。
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古都  岩下志麻

2011-05-04 06:06:39 | 映画(日本 昭和35年~49年)
岩下志麻の初期の作品である。川端康成の小説を映画化して、美しい京都を舞台に離れ離れで育った双子の姉妹の姿を描く。現代風女性とは違った日本の古風な女性を岩下志麻が演じる。彼女の美しさが際立つ映画だと思う。



主人公佐田千重子こと岩下志麻は呉服問屋の一人娘として何不自由なく育った。しかし、彼女は実の子ではなかった。店の前の格子の下に捨てられていた捨て子だった。親娘の愛は細やかだった。父こと宮口精二は下絵に凝っていた。帯の下絵を持って東野英治郎が主人の西陣の織屋を訪れる。その息子こと長門裕之は岩下に想いを寄せていた。一瞬下絵を織るのにためらうが着手することとなる。
岩下は、清滝川に沿って奥へ入った北山杉のある村を友人と訪ねた。そして杉の丸太を磨いている女達の中に自分そっくりの顔を見い出した。夏が来た。祇園祭で賑う四条通を歩いていた岩下は北山杉の娘苗子こと岩下志麻(一人二役)に出会った。娘は「あんた姉さんや」と声をふるわせた。千重子と苗子は双子の姉妹だった。しかし父も母もすでにこの世にはいない、と告げると苗子は雑踏に姿を消した。その苗子を見た長門裕之が千重子と間違えて、帯を織らせてくれと頼むのだったが。。。。

熟年の域に達した岩下志麻は、やくざの姐さんが似合う怖い存在となった。話し方にも貫禄がある。そういう彼女を見ているとこの映画での岩下志麻には違和感がある。やさしい匂いがある。でも、この映画の岩下志麻が見せる日本人特有の古風さを持った京都の老舗の御令嬢という役柄はなかなかいいもんだ。岩下の和服のセンスもいい。昭和30年代の映画では和服のセンスの良さに感嘆させられることが多い。そこが昭和40年代以降の映画との違いか。

同時に京都の美しい伝統的な風貌を映像にする。いきなり瓦屋根の京都の街並みの姿がタイトルのバックになる。わくわくする。そして格子の美しい日本家屋を見せながら、八坂神社のしだれ桜や祇園祭の趣きある姿を映す。北山杉のある村に独特の雰囲気があり、日本的情緒にあふれている。



ストーリーや演技で見るというよりも、映像を楽しむといった映画だと思う。
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ニッポン無責任時代  植木等

2011-05-03 21:20:48 | 映画(日本 昭和35年~49年)
地震後の暗い世の中でパーと明るい雰囲気にしようとするならば、何はともあれクレイジー映画である。植木等の得意の歌が満載で数多くある映画の中でも代表作といえるのは37年の「ニッポン無責任時代」だろう。話の展開は相変わらずばかげているが、当時の東宝のコメディはどれもこれも高度成長時代の日本に相性の良いものだといえる。気楽にみるのがいいもんだ。



主人公の平均(たいらひとし)こと植木等は三流大学中退して、お気楽に会社を渡り歩いている男だ。下宿の家賃もたまりがち。そんな彼がなにか儲け話をゲットしようと銀座のバーに足を運ぶ。
そこで客がホステスと太平洋酒販の株が上がるよというを話を聞く。それを聞いた植木は太平洋酒販にちかづいていく。大ボラまがいの口上で死んだ政治家の知り合いと巧みに社長ことハナ肇に近づき、太平洋酒販の総務部に入社した。そこには総務部長の谷啓や犬塚弘、安田紳、桜井センリなどのメンバーがいた。植木は、大株主こと松村達雄を説得することであった。軍資金を用意させ、早速松村に会い、小切手1つで見事に成功したと思いきや、株の買占め側が大株主の松村を口説いたという噂が。。。。

こういうサラリーマンもの典型で、会社の支配権を得るための株式の買占め、それにつなげた夜の蝶たちとの関わりあい、ごますりと接待漬けなんていうことが最後まで次から次へと話のネタになる。森繁や小林圭樹、三木のり平といった駅前シリーズもクレイジー映画も基本的なパターンは変わりやしない。今もあるかもしれないが、日本経済というのはこういうサラリーマンの立ち回りでもってきたのかもしれない。女性陣は団令子、重山規子という常連で、まだ浜美枝はでていない。調子よく女性陣に斬り込んでいく植木等である。



この映画が数あるクレイジー映画の中でも注目すべきなのは、植木等の代表的な歌が収録されていることだと思う。
「無責任一代男」(おれはこの世で一番無責任と言われた男、ガキーのころから調子よく。。。。)、「ハイ、それまでョ」(てなこと言われてその気になって女房にしたのが大間違い。。。。)、「五万節」(学校出てから十余年今じゃしがないサラリーマン。。。。)、「ドント節」(サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ。。。。)
これらの歌を軽快に植木等が歌いまくる。平成2年の紅白歌合戦での大フィーバーぶりを思い出す。
青島幸男作詞の歌詞、それは最高だ。議員の青島は嫌いだが、脚本と歌作りにかけては天才だと思う。「タイミングにC調に無責任」そんな雰囲気で乗り切りたいものだ。

ニッポン無責任時代
植木等の代表曲が高らかに鳴り響く
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