映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ノーウェアボーイ  ジョンレノン

2012-04-28 20:08:38 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ノーウェアボーイ」はジョンレノンのビートルズデビュー前を描いた映画である。

不良少年ジョンがやんちゃぶりを発揮して、2人の母親を悩ませる構図がこの映画の主題だ。40年以上ビートルズにかかわっていていながら、レノンのこういう逸話は知らなかった。


ジョンレノン少年は父母と離れて、伯父伯母夫婦に育てられていた。15歳の時伯父さんが亡くなり、伯母(クリスティン・スコット・トーマス)と2人暮らすことになる。やんちゃばかりを繰り返していたが、ますますエスカレートしていた。そんなジョン少年の親友が、ジョンの実の母親(アンヌ=マリー・ダフ)が近くに住んでいると教えてくれた。
友人とこっそり母の家に行った。妙に照れくさかった。ジョンと気づき母は歓待してくれた。母は姉妹である厳格な伯母と違い、自由奔放であった。音楽が好きでポップミュージックの楽しさを教えてくれた。
そして時折行くようになった。伯母の家には小さい女の子が二人と優しい夫がいた。伯母の家で音楽の楽しさを知ったジョンはバンドを組む。
ところが、学校の成績は急降下で素行の悪さも指摘させられていた。家ではギターを取り上げられた。しかし、こっそりもらった母の小遣いですぐ買い戻す。
ギターを使ってロックンロールを演奏するよになり、コンサートもやるようになった。
会場で近づいてきたのは左利きのギターリストポールマッカートニーである。2歳年下の彼は巧みにギターを使い、そのテクニックを見て一緒にやるよう誘った。。

英国らしいレンガ造りの家が立ち並ぶ中、物語が展開する。
ジョンの出生の秘密は意外に語られていないし、デビュー前を描く作品は初めて見る気がする。
育ての母と生みの母の間でさまよう息子の物語は数知れずあれど、ジョンレノンがまさかこんな境遇だったのかと思った。
あとはポールマッカートニーとの歴史的出会いが描かれる。これぞまさに有史上最高の名コンビの誕生である。2人が曲を創る過程を映し出す場面があり、個人的にはエキサイティングに見えた。
ところがビートルズが終わりに近づき、60年代後半に一気に仲たがいをする。こんな素敵な出会いなのにと思いながら、ジョンが亡くなった時、ポールは出会ったときを思い出しひそかに悲しみにくれたのではないかと想像した。


演技としてうまいのは2人の母親である。2人のおかげで映画がぐいぐい引き締まっている。
「イングリッシュペイシェント」のすばらしい演技をはじめとしてクリスティン・スコット・トーマスの出る映画には英国人らしい格調の高さを感じる。まさに格調高雅といった言葉が適切だ。
母親アンヌ=マリー・ダフもうまい。なぜか2人は実の姉妹のように似ているように見える。

あとは音楽の選択がうまい。
名作「ストレンジャーザンパラダイス」で繰り返し流されていた「アイ・プット・ア・スペルオンユー」が効果的に使われている。CCRも歌っていたが、この渋さは絶妙だ。あとは「マイボニー」や未公開のビートルズ前哨戦の歌がいい。
左利きのポールがベースでなくギターを鳴らしながらロックンロールを奏でるのがいい。

実際の顔に似ていないので醒めてしまうような人もいるかもしれないけれど、僕には悪くなかった。
ラストでジョンの「マザー」が歌われる。歌詞のテロップを見ながら、感傷にふけった。
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私の中のあなた

2012-04-28 20:06:07 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「私の中のあなた」を見た。
キャメロンディアスとアビゲイル・ブレスリンが主演だ。お涙頂戴と聞いていたが、逆にひたすらむかつく映画だった。
普通だったらこういう場合コメントしないが、あえて書いた。

アメリカのある家庭が舞台だ。
夫婦がいてその下に息子、娘が二人いる。
この映画では二人の娘に焦点をあてる。片や生まれてすぐ白血病だとわかった女の子(ソフィア・ヴァジリーヴァ)だ。
もう一人は姉を助けるために生を得た妹(アビゲイル・ブレスリン)だ。小さいころから何度も姉のためにさまざまな医療処置を受けている。
姉のほうは年を経るうちに衰弱している。もはや臓器移植するしか生きる道はない。両親からは無理だ。
そうして妹からの臓器移植を試みようとする。
ところが、妹は反発する。ただでさえも何度も自分の体から姉の医療処置のため何度もいじくられている。
妹は弁護士になけなしの700$を持って依頼に行く。裁判所に対して、姉のために自分の身体を何かしらの処置をすることを差し止める訴訟を出すのだ。
母キャメロンディアスは元々弁護士だった。姉が長生きできないことで悩み、その姉を助けるため妹を生み、いろんな処置を指図してきた。
それに対しての妹の反発だ。未成年である妹の訴訟は通るのか。。。。

白血病にかかった姉ソフィア・ヴァジリーヴァの演技は迫真の演技だと思う。妹アビゲイル・ブレスリンも悪くない。でもこの映画ではキャメロンディアスが演じる母親のしぐさ、せりふにむかついた。(キャメロン自体に何も罪はない。)
妹をまるで生体ロボットのように扱う。そして姉の医療処置のために妹の身体をいじくることに抵抗を示さない。訴訟をされても、裁判に持ち込むまで自分を曲げない。異常だ。
アメリカにはこんな酷い女性がいるのであろうか?

「私を離さないで」という昨年の映画でクローン人間を作り、彼女たちが臓器移植されるために生まれてきたと言う話をみた。この映画ではクローン人間たちは生に対して執着心を持っていた。
見たときには妙にジーンと来た。
逆にこの映画はむかつくばかり。(まあそういうむかつかさせるところがみそかもしれないけれど。。。)
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ローラーガールズダイアリー  ドリューバリモア

2012-04-25 18:54:39 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ローラーガールズダイアリー」はドリューバリモアがメガホンをとった青春映画である。
これはおもしろい!


「JUNO」の幼い妊婦役が絶妙にうまかったエレンペイジが主演、17歳の普通の女の子がローラーゲームに夢中になる姿を描く。映画の途中も見終わった後も非常に爽快感がある。
見てよかったと思う映画だ。さすが「ET」の子役時代からキャリアを重ねてきただけあって、ドリューバリモアはなかなかやるなあ!!!


主人公(エレンペイジ)は17歳の高校生、両親と妹とテキサス州の田舎町に住んでいる。母親は主人公を少女ミスコンテストに参加させている。そこで優勝することが女の幸せになると信じて疑わない。しかし、主人公はあまり気乗りしていない。わざと髪の毛を青く染めたりして抵抗している。

主人公は親友と一緒にバーガーショップにバイトしていた。ある時さっそうとしたローラーゲームのプレイヤーが現れた。その姿にあこがれた主人公はテキサスの州都オースティンへ試合を見に行く。その後ローラースケートをしたことのない主人公は懸命にスケーティングを練習して、ローラーゲームのチームに加わろうとする。両親には大学入試共通テストの勉強をするといって、オースティンへ向かう。

ローラーゲームのチーム「スカウツ」にはドリューバリモアをはじめとした個性的なメンバーがそろっていた。タトゥーだらけのマッスルレディの集まりだった。しかし、チーム自体は弱かった。ファーストゲームをなんとかこなした。腕っ節の強い相手選手の中で主人公は踏ん張った。そんな中、観客席にいた地元のロックバンドのイケメン男と仲良くなる。しかし、ローラーゲームのことを黙っている母親のミスコン好きは醒めてはいなかったが。。。。


映画を見終わった後、これ以上ない爽快感を得た。こんなことって珍しい。
女性のスポーツを映画化したものって不思議と同じような爽快感をおぼえることがある。「プリティリーグ」や「ミリオンダラーベイビー」の途中までも同じような感じを得た。最下位チームの上昇パターンはスポーツ映画の定石だ。でもこの映画はそれだけにとどまらない。


まずは主人公の名演だ。プロレスラーのようなプレイヤーの中をエレンペイジが小さな身体でさっそうとスケーティングをする。これだけで胸がすかっとする。JUNOの名演よりも自分的には感動した。プレイヤーとしてのニックネームのベイブ・ルースレスには笑えた。

他の登場人物に様々な性格をみせる。「スカウツ」のメンバーは女子プロレスラーみたいな連中ばかりだ。それぞれ腕っ節に自信があり、ゲーム中は相手と取っ組み合いのけんかになる。ワイルドだ。いくつかのシーンの中で、控室でライバルチームとケーキを投げ合ったりして大げんかになるシーンは傑作だ。まさにハチャメチャだ。元ラブコメの女王ドリューバリモアもこんなにハチャメチャだっけと思わせる大暴れだ。

母親のミスコン好きも特徴ある。煙草をぷかぷかさせながら郵便配達をしている母親がミスコンに娘を参加させようとしている設定もおもしろい。フットボール好きの父親が母親に隠れてこっそり車でテレビを見る場面もありえそうでいい。親友のソバカスの女の子と主人公の絡みも青春ものらしい初々しさがある。2人の中にバイトのバーガーショップの店員が媒介変数のように入り話にスパイスがつけられている。

ビジュアル的にはアメリカの普通の家庭の偶像を見せてくれる。やさしい家族に包まれたいい家庭だ。
あとは老人の使い方に特徴がある。ハンバーガーショップや移動のバスに老人を登場させる。青春ものと思しき映画に別の色彩をつくる。絶妙なうまさだ。

いい映画だった。
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オリンダのリストランテ

2012-04-23 05:19:19 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「オリンダのリストランテ」はアルゼンチンのブエノスアイレスを舞台にしたヒューマンドラマだ。
ブエノスアイレスでリストランテを営むオリンダのところへ、恋人を探しに来たドイツ人の青年が紛れ込み起きる出来事を描いた。やさしい目線で日本の人情物のようなタッチで流れるひと時はほのぼのしている。


主人公オリンダはブエノスアイレスでリストランテを経営している。イタリアからの移民である彼女がつくる料理はイタリアの田舎料理だ。若いウェイターを使っているが、何かというと口ケンカばかりしている。自分の味付けに妙に自信をもっているが、アルゼンチン人の口に合わないこともある。調味料を要求する客にくってかかることもある。常連が多く気楽に店をやっていた。そんな彼女も先のことを考えて店を売るべきかどうか考えていた。

そんなリストランテで、いつものようにウェイターに文句をつけて皿を投げつけたら、店に入ろうとした青年にあたってしまった。ぶっ倒れてしまった。青年ペーターはドイツから恋人を探しにきていたところだった。スペイン語は片言だけしか話せない。介抱を受けたあと、賄いをごちそうしてもらってホテルに戻った。ところが、気がつくと持っていたお金を何者かに持ち去られていた。
誰も身寄りのいないドイツ人青年はリストランテに助けを求める。しかし、彼女はここは泊るところではないと拒否する。ドイツ人は肩を落としながら、店の外へ行き、そこで座り込む。主人公オリンダは気になったが、雨が降ってきてしぶしぶ彼を店に泊めることにする。
翌日からドイツ人青年は恋人を探しにまわり始めるが、すぐには見つからない。主人公オリンダ、店のウェイターや常連の男女との関わりがはじまるようになるが。。。。


リストランテというが、料理映画を期待する人には期待外れであろう。そもそもはイタリアからの移民であり、現地人ではない。つくる料理もイタリア田舎料理だ。場面は少ないが食欲はそそられる。主人公は中年の太っちょ女で魅力をぷんぷんさせるわけではない。むしろ「肝っ玉母さん」といった風貌だ。
下町人情あふれた昭和の日本映画とむしろ通じるような気がする。


オリンダはもともと恋人を探してイタリアからブエノスアイレスに来た設定だ。店によく来る女性もメキシコ生まれでベネズエラ経由で流れていた女だったりして、移民を主題にしている印象もある。これらの移民を取り巻く世界は現代の欧州への移民ほど深刻な匂いはない。そんな彼女もある出来事をきっかけに故郷イタリアへの望郷の念を起こす。そんな故郷への気持ちをあらわにする場面は見ていていい感じになる。そもそも南米の人たちって大航海時代に欧州から流れてきたわけだからね。

ドイツ人が移住してくる映画としては「バグダッドカフェ」という名作がある。あの映画では太っちょのきれい好きなドイツ人女性が突如アメリカの郊外のカフェに来た話だった。ここでは対照的なスマートなドイツ人。典型的なドイツ人らしいかしこそうな風貌だ。このドイツ人の振る舞いも謙虚でわるくない。まったく違う設定ながら映画「バグダッドカフェ」に通じる人情のようなものが感じられた。
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未来を生きる君たちへ

2012-04-22 06:28:57 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「未来を生きる君たちへ」はデンマーク映画、2011年アカデミー賞外国映画賞を受賞した作品だ。

受賞が当然と思われる質の高さがある。撮影、映像コンテ、演技、シナリオいずれも高い水準だ。
映画を見て「仕返し」という言葉を連想した。「仕返し」を示すいくつかの逸話が続いたからだ。見終わった時解説を見たら原題は「復讐」だという。なるほど。。
若干「重い」と思わせる部分もあるが、映画の教科書のような作品だ。


舞台はアフリカザイールとデンマークの両方である。
エリアス、クリスチャンという2人の少年が話の中心だ。その両方の家族の話を混ぜ合わせながら映画は進んでいく。まずはアフリカのキャンプ地が映像に映し出される。現場で医療の先端にたつのはエリアスの父親アントンだ。避難キャンプのテント住まいの貧しい黒人たちの治療をしている。デンマークに家があるが、妻子とは別居していた。同じく医師の母と幼い弟と暮らしている息子エリアスは、毎日学校でイジメにあっていた。



そんなある日、クリスチャン少年が、エリアスのクラスに転校してくる。そしてクリスチャンの隣に座った。母親を亡くした彼は父親とともに祖母が住む大きなお屋敷にすむことになったのだ。
その放課後、「ドラえもんのジャイアン」のようないじめっ子のソフスにエリアスは絡まれ、新入のクリスチャンも巻き添えを食らう。翌日、再度トイレでエリアスがいじめっ子にまたちょっかいを出されていた。その時突如クリスチャンは棒を持って何度もソフスを殴り倒す。仕返しだ。なめられないためにはこうするしかないという。ソフスのケガが表ざたになり、親が呼び出された。クリスチャンの父親クラウスは、諭すがクリスチャンは聞く耳を持たない。いじめっ子をナイフで脅したことを言及されたが、ナイフは持っていないと言い張る。


一方アフリカのキャンプ地で、エリアスの父親である医師アントンの元にむごいことをされた産婦の患者が運ばれていた。地元の悪党グループが、妊娠している産婦に対してある賭けをする。生まれてくる子が男か女かの賭けだ。それがエスカレートして、まだ生まれないうちに産婦のお腹をほじくって確認するということをするのである。とんでもない話だ。その後キャンプ地の医療の現場に悪党グループのリーダーが来る。銃を持った仲間たちを連れて。リーダーは足をケガをしたのだ。そしてアントンに診てほしいとくる。周辺の面々はこんな奴を見るなといって、看護師たちは診察を拒否する。それでもアントンはケガを診ようとするが。。。


帰国した父親アントンが、子供たちとクリスチャンを連れて出掛けた帰り、幼い弟がよその子と公園でケンカになった。割って入ったアントンだが、駆け寄って来た相手の子の父親に殴られてしまう。翌日、クリスチャンとエリアスが自分を殴った男ラースが働く自動車工場を割り出した。それを聞いたアントンは、子供たちとラースの職場を訪れる。殴った理由を問いただすアントンを、ラースは再び殴るが、屈しない姿を子供たちに見せた。しかし、子供たちの気持ちは晴れなかったが。。。。

以上のような話が続く。それぞれに重い話だ。そして最終に向けてもっと重くなっていく。まさに復讐劇だ。

そんなストーリーがデンマークの女性監督スサンネ・ビアによる極めて巧みな映像技術でかなり高いレベルの映画となっている。
映像コンテの選択が実にうまい。美しい絵画を思わせるコンテだ。アフリカとデンマークの風景とそれにとけこむ人物をカメラアングルに巧みに収める。広大な原野にからんだ陽の映し方がうまい。また手持ちカメラを使ってリアル感も醸し出す。ミクロな部分を映した映像とアフリカやデンマークでの雄大な光景を映した映像がそれぞれに効果的に映し出される。カット割りも絶妙で編集もうまい。
まさに映画の教科書というべき作品だ。

アフリカの避難キャンプで映しだされる黒人たちの姿は悲惨な状況だ。今回は子供たちを中心に映し出す。物乞いのような黒人の子どもたちは車に乗っている西洋人たちを追いかける。60年代くらいまでの香港を舞台にした映画を見ると「銭!銭!」といって金持ちたちを追いかける中国人の子供たちの映像がよく出てきたものだ。それを連想した。今香港でこんな光景はまったく見ない。一握りの人ばかりでなく、みんなが豊かになった。果たしてこの黒人たちの行方はどうなるのであろうか?

吉良上野介に対する大石内蔵助といった忠臣蔵の大げさな復讐劇が江戸時代からずっと人気がある。それに対して福沢諭吉先生は有名な「学問のすすめ」の中でなんて愚かなことだと忠臣蔵を賞賛する論調を強く批判していた。これって意外に知られていない。
日本では大それたものは減ったけれど、身近なところで復讐、仕返しは繰り返しある。生きている限り、「仕返し」にかかわったことのない人の方は極めて少ないであろう。この映画では復讐した後の気持ちについても十分触れられている。けっして後味がいいわけではない。非常に考えさせられる映画である。でもいじめっ子に対して、なめられるといけないからといって、トイレで道具を使って殴る場面を見てなんかすっきりした気分もした。
復讐にかかるそれぞれの気持ちは理解できないわけでもない。正直何が正解なのかはわからない。
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ミッション8ミニッツ ジェイク・ギレンホール

2012-04-20 05:11:10 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ミッション8ミニッツ」はSF映画というべきであろうか?
不思議系の映画である。
アフガニスタンでヘリに乗っていたはずの兵士が気がついてみると、シカゴ行きの列車に乗っている。そして爆破事件に出会う。でも彼は死なず、意識があり訳も分からず軍当局から指示を受ける。気がついてから爆破までの8分以内に犯人を見つけろというのだ。


映画がはじまり、シカゴの街を俯瞰する。ヘリコプターで進んでいるようだ。
そして、列車の中に場面が移る。そこには主人公(ジェイクギレンホール)が座席に着き、正面には若い女性(ミシェル・モナハン)が座って自分に話しかけている。主人公には見覚えがない。主人公はついちょっと前まで米軍の兵士としてアフガニスタンでヘリコプター操縦の任務についていたのだ。
車掌が切符の確認に来る。そんなのあるわけないと思っていたら、目の前の女性が「ここにあるじゃない」とばかりにシャツのポケットから切符を出す。「あれ」という顔をする主人公だ。何でここにいるのかと思いながら、列車を歩き回る。さまざまな乗客が乗っている。化粧室へ向かって自分の顔を見る。鏡の顔は自分じゃない。一体どうなっているのかと思う。そうして列車に乗っているうちに突如列車が爆破する。
主人公は目を覚ました。そこでは何か監視されているようだ。軍服を着た一人の女性(ヴェラ・ファーミガ)がいる。彼女から事情を伝えられる。そして指令を受ける。列車に乗って爆破されるまでの8分間に爆破犯人を捜し出せというのだが。。。

「恋はデジャブ」というビルマーレーの映画を以前見たことあり、その映画をすぐさま連想した。毎日毎日来る日も来る日も同じ朝が続くというのだ。発想は同じである。
犯人が見つかるまで、主人公は列車でミシェル・モナハンと向かい合ってから爆破までの8分間を何度も何度も体験させられるのである。テロリスト探しだ。
でもアフガニスタンにいたのに何でここにいるんだろう。からくりは。。。。?

主人公も最初はこんな指令ができるわけないだろうと思う。でも軍の上層部の命令には従わねばならない。最初に爆破した方向を探して爆弾は早々に見つかる。でも爆破解除方法はわからない。
主人公は犯人を見つけるためにまわりの乗客にちょっかいを出す。しらみつぶしにあたる。怪しそうな奴を殴ったり、暴れたりして大変だ。犯人捜しをする過程がおもしろい。


シカゴを俯瞰する場面が何度も出てくる。比較的シカゴの街って映画の舞台になることは多い。今回は空からミシガン湖に沿ってシアーズタワーやジョンハンコックビル、川沿いのトウモロコシ状のビルなど代表的シカゴの建築物を見せる。市内の公園もうまく映す。個人的にシカゴが好きなのでいい感じだ。主人公はアフガニスタンで行方不明という設定ではあるが、現地は出ない。
こういう不思議系の役はジェイクギレンホールにあっている。「ゾディアック」「ブローバックマウンテン」など着々とキャリアを積んでいる。涙の大噴水を招く青年時代の「遠い空の向こうに」からはや13年がたった。「ミッションインポッシブルⅢ」でトムの恋人役だったミシェルモナハンの普通の感じも悪くない。主人公に指令を出すヴェラ・ファーミガは自分の好きな女優で、「エスター」「マイレージマイライフ」「ディパーテッド」など彼女の出る映画は不思議とみんな好きだ。ここでも冷徹ながらときおり人情味を見せ、いい味を出している。

映画としては正直普通かなという感じだが、娯楽として楽しめた。
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コンテイジョン

2012-04-19 05:54:18 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
「コンテイジョン」は世界中が細菌に侵されていく姿を描くパニック映画だ。

ウイルスの感染を通し、様々な人々がそのウイルスに立ち向かおうとする姿を描いたスティーブンソダーバーグ監督の群像ドラマ。死亡患者の家族、ウイルスの蔓延する現場で戦う医師、ウイルスの治療薬を開発しようとする医師、パニックに陥り暴動を起こす一般市民たち、新種のウイルスに対する政府の嘘を報道しようとするジャーナリスト(ジュードロウ)などがからんでいく。

画面はアメリカミネソタ、香港と映し出していく。
香港の街中で一人の男性が熱っぽくなり、ふらふらしているうちに路上でひかれて死んでしまう場面からスタートする。ミネソタではベス(グウィネス・パルトロウ)は香港出張の帰りだ。熱っぽく咳をだしているうちに体調が急変する。夫のミッチ(マット・デイモン)は大慌てで救急車を呼び、妻は病院に運ばれる。そしてあっけなく死んでしまう。子供の様子がおかしい。少年も泡吹いて死んでしまう。呆然とする夫だ。
同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていく。

報告を受けた世界保健機構(WHO)のドクター・レオノーラ(マリオン・コティヤール)たちが、続いてアトランタの疾病予防センター(CDC)が調査に乗り出す。エリス博士(ローレンス・フィッシュバーン)の指示でミネソタに派遣されたドクター・エリン(ケイト・ウィンスレット)は、感染が疑われる人々の隔離を実施。現時点では治療法もワクチンもない。WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。あっという間に世界中に感染していくが。。。。


豪華な出演者たちである。いきなり主演級のグウィネス・パルトロウがあっけなく死んでしまい。なんじゃいこれは?と思ってしまう。
実際にはこれだけ主演級が集まっても、かっちりとした主演はいない。ぜいたくな映画である。同時並行的にウィルスの感染とともにそれぞれの動きを描写する。同監督の「トラフィック」を思わせる同時並行劇だ。
パニックの対象は目に見えない細菌だ。しかもかなりたちが悪い。いきなり死んだグウィネス・パルトロウの脳を解剖したら完全に破壊されていたという。次から次へと出演者が倒れる。しかも、病気の感染が止まらない。人は噂に飛びつく。ワクチンが出たと思えば奪い合いになる。開発者に近い立場にいる医師役のマリオン・コティヤールは中国で監禁されてしまう。博士役のローレンス・フィッシュバーンは自宅の妻がワクチンが持っているのではと襲われる。
このワクチンの奪いあいについては、ある意味現実的だ。もしこういった危険なウィルスが発生したら多かれ少なかれ同じようなことはあるかもしれない気がした。希少性というのは恐ろしいことを招くことがある。

しかし、正直さほど驚くほどの描写はない。スプラッシュ的には映画を作り上げていない。
ただ最後の真相フィルムの作り方はおもしろい。
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海洋天堂 ジェットリー

2012-04-18 09:49:00 | 映画(アジア)
映画「海洋天堂」は中国のヒューマン映画
自閉症の息子とガンに侵され余命が短い父親との触れ合いを描く映画だ。父親役にアクション映画で名高いジェットリー、いつもと違う人情深い役を演じる。息子の先行きを心配して四方八方に走り回る父親の心情を思い、ジーンときた。


中国山東半島青島が舞台、父親(ジェットリー)は水族館に勤める。妻は早くして亡くなっていた。息子は自閉症で相手と目を合わせて話ができない。言葉も少ない。取り柄は水泳だ。水族館の水槽の中で魚やアザラシと一緒にすいすい泳いでしまう。2人で生活していた。
父親は肝臓がんで余命が短いということを医者に伝えられる。この先どうなってしまうのか心配になった父親は養護施設をしらみつぶしにまわる。どの施設も子供なら受け入れられるが、すでに青年になっている息子は受け取れないと断られる。
近所に住む女性や水族館の同僚も心配するがうまくいかない。そんな折、以前子供のころにお世話になった養護学校の元校長が救いの手を差し伸べてくれるが。。。。


青島は戦前ドイツや日本に占領されていた海沿いの街だ。主人公たちが住む建物はおそらくは戦前に居留していた人が建てていたと思われる洋館だ。街並みもその昔のコロニアル文化を感じさせる。
主人公が水族館に勤めているので、水槽が映像に浮かびあがる。息子が魚と一緒に優雅に泳ぐ映像はきれいだ。基調のカラーはブルーでイエローも効果的に使われる。一時代前の地味な中国映画ではありえない色彩感覚だ。美しい。撮影クリストファードイルはいつもながらうまい。ウォンカーウァイ監督の一連作品、自分がプロフィルの写真に使っている「花様年華」もそうだ。ジェットリー主演「HERO」でも抜群の色彩感覚を見せてくれた。

父親の心情はよくわかる。その先短い障害をもった息子がちゃんと生きていけるのであろうか。それを誰かに託そうと懸命に歩き回る。しかも、ここなら安心と託した施設でパニック症をおこしてすぐ父親が駆けつけたりする。なかなかうまくいかない。そんな息子に対して出来る限りの教育をする。バスの乗り方から、電話の取り方まで。。。これもすぐ上達しない。ときおりがんの激痛に沈む父親はけなげだ。


自閉症の映画ってこれまでもいくつかあった。でも親に焦点を合わせた映画って少なかったのかと思う。オスカー映画「レインマン」は付き添いの弟トムクルーズというよりあくまでサヴァン症候群のダスティンホフマンに焦点を合わせる。「モーツァルトとクジラ」では自閉症同士の恋に焦点をあわせる。この映画でも自閉症の息子は水族館に出入りした女の子に恋をする。でもこれはこの映画の肝ではない。あくまで障害の息子を持った命短い親の心情だろう。

この映画に出演している人たちがみんないい人に見える。表情がやさしい。とかく中国人の女性というと気の強そうな女性が多い。ぼったくり中国人パブばかりでなく、映画界でもコンリーは典型的だし、チャンツィイーだってそう見える場面が多い。この映画は全然ちがう。施設の人も近所の人もみんなやさしそうだ。中国人に対する見方が少しかわりそうだ。

人によって見方が違うかもしれないが、個人的にはいろんなことを考えさせられる作品だった。
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ハウスメイド  チョン・ドヨン

2012-04-11 19:15:05 | 映画(韓国映画)
映画「ハウスメイド」は2010年の韓国映画だ。
これもすごい。上流家庭に住み込みのメイドで働くことになった女性を描くサスペンス映画だ。
この映画を見て宮本輝が小説「錦繍」の中で語った「女の持っている最大の悪徳は愚痴と嫉妬の心」を思い出した。女性の持つ業のようなものがプンプンする映画である。韓国映画得意の暴力描写は女同士の本気ピンタが出てくる。やっぱり女は怖い。


上流階級の邸宅でメイドとして働くことになった主人公ウニ(チョン・ドヨン)の仕事は、家事全般と双子を妊娠中の妻ヘラ(ソウ)と6歳になる娘ナミの世話だ。幼児教育の学校に通っていた子供好きのウニは、利発な少女であるナミとすぐに仲良くなる。
先輩メイドのビョンシク(ユン・ヨジュン)は、この家のことは何でも把握していた。主人公を採用する前にわざわざ面接に出向いて主人公の無口で従順な性質を確認していた。
主人公は先輩メイドの厳しい指導のもと、懸命に働き始める。最初は横柄な態度だった奥さんも主人公がお腹の中の双子を心から大事に思っていることを感じ取り、彼女を信頼する。
ある日、主人のフン(イ・ジョンジェ)が妻に隠れて主人公の部屋へと忍び込む。浴室の掃除をしている時、背後から主人の熱い視線を感じていた主人公は驚かなかった。主人公は欲望に素直に身を任せ、家の主人と関係を持つ。


そんな中先輩メイドはうっすらと異変に感づいた。邸宅の中で密かに関係を持った二人の様子をドアの前で盗み聞きしていた。朝食を持っていった主人公は小切手を渡される。この家はすべて金で解決するのだ。
数週間後、主人公の身体の変化に気付いた先輩メイドは、彼女の妊娠を確信した。妻の母親のもとへ向かい、全てを報告する。妻の母親は、吹き抜けのシャンデリアを掃除していた主人公が乗った脚立にうっかりと見せかけてぶつかり、主人公は吹き抜けから転落してしまうのであるが。。。。

自分勝手なご主人様は一体何をするのかわからない。雇っているからというだけで、住み込みメイドも自分の持ち物のように手篭めにしてしまう。同じ話は実際にいくつも聞いたことがある。その昔の日本ではよくありそうな話なのかもしれない。
手篭めにするシーンでは主人公チョン・ドヨンが大胆だ。さすがカンヌ映画祭主演女優賞をとっただけある絶妙の演技。30歳半ば過ぎた女性の魅力をふんだんに途中から醸し出す。
住み込みのメイドというと「ゆりかごを揺らす手」だ。ハチャメチャになった。これは復讐劇であった。一か所だけ意識したと思われるシーンがある。主人公のメイドが生まれたばかりの奥さんの子供に乳を飲ませてあげるシーンだ。これ自体復讐の一種だ。



女の嫉妬、イジメそういう臭い要素を浮き彫りにさせるのが、妻とその母親だ。
韓国女優らしい整形の匂いがつよい美形の妻役ソウ、最初先輩メイドが会いに行った時「大奥様」といったので主人の父親の妾か何かと思わせたほどの若い妻の母親パク・ジヨンの2人だ。この2人のきつい顔がいい。妊娠が発覚してからのこの2人の表情の変化もこの映画の見せどころだ。
日本の「昼メロ」のような話だけど、韓国女性らしいどきついメイクが嫉妬心を増長して見せる。

上流家庭らしさを際立たせるのが、この自宅のセットだろう。この家はなかなか凄い。広い大理石張りの玄関ホールに豪華な階段がセットされる。ダイニングルームもサニタリールームも凄い。日本の上流社会でもなかなかここまでの家に住む人はそうはいない。それに合わせてリッチぶりを顕著に表わす絵画、ワイン、ピアノ、超豪華な食事などの小道具が効いている。家の主人である夫にピアノを弾かせる設定もちょっと違う。格差社会韓国を意識してセットもつくられたのがよくわかる。

傑作とまでは思わないが、典型的韓国映画としてなかなか楽しめる。
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モテキ  

2012-04-08 19:44:27 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「モテキ」を見た。これは実におもしろい。
もてない青年に突如もてる時期が来るという話だ。

出足からテンポがよく、楽しいコメディドラマ。業界人になろうと苦戦しているオタクの主人公はサブカルチャー大好きのオタク青年だ。ツイッターのつぶやきをベースに展開する話のテンポが現代的だ。まさに今を語っているこの映画があと20年たった時どう語られるのかが興味ある。
最後の詰め方がどうかな?という気もするが、良くできていると思う。

31歳の藤本幸世(森山未來)は、金なし彼女なしの青年だ。これまでは派遣社員でいたが、ニュースサイトのライター正社員職の就職試験を受けることにした。面接では編集長に女経験のない男は採用不可と散々言われたが、結局働くことになった。

そんな彼はツイッターにはまっていた。つぶやきは多いのになかなか相手にされないでいた。ある時男のアイコンとTMネットワークの曲の話題で話が合うので返信しあうようになり、飲みに行く約束までした。男同志と思いながら待ち合わせ場所で待っていたら、来たのがなんとスタイル抜群のかわいい女性みゆき(長澤まさみ)だったのだ。突然、“モテキ”が訪れたのだ。
2人で飲みに行くとノリが抜群にいい。聞くと同じ雑誌記者だという。
そのまま深夜まで飲み続ける。


その後主人公の前にミニカーのデザインをやっているというみゆきの年上の友人OLるみ子(麻生久美子)、ガールズバーの美人店員・愛(仲里依紗)が現れる。一体どうしたことだろうか。。。。


オタク文化に毒された典型的な青年主人公を演じる森山未來がうまい。いかにも気の弱そうなダメ男はそこら辺にうじょうじょいる。心理状況をナレーター的にバックでしゃべるのが効果的だ。しかも、今回はダンスも至る所で披露している。長澤と知り合った後で、舞い上がりつつ女性ボーカルグループPERFUMEと踊るダンスが楽しそうだ。ロケ地は風景的にさいたま新都心のケヤキ広場の前のように見えるけどそうかな?


いずれにせよ、今回の森山は役得だよ。
長澤まさみもかわいいなあ。しかもこの映画ではノリ全開だ。飲みつぶれながら主人公とベッドに向かうシーンはドキドキしてしまう。しかも、今回は若い音楽プロデューサーと不倫をしている場面が出てくる。途中のキャラと違うのであれという感じだ。麻生久美子のキャラもいい。33歳独身OLの心境を上手に表現している。一人カラオケでうっぷんを晴らすシーンは辛いものがある。オヤジギャルの匂いも出す。吉野家で牛丼お代わりして周りに拍手されるシーンが傑作だ。

音楽の使い方が実にうまい。特に前半はあっと驚かされた。いきなりの大江千里「格好悪いふられかた」は大好きなだけに懐かしい。その後も出演者の心境に合わせて選曲された歌の歌詞が印象的だ。こころの動きを強調する。出てくる曲はいずれもかなりファンキーだ。自分好みと若干違うけどダンスに合わせていい感じ。自分としては映画のテンポは「ブルースブラザース」を連想してしまった。

あとリリーフランキーや真木よう子など脇を固める連中もうまく、割と見応えがあった。
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神様のカルテ  櫻井翔

2012-04-08 07:53:25 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
「神様のカルテ」は櫻井翔主演の医療ドラマだ。
医者が書いた原作の映画化で「嵐」の櫻井君がとっぽい医者を演じる。

信州松本が舞台だ。勤務5年目の内科医・栗原一止(櫻井翔)は「24時間、365日対応」で大勢の患者を抱える本庄病院に勤めている。彼が当直にくると、次から次へと救急患者が担ぎ込まれる。引きがいいといわれていた。働き詰めで睡眠が取れなかったりすることが日常茶飯事であった。
病院には先輩医師(柄本明)、看護師長(吉瀬美智子)、同期の看護師(池脇千鶴)、新人看護師(朝倉あき)らがいた。共に地域医療の現実と向き合っていた。
また、主人公の住まい“御嶽荘”には大家兼絵の描けない画家・男爵(原田泰造)、博学な大学生・学士(岡田義徳)が住み、山岳写真家でもある最愛の妻(宮崎あおい)とともに奇妙な同居生活をしていた。
そんな折、主人公は母校の医局を通じ大学病院に勤めないかと誘われる。「良い医者」になる為には最先端医療が学べる医局にいる方がいいのは当然だ。悩む主人公だ。
ある日、彼の前に大学病院から見放された末期ガン患者・安曇雪乃(加賀まりこ)が現れる。もう医学ではどうしようもない安曇であった。なぜか主人公を頼ってやってきた彼女と奇妙な関係になるのであるが。。。


いきなり現れる主人公こと櫻井翔はなんかとっぽい役柄だ。下手なパーマ屋でかけられたような変な頭で、いつもボーとしている。看護師たちにせっつかれながら、診療をしている。よくいる腕の立つ外科医なんていう医療ドラマにありがちな設定ではない。あえて三枚目を演じている印象だ。
夏目漱石を敬愛し「草枕」を暗誦する。森鴎外、斎藤茂吉北杜夫親子、加賀乙彦など医者の文学好きって多い。決して不自然な設定ではないと思う。


映画を観た感想は普通という感じ。でも、末期がん患者と医者の触れ合いという場面では、母の闘病生活を思い出した。最初にまさに末期がんで体中が痛くなり始めた男性患者が出てきた。モルヒネを増加した方がいいのでは新人看護師に対して、主人公はそれはだめだという。一気に生命の危機がくる可能性があるということだ。母の場合、モルヒネ注入がはじまり、あれよという間に意識を失った。若干早いなあという印象であった。寸前まで頭の中は明晰であったので、本人も不本意だったかもしれない。でもこうしないともっと苦しんだ可能性がある。
この辺りが難しい。いずれにせよ、ここまで来たときの延命治療というのが無意味かもしれない。初期なら別の展開があるが、ここまで来ると安楽な状態でいた方がいいのであろうか。

主人公と患者との触れ合いを映画で描いたが、正直こんなことあるのかなあという印象だ。医者でない自分が言うのは適切でない気もするが、妙に美化され過ぎの印象だ。


櫻井翔、池脇千鶴はまあまあ、看護師長の吉瀬美智子はかっこいい。年を重ねるごとにカッコよさを増している印象だ。あとよく見えたのは宮崎あおいだ。この優しいムードがなんとも言えない。適役だと思う。
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映画 ドライヴ ライアン・ゴズリング 

2012-04-04 19:38:35 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ドライヴ」劇場で見てきました。
凄い映画でドキドキものでした。

昼は映画のスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手が裏社会の抗争に巻き込まれていく様を描くクライム・サスペンスだ。1時間40分を思いっきり駆け抜けるスピード感はお見事。監督のニコラス・ウィンディング・レフンはこの映画でカンヌ映画祭監督賞を受賞した。


いきなり主人公の天才的なドライビングテクニックを見せる。
主人公“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)が、強盗の逃走する場所で待つ場面からスタートする。警察に追いかけられながら懸命にまくシーンを映し出す。
主人公の正業は車の修理工だが、昼は映画のスタントマン、夜は強盗犯の逃走請負ドライバーという顔も持っている。一人住まいの彼は同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせた。彼女には小さい息子がいた。ちょっとしたきっかけで2人は好意をもちあい徐々に距離を縮めていった。
しかし、アイリーンの夫が服役を終え戻ってくる。夫は服役中にマフィアから多額の借金を負っていた。ある時、金を返せとマフィアにコテンパンにやられた夫の姿を主人公が見かける。夫は妻子の命を盾に強盗を強要されていた。そんな中、母と息子に情が移っていたドライバーは、無償で彼のアシストを引き受ける。計画当日、質屋から首尾よく金を奪還した夫だったが。。。。


題名「ドライヴ」からは激しいカーチェイスのシーンを想像する。当然その期待通りのシーンも展開される。追いかける運転手がその姿を見せない展開は謎めいて怖い。「トランスポーター」を連想する仕事ぶりだ。しかし、この映画の主題は純愛である。その基調が最後までしっとりと語られる。それに加えて、残虐的なむごいシーンも用意されている。タランチーノ映画が持つ残虐な要素はかなり強い。
いかにも重層構造につくられた映画である。ベースに流れるのは60年代から70年代にかけてつくられたアメリカ映画の肌合いだ。おもいっきり楽しまさせてくれる。

この映画の舞台は魔界の都市ロスアンジェルスだ。夜のロスで主人公を思い切り走らせる。俯瞰的に映すロスのミッドナイトは美しい。同時に悪の巣でもあるロスの夜の怖さも映し出す。「カリブの熱い夜」を連想させる。まさにイタリアマフィアそのものの人相をした脇役たちがうまく、最後までどうなるのかとドキドキさせる。


裏社会の面々と対する主人公は実にかっこいい。彼はクールだ。名前はない。クレジットの役名はdriverだけだ。5,6年前にロスに来たというだけで過去は語られない。感情はめったに表に出さない。腕っ節はメチャクチャ強い。いったいどんな正体だと思わせるキャラづくりもうまい。
このところメジャー作品への出演が多いライアン・ゴズリングが抜群の活躍を見せてくれた。
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