映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「アナと雪の女王2」

2019-11-24 18:04:24 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「アナと雪の女王2」を映画館で観てきました。

娘と2人で見に行ってきました。仕事上でこの作品にからみができて娘を誘った。もちろん前作は鑑賞済み。満員御礼が予想されたので、あらかじめ字幕版で予約した。映画館にはものすごい人がいたので、やばいと思ったけど、これらの子連れはみんな吹き替え版なんだろう。字幕版は比較的観客は多くはなかった。

ストーリーを追っているんだけど、要旨がよくわからない。不思議な歌声に導かれて、いったいこれは何なんだろうと探求する。それだけはわかる。声の先に森があって入り込んでいくのだが、頭がついていけない。映像は楽しめるんだけど、自分の理解度が弱いのかストーリーの根幹がわからない。子供たちがいっぱい来ているけど、わかるのかなあ?もしかして、自分の理解度は幼児以下だったりして。

深い絆で結ばれたアナとエルサの姉妹は、王国を治めながら、失われた少女時代を取り戻すかのように、気の置けない仲間たちと平穏で幸せな日々を送っていた。しかしある日、エルサだけが“不思議な歌声”を聴く。その歌声に導かれ、仲間のクリストフやオラフと共に旅に出たアナとエルサは、エルサの持つ“力”の秘密を解き明かすため、数々の試練に立ち向かう。果たしてなぜ力はエルサだけに与えられたのか。そして姉妹の知られざる過去の“謎”とは? 旅の終わりに、待ち受けるすべての答えとは――。(作品情報より引用)

エルサの吹き替えのイディナ・メンゼルが歌うイントゥ・ジ・アンノウンが流れる。そして、エルサが未知の世界に旅たつ。これには背筋がぞくっとする。なんといい歌なんだろう。バックの映像もよくこれには感動する。でもその先のストーリーがよくわからない。

ただ、映像はなかなかだ。まさに上級者サーフィン大会を思わせるビッグウェイブに立ち向かうエルサを映し出すシーンやアナと雪だるまのオラフが急流のボートに乗るシーンなど映像は見応えがある。超人ハルクを思わせる岩の怪物がでてきたり、ダムをぶち壊してダムの水が川津波のように押し寄せるシーンの迫力は最近台風で被害を受けたばかりなんでアップデートなシーンのように思えた。祖父がダム工事に絡んでいるのはわかったが、今一歩理解がいかなかった。
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映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」 笑福亭鶴瓶&綾野剛&小松菜奈

2019-11-17 19:10:36 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」を映画館で観てきました。


帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作「閉鎖病棟」が原作、平山秀幸監督・脚本により映画化した。実際の精神科の医療施設でロケ撮影をしたという。精神科の専門医療施設・小諸高原病院で2週間にわたるロケ撮影が行なわれた。芸達者の笑福亭鶴瓶の出演も気になり見に行く。いきなり死刑執行のシーンが出てきて何これ?と思ったら、死刑囚が蘇生してしまう。こんなことってあるのかい?と思いながら映画のストーリーを追う。主要な患者が笑福亭鶴瓶綾野剛小松菜奈の3人を中心に話が進むが、精神科の病院にありがちな患者たちを巧みにからませる。

長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。
母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。(作品情報より引用)

実際の精神病院の病棟に行ったことある人は少ないであろう。自分はある人を数回見舞いに行ったことがある。薬漬けになっている患者たちがボーとした顔をして院内を徘徊している。入院したばかりは暴れる人もいるだろうが、実際には薬の作用で動きが鈍い。この映画では患者の振る舞いをきっちりと取材している痕跡が見られる。

手旗信号をふりつづけて感情表現する男、しつこく写真を撮りまくる少年、毎日12杯うがいをしろと親の遺言で言われたと後ろに大勢ならんでいるのにマイペースで水を飲む女など特徴ある患者をピックアップする。それに加えてきっちりと抗うつ剤を飲んでいるのかを看護師が患者の口を確かめるシーンなど、リアルな動きも見せる。

1.笑福亭鶴瓶
いきなり死刑執行のシーンが出てきて、モノクロの画面でどうも笑福亭鶴瓶が演じているようだ。絞首刑で死んでいるはずなのに生きている。脊髄には損傷があるけど、そのまま蘇生する。もう一回死刑執行するとなると世間に騒がれると刑務所側が判断して精神病院をたらい回しにあうという設定である。であるから統合失調症になっている精神科の患者ではない。

陶芸の工房と言うべき小屋があり、そこで作業をしている。死刑判決の理由は妻と母殺しということだが、妻が訪ねてきた役所の男と情交を重ねているのを見つけて包丁で殺す。このまま刑務所に入ってしまうとぼけて寝込んでいる母親を面倒見る人間がいないと母親まで殺してしまうのだ。

精神病院ではみんなに親しまれている。18歳の小松菜奈演じる患者も心を許す。しかし、周囲に暴言を吐く今までと違う乱暴な男が病院に入ってきた。病院の患者は戸惑う。それには笑福亭鶴瓶演じる秀丸も心を痛める。そんなときある事件をその乱暴な男が起こすのだ。


2.綾野剛
この3人では唯一の精神病の疾患を持つ男だ。自宅で突如発狂し、同居する母と妹夫婦を不安に陥れ精神病院に入院する。かなり重い統合失調症の疾患を持つ周囲の患者よりはましな方だ。外出して和菓子や洋服などを仕入れてそれを1.5倍の価格にして病院内で売る。当然病院側から怒られる。妹夫婦は母親がぼけてきたこと、兄が精神病院に入院していることもあり、土地の有効活用や売却の相談を面会で持ちかける。当然拒否する。兄妹の折り合いはよくない。


若干の激しさを持つ役柄が多い綾野剛であるが、ここではおとなしい。若干女々しいくらいで、気も弱い。精神病棟では抗うつ剤で精神の起伏を抑えるようにされているわけであるから、実際の姿に忠実であるといえる。

3.小松菜奈
実母と継父と同居しているが、母親がいないときに継父に犯される。部屋の中で閉じこもりになり、不登校となったことでこの精神病院に入院することになる。入院時の検査で懐妊していることが判明する。それが尾をひいて、病院内の屋上から自殺未遂を起こすが、落下地点が運良くクッションになり軽いけがですむ。

統合失調症というわけでもないので退院してもかまわないくらいだが、もう一回自宅に戻っても再びこの病院にもどる。家族の人間関係は最悪だ。笑福亭鶴瓶、綾野剛ほかの入院患者との折り合いもよくなった。その後、事件が起きる。


周囲と交わらない乱暴な一人の男が入院してきた。その男が小松菜奈をレイプしてしまうのである。
この映画のすべてはそこに集約されてくる。
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映画「ひとよ」 白石和彌&田中裕子&佐藤健

2019-11-10 22:26:36 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ひとよ」を映画館で観てきました。


凪待ちに次ぐ白石和彌監督の新作である。「麻雀放浪記2020」はちょっとどうかと思ったけど、まず外れのない監督である。社会の底辺にいる人たちをクローズアップする。そこには大抵殺人事件がからんでいる。

DVの父親に常に殴られ傷ついていた子供たちを守るために夫を殺した母親が子供たちの前に帰ってくる。そこで起きる出来事を語っていく。ストーリーは単純でない。主要の母子4人だけでなくサブになる登場人物にもストーリーの根幹に絡むエピソードを作る。重層構造であっさりとは終わらせない。

主要4人はいずれも主演級だ。豊富な出演陣は、むしろ多作ともいえる白石和彌監督が世間に認められている証拠だろう。見応えのある作品である。

どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った—

時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。
「これは母さんが、親父を殺してまでつくってくれた自由なんだよ。」
15年前、母の切なる決断とのこされた子どもたち。皆が願った将来とはちがってしまった今、再会を果たした彼らがたどりつく先は—(作品情報より引用)

1.田中裕子
回想シーンでは黒髪だが、真っ白な白髪になって15年ぶりに突然帰ってくる。あれ?普通は出所って家族に知らせるはずなんだろうなあと思いつつ、いきなり帰ってくる。出所の時に迎えに行った娘とタクシー会社の従業員とはすれ違いになったという。子供たちの気持ちは複雑、でも一応はタクシー会社の従業員を含め皆で歓迎し、東京でライターをやっている次男も帰ってくる。普通で言えば、母子再会でハッピーエンドになるシーンがいきなり出るなと思いつつ、これまでの疎遠なときに子供たちが経験したいやな世界を振り返っていく。


最初の再会で見せる田中裕子らしい笑顔をみるのも久しぶりだ。高倉健の遺作あなたへの時は若干やさしい表情を見せていたが、この笑顔ほどではない。自分は傑作だと思ういつか読書をする日で見せたぶっきらぼうな顔以来、田中裕子が出る作品はいずれも表情が暗い。ここでも基本は能面のようだが、いくつかの笑顔は久々に観た。高倉健との共演で妖艶な姿を見せた夜叉や伊豆の娼婦を演じた天城越えなどの若き日の美貌とは遠ざかったが、まだ演技派として存在感を示す。


2.佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優
長男役鈴木亮平は地元の中小企業で働く。家庭内はうまくいっていない。娘もいるが妻から離婚も迫られている。ドモリで自分の意思も伝えるのが不得手で、殺人事件の後はしばらくいじめられていたらしい。妻には父母は幼少からいないと言っているようだ。これが後で尾を引く。

次男役佐藤健は風俗ライターを東京でやっている。しばらく兄妹とは疎遠関係だ。携帯にも出ない。でも母親が帰ってきたとの一報に久しぶりに帰郷する。ただ、動きはどうもおかしい。母親の帰還を喜びつつも、殺人事件の後周囲から受けたいやな出来事をつい思い浮かべる。自分の家の出来事をこっそり綴っている動きが見られる。このあたりの佐藤健演じる次男の動きの真意がよくわからない。


松岡茉優は近くのスナックで働いている。美容師ぽいが免許は持っていないようだ。独身で自由奔放、毎晩のように自分のお店で飲み潰れて、実家が経営しているタクシーで送り迎えしてもらっている。映画ではお水っぽい風貌で現れ、最初は松岡茉優とわからなかった。

3人のためと思い母親が父親を殺し、いずれ戻ってくるから待っていてくれというシーンからスタートする。そして母親が子供たちの前に15年の日々を経て戻ってくる。ところが、この空白の15年では、周囲からのイジメなどでそれぞれに苦い思いもしている。そこがこの映画のポイントである。もっとやさしく迎えればと思うのに、この状況になったらこんな風になるのかしら?


3.佐々木蔵之介、筒井真理子
ここでは助演と言うべきタクシー会社の運転手として雇われた佐々木蔵之介やタクシー会社の従業員である筒井真理子にもエピソードを与える。2人とも主演級で筒井真理子は最近のよこがおの好演が記憶に新しい。酒も飲まない真面目なタクシー運転手佐々木蔵之介が実は反体制社会にいた男で、それを引きずった逸話をからめて最後にむけての逆転は予想外で作り込みがされている。


茨城県が舞台というのはすぐわかる。強く煙が吹き出す煙突は鹿島方面で見る光景だと思ってみていた。父母がひっかかって買った鹿島の土地を持っていたので見たことある。そうしたら大洗のフェリーが出てくる。あれ?やっぱり違うのかな?と思ってエンディングロールのクレジットをみたら神栖市の文字が出てくる。確かに鹿島方面だったなと思い、はっきり地名を指定しているわけではないから、両方の組み合わせでいいんじゃないという感じだ。
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映画「ブラック・クランズマン」 スパイク・リー

2019-11-06 09:16:04 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「ブラック・クランズマン」は2019年公開のスパイク・リー監督作品


2018年アカデミー賞脚色賞受賞作品だ。でもスパイク・リーの作品にはどうもなじめない部分もある。気にはなったが時間調整できず後回しになり、DVDスルーとなった。でも観てみたら実に面白い映画であった。デンゼルワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントン「パターソン」のひょうひょうとしたバス運転手役が良かったアダム・ドライバーとのコンビが絶妙で、70年代のソウルフルな独特のムードに気分は高揚する。

コロラド州コロラドスプリングスの警察署で、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、新聞でKKK(クー・クラックス・クラン)のメンバー募集の広告に目を留める。その番号に電話をかけ、白人のふりをして人種差別発言を繰り返し、面接の約束を取り付ける。


同じ部署の白人刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)がロンのふりをして面接に向かう。2人は電話と対面を分担し、一役を演じながら潜入捜査を進めていくが。。。(作品情報より)

1.ブラックパワー炸裂
黒人大学生が参加する集会に主人公のロン警察官が行く場面がある。黒人の政治団体集会で熱く語るクワメ・トゥーレという黒人指導者のスピーチが強烈だ。でも、その集団は黒人嫌いの白人警察官にボロクソにやられる。拘束される。ロンは大学黒人学生組合の会長の女性パトリス・デュマスと仲良くなり、食事をする仲になる。ただ、パトリスは黒人を虫けらのように扱う警察官に対する印象が悪く、ロンは自分で警察官といえない。そんな中話は進んでいく。


この映画はオタクっぽい雰囲気もある。「黒いジャガー」「スーパーフライ」のどっちが好きなんて、画面分割の映像で両方のジャケットを見せる。ロンと彼女が探偵かポリスかと言って選択する場面が好きだ。いずれも70年代前半の映画で、テーマソングはヒットする。スーパーフライは中学生の自分にはあまり面白くなかったけどね。


2.白人至上主義団体
ドナルドトランプ大統領は白人がマイノリティーになってしまうことを恐れるアメリカ人の圧倒的な支持を受けている。2040年代には白人が全米人口の50%を切るというデータもある。日本でいえば、右翼のようなものだが、KKK という白人至上主義組織があるという。トランプ政権が主張する流れに対して、こういった主題を取り上げるのはタイムリーである。


主人公はなりたくて警察官になったが、世間では黒人警察官は少ない。いきなり雑用係をやらせられ、イヤなので潜伏捜査をやると志願する。まずは黒人の政治集会に潜入して周囲の信頼を得る。そのあとKKK が募集をやっているとことに気づき、白人のふりをして黒人の悪口を言いまくって受け入れられる。ただ、黒人の立場で行くわけにはいかない。先輩の白人警察官に代わって行ってもらう。電話の時だけ本人だ。

ここでの白人警察官にユダヤ人じゃないかという疑いを持つ組織員がいる。この白人至上主義団体はユダヤ人も嫌いだ。「パターソン」で演じたマイペースなバス運転手の時と同じように、白人至上主義団体での潜入を飄々とかわしていくアダムドライバーの動きがいい感じだ。もちろん疑いを寄せるKKKの迫害主義者も好演、典型的な有色人種嫌いをうまく映し出し、対象感をだす。
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映画「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」 レイフ・ファインズ&オレグ・イヴェンコ

2019-11-05 20:16:53 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ホワイト・クロウ」は2019年公開の俳優レイフ・ファインズの監督作品


東西冷戦は90年代初頭に過去のものとなった。それまで共産党を崇拝していた社会主義者は落胆したであろう。逆に東西冷戦のピークはキューバ危機の一発触発する可能性があった1960年代初頭である。その頃、ソビエトのバレエダンサーがパリに行き、帰国後の自分への待遇に不安を持ち亡命しようとする話である。「イングリッシュペイシェント」などの名作に出演する英国の名優レイフ・ファインズがメガホンをとり、自らもバレエ教師役として登場する。実際にルーブル美術館で撮影したり、主演がバレエの実力をみせるバレエ公演場面など高度な映像が続き映画のレベルは高い。


1961年、23歳のルドルフ・ヌレエフ(オレグ・イヴェンコ)は、所属するキーロフ・バレエのパリ・ロンドン公演のために、生まれて初めて祖国ソ連を出た。5週間のパリ滞在では、オペラ座で観客を熱狂の渦に巻き込む一方で、文化や芸術、音楽のすべてを貪欲に吸収しようとしていた。パリ社交界の花形クララ・サン(アデル・エグザルホプロス)と親密になり、パリの生活に魅せられていく彼の一挙一動は、KGBに常に監視されていた。

1.ワガママなバレエダンサー
主役のオレグ・イヴェンコは現役のバレエダンサーである。劇中でのバレエシーンは自ら踊る。当然迫力がある。自分はバレエには明るくないが、圧巻のステージである。


しかし、演じる性格は超ワガママだ。気に入らない人間がけいこ場にいれば罵声を浴びせて追い出す。パリで知り合った社交界の女友達とはいったレストランでも、ステーキに味付けソースが加わっているだけで自分を出生地の違いでバカにしているからだと急反発する。付き合ってくれたパリジェンヌを困らす。職人気質の優秀な人間にありがちなワガママである。周囲の言うことを聞かないだけでなく、レッスンに対しても注文をつける。レニングラードのバレエ学院でレッスンしてくれた先生の奥さんに誘惑される微妙なシーンもある。

2.亡命への急展開
パリでは、家柄のいいパリの女性と急接近する。パリ公演は大成功をおさめ、街ではルドルフ・ヌレエフの名前は広く知れ渡る。北朝鮮から蓮池薫氏夫妻が帰国した時に、北朝鮮当局の監視員がピッタリとついていた。その時と同じようにソビエトから派遣されたKGB職員がぴったりとルドルフに付く。


パリ公演終了して、親しくなったクララと夜遊びしたが、普通に空港からロンドン公演に向かうところであった。しかし、フルシチョフがパリ公演が好評だったと聞き、目の前で踊って欲しいので帰国せよという話を芸術監督のセルゲイエフから聞く。ルドルフは驚く。そして帰国を拒否する。絶対に当局に拘束されてしまうというのだ。

その場にはフランスで知り合った振付師ピエールラコット(ラファエル・ペルソナス)が見送りに来ていた。とっさに異変に気づき、彼はクララ(アデル・エグザルホプロス)に電話をする。そして亡命させることを考えるのだ。警察に亡命したいと言えばソビエト当局は拘束はできない。やがてクララが現れる。ソビエトから同行している監視員も彼女を知っている。別れを惜しんでいるだけと気を抜いている時に、「あそこにいる2人は警官だ。そこで亡命を宣言せよ」と耳打ちする。


ルドルフが空港に来た途端、それまでの平坦さから強い緊迫感にかわる。ドキドキするシーンが続く。悪名高い当時のKGBの包囲網を潜れるのか、ラファエル・ペルソナスやアデルエグザルホプロスという現代フランス映画の若手の実力俳優が周りを囲み役者は揃った。手に汗をにぎるシーンだ。
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映画「荒野にて」

2019-11-04 07:36:10 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「荒野にて」は2019年公開の作品


「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督による天涯孤独となった15才の少年が処分が決まった馬とともに荒野をさすらう話である。いかにも米国らしい荒野の風景だ。住んでいるポートランドからワイオミングに向けてのロードムービーとも言える。

チャーリー(チャーリー・プラマー)は赤ん坊の頃に母親が家を出て行ってから、教養も経済力もないが愛情深い父親(トラヴィス・フィメル)と2人で暮らしている。15歳になり、父親の仕事の都合で、誰も知り合いのいないポートランドに越してきたチャーリーは、家計を助けるために、近所の厩舎のオーナー(スティーヴ・ブシェミ)を手伝い始める。父親が突然亡くなり、天涯孤独となったチャーリーに追い打ちをかけるように、愛情を注いで世話をしていた老競走馬ピートの殺処分が決まってしまう。チャーリーはピートを連れ出し、疎遠になっていたマージー伯母さんが暮らしていたワイオミングを目指す。(作品情報より)


1.天涯孤独となった少年
もともと母親は小さい時にいなくなっている。今は父親と暮らしている。ところが、父親が人妻に手を出してしまい、夜襲を受ける。ガラスの破片が入って身体中に毒がたまり敗血症を起こしあっけなく亡くなる。


病院関係者は天涯孤独となった少年を施設で預ってもらおうとするが、その場を逃げ出す。少年は厩舎の主とたまたま知り合い、競走馬ピートの面倒を見るようになっていた。父親がやられた自宅は物騒で、厩舎でこっそりピートと暮らす。でも、馬が殺処分されることになり、馬の輸送車で一緒に飛び出してしまうのだ。お金は厩舎でもらったわずかなお金、ガソリン代につかってすっからかん。無銭飲食しようとしたら、警備員にも捕まってしまう。最悪だ!

2.ララミー牧場

おそらくはララミー牧場の名前に記憶があるのは60代以上であろう。10チャンネルすなわちNETで昭和38年までこの番組をやっていたようだ。その頃には生まれていたけど実際に自分が見たのは再放送だろう。内容はまったく記憶にない。


ただ、ローレンローレンローレン「ローハイド」同様に「ララミー!」という主題歌の歌声は耳について離れない。デュークエイセスのコーラスだったんだ。主人公が向かうワイオミング州の街にララミーという文字を発見し懐かしくなった。

3.もし少年と同じ境遇になったのなら?
15才といえば、高校に入った年だ。ほんの少し時代がずれていれば、戦争がからんで自分も中卒で働いていたかもしれない。戦火のもと父母と離れ離れになっていたらどうなんだろう?少年は行った場所で運良くバイトで稼いでいたりしたが、無銭飲食で警察に突き出されそうにもなった。親切な人にも恵まれたこともあったが、逆もある。空腹に耐えきれない場面が数多く見られる。自分がこの映画のようにたくましく生きられたかは疑問?11年前父母両方とも亡くなったけど、大人か少年かは大違いだ。


それでも最後に向かって若干の光が見える。それがなかったら救いようがない。トコトン主人公をおとしめる手もあったけど、この位にしておかないとバチもあたる。
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