映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「C.R.A.Z.Y.」ジャン=マルク・ヴァレ

2022-08-03 17:30:22 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「C.R.A.Z.Y.」を映画館で観てきました。

映画「C.R.A.Z.Y.」はダラスバイヤーズクラブジャン=マルク・ヴァレ監督の2005年の出世作で、当時日本未公開であった。昨年末ジャン=マルク・ヴァレ監督が亡くなったのがきっかけだったのか?こうして劇場で公開となる。実は自分がジャン=マルク・ヴァレ監督には不義理をしていて、作品3作の感想をブログアップしているが、ヴァレ監督の名前には触れていない。彼の出世作だけど主人公は1960年生まれで自分と同世代ではないか。観てみると60年代70年代のいい雰囲気を感じられてよかった。

1960年生まれのザックは軍人の父親をもつ保守的な家庭で3人の兄貴とともに暮らしている。長兄は本好きの秀才で、三男はスポーツ好きの一方で、次男はちょっとグレた問題児。クリスマス生まれのザックは特別な才能があると言われて育つが、周囲からは男色の気があるとからかわれて、ちょっと変わった目で見られて育っていくという話だ。

居心地よく最後まで観られる気分のいい作品だ。
カナダでも、フランス語圏だ。登場人物のいずれも自分には親しみを覚える。パーティになると、シャルルアズナブールの曲をしゃしゃり出て歌いみんなの失笑を呼ぶ父親、いつもやさしい母親、いつも2人はダブルベッドで仲良く寝る。仲もいいから子沢山だ。息子のザックが主役だけど、両親2人がストーリーを引っ張る。

ザックが歩んできた道を追っていくのに、時代を象徴する音楽が選曲よくバックで流れる。なんと著作権に60万ドルも支払ったという。ローリングストーンズの「悪魔を憐れむ歌」が特に高価のようだ。自分としては、ピンクフロイドの「狂気」のスキャットの歌が流れると心ときめく。FMでまだ日本で発売されていない新譜を紹介する番組で中学時代初めて聴いた。その時に自分が感じた衝撃が心によみがえる。


デヴィッドボウイの「スペースオデッセイ」も訳詞と一緒にみるのもいいもんだ。のちにザックはディスコのDJをやる。ダンスフロアで同じステップダンスでみんなが踊るシーンがある。日本のディスコでは70年代半ばまで見られた光景だ。でも気がつくと、父親がダンスフロアで十八番のシャルルアズナブールの曲を歌い出す。思わず声を出して吹き出してしまった。


真ん中の兄貴がヤンチャで何かとトラブルを起こすが、アッと驚くような出来事は起きない。安心して見ていられる中、快適な2時間を過ごす。
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映画「ブロウ」ジョニー・デップ

2019-07-16 05:35:19 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)

ブロウ

映画「ブロウ」は2001年のアメリカ映画

ジョニー・デップが麻薬ディーラーの紆余屈折した人生を描いた作品である。こういう裏稼業の映画は裏切りに次ぐ裏切りが定番のように映し出されるのが常である。この映画も同様である。一気に億万長者となってきらびやかな生活をしたあとで、お決まりの転落というパターンはよくある。こういう不良を演じさせると、ジョニー・デップはうまいし、かっこいい。70年代から80年代の服装を身に包んだジョニー・デップを見るための映画かな。


ジョージ・ユング(ジョニー・デップ)は、マサチューセッツ州の設備工事店経営者(レイ・リオッタ)の息子として育った。父の家業はうまくいかず、それをみて大金持ちになってやろうという強い夢を持っていた。

1968年ユングは同級生とともにカリフォルニアに行く。そばに住んでいたスチュワーゼスのバーバラ(フランカ・ポテンテ)と付き合うようになり、彼女が麻薬の元締めデレック(ポール・ルーベンス)を紹介してくれた。そのドラッグをスッチーのバーバラが飛行機で運んで東部の大学に売りさばいて大儲けした。

それでは満足せず、ジョージは直接産地から大量に仕入れようともくろむ。メキシコの農家から小型飛行機で運び、これまた大儲けする。恋人バーバラと結婚しようとしたが彼女はがんに侵されていることがわかる。しかもジョージは麻薬の所持容疑で逮捕される。仮釈放後、バーバラは亡くなり、仲間もバラバラになる。


その後実家に帰ったが、母親の警察への通報で収監となる。同房のディエゴ(ジョルディ・モリャ)と意気投合し、出所後コロンビアへ行きコカインの運び屋をするようになる。やがて麻薬の元締めパブロ・エスコバルと知り合う。コロンビアから大量のコカインをアメリカへ密輸し始めたジョージとディエゴは巨額の金を手にして3000万ドルをパナマの銀行に預ける。


1980年前後にはジョージの提供するコカインはアメリカにおいてかなりのシェアを占めていた。ジョージはディエゴの結婚式で出会ったマーサ(ペネロペ・クルス)と恋に落ちる。マーサには婚約者がいたが、2人は強引に結婚し娘ができ、まともに暮らしていこうとする。しばらくは平穏な日々が続いたが、裏街道を脱することができず再びジョージは逮捕されるが。。。

トム・クルーズ主演の「バリー・シール」という映画がある。実は「ブロウ」はずっと前に公開されているんだけど、麻薬の原産地である中南米の映像が繰り返し映し出されていることも含めてかなり類似している気がした。というよりも「バリー・シール」が似せたのだろう。

実はジョージのヒステリックな母親がキーポイント、アメリカ映画でよく出てくるすぐかんしゃくを起こしやすいタイプである。父親の商売がうまくいかず、母が家出をしようとする。健気な息子のジョージはバスの乗り場まで追いかけて止めようとするが、乗って出ていく。でも最終帰ってくる。そんな女は嫌いとばかりに母がハグしようとしてもジョージ本人は拒否する。こんな母親に懲りたって感じである。

ジョージが一度逮捕された後に一時帰宅したのに、その母親は一瞬歓迎するように見せるが、警察に通報する。これって「バスケットボール・ダイアリーズ」でいったん追い出された息子を自宅に入れないで警察に通報するのと同じだ。尾崎豊も覚せい剤で逮捕されたのは父親の通報だったよね。「バスケットボール・ダイアリーズ」ではそのあと更生、警察通報はいいようにもとれるけど、ジョージは再び悪の道に入る。

内田樹の「映画の構造分析」を読むと、アメリカ映画には男性から女性への嫌悪感があふれていると書いてある。この母親に対してはどうなのかなあ。
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映画「アメリカンサイコ」 クリスチャン・ベール

2019-06-26 17:50:14 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「アメリカンサイコ」は2000年公開のアメリカ映画だ。
アメリカン・サイコ
クリスチャンベール


「アメリカンサイコ」の「サイコ」の文字が気になる。何かありそうだ。80年代後半のニューヨークを舞台にクリスチャン・ベール演じる金融系リッチの主人公が優雅な生活をしつつも、殺人鬼の一面をもつというストーリーだ。まさにマイケルダグラス主演映画「ウォール街」の登場人物が改めて飛び出すような既視感がある。まだ、「バットマン」シリーズに出ていない頃のクリスチャンベールが性格の悪さがにじみ出ている人格破壊の金融系リッチを演じる。鍛え切った精悍な身体をつくり、クリスチャンベールはこの映画以降のキャリア同様に完璧な役作りをしている。


1980年代のニューヨーク、パトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)は、ウォール街のリッチなビジネスマンだ。高級マンションに住み、ゴージャスな生活をしている。恋人のイヴリン(リース・ウィザースプーン)から早く結婚するよう求められるがスルーしている。そのほかに愛人コートニー(サマンサ・マティス)もいるし、秘書のジーン(クロエ・セヴィニー)は彼に恋い焦がれていた。そんな彼は同類項というべきビジネスマンであるポール・アレン(ジャレッド・レト)にムカついていた。そして、強い衝動に襲われてベイトマンは、アレンを自宅に呼び出し殺害した。

そんなベイトマンの前に、失踪したとされたポールのゆくえを調査している探偵キンボール(ウィレム・デフォー)が現われ、ベイトマンから話を聞き始めるが、平静を装う。それでも、ベイトマンは殺人衝動が暴走する。別の人格が主導して残虐な行動を繰り返すのであるが。。。



1.金融系リッチマンの裏の姿

ベイトマン(クリスチャン・ベール)のふだんの顔はハーバードのビジネススクールをでたエリート金融マンである。自分の周りの人物はほぼ全部格下とみなして態度がでかい。クリーニング屋ではシミが取れないと異様な大騒ぎ。すべてをバカ扱いするイヤな奴だ。たまに高級レストランでわがままお嬢様の恋人イヴリン(リース・ウィザースプーン)とデートする。でも早く結婚しようよと言われても上の空だ。高価なスーツを着てパーティに出て、普段は似たような金融リッチとサロンでだべったりする。そんな彼はイェール大学出身のポール・アレン(ジャレッド・レト)がえらそうにしているのが気に入らない。それだけで殺してしまう。


ベイトマンは、前に買ったことのある娼婦クリスティ(カーラ・シーモア)を街角で見つけると3P可能かと聞いて自宅へ連れて、もう一人とたっぷり3Pを楽しむ。金持ちの悪趣味っぽいこれが露骨でエロイ。ベイトマンはヒットチャートマニアなのか、ヒューイ・ルイスやホイットニー・ヒューストン、フィル・コリンズなどの曲を取り上げてライナーノートのようにうんちくをいいながら女を抱いていく。かなり変態だ。


2.完璧な美術と色彩設計
自室のパウダーコーナーにはたくさんの男性用化粧品があり、顔にパックしたり、いかにもスポーツジムで鍛えたような身体に身につける。金融リッチとのサロンでの会話ではジバンシーをはじめ、高級ブランドの名前が多数でてきて、自慢をしあう。

そういう連中を映し出す映像のバックをアレンジする美術はいかにも完璧である。高級マンションのインテリアもすばらしくコーディネイトされ、高級レストランの料理もキメが細かく意匠的にきれいでゴージャスだ。アメリカ映画らしい美術の見事さだ。しかし、ここでの色彩設計の基本カラーはどう考えても噴出した血の色すなわちレッドであろう。


3.残虐な殺人

ウォール街のエリートビジネスマンの実態といかにもその性格の悪さを誇張する映画なのかと思っていたら、「サイコ」の名のごとく残虐度が強烈にエスカレートする。自宅には、殺しの道具の刃物がたっぷりある。手斧、ナタに電動ドリル、これを殺しに使うとするといやはやむごい。未遂も含めて目をそむけたくなるシーンが続く。それでもこの殺人が真実なのか、それとも妄想なのかどうか??途中で観客に疑問視させる場面となるのであるが。。。




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映画「バーティカルリミット」

2014-12-07 20:40:30 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「バーティカルリミット」は2000年のk2登山をテーマにした映画だ。

後輩から勧められた映画、この当時異動まもない時期で仕事が忙しかったのか?全然ノーマークになっている。日本でも39億円の興行収入だから割とヒットしている。雪山の登山がテーマというと洋画でいえばシルベスター・スターローン主演「クリフハンガー」やクリントイーストウッド主演「アイガーサンクションなどが自分のお気に入りだ。その話をしていたときにこの映画の話題が出た。
見てみると、なかなかの迫力だ。映画の製作費が7500万$でけっこうかかっている。主演級はいない配役だけど、このレベルの撮影するとなると金かかるんだろうなあ。


3年前、ピーター(クリス・オドネル)はロッククライミング中の事故で、自分と妹のアニー(ロビン・タニー)を救うため、父親の命綱を切った。現在、その苦悩から逃れようとするピーターは、山を拒否し、写真家になっていた。一方アニーは登山家になり、アイガー北壁を登頂し、登山家だった父親の夢を追っている。

2人はパキスタンで再会、アニーは世界第2の高さを誇る難関K2に挑む。一隊は標高8000メートルのところで、雪崩で氷のクレパスに閉じ込められてしまう。アニーの一隊は絶望と思われたが、ピーターとモーリス信号で交信ができた。生存していることが分かる。しかし、場所は特定できないし、クレパスをこじ開ける方法はニトログリセリンで氷を爆破するしかない。しかも、危険物を背負って登山しなければならない。ピーターが頼み込んでも、誰も救助に名乗り出なかった。しかし、行ってくれたら50万$だすという話が出て、ベテラン登山家のスキップ(ロバート・テイラー)と看護婦で登山家のモニク(イザベラ・スコルプコ)、ポーターのカリーム(アレクサンダー・シディグ)ほか、計6名で救出部隊を結成。3組に別れ、それぞれが、K2の遭難地点を目指すことになった。タイム・リミットは22時間しかないが。。。


いきなりロッククライミングの事故を映す。初心者のミスで親子3人が巻き込まれ、これ以上の体重負担があるとロープが切れて3人とも転落してしまうと、父親は息子に命綱を切るように言う。妹の悲鳴をあげた抵抗にもかかわらず父親の意思に従って切り、2人が助かり父は転落死する。
最初から緊張感のあるシーンを見せてくれ、一気に引き込まれる。でもこのシーンに何か意味があるのか?と思っていたら最後で判明する。

途中でニトログリセリンを運ぶという設定となり、フランス映画の名作「恐怖の報酬」をすぐさま連想する。500KM先の油田爆発の火消しのためにイブモンタンがトラックでニトロを運ぶ。途中は難関だらけである。振動が起きたら爆発する。この映画はおもしろい。たぶんそれを意識して、ニトログリセリンの使用を氷の破壊という設定に応用したのであろう。



登山映画の特徴として、こちらまで危なっかしいなあと感じさせる絶壁のシーンが連続する。
背筋がぞくぞくする。
雪山の映像はとらえる撮影は見事で、危機一髪のシーンには常にハラハラさせられる。

しかも、この映画は登場人物を平気で何人も死なせてしまう。
正義の味方なのに。。。と思いながら谷底へ突き落とす。このあたりは展開を読みづらくする。最終的にはきっと遭難現場に行きつくと思うけど、本当にうまくいくのであろうか?と自分に感じさせてしまうし、うまくいってもその後に次の難関と物語としての構成はうまい気がした。

バーティカル・リミット
クリス・オドネル,ビル・パクストン,ロビン・タニー,スコット・グレン,イザベラ・スコルプコ
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Shall we Dance? リチャードギア

2012-11-25 21:52:46 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
リチャードギア主演の映画「shall we dance」は日本版のシャルウィーダンスのリメイクだ。

リチャードギア主演で、ストーリーの基本構造は日本版と同じだ。アメリカ事情にあった形で一部アレンジが変わっている。正直リメイクの方が若干洗練されている印象を受ける。想像以上によくできていると思う。

シカゴが舞台だ。
相続遺言を仕事にしている主人公ジョン(リチャードギア)はまじめな弁護士だ。一人娘とアパレル関係の仕事をしている妻(スーザンサラントン)とごく普通に暮らしていた。その彼はループ鉄道での帰宅途中でいつもダンススタジオが気になっていた。一人の美しい女性(ジェニファーロペス)がさみしげに窓から外を眺めているのをいつも見ていたのであった。ある時電車の中からいつものようにダンススタジオを見上げた時に、ふと途中下車をしてしまう。見学自由ということでスタジオに入っていくと、ダンス教室へ勧誘を受けた。同じように男性が2人いて、2人と一緒に入会する。ここではデブの黒人の若者とゲイの男性だ。毎週水曜日の夜7時半ということであった。
スタジオではいつも見ていた美しい女性でなく、経営者の初老の女性が教えてくれた。徐々にステップをおぼえて、職場でも陰で練習するようになる。長髪の男性ダンサーがラテンのリズムで踊るのを見て、顔に見覚えがあった。ふとしたことで長髪のかつらがとれてしまい、ハゲ頭が飛び出る。法律事務所の同僚だった。それぞれに研鑚を重ねて、シカゴのダンス大会を目指すようになる。
一方妻は帰りが遅くなった夫が気になる。洗濯しようとするシャツに香水がにおうのもおかしい。妻は探偵の元へ行き、夫の素行調査を依頼する。探偵は夫の後を追い、ダンス教室に通っていることを知るが。。。

オリジナルは何度も見ている。いつ見ても面白い。気高い雰囲気の草刈民代が美しく、役所広司もまじめな主人公のキャラをうまく演じる。それと対比してあらわれる竹中直人と渡辺えりこがうまい。ただ、元々の作品は低予算でつくられているせいか、映像が自主製作映画のように粗い印象だ。
アメリカ版はいかにもダンスシーンをとらえるカメラが実に巧みだ。プロの仕事だという印象だ。

シカゴが舞台だ。ラテン系の人はニューヨークに比較すると少ない。ジェニファーロペスをもってきたのはどうしてなんだろう。情熱的なムードを醸し出す。

ダンス大会前夜にジェニファーロペスと主人公が情熱的なダンスを踊る場面がある。この部分は原作にはないと思う。大会でワルツ系を踊る主人公であるが、彼女とかなり情熱的なラテンを踊る。この場面が自分にはよく見えた。いかにもキスシーンがあってもおかしくない設定なのに、それなしでそれ以上の激しい何かを感じさせるところがうまい気がした。

原作でキーポイントになるシーンがいくつかある。帰り際偶然一緒になった主人公がダンス教師を誘い出すシーン、ダンス大会でミスをしてしまうシーン、ラストダンスで主人公があわてて入ってくるシーンだ。
ほぼ原作に忠実にうまくまとめる。
その中でも割とさらっと流したかな?と思わせたのがラストダンスのシーンだろう。まさにそこに映画のヤマをもっていった原作と比較すると、割とアッサリだ。しかも主人公たちが踊るダンス音楽が早めにアップテンポに変わる。ここが意外だった。ダンスパーティがディスコパーティ風になるのもイメージが異なる。

逆にここでは妻の存在感が高い。原作以上に夫婦再生というテーマ性が強いのが特徴で、ちょっとした浮気映画に見せない工夫があるところが日本との違いだ。
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エリザベスタウン  キャメロンクロウ

2012-06-22 19:38:22 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「エリザベスタウン」はキャメロンクロウ監督による2005年の作品
当時23歳のキルスティンダンストがキュートでかわいい。

会社に大きな損害を与え首になった男が、父の死で故郷「エリザベスタウン」に帰った。
父の田舎に戻って、近隣の人たちとのふれあう中で自分を見つめなおすというストーリーだ。


シューズ会社に勤める主人公ドリュー(オーランド・ブルーム)は、スニーカーの人気デザイナーだ。しかし、新しい靴の開発に失敗してしまった。会社はリコールの靴の山となった。
会社に9億ドルの損害を与えて、社長(アレック・ボールドウィン)からクビを言い渡される。絶好調の時にもてはやしてくれた社長秘書である恋人のエレン(ジェシカ・ビール)にも見離された。自宅に戻った主人公は自殺を考えた。そこに母親のホリー(スーザン・サランドン)と住んでいる妹のヘザー(ジュディ・グリア)から電話がかかってくる。父親が急死したという知らせだった。
主人公は父の故郷であるケンタッキー州のエリザベスタウンに向かう。その途中、飛行機の中でフライト・アテンダントのクレア(キルスティン・ダンスト)と知り合った。客室は誰もいないので、主人公はファーストクラスへ席をうつさせてくれた。そこで彼女は積極的に話しかけてくる。帰りに電話アドレスを教えてくれた。
迷いながらもエリザベスタウンに着いた。町ではおじさんや近所の隣組が大勢待ってくれた。大歓迎だった。それでもホテルに戻ると、孤独を感じた主人公は、方々に電話をかけまくる。結果的にクレアと朝まで長話することに。そして2人は次第に仲を深めていくが。。。


キャメロンクロウ監督といえば、自伝的作品「あの頃ペニーレインと」が有名だ。
ローリングストーン誌の記者だっただけあって、流れる音楽のセンスが抜群にいい。
ロックミュージックを基調にシーンに合わせた音楽が選択される。気分がいい。
この作品の脚本は、キャメロン・クロウ監督自身が、父の死をきっかけに執筆したものだという。父の葬儀でたくさんの親戚と出会ったキャメロンはみんなの暖かさに感動したのだという。

この映画での葬儀方法には驚かされた。
いろんな映画で葬儀のシーンを見ることは多い。教会やお墓の前で神父と一緒にたたずむシーンだ。
ここではまるっきり違う。最近日本は家族葬が増えたが、近所の隣組が葬儀を段取りするのは日本もアメリカも変わらない。しかし、親戚と近所の隣組が念入りにパーティを準備するのである。単なるお清めとは訳が違う。ロックやタップダンスありの歌で故人をしのぶなんてやり方はいい感じだ。

自分の両親の時の葬儀を思い出した。
大勢の弔問客が来てくれたが、さすがにこういう風にはできなかったなあ。

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モーツァルトとクジラ

2011-12-31 15:49:21 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「モーツァルトとクジラ」は自閉症にかかっている男女の恋を描く。
自閉症というと映画「レインマン」が連想される。あの映画は本当にすごかった。
今回はそういう2人が恋をしたらどうなるのかを描く。興味深く見れた。


主人公ことジョシュ・ハートネットは、タクシーの運転手として働く一見普通の若者である。彼はアスペルガー症候群という障害を抱えていた。しかし同じような障害を持つ仲間たちと集りを開き、環境に適応しようと努力している。
そこに若い女性のメンバーが参加した。他人の言うことをありのまま解釈してしまう美容師ことラダ・ミッチェルであった。自由奔放な女性であった。彼女をハロウィンのパーティに誘いたい彼はなんとか彼女とのランチに漕ぎ着ける。だが彼女は主人公がパーティ嫌いと知って、ハロウィンに仮装して一緒にショッピングへ行くことを提案した。ハロウィン当日。クジラの仮装をした主人公のところへモーツァルトの扮装に身を包んだ彼女が現れ、躊躇する主人公を街へと連れ出す。恋のはじまりを思わせる瞬間だったが。。。


映画「レインマン」でダスティンホフマンが演じた自閉症の男は鮮烈なイメージを残した。落ちたマッチの数を一瞬にして数えたり、難しい演算を一瞬にして解いたり、カジノでカードカウンティングをして大勝ちをしたりという映像に驚かされた。思わず自閉症に関する本を買ってしまったくらいだ。
今回の主人公にもその匂いはある。数字に強い。彼女も絵画の才能がある。でもどちらかというと症状は軽い。そうでないと恋はできないであろう。しかし、そのふるまいは不器用そのものである。見ていてやきもきする。そう観客に感じさせるのが狙いなんだろうけど。。。

この主人公もまともに相手の顔を見れない。視線をそらす。
恋なんてしたことないから相手に電話する瞬間もドキドキだ。そんなときめきを持って美容師の女性に接する。彼女もある意味同様だ。この女性はこだわりが強い。そのせいかかんしゃくを起こしてしまう。
そんな2人は近い存在なのになかなかくっつかない。そしてくっついた後もトラブルだらけだ。

バックで脇役を演じる同じ自閉症にかかった仲間たちが映し出される。自閉症患者の特徴を示すが、どちらかというと「カッコーの巣の中で」で映し出される統合失調症の人たちとダブってしまう。むしろ自閉症をオーバーに映し出しているような気もする。

せつない思いをしながら映像を見た。

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ガタカ  イーサンホンク

2011-08-31 18:00:38 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「ガタカ」は遺伝子が全てを決定する未来社会を舞台にしたサスペンスタッチの97年のSF映画。
若手人気俳優同士だったイーサンホンクとユマサーマンの2人が結婚に至った作品で、その後2人は別れる。そこにメジャーブレイク寸前のジュードロウが加わる。近未来物は比較的苦手だが、語り方はシンプルでわかりやすい。ありえない未来モノではなく、もしかしたらこういう世の中になるのではないかと想像させる世界だ。ここ数年ipsの研究や遺伝子工学の進歩が著しい中、一見の価値はある。


近未来の話だ。人種などの差別ではなく、優性遺伝子を持つかどうかで職業その他に明らかな差別が生まれていた。劣性遺伝子の排除操作されずに自然の形で生まれたヴィンセントことイーサン・ホークは、生まれてすぐ心臓が弱く30歳までしか生きられないと宣告された。逆に弟は劣勢遺伝子が排除されて生まれた。弟は運動神経も頭脳も上回り、背の高さもあっという間に追いぬいた。ずっと弟が優位に立っていたが、遠泳で一度弟に勝ち家を出る決心をする。
イーサンホンクは宇宙開発を手掛けるガタカ社に掃除夫として働くことになった。しかし、宇宙飛行士への憧れを持っていた。遺伝子「不適正者」のため、DNAブローカーにジュード・ロウを紹介してもらう。優性遺伝子を持つ超エリートの水泳選手だった彼は下半身不随になっていた。彼の生活を保証することを見返りに、アリバイを示す血液や尿のサンプルを提供してもらいジュードロウに成り済ます。顔はまったく同じでなくても遺伝子検査さえパスすればいいのだ。

金星の衛星タイタン行きの宇宙飛行士に選ばれるが、ロケット打ち上げに反対していた上司が殺される。女性局員ことユマ・サーマンは捜査に協力した。殺人現場のちかくにイーサンホンクのまつ毛が落ちていた。それは遺伝子不適正者の掃除夫としてカダカ社をすでに辞めている本当のイーサンホンクのものだったが。。。。

自分の正体を隠して生きていくという設定は映画ではよくみられる。うそはばれるというのは常識だが、イーサンホンクはぎりぎりのところを逃れていく。でも逃れようと思っても逃れきれないところに追いつめられる。はたしてどうなるんだろう?と思わせるスリリングな場面が次から次へと登場する。途中のストーリー展開は意外性もあってうまい。とはいうものの根本に流れるのは浪花節的人間的感情だ。それをうまくとり混ぜながら近未来の科学的生活を描く。

遺伝子工学が進歩していると聞く。そういう方面は苦手なんでよくわからないが、この映画で言われる優性遺伝子の概念はこれから進んでいくような気がする。
橘玲さんの本に「出来の悪い親からはいい子供と思っても無理なんだよ」というのが主説の本があった。自己啓発なんてやっても無駄だ。遺伝子の強さを覆せないというのだ。それを思い出した。今の日本はエリート嫌いが強すぎて、能力がよりすぐれた存在をうざく思う傾向がある。財務省エリートをはじめとした特権階級が嫌われる。そういった意味では日本では受け入れずらい映画かもしれない。でも遺伝子の研究が進めばこの映画の世界が実現する可能性が大ではないか。そんな気がした。

ユマサーマンがいかにも未来人ぽいのが笑えた。映画の作りはうまい。
特に脇役の配置にはお見事と言わせるものがあった。
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エニグマ  ケイトウィンスレット

2011-07-18 05:29:02 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「エニグマ」第2次大戦下のイギリスを舞台に、ドイツ軍の難解な暗号システムに挑む暗号解読チームの暗中模索を描く。主人公の天才数学者が暗号解読に立ち向かう。主演はダグレー・スコットとケイト・ウィンスレット。謎の元恋人サフロン・バロウズの存在がポイントだ。



 1943年イギリス軍の暗号解読センターでナチスドイツの暗号化装置“エニグマ”機の解読が進められていた。チームの中心的存在で若き数学者の主人公ジェリコことダグレイ・スコットは、同じセンターで働く恋人クレアことサフロン・バロウズと喧嘩別れしたことが原因で神経衰弱に陥り休暇をとっていた。そんなある日、彼は急遽センターに呼び戻される。ようやく解読に成功したエニグマの暗号コードが突然変更されたのだ。この変更コードの解読ができなければ、大量の輸送物資を積み込んで大西洋を航行する大輸送船団が、ドイツのUボート軍団の餌食にされる。窮地に立つイギリス軍だ。もともと主人公がドイツ軍の暗号を解読していた。同時にイギリス諜報部はこの一件でチーム内にスパイがいるとにらみ捜査を開始する…。

この映画の本筋は懸命に「エニグマ」の変更コードの解読に挑むことだが、これに絡まる伏線が実に面白い。
主人公の恋人クレアことサフロン・バロウズは暗号解読本部で働いている職員だが飛び切りの美女だ。その美女に声をかけられて「親密な関係」になり、主人公は恋に狂ってしまう。しかし、彼女は妙に主人公の仕事のことを知ろうとする。ドイツ軍のスパイと思しき流れでストーリーが進む。元恋人の同僚ケイトウィンスレットもその関係を協力して解明しようとする。この伏線がストーリーに変化球の曲線を描かせる。



もう一つとんでもない事実もあらわにされる。これはナチスの話ではない。1943年4月、ロシアのカティンの森に4400体のポーランド将校の死体が発見された。1939年にソビエト軍に捕えられたポーランド人将校たちが、ソビエト秘密警察によって大虐殺されたということだ。これだけではない。41年独ソ戦開始後ソビエト側に渡ったポーランドの20万もの捕虜のうち、10分の1しか残っていないことが判明した。スターリン率いるソビエト当局はナチスドイツによる「デッチ上げ」だと否定したが、のちにゴルバチョフによって謝罪されるスターリンのマイナスの遺産であった。この事実が「エニグマ」によって打電されていた。この大虐殺に関する暗号を主人公とケイトウィンスレットがイギリス暗号解読所で解読する。
そもそも日本の世界史では2次大戦きっかけのポーランド侵入がドイツ単独で語られることが多い気がする。しかし、スターリン率いるソビエトはえげつない。すぐさまドイツを追ってポーランドへ侵入する。そこでむごいことをしたのはむしろソビエトだ。日本人は同様の裏切られたつらい思いをしているだけにポーランドに同情の思いがある。北海道がソビエトのもとに行ったらどうなったのであろうか?
ソビエトのえげつなさが語られないのも戦後「アカ教育」に同調する人たちがナチのでっち上げとしたからであろう。学生運動と左翼思想教育に傾いた日本の失態だ。スターリン時代には悲しい事実がたくさんある。この映画でもスターリンのせいと英語のセリフはなっている。なぜかソビエトのせいと訳しているけど。

暗号に関する映画ではラッセルクロウが数学者を演じる「ビューティフルマインド」が印象的だ。頭を使いすぎて精神を病むという設定はこの映画でも同じだ。そこまでの頭脳を駆使する経験がないだけに、自分にないものとしてこういう世界には魅かれる。途中よく話がわかりづらい部分もあるが、時代考証も絶妙でおもしろかった。ケイトウィンスレットも謎の美女の引き立て役の存在だが、いい味出している気がした。

一つだけ不思議なのはミックジャガーが制作にかかわっていること。その色がないだけに???

(参考作品)

エニグマ
天才よりケイト・ウィンスレットがクローズアップ


ビューティフル・マインド
暗号解読に挑む数学者を描いたアカデミー賞作品
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小説家を見つけたら  ショーンコネリー

2011-06-18 05:33:22 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「小説家を見つけたら」は「グッドウィルハンティング」の続編とも言うべきガスヴァンサント監督の2000年の作品だ。ショーンコネリーが偏屈な小説家に扮して、ニューヨークのダウンタウンに住む黒人少年とのふとしたことから生まれた友情を描く。ショーンコネリーは不朽の名作を残してその後小説を書かなくなったという設定だ。少年を物書きとして成長させていく。ある意味アメリカンドリーム的な作品ともいえよう。



NYのブロンクスで暮らす16歳の黒人少年ウォレスことロブ・ブラウンは、プロのバスケットボール選手を夢見るかたわら、不良仲間には内緒で大好きな小説を書き続けていた。そんな彼が不良仲間にそそのかされてアパートの1室に盗みに入る。ところが、部屋にいることに気づき少年はリックサックを残したまま退出する。その中には彼の創作ノートが入っていたのだ。逃げた後彼はリュックを忘れたことを悔いた。そのアパートのまわりをうろうろしていた彼のそばにリュックが投げられる。アパートの主はショーンコネリーだ。忘れていたリュックの中を見たら、創作ノートが赤ペンで添削されていた。謝る少年はショーンコネリーと知り合う様になる。
少年は通常の学校の成績は及第点ぎりぎりだったのに、高校生の全米統一試験で素晴らしい成績をとった。そんな少年の才能に気づいたエリート私立高校から彼に誘いがきた。高校のスポーツの名声をあげるため、当然彼のバスケットの才能もかわれたのであった。新たな学校へ通ううちに少年は、その老人が有名な小説家だということを知るが….。



話自体は静かに進む。ニューヨーク私立校に進んだ後の少年の振る舞いはサンドラブロック主演の「しあわせの隠れ場所」と同じ類だ。両方とも黒人の少年をクローズアップさせ、貧民街で育ったという設定だ。後に作られただけにサンドラブロックの映画のほうが真似したのかもしれない。
ガスヴァンサント監督は「グッドウィルハンティング」を撮ったとき、マットデイモンを天才に仕立てた。相手に数学だけでなく、人文科学系の知識をひけらすシーンがある。今度も似たようなシーンがある。最初は攻撃的なひけらし方ではない。キーポイントになるシーンで攻撃的に知識をだしていく。
いずれにしても、監督は広いアメリカの中で、下層社会の人間でもすごい博学がいるということを示したかったのであろう。個人的にも痛快と思わせるところがある。
アメリカはイギリスのような貴族はいないが階層はある。こういうのが大衆には受けるかもしれない。

劇中有名な小説家の古い紹介記事として、古いショーンコネリーの写真が出てくる。「007」のころの写真だ。あの当時のコネリーは自分は大好きだ。もちろん老いたコネリーの味のある演技はもっと好きだ。いい年の取り方をしたみたいだ。
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コーチカーター  サミュエルジャクソン

2011-02-21 20:30:05 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「コーチカーター」はサミュエル・L・ジャクソン主演のバスケットものだ。
高校のバスケットボールの名選手で、今はスポーツ用品店を経営しているサミュエルジャクソンがコーチに推挙されてチームを強くすると同様に、学力も増強しようとする文武両道を目指す話だ。



サミュエルジャクソンはリッチモンド高校のOB、往年は名プレイヤーとして活躍していた。
現在はスポーツ用品店を経営する実業家であった。リッチモンド高校のバスケットボールチームは現在では弱小チームに成り下がっていて、負けが込んでいた。同時にほとんどが大学進学をあきらめていた。
校長からコーチに指名され、1500$という薄給にもかかわらず引き受ける。
全権を委任され着任したが、部員の態度はめちゃくちゃ、明らかに新監督をバカにした態度をとっていた。
その部員に3つの約束をさせる。一定レベル以上の学業成績の取得、授業で一番前に座る。試合のときはネクタイ着用。サミュエルはいきなりボールを持たせないで基礎体力増強のためダッシュ練習を始める。
そのやり方に反発した学生が離脱したりした。
しかし、サミュエルの指導に従った学生たちは徐々に力をつけていくのである。


このあと面白いくらいチームが強くなる。
しかし、気がついてみると、学生たちの成績は、一部学生を除いて落第すれすれの点数だった。
それをまずいと思ったサミュエルジャクソンは、それに対して強権を発動するが。。。。

日本の高校では文武両道が当たり前と言った風土ではない。
進学校では、勉強もスポーツも出来てなんてパターンはあるだろうが
大会の上位になろうという学校では、一部の例外を除いて、体育会イコール勉強の劣等生のイメージが強い。仮に勉強が出来なくても、スポーツの実績がよければすべて許してしまう風土がある。
それはそれで良いじゃないという気もするが、アメリカではそうはいかない。
そこが日本とアメリカの大きなちがいであろう。



とはいうものの「練習するな!」とまでいう風土はさすがにアメリカにはない。
マスコミや父兄といった外野のほうが大騒ぎする。
そこにどう立ち向かっていくのか?それがこの映画のテーマだ。

割と長い映画だ。テンポを速めることは出来たかもしれない。
できの悪いチームが、優秀なコーチが来て強くなるなんてパターンはいくらでもある。
でも、それにとどめないところがこの映画の奥行きの深さであろう。

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スーパーサイズミー  マックを30日食べ続けたら

2011-02-20 21:32:36 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
マクドナルドのメニューを30日食べ続けたらどうなるか?というドキュメンタリー的作品だ。
ちょっと極端な話だが、アメリカ人に肥満が増えすぎていることへの警鐘ともいうべき話で、映画の中のデータを見ていると、日本人から見ると異様な食生活が垣間見れる。

監督兼主演のモーガン・スパーロック自身が一日に3回、30日間、マクドナルドのファストフードだけを食べ続けたらどうなるかを記録したものである。彼の身におこる身体的・精神的な影響について記録している。まず最初にこの生活を始める前に健康診断をする。
スパーロックは当時33歳、身長188cm、体重84.1kg、体脂肪率11%、健康体で肥満ではない。30日後、体重は11.1kg増、体脂肪率は18%になった。精神的にうつ、性欲減退、かなり深刻な肝臓の炎症を起こした。 スーパーサイズのマックの食品を中心に、一日5000kcalをマクドナルドで摂った結果である。尋常でない食生活をドキュメンタリー的に描く。
スパーロックの実験の動機は、米国社会の急速な肥満の増加にある。データを見ると凄いことになっている。映画上映の前、ある女性からマクドナルド社に対して起こされた肥満訴訟があった。この訴訟自体はマクドナルド側の勝利に終わったものの、監督はタバコ会社に対するのと同様の非難がファストフード業界にもあてはまるのではないかと指摘した。

主人公の奥さんがベジタリアンで、肉も食べると本人は言うが、もともと奥さんの影響を受けた食生活であると思う。実験前の体脂肪率11%はかなり低い方だ。増加した体脂肪率18%でもまだ20%以内であるから、まだ低い方ではないか?知っている限りでもっと高い人間の率の方がはるかに多いと思う。それでも、体重増加11キロはすごい。
どちらかというと実験が始まって、精神的に病んできていた気がした。妻が主人公との性生活の話を率直に語っている。徐々に弱くなっていることを示している。それはそうだろう。もっとも日本よりは奥さんが主人に求める性的欲求の強い国であるから、むしろこの弊害が日本よりも強く語られるような気がした。

個人的にはマックは月に2回程度かな?喫茶店かわりに100円マックで飲み物だけで入ることが多い。マックを食べるときはビックマックに100円マックのハンバーガーを加える。ポテトは食べない。食べるときは割と食べる。でもしょっちゅうは無理だなあ。月に1,2回だからいいのかも

なんだかんだ言いながら笑える部分も多く、楽しめた。
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白いカラス  アンソニーホプキンス

2010-08-08 20:57:04 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
クレイマークレイマーのロバート・ベントン監督によるアンソニーホプキンスとニコール・キッドマン主演の2003年の作品。人種差別問題で教授を辞した男の恋の物語である

アンソニーホプキンスはユダヤ人で初めての古典文学教授だった。しかし、講義中に発した一言が黒人差別だと批判され、辞職に追い込まれてしまう。怒りをぶつけるため、ホプキンスは作家に、この事件を本にしてくれと依頼する。作家は断るが、2人の間には不思議な友情が芽生えていった。その後、ホプキンスにはニコール・キッドマンという若い恋人ができる。幼少時代の虐待やベトナム帰還兵の夫エド・ハリスの暴力に悩んでいた清掃の仕事をしている34歳の女性だ。彼にも長年連れ添った亡き妻にさえ隠していた決して知られてはいけない秘密があるのだった。二人はいつのまにか恋にはまっていくのであるが。。。



静かに奏でる音楽をベースにしてしっとりと映像がつくられている。アンソニーホプキンスはいつもながらの安定感のある演技である。性格的にアグレッシブな男だ。今回は教授を首になり世捨て人になった状態で、ニコールキッドマンという美女を相手にして恋の駆け引きをする役だ。最近ベン・キングスレーがぺネロぺ・クルスを相手に「エレジー」という映画を演じていた。60を過ぎた大ベテラン俳優が30代の超美人女優を相手に最後の恋に落ちるという設定は時折みられる。これはこれで男の秘めた願望であろう。演じること自体うらやましい感じはする。

配役はぜいたくである。
二人の主役のほかにニコールキッドマンの元夫役にエドハリスが登場する。悪役を演じたら当代きっての名俳優だ。ベトナムの帰還兵という設定でかなり荒っぽい男を演じる。低音が効いている音楽というべきか?作家を演じるゲイリー・シニーズもいい。割と器用な俳優で、悪役をやらせてもうまい。「身代金」の黒幕役がよかった。
アンソニーホプキンスの若いころを演じる男ウェントワース・ミラーとその彼女が出てくる。ボクシングのシーンにも挑んで、なかなかの熱演だ。大胆なシーンも散らしながら、ホプキンスの悩みのルーツに触れていく。



傑作という訳ではないが、映画巧者による安心して観れた映画である。

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バッドアス

2010-05-23 07:45:36 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
黒人映画制作者のはしりの誕生をテーマにする。メルヴィン・ヴァン・ピープルズは白人に牛耳られていた映画界に「スウィートスウィートバック」でブラック旋風を巻き込んだ。息子マリオン・ヴァン・ピープルズが監督兼主演で親父のオマージュをおこなう。
70年代のソウルミュージックを彷彿させる音楽をバックに流し続けながら、彼ら黒人製作者の苦労を映し出す。

ハリウッドの映画制作者の主人公メルヴィン・ヴァン・ピープルズは、黒人だけでブラックパワーを示す映画をつくろうとする。すでに「ウォーターメロンマン」をヒットさせていた。
自薦他薦でスタッフは集まるが、制作費がない。スポンサーを頼ってまわるが、断られつづける。
出演俳優も俳優組合から圧力がかかったりうまく行かない。そんな中映画撮影を強行していく



努力して何かを成し遂げるといったムードが強いわけではない。主人公は比較的のんきだ。次から次へとでてくる困難をサッカーのドリブルのように避けるようにして映画をつくる。詐欺師的な要素も持っている。その雰囲気も映画では十分読み取れる。
それまで白人俳優の陰で、黒人俳優は使用人やコメディアン的な役しか与えられてはいなかった。シドニーポワチエはすでに活躍していたが、彼を起用するほどの金もない。そこで当時全盛だったポルノの匂いもむんむんさせながら映画をつくることを思いつくのだ。


最初に時代背景をドキュメンタリータッチで説明してわかりやすい。
このころすでに音楽界ではブラックパワーが爆発していた。モータウン全盛のころである。
ドリームガールズなんて映画はそのころを上手に描いている。
しかし、黒人スタッフのみでの映画制作には程遠かったようだ。
感動する映画ではない。徐々にムードを盛り上げていく。
監督それ自体の若いころが役柄で登場する。なんと12歳で童貞にさよならをするのだ。
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ウェディング・クラッシャーズ

2010-02-22 19:30:35 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
結婚式にかこつけてナンパを繰り返している男たち二人の物語。クラッシャーとはいえ、彼らは結婚式をぶち壊すわけではない。日本の結婚式では考えられないことであるが、ご祝儀無しですいすい入れるパーティー形式であれば、こういう悪さをする人間がいてもおかしくない。



主人公二人はワシントンにいる離婚調停の調停人。結婚式にでては、美しい女性に接近。パーティで大騒ぎして、その女の子としけこむことを繰り返していた。その女の子たちとは後腐れない関係で揉め事なくこれまで楽しんできた。今回新聞でアメリカ政府の財務長官クリストファーウォーケンの娘の結婚式があることを知る。その家族の予備知識を得て、出席するが。。。。

これこそ不純な話である。日本でこんな話があったなら結婚詐欺まがいの大騒ぎになるだろう。コメディとはいえ、そういう人物を主人公にしてハッピーエンドにしてしまうところに、日本とアメリカの国民性の違いということなのかもしれない。
日本の場合、結婚式に出るなら必ずご祝儀を支払う。席も決まっている。
そういう話ではこうはならない。あくまでアメリカの事情として割り切ってみるべきであろう。でもこの映画が2億ドルの興行収入でアメリカ映画史上100本の指に入る人気だったいう事実が信じられない。確かに笑える映画だけど。。。。
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