映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

やわらかい生活  寺島しのぶ

2012-05-13 10:20:21 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
映画「やわらかい生活」は2006年の寺島しのぶ主演のドラマだ。

絲山秋子さんの原作映画化の「ばかもの」を先日コメントした後、勢いで見てしまった。
大卒総合職からドロップアウトした女性に焦点をあてて、精神に異常をきたしながら東京の猥雑な町蒲田で生き続ける生きざまにスポットライトをあてる。

寺島しのぶ演じる35歳のヒロインは大田区蒲田に一人暮らしで住んでいる。すでに両親が亡くなっている。それをきっかけに総合職で勤めた一流企業を退社した。出会い系サイトで知り合った中年男と痴漢プレイを楽しんだり、立ち上げたサイトにアクセスしてきたうつ病のヤクザ(妻夫木)とタイヤ公園で会ったりしている。
両親の7回忌に福岡に帰った。そこには博多弁の親戚の男(豊川悦司)がいてやさしくしてくれた。
蒲田を徘徊していた時、選挙演説をしていた男に声をかけられた。彼は早稲田大学の同期で、都議会議員に立候補しようとしている。2人で飲みに行った。昔話に花を咲かせ、彼女の家に向かったが、どうもEDのようだ。そんな何人かの男たちと他愛のない付き合いをしている時に、福岡の親戚の男がコテコテのアメ車に乗って上京して彼女のアパートを訪れるが。。。。


ストーリーはどうってことない。緩急もない。
廣木隆一監督は「ヴァイブレータ」で以前寺島しのぶと組んだが、同様にまったりしている映画だ。新宿と和歌山の新宮を舞台にした映画「軽蔑」の時もそうだったが、長まわしが好きな監督である。見ようによってはどうでもいいシーンを長い沈黙も含めて、長まわしで撮る。一つだけ違うのが寺島のヌードシーンがないことだけであろう。でもこの映画での寺島はいつもよりきれいに見えるのはどうしてかな?

大学出の女子総合職が話題になった時期もあった。今はどうなっているのやら。それでも銀行あたりは女性支店長が増えてきた気もする。キャリアと思しき雰囲気の人もいるが、おばちゃん風の支店長もいる。この映画で寺島しのぶ扮する主人公が、自分と一緒に入って頑張ってきた総合職の女の子が911で死んじゃったと独白する場面がある。設定とはいえ、あのときも銀行の人ずいぶんと亡くなったなあ。
作者絲山秋子さんの履歴を見ると、この主人公にダブっているところがある。自分を描写する感覚で作っているので自然体なのかもしれない。でも起伏が少ない。


蒲田という街は猥雑なところである。ヤクザも多い。その昔国鉄蒲田駅から京浜蒲田に歩くのはちょっと怖かった。その蒲田を商店街を中心になめるように撮っていく。松竹のスタジオもあったし、以前はテレビの刑事物のロケによく出ていたものだ。
高校時代、大田区から通っていた友人が多く何かというとコンパは蒲田でやった。すでに時効であるが、高校時代からよく飲み歩いていたものだ。みんな寛容なんだろう。当時池上や蓮沼あたりの友人も多かったが、京浜蒲田から先の糀谷とか羽田あたりからきている友人もいた。蓮沼と糀谷といえば全く対照的だ。片や住宅街で片や日本経済を支える中小零細企業の工場街だ。そんな対照的な町に住む連中が蒲田で集う。
そういう昔を懐かしく感じながら、他愛のない映画を見ていた。
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わたし出すわ  小雪

2012-01-10 17:53:11 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「わたし出すわ」は2009年の森田芳光監督の完全オリジナル作品だ。監督は惜しくも最近亡くなった。突然、故郷に戻ってきて、旧友たちに大金を差し出す女性を描写して、お金と人間の関係を描く。主演は小雪で脇を固めるのは井坂俊哉、小池栄子、小澤征悦といった近年の映画で活躍するメンバーだ。妙な映画だが、小さい話をうまく組み合わせて最後まで飽きずに見れた。


東京から故郷函館に戻ってきた主人公こと小雪は、引越し業者にお礼を渡す。その中身は10万円の現金。慌てる業者に、主人公は「そのお金を使って、いい思い出を作ってください」と告げる。街で市電に乗った主人公は、運転手こと井坂俊哉と再会した。井坂は高校の同級生だった。世界中の路面電車めぐりが夢だという彼に、主人公はと言う。「そのお金、私が出してあげようか」後日、自宅に主人公から大金が届く。驚く井坂の妻であった。

同じく高校の同級生こと黒谷友香は主人公と校内の美人コンテストで争った中。今は羽振りのいいレストラン経営者の妻になっていた。ところが、その夫が急死、その通夜でみな顔を合わせる。帰り道、故障で将来を絶たれたマラソンランナーの川上に、海外での治療費を提供する。さらに同級生こと小池栄子と出会った摩耶。さくらの希望に応じて冷蔵庫と、夫が箱庭協会会長に就任するための資金を提供する。次に、主人公は養魚試験場で働く男こと小澤征悦などにも提供したりするのであるが。。。。


最初は何も問題を起こさないが、次第に金がいろんな災いの元を導き出す。転落していく人間も出てくる。
何でこんなにお金を出すの?原資は?という謎は徐々に解明される。

出演者の振る舞いには特筆すべきことはない。
しかし、意外に途中で見るのをやめようとは思わなかった。森田監督は次の作品「武士の家計簿」にしても、なんで急にお金のことを取り上げようとしたんだろう。その意味がよくわからないうちに鬼籍に入ってしまった。。。。

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「家政婦のミタ」にハマった

2011-12-23 18:15:37 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「家政婦のミタ」が終わった。
矢沢コンサートが終了したあと、今年最後の楽しみとなったドラマの最終回ついに終了した。
喪失感に似た脱力感がある。

テレビドラマを見るなんてことはめったにない。比較的自宅で食事をとることが多い水曜日に流れでテレビを見ることもある。でもそれにはまるなんてことはない。

題名をみて、明らかに市原悦子のドラマのオマージュかなという印象を受けた。「ふーん」と思いながら、家のテレビ画像を見ていた。ずいぶんとぶっきらぼうな家政婦だなというのが第一印象。普段の彼女のイメージと違う気がした。そうしたら水の中に入り込んでいくとか、派遣先の息子をいじめる男の子を手篭めにするとかすげえ話だなあと思いハマっていった。
ドラマの最後予告編を見ると、次回はもっとすごい話になる雰囲気
毎週水曜日が楽しみになった。

家族の絆うんぬんが言われるけど、このドラマの基本はスリラーである。
音楽も実に効果的に使われて、スリル感を盛り上げる。
次に何が起こるか分からないドキドキ度の高さが人気を支えたのであろう。
しかも三田さんのキャラが凄すぎる。本当にはまった。

12月の初め、水曜日から木曜日にかけて箱根のホテルで泊りの忘年会があった。
6時半から2時間ほど一次会で宴会場でやったあと、2次会のカラオケラウンジに移った。
9時近くなった後、メンバーが時計を気にしだす。あと一時間で「家政婦のミタ」だと
おっとみんな見ているんだ。聞くと中年のオヤジたち大部分が見ている。
9時45分には早々に引き揚げて部屋に向かう。
いつもだったらカラオケが延々と続くのに部屋でみんな興奮しながら見た。
なんせその日「憎き隣の家の家政婦」になってしまうのであるから。。。。

翌週も忘年会づくしだが、水曜日は休み。当然誘われても先約を理由に行かない。
木曜日に社内および関係者の忘年会をやった。女性はたいてい見ているかと思ったらそうでもない。
逆に男が見ている率が多い。技術の部署の女の子なので若干違うかもしれないが。。。
でもこういった人たちも忘年会もほぼ終わりになっている21日には家に帰ってみただろう。
当然口コミもすごいので見ないと話題に合わないから必ず見るはずだ。
女性の方がそういう心理が強いだろう。最後の視聴率10%アップには女性が貢献したのでは?
その日初めて斎藤和義の「やさしくなりたい」カラオケを自らやった。

それから翌週の矢沢コンサートと「家政婦のミタ」への期待でうきうきした。
月曜矢沢コンサートの翌日は千葉のある業者さんに浦安高級ホテルでの忘年会に誘われた。
着座形式でディナーを食べながらの豪華忘年会だ。
昨年もそうであったが、招待を受ける代わりに替え歌を歌う。
去年はモー娘でいったが、今年は斎藤和義「やさしくなりたい」の替え歌をつくって歌った。
今年最大の人気ドラマ主題歌の替え歌という前置きでうけた!

もうそんなわけで最終回前は興奮していた。だって前回の最後の最後斎藤和義の歌が終わった後で
お母さんになってと言われ「承知しました。」というんだから
会社でもその話題で持ち切り

ドキドキハラハラ度が高く楽しんでいたが、正直子供たちがしゃべるセリフには
うっとうしいと思うことも多かった。最終回も同様である。
展開はうまいが、セリフには欠点が目立つ
それでもこんなに毎週楽しみにさせられることなんて久々だ。
途中の展開が読めそうで意外に読めない。予告編の使い方が実にうまい!

あともう少し私たちと一緒にいてよと言われた時、少し間が空いて松嶋奈々子がいう。
「承知しました」これは意外だった。
最後泣ける展開だとは自分には思えない。
でも笑ったというより微笑の松嶋奈々子の表情には世のお父さん連中はみんなノックダウンだろう。
(どの家もとなりに奥さんが見ているんで、何も言わないでいるけど)
きれいだったなあ。

最後余韻を残したのがいい。
ハッピーエンドで終わるだけだったら魅力はない。
いつもの不気味さを見せながら次もあるのでは?と期待させるわけだから。。。。
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食堂かたつむり  柴咲コウ

2011-12-07 07:31:02 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
映画「食堂かたつむり」を見た。予想以上によくできた映画だった。
恋人との別れにショックを受けて、声がでなくなった主人公が、小さなレストランを経営する話だ。全体的に流れるムードがやさしく、漫画的な画像もとり混ぜながら映し出していく。
毛嫌いしているようなふりしかできない母が、本当は娘にこの上ない愛情を持っていたことを示す場面が最終に向けてでてくる。自分のことに照らし合わせながらジーンとした。
柴咲コウ、余貴美子の母娘役はいずれも好演。「八日目の蝉」で新興宗教の主を演じたのと同様にちょっと変わったスナックのママを演じた余貴美子が特にいい。その昔の岸田今日子のような個性派女優としての地位を固めつつある。


コーエン兄弟の映画を思わせる簡潔でおもしろい主人公の紹介から映画はスタートする。
主人公こと柴咲コウは、10年前に東京の祖母の家に移り住んだ。シングルマザーでスナックを営む母こと余貴美子を嫌ったのだ。祖母は料理が好きだった。主人公はそれをレシピに綴った。自分の店を持とうと修業を積みながら貯金してきた。主人公には同棲中のインド人の恋人がいた。ところが、ある日仕事から帰ると、恋人と家財道具が消えていた。祖母も亡くなり、恋人にも裏切られた主人公は、ショックで声が出なくなる。仕方なく実家に帰る。
実家の母はペットの豚を溺愛しており、娘を助けようともしない。主人公は村の農夫・熊さんことブラザートムの手を借り、実家のスナックに隣接した物置を改造して、「食堂かたつむり」を始める。
お客は1日1組、決まったメニューはない。事前に筆談でイメージを膨らませてその人のために料理を作る。最初のお客である熊さんは感激で号泣する。
片思い中の高校生こと志田未来が、予約に来る。「誰とくるんですか?」という主人公の質問に高校生はうまく答えられない。話の筋で片思いの男の子とくるということがわかる。当日来た2人にスープを出す。おいしさに感激する二人。いつしか2人は手をつなぐようになる。彼女はそのスープを「ジュテームスープ」となずける。同じような可憐な女子学生から口コミで予約が殺到するようになる。料理を食べた客には次々と奇跡が起き、願いが叶う食堂との噂になる。
そんなある日、スーパーのレジに立つ中学時代の同級生こと満島ひかりと主人公はばったり会った。レストランの評判を聞き、同級生は友達を連れてランチに向かった。ところが、食事をしていると中に虫がいることに気がついたのであるが。。。。
このあと母こと余貴美子ががんに侵されていることがわかる。ここから別の展開がはじまる。そしてハートフルな色彩が強くなる。


画面の色合いの基調はグリーン系である。緑色は野性や自然を示すと言われる。ここでは田舎の田園風景が繰り返して出てくる。半端じゃない田舎だ。山を見上げる場所で柴咲コウが無言のままたたずむ。孤独と思しき柴咲コウにはいろんな紆余屈折がある。
映画は小さな話をいくつも積み重ねる。中でも母ががんと分かった後の柴咲コウのふるまいに妙に魅かれた。亡くなった自分の母ががんであるとわかったあと死ぬまでの2年の光景にラップしてしんみりした。逆に母が娘を思う気持ちがあらわになる場面は、母の死後に読んだ自分を産むときの日記を思い出した。なんとも言えない気持ちになった。


食をテーマにした映画は見ていて楽しい。この映画でも食材を華麗に処理する場面が連続で出てくる。
ジュテームスープとはよく言ったものだ。口コミで伝わり、次から次へと女子学生から予約が殺到する場面は痛快な場面であった。パトロンと死に別れたお妾さんにつくるフルコースもいい。
登場人物が多彩だ。江波杏子のお妾さんやペットの豚も傑作だ。三浦友和の医者役は「地下鉄に乗って」でも見たが、堂に入っている。母が経営するスナックの常連たちがいかにも田舎のスナックの客らしい。食材が豊富で食べるのが楽しい料理のようだ。

よくできた映画だと思う。いくつか批評をみたが、ネットで酷評テレビで絶賛と書いてあった。ネットでの酷評をみて笑えた。困ったものだ。
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パーマネント野ばら  菅野美穂

2011-10-25 05:30:45 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
パーマネント野ばらは西原理恵子の漫画の映画化である。海辺に面した高知の田舎を舞台にした人間ドラマだ。離婚の末に一人娘を連れて故郷に出戻った娘と母の2人で営む海辺の町の美容室「パーマネント野ばら」に集まる女性たちを見ているだけで楽しい。


海辺の町にある美容室“パーマネント野ばら”は、離婚して一人娘を連れて出戻った主人公こと菅野美穂と、その母こと夏木マリが切り盛りしている。パンチパーマをかけたおばさんたちの憩いの場所だ。母の夫こと宇崎竜童は、他の女の家に入り浸っている。家に戻ってくるよう言っても帰らない。主人公の友人こと小池栄子は、フィリピンパブを経営している。その夫は店の女の子と浮気ばかりしている。それなのに金の無心ばかりしている。主人公の別の友人こと池脇千鶴は、ギャンブルに溺れたあげく行方不明となった夫の身を案じる日々を過ごしている。そして菅野美穂は高校の理科の教師こと江口洋介と恋に落ちているということであるが。。。。

都会から離れた田舎の港町では、こういう話がいつも繰り広げられているんだろうなあ。そんな感じだ。
それぞれの俳優が個性を発揮して自分らしさを見せている。女たちの夫たちはどれもこれもぐうたらばかりだ。それでも離れられない。女に稼ぎがないとどうにもならない。一生懸命頑張っている。
特におもしろかったのは飲み屋のママ小池栄子のふるまい。自分の男が店の女に手をつけるのはいつものことと理解はしているんだろうが、強烈なやきもちをやく。笑える。彼女の出ている映画にはずれがない。いい俳優さんになった。


高知県宿毛市小筑紫町栄喜というところが舞台だと知った。なんせ自分にとっては数少ない行ったことない都道府県の一つである。地図を見た。高知市よりかなりはなれているではないか。海を渡れば九州だ。でも素敵な海辺の町だと感じた。地形がいい。海岸線の美しさは絶品だ。そこに素朴な人たちが生きている。

高知出身の西原がつくる作品なので、うまい具合にロケ地が設定されたのであろう。こういう場所を知るだけでも良かった。




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グーグーだって猫である  小泉今日子

2011-10-22 05:48:00 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「グーグーだって猫である」は漫画家大島弓子の自伝的作品で主人公の漫画家を小泉今日子が演じる。人気監督犬童一心の作品だ。空間庭園でいい味を出していた小泉今日子が猫好きの個性的主人公に扮する。漫画のアシスタントをはじめとして、脇役が上手に独特の雰囲気を出し、吉祥寺付近の風景とうまく溶け込んでできた映画だ。


映画は漫画家のアシスタントこと上野樹理の一人称で語られる。
主人公である天才漫画家の小島麻子こと小泉今日子は吉祥寺に住んでいる。彼女が長年連れ添った愛猫のサバが亡くなる。サバを失った悲しみは大きく、小泉は漫画を描けなくなってしまう。そんな彼女を心配するアシスタントたち。ある日、小泉はペットショップで一匹の小さな猫と出会う。彼女はその猫を連れ帰り、グーグーと名づける。猫はアシスタント達にも可愛がられ、主人公に元気な表情が戻ってくる。そんなある日、グーグーが逃げ出してしまう。必死で探す小泉の前にグーグーを連れて現れたのは一人の青年こと加瀬亮である。ちゃんと管理しなさいと叱られたが、加瀬の姿に思わず見とれてしまう。
後日、アシスタント上野樹理の彼氏のライブにアシスタント達と出かけた小泉は、そこで加瀬と再会。ライブ後の打ち上げで、気を利かせた上野は小泉と加瀬を二人きりにする。二人は徐々に距離を縮めていくのであるが。。。。

ものすごくよかったという映画ではない。でも後味は悪くなかった。やさしかった。
吉祥寺はあまり縁がない。荻窪で働いたことはあるが、その先はめったに行かなかった。でも基本的遊びスポットは知っている。井の頭公園や商店街の中をロケ地としながら、映画はやさしいムードで進んでいく。赤白の外壁で訴訟問題になった地元の楳図かずおがチョイ役で出るのが御愛嬌、あの訴訟はひどい話だが、吉祥寺はまあそういううるさい街ということだ。小泉がもつ独特のムードが映画を支配する。


アシスタント役の4人がいい。お笑い系の匂いがして心がなごむ。上野樹理の彼氏が女子高生と浮気をして、それを追いかけるシーンや病院でのお見舞いシーンは他の映画にないいい感じであった。
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ナイトトーキョーデイ  菊池凛子

2011-09-19 18:05:07 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
日本を舞台としたスペイン映画で菊池凛子が主演だ。築地の魚河岸で働きながら、殺し屋稼業もこなす美女を演じる。にっかつポルノに外国人が出演したといったイメージか?観光案内的色彩も少々あり。


夜の築地魚市場で黙々と働く一人の女こと菊池凛子が主人公だ。
仕事仲間と打ち解けることもなく、その素性を知る者は一人もいなかった。そんな彼女には殺し屋というもう一つの顔があった。ある日、彼女のもとに殺しの依頼が舞い込む。それは、愛する娘が自殺し悲しみに暮れる大物実業家が、その原因と信じるスペイン人の夫を殺害してほしいというものだった。菊池は半金を受け取りさっそくターゲットが経営するワインの店に近づいていくが。。。。


ちょっとミスかな?この選択は
いきなり女体盛りで寿司を食べる場面が出てくる。こんなの初めて。築地魚市場や横浜ラーメン博物館と新東京観光地が出てくる。電車の客車を意識したラブホには笑える。そこでの菊池は熱演だが。。。「ロストイントランスレーション」その他とは場面をダブらせたくなかったのであろうか。外国人監督からみた日本人のとらえ方がやっぱり少々違うんだろう。
国際派女優とは言われるが、菊池凛子はいつも暗い役ばかりだ。外国人から見ると、没落しつつある疲れ切った現代日本人を代表している存在なのか?
名優田中民もここではおとなしい。リッキーのスペイン人男も出ているけどうーん。

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スープオペラ  坂井美紀

2011-08-09 19:42:26 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
なんとなくジャケットに惹かれて「スープオペラ」見ました。
叔母と同居していた独身30代の女性が、突如叔母が結婚するので一人暮らしになる。そこに中年男性と若い男が居候するという話だ。映画見始めるまで、ジャケットを見て中谷美紀さんだとばかり思っていた。坂井真紀さんとわかり、思わず2人は姉妹かと調べてしまった。いやーよく似ているなあ。


東京の住宅街の古びた一軒家に30代独身女性の主人公ルイこと坂井真紀と叔母こと加賀まりこが暮らしていた。叔母は小さいころに母親を亡くしたルイの母親代わりだった。ルイは大学の図書館の司書であった。鶏がらスープが得意な2人だった。
ある日、叔母が若い医者と恋に落ちて結婚するという。へき地医療に従事するといい、家を出てしまう。独りになったルイの前に現れたのは、見知らぬ中年男こと藤竜也だ。トニーと名乗るその男は、勝手に庭でキャンバスを広げて絵を描いていた。ルイに追い返されても、数日後には再び現れた。
出版社勤務の親友こと鈴木砂羽に誘われ、人気作家とのディナーに同席することになるルイはアルバイトの編集者こと西島隆弘と出会う。編集者の青年に送られて帰宅したルイは、庭から出てきたトニーと出くわす。トニーは青年に「お父さん?」といわれる。翌日ルイが仕事から戻ると、なぜかトニーと青年が仲良く夕飯の準備。鶏がらスープのおいしさに感激した青年が住みたいといい。3人の共同生活が始まるが。。。。

坂井真紀のほのぼのムードがいい。中年を軽くあしらえるような大人の心をもった清楚な女性に惹かれる男は多い。30代後半というのは女優さんたちにとってピークとなることが多い。くどいけど、中谷美紀に似ているなあ。


そんな彼女を囲むメンバーも多彩だ。加賀まり子も藤竜也もひと時代前の主演級だ。悪女ぶりを発揮してきた加賀まりこには、その杵柄が残っていて元遊び人の雰囲気をいつもぷんぷんさせる。
藤竜也の登場は最近にしてはめずらしい。今は作家伊集院静の妻となった篠ひろ子とともに「時間ですよ」で影のある男を演じていた。小さい飲み屋の一角で静かに飲む藤竜也とカウンター越しに静かに見つめる篠ひろ子の名コンビだった。その横で船越英二他数名があの二人どういう過去があったんだろうと眺めているのが良かった。藤竜也は「愛のコリーダ」にも出ていた。日本では激しい部分を隠しての放映だったが、まさに全部見せている「愛のコリーダ」をパリで見たことがある。今から30年ほど前、パリに行った時、シャンゼリゼ通りを歩いていたら映画を放映していた。思わず入ったらモロ出しで藤竜也頑張っていた。松田瑛子だけでなく森雅之の娘中島葵と絡んでいたのがバッチリ映っていた。ドキドキしながら一人で見た。


西島隆弘という若い俳優が、いかにも最近多いタイプである。いつでもヘラヘラ笑っている。最近は就職難でまともな新人が入社してくるようになったが、3,4年前は就職先をいくらでも選べる時で何でこんなやつというような新人も入ってきていた。ちょうど4年前に自分のところに配属になった出来の悪い新人にそっくりだ。こういうのを草食系というのであろうか?でも意外に女の子に不自由している様子はない。あれっという間に結婚してしまった。でも話を聞いていると奥さんの方がしっかりしている。変にギスギスしていることもなく、何でも言うこと聞きそうなこういうタイプの方が一緒にいるのには楽なのであろう。時代の違いを感じる。

鈴木砂羽もよかった。坂井真紀の親友で雑誌の編集者を演じているが、いかにもらしかった。食の細そうな坂井真紀と対照的にガツガツかつカレーを平らげるシーンと担当になっている偏屈な作家との関わりが妙におかしかった。適役というのはこういうのをさすのであろう。映画にスパイスを利かせる。

感動したとかできがいいという映画ではないが、配役がこれ以上ない適役なんで妙にしっくりする映画であった。食い合わせのいい食材を使った料理だという印象だ。
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ゲゲゲの女房

2011-07-02 20:16:13 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「ゲゲゲの女房」は漫画家水木しげるの妻にスポットをあてた映画作品だ。NHKのテレビ連続小説が予想以上にヒットして、映画化された。吹石一恵が好演し、水木しげる役の宮藤もいい味を見せる。ただ時代考証がめちゃくちゃで、映し出している時代をあまりよく表わしていないことに驚いた。それさえなければもっとよかったのに。。。


主人公布枝こと吹石一恵は出雲の出身だ。同じ山陰の境港出身の漫画家の水木しげるとお見合いをした。当時としては年齢が高めの29歳の彼女は10歳年上の水木しげるの話をすぐ決めてしまう。故郷の出雲から、東京の調布に嫁いできた。結婚前はそれなりに貸し本作家として稼ぎがあるということだった。ところが、家計は火の車。原稿料も値切られたり、家の一部を貸間にしたが家賃は滞納が続く。予想外の極貧の新婚生活に不満を募らせていた彼女だった。しかし、徐々に手伝うようになり、漫画のアシスタントも務めるようになる。そうしていくうちに流れも変わっていくのであるが。。。。

このブログでも何回か取り上げたが、日本経済新聞「私の履歴書」で一番印象深いのは水木しげるさんの話であった。出来の悪い少年時代の話、危うく死にそこなった軍隊の話、現地人と知り合いになった話、貸し本作家としての苦労など実におもしろい。そういう苦労を経てようやく妻をめとることができた。あのすさまじい人生の中で、結婚してからはうまくいっていたのかと思ったが、実はそうではなかった。貧困の中金策に駆けずり回る話が続いていく。でも起伏がなさすぎる気がする。淡々と流れるのはいいが、しまりがない。

いただけないのが時代考証だ。ひどすぎる。全くなっていない。
時代設定は昭和30年代後半から40年代にかけてなのに、50年代くらいにならないと見られない建物たとえば日照権対応の設計をしたマンションやワンマンバスがいる駅前風景が出てくる。あまりにもとんちんかんだ。制作者はその時代の映画や写真集を見て勉強してほしい。アメリカ映画の場合、車、街の風景、服装と美術についてはその時代に合わせて完ぺきに仕上げてくる。少しくらいずれているくらいなら許せるけどなあ。
主演二人の演技はよかったと思う。でも映画って演劇ではないのだから、もうちょっと背景その他にリアル感がないと困るよね。大好きな水木しげるさんの話だけにがっかりだ。
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キャタピラー  寺島しのぶ

2011-06-29 05:50:47 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「キャタピラー」は寺島しのぶ主演。さまざまな賞を主演女優賞として受賞した。傷痍軍人となって帰ってきた夫との関わりを描く。賞を総なめの作品だが、根は暗い。彼女も頑張ったけど、傷痍軍人となった大西信満の凄味ある演技に驚いた。



時は太平洋戦争のさなか、主人公こと寺島しのぶの夫こと大西信満も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかし、寺島のもとに帰ってきた夫は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。寺島はおびえた。同時に落胆した。しかし、面倒を見るのは自分しかいなかった。
その姿は多くの勲章を胸に“生ける軍神”と祀り上げていた。四肢を失っているのに夫は寺島を強く求めた。寺島はそれにこたえる。衰えることのない夫の旺盛な食欲と性欲に寺島は戸惑いながらも軍神の妻として尽くした。しかし、寺島は次第に空虚なものを感じ始めた。同時に夫も戦争での自分の行為のトラウマに悩まされていくようになるが。。。。



映画は暗い。街中の右翼街宣車でよく高らかに歌われる軍歌がこの映画で流れる。繰り返し流れる。そのムードを基調にして田舎の戦時中の光景が描かれる。何もないような田舎で2人だけで奇妙な生活をする。そこで2人の主演が競う様に演技を誇示していく。究極の演技だ。ただ、見ようによっては30年くらい前のにっかつポルノを見ているような錯覚を覚える。正直そんなに変わらない気もする。もともとはそのジャンルにいた若松孝二監督の作品だけにそうなるのは仕方ない。
学生時代に谷崎の文芸作品とエロ小説がどこが違うのかという議論をよく友人たちがしていた。実際には文章の高尚さを除いては大して変わらない。国際的に評価を受けたこの作品も、その昔のにっかつポルノも大して変わらない。そんな印象を受けた。
個人的には手足を失い顔もただれた最悪の状態を演じた大西の方を強く評価したい。
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ハナミズキ  新垣結衣

2011-06-26 17:53:01 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「ハナミズキ」は一青窈の歌をモチーフに映画化された純愛物語である。新垣結衣と生田斗真の当代きってのスターを中心に映像化された。正直くさい話と思いながらも純愛話に引き込まれていく。気がつくと目に涙がたまっていくのはどうしたことであろうか?北海道釧路方面で育った高校生2人の純愛を変形の双曲線を描きながらその後を語っていく。美の絶頂とも言うべき22歳の新垣結衣に加えて、生き生きとしたロケ地のバックも美しく、映画の醍醐味を感じさせる。

舞台は北海道だ。海外で働くことを夢見て勉強に励む主人公新垣結衣は、幼い頃に父を亡くし、母こと薬師丸ひろ子と暮らしている。幼い頃に病死した父が庭先に植えたハナミズキの木に見守られ高校生になった。通学の電車に乗っている時、電車が鹿をひいてしまう。その場足止めを食ってしまうことになる。あわてて電車を出てバス乗り場に向かおうとしたがバスは去る。その日は彼女の大学への推薦をかけた試験の日だったのだ。電車に同乗していた水産高校の高校生こと生田斗真は彼女を見かねて、仮免にもかかわらず、運転しようとして事故を起こす。結局試験には間に合わず、彼女は早稲田への校内推薦におちた。


それをきっかけに新垣結衣と生田斗真の純愛がはじまる。新垣は東京の大学を目指すが、生田は父の跡をついで漁師になろうとしていた。彼に励まされながら、一般受験では難しいと踏んでいた早稲田に合格した。遠距離恋愛が始まる。だが東京暮らしの新垣と北海道にいる生田の2人の気持ちは次第にすれ違っていくのであるが。。。。


一青窈の歌「ハナミズキ」は大好きだ。紅白歌合戦で彼女が大学の仲間たちと歌ったときの映像は脳裏にくっきりと残っている。聴いているだけで胸にジーンときたものだ。そんなわけでこの映画も映画館で見ようと思っていた。でも急に場違いな気がしてやめた。ちょっと後悔した。エンディングロールはよほどのことでないとすぐ切り上げる。ここではその余韻にしばらくひたった。いい歌だ。

純愛物はなぜか不意に涙が止まらなくなることがある。その映像を見ながら、いろんなことを連想してしまうからなのか?よくわからない。ここでもそうだった。むしろ前半戦の高校から大学にいく時の方が妙に話がくさくなくてジーンときた。北海道の映像が気持ちを盛り上げたのかもしれない。例に挙げるべきかどうかと思うが、自分が村上春樹の小説が好きなのはその純愛性だと思う。最新の「1Q84」も「ノルウェイの森」も「国境の南太陽の西」もみな純愛がベースだ。小さいころからの純愛を積み上げていった小説を読んでいるとなぜかたまらなくなってくる。それと同じような衝動をこの映画でも感じた。



ロケ地の美しさには感動した。北海道の雄大な風景をうまく映像にとりいれた。カメラワークもうまい。港や漁船の上で描く漁師の生き生きとした姿は「魚影の群れ」を思い起こす。「悪人」の灯台の使い方も巧みであったが、この映画での使い方も実にうまい。
映画を見ていて、その人の絶頂とも言うべき時期の映像を見ると何とも言えない美しさを感じるものである。この映画の新垣結衣にもその気持ちを感じた。高校生から社会人までよくもまあ頑張って演じたものだ。彼女にも生田斗真君にも敢闘賞を与えたい気がする。

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死に花  

2011-06-21 21:38:08 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
2004年の犬童一心監督の作品だ。先日「メゾンドヒミコ」を見終わった時、何気なく見つけた。
出演者がタダモノではない。谷啓、青島幸男、山崎努、藤岡琢也、宇津井健そして森繁久弥と現在では鬼籍に入った人も多い。そんな最後の力を振り絞った映画には何かがあるはずと見た作品。映画の内容はあまりにばかげているが、超一流と言われた彼らから何かが読みとれそうだ。


東京郊外にある老人ホーム“らくらく長寿園”を映し出す。高級老人ホームで悠々自適の日々を送っていた。ある日、仲間の1人こと藤岡琢也があっけなく他界してしまう。みんな意気消沈、恋人の加藤治子は後を追った。元映画プロデューサーの山崎努は遺品の中に、銀行の地下に穴を掘り、金を強奪すると言う奇想天外な計画を記した“死に花”と題されたノートを発見。

仲間の谷啓、青島幸男、宇津井健、そして恋人の松原智恵子と共にその計画を実行に移すことにした。狙うは、宇津井のかつての勤め先である“サクランボ銀行”。期間は、ターゲットの支店が閉鎖されるまでの一ヶ月間。穴掘りの拠点となる隅田川沿いに住むホームレスの長門勇やホームの新人職員をも仲間に引き入れ、着々と穴を掘り進めて行く山崎努たち4人。予定通り金庫の真下まで掘り進めることが出来た。ところが台風に見舞われせっかく掘った穴が水没してしまう。。。。

ばかげた話である。よくもまあこんな話に名優たちが飛びついたのだとも思う。
この中でも現役バリバリである山崎努が中心となる。
ペースメーカーがいないときついだろう。


なんせこの映画の中でもあの世に行く藤岡琢也は、本当にこの数年後逝ってしまった。彼は私生活でジャズ好きといわれた。40年代から50年代にはよく彼のオーディオルームが雑誌とかに出ていた気がする。藤岡の葬式の場面で、自らビデオ映像で挨拶をする場面がある。そこで彼がスウィングしながら歌うのはなかなか粋だ。こういったやり方があるのかと思った。


谷啓も亡くなった。ハナ肇、植木等というスターの影ではあったが、クレイジーで3番目に存在感を示していた。トロンボーンプレイヤーとしても優秀だった。
そのクレイジーを初期に支えたのが青島幸男である。放送作家としての青島は極めて優秀である。「シャボン玉ホリデイ」のノリは最高だ。クレイジーの初期の歌に見せるノリのいい歌詞は日本サラリーマン界史上に残る凄さである。こんなに凄かったのに議員や知事としての彼は妙にいやな奴だった。体制にただ意味もなく反逆しようとしていただけだ。それだけが残念だ。そのあとにつくったこの作品で本当の彼らしさが見える。「いじわるばあさん」や「泣いてたまるか」の彼を思い出す。本当はこういうのが合っているのに何で変に突っ張っていたんだろうか?彼も鬼籍に入った。
宇津井健は「渡る世間は。。。」で藤岡琢也の後を継いだ。この映画一緒にやりながら遺言でもあったんであろうか?山岡久乃は劇中でも死んでしまったが、彼は死なせられなかったろう。ザガードマンのキャップで見せた精悍さはすでにない。山口百恵ドラマの父性もない。振る舞いが老年の境地に入っている。

不思議だなあと思うのは、劇中で亡くなると引きづられるように本当に亡くなってしまうことがよくあることだ。「おくりびと」でも峰岸徹がそのあと逝ってしまった。古くは「情婦」のタイロンパワーなど。怖くて死ぬ役はできないなあ。

松原智恵子を見ると、子供のころを思い出す。「あいつと私」「時間ですよ」のお嫁さん時代の清楚なイメージは子供ながら憧れたものだ。みんな年取ったなあ。自分もそうだけど
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ヌードの夜  佐藤寛子

2011-04-14 05:58:36 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
『ヌードの夜』は石井隆監督によるフィルムノワールである。前作『ヌードの夜』では、男を殺した余貴美子と、事件に巻き込まれていく探偵竹中直人との関係を描いた。『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』はその主人公の新しい物語である。主演の竹中直人を取り巻く女優たちとしては大竹しのぶ、井上晴美、東風万智子など。いずれも個性あふれる演技を見せる。宍戸錠も出演している。貫禄だ。元・グラビアアイドルの佐藤寛子がメイン。彼女の体当たりの演技にはあっと驚いた。


老人が激しい勢いで飲み屋を経営する母大竹しのぶ、姉井上晴美、妹佐藤寛子を問い詰めているシーンからスタートする。激しく暴れまわる老人。頭に血がのぼった姉井上晴美は台所の包丁を持ち出し、老人を刺し殺してしまう。母娘3人は、老人の死体を仕方なくバラバラに解体して富士山の樹海に捨てることにした。しかし、3人はそのバラバラにした死体を入れた寸胴に、老人のロレックスが混ざり込んだことに気付かなかった。

死体がバラまかれたあとに3人は気づく。ロレックスが誰かに拾われでもしたら製造番号からアシがつくかも知れないと落胆する毋大竹しのぶ と妹佐藤寛子を責め立てる姉の井上晴美であった。佐藤寛子は「何でも代行屋に捜させよう」となんでも屋こと竹中直人の事務所を訪ねる。「ロレックスを捜してくれませんか?父の散骨の時に間違って樹海にバラまいてしまった大事な形見な んです」と依頼した。竹中のロレックス捜しが始まった。広い富士山の樹海の中で、小さなロレックスを見つけるのには難儀した。ところが、どす黒く得体のしれない肉塊のようなものがこびりついたロレックスを偶然見つけた。
不審に思った竹中は、知り合いの女刑事こと東風万智子に、その調査を依頼する。結果、ロレックスの付着物は人肉とわかったのだが。。。。。


このあと依頼主の謎の女性れんこと佐藤寛子と探偵まがいのなんでもや竹中直人との腐れ縁が始まる。美女が探偵のもとを訪問した後、その探偵が事件に巻き込まれるのは古典的フィルムノワールの典型である。ハンフリーボガードの映画を連想する。その定石にしたがって、ハチャメチャになっていくのであるが、徐々に強まるのが佐藤寛子の存在だ。

本当にきれいだ。彼女はその存在感を若きナイスバディという形でも見せる。普通の健康な男子であれば、彼女の魅力にはノックダウンするであろう。カメラは執拗に彼女を追う。
何と魅力的なのであろうか?久々にドッキリした。竹中直人は役得だな。。。うらやましい

ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
佐藤寛子のナイスバディに注目
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川の底からこんにちは  満島ひかり

2011-03-16 19:44:59 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
地震のあと初めて見た映画はなかなか面白い映画であった。
「川の底からこんにちは」は普通のOLが父親の病気で田舎のしじみ工場を継いでしまうという話である。夫の浮気による三角関係や継母と娘の人間関係の妙も面白いが、しじみ工場で働く従業員のパフォーマンスが実に楽しい。満島ひかりはなかなかの好演、今風で若いのに良く頑張っている。



上京して5年目の主人公こと満島ひかりは、職場の上司こと遠藤雅と付き合っている。バツイチで小さい娘がいる男であった。ある休日、3人で行った動物園でプロポーズされるが、主人公は戸惑う。そのとき、主人公の叔父から、主人公の父が肝臓がんで入院したと電話が入る。一人娘の満島ひかりは実家のしじみ工場を継ぐよう求められるが、あっさり断った。
ところが、その話を聞いた彼氏は会社を辞め、主人公の故郷で彼の連れ子と一緒に暮らしたいと言い出す。満島ひかりは彼氏とその娘を連れ、実家に帰る。父親の病状は最悪であった。叔父は暖かく二人を迎える。しかし、父が社長であるしじみ工場の従業員のおばちゃんたちは、駆け落ちして故郷を離れた満島ひかりを無視する。しかも、彼氏が工場で働く主人公の幼なじみと浮気をしてしまうのである。そんな悪い状況が続いたあとで、満島ひかりは開き直ってしまうが。。。



コメディと考えてもいいような雰囲気を持つ。本当に楽しい。
それもしじみ工場のおばさんたちと古参の経理担当のパフォーマンスが傑作だからだ。日本人はこういう古参社員からのいじめのストーリー展開が大好きだ。新しい社長を徹底的にいじめる古参社員はどこでも出てくる。でも今回はそのいじめ役をいじめ役にとどまらせない。コミカルな動きだけでなく、しじみ工場の社歌を歌わせる。この社歌が実におもしろい。歌も歌詞も、歌う姿もなんて面白いのであろう。
そんな中一生懸命這い上がろうとする満島ひかりには応援歌を歌ってあげたいような気がした。
映画を見て気持ちが何か晴れやかになるような気がした。
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告白 松たか子

2011-03-11 06:29:26 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
湊かなえのベストセラー小説を、中島哲也監督が松たか子を主演に迎えて映画化した。松たか子は自分の愛娘を殺害した教え子の男子中学生に復讐する女教師を演じる。原作はすでに読んだ。予想よりも、読み始めると面白かった。ベストセラーになるというのもわかる気がする。先に読んでしまったので、どうしても原作と比較してしまう。映画の印象としてはもう一歩かな?


がやがやとした学校の教室の場面からスタートする。女教師・森口悠子こと松たか子が一人でしゃべっている。最初は誰も聞いてはいない。ところが、亡くなった松たか子の娘の話になったとき、教室が静かになる。松たか子は「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をする。松たか子の3歳の一人娘が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見されたのだ。A,Bと呼ばれた二人の犯人を囲んで騒然とする教室だった。映像はその犯罪を振り返ると同時に、犯人の二人そしてその後進級したクラスの動きを映し出していくが。。。。

おちゃらけたクラスの動きが異様である。高校生の設定ならともかく、今の中学一年はこんなに勝手な行動をとるようには思えない。先生が話そうとするときに、ここまで勝手なことはしないであろう。妙に不自然な気がした。新しい教師の前でKC&サンシャインバンドのザッツザウェイにあわせてダンスを踊っていた。意識的に作ったシーンだと思うが、違うような気がした。それ以外はいいと思うんだけれど。
あと猟奇的な映像が多い。殺人に絡むシーンが妙にどぎつい。だから15禁になったのであろう。

松たか子の設定は強烈だ。冷静沈着な顔をしながら、じわりじわり復讐の念を深めていく。その姿は狂気に迫るような雰囲気ではない。表に出さないようにしながら、じわりじわり迫っていく。その動きは怖いほどだ。真骨頂だと感じた。
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