映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ガタカ  イーサンホンク

2011-08-31 18:00:38 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
「ガタカ」は遺伝子が全てを決定する未来社会を舞台にしたサスペンスタッチの97年のSF映画。
若手人気俳優同士だったイーサンホンクとユマサーマンの2人が結婚に至った作品で、その後2人は別れる。そこにメジャーブレイク寸前のジュードロウが加わる。近未来物は比較的苦手だが、語り方はシンプルでわかりやすい。ありえない未来モノではなく、もしかしたらこういう世の中になるのではないかと想像させる世界だ。ここ数年ipsの研究や遺伝子工学の進歩が著しい中、一見の価値はある。


近未来の話だ。人種などの差別ではなく、優性遺伝子を持つかどうかで職業その他に明らかな差別が生まれていた。劣性遺伝子の排除操作されずに自然の形で生まれたヴィンセントことイーサン・ホークは、生まれてすぐ心臓が弱く30歳までしか生きられないと宣告された。逆に弟は劣勢遺伝子が排除されて生まれた。弟は運動神経も頭脳も上回り、背の高さもあっという間に追いぬいた。ずっと弟が優位に立っていたが、遠泳で一度弟に勝ち家を出る決心をする。
イーサンホンクは宇宙開発を手掛けるガタカ社に掃除夫として働くことになった。しかし、宇宙飛行士への憧れを持っていた。遺伝子「不適正者」のため、DNAブローカーにジュード・ロウを紹介してもらう。優性遺伝子を持つ超エリートの水泳選手だった彼は下半身不随になっていた。彼の生活を保証することを見返りに、アリバイを示す血液や尿のサンプルを提供してもらいジュードロウに成り済ます。顔はまったく同じでなくても遺伝子検査さえパスすればいいのだ。

金星の衛星タイタン行きの宇宙飛行士に選ばれるが、ロケット打ち上げに反対していた上司が殺される。女性局員ことユマ・サーマンは捜査に協力した。殺人現場のちかくにイーサンホンクのまつ毛が落ちていた。それは遺伝子不適正者の掃除夫としてカダカ社をすでに辞めている本当のイーサンホンクのものだったが。。。。

自分の正体を隠して生きていくという設定は映画ではよくみられる。うそはばれるというのは常識だが、イーサンホンクはぎりぎりのところを逃れていく。でも逃れようと思っても逃れきれないところに追いつめられる。はたしてどうなるんだろう?と思わせるスリリングな場面が次から次へと登場する。途中のストーリー展開は意外性もあってうまい。とはいうものの根本に流れるのは浪花節的人間的感情だ。それをうまくとり混ぜながら近未来の科学的生活を描く。

遺伝子工学が進歩していると聞く。そういう方面は苦手なんでよくわからないが、この映画で言われる優性遺伝子の概念はこれから進んでいくような気がする。
橘玲さんの本に「出来の悪い親からはいい子供と思っても無理なんだよ」というのが主説の本があった。自己啓発なんてやっても無駄だ。遺伝子の強さを覆せないというのだ。それを思い出した。今の日本はエリート嫌いが強すぎて、能力がよりすぐれた存在をうざく思う傾向がある。財務省エリートをはじめとした特権階級が嫌われる。そういった意味では日本では受け入れずらい映画かもしれない。でも遺伝子の研究が進めばこの映画の世界が実現する可能性が大ではないか。そんな気がした。

ユマサーマンがいかにも未来人ぽいのが笑えた。映画の作りはうまい。
特に脇役の配置にはお見事と言わせるものがあった。
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すべては彼女のために(ラスト3デイズ)  ダイアンクルーガー

2011-08-31 16:44:15 | 映画(フランス映画 )
「すべては彼女のために」(pour elle)はフランスのサスペンス映画だ。ラッセルクロウ主演でアメリカ版がリメイクされ公開される。無実の罪で投獄された妻と、彼女を救うために全力を尽くす教師の姿を描く。タランティーノ作品でその美貌ぶりが注目を集めたダイアンクルーガーが悲劇のヒロインとなる。短い時間にうまく編集された映画でスリリングだ。



パリが舞台だ。国語教師である夫ヴィンセントランドンと妻ことダイアンクルーガーは、まだ赤ちゃんの息子オスカルと共に幸せな生活を送っていた。そんなある日、自分の衣服に血が付いていることにダイアンが気づく。気がついた瞬間、警察が突如として家に押し入り、ダイアンが上司を殺した容疑で逮捕される。なんでと驚く夫と泣きじゃくる赤ちゃんだった。
妻の無実を晴らすため、夫はいろいろと手を尽くしたが、状況証拠は妻が有罪と判断されるようなものしかなかった。やがて三年の時が経ち、ダイアンに二十年の禁固刑が宣告されてしまう。無実の罪を必死に主張するダイアンの元を何度も夫が面会に訪れる。しかも、幼い息子は母親にはなつかない。ダイアンは次第に衰弱し、精神も不安定になっていく。面会しても錯乱する。一方で夫はあきらめなかったが。。。。


先入観なく映画をみた。いきなり警察が入ってきてとらえられた時には、一瞬夫が何かやったのかと思うような場面だった。その後妻がつかまえられていく。真実を探るために夫が証拠探しに動くと思われたが、どうやっても無実が晴れる訳ではない。しかも、何をやってもうまくいかない。八方塞がりのような状態だ。でも男は周到に作戦を立てていく。部屋に写真を貼りながら、地道に計画を立てる。ビジネスプランを立てるような感じで興味深かった。


そこからの展開はハラハラドキドキの続く展開であった。余計な説明はつけずに、実行する男の姿を追っていく。リュックベッソンがいい例だが、フランス人は意外に短気なのか凡長な映画はすくない。映画としては簡潔にうまくまとまっていると思う。ダイアンクルーガーの美貌ぶりはここでも光る。共演者がうらやましい。
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太陽の帝国  スピルバーグ

2011-08-30 20:24:28 | 映画(洋画 89年以前)
映画「シャンハイ」を見て、何か迫力ないと思った。

まだ平成になる前にスピルバーグの「太陽の帝国」を劇場で見たことがある。あのときに見た戦時中の上海の映像が脳裏に残っていて、気になって久々にみてみた。
こうやって見てみると、日本軍が上海に侵攻して上海が脱出しようとする欧米人であふれかえったシーンは改めてすごい迫力だと思う。映画「シャンハイ」はセットが中心で、いわゆるワイタン(外灘)のビル群はCGであった。
「太陽の帝国」は違う。まさしく上海でロケしている。ものすごい数のエキストラも動員して、すさまじい迫力だ。今から25年ほど前となると、まだ中国もひと時代前の光景の匂いを残しているのだと思う。それだけにリアルだ。西洋風住宅もおそらくヘンシャンルー周りのフランス租界エリア付近に残っている建物を映し出したのかな?古い建物意外に残っているんだよね。文化大革命の時もよく乗り越えられたものだ。

途中収容所の場面がだれ気味で若干長いという印象を持つが、若き日の「バットマン」ことクリスチャンベイルの名演が光る作品、メチャうまいのでビックリした。子供扱いのうまいスピルバーグの演出が冴える。
現在の面影はある。


1941年上海の英国租界の邸宅に両親と暮らす主人公の少年ことクリスチャン・ベイルは、飛行機に興味があった。特に日本軍の「ゼロ戦」に強い関心があった。仮装パーティに行った際、お気に入りの零戦の模型飛行機を片手にパーティ会場から抜け出し、撃ち落とされた日本軍の戦闘機のコックピットに入り、大空を飛ぶ姿を思い描いたところ、横には日本軍の兵士たちがいてヒヤッとした。
一家は上海から脱出する準備を始めたが、時すでに遅く、日本軍が怒濤の如く市街に進攻してきた。逃げ出そうとする人たちで南京東路付近はいっぱいだ。主人公は両親と離ればなれになってしまった。


上海の中をさまよい、飢えに苦しんでいるところを救った男ことジョン・マルコヴィッチともう一人の2人のアメリカ人であった。ある夜、2人を邸宅に連れてきたところを日本軍に襲われ、3人は捕虜収容所へと送られる。収容所では両親の友人と出会うが、彼女自身ももはや自分が生き残るためだけに必死だった。
時は進み1945年捕虜たちは蘇州の収容所へと移されていく。主人公は精神的にも肉体的にも大きく成長していき、物品補給で収容所内を忙しく立ち回る。日本軍側のナガタ軍曹こと伊武雅刀にも近づき、少しでも多くの食料を受けようとする。自分と同じように空を飛ぶことに憧れる日本人少年とも心を通わせるようになったが。。。


悲しいかな、上海に行ったことのある人であればこの作品がリアルで映画「シャンハイ」が偽りのものとすぐ感じるであろう。逆に言うとよくこれほどまでのロケを上海の中心部でよくやらせてくれたのだと思う。小平の近代化政策が進み、中国も変わりつつあったが、80年代後半は都市部の人たちでもまだまだ貧しかった。これだけ人が集められるのはある意味賃金の安さがあるかもしれない。同時期の「ラストエンペラー」でも紫禁城をハリウッド資本にロケ提供している。中国の外貨獲得政策とハリウッド資本の利害関係がうまくいった時期に出来た映画で視覚的に楽しめる。
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映画 レッド  ブルースウィルス

2011-08-30 19:47:24 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「レッド」はベテラン大スターによるちょっと変わったスパイサスペンスだ。
タイトルの『RED』は、「Retired(引退した)」「Extremely(超)」「Dangerous(危険人物)」の略。ブルース・ウィリスを柱にして、脇を固めているモーガン・フリーマンやジョン・マルコヴィッチの演技が楽しい。『クイーン』のヘレン・ミレンも往年の女諜報員で豪快に銃をぶっ放す。
思ったよりはいける。


かつては名を馳せたCIAエージェントのフランクことブルースウィルスだが、今は引退しのんびり暮らしていた。彼の唯一の楽しみは用事を装い、年金課の女性サラことメアリー=ルイーズ・パーカーに電話をかけることだった。
ある夜、ブルースはコマンド部隊に襲われる。重装備で機関銃を撃ちまくる敵を撃退したが、もしかして電話をした相手に攻撃の手が来るのではとサラの家へと車を走らせた。ブルースは救いに来たとメアリーに話すが彼女は信じない。アパート前に来た新たな暗殺者たちの目を逃れ、裏口から抜け出た。ブルースはかつての上司ことモーガン・フリーマンが住む老人介護施設を訪れる。80歳を過ぎ、末期の肝臓がんを患っていた。襲撃者の指紋から身元を調べさせ、同じグループがつい最近NYタイムズ紙の女性記者を密殺した疑いがあることを知る。若きCIAエージェントが、女上司の密命を受け、メアリーを連れ去ろうとしていた。ブルースは、彼女を奪い返し、その場から脱出する。
殺されたNYタイムズ記者の実家を訪ねた二人は、一枚の絵はがきに記された暗号を解いたら、ブルースを含むメンバーの暗殺リストを見つけたが。。。。


スパイものといってもコミカルな要素が強い作品でテンポも緩く、末梢神経にグサッとくるような激しさはない。ブルースウィルスのアクション作品はちょっと激しすぎる印象があるが、これは大丈夫だ。こういう作品って日本映画でもよくある。引退したベテランがもう一度華を咲かせようとする映画だ。でもここの出演者はまったく暴れる気がないのにはめられてしまうというついていない話というのは、ダイハードのストーリーの流れと同じだ。主演級の共演だけにそれなりに水準になるのはさすがだ。

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映画 シャンハイ  

2011-08-28 07:31:24 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「シャンハイ」劇場で見てきました。
映画館には普通の洋画で見かけない70代以上と思われる観客が珍しく目立った。娘に連れてきてもらったヨタヨタの老婦人の姿がいくつもあったのが印象的だった。上海生まれなのであろうか?

ジョンキューザックが主演で、アジアの国際俳優チョウユンファ、コンリー、渡辺謙とスターが並ぶ。1940年前後の国際都市上海を取り上げた映画は多い。戦前の上海にはものすごく興味がある。ここでも当時の上海に基づく大規模なセットがつくられている。ただ、予想したよりは何か物足りないものを感じた。


まずジョンキューザックが日本軍将校こと渡辺謙のところで拷問を受けているシーンが出てくる。何で思わせるあとで、米国諜報員ことジョンキューザックが1941年10月に上海港に到着するシーンが映し出される。当時の中国の都市のほとんどが日本軍に支配されていた中で、上海だけはイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本など列強各国が租界をつくり均衡を保っていた。上海に赴任したばかりの米国諜報員ことジョンキューザックは、同僚・コナーが日本租界で殺されたとの知らせを受ける。コナーにはスミコこと菊池凛子という日本人の愛人がいた。彼は上海マフィアのボスことチョウユンファを調査していた。
ナイトクラブへ行く。主人公がプレイするポーカーのカジノテーブルに、一人の中国人美女ことコンリーが現れる。有り金全部で勝負するがコンリーに負ける。ハンカチを置いた美しい彼女を追うキューザック、ところが何者かに撃退される。その後ドイツ領事館のパーティに向かう。ヒトラー全盛時代である。そのパーティにはマフィアのボスことチョウユンファもいた。日本軍の将校渡辺謙もいた。新聞記者と偽ってチョウに接触したら、なんとその妻はナイトクラブであったコンリーだという。その後調べると、コンリーの父親は日本軍に殺されていて、彼女に抗日の動きがあることが推測されたが。。。。


1941年の上海はすでに洋式の近代建築が建ち並んでいた。川沿いの洋風建物は今も残る。当時もネオンが妖しく輝く、“魔都上海”と呼ぶのにふさわしい都市だ。欧米諸国と日本が上海でにらみ合いをしていた。欧米の血がうまく漢字文化にとけこんだコロニアル文化に似たものがあったかもしれない。ヒトラーの迫害を逃れたユダヤ人も2万人住んでいるというセリフもあった。その魔都の中で、主役4人が駆け引きを繰り広げている。一瞬わかりづらい部分もあるが、徐々にわかってくる。基本に流れているのは抗日である。南京で日本軍が暴れた話も出てくる。日本人から見ると素直に受け入れ出来ないセリフがいくつかあった。

しかも、この映画かなり粗っぽい気がする。
アジア人でなくスウェーデンから監督を招いているが、ディテイルがちょっと違うのではと思わせる。大規模セットであるが、この程度の上海セットはもっとすごい映画があった。ナイトクラブのセットも日本映画の「上海バイスキング」の方がよく見えた。上海の町風景もCGを多用しているので不自然。

日本租界を描くのに、歩いているのは東南アジアの顔をした人たちばかりだ。これはいくらなんでも違うよ。チョウユンファの情婦という女性も東南アジアの顔で、おそらくは戦前ではこんなことはあり得ない。ヨーロッパの人から見たらアジア人はみんな同じに見えるのかもしれないが、我々から見たらおかしい。同様に渡辺謙演じる日本軍将校がバツイチで、妻が男と駆け落ちして逃げられたという設定も戦前の軍人家庭ではありえない話だと思った。時代考証を考えているようで中途半端になっている。

この時代のアジアを描くのはやはり東洋人監督だと思う。基本的な歴史の流れを知っているからだ。同時代を描く「ラストコーション」に比べて相当落ちる気がした。監督の違いだろう。格下映画の「上海の伯爵夫人」と大して変わらない。1941年と言えば映画「カサブランカ」の世界だ。この映画の一部に「カサブランカ」の匂いがあった。それは逆に欧州の監督だからそうなったのかな?

あまり批判めいたことは普段は言わないが、劇場に行って「うーんいまいちだなあ」と思うのも久しぶりだからだ。


一つだけいい発見は、コンリーの表情が柔らかくなっていることだ。性格のきつい中国人女性を演じさせたら天下一品の彼女からビックリするくらいきつさがとれた。45歳になって美貌に磨きがかかった印象を受けた。俳優以外の日常生活の安定を示しているのかもしれない。
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ちょんまげぷりん  錦戸亮

2011-08-27 19:29:53 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
これはおもしろい!予想以上におもしろくて大満足であった。

「ちょんまげぷりん」は「ゴールデンスランバー」の中村監督の作品だ。江戸時代の武士が突如平成の世に出現して、母子家庭の親子とふれあう物語だ。噂は知っていたが、ありえない話で自分にはちょっと?と思っていた。見て予想を上回る面白さに驚いた。ハートフルな話で、そこにお菓子作りという一つの基軸を加えて話を一気におもしろくする。ともさかりえの母親ぶりもらしくてよかった。


舞台は平成の世の巣鴨である。主人公のともさかりえは幼稚園に通う息子の子育てと仕事の両立に悩むシングルマザーだ。仕事ではわがままな顧客の要望をこなしているが、子供を迎えに行くので定時に帰らねばならないジレンマがある。そんなある日着物にちょんまげ姿の男に出会う。初めは俳優か頭のおかしい男だろうと思っていた。
その男の名は木島安兵衛こと錦戸亮。文政11年(1828年)江戸時代からやってきた。振る舞いは本物の侍だった。その晩は帰ったが、行く当てもない安兵衛は、成り行きで居候することになる。食事にありつけた安兵衛は、恩返しに家事すべてを引き受けると宣言する。安兵衛は一生懸命に家事をこなす。しかも、礼儀や男らしさを息子に教え、熱を出せば心を込めて看病する。定時に帰るジレンマも解消され、ともさかは安心して仕事に打ち込み始めた。父親不在に慣れていた息子もなついていく。
そんな中、安兵衛に隠れた才能があることがわかった。息子のために作ったプリンがきっかけで、ケーキ作りを習得したのである。見た目も美しい西洋のケーキを見て、息子の幼稚園仲間のお母さんたちもビックリだ。この才能が埋もれているのはもったいないと、ともさかの友人がお父さんのケーキ作りコンテストに応募してしまう。ためらう安兵衛は説得され参加することになるが。。。。


江戸時代から日本にやってくるなんてことは夢物語のようだが、あとの話が妙にリアルである。巣鴨の場所設定もなるほどと思い、普通の母子家庭の母親や息子が悩むような小さい物語が現実的だ。そういう話がうまく連続的に続くので途中あきることがない。脇を固めるともさかの友人や同僚も独特の個性を持っていて、映画の流れに切れのよいスパイスを効かせる。そして話のオチもなるほどという形に持っていく。
おすすめだ。
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アリスの恋  

2011-08-25 06:03:31 | 映画(洋画 89年以前)
n「アリスの恋」は1974年のマーチンスコセッシ監督のロードムービーだ。子連れの若い未亡人が流れゆく行き先々の地でその地の人とふれあう話だ。監督が名作「タクシードライバー」を発表する前の年に発表、主演のエレンバースティンはオスカー主演女優賞を受賞している。歌手クリスクリストファーソンやジョディフォスターが出演しているのが見どころだ。


32歳のアリスことエレン・バースティンは、夫と12歳の一人息子と暮らしていた。ところが夫がトラックの運転中に事故死したのだ。アリスは故郷のモンタレイへ帰らざるをえない。
葬式で所持金を使い果たしていた。西へ向かって、親子の旅が始まった。旅費は途中のバーなどで歌手をしながら稼ごうとモーテル暮しが続く。いくつか断られて落胆した後、歌の仕事にありついた。ある男が近づいてきた。デートするようになり、帰りも遅くなった。トムはモーテルで一人ぽっち。やがて男の妻が現われ、狂暴な正体が割れた。彼はDV男で、妻をしたたか殴りつけた。ビックリしたアリス親子はすぐさま町を飛び出した。

移った土地のダイナーでアリスはウエイトレスとして働くことにした。そこではデイヴィッドことクリス・クリストファーソンという男が、声をかけてきた。彼は店によくきて息子と仲良くなり、自分の農場に連れていった。その縁で、やがてアリスも農場へ行くようになりロマンスが芽ばえた。息子は一人ぼっちになりそうになるが、ボーイッシュな少女ことジョディ・フォスターと知り合う。ちょっとあばずれのジョディと一緒にワインを呑んだり、泥棒したりして遊び回った。でも息子は母の恋人とはうまくいかないが。。。。

ごく普通の主婦が幼い息子と流れ流れていくロードムービーだ。あくまで女性目線。主人公もよく泣く。アメリカの田舎町をまわっていく。景色はあまり映さず、人物に描写をあてる。その街に住む人たちは基本的にはいい人なんだが、ひとくせもふたくせもある。ダイナーのウエイトレスたちがおもしろい。独身になって言い寄ってくる男性は多数あれど、一筋縄にはいかない。そんな逸話をたくさん盛り込む優しい映画だ。
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タンポポ  伊丹十三

2011-08-23 17:36:16 | 映画(日本 昭和49~63年)
映画「タンポポ」は伊丹十三監督の「お葬式」に続く85年の作品だ。これはロードショウで見た。

当時、ラーメン屋版「シェーン」なんてこと伊丹が言っていた気がする。ダメレストランをはやるレストランに変身させるテレビ番組に心動かされてつくられた映画である。山崎努、宮本信子のいつもながらのコンビに加えて、若き日の渡辺謙、役所広司が出演、世界的俳優のルーツのような顔が見れる。
この映画最初に見た時はなんか不思議な映画だな?と思ったけど、何度も何度も見てしまう中毒になる映画だ。歴史的名場面というべきシーンも盛りだくさんにある。見るたびごとに新鮮な発見がある映画だ。


ある雨の降る夜、タンクローリーの運転手の2人こと山崎努と渡辺謙は、来々軒というさびれたラーメン屋に入った。店内には図体の大きい男こと安岡力也とその子分達がいて、態度のでかい恰好をしていた。言い合いが始まり、チンピラ連中と山崎努が乱闘になる。ケガをした山崎は、店の女主人タンポポこと宮本信子に介抱された。彼女は夫亡き後ひとり息子を抱えて店を切盛りしている。

でもラーメンの味が今一つとの山崎努と渡辺謙の言葉に、宮本信子は弟子にしてくれと頼み込む。他の店の視察とスープ作りの特訓が始まった。宮本は他の店のスープの味をこっそり覗いて真似ようとするが、なかなかおいしいスープがつくれない。山崎はそんな宮本を食通の乞食集団と一緒にいる医者くずれのセンセイこと加藤嘉という人物に会わせた。“来々軒”は“タンポポ”と名を替えることになったが。。。。

上に述べたような基本ストーリーが普通に流れる。でも併せて小さい小噺のような話が同時並行で映しだされる。これが実に楽しい。
いろんな人物が登場するが、主要なメンバーは役所広司扮する謎の男とその情婦黒田福美だ。
いまや日本を代表する俳優になった役所もまだ若い。人相が今と違う。韓国通で有名になった黒田福美も20代でものすごい色っぽいヤクザ?の情婦を演じる。

2人がホテルで戯れるシーンは、日本映画史上に残る名シーンだと私は思う。
高級中華の料理「酔蝦」という料理がある。我々は「酔っぱらいエビ」なんて言っている。その昔香港のハイアットリージェンシーの凱悦軒の周中シェフが得意にしていた。紹興酒の中に生きた元気のいいエビを入れて暴れさす。大暴れである。そのエビを沸騰するお湯の中に入れて食べる広東料理の神髄だ。いかにもグルメで名高い伊丹だけに、彼の理想とするシーンを映し出す。


ホテルのスウィートにいる役所と黒田のところに、ルームサービスのワゴンが運ばれる。ワゴンには様々な食材があり、それを黒田福美の裸体を使って食べていくのである。圧巻は「酔蝦」だ。
紹興酒の中で暴れるエビを黒田の裸のおなかの上でまさに踊らせる。これこそ真のエビのおどりである。最初にこれを見た時、黒田福美の裸体の美しさに目を奪われたが、何度も見るとすげーシーンだと思った。2人が生卵をキスしながら繰り返し口移しするシーンもすごい。洞口依子が海女になって、カキを役所に食べさすシーンも印象深い。これもすげー!

なんてシーンが書ききれないほどある。
ブラックコメディの色彩が強い作品だが、「遊び人」伊丹十三の真骨頂というべき映画だ。
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アクロス・ザ・ユニバース

2011-08-21 17:58:09 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ご存じビートルズの名曲「アクロスザユニバース」が映画の題名になっている。なんとなくDVDを手にとっても後回しにいつもしてしまった映画だった。ウディアレン監督の人生万歳を見てエヴァンレイチェルウッド嬢のみずみずしい若々しさが気になり一度は見てみようと思った作品だった。

見て強く後悔した。何でもっと早く見なかったのであろうか?と。妙な偏見があったのは残念だった。
前面に流れるビートルズの曲が実に効果的に使われている。60年代の若者の偶像を見事に描いている。満足であった。

1960年代のイギリス・リバプール、造船所で働くジュードことジム・スタージェスは母親と2人で暮らしている。米兵だったというまだ見ぬ父に会うためアメリカへと渡る。しかし、東海岸のプリンストン大学で管理人として働く父親は存在すら知らなかった息子の訪問に戸惑うばかり。すっかり失望したジュードだったが、ひょんなことからプリンストン大学の学生であるマックスと知りあう。そして、マックスの家に行き、彼の妹ルーシーことエヴァンレイチェルウッドと出会い、かわいい彼女に惹かれる。ジュードはマックスと共にニューヨークへと向かい、歌手のセディが住むグリニッジ・ビレッジのアパートに転がり込み、様々な若者たちとの刺激的な共同生活をスタートさせるが。。。。


ビートルズの音楽が絶えず流れ続けて、ミュージカルの色彩だ。印象としてはカトリーヌドヌーブの「シェルブールの雨傘」を連想した。曲の選択がそれぞれの場面にぴったりきている。ビートルズが生まれたころの60年代が舞台でベトナム戦争への出征や反体制派の活動なども映画の題材になる。基本はラブストーリーだ。こうやって日本訳をマジマジと見ると、彼らの歌にいかにラブソングが多かったのだと思う。印象的だったのは「オールマイラビング」「イットウォンビーロング」「ガール」など。オリジナルをうまく編曲している。若い出演者にそのまま歌わせるのがいい。
毛沢東をおちょくったような「レヴォリューション」の歌詞がおもしろかった。文化大革命で暴れまわる紅衛兵や毛主席自身を批判するその内容である。当時まだ文化大革命の意義の評価が固まっていないころで、ジョンの歌詞が一歩先を行っている感じだ。

もう一度見てみたいと思わせる作品だ。
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ローズ家の戦争  マイケルダグラス

2011-08-18 05:25:01 | 映画(洋画 89年以前)
「ローズ家の戦争」は89年のマイケルダグラス主演のブラックコメディ映画だ。監督は小さい身体を全身でコミカルに動くダニーデヴィートで、自らも出演する。テーマはただの離婚問題にとどまらず、家庭内別居や女性の哀しいサガである。「危険な情事」で激しい不倫復讐劇を演じたマイケルがもう一度女性から痛い目にあう。


弁護士であるダニー・デヴィートが依頼主と話をする。どうも離婚を考えている男のようだ。
自分の知り合いの話を回顧してみる。主人公オリバーことマイケルダグラスはハーヴァードロースクールに通う弁護士の卵だ。その彼がオークション会場で日本の骨とう品のオークションに参加する。値を入れたところ一人の美女が対抗してきた。美女ことキャスリーン・ターナーが結局落とす。帰ろうとしたマイケルであったが、彼女が気になり誘い出す。
たちまち恋に落ち結婚した。男と女の2人子供に恵まれ、マイケルも法律事務所のパートナーとなる。子育ても順調に家庭もうまくいっているように見えた。キャスリーンはパーティ用の仕出しの商売に情熱を傾け始め、家事は家政婦ことマリアンネ・ゼーゲブレヒトに任せるようになる。ある日オリヴァーが商談中に内臓の異変で病院にかつぎ込まれるが、バーバラは見舞いにこなかった。その時彼女は、もはや夫への愛が消えてしまっていることを知るのだった。

約2時間の映画であるが、約45分は大きな変動が起きない。一瞬何か起きそうに見せるが起きない。タダでは済まないだろうなあと見せながら、観客をじらす。そして突破口が開かれるのはそのあとからだ。内田樹が「映画の構造分析」で述べているがごとく、マイケル映画ではむしろ女性の方がおかしい。生理的に相手が嫌になってどうしても、その相手が嫌になるということはよくある。それにしてもマイケルよりもおかしい。と思ってしまうのも男性の立場だからか?
傑作とは思わないが、おいおいよくここまでやるな!と思わせる。
ダニー・デヴィートはこういう思いをどっかでしたのであろうか?さすが監督だけにいつもほどその個性は見せていない。「バットマンリターンズ」のペンギン役が最高、気が付いてみると彼の出演した作品も10本近く見ていることになる。どこにでも顔を出す男だ。
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夏休み3

2011-08-17 06:03:29 | 散歩
葛西臨海公園に行った。
水族館に行きたいと家族が言っていたので、どこへ行こうかと思った。意表をついて大洗水族館という手もあったが、車で行くよりは電車で気楽に行った方がいいのではないかと思った。

駅へ着くと、子供づれが多数いた。たぶん15年ぶりくらいかと思う。
まずは観覧車に向かった。車窓からその大きな姿をいつも見るが、今回が初めてである。
もっと人が並んでいるかと思ったらそうでもない。楽に乗れた。観覧車の中は冷房が利いていた。

東京のウォーターフロントやディズニーランド側がきれいに見れた。


そのあと水族館に入った。

子供もそうだが、赤ちゃんが妙に多い気がした。
まずはサメの水槽で、シュモクザメを見た後一般の魚を見る。

グロテスクなクエは見ていて楽しい。熱帯魚もきれいでいい。

サメを触れるチャンスもあったがやめた。嫌がっているのがわかるのでかわいそうだった。


ペンギンは見ているだけで涼しい。特に水槽の中から見る方がより涼しく感じる。

そのあとディズニーに行く。
想像よりは混んでいなかった。行った時間が悪く、ファストパスがなく展開が難しい。
カリブの海賊のあとは「スプラッシュマウンテン」に挑戦だ。娘と2人で乗車、終わった後の写真を見ると、下を向いているのは自分ともう一人中年の女性だけであった。

食事はバイキングで
ただ、こんなバイキングあったっけという感じだ。年に2,3回行っているけど、気がつかなかった。
割とすぐ入れた。自分の前に子供4人くらいいる家族が並んでいた。お母さんがいかにもヤンキーという感じの家族であった。いちばん大きな娘が母親と同じくらいの上背だった。スタッフがきて、年齢を聞いていた。その大きな娘は元気よく「11歳」と言っていた。「??」一瞬あれと思ったけど、そのまま通じた。夏休みディズニーは子供半額になっている。どうやら裏筋を行こうとしているようだ。

席に着くと横に女性2人が座った。これもちょっと変わった雰囲気の人たちだった。バイキングだから自分で好きなだけとる。その女性の一人がサラダの春雨をスタッフの若い男性に「これって春雨?」といちゃもんをつけていた。何か変なものが食事に混入していると言いたげだ。しばらくすると若干年上の女性スタッフが来て何かしゃべっていた。それは聞えなかった。でもこれっていわゆるやばい人たちがよくやる手だよね。
なんか妙な客層特にたちの悪い女性がいやにめだった気がした。
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ブロードウェイと銃弾  ジョン・キューザック

2011-08-17 05:21:36 | 映画(洋画 99年以前)
「ブロードウェイと銃弾」はウディアレン監督の96年の作品だ。彼自身は出演していない。いつものウディアレンらしさもあるが、ミュージカルの裏話が主軸だけで若干色彩が異なるかもしれない。世間評価はまあまあのようだが、ウディ作品の中では個人的には苦手

時代は1920年代のニューヨーク、芸術肌の劇作家の主人公ことジョン・キューザックのシナリオにプロデューサーが出資者を見つけた。マフィアの親分ことジョー・ヴィテレリがスポンサーだ。でも裏があった。女優志願の愛人を出演させろというのだ。じゃじゃ馬女の出演はどうにも嫌だが、うけざるを得ない。マフィアは怖いし、キンキン声の彼女はどうにもならない。


ジョンキューザックは主演に大女優ヘレンことダイアン・ウィーストを起用し、相手役に名優を持ってきた。大女優ダイアンウィーストは、自分の立場をもっとよくするために主人公を誘惑した。恋人がいる主人公であったが、その誘惑にこたえてしまう。また、愛人オリーヴの用心棒ことチャズ・パルミンテリがある日演出に口を挟む。おもしろくない主人公だが書き直しをする。それ自体は好評であった。
愛人オリーヴがマフィアの親分に隠れてプロデューサーと浮気する。舞台にかかわる面々の関係が徐々に複雑になっていくのであるが。。。。

1920年代、第一次世界大戦に対外不干渉の慣例を破って参戦して勝ってからのアメリカは全盛時代を迎えた。経済発展を遂げているわけであるから、ブロードウェイも活気があったであろう。同時にマフィアが夜の世界を牛耳っていたのも明らかだ。そういう世相を考えると、このストーリーもそんなに不自然ではない。

ウディアレン自身が出演していないときは、自分の分身の誰かに自分の思いを話させることが多い。ここではジョンキューザックだ。スタートしてしばらくはいかにもウディらしいセリフが目立つ。どちらかというと、ダイアンウィーストとの絡みが出てからはその色彩が薄くなる気がした。その分愛人の用心棒におもしろい動きをさせて、映画の展開をおもしろくする。

そのダイアンウィーストがこの映画でオスカー助演賞をもらった。見ようによっては助演を逸脱した活躍をしている。このブログでも「チャンス」や「モンタナの風に吹かれて」あたりでずいぶんと褒めた。彼女が出演している作品ははずれがない。ここでの彼女は名女優の役、上記2つはふっくらした姿でもう少し地味な役だけにいつもと違う雰囲気だ。でも若いジョンキューザックにからんでいく部分に女の匂いを出しておもしろい。ちょっと違うかもしれないが「サンセット大通り」の匂いも少しある。
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夏休み2

2011-08-16 08:50:45 | 散歩
8月に入って月初の行事を早々終了させて夏休みに入った。
7月は自分の部署の成績は抜群によく気楽だ。
サマータイムはやらないので、会社も今年は定休のほかに6日間休みを取れという。今日16日も全休となった。

休みに入った後、妻と娘が妻の田舎から帰ってきた。
オープンキャンパスの宿題は学習院で終了しているが、いくつか大学へ行くことになった。
まずは早稲田に行った。高田馬場の駅に着いて、バスに乗ろうとしたら乗りそこない、地下鉄に乗ることにした。駅で降りてキャンパスへいく。久々だ。
大隈講堂の前で記念撮影したあと、大隈重信候の銅像の前で再度記念撮影
これでやることは終了、学習院で学食食べそこなったので学食へ向かう。

カツカレーを食べた。娘も同様。こういう形式で食べるのも久しぶりだ。でも何???って感じだ。
妻に言わせると、いわゆる昔の食堂に出るカレーという感じで懐かしいという。早稲田の学生は割と食に無頓着な学生が多いせいなのか?これで満足してしまうのは??普通だとありえない。確かに会社の早稲田出身者には、極めて例外を除くと美食家はいない気がする。まずいものでも平気な奴が多い。早稲田マンの奥さんはどんなものを出しても平気だから楽だろう。
昭和30年代にタイムスリップしたような食事だが、食べる場所はハイカラだ。天井が高く全体的に吹きぬけになっているような近代建築だ。さすが、「意匠の早稲田」と言われる建築学科がある大学という感じだ。こういう落差がいかにも早稲田らしい気もした。あとは夫婦子供づれで食事していたアジア人が多い。これはどういうことかな?たまたまかもしれないが。。。

慶応は日吉に行こうといっていたが、三田でいいということになり山手線で田町に向かう。
品川の自宅からだと都営地下鉄で行けるのでいつも三田で降りるので、妻も勝手がわからず「田町から何に乗り換える」のだという。田町イコール三田だよというと「あ、そう。」
中央通りの商店街を通って、幻の門に向かう。去年キャンパスに行った時、正門から入れなかったのであえてそうした。キャンパスには人は少ない。図書館と福沢諭吉先生の銅像の前で記念撮影した。この娘の記念写真を家に飾ったら、2年後うまくいくのであろうか?


教授たちがいるビルを一瞥した後、中心部にいく。新しい校舎は出来ていた。リクルートの服を着ている女子学生が数人目立った。今年も就職は厳しいのであろうか?とかく今の学生さんはかわいそうだ。学食はもう終了していた。山食はあともう少しで終わりという時間だった。食堂のふんいき自体は早稲田の方がきれいだ。
一度話題にしようかと思うけど、今の日経新聞私の履歴書の連載は日本画の小泉淳作氏である。彼は幼稚舎あがりの慶応出身だが大学は東京芸大だ。これが実におもしろい。先週日経新聞の夕刊は裏面に歌舞伎の中村翫雀氏、中にデザイナーの山本耀司氏の連載だった。夕刊連載の2人も慶応出身で、芸術の道に入った3人が日経新聞の連載だった。
小泉氏も中村翫雀こと林智太郎氏も幼稚舎出身者だ。2人とも6年一緒の恩師を紹介している。その気持ちはよくわかる。自分は大学からだが、大変お世話になった幼稚舎の先生がいた。人間の器が違っていた。福沢諭吉先生、小泉信三先生の素晴らしさと美食三昧、本物を見る目を教えてくれた。先日亡くなった歌舞伎の中村富十郎さんがその先生のことを私の履歴書で紹介していた。昔先生が亡くなった時葬儀の受付にいたが、政財界の大物が大多数来るのでアッと驚いた。

そのあと久々に横浜へ行く。石川町で降りて元町へ行く。キタムラ、フクゾー、ミハマという主要どころに入ったりするが、何も買い物しない。まだ娘には早いのであろうか?関心がなさそうだ。ユニオンのスーパーは新装開店となっていた。改装でもしたのであろうか?外人墓地の方へ石畳を上がろうとして、途中で挫折して中華街へ


中華街では急に妻が肉まんを食べたいという。注文してしばらく経ったら娘が桃まんといいだす。そこでケンカになって調子が出ない。時間が中途半端で「海員閣」にいったがまだやっていない。広東料理「楽園」へ行く。自分が好きな店だが、お客は少ない。自分の大好物の巻き揚げと野菜炒めと餃子を頼んだらおなかいっぱいになる。蒸し魚やもつ料理は断念。直前に肉まんたべているからね。妙にみんなと波長が合わず、中途半端に消化不良になりながら石川町から電車に乗った。
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夏休み1

2011-08-16 07:10:54 | 散歩
今年は8月前半に夏休みをとった。
なのでブログ更新数も多い。映画もたくさん見た。本もたくさん読んだ。
そればかりではおもしろくない。外へも出た。いくつか書いておこう。

まずは子供のオープンキャンパスの宿題をこなす。
高校一年なのにもう将来の進路だって、早すぎない?教員の方があせっている感じだ。
7月の終わりに学習院大学へ行った。そのときはデジカメを忘れていた。
駅のそばなので一番行きやすいと思った。学校の雰囲気もいい。
その昔ピラミッド校舎があった気がするが、探してもない。
娘と妻と講義を聴いた。経済学部の教授が「日本の年金」について分かりやすく講義をしていた。妻が妙に納得していた。学食は混んでいてやめた。女子高校生がやけに目立った。いわゆる女子部、付属女子高校の制服も意外に目立った。

食事どうしようといって目白を探したが、ろくなものはない。
池袋へ行った。パスタを食べたあと、他にもいくつか見たいとなってとっさに立教が思いついた。
立教大学は縁がない。構内に入ったことないんじゃないか?今部下に3人ほど出身者がいる。
レンガの建物にツタの絡まる校舎は趣きがある。中で映画をとっていた。
入ったことないが映画ではずいぶん見かける光景だ。「カミュなんて知らない」という映画の映像が目に浮かんだ。映画としては駄作だったが。。。

時間が中途半端だった。池袋の駅にもどったら、丸ノ内線の乗り場が目に入った。
とっさに本郷3丁目イコール東大が思い浮かんだ。
本郷3丁目の雰囲気が若干変わっている。少し歩いて赤門に行った。
これが赤門かと田舎出身の妻が感心して携帯で写真をとっていた。娘も同様だ。
中に入った。出身者ではないが、構内の位置は割とわかっている。
歩いていると、声をかけられた。「赤門ってどっちですか?」同じような高校生だ。
学内の人に間違えられて、一緒の2人がビックリしていた。とても東大の研究者にはみえないのにと
高校生のツアーも見受けられる。研究者の人たちも割といる気がした。

歩いたので休憩しようとした。安田講堂の下の食堂はもうしまっていた。生協でアイスを買った。
そして三四郎池で池のまわりにたたずんで食べた。娘は蚊に刺されたらしい。
そのあと柔剣道場へ行った。これは七徳堂という。自分が高校時代、この場所で毎年合宿をしていた。
夕方行って稽古、よる先輩と懇談をして、翌朝再度稽古という順番だ。
東大柔道部にいった先輩たちが場所取りをしてくれて稽古をする。今思うと凄い話だ。
稽古をつけてくれた先輩たちがものすごく偉くなった。
構内に行ったのもこれを見に行きたかったからだ。先輩たちが東大合宿で東大行きの願望を高めようとしたのであろう。今思うと本当にありがたいことだった。でもうちの同期は完敗。自分が主将で早々妥協、副将が二浪までしたけど結局早大理工になった。その日、中では合気道らしきことをやっていた。

そのあと上野にいって夕食をとって帰った。
上野駅にあるタイレストランは混んでいた。家人と娘は味が合わなかったようだ。
パクチーが嫌いらしい。もったいない。僕はグリーンカレーにばっちり喜んだ。
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武士の家計簿  堺雅人

2011-08-14 21:31:05 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「武士の家計簿」は加賀藩に仕えていた経理係の武士一家を森田芳光監督&堺雅人主演で映画化した。剣をふるう場面が出てこない異色の時代劇だ。堺雅人がもつ独特の個性で柔らかいムードで進む。窮地に追い込まれていた加賀藩の財政を救うだけでなく、放漫生活で借金がかさんでいた家の家計の改善も目指すという話だ。女性ぽい気質でケチケチしているようにも見えるが、いやらしさはない。


江戸時代末期、御算用者(経理係)として、代々加賀藩の財政に関わってきた猪山家。八代目の直之こと堺雅人もめきめきと頭角をあらわしていた。父信行こと中村雅俊も同じ所で勤めていた。そろばんを弾き、数字の帳尻を合わせる毎日の直之にある日、町同心こと西村雅彦を父に持つお駒こと仲間由紀恵との縁談が持ち込まれる。

飢饉が続いた後加賀藩の財政もきつくなっていた。主人公は御蔵米の勘定役に任命されるが、農民たちへのお救い米の量と、供出量との数字が合わない。米の配給が少なく農民の不満も爆発寸前だ。主人公は不審に思い、独自に調べ始める。やがて役人たちによる米の横流しを知ったが、その動きを察して輪島への左遷を言い渡される。新婚早々の異動を余儀なくされる。
結局は一派の悪事がわかり左遷の取り止めに加え、異例の昇進を果たす。しかし、家は出費がかさんでいた。付き合いも多く膨大な借金もあった。主人公は家財一式を処分、借金の返済に充てるという決断をする。愛用の品を手放したくないと駄々をこねる母こと松坂慶子も説得していくのであるが。。。。

堺雅人がいい。いつもの笑顔がここでも晴れやかで好感が持てる。「ゴールデンスランバー」がいい作品に仕上がったのも、主人公である彼のキャラによるものが大きい。この映画も別の人が同じ役を演じたら、ケチというよりもシミッタレという雰囲気になって暗い映画になったかもしれない。
脇を固める主演級の演技もいい。中村雅俊、松坂景子、草笛光子いずれもコミカルなキャラである。経理係の家計と言うと固いイメージが強いが、いずれもなおおらかなキャラクターだ。


中村雅俊が今は東大の赤門になっている前田邸の門の建造にかかわる自慢話を何度も話したり、自分が大事にしているものを売りたくないと駄々をこねる松坂恵子の演技など笑える場面がこの映画の全般的な雰囲気を朗らかにしている。そういった意味で倹約推奨のケチケチ映画にならず、堺雅人のキャラらしい映画になっているというのは、いかにも彼が主演級として成長していることを示している。
そんな気がした。
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