映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「アルゴ」 ベン・アフレック

2012-10-31 19:41:03 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「アルゴ」を劇場で見た。
ベンアフレックが自らメガホンをとり実話の回想をリアルに描く。スリリングだ。
ベンアフレックもイーストウッドのようになるのかな?と予感させる快作だ。

イランがホメイニ師の配下となった後、アメリカ大使館が襲撃を受ける。その時、間一髪逃げ出して、カナダの大使館員宅に潜んでいた6人をCIAが救出する実話に基づく。何しろその作戦が「ニセ映画」を企てて、イラン人の厳重な警備を欺くというわけだから興味深い。
ベンアフレック以外はそんなに有名な俳優は出ていないが、これは面白い。

まずは歴史的背景が語られる。
ペルシャ帝国だったエリアをイランと呼ぶようになった。パーレビ国王が実権を握ると、石油の利権を自分が牛耳り好き勝手にしていた。それに対してのシーア派の反発が強く、ホメイニ師による勢力がイランの政権を握る。1979年パーレビ前国王はアメリカに亡命した。
アメリカに対して、イラン国民は前国王を引き渡すように強く要求していた。デモの軍団がアメリカ大使館の前で暴れるうちに、大使館内に乱入する。アメリカ大使館員は警察を呼ぶがくる気配はない。自衛の軍隊による抵抗は催涙弾のみだ。そしてデモ隊は建物の中へ乱入する。その中で6人の大使館員が秘密の出入り口から脱出する。脱出先はカナダ大使館員宅だ。密かにかくまってもらう。
アメリカ国内では人質問題で大騒ぎになった。当時のカーター大統領はなかなか問題の打開策を打ち出せない。大統領選を控えてイライラしていた。そんな時、CIAで密かにイラン大使館員脱出作戦が練られていた。外国語学校の教師のふりして救出とかいろんな作戦が検討された。

しかし、人質救出のプロである主人公(ベン・アフレック)はテレビで映画「猿の惑星」が上映されているのを見て、映画のクルーのふりをしてイランに入国して、潜んでいる大使館員を救出する作戦を思いつく。上司に提案するが、周りから反対を受ける。それでも行動派の主人公はロスに飛び、旧知のハリウッドの映画スタッフと組み、架空の映画「アルゴ」の製作にあたろうとする。「アルゴ」はSF映画の脚本だ。イランの砂漠でロケをする設定だ。マスコミにも記事にしてもらうために、記者会見まで開いてまわりを欺く。

主人公は周到に準備し、隣国トルコのイスタンブールに入る。映画の製作者だと偽り、そこでビザを取る。そしてテヘランに入国した。そこではいきなり映画等を所轄する文化系の官庁へ向かい、映画製作の主旨を説明する。アリバイ作りだ。理解を得てから、カナダ大使館員宅に入って6人のアメリカ大使館員に会う。ところが、彼らは脱出のために来た主人公のことを信用しないのであるが。。。。


前作「タウン」とは違い、激しい銃撃戦やカーチェイスがあるわけではない。末梢神経に響く様なシーンもそんなにはない。実話に基づく分普通のスパイ映画のような激しいシーンはないが、ドキドキさせられる。脱出作戦に対しても、政府やCIAの中でも意見が交錯しているわけだから最後の最後まで着手できるかわからない状態だ。それぞれの葛藤の描写はしっかりしている。

印象に残ったのは、イラン人が大使館に乱入しようとしたときに、懸命に大使館員たちが証拠隠滅で様々な書類をシュレッターにかけていた姿だ。今の機械のように紙が粉々にはならないから、あとで乱入した連中が懸命にシュレッターした内容を調べようとしている姿が映る。いずれにせよ、機密情報のシュレッター処理の重要性がよくわかる。

いわゆる第2次石油ショック騒ぎのころだ。当時日本ではイランの政変で三井物産の石油プロジェクトが大変なことになったと大騒ぎだった。大学生だった自分のまわりでもこの話題でもちきりだった。しかもすぐ後にソ連のアフガニスタン侵攻があった。今と違いソ連に対する恐怖意識が強かった。結局モスクワオリンピックには不参加となる。それでも当時の論調は最初のショックよりは和らいでいたと思う。しかも、自動車やテレビがアメリカで売れすぎていると批判されるような状態だ。景気がいいとは言えないが、経済は今ほど深刻な状態でもなかった。
学生運動は影を潜めて、夜のディスコは大フィーバーだ。自分も含めて何とかなるさと脳天気だったのかもしれない。そういえば、主演のベンアフレックは当時人気のドゥービーブラザースのマイケル・マクドナルドに似ている気がする。「ホワット・ア・フール・ビリーブス」はよくディスコで流れたなあ。

イランはどうやって撮ったのかなあ?と見ていた。8000年続いたバザールの様子とか、イラン人がかなり大量に出演していたけど、街の中の撮影とかどうやったのかは気になる。セットも多いと思うが、トルコでロケしたのかもしれない。今もイランとアメリカは仲が悪い。ずっと引きずっている感じだ。最後にかけて映し出される空港の警備役のイラン人がなかなかリアルだった。

それにしてもいい題材に目をつけたものだ。なんと18年も脱出へのCIAの関与は秘密だった。
それを描きよくできた映画だと思う。

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映画「ロボット」

2012-10-28 21:36:27 | 映画(アジア)
映画「ロボット」はインド映画
何かよくわからないけど、面白い。映画は娯楽ということを再認識する。

インドのロボット工学者バシー博士(ラジニカーント)は10年に及ぶ研究の日々を経て、二足歩行型ロボット、チッティ(ラジニカーント・2役)を生み出した。頭脳、身体能力あらゆる点で人間以上の能力を持ち、命令に忠実に従う凄いロボットだ。
チッティはバシー博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)のボディガード的役割を果たしていたが、彼女に感謝のキスをされたとたん恋をしてしまう。チッティとバシー博士がサナをめぐって恋の火花を散らす。しかし、サナは「ロボットには恋することができないのよ」という。深く傷つくチッティ。バシー博士の怒りを買ったチッティは、博士の手で廃棄処分にされてしまう。
残骸を回収した悪徳博士の手によって100人殺す能力を与えられた冷酷なロボットとしてよみがえった。チッティは、バシー博士とサナの結婚式に乱入、目の前でサナを拉致するが。。。。


インド映画というと延々つづくダンスシーンがキーポイント。
ひたすら踊って歌ってというイメージで、ハイテクとは無縁の映画が以前は多かった。でもこれはハイテクの極致を行っている。CG技術を駆使した画像処理の巧みさが光る。主人公の博士は工学系の天才の設定で、その才能をロボットも備える。そりゃロボットの方が単純計算には強いよなあ。フィボナッチ数の話とか数学の用語が次から次へと出てくるのは数学の国インドらしく興味深い。
それに加えてこの映画アメリカのアクション映画に劣らぬくらい車をつぶす。ブルースブラザースを思わせるノリだ。これはメチャクチャお金かかっているなあ!

インドには凄い美人がいる。世界ミスコンテストの上位の常連だ。この映画の主演のアイシュワリヤー・ラーイはまさに半端じゃない美形で、彼女自身元ミスワールドだ。

でも38歳というのは少々ビックリ、もう少し若く見える。この彼女ただ美人なだけじゃない。インド映画特有のダンスが実にうまい。腰を振るセクシーダンスには男性連中はみんな悩殺されるだろう。
出ずっぱりで、ややこしいアクションシーンに巻き込まれることも多くスタミナあるなあ


途中まで次から次へと出てくるアクションシーンに目が離せられなかったが、面白いんだけどさすがに途中で飽きてきた。インド映画って延々と長い映画が多い。以前関西空港から香港に遊びに行くときにエアインディアに乗ったことがある。いきなり手を合わせたインド女性スッチーに迎えられ、香辛料の強い機内だった。当然機内食はインド料理で、酒を飲みながらインド映画を見たが、長いのなんのって。。。
昼飯にナーン付きのカレーを食べることがよくある。店の中ではバックでインド映画が流れる。ダンスばかりずっと見ていてインド人飽きないんだろうか?いつもそう思う。
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橋下維新の会と石原新党

2012-10-26 22:04:46 | Weblog
家に帰ってネットを見た。
こんな記事があった。(日経ネットより引用)

日本維新の会の国会議員団が作成した次期衆院選の公約素案を巡り、維新代表の橋下徹大阪市長ら本部幹部らとの温度差が表面化した。橋下氏は26日、素案を「表現が稚拙」と批判、幹事長の松井一郎大阪府知事も「(目標に)数字を入れる責任を少し考えてほしい」と苦言を呈した。

橋下氏は2045年を目標に「外国軍の自国内駐留を全廃する」との記述を特に問題視。「日米同盟があり相手のある話。(鳩山由紀夫内閣が検討した沖縄県の)普天間基地の県外移設で国会議員は懲りているはずだ」と批判した。
素案は党綱領「維新八策」をもとに国会議員団が作成した。橋下氏らとの擦り合わせはまだほとんどしていないため、本部は今後、国会議員団と調整して内容を修正する方針だ。
以上

おいおい
この間橋下のことほめたけど、下の奴レベル低いねえ。●日新聞の記者並みだ。
日米同盟やめたら、一気に中国に攻め込まれるなんてこと考えないのかしら?

これじゃ「維新の会」を名乗っても他のバカには票は入れられないよね。
橋下には票をいれても、こんなこと言う奴は誰もついていかない。
大したことなさそうだ。
でもこういう風にすぐさま身内の否定ができることろは橋下の凄いところだ。

それにしても石原慎太郎にはビックリだ。
でも突然辞めるなんて無責任だなあ。次の知事誰が狙うんだろう。
石原さんには晩節を汚さないようにというしかない。
過激なことばかりいうのがいいってものじゃない。三男はどこから出馬するんだろうかな?
石原さんは比例かな?

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捜査官X 金城武

2012-10-25 22:08:11 | 映画(アジア)
映画「捜査官X」は推理物の要素をもった中国武侠映画である。

ピーターチャン監督は香港映画の傑作「ラブソング」で素晴らしいラブストーリーをつくってくれたが、ここでは金城武が「金田一耕介」系の捜査官役で新境地を見せる。

時代設定は1917年だ。
山奥の村に突如2人の強盗が現れる。2人は両替商に押し入り、金を要求する。うろたえる両替商夫妻だ。そこに偶然居合わせた紙職人主人公リウジンシー(ドニー・イェン)は、自身の身を守るために必死で応戦する。そして犯人たちを殺してしまう。殺された二人は指名手配中の凶悪犯だった。正当防衛であった上、犯人を殺したという事で、ジンシーは一躍村の注目を浴びる。
そこに捜査官シュウ(金城武)が現れる。普通の身なりをしたジンシーが凶悪犯の2人を殺した事に疑問を持ち調査を始める。もともと妻(タン・ウェイ)と幼い子供2人と普通の家庭を営む普通の男だ。聞き込みと状況調査でジンシーの過去を探り当てていく。

村の英雄となったジンシーを追う捜査官に対して村の面々は白い目で見るが。。。

サスペンス物かと思ったら、途中から武侠映画の色彩が強くなる。中国題はまさしく「武侠」だ。
主人公は最初怖い相手にオドオド対処している。強そうに見えない。でもうまくしのぐ。映像のカンフーアクションが途中から一気にレベルを増す。自分は知らない俳優だが、往年のカンフー俳優2人が凄い動きを見せる。


時代は1917年というと辛亥革命のあとだ。無政府状態と言っていいだろう。その時代の田舎だ。出演者の髪も辮髪のような頭をした人間が多く、アヘンをたしなんでいる姿が映し出される。この映画では中国風の身体の弱点「ツボ」などの概念が出てくる。西洋風医学の概念なんて当然のごとくないだろう。相手の頭脳を破壊する「ツボ」を叩き一気に殺す。足の裏の「ツボ」や胸の「ツボ」の話が出てきて面白い。

捜査官が村で家族をもったリウジンシーを残してあげようと、いったんリウを仮死状態にして死んだふりをさせるシーンも面白い。これって「ロミオとジュリエット」のジュリエットの仮死状態の話と似たようなものだ。仮死状態でいられるのは限界で15分、それを超えると本当の死に至るという設定だ。ところが、リウを迎えに来た仲間が彼が死んだのを見て、独特の弔いを始める。あわてる捜査官だ。15分たってしまう。その場面も見モノだ。


ピーターチャン監督というと96年の「ラブソング」だ。この映画は中国風「君の名は」の色彩を強くする。2人が双曲線を描くように近づくようで、なかなかくっつかない。現代中国映画と比較すると映像的にはシンプルだが、レオンライ、マギーチャンの人気俳優の2人の演技とカメラ捌きのうまさが光る作品だ。
今回は全く違う。チャンイーモア、アンリーと中国映画の巨匠はカンフー映画でその地位をしっかり固めた。ピーターチャンも同様の展開を見せる。対決する2人の格闘を追うだけでない。2次元を超えて、3次元の空間をしっかりとらえる。ここでも空間の全容をとらえるのが見事だ。


あとはタン・ウェイ嬢だ。「ラブコーション」でのトニーレオンとの激しいラブシーンと違い、ここでは少女のような表情を見せる。この顔見たことあるなと思いながら、どこかの子役だと思っていた。彼女と知り信じられなかった。
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メトロポリタン美術館展 

2012-10-24 21:44:54 | 散歩
「メトロポリタン美術館展」を上野の「東京都美術館」で見てきました。

これは何としてでも行きたかった。
ニューヨークで初めてこの美術館に入った時の感動は忘れられない。
個人的には一番好きな美術館だ。日本で主要作品が見られるのは本当にうれしい。
この美術館には日本の古典美術品がたくさんある。日本史の教科書から抜け出たようなものがたくさんあるけれど、さすがに今回は出展されていない。そりゃそうだろう。あの凄いコレクションがアメリカにあるというだけで、むかつく人がきっといるだろうから。。。
今回は素敵な絵画中心、十分堪能できたので思わずブログにアップした。

気にいったものをアップ

大好きなエドワードホッパー
青空のブルーがなんとも言えず美しい。目の前でこのブルーを見ていると吸い込まれそうになる。
灯台を描く構図もいい。一番気にいった。


ルノワールも大好きだ。やさしい感じがにじみ出ている。
この明るいタッチは際立って素晴らしい。裸婦や都会的画像が多いので海辺を描くのはめずらしい。
色合いの取り合わせのうまさはさすがだ。


ターナーがヴェネツィアを描く
これもブルーが鮮明だ。
今回はブルーがきれいな絵画が多くてうれしくなる。


セザンヌらしいタッチで、こちらも海を描く
それぞれの大家が描く海の色の違いに注目した。


ドラクロワだ。
このドス黒いタッチを最初にニューヨークで見た時の印象が強く残っている。
暗黒のキリストの一生を象徴しているようだ。


ホーマーの描く荒波が、荒れ狂っている海を巧みに表現する。


ミレーだ。
麦穂を細かく写す。非常に丹念だ。
これを目の前で見ると几帳面さに驚く。農村を描くことではミレーはずば抜けている。


ヴィンセント・ゴッホ
この写真よりも、目の前で見た方が明るく見える。気分がいいときに描いたのかなあ!

最高だ。
モネの傑作「サンタドレスの庭園」が来ていないのだけが残念だ。
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橋下徹はすごい!

2012-10-21 18:56:50 | Weblog
橋下徹には本当に感心した。

先週「週刊●日」が暴走して、ハシシタとまで言い切る凄い記事を書いた。立ち読みして、地域まで指摘するのはどうかと思った。当然反発する橋下徹だが、反発の矛先を「●日新聞」に持っていった。最近は偽善者ぶりを発揮して、「反原発」で大騒ぎしているクズ新聞だ。正直読む人たちのレベルはかなり低い。それがわけのわからない知識人たちに支持されている。それ自体が笑える。

それに真向に挑んだのは橋下徹だ。
こういうスキャンダルは政治家には付き物だ。先日は新地ホステスとの火遊びが週刊誌に取り上げられたが、あっさり是認。その後、別にそれ自体がスキャンダルになっていない。
今回も天下の「●日新聞」もあっさりやられた。自らの知的レベルが最低だということを認めた。
非常に気分がいい。

以前も言ったように過去●新聞は自分が取り上げたことをしばらくするとそんなこと言ったけ?というスタイルで覆す性癖がある。今も原発反対と言っていれば発行部数が増えるんじゃないかと感じているのであろう。そのくせ電気代上がるといえば大騒ぎだ。いずれ矛盾が出てきて変わるだろう。

それにしても凄いのは橋下だ。
民主党が内閣改造をすると、必ずスキャンダルがでる。自殺したり、病気になったり腹がすわっていない。その点は自民党も変わらない。中曽根あたりもスキャンダルの固まりだが、そのかわし方とは違う。秘書のせいにするという汚いやり方は小沢と一緒だ。
ある意味、本人にもわからないような事実は別として、それを大筋で認めながらも反論する。女がらみの新大臣は自殺した。橋下は火遊びとして笑って済ませる。この違いが政治家としての資質であろう。

彼の主張には全面的に賛成しかねることも多々ある。新自由主義的「小さな政府」政策なのに、なぜか逆にファシズム的な要素をもつ全体主義的匂いもある。ハイエクの主張に全面的に合意する自分としてはやばい匂いも感じる。言論の弾圧をおこなえる手腕のある男だ。でも何か期待してしまう。これってアドルフ・ヒトラーの出現と似ているかもしれない。日本の将来に別の意味で怖さを感じるが、やっぱり凄い!

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映画「WIN WIN 」 ポールジアマッティ

2012-10-16 05:48:33 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「WIN WIN」は「扉をたたく人」トーマス・マッカーシー監督が、ポール・ジアマッティを主演に迎え、ダメな中年男が成功へのチャンスをつかむも、厳しい現実に直面する姿を描いたドラマ。

妻と幼子2人の家庭を守る弁護士のマイク(ポール・ジアマッティ)が主人公だ。
高齢者を対象に弁護士事務所をやるが、不況で仕事がない。コピーの修理もできないくらいだ。高校のレスリング部のコーチでお小遣い稼ぎする。そのマイクは金策のために依頼人で認知症老人レオの後見人になる。そんな時、オハイオに住むレオの孫の少年カイルがドラッグ中毒の母親の元から家出してきて、レオの家の前にいる。母親は薬物中毒患者の施設にいるという。戸惑いながらもカイルを預かるマイクだった。

しかし、カイルはなんとレスリングの天才だった。オハイオの大会で2位になったこともあるという。こちらの大会でも強さを発揮する。同居の妻や子供もカイルになついてくる。ところが、そんな2人の前にドラッグ中毒のカイルの母が現れるが。。。。

ポール・ジアマッティが大好きだ。
「サイドウェイ」の中年国語教師の役、「シンデレラマン」のボクシングのコーチ役、「アメリカン・スプレンダー」で見せたオタク男どれもこれもみんな楽しい。アメリカ映画が二枚目だけでなく構成されているのがよくわかる。彼の出ている映画に外れがない。「スーパーチューズデイ」にもライバル選挙陣営の男として出演していた。

コメディアン的な色彩を持ち、冴えない男を演じさせると天下一品だ。でも、彼の父親はアイビーリーグの名門イエール大学の学長を務めた名門の出身で、彼自身もイエール大出身だ。インテリの役もできるけど、それだけでないから役が次から次へとまわってくる。いい奴だ。

ここでは弁護士役だ。高齢者専門で決して金もうけのために仕事はやらないとつぶやいているが、懐は厳しい。世の中にはこういう奴が多い。高尚なことを言っていても、それだけではだめだ。友人に仕事を頼んでもまわってくる仕事すらない。それであるボケ老人の後見人を引き受ける。本来は公共に任せる話を強引に自分のプライベートの収入にしてしまう。判事までびっくりだ。
ありうる話かもしれない。

そこで登場するのが老人の孫の少年だ。髪型が70年代前半に活躍した名子役マークレスターを思わせる。しかもレスリングうまいと思ったら、実際にやっていたみたいだ。この少年の起用はあたりだ。途中から見せる主人公の妻との掛け合いがおもしろい。

この2人のおかげで少しは楽しめた。でも終盤にかけての詰めは甘いかな?
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映画「青い塩」  ソンガンホ

2012-10-15 22:27:05 | 映画(韓国映画)
映画「青い塩」はソンガンホ主演の恋愛映画だけどヤクザ映画タッチで色づけされる韓国映画だ。
「イルマーレ」で切ない愛を描いたイ・ヒョンスン監督の久々の作品はスタイリッシュな映像が美しく目に映る。料理教室で出会った中年ヤクザ男と謎めいた若い娘のふれあいをやさしく描く。

ドゥホン(ソン・ガンホ)は裏社会では伝説的な男だ。今は引退し母の故郷プサンでレストランを開こうとしている。料理教室で出会った、無愛想だが料理が上手い美しい少女セビン(シン・セギョン)と心を通わせる。セビンは実は組織の命令でドゥホンを監視するために意図的に彼に近付いていたのだ。セビンは元射撃選手。銃の扱いは超一流だ。多額の借金を背負い、「便利屋」として闇組織で働いている。監視する立場だが、ドゥホンの人間的な一面に触れ、少しずつ距離を縮めていった。ところが、彼女にドゥホン暗殺の指令が下る。一方、ドゥホンがかつて所属していた組織の会長が交通事故に遭い、組の後継者争いの火種がくすぶり始める。。。。

韓国映画界きっての名優ソン・ガンホの動きには味わいがある。暗殺指令を実行できないセビンの正体に気づいてもなおセビンを信じようとするドゥホンの優しさが彼のキャラに合う。ムードはいつもの韓国映画のように暴力で満ちあふれているわけではない。比較的穏やかだ。
引退したヤクザが再び極道の世界へ舞い戻るパターンは高倉健の映画によくあるパターンだ。寡黙な健さんと違ってガンホの動きは滑稽な味がある。歳の離れた娘が自分の命を狙っていることを知りながらも彼女を守ろうとする姿がけなげで違う肌合いだ。

映像が美しい。釜山の海に面したエリアを美しく映す。同時に近代的なソウルのビルディングが奇怪な設計でいい感じだ。料理教室で食べ物を映す色合いの美しさは料理雑誌から抜け出たようだし、冷え冷えとした青い塩田も効果的に映像を盛り上げる。しかも、美少女シン・セギョンが可愛い。その昔の酒井法子を思わせるかわいさだ。ただ最後の持っていき方はちょっと疑問?
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映画「コネクション マフィアたちの法廷」 シドニー・ルメット

2012-10-08 20:07:17 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
映画「コネクション」は巨匠シドニー・ルメット監督による法廷物だ。

2006年に製作されていたが、日本では監督の死後に初めて公開された。監督のこのあとの作品「その土曜日7時58分」が緊迫感のある傑作だった。これもかなりいける。主演男優をはじめなじみの少ない俳優が中心で、当初日本未公開と判断されたと思うが、むちゃくちゃ面白い。映画のレベルはかなり高い。
植木等を思わせる主役ヴィン・ディーゼルの緩急自在の演技には拍手をおくりたい。お見事!

アメリカ政府は全米最大のマフィア・ファミリーを一掃しようと連邦当局の捜査の後、ルッケーゼ・ファミリーのメンバー20人を76もの容疑で裁判にかけた。、1987~88年の21ヶ月に渡って行われたルッケーゼ裁判は、アメリカ史上最長の刑事裁判となった。被告人20人、弁護人20人、控えに8人の陪審員を置くことや5日に及ぶ長い最終答弁など、裁判における歴史的な記録を生み出した。そのアメリカ犯罪史に残るマフィア裁判を映画化した。本作の法廷シーンの大半は、実際の証言を忠実に再現している。監督は「12人の怒れる男」「評決」の2大法廷物の傑作を生んだ名匠で2011年4月に逝去したシドニー・ルメットだ。

ニュージャージーで悪名高いルッケーゼ・ファミリーの一員であった主人公ジャコモ・“ジャッキー・ディー”・ディノーシオ (ヴィン・ディーゼル)を映す。
いきなりジャッキーが保護観察期間中に従弟に撃たれるシーンを映し出す。不死身の主人公は死なない。しかもマフィア仲間への厚情で彼をかばう。検察当局は全米最大のマフィア・ファミリーを一掃しようと摘発した。ルッケーゼ・ファミリーのメンバー20人を裁判にかけた。その時、主人公も麻薬取引の現場を押さえられ30年の刑を受けた。

連邦検察官のショーンから、刑期を短くする見返りに仲間を裏切る証言をするよう司法取引を持ちかけられる。しかし、主人公は仲間への裏切り行為を拒否する。

それぞれの被告が凄腕の弁護人を雇うのに対して、主人公は弁護人を付けないという驚くべき行動に出る。主人公は法廷でやり手の検察官の質問に対して、様々な駆け引きをしていくのであるが。。。。

最初にいきなり主人公が打たれるシーンであるが、どう見てもそれで死んでしまいそうなシーンなのに生き延びる。しかも、警察に訴えるようなことをしない。マフィアファミリーの結束の強さを示しているようだ。

その後法廷に立ってからの主人公の振る舞いにはずっとうなり続けた。弁護人はいらない。できたら弁護人を付けるべきとの周囲に対して悠然とふるまう。どんな証人が出てきても、たたき上げの自分の論理で相手を圧倒する。そして陪審員や一時は反感をもたれた仲間の被告人をも自分の味方にしていく。
この映画を見て、植木等の映画を連想した。主人公は明るく脳天気で後ろ向きの気持ちが一切ない。しかも、仲間は絶対に裏切らない。余分なことは言わない。彼はズブの素人であることを自認したうえ、時には法廷を笑いの渦に巻き込んだり、どぎつく証人を威嚇する。学歴はないが、世間の荒波の中で自分の大学を出て学んだ悪知恵がずっしり詰まっている。裁判官、検察官に対して緩急自在に反射神経よろしくふるまう。

シドニールメットはこの主人公を実にうまく描いたものだ。さすが!それにこたえたヴィン・ディーゼルはうまいとしか言いようにない。相当なワルである。しかも映画の中でもかなり勇み足をしている。そういう部分もうまく演じる。大したものだ。

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ラヴィ・ド・ボエーム  アキ・カウリマスキ

2012-10-07 10:35:11 | 映画(洋画 99年以前)
映画「ラヴィ・ド・ボエーム」を劇場で見た。
フィンランドの巨匠アキ・カウリマスキ監督の1992年の作品だ。フィンランドでなくフランスが舞台でフランス語が主体である。新作「ルアーブルの靴磨き」と同じだ。

2000年以降の作品はレンタルで見られるが、この作品はレンタルではおいていない。渋谷ユーロスペースでときおりやっているアキ・カウリマスキの特集だ。
フィルムは古い。しかも、白い字幕の文字が「裏の映像が白っぽい時」は見づらくなっている。最悪の上映条件だ。デジタル化になっていないのであろう。こういうのが好きな人もいるだろうが、字幕が見れないと大意がつかみづらくなるので嫌だ。どちらかというとヨーロッパ系の映画で同じようなことがある。この間も「キリマンジャロの雪」が最悪の字幕だった。配給時にきっと手を抜いているのか?むかつく!
他のアキ・カウリマスキ見ようと思ったけどやめた。

芸術家の町、パリ。作家のマルセル(アンドレ・ヴィルムス)は家賃不払いのためアパルトマンを追い出され、途方に暮れて入ったレストランでロドルフォ(マッティ・ペロンパー)というアルバニアからやって来た画家に出会い、意気投合する。芸術談議に花が咲いた2人はそのままマルセルのアパルトマンへ戻るが、そこには既に次の住人、音楽家のショナール(カリ・ヴァーナネン)がいた。かくして3人の生活が始まった。やがてマルセルは新聞王ガソット(サミュエル・フラー)をだまして雑誌編集の仕事を手に入れ、ロドルフォにも肖像画を依頼してきた資産家のブランシュロン(ジャン・ピエール・レオー)というパトロンが見つかった。さらにロドルフォは隣室の友人を訪ねてきた女性ミミ(イヴリヌ・ディディ)と知り合い、2人の間に恋が芽生える。
上向きになると思ったところで画家の不法滞在がばれる。強制送還されてしまうのであるが。。。

いつもながら朴訥な登場人物、セリフを極度に少なくしてその無表情さの中のわずかな動きで観客に何かを感じさせる手法は見事だと思う。いつもながらアキ監督は登場人物を徹底的にいじめる。次から次へとトラブルが起きる。その構図の原型を感じる。
傑作と言われているが、最近の作品と比較するとそうかな?と思う。映像条件の悪さがその思いを強くさせる。でもこういう作品をつくり続けてきたから今のアキ・カウリマスキがあると思えばいいのであろう。新作「ルアーブルの靴磨き」の完成度が高いのでなおさらそう感じた。最初に新作を見た後で、この作品を見たら、正反対の方向性にベクトルが向いていたのでなるほどと思った。

最後に「雪の降る街を」の歌が日本語で出てきたのにはびっくりだ。
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麒麟の翼  阿部寛

2012-10-07 09:25:23 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「麒麟の翼」は今年公開された東野圭吾原作のミステリーの映画化だ。
原作は読んでいない。
阿部寛の安定感ある演技がよく、傑作というわけではないが飽きずに見ていられる。

東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。
被害者はカネセキ金属の製造本部長である青柳武明(中井貴一)だった。腹部を刺されたまま歩き続けた後に、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きていた。

同時に一人の青年を映す。八島冬樹(三浦貴大)は恋人に動揺しながら日本橋付近から電話していた。そんなときに警察から職務質問される。うろたえて現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体となった。

報せを聞いた八島の恋人、中原香織(新垣結衣)は、彼が殺人事件の容疑者となっていることを知る。そして、無実を訴える。

この難事件の捜査にあたるのは、日本橋署の刑事、加賀恭一郎(阿部寛)だ。
警視庁捜査一課の若手(溝端淳平)の調べで八島は以前殺された青柳の会社で派遣社員として勤めていたことがわかる。しかも、仕事中にけがをしたが労災として処理していないようだ。それ自体が青柳の責任ということになり、殺された青柳に一気に責任が追いかぶさり、事件は労災絡みの殺人ということになりそうだった。しかし、念入りな聞き込みをする加賀刑事は別の線を読んでいたが。。。

当初の30分強で犯人が絞られていく様相となるが、そんな単純にはいかない。伏線を張りながらも被害者、容疑者それぞれの家族関係から話を広げて結論に持っていく。話自体は面白い。
洋画で観客に与える事実を最小限にして途中から誰かの独白で話をあらわにするパターンがある。その場合には途中まで何が何だかよくわからない時もある。ここでは少しづつ事実をあらわにして、丁寧に話を持っていくのでわかりやすい。
阿部寛はいつもながらうまい。昔ただのモデルだったとは誰にも思わせないうまさがある。
阿部の出ている映画にはずれはない。

中井貴一もいい。主役をつとめることもあるが、どちらかというと脇役が多くなった。正統派二枚目だけに逆にその方がいいのかもしれない。だだ単に殺されるだけでない役をうまくこなしたと思う。
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スーパーチューズデー ジョージ・クルーニー

2012-10-03 19:30:59 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「スーパーチューズデー」はジョージクルーニー自ら監督した今年公開された作品だ。
大統領選挙の裏側に焦点をあてた政治ドラマだ。
豪華な出演者がそろい、演技を競い合う。

アメリカ合衆国大統領の座をめざし、マイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は民主党予備選に出馬した。州知事であるモリスは、ライバル候補のプルマン上院議員と争っていた。
オハイオ州予備選に勝利すれば、その勢いに乗って共和党候補をも打ち破り、大統領となることはほぼ確実と言われる。いよいよ一週間後に迫ったスーパー・チューズデーの決戦に全米の注目が集まっていた。モリスを支えるのは、ベテランのキャンペーン・マネージャー、ポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と、広報官スティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)。

ある日、スティーヴンのもとに、プルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィ(ポール・ジアマッティ)が電話をかけてくる。極秘の面会を求められ、一度は拒んだスティーヴンだが、ダフィの言葉巧みな誘いに負けて会ってしまう。ダフィは、スティーヴンを自陣営に引き抜くことだが、その申し出を即座に拒絶。その夜、スティーヴンは選挙スタッフのインターンである女性モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)とホテルで親密な一夜を過ごす。翌日、スティーヴンはダフィとの密会の件をポールに打ち明け、謝罪するが、何より忠誠心を重んじるポールの怒りは想像以上だった。二人の間には亀裂が生じてしまうが。。。。


映画を見始めてすぐは登場人物の関係がよくつかめない。少しづつ理解できて途中で選挙にからむスキャンダルの話とわかってきた。内部の内輪もめ話だと思ったら、意外な事実がわかってくる。トップシークレット話をゆすりネタにしていく。
ウディアレンの「人生万歳」でその美しい姿が印象的だったエヴァン・レイチェル・ウッドがここでもキーの存在になってくる。彼女きれいだなあ

ライバルの立場にある側から引き抜きされた時、それを上司に報告するのが正しいかどうか?自分なら黙っているかな?と思うけれど、分からない。主人公は報告してしまう。どこかからばれてしまったら、その方が問題と考えるのもわかる。それがきっかけに関係がぎくしゃくして、主人公は転落してしまうのであるが、そう簡単には引き下がれない。この映画はそこからがスタートであった。

でも映画としては普通かな



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