映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「スリープ SLEEP」 イ・ソンギュン

2024-06-30 17:31:11 | 映画(韓国映画)
映画「SLEEP 」を映画館で観てきました。


映画「スリープ」は昨年末亡くなった韓国のイ・ソンギュン主演のスリラー映画だ。最近公開作がでたホン・サンス監督の「ソニはご機嫌ななめ」チョンユミイソンギュンが共演している。自由奔放なチョンユミがよかった。新人監督ユジェソンのこの作品を元の親分ポンジュノが推奨している。

昨年末のイソンギュンの自殺は実に残念だ。訳のわからない女にハマったのか?薬物所持の疑いで最後は悲惨だった。実際に何があったのだろう?これまでの活躍には敬意を表したい。金大中のずる賢い選挙参謀を演じた「キングメーカー」が特に好きだった。この作品が遺作かと思ったら、どうやらまだあるらしい。

舞台俳優ヒョンス(イソンギュン)は、コールセンターのチーム長である妻スジン(チョン・ユミ)と一緒に暮らしている。妻は身もこもっていた。ある夜突如「誰かが入ってきた」と夫が叫ぶ。その時点から急に寝付きが悪くなる。自ら顔を掻きむしって傷だらけ。病院に行くと睡眠障害と言われる。

その後も奇怪な行動が続く。夜中に突如として起き出して、冷蔵庫で生魚を食べたり,窓から飛び降りようとしたり不穏な動きが続く。夢遊病のようだ。せっかく妻は出産したのにヒョンスの様子がおかしいので妻の母親は心配して霊媒師のような巫女を呼ぶ。


残念ながら自分にはあわない映画だった。
イソンギュンとチョンユミの韓国の2大スターが共演するにはスケールが小さい
霊のような何かに取りつかれるパターンは韓国サスペンス系では比較的多い。秀吉の朝鮮出兵で16世紀に仏教禁止となった朝鮮では宗教への信仰というよりシャーマニズム信仰が朝鮮大陸の伝統だ。19世紀末に朝鮮を訪れたイザベラバード女史の名著「朝鮮紀行」でもシャーマニズム信仰が取り上げられる。ファンジョンミンが祈祷師を演じた「コクソン」もそのテイストが強い。ただ、「コクソン」のもつ迫力と怖さがない。

この映画は韓国サスペンス系では珍しく途中のリズムが悪く、眠気を誘う状態になりがちだ。部屋中に貼ってあるお札が異常で、最終に向けてチョンユミも豹変して人智を超えた世界に持ち込むがのれない。


韓流ドラマ好きが以前よりも増えている気がする。自分と同年代周辺のおばさんたちとの話題で韓流の話題が欠かせない。若い韓流スター好きもいるが、どちらかというとストーリーの予測がつきにくいことでの韓流ストーリー好きが多い。いいことだと思う。日本も見習うべきだ。映画「パラサイト」というよりドラマ「マイディアミスター」での活躍もあってかイ・ソンギュンのファンも多い。観客にも熟年女性ファンの姿が目立つ。ただ、怖いということだけでは先日観た「ターゲット」の方が恐怖感を覚えた。

イソンギュン
の次作に期待する。
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映画「ボーン・トゥ・フライ」ワンイーボー

2024-06-28 21:10:07 | 映画(アジア)
映画「ボーントゥフライ」を映画館で観てきました。


映画「ボーントゥフライ」(長空之王)中国空軍のテストパイロットたちの偶像を描いた中国映画だ。ポスターには「トップガン」のような戦闘機が見えるが、これまで中国映画で空軍が前面にクローズアップされる映画は見たことがないことに気づく。アメリカ空軍を題材にした作品と似たような映画が技術力の向上で中国でも作れるようになった。つい先日トニーレオン「無名」でダブル主演を張ったワンイーボーの主演である。あの時のアクションはすごかった。

空軍のパイロットであるレイ・ユー(ワン・イーボー)は、操縦に長けているが訓練中にトラブルを起こしていた。ある時、戦闘機のテストパイロットチーム隊長のチャン・ティン(フー・ジュン)が彼の才能に気付き、チームへと誘う。レイは厳正な選考を経て、ドン・ファン(ユー・シー)を始めとする優秀な飛行士6人と共に、テストパイロットに選ばれる。彼らは、新世代ステルス戦闘機のテスト飛行任務に就くが、高度1万メートル以上の世界で、繰り返される厳しいテストは過酷だった。レイは思うように成果を出せずにいらだつ。(作品情報 引用)


中国空軍のレベル向上を確認できるので隣国の人間としては少しビビってしまう。
映画に映る実際の戦闘機自体は本物だ。全面的に中国空軍の協力を仰いでいるのは間違いない。中国の軍事レベルが上がっているのを内外に見せつける宣伝映画にも見えてしまう。戦前の日本が士気高揚のためにゼロ戦映画をつくったのと似たようなものだろう。観客動員が多いのもわかるような気がする。

ただ、この映画はあくまでステルス戦闘機の能力向上のためのテストパイロットの話だ。高い位置から何周もぐるぐる回ったり、普通のパイロットよりも難易度の高い飛行をする。それをこなせて初めて使える戦闘機になるのだ。「トップガンマーベリック」を思わせるシーンも多い。当然訓練中に犠牲者もでてくる。その飛行をこなすためにテストパイロットは体力の限界を超えるぐらいの訓練をする。クイズタイムショックで失敗したときのトルネードスピンのようなものに繰り返し乗ったりする。現代の日本では絶対につくれない映画だ。


中国の戦闘機は防衛先進国に比べると能力的に遅れていた。映画ではその技術の遅れを素直に認めてエンジン能力を改善しようとする意欲を強調する。同時に、過去100年の中国近代化の遅れを憂うセリフがパイロットからある。ここでの中国人がいつもと違い極めて謙虚なだけに逆に中国に畏怖の気持ちを持つ。そこが北朝鮮の空虚なツッパリと違うところだ。

いきなり、領空を侵害してくる敵国機(アメリカを想定しているだろう)と空中戦をするシーンが出てくる。中国は自分の領域をいいように解釈する国だから、台湾統一問題で危険領域でレベルの高い戦闘能力を発揮されるとあっという間に制空権を奪われそうで怖い。そんなビビる話の中で、医療チームの女性と主人公の軽い恋が語られる。この女の子どこかで観たと思ったら「少年の君」チョウドンユイだった。
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映画「フィリップ」

2024-06-27 18:16:27 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「フィリップ」を映画館で観てきました。


映画「フィリップ」は、第二次大戦中のドイツでフランス人として身を隠す1人のユダヤ人に注目する作品。ポーランドの作家レオポルド・ティルマンドの自伝的小説をもとに監督のミハウ・クフィェチンスキが映画化した。ティルマンド自身が1942年にフランクフルトに滞在していた実体験に基づいている。予告編で何度も見ていると、ナチスの迫害をフィリップがスレスレでかわす場面が多い。

1941年のワルシャワ、ユダヤ系ポーランド人のフィリップ(エリック・クルム・ジュニア)は恋人と劇に出演している最中に、ナチスの銃撃を受けて恋人と家族を失う。悲しむ時間もないままに、その場を脱出する。

2年後フィリップはドイツのフランクフルトのホテルでウェイターとして働いていた。夫が戦場で任務につくドイツ人妻たちを中心に誘惑している。ドイツ人同士の結婚を奨励しているナチスでは外国人がドイツ人に手を出すと厳罰を受けていた。しかし、フィリップはホテルで知り合ったリザ(カロリーネ・ハルティヒ)に惹かれて、一緒にドイツからパリへ脱出しようと考えている。


ナチス統治下のドイツにおける異色のユダヤ人の物語である。
ナチスドイツの卑劣な行為を非難する映画は数多い。内容が予測されて見なくてもいいやと思う作品の中で、違うテイストの作品に見える。要するに、夫が戦場に出ているご婦人たちの性の処理をする男の話である。高尚な主張があるようなストーリーではまったくない。見応えがあるレベルでもない。


1939年からポーランドドイツのみならず、ソ連からも侵攻されてひどい目にあった。戦後日本ではアカ教師が多かったせいか、ナチスドイツの話ばかりになっていても「カティンの森」の話を含めてソ連も負けないくらい酷い。ともかくここではナチス統治下のドイツでの話だ。映画の中にも出てくるが、ある恩人によってドイツに生き延びていったのだ。両国に対するポーランドの恨みは根深い。

フランクフルトの高級ホテルでは,ウェイターは外国人ばかりである。ナチスの将校に向かって、自分の出身地を自己紹介をする場面がある。そこでは,フィリップはフランス人として自己紹介をする。ポーランド生まれとは言えない。

高級ホテルには有閑マダムたちが大勢来ている。フィリップはその女たちに声をかけまくる。そして、意気投合した女性とプールサイドの別室に入り込む。戦時中ドイツ将校の妻が乱れる設定は初めて観る。戦前の日本じゃこういう事はなかっただろうなぁ。

ただ,愛撫をしている最中でも,ポーランド人の悪口が出たら、そこで一気に態度を変える。気まずくなったとしても,ドイツ人女性は外国人との姦通がばれると罰則を受ける。頭は丸坊主だ。そこの辺りを突っ込んでフィリップは毎回逃げ切る。


この手の第二次大戦中を描いた映画は多い。セットなのか戦後残っている建物なのかはわからないが,時代を反映した建物の並びを見ることが多い。室内のインテリアは濃い茶を基調としたオーセンティックな雰囲気である。美術はいつもながらよくできているし、結婚式パーティーのシーンも豪華だ。同性愛禁止のナチスの方針からして,オカマが街で捕まっているシーンもある。逆に,将校が若い男性に手を出すゲイ系の場面もある。将校だったらいいのか。フィリップを知っているポーランド出身の女をドイツ人将校が囲っているシーンもある。


ドイツ人女性がみんな美しい。でも15禁の成人向となっているのに,残念ながら男女の絡みは大した事はなかった。ドイツ人美女たちのエロチックな場面を期待して、映画館に向かうとがっかりさせられることになるであろう。
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映画「ターゲット 出品者は殺人鬼」キシンヘソン

2024-06-26 18:30:33 | 映画(韓国映画)
映画「ターゲット 出品者は殺人鬼」を映画館で観てきました。


映画「ターゲット 出品者は殺人鬼」は韓国得意のクライムサスペンス。中古品売買が盛んにネット上で行われている韓国では詐欺犯罪が多発しているらしい。解説によれば、1日あたり228件の被害届とは多い。中古品売買での犯罪をパクヒゴン監督が題材としている。以前,振り込み詐欺を題材にした2022年の韓国映画声 姿なき犯罪者年間ベスト級の面白さだった。こういう特殊犯罪の手口を題材にした韓国映画はどれもこれもおもしろい。今回もその系統かと映画館に向かう。

スヒョン(キシンヘソン)はネットで中古の洗濯機を購入する。しかし、後日壊れた洗濯機が届き、詐欺にあったことに気づく。警察に行ってもすぐ捜査してくれない。スヒョンは、出品者のアカウントに直接連絡をとり、返金を要求するが相手にされない。感情的になったスヒョンは、相手に怒りに満ちたメッセージを送りつけると、出品者から執拗な嫌がらせを受けるようになる。


予想通り緊迫感あふれるサスペンスだ。
ホラー映画を思わせる恐怖の波状攻撃で次から次へと主人公を恐怖に陥れる。観ているこちらもドッキリだ。映画を見終わると、中年女性が怖かったねえと語り合っていた。娯楽として見る価値は十分だ。

1,ネット上の恨みつらみ
ネット上の売買で中古品の起動しない洗濯機が送られてきたわけだから,購入者がクレームをつけるのは当然のことだろう。しかし,この出品者は気がつくと、IDもなくクレームがつけられない状態になっている。何とか別のサイトから見つけ出して、詐欺だと訴えていく。しかし、それが恨みを買うことになってしまった。

被害者の自宅にこれでもかとピザやチキンなどの出前が押し寄せる頼んでない食べ物を次から次にデリバリーで持ってくるのだ。それだけではない。出会い系でこの部屋で待っていると、男性が夜押し掛けてくる。なるほど,こんな仕返しがあったのか。


その辺から恨みと仕返しの応酬が続く。見るも無惨だ。警察は動かない。こんな話は日本でもあるのだろうか?やはりこの手の犯罪は、いかにも韓国っぽい感じがしてくる。

2,不死身の悪者
韓国映画の悪者はともかく強い。不死身の殺人鬼だ。そう簡単には仕留められない。しかも、ネットを駆使して徹底的な嫌がらせをするだけでない。映画が始まり、中古品売買で物品を取りに行き、出品者が殺されるシーンからしばらくの間悪者の姿が見えない。ともかく顔が見えない。それだけで不気味だ。

姿を現してからも、悪者は強さを発揮する。被害を受ける人たちが1人、2人と出てくるのだ。韓国の路地のような狭い道路でのカーチェイスはなかなかの迫力だ。そんな逃走劇があっても捕まらない。刑事との格闘場面でももうダメかと思っても生き延びる


実は被害者のスヒョンは建築会社の工事リーダーだ。格闘場面で施工中の現場が出てくる。そこで主人公が釘打ち機を武器に使用するのだ。こんなのは初めて見た。格闘場面もアイディアに満ちあふれていてスリリングだった。
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映画「朽ちないサクラ」 杉咲花

2024-06-23 21:41:56 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「朽ちないサクラ」を映画館で観てきました。


映画「朽ちないサクラ」は主演作品が続く杉咲花が警察職員を演じるミステリーである。「狐狼の血」などのミステリー作家柚月裕子の原作の映画化で監督は原廣利だ。主人公の子どもの頃からの親友だった地元紙の記者が殺された謎を警察官でない警察職員の杉咲花が追うストーリーだ。昨年の「市子」での杉咲花の活躍は記憶に新しい。今回も期待する。

愛知県の女子大生が、ストーカー被害の末に神社の長男に殺害された。警察が女子大学生からの被害届の受理を先延ばしにし、慰安旅行に行っていたことが地元紙にスクープされる。県謦広報広聴課の森口泉(杉咲花)は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事 にしたのではないかと疑っていた。ところが、その千佳が1週間後に変死体で発見される。泉は上司(安田顕)に訴えて真相究明に乗り出す。


警察の暗部に迫る原作者柚月裕子の大胆な発想の筋立てである。
傑作とまでは思わないが、杉咲花と安田顕がうまい演技を見せる。最後に向けての展開はこうもっていくのかと感心させられる。

何で当事者でない女性記者が殺されなければならないの?と途中まで思っていた。「警察の不祥事」「警察の公安部署」「オウム真理教を思わせる新興宗教」といったキーワードを基点として、ストーリーを動かす。世間で起きている事件を巧みに組み合わせている印象をもつ。


映画ポスターは桜の花の下に映る杉咲花だが、この映画におけるサクラは「公安」のことを指す。自分は警察内部事情のことはあまり詳しくないが、警察内における公安の立場に踏み込む。公安は起きた事件について捜査するわけでなく、事前に予防するべく秘密裏に怪しい組織などを内偵するのだ。捜査部門から秘密資料の要求があっても公安は提供しない。そんな縄張り争いにも注目する。

「狐狼の血」の時は、まだ原作者の柚月裕子に注目していなかった。「県警対組織暴力」に出てくる菅原文太のようなスレスレ刑事や「トレーニングデイ」デンゼルワシントンが演じた刑事を連想した。ここでも公安の論理をクローズアップさせる筋立てが巧みで、柚月裕子の作品も読んでみたいと思わせる。履歴を見ると、山形県在住で警察とは無関係なようだけど、どこで警察内部事情を仕入れたんだろう。ここでは元公安の部署にいた安田顕が柚月裕子の思いを渋い演技で対応する。いい味を出している。


杉咲花は割とどこにでもいそうな女の子である。「市子」での好演で起用が増えると思ったけど、まだまだ続きそうだ。最後に向けての安田顕とのやりとりは実に緊迫感があった。貫禄すら感じる。
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番外23(東京 カレー)

2024-06-22 07:14:03 | 食べもの
カレーが好きだ。 久々番外編へ
ランチは毎日カレーを色んなところで食べられればいい。
見た目優先で選択

末広町 スパイス系 カリガリ


こんな感じも

周囲にはおいしいカレーたくさんあり

新宿西口 3色で色合いがきれい


渋谷道玄坂上 初恋

スパイスカレーの王道、渋谷では飛び切りうまい。

秋葉原 昭和通り沿い スパイスパレット

2階で目立ちにくいけどおいしい
混ぜるとお惣菜の辛さで少し辛くなる

神保町 スリランカ

豚ステーキが食べても食べても減らない。豚はイスラムだったら無理、スリランカOK
カレーの辛さもピッタリ。食べ応えあり

真打は同じく神保町 takeuchi
ここのハンバーグ膳が抜群にうまい。
ハンバーグ膳だけカレーが少し辛めだが、これが絶妙 ハンバーグの下にカレーのルー



ご飯は大盛  
店では激辛と脅しているけど、そこまででなく辛党に適切な辛さ
カウンターのみ8席なので並ぶ

全部うまい!
デリーのタンドリーチキンうまく写真が撮れていないのでいずれup
いつもは湯島
銀座の平日ランチは割安
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映画「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ」 アレクサンダーペイン&ポールジアマッティ

2024-06-21 22:02:51 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ホールドオーバーズ」を映画館で観てきました。


映画「ホールドオーバーズ」「サイドウェイ」監督アレクサンダー・ペインと主演のポール・ジアマッティが再度コンビを組んだ新作である。黒人女優のダヴァイン・ジョイ・ランドルフがアカデミー賞助演女優賞を受賞している。「サイドウェイ」はカリフォルニアの郊外のワイン畑をまわるロードムービーの傑作でこの映画をきっかけにポール・ジアマッティの作品を観るようになる。3人が一緒になるポスターが目につくが、先入観なしに映画館に向かう。

1970年冬、ボストン近郊にある全寮制のバートン校で古代史の教師ハナム(ポール・ジアマッティ)は融通が効かない教師で、斜視で堅物と生徒からも嫌われていた。クリスマス休暇で生徒と教師のほぼ大半が家族と過ごすなか、ハナムは校長から学校に残るようにいわれる。あとは勉強はできるが家族関係が複雑なアンガス・タリー(ドミニク・セッサ)と息子をベトナムの戦場で亡くした料理責任者メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)が学校に残ることになった。3人で迎えるクリスマスにアンガスからある提案があった。

気の利いたアメリカ人情劇で自分が好きなタイプのアメリカ映画だ。
脚本の巧みなリードで当初感じた嫌悪感から自分のハートを徐々に情感処理していく。「気の利いたウソ」が映画の主題といった印象をもつ。何せポールジアマッティがいい。

雪景色の学校やボストンの街などのバックに映る背景がすてきだ。ボストンは時代を感じさせる街なので、1970年の設定でも何とかなっちゃう。レストラン、屋外スケート場、博物館、古本市、ボーリング場などを通じてアメリカらしさが伝わる、寮生の部屋に貼っているポスターやペナントで時代を感じさせて、「ノックは3回」や「ヴィーナス」などの全米ヒットチャート1位になったポップスのヒット曲で1970年当時の空気が伝わる。


⒈ポールジアマッティ
ポールジアマッティは名門イェール大学出のインテリで、父親はイェール大学の学長もつとめた血統だ。学校の教師役はお手のもの。でも、ダメ男を演じることが多い。「アメリカンスプレンダー」のオタク男や「win win」の仕事のない弁護士などそうだ。「ラブ&マーシー」でのブライアンウィルソンの主治医のような悪役もある。ともかく役柄は幅広い。


アレクサンダーペインがアカデミー賞脚色賞を受賞した「サイドウェイ」では小説家志望の国語教師だった。女に尻込みするパッとしない奴なのにワインのうんちくを語らせると突如能弁になる主人公である。ここでも世界史の序盤戦ギリシャローマ史は専門でくわしい。ある意味似ている。でも、今回は前回と違ってイヤな奴だ。上位大学に進学が決まった生徒にも平気で悪い点をつける。落第寸前の生徒にクリスマス休暇での勉強を前提とした追試を設定する。われわれがよく知っているイヤな教師だ。

結局、クリスマス休暇に最終的に3人残るわけだが、その辺りから様相が変わってくる。3人の距離が縮まる。そしておもしろくなっていく。本当は学校に残っていなければならないのに「社会科見学」とこじつけて3人でボストンに向かう。そこでハナム先生も二度と会うはずのなかったハーバード大学時代の同級生と偶然出会うのだ。そこに居合わせた生徒のアンガスに意外な事実がわかってしまう「気の利いたウソ」がポイントになるようにストーリーの展開が変わっていく。

⒉ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
自分が好きなエディマーフィ主演のNetflix映画「ルディレイムーア」で主人公の妻役の歌手だったのを思い出した。1970年といえば、1968年のキング牧師暗殺はそんなに昔のことでないし、その年にはメキシコオリンピックで黒人選手が表彰台で抗議した。大学の賄いを受けもつ黒人のメアリーの存在も微妙だ。生徒によっては露骨に差別する奴もいる。そんな複雑な立場だ。

ベトナム戦争で息子を亡くしている。若者にとっては暗い時代だ。そんな時代に息子を亡くした母親の立場は、アメリカ人で胸にしみる人も多いだろう。もちろん表情豊かで個性的な演技は評価すべきだと思うが、アカデミー賞でも同情票も集まっただろう。


⒊人情モノ的要素
実はクリスマス休暇に学校にやむなく残った3人それぞれにドラマがあった。最初は寮の中で好き勝手に振る舞う生徒たちがなんかイヤだなと思っていたら徐々に人情モノ的な要素が出て来る。1人残った生徒も再婚した母が新しい夫と旅行にいくので休暇といっても帰れない。そこで実の父親との交情も含めた話になっていく。ひと時代前の日本映画に多い展開だ。

そういうドラマが展開する中で堅物のハナム教師も変わっていく姿がいい。ネタバレできないが、ラストに向けては、うーんという同情心とほろ苦い感触をもつ。でも、映画の後味は悪くない。

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映画「明日を綴る写真館」 平泉成&市毛良枝

2024-06-20 18:12:36 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「明日を綴る写真館」を映画館で観てきました。


映画「明日を綴る写真館」は名バイプレイヤー平泉成が80歳にして初主演の作品だ。あるた梨沙による同名漫画を原作に、秋山純監督がメガホンを持つ。平泉成と過去に共演してきた主演クラスの盟友たちが脇役に回って共演している。佐藤浩市・吉瀬美智子・高橋克典・田中健・美保純・赤井英和・黒木瞳・市毛良枝とよくぞ集結したものだ。主人公が作品展に出展した写真を見て、若手人気写真家が感銘を受け弟子入りする話だ。心温まるストーリーと想像して映画館に向かう。

岡崎で写真館を営む鮫島(平泉成)が写真コンテストに出品した写真を見て、そのコンクールで最優秀賞を受賞したカメラマン・太一(佐野晶哉)が感銘を受ける。多忙なスケジュールの人気写真家なのに、新規の仕事をキャンセルして岡崎の写真館で弟子入りを志願する。鮫島の写真館に訪れる客と対話を重ね、深く関わる鮫島の姿を見て少しづつ写真を撮ることへの考え方を変えていくようになる。

欠点は多い映画だけど、映画を観た後味は良かった。
遠目に城が見える河川敷で写真を撮っている。いったいここはどこなんだろう?と考えていると、しばらくしてセリフで岡崎だとわかる。賞を連続して受賞する写真家が、地方で写真館を営むカメラマンのもとに弟子入りする構図は不自然だけど、それを言っちゃおしまいだ。

若手俳優がイマイチとの印象を持つし、80代と平泉成と70代の市毛良枝の子供がいくらなんでもこんなに若くはないだろうという不自然さもある。ピアノ基調の音楽がバックで流れつづける。フレーズは悪くないけど、ちょっと流れすぎ。ここまで多いと画面にあっていないフレーズもある。でも、それらの欠点を補うのがベテラン俳優の出番だ。

平泉成の独特の声は耳に残る。いったい何度であっただろう。芸名を知らなくても顔を見たことある人は多いだろう。人情味のある刑事役なんかお似合いだ。自分には西川美和監督「蛇イチゴ」の印象が強い。若い時に全盛時代の岡崎友紀とTV番組「なんたって18歳」でコンビを組んでいたと知り驚く。実は昔から見ていたんだ。ここでも渋い演技を見せてくれる。


市毛良枝が良かった。いかにもこれまでの日本人が理想とする専業主婦の雰囲気だ。好き勝手にやるカメラマンの主人公にピッタリ寄り添う。突然弟子入りしてきた若いカメラマンに対して、母親のように接するそのふるまいが素敵だ。余分なことだが、会社で自分の面倒を見てくれた女性に話し方までよく似ていてより好感度が上がった。


田中健が彼自身とわかるように目が慣れるまで時間がかかった。地元のケーキ屋の店主で、その娘である看板娘を平泉成が撮った写真を見て弟子入りしたのだ。店は流行っていない。店をたたもうかとした時にカメラマンの太一がこうやったらInstagramでよく見えると写真のコツを教える。一気に行列店に変貌する。平泉成はいい歳のとり方をしていて、幅広い役柄に起用されるけど、田中健の場合、逆かもしれない。


佐藤浩市は自らの遺影を撮って欲しいと来る役だ。白髪で最近の主演作「春に散る」「愛にイナズマ」と同じような雰囲気をもつ。その妻役の吉瀬美智子はいかにも主婦らしい感じで以前の美魔女的雰囲気がない。美保純はあの世に行く寸前の老婆の役だ。ポルノ時代から知っている自分は本人と気づくのに時間がかかる。赤井英和はラーメン屋の店主だ。自分が行きつけの飲み屋のママが女優で、どうやら赤井はセリフ覚えがよくないそうだ。それにはうってつけの役だ。

黒木瞳は先日「青春18×2」清原果耶の母親役で出会ったばかりだ。でも、それまで久しく会っていなかった。大女優的に自惚れて主役にこだわっていたのかなあ。脇にまわれば、まだまだ出番は多そうだ。自分とほぼ同世代なのにこの美貌はすごい。弟子入りしたカメラマンの母親役で、現在はウェディングプランナーをやっている設定だ。40代というのには無理があるが、50代半ばと言っても不自然ではない。吉永小百合を思えばまだまだやれる。


いいベテラン俳優が集まった。平泉成はまだまだやれそうだ。
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アヌークエーメ死す

2024-06-19 18:30:13 | 偉人、私の履歴書
フランスの女優アヌークエーメが亡くなったと報道されている。
謹んでお悔やみ申し上げます。


92歳で年齢的には大往生である。若くして亡くなって惜しむわけではない。実は16年前に亡くなった父と同じ1932年4月に生まれている。ユダヤ系っぽく鼻筋が高い。美形である。恋多き女で4回結婚している。あの殺人的な美貌を持つ女性はそうは現れない。

アヌークエーメといえば主演女優としての「男と女」だ。訃報も代表作で語られる。小学校低学年で公開されたが、その時はまだまだ子供だった。フランスで1968年グルノーブル冬季オリンピックがあった。フランシスレイ作曲の大会主題歌「白い恋人たち」は当時日本でも繰り返し街でかかっていた。フランシスレイの特集が色んなところで取り上げられて「男と女」のテーマ曲を何度も聴く機会があった覚えがある。ただ、映画「男と女」を初めて観るのは大学生になってからだった。

最初から映画の良さがわかったわけではない。映画館で寝てしまった気がする。アヌークエーメも自分の年齢よりはかなり年長だ。父親と同じなんだから、かなり上に感じていた。その後ビデオで見たあと名画座で見る機会がある。30代になって初めて魅力的な女性と思うようになった。


アヌークエーメが究極の美を見せるのは1958年のジェラールフィリップ共演の「モンパルナスの灯」であろう。画家のモジリアーニの物語で良家の令嬢で妻になる。当時26歳のアヌークエーメが実に美しい。本来もっと共演すべきだったジェラールフィリップが翌年亡くなっているのが残念だ。フェリーニの名作「甘い生活」「8 ½」にも出演しているが、共演の美人女優が強烈に派手で驚くほどの存在感ではない。


女性としての魅力は「男と女」なのであろう。カーレースシーンも多く男性向きの映画と感じる。この映画は何せ男のセリフがキザだ。これでもかと心に響く。歳をとるごとに良さがわかっていく。2019年に日本公開された「男と女 人生最良の日」ジャン=ルイ・トランティニャンとともに登場した。最初の「男と女」では2人にそれぞれの子どもがいた。大きくなった子どもたちとともに登場するのだ。むろん若き日の美貌は衰えたが、ただものでない存在感があった。


50年代から60年代にかけての美しいアヌークエーメを少し回顧してみたくなる。
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映画「ブラックベリー」 

2024-06-16 17:09:14 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ブラックベリー」(日本未公開)をNetflixで見ました。


映画「ブラックベリー」は2023年のカナダ映画、日本未公開である。新しくNetflixのラインナップに入ってきた。知らない映画だなぁと思ったが、スマートフォンの創成期が取り上げられ興味深く感じた。ブラックベリーの携帯電話についての知識はない。監督は自ら出演しているマットジョンソンである。

日本映画でも洋画でも, IT技術者に関わる映画は、自分とは比較的相性が良い。昨年公開の東出昌大主演の「winny」も好きな映画だった。近くのTSUTAYAが閉店以来日本未公開のDVDを見る機会がすっかりなくなった。残念である。未公開作品には意外に掘り出し物ってある。今回も興味半分で観てみると、これがおもしろい!

通話機能だけだった携帯電話にメールとメッセージの機能を加えたコンパクトサイズの携帯端末を開発した男たちの物語である。

1996年、カナダのオンタリオ州ウォータルー「リサーチ・イン・モーション(RIM)」マイク・ラザリディスとダグラス・フレギンは、「SSサザーランド・シュルツ」のジム・バルシリー副社長の元へ「ピンクリンク」という名の携帯電話にメール機能を加えた機器のプレゼンを行う。他のことで気をとらわれていたジムはその場で却下する。ところが、ジムが突如RIMの事務所にやってくる。

まさに掘り出し物の映画だ。実におもしろい!
こういうときこそNetflixに感謝する。

最初の出だしだけ一瞬よくわからないまま進むが、オタクのRIMの2人とハーバード出の上昇志向の強い男が出会う場面からリズムが良くなる。高揚する場面とクレームであたふたする場面を巧みにバランスよく配置する。出演者の名前は誰も知らないし、日本未公開はやむを得ない。主要な役柄のキャラクターはかなり個性的である。オタク集団らしさもよく伝わり、それぞれの個性を浮き彫りにする演出もいい。


⒈ルーズなオタク集団
通信機能にメール機能がついた機器を売り込んだ相手先のジム副社長が、オレに売らせろと自分に50%の株を売って経営者にさせろと乗り込んでくる。会って間もない奴に任せられるかというのは当然だろう。RIMのオタク集団はモデムを有力会社に売り込んでいるが、完成まで代金回収ができないことも判明する。RIMのトップのマイクとダグラスは、会社のヤバい資金繰りを踏まえてジムの受け入れを決意してジムも共同経営者になるのだ。

⒉プレゼンの成功
ジムは経営状態が厳しいのを承知で,個人資産も注ぎ込む。早速営業にかかる。でも試作品がない。これまでのツテで売り込み先はあっても、ツールがない。クライアントはそれではわからない。マイクに試作品を作るように迫る

でも,そんなに簡単には作れない。ジムからの強い要求にマイクとメンバーは慌てて電気部材を買いに行き、ベル・アトランティック(ベライゾン)へのプレゼン当日までに徹夜でメンバーが試作品を作り上げる。それを持ってマイクとジムがニューヨークのクライアントに乗り込むのだ。ところがマイクはうっかりタクシーの中に試作品を置き忘れてしまう。2人は呆然とする。

クライアントが待つプレゼン会場は手ぶらのジムが入るだけだ。相手はジムの口だけの説明では納得しない。そこにようやく,マイクが入ってくる。
プレゼンの相手の専門的質問にも全て納得ずくめに返答し、試作品も起動する。オタク社長の熱いプレゼンの成功である。この後ブラックベリーは一気に売れていく。

いざとなったらオタクの強みが何より必要なのがよくわかる場面だ。


⒊好条件での人材探し
ブラックベリーは軌道に乗る。しかし契約数も劇的に伸び、回線数は限界まで達してきた。そこでメール使用不能の不都合が起きる。回線数オーバーを会社内で対応できる人材がいない。ジムは無理矢理やらせようとする。でも無理だ。

どうしたらいいかと相談して、超有名企業の有能な人材を引き抜くことにジムが着手する。GoogleやMicrosoft、任天堂などへスカウトに行く。そして10,000,000ドルに及ぶ株価オプションを利用する高額の条件を提示する。こんなことって日本じゃないよね。あまりに公平をうたいすぎて沈没する日本社会を思う。

その結果有能な技術者は採用できた。同時にこの採用活動で見つけた営業管理者をCOOでスカウトする。ダグラスの立場が弱くなり職場の緊迫感が強くなり社内の雰囲気は変わっていく。


⒋ iPhoneの登場
ブラックベリーはコンパクトサイズだが、キーボードがあった。そこに登場したのがiPhoneだ。スティーブ・ジョブズがプレゼンする実際の映像が映し出される。全世界をあっと言わせた場面だ。マイクはキーボードの重要性を相変わらず主張するが、世間の流れは変わっていた。しかも、米国証券取引委員会(SEC)から主要メンバーがにらまれるのである。それからは転落の一途だ。

ブラックベリーの栄枯盛衰を描いた映画である。まさにリズミカルで簡潔にRIMと携帯端末の歴史を追っている。見てよかった。
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映画「蛇の道」 柴咲コウ&黒沢清

2024-06-16 08:49:28 | 映画(フランス映画 )
映画「蛇の道」を映画館で観てきました。


映画「蛇の道」黒沢清監督が1998年の同名作品をフランスロケでセルフリメイクした新作だ。予告編で外国映画だと観ていたら、柴咲コウが出てきて驚いた。いつもと違う表情をする柴咲コウが妙によく見えて、公開したら行こうと思っていた。黒沢清監督作品にも好き嫌いがある。「トウキョウソナタ」「クリーピー」は好感もてるけど、前作「スパイの妻」は歴史考証に問題ありと感じてあまり好きになれなかった。今回は予告編での怪しげな雰囲気が気になり映画館に向かう。

いきなり柴咲コウと組んだダミアンボナールがスタンガンで男を気絶させて拉致してトランクに入れて車で運ぶシーンからスタートする。郊外の倉庫に連れ出して、鎖で手足をしばったまま尋問をはじめる。


アルベール(ダミアンボナール)は8歳の愛娘が財団に殺されたことを恨んでいた。医師の小夜子(柴咲コウ)は財団に所属するラヴァル(マチュー・アマルリック)拉致に協力する。ラヴェル拷問の末に財団のゲラン(グレゴワール・コラン)の名前がでて拉致する。その後も怪しげな奴はいないかと聞き、警備主任だったクリスチャンも拉致して同じように監禁して拷問する。やがて、財団が人身売買にかかわっていたこともわかり、真実究明が近づいてくる。


監禁モノはちょっと苦手な題材である。
予想ほど面白いとまではいかなかった。ストーリーには関心が持てない。


良かったのは柴咲コウ。これまでにない魅力を感じさせてくれた。40代になってきれいになったのかもしれない。共演するフランス人の俳優はいずれも背が高くて体型がガッチリだ。相対的に小柄なのに、映画のストーリーが進むうちに大きく見えるようになる。日本人俳優と話す以外はフランス語なので、大量のフランス語のセリフを覚えた。よく頑張ったと感じる。


映画ポスターでは、草原の緑が強調されている。しかし、監禁モノの映画なので倉庫のようなところでの立ち回りが中心で、街のシーン以外はフランスらしさは少ない。予告編では、怪しげな雰囲気に魅力を感じた。でも、ヴィジュアル的に引き寄せられる部分は少ない。西島秀俊がわざわざ出演しているが,セリフの内容も含めて存在感がない。黒沢清に付き合いがあった俳優とは言え,この起用はもったいない感じがした。

2021年の映画の中でもダミアンボナールが出演した「悪なき殺人」はピカイチのミステリーだったので、目が映像に慣れてきたらすぐわかった。あの時は変人の役柄だった。マチュー・アマルリックもフランス映画ではよく出会うおなじみの顔だ。拉致した男たちを監禁していくが、そもそも財団がどんなところかわからないので内容的に理解がしづらい。最後に向けては軽いどんでん返しもあるけど、のれたわけではなかった。


いくつかの解説を読むと、自分の理解を超越するすごい解釈が書いてあるけど、映画を観ている時にそのレベルまでは感じることは自分にはできない。
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映画「オールド・フォックス 11歳の選択」

2024-06-15 06:06:27 | 映画(アジア)
映画「オールド・フォックス 11歳の選択」を映画館で観てきました。


映画「オールド・フォックス 11歳の選択」は台湾の巨匠ホウ・シャオシエン監督のもとで助監督をつとめたシャオ・ヤーチュエン監督の作品である。1989年の台北で父と2人で暮らす11歳の少年が出くわす大人の世界との関わりを描く。台湾映画に共通するおっとりしている感じがして観てみたいと思う。大好きな門脇麦が台湾人役として出ている。

第60回台北金馬映画祭(金馬獎)で監督賞をはじめ4冠に輝いている。この映画祭は歴史があり、過去の受賞作は「ラブソング」「インファナルアフェア」「グリーンデスティニー」など香港台湾の名作が多い。近年では日本でもリメイクした台湾映画「1秒先の彼女」も受賞している。主人公の父親役リウ・グァンティンに見覚えがあったが「1秒先の彼女」に出ていた。


1989年秋、台北郊外の町中華の2階に住む11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、高級中華レストランの接客担当の父タイライ(リウ・グァンティン)と2人暮らしだ。3年後を見据えて家を買って亡くなった母親が望んでいた理髪店を開業しようとコツコツとお金を貯めている。台湾の戒厳令が解けて、株も不動産も高騰しているので、購入は容易ではない。

ある雨の日、雨宿りしているリャオジエに黒塗り高級車に乗る男が乗りなさいと声をかける。男はアパートの家主で付近の不動産を所有するシャ(アキオ・チェン)だった。地元の顔役で周囲から腹⿊いキツネと呼ばれている。シャは昔の自分に似てるリャオジエを気に入る。時おり会うごとにシャは勝ち組になるための哲学を吹き込んでいく。人を思いやるな。負け組になるよと説く。


快適に観れる台湾映画らしいムードをもった映画だ。
下町の人情的モノ的な要素もあり、全般的なムードは明るめだ。それなのにそれを抑えるように雨が降り続ける雨が多い映画だ。いくつかの対人関係が描かれている。ここでは親子関係よりも11歳の少年と家主との関係がいちばんのキーポイントだ。

題名がオールドフォックスで、主人公が住むアパートの家主シャのことを指す。あくまで11歳の主人公目線であってもシャを演じるアキオ・チェンとの関わりが重要だ。リャオ・ジエは学校の帰りに同じ年頃の悪ガキにいじめられる。それにもシャは気づいていて適切なアドバイスをする。効果バッチリだ。

車に乗せてシャが語ると勝ち組と負け組にこだわる。
「強者と組んではいあげれ、弱者と組むと下に落ちていく。」
同情心を断つには、「①氷水を飲む②目を閉じる③知ったこっちゃねえと思う。」負け組にしかなれない人とは、実はリャオジエの父親だ。ネタバレなので言えないが、これを象徴するシーンが出てくる。まさに老獪なオヤジだ。

そんなオヤジも日本統治下の子ども時代に苦労したらしい。日本語のセリフもある。オヤジの息子は彼のもとを離れて行った上に悲劇が生まれる。何もかもうまくいかないということなのだろう。金馬獎ではシャ役のアキオチェン助演男優賞を受賞する。これは当然の受賞だろう。


⒈女性の使い方の巧みさ
父タイライの高校時代の彼女として門脇麦が出演する。久々に会ったタイライはレストランのフロア係にすぎない。逆に彼女は金がありそうだ。食いきれないほどの料理を頼んで残して、タイライにチップをあげる。元の恋人との再会は心のときめきを呼び起こす。でも、どうやら金満家の人妻のようだ。「あの子は貴族」の存在が目に留まったのか?台湾人としての登場だから中国語を話す。


アパートの家賃を一軒一軒集金にくるキレイなお姉さんリン(ユージェニー・リウ)がいる。オールドフォックスのシャの従業員兼情婦だろう。ただ、彼女はこっそりよからぬことを考える。それを聞きつけたのは、父のいる中華レストランで賄いを食べるリャオジエだ。それをシャに話す。子どもだから見たこと聞いたことなんでもしゃべる。おあとは顔面にケガをしたリンが映る。。
この2人の人生模様もある意味見どころかもしれない。


⒉台湾の戒厳令明けバブル
共産党との内戦に敗れて蒋介石率いる国民党は大陸から台湾へと移った。日本占領下の台湾でも地元民はいい思いができなかったが、大陸から移ってきた連中はろくでもない奴らが多く苦労したらしい。

日本から戦後帰国しようとした台湾人が戻るとまずいとなって、新宿に踏みとどまって歌舞伎町で勢力を伸ばしたのを読んだことがある。戒厳令が1987年まで長期にわたって発令されて自由に生活できなかった。そんな後に、自由を取り戻した台湾では経済が復興する。株価は数倍にもなり、不動産価格も高騰する。


主人公が住む一階の町中華の親父が株が上がったと奥さんと大騒ぎするシーンがある。微笑ましいと思ったら、逆方向にバブル崩壊で首を吊ってしまうのは当時の世相を反映しているのであろう。
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映画「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」

2024-06-13 19:30:37 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」を映画館で観てきました。


映画「トンバン 音楽家加藤和彦とその時代」は愛称「トノバン」加藤和彦が歩む音楽人生をフォーククルセイダーズ時代から追っていくドキュメンタリーだ。盟友北山修、高橋幸宏、つのだひろをはじめとした音楽仲間やプロデューサーたちのインタビューや貴重な演奏フィルムを通じて加藤和彦の人生に迫る。言い出しっぺは亡くなった高橋幸宏のようだ。

自分が小学生だった時、ザ・フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」が大ヒットした。小学校の教室でもみんな「オラは死んじまっただあ」と歌っていた。一緒に組むようになるいきさつを北山修が語り、一緒にデュエットした名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」の誕生秘話についても触れる。はしだのりひこはすでに亡くなっている。フォーク全盛時代の吉田拓郎や泉谷しげるのセッションをアレンジャーとして仕切り、まだアマチュアだった松任谷正隆をバックに起用する。

「サディスティック・ミカ・バンド」の演奏は英国でもBBCで放映されて評価される。高中正義や高橋幸宏といったミュージシャンもミカバンドで育っていく。映画に映るBBCの放送での演奏はエキサイティングだ。名プロデューサーだったクリストーマスのインタビューもある。なんとミカと不倫をして、離婚のきっかけを作った話は初めて知る。


ミカと離婚した後に安井かずみと再婚した。加藤和彦はよりハイセンスになり、音楽だけでなくファッションなど多方面にわたって影響力を持つようになる。ファッション界の大御所で安井かずみの親友だったコシノジュンコや料理界の重鎮三国清三シェフもコメントを寄せる。そのころ竹内まりやのデビューにも関わる。そして、集大成としてヨーロッパ3部作を発表するあたりまでを取り上げる。

常に先進的であった加藤和彦の人生がよくわかるドキュメンタリーだ。
最後の「あの素晴らしい愛をもう一度」はすばらしく、歌う老いた北山修の姿を見て思わず落涙してしまった。坂本美雨とウッドベースを弾きながら歌う石川紅奈にも感動した。


小学生の時に見た加藤和彦はのっぽのお兄さんというイメージだった。幼心に一発屋的な印象を持っていたが、「悲しくてたまらない」も名曲でヒットした。その後、ベッツイ&クリス「白い色は恋人の色」北山修と歌った「あの素晴らしい愛をもう一度」のアコースティック調の歌を作曲してすごい人なんだなあと思っていた。そんな頃からはや50年以上経つが、昨日のことのようだ。


70代前半には加藤和彦は音楽界で一目置かれていたと思う。ミカバンドでの活躍を経て、安井かずみと結婚した後はオシャレの雑誌などに2人が取り上げられる頻度が高くなる。その頃、雑誌で加藤和彦の家が取り上げられて◯千枚のレコードコレクションが写っていた記憶がある。すげえなあと思っただけであったが、そのコレクションのおかげで音楽的素養が広がったとこの映画を観て思う。自分はヨーロッパ3部作の存在を知らなかった。タンゴやオペラなどの素材を取り入れる。これは聴いてみたい。


⒈サディスティック・ミカ・バンド
サディスティック・ミカ・バンド時代が自分にとっては関わりが少ない。典型的なロックンロールのリズムの「サイクリングブギ」は当時聴いたが、普通にミカバンドのLPはじっくり聴いた訳ではなかった。ドラムス高橋幸宏、ギター高中正義の2人に加えて、キーボードの今井裕とベースの小原礼を加えたメンバーのエキサイティングなセッションに改めて驚く。正直言ってミカはお飾りのようだけど、バンドの音色は当時の日本最強だろう。

高中正義はこの後ソロデビューから延々と追い続けていくが、それ以前の世界に及ばなかったことを悔やむ。高中正義の加藤和彦を追悼するギターソロは感動する。


⒉フォークのアレンジャーと竹内まりや

吉田拓郎「結婚しようよ」のセッションに松任谷正隆が加わっていたのは、松任谷正隆のエッセイを読んで知っていた。加藤和彦が関わっていたバンドコンテストに松任谷正隆が参加して、加藤和彦が誘ったのだ。とんでもない恩人である。泉谷しげるの代表曲「春夏秋冬」のバックをアレンジしたのが加藤和彦で、映画の中ではレゲエを基調にしたアレンジの曲も流れている。ジャンルの幅の広さがよくわかる。当時は加藤詣と言って、若手ミュージシャンが加藤和彦のところへ挨拶に行くことのがよくあったと泉谷しげるが語る。


竹内まりやがデビューする際に、こういう音楽家と組みたいというリストのトップが加藤和彦だった。それが実現して満面の笑みを浮かべる竹内まりやの写真が印象的だ。ミカバンド時代の「サイクリングブギ」加藤和彦と竹内まりやが並んで歌い、横で高中正義がギターを弾く映像が登場すると思わずワクワクする。20代の竹内まりやがピョンピョン跳ねる。


⒊料理
現役当時は知らなかったが、加藤和彦は料理にもうんちくがある人だったようだ。「料理屋に行った時はいちばん高いものを注文しないとわからない」と。三国シェフは、料理と音楽は似ているとのたまう。いずれも素材の組み合わせが重要だとする。なるほど。加藤和彦の行きつけの京都の料理屋ささきでは太巻が名物だ。これだったら加藤が気にいるだろうというポタージュスープにうなぎを加えた一品が映る。

加藤和彦があらゆることにクリエイティブだったことがよくわかるドキュメンタリーだった。「世間の一歩先でなく、半歩先を目指す」と言っていたそうだ。この映画を観ると、常に現状にとどまらず、ずっと先を常に見据えていたのがよくわかる。
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映画「ドライブアウェイドールズ」 イーサン・コーエン

2024-06-11 05:36:19 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドライブアウェイドールズ」を映画館で観てきました。


映画「ドライブアウェイドールズ」コーエン兄弟の弟イーサン・コーエン監督脚本の新作である。コーエン兄弟の新作なら内容は確認せずに観に行くはずだった。どうやら女性2人のロードムービーだというのはわかる。コロナ禍もあったけど、コーエン兄弟はずいぶんと久しぶりである。この沈黙は何だったのだろう。それにしても、世間の評判はあまり良くはない。eiga comは3点未満だし、日経映画評も2点と最悪だ。逆に女性でもいい評価をする人もいて、評価が割れた時は観ろという個人的な直感で映画館に向かう。


1999年のフィラデルフィアが舞台だ。いきなり殺しの場面が登場して何だと思う。いつも通りのブラックコメディかと思った瞬間にレズビアンっぽい女性の戯れが映る。じっと観ていてもよくわからない。ただ、結局2人の女性ジェイミー(マーガレット・クアリー)とマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)がクルマの配送(ドライブアウェイ)でフロリダ州タラハシまでドライブに出発する。ところが、2人が出発した後で、最初の殺人に絡んだギャングが配車所に現れる。荷物が入っているクルマに女性2人が乗ったのがわかり大慌てで追いかける。

ドライブを始めた2人は行き先をかえながら進む。その途中でクルマがパンク。タイヤを交換しようとした時にトランク内の荷物を見つける。スーツケースの中には人間の生首が入っていて2人は驚く。追うギャングたちは2人の行方を探りながら徐々に近づいていく。


観る人を選ぶ映画だ。
ここでは題材がレズビアンで、大人のおもちゃの男根が頻繁にでてくる。女性どうしの会話でも卑猥な言葉が次々とでてくる。女性どうしが愛し合ったり、オナニーシーンも多い。巨根の大人のおもちゃも出ずっぱりだ。アメリカでどう受けるのか知りたいが、一部を除いて日本女性には受けないだろう。長年にわたって、ブラックコメディの作品をつくってきたのがコーエン兄弟だ。ハラを抱えて笑える作品も多い。過去の暗めのレズビアン映画と違うスタイルでつくったそうだ。

ドライブする2人の1人は性的におおらかで、もう1人のインド系美形は関係を嫌がる。でも、徐々に接近していく。ドライブしていく行き先ごとにレズビアンが集まるバーなどの場所に行く。レズビアンのサッカーチームなんて集団まで出会う。ジェイミーの同性愛の元恋人に1人太めの女性がいて、何と警官だ。演じるビーニー・フェルドスタインは大きな男根に執着してとても警官とは思えない。でもいい味を出しているコメディアンっぽさがある。


コーエン兄弟の新作というだけで観ようとしても、消化不良気味だ。それにしても、ラストに向けては超大物マット・デイモンの登場とはね。ここにも男根がからむ。こういう系のコメディはむずかしいなあ。アメリカ独特の仕組みもあって解説を読まないとあらすじもよくわからない。良かったのはハイセンスなポップスの組み合わせの音楽だ。
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映画「違国日記」 新垣結衣

2024-06-09 05:36:10 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「違国日記」を映画館で観てきました。


映画「違国日記」ヤマシタトモコの漫画の原作を映画化した新垣結衣主演の新作である。監督は瀬田なつきで予告編ではたびたび見ていた。新垣結衣が気になる。身寄りのない少女を女性小説家が引き取るストーリーだとわかった。鑑賞候補の1つであったが,今週の日本経済新聞の映画評で5つ星をつけて優先となる。何か違うのかなと感じて、映画館に向かってしまう。

小説家の高代槙生(新垣結衣)の姉夫婦が交通事故で亡くなる。そして1人娘の朝(早瀬憩)が残された。槙生は葬儀の直会で,周囲が朝の扱いに無責任な発言をしているのに憤慨して,思わず朝を引き取ると言ってしまう。姉妹の仲は良くなかったのにである。姪とは初対面だった。


槙生は35歳の独身、結婚する気はなく人見知りする気質である。整理が苦手で自宅は散らかり放題だ。そこに中学3年生だった朝が同居する。朝は自分の母親を好きになってもらおうと槙生に働きかけるが、朝は聞く耳を持たない。几帳面で汚い部屋をきれいに掃除する。ただ、中学の卒業式に欠席をする気難しい少女だ。その後,高校に進学して軽音楽部に入部する。周囲との関係は良好だ。槙生は自分の母から日記を預かるが高校卒業時に渡してくれと書いてあるので,そのままにしていた。それで一悶着起きる。

期待ほど質が高いとは思えなかった。普通の映画である。
女性向けのコミックの漫画なので,ストーリー展開の起伏よりも、女性的な喜怒哀楽の感情がポイントのような気がする。男性の理解を超越する部分がいくつかある。新垣結衣を見に行く男性を除いては女性向きの映画であろう。

映画を見ていて、なんでこんなふうになるの?こんなことで何で腹を立てるの?そんな場面が実に多い。何で怒って卒業式に出ないのか意味不明?自分が変と思ったことも女性なら共感するのかもしれない。自分にはなじみづらい。5点の評価はどんなに甘くつけても3.5点がやっとの評価の映画と感じる。


2人が生活していく上では,そんなにいろんな出来事が起きるわけはない。そこで,朝が通う学校内での出来事をストーリーに混ぜ合わせる。朝の友人のエピソードも多く、高校生日記的な話題をいくつか乱雑に映画に詰め込む。ロングランの漫画だったので、時間を経るごとに印象的になるであろうエピソードが単発的に感じられる。流れがわるい。まさしくボトルネックだ。話が凡長になるだけに過ぎない。

ただ、新垣結衣も同居する高校生を演じた少女早瀬憩も悪くはない。新垣結衣もいつもと違う。身の回りの整頓もできないだらしない女として描かれる。彼女が書く小説の内容には触れていない。片手落ちだな。新垣結衣を相手に堂々と主演を張った新人早瀬憩の出番は多い。美形ではない。長身の新垣結衣の隣では女の子の普通の上背だ。でもどこでもいそうな普通ぽさに好感が持てるので、今後起用が増えるだろう。演技力は評価できる。


あとこれだけは良かったのは,ピアノ基調の音楽である。主人公2人の振る舞いに合わせてアドリブのように美しいピアノの音色が鳴る。観ている我々の感情をやさしく包み込む映像を見ながら的確に音色を考えたと思われ,これは適切だった。
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