映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ウォーリアー」 トム・ハーディ

2015-08-14 04:10:14 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ウォーリアー」は2011年の作品で日本未公開作品だ。


レンタルショップでdvd散策している時におもしろい映画を見つけた。これはなかなかの掘り出し物だ。

人気作「ダークナイト・ライジング」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」へかけて大活躍しているトムハーディが総合格闘技の映画に出演しているのだ。先日香港映画「激戦 ハートオブファイト」をみてコメントした時に、これまで総合格闘技の映画って見たことがないとしたが、実はすでにこの作品があったのだ。むしろ「激戦」の方がこの映画「ウォーリアー」からの影響を感じさせる。

少し前、視聴率を稼ぎまくっていた「プライド」では「紅白歌合戦」の裏番組に総合格闘技の猛者たちを集めて派手にやっていた。最近ずいぶん鳴りをひそめたのには理由があるのであろうが、何でもありの総合格闘技が真に「ケンカ№1」を決めるものというのは間違いあるまい。プロレスとちがって、ショー的な要素は少ないけど、獲物を狙う猛獣のようなスピード感がある。ここでのトムハーディの動きはきわめてすばやく、圧倒的な強さをほこる。なかなか見ごたえある。


アルコール中毒の父親を逃れ、母親とともに家を出たトミー(トムハーディ)が14年ぶりに実家に戻った。父(ニック・ノルティ)の指導により、学生時代はレスリングの選手として名を馳せていた彼は、総合格闘技の大イベント“スパルタ”に出場するため、父にトレーナー役を依頼する。一方、トミーが家を出て以来、生き別れとなっている兄のブレンダン(ジョエル・エドガートン)もまた、かつて格闘家だったが、今は教師として働いていた。しかし、娘の病気にかかる医療費のため家計は厳しく、銀行から自己破産をすすめられてしまう。愛する家族を守るため彼に残された道は、総合格闘技の試合で金を稼ぐことだった。奇しくも再び格闘技の世界へと足を踏み入れた兄弟が再会したのは、“スパルタ”の会場だった―。(作品情報より)

物語の基本は「欠落」である。
対決する兄弟の兄は物理の教師になったのにもかかわらず、子供が難病にかかって金がかかる。ストリップ劇場で興行されている格闘技戦にでて賞金稼ぎをしなければならない。弟も金を稼ぐために、長年縁を切っていた元の指導者である父親の元を訪れ、多額の賞金がかかっている格闘技大会に出場するのだ。出る理由がある。ともにハングリーな男たちである。

弟は圧倒的な強さで勝ち抜く。
でも兄はすんなりはいかない。いつもやっとの思いで勝ち抜くのだ。

軽いネタばれあります。

1.トムハーディ
今年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で完全にスターと言える地位を築いている。不死身というイメージがついてきた。存在感のある悪役だった「ダークナイト・ライジング」でもバットマンを寄せ付けず、その覆面を取り去るシーンがある。見ていてうなってしまった。その前に「ウォーリアー」に出演しているのだ。推測であるが、「ウォーリアー」での強さというのが、キャスティングの際「ダークナイト」の製作側にも頭にあったに違いない。


トミーの動きは早い。すぐさま相手をとらえると強いパンチを打ち、そのまま自分のペースに持ち込んで速攻で勝つのだ。勝っても試合後のリングの網によじ登るというようなパフォーマンスはいっさいなく、相手もいたわらずにさっそうと控室に向かう。かっこいい。

トミーは元々海兵隊にいた。その同僚が窮地をトミーが救ってくれたことを発表し、海兵隊のメンバーが集団で応援する。しかし、勝ち抜いていくうちに素性が明らかになる。なんと軍の職務から逃げ出したことがばれてしまうのだ。さあどうする。北朝鮮から拉致者の曽我さんが帰ってきたとき、夫のジェンキンスさんの軍からの離脱が問題になり、超法規で解決させたが、本当は厳罰なのである。トミーも同じだ。

2.ジョエル・エドガートン
学校で物理を教える場面が出てくる。作用には必ず反作用があるなんていうニュートンの法則を語っているのだ。何これ??
そうしているうちにリングで戦う場面も出てくる。要は金がないのである。上を目指してジムにいくが最初は歯が立たない。コテンパンにやられるが、最後関節技で逆転する。その繰り返しだ。


このとき相手を倒す技の名称が「キムラロック」なんてセリフが出てくる。そう戦前元日本柔道の頂点だった木村政彦の必殺技だ。1951年グレイシー柔術の主エリオグレイシーをこれでやっつけている。手元にある木村政彦著「柔道の技」(昭和49年版)には日本名で「腕がらみ」となっている。極めて実践的な本だ。ブラジルでグレイシーを倒したフィルムは残っているが、木村がかける強烈な大外刈りの切れ味が凄すぎる。力道山戦は八百長だったので手をぬいていた。それは「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で語られるが、バカなことをしたものだ。


いずれにせよ2人は勝ち抜いていく。
特に兄は見た目に普通これくらいやられたらもう立ち上がれないんじゃないかな?と思う場面もあるけど、これは劇画のようなものだ。
そしてアル中だったオヤジも含めて最終場面に向かう。
ちなみにこのオヤジ役ニック・ノルティ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。


普通ノミネートされる作品で日本未公開というのは少ないけど、やっぱりこの出演者ではお客は呼べないと配給元も思ったんだろうなあ。でもこれはなかなかいける映画だ。

(参考作品)
ダークナイト ライジング
ゴッサムシティを狂乱させるテロリストを演じる強いトムハーディ


激戦 ハート・オブ・ファイト
香港版総合格闘技映画
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アイスランド映画 「アウトロー」

2014-05-29 05:31:30 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「アウトロー」はニコラス・ウィンディング・レフン監督が製作したアイスランド映画だ。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督「ドライヴ」ではライアンゴズリング主演ですばらしいアクション劇を見せてくれた。彼の作品と明示されているdvdジャケットを見て思わず手に取った。よく見ると、監督はオスカー・トール・アクセルソンとなっている。まあいいか。
アイスランドには行ったことはない。映画「LIFE!」で美しい風景を見て関心を持ったばかりであった。

映画はどす黒いムードで進んでいく。B級映画の匂いがプンプンする。完成された感じではない。

アイスランドの首都レイキャビックが舞台だ。学生の主人公ステビ(ソー・クリスチャンソン)が酒に酔って傷害事件を起こし収監されている。いったん釈放され警察署の外に出ると、幼馴染のトティ(ヨハネス・ハウクール・ヨハネソン)とと偶然出くわした。スキンヘッド頭のギャング風のトティはもし事件のことでややこしい話になったら、弁護士を紹介するよといい名刺をくれた。後日事件の処分で5年の懲役刑と罰金が課せられるがわかるとすぐさまトティに連絡する。

弁護士を紹介する前にお願い事をされた。指定場所へ行き、警察すら見つけることのできなかった茶色をした物を探して欲しいというのだ。
何はともあれ、主人公は現場に向かい、現場で壁をこわして物を発見する。
ところが、後ろに誰かの影がする。やくざ風の中年が進入してきた。とっさに身近にあるものを凶器にして中年を半殺しの目にあわす。麻薬業界を牛耳るファラオの片腕だった。
気がつくと、なかなか度胸があるとみなされて、ステビはトティの仲間に入っていた。
麻薬の売人たちと付き合うようになる。そしてクスリとセックスにずぶずぶに溺れていく。


今主人公は困っている。酔った勢いで過剰に暴力をふるい、傷害で訴えられているのだ。このままでは懲役刑を食らう。
ピンチなので、もうどうなってもいい。
最初はうだつの上がらない学生の雰囲気をかもし出す。髪はボサボサで、ひげはぼうぼうと生えている。
そうしたときの救世主がたまたま出くわした同郷の先輩だった。見かけからしてあやしい。でも弁護士を紹介してくれるなら仲良くするしかない。
ただし、捕まっている麻薬の売人の部屋から麻薬を見つけてこいというのだ。そこは誰もが狙いを定めている部屋
行って見つけると、麻薬シンジケートの親玉と出くわしてしまう。いきなりピンチに出くわす。

1.先輩の教え
ピンチになったら、「fuck you」とつぶやいて、最初に目に付いたものに目を合わせろという。
この場面が2度出てくる。肝心な場面だ。


2.不吉な男ブルーノ
途中から出てくる麻薬組織を牛耳ろうとする男だ。
雰囲気がただならない。何より喧嘩が強い。先輩トティも一発やられる。
しかも、ワル知恵が働く。ずっと映画をリードするのはこの男だ。

このあとアッと言わせる場面が出てくる。
男色の匂いを出す。洗面所で自分のものを洗うシーンが痛烈だ。
最近のワルってこういう感じの男多いかもしれない。日本の関○連合にいる奴も同じような顔つきだよね。

3.組織の美女
トティたちの仲間のカワイ子ちゃん。美人というわけではないが愛嬌がある。
仲間になってすぐに主人公は惹かれる。でもすぐはくっつけない。
しばらくしてようやく機会が到来

そこで見せるダイナマイトボディにビックリだ。

4.アイスランド
レイクキャビといえば、ゴルバチョフとレーガンが会談した場所という印象が強い。
アイスランドは意外にも非武装の国である。それだから選ばれたのであろう。
海岸から見える山が平たい屋根の形をして美しい。ここは観光の宝庫だ。

金融危機でバブル崩壊したということを本で読んだ。うさんくさい印象をもっていた。

5.最後の謎
ラストの場面で秘密の箱に1つ「手」が加われる。いったい誰のものなのか?
666と書いてある。
dvdを見直してみる。この数字を手につけた男がでてくる。それも2人だ。
でも両方とも死んだはずだ。
ではいったい誰?ちょっとよくわからない。

(参考作品)

アウトロー
アイスランドマフィアをめぐる黒い影
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映画「レミゼラブル」 ヒュー・ジャックマン&アン・ハサウェイ

2013-07-02 19:25:48 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「レミゼラブル」遅まきながらdvdで見た。

「うーん」もっと早く見ておけばよかった。今さらながら感動です!!
セリフ代わりに歌続きの映画と聞いていたので、個人的に苦手意識があった。原作は前に読了して、内容の大筋はつかんでいる。見始めていきなり、囚人たちがロープを引きづる場面の壮大さにビックリ
どちらかというと本当のプロ歌手ではない俳優たちがすばらしい歌声をきかせてくれ徐々に感動は強まる。劇場で見るチャンスあれば、もう一度行ってきます。

おなじみのストーリーだが振り返ってみる。
1815年となり、フランス革命の後、ナポレオンがその勢力を欧州全域に広げた時期も終りとなっていた。ウィーン会議で復古主義がとなえられる頃、民衆は貧困にあえいでいた。
主人公ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、パンを盗んだ罪で19年間投獄されていた。途中で脱走の罪もあり長期間にわたったのだ。まずは囚人たちの苦役のシーンを映す。そこには監視するジャベール(ラッセルクロウ)もいた。
仮釈放されたが、前歴もあり仕事にもつけない。空腹をいやすために教会にお願いに行く。そこで司教がやさしくもてなしてくれた。それなのにバルジャンは金になりそうな銀のお皿を盗んで抜け出すのだ。バルジャンは捕まってしまう。警察がバルジャンを引き連れて銀の皿を持って司教の所へ向かう。
しかし、司教は「これは差し上げた物だ」とかばってくれた。
罪を赦してくれた司教の慈悲に触れバルジャンは生まれ変わる。

1823年時がたち、バルジャンはマドレーヌと名前を変え、工場主として成功を収め、市長の地位に上り詰めていた。

市長の元を警官のジャベールが表敬訪問した。ジャベールは市長の声に聞き覚えがあった。まさか行方不明となったあの囚人とは違うだろうと思うが、疑惑の念を持った。
一方、ジャベールの工場でファンテーヌ(アン・ハサウェイ)が働いていた。彼女には幼い娘がいて、貧困にあえいでいた。工場の上司が彼女にちょっかいを出すが、彼女は拒絶する。そして工場を追い出されるのだ。人に預けている娘への仕送りをするために懸命に働いていたが、お金を次々に要求され、彼女は身売りするしかない状態になっていた。

別の町で「バルジャン」が逮捕されたという情報が主人公の元に入る。ジャベールからだ。しかし、罪のない人がつかまることに心を痛めたバルジャンは、法廷で自分の正体を明かしてしまう。
そして再び警官のジャベールに執拗に追われることになったのだ。


そのころ、バルジャンは生活に困り路頭に迷うファンテーヌと知り合う。ファンテーヌは疲れきり身体も病んでいた。主人公は彼女から幼い娘コゼットの未来を託される。
バルジャンはコゼットを養っている宿屋の亭主テナルディエ(サシャ・バロン・コーエン)とその妻マダム・テナルディエ(ヘレナ・ボナム=カーター)のもとへ行き手切れ金を支払い引き取る。

ジャベールの追跡をかわしてパリへ逃亡する。コゼットに愛情をそそぎ父親として美しい娘に育てあげる。

1832年に時代は変わる。王政復古を迎え、ルイ18世が即位する後、シャルル10世の時代を経て、ルイフィリップという英雄を迎える。ルイフィリップはアメリカ独立戦争でも活躍したラファイエットを将軍とした7月革命を1830年に起こしたあと帝位につく。それでもパリは落ち着いていない。
民衆の生活は窮乏しているからだ。そんな時パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発、バルジャンやコゼットもその騒動にからまっていくが。。。

バルジャンが皿を盗む話から、工場経営者兼市長になるあたりの展開が意外に早い。
バルジャンの経営する工場が出てくるまで20分かかっていない。しかも、心の葛藤を映し出すことなく
すぐさま裁判所で告白する。ファンテーヌの悲劇の話が終わるまで40分強だ。この長丁場では短い。
この作品で一番のテーマはバルジャンとそれを追うジャベールの絡みだが、預かった娘であるコゼットの恋にウェイトが予想以上におかれる。

有名な歌が続く。どれもこれも心に響くいい曲だ。
主演のヒュージャックマンは好演で、歌声もすばらしい。難役を見事にこなした印象だ。
アンハサウェイは汚れ役をしてオスカー助演女優賞をもらえてよかったと思うけど、彼女にはもっとゴージャスな役をやってもらいたいというのが自分の本心だ。
敵役のラッセルクロウの歌は「素人のど自慢」みたいで吹き出しそうになったが、情感こもっていてよかった。意外な面を見ると引き寄せられる。



この映画で一番よく見えたのはエポニーヌ(サマンサ・バークス)だ。彼女が歌う「オン・マイ・オウン」を聴いたときが一番背筋がぞくっとした。

テナルディエ夫妻というハチャメチャなといっていい両親を持つエポニーヌが年頃になった。彼女はマリウスを好きになっている。マリウスは60年代の大学生が学生運動に走ったがごとく人民運動に身を投じている。よくあるパターンだ。そういう左翼系の男にほれる女は多い。昔の女優によくいるなあ。
ところが、彼はよりによってコゼットに一目ぼれをしてしまった。
大好きな男が昔からの幼馴染に魅かれるときの複雑な心境、何かかわいそう。そこで心情を歌に披露する。このバラードが抜群にいい。

昔は自分の家に預けられていた子だった。それがなぜか立場が逆転する。つらいなあ。

他にもつらい気分にさせられるシーンは数多くあるが、このかなわない恋が一番切ない。
しかも、最後には二人の恋に手を貸す。なんて素敵な女性なんだろう。そう思わせていた。


最後に向けて感動に酔いしれるような「民衆の歌」すばらしい
最高だ!
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映画「恋のロンドン狂騒曲」 ウディ・アレン

2013-05-27 05:11:10 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「恋のロンドン狂騒曲」は、ウディ・アレン監督が「ミッドナイト・イン・パリ」を発表する前年にロンドンで撮り上げた群像コメディだ。少し遅れてから日本公開、劇場には行かなかった。
40年間連れ添った老夫婦とその娘夫婦という2組の男女が、それぞれに結婚生活の破綻を迎えた中で新しい恋に振り回される姿をコミカルに描く。アンソニー・ホプキンス、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、ジェマ・ジョーンズ、アントニオ・バンデラス、フリーダ・ピントと超一流キャストだ。

ある夜突然、死の恐怖に襲われたアルフィ(アンソニー・ホプキンス)は、それ以来若返りの特訓に励み、挙げ句の果てには妻を捨て、金髪のコールガールを恋人にする始末。
一方長年連れ添った夫に去られ、茫然自失のヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)は、占い師のインチキ予言だけが心の拠り所に。
そんな折、アルフィ&ヘレナの娘サリー(ナオミ・ワッツ)と、一発屋作家ロイ(ジョシュ・ブローリン)との夫婦関係にも危機が勃発。サリーは勤務先のギャラリー・オーナーのグレッグ(アントニオ・バンデラス)に胸ときめかせ、ロイは自宅の窓越しに見かけた赤い服の美女・ディア(フリーダ・ピント)の虜になっていく。
(作品情報より)


ウディ・アレン監督作品には一つのパターンがある。自分または自分の分身になる男が好き勝手にしゃべりまくるというパターンで、そこに飛びきりの美女をはべらせる。その会話は別の人間が演じていても、いつもウディアレン流の言葉遣いなのである。

今回は珍しくそういう男がいない。
アンソニー・ホプキンスにしろジョシュ・ブローリンにしろウディ独特のトークが出ていない。2人には若干ワルを演じさせる。
一発屋作家ロイはもともと医者だった。作家になった医者って日本にも多い。加賀乙彦や安部公房みたいな難解な言葉を駆使するようなタイプもいれば、渡辺淳一のような軟派もいる。最初いい作品を出したが、一発屋に終わっている。編集者に持ち込んでも却下される。ちょっと高尚になりすぎという編集者の言葉だ。悶々とした日々が続いている時に、ポーカー仲間で物書きの男が事故に巻き込まれる。死んでしまったという情報だ。実は彼が書いた作品を事故の前に見せてもらっていた。事故で死亡という情報で、こっそり彼の自宅に忍び込んで書いた作品を盗んで発表してしまうのだ。。。。

ウディ作品「マッチポイント」では主人公に殺人を犯させている。でも結果として主人公を助ける。その昔であれば、映倫もうるさかったせいか、絶対にどこかで捕まる。ところが、ウディはその方向に持っていかない。意外性のある決着に持ち込む。その展開があるので、ここでもどう決着をつけるのかが楽しみに思えてくるのがミソだ。

一発屋作家の前にヒッチコックの「裏窓」ばりに自宅窓際に遠目に見つめる美女が現れる。インド系の美女だ。ナオミワッツのような美女がいるのに別の女なんてありえないと思うのが普通だが、妻が望んでいる懐妊を夫が受け入れないという事実で夫婦間が今一つよくなっていない。そのはまり方も面白い。

アンソニー・ホプキンスも古妻がいるのに「自称女優」でどうみても娼婦の女をはべらせる。

しかし、女は金がかかるものだ。こればかりは万国共通の真理。いつの間にか没落の一途をたどる。
この映画ではどちらかというとだらしない男に焦点が合っている。ジョシュ・ブローリンも「LAギャングストーリー」で見せる硬派の警官とは真逆で見ていて面白い。

ストーリーは少しづつ登場人物に変化球を投げさせ終盤に向かう。ウディらしい展開だ。
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映画「崖っぷちの男」

2013-02-05 21:39:07 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「崖っぷちの男」は2012年上映の作品
映画館の予告編で何度も見ていた。そのたびごとに高層階から見下ろす映像にドキドキしたものだ。
ロードショーはいきそびれたが気になっていた。

ニューヨークのホテルの高層階から自殺を図ろうとする男がいる。予告編ではいったい何なんだと思っていたけど、彼は元ニューヨーク市警の警察官なのだ。強盗の罪で投獄されるも脱走してビルから投身自殺を図ろうとする話だ。しかし、話はそれだけではない。冤罪で捕まった彼が懸命に復讐する姿を映すのだ。


主人公ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)がニューヨークマンハッタンのルーズベルト・ホテルに部屋を取る場面を映す。ルームサービスを呼び、軽い食事をしたあと、メモ帳に何かを書きつける。おもむろに窓の外へ出ると狭い建物の縁に立つ。まさに崖っぷちだ。道路上の歩行者がざわめきだす。

そこから画面を移す。刑務所内で囚人服に身を包む主人公を映す。弁護士と対面する彼は懲役25年は免れないだろうと言われている。そのあと黒人刑事のアッカーマン(アンソニー・マッキー)が面会に来る。元の相棒のようだ。アッカーマンはニックの父の余命が短いこと、葬儀には参列できるように取り計らうことを約束する。間もなく亡くなった父の葬儀に警官の付き添いつきでニックは参列する。そこで弟ジョーイと殴り合いのケンカを始める。止めに入った警官から拳銃を奪ってニックは脱走するのだ。警察は懸命に追いかけるが、主人公は逃げ切る。そしてある場所に向かい、クレジットカードを抜き出してホテルに向かうのだ。

ニックが立つ崖っぷちの下は大騒ぎだ。自殺騒ぎの担当をする刑事が説得するが自分の正体を明かさない。しかも、窓の外に出る前に指紋を消していた。ニックは警察側の交渉人に女性刑事女性警官マーサー(エリザベス・バンクス)を指名する。

飛び降りると見せかけ、巧みに野次馬の関心を集め時間を稼ぐ。
ニックがホテルの下の道路を見下ろすとそこにはジョーイとその恋人アンジー(ジェネシス・ロドリゲス)いる。しかも彼らとニックは無線で会話をしているではないか。ジョーイ&アンジーによるビル侵入劇が繰り広げられる。。。。


映画をみる前に「何でこの男ビルの崖っぷちに立っているの?」「この後飛び降りるのかな?」という疑問をもって見はじめた。いくらなんでも主人公が崖っぷちに立っているだけの映画ではないとは思っていたけど、どんな話かは想像もつかなかった。最初の疑問は早いうちにわかる。実は入念に作戦を考えた上でスタートする冤罪をはめられたことに対する復讐の話なのだ。ちょっとしたアルバイトをしたばかりに刑事だった主人公がはめられて宝石泥棒にされてしまっていた。冤罪を晴らすために弟とその恋人が罠にはめた宝石商のビルに侵入する。


その二重構造のストーリーが少しづつヒートアップしてくる。なんせ富豪の宝石商を演じるのはエドハリス、悪役をやらせたら天下一品である。ドキドキ感は高まってくる。
2つ目の疑問「飛び降りるかどうか?」はラストまでじらしていく。そして最後急転換
でも最後の結末は出来すぎの印象だ。

この映画には2人の美人が出てくる。一人は交渉に当たる女性刑事だ。

主人公が彼女を指名した時、今まで何か関わりがあるのでそうしたと思ったら、初対面の様子だ。これは意外?だってこの主人公が宝石泥棒扱いで捕まったとなると普通は顔を見ればあの刑事!とわかるような気がするんだけどなあ?これはちょっとおかしい気がする。でもそんなことどうでもいい。彼女はなかなかの美人だ。

もう一人はビルに侵入した弟の相棒、エキゾティックなラテン系美人。スペイン語?をベラベラしゃべる美人だ。途中下着姿を我々に見せてくれたのは大サービスだ。

映画の出来はまあまあかな
でもこの撮影どうやって撮ったんだろう。よくわからないけど、臨場感はあるなあ。
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映画「リンカーン弁護士」

2013-01-29 04:30:17 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「リンカーン弁護士」をdvdで見た。

予想以上にこれはなかなか面白い。
直近にdvdで見た映画では一番良かったかもしれない。

2012年公開の法廷モノである。主人公は異色な弁護士で基本はワルと言ってもいい。偉人のリンカーンとは一切関係ない。リンカーン・コンチネンタルが事務所代わりというわけだ。依頼者もワルが多い。司法取引で依頼人の罪を軽くするのが得意だ。金持ちの青年が女性に重傷を負わせた事件の依頼を受ける。冤罪の疑いもあったが、弁護を進めているうちに用意周到な罠にはめられている話だ。

主人公ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は黒塗りのリンカーン・コンチネンタルの座席を事務所代わりに、敏腕弁護士として活躍している。少々強引な手も使いつつ軽い刑でおさまるよう司法取引を成立させ、麻薬売人や娼婦といったアウトサイダーたちを助けている。
ある日、保証金立替業者ヴァル(ジョン・レグイザモ)から、資産家の青年ルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)が女性への暴力事件を起こしたことを知る。金になると目論んだミックは拘留中のルイスと面会し、保釈手続きを取る。元妻で検事のマギー(マリサ・トメイ)は女性の被害がひどいと保釈に反対するが無事保釈となる。保釈後、案件調査を依頼する情報屋のフランク(ウィリアム・H・メイシー)とともにルイスと再び会い、事件について詳しく聞く。
ルイスによれば、当日夜、バーで知り合った26歳の女性レジーナに誘われるまま彼女の自宅を訪ねた。着いた途端に背後から頭部を殴られ失神し、近所に住むゲイのカップルに取り押さえられた。賠償金目当てとした計画に自分がはまったと主張する。

しかしフランクが入手した捜査資料によると、被害者は自宅を訪れてきたルイスに突如暴行され、首にナイフを当てられながらも瓶で彼を殴り命からがら逃げたと証言している。ミックはいつものように司法取引でまとめようと提案する。ルイスは無罪を主張し法廷に持ち込もうとする。
バーの監視カメラの映像から被害者がルイスを誘惑する姿が確認された。彼女が売春婦であることもわかる。この重要証拠を手に担当検事ミントン(ジョシュ・ルーカス)に起訴を取り下げるようもちかける。それでも現場にルイスの所有する血まみれのナイフが発見されており彼による仕業だと検事は確信していた。その時、顔の右半分に怪我を負ったレジーナの写真を見た主人公は、4年前の事件と被害が似ていることに気づく。それは、女性がレイプされ惨殺されるというもので、容疑者マルティネス(マイケル・ペーニャ)の弁護を担当したミックが無罪を主張する彼に無理やり罪を認めさせ、司法取引を行い終身刑となった。今回の件でマルティネスに面会しに行ったミックが意外な事実に気がつくのであるが。。。。

軽快なモータウン系のソウルミュージックのテーマが流れスタートする。運転手以外は黒人はあまり出てこない映画なのに、「黒いジャガー」や「スーパーフライ」のような70年代の黒人映画のようだ。粋な感じだ。

法廷物の傑作は多数あれど、この映画は今まで違うストーリー展開だ。
かなりヒネリを効かせている。
元々敗戦濃厚の法廷勝負を逆転するというパターンが正統派の法廷映画である。これはまったく違う。
この弁護士の人間像はジョントラボルタ演じる「シビルアクション」の弁護士が似ているかな?金の亡者で儲け話に目がなく、法廷で戦う前に和解で勝負を決するというのが得意だ。でもジョントラボルタは稼ぎが少ないのでやめようと思った事件をもしかして大儲けできるかもしれないと引き受ける。この主人公ではただ単に依頼主が金持ちということだけで、軽い気持ちで受けたのである。こんなもつれた話が裏にあるとは気がつかない。依頼主が冤罪だと主張する話を最初は信じるが、思わぬほかの事件とつながることに気づき唖然とする。
法廷物の傑作中の傑作「情婦」にもつながるかもしれない。自分がやったことを否定する被告というのが共通点。「情婦」は最後の最後に予想もしないような出来過ぎともいえる結末になる。ここでは途中で犯人を示してしまう。でも周知されてもその犯人が逮捕されるわけでない。。
謎が解けても、どうオチを作るのかがポイントになる。
話の展開は今までの法廷映画と違う面白さがある。

主役のワル弁護士はうまい。それ以上にいつもながらの絶妙の女っぷりを見せるマリサトメイがいい。若き日の「いとこのビニー」と違った一面を見せてくれた「その土曜日午前7時58分」の情婦役「レスラー」のストリッパー役では抜群の美乳を見せてくれた。今回はその面では期待はずれだが、年齢からしてもう限界なのであろう。社会の底辺でもがく役でなく今回検事役だ。でも彼女しか出来ないんだろうなあという役を見事にこなす。たいしたものだ。

あとは情報屋を演じるウィリアムメイシーがいつもながら特徴のある役柄だ。今回は元警官だという情報屋。ジョングッドマンあたりもそうだけどアメリカってこういう性格俳優多いんだよなあ。
実によくできた映画だ!
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映画「ヘンリー・アンド・ザファミリー」

2013-01-24 21:30:09 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ヘンリー・アンド・ザファミリー」はDVDスルーになった2012年の作品だ。
ジュリアロバーツのプロデュースという情報と天才少年とそれを取り巻く、実父、実母そして異母姉との関わりの物語というのでなんか面白そうだ。
トニ・コレット「リトルミスサンシャイン」キャメロンディアスの姉役を演じた「インハーシューズ」の演技が印象的、マイケルシーンも何度も映像で出くわしている。「フロスト×ニクソン」がいいかな
ただ、この2人の主演ではさすがにDVDスルーになってしまうのは仕方ない。

映像はまず母(トニ・コレット)の子供の頃を映す。
彼女は保安官の娘、4人の兄が大きくなったときに生まれた子だ。末っ子で自由奔放に育った。
彼女が子供を生むシーンになる。女の子が生まれると聞いていたのに、生まれてきたのは男の子だった。
ヘンリーと名づけられた赤ちゃんは9ヶ月にして突如言葉を発する。驚く母親と祖父だ。
祖父は自慢の孫のことをまわりに言いふらす。たちまち新聞にも取り上げられる怪童になる。
幼稚園でも、キリスト教系小学校でも周りの生徒とはレベルが違いすぎる。「神はいない」といいきり抜群の成績なのに神学系の学校を首になる。
そして大学へいきたいという息子の希望を聞き、飛び級で大学を受験する。制限時間をはるかに下回る時間で完答する。そんなヘンリーには一つの疑問があった。自分の父親が誰か?というのだ。祖父がその秘密をぽつりと言う。ヘンリーは試験管ベイビーだったのだ。


一方大学教授のオハラ(マイケルシーン)を映す。彼は同性愛に関する本を書く。そのことで娘が学校で「レズビアン」とみんなからいじめを受けていた。それは困ったということでオハラは自分の書いた本をつぎから次へと焼却処分にするのだ。それをたまたま見ていたのがヘンリーだ。
ヘンリーはその本をあっという間に読んでいた。一度見たらその内容を忘れないというヘンリーは教授に読んだよという。本当かなと教授は内容をヘンリーに質問するとすらすら答えるし、「何ページの何行に書いてある」ことまで答える。
驚く教授だ。
教授には以前睾丸がんといわれたことがあった。その際に自分の精子を精子バンクに登録していたのだ。いろいろ調べてみると自分の息子がこの天才児とわかるのであるが。。。

天才少年の話って割と面白い。
「グッドウィルハンティング」もそうだけど、ある意味「レインマン」もそんな様なものだ。
見ていて不思議な気分になる。今回もそれらしき匂いを持つがそれだけの映画ではない。
試験管ベイビーというのは、父親が誰かわからないことも多い。いったいどういう親なのか?
気になってしまうものだ。その結果異母兄弟というのもどこかにいるのかもしれない。
そんな人たちと出会ったらどうなるのか?個々で語られる話だ。

トニ・コレットを見ると、いつもユマサーマンに見えてしまう。そう思うのは自分だけかもしれないがよく似ている。カーティスハンソン監督の「インハーシューズ」では変人の祖母シャーリーマクレーンとぐうたらな妹であるキャメロンディアスとの対比がむちゃくちゃ楽しかった。
「リトルミスサンシャイン」は楽しいロードムービーで、彼女が演じた母親も映画ではいい味出していた。
ちょっとおっちょこちょいのアメリカ女性をやらせると実にうまい。ここでもそうだ。
この映画で、息子が超飛び級で大学に進学する際、学長とそのあとの奨学金を交渉する場面が出てくる。
この2人の掛け合いが実に楽しい。

この少年は基本的に見たものを写真のように記憶してしまう。
以前「なぜかれらは天才的能力を示すのか」という本を読んだことがある。その中に書いてあるサヴァン症候群の子たちと同じようなものだ。少年が本をあっという間に一字一句覚えてしまうシーンがある。そこまでの天才児にはなかなか会わないなあ。映画でいえば「レインマン」のダスティンホフマンを連想する。

娘がなかなか勉強しないので、最近世界史を付き合うようになった。どうやったら用語を頭に刻み込んで覚えられるのか?自分でも実験しながらやっている。でも何度も繰り返しても、なかなか覚えづらい用語がでてくる。写真のように一回見て頭に焼き付けるなんて、そうなりたいと思うけど無理なんだろうなあ。。。。

町のゲームセンターへ行って、ヘンリー少年が姉と一緒にシューティングゲームをするシーンがある。
少年は撃ちまくってものすごい点数をたたき出す。
そうすると、彼が「このプログラムはある漸化式に基づいて出現するパターンだ。」という。
すごい能力を見せ付けておいて商品でもらった縫いぐるみをバスで同乗した人にあげてしまうのはいかにも子供らしくていい。

この父親は天才ではない。付箋に気になることを書きつめていき、それを部屋の中に貼っていく。
ちょっとした思いつきはすぐ忘れてしまうから、忘れないように書き留める。それを積み重ねて1冊の本を書こうとする。そこら辺のビジネス本にありそうな感じだが、昔でいえば、ショーペンハウエルの本にある話だ。
この父親の心の動きも映画の重要なテーマになっていた。どちらかというと親しみが持てる男だ。

アンバランスな感じがおもしろい小品でした。
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映画「トータルリコール」 コリンファレル

2013-01-23 18:53:34 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「トータルリコール」はコリンファレル主演でシュワルツネッカーの映画をリメイクしたSFアクション映画だ。激しいアクションシーンが見モノだ。

21世紀末の時代設定だ。
大きな化学戦争を経て世界では住める場所が少なくなっていた。人々はわずかな土地を、裕福なブリテン連邦と貧しいコロニーという2つの地域に分けて暮らしている。両地域は地球のコアを貫く巨大なエレベーターで繋がれ、毎日これに乗ってコロニーの労働者はブリテン連邦に通勤する。
コロニーで暮らす工場労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も日常の日々にふと嫌気がさし、リコール社を訪れる。退屈な日常に飽き、刺激を欲した人々は、人工記憶センターであるリコール社の人工記憶を買って不満を解消していた。彼は諜報部員になろうと記憶を植えつけようとしたとき、突然、ブリテン連邦のロボット警官隊が襲撃してくる。クエイドは自分でも知らなかった戦闘能力を発揮して逃げ切るが、帰宅すると今度は彼の妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)が襲ってくる。ローリーはクエイドに、記憶を消されて新しい記憶を植え付けられただけで、この世にダグラス・クエイドという人物は存在しない、と告げる。

ローリーを振り切ったクエイドは、行く先で数々の謎のメッセージを受け取り、メリーナ(ジェシカ・ビール)と出会う。メリーナは夢に出てきた女性だったが。。。

自分の理解力が弱いのか、ストーリーの内容がよくわからないまま終盤までいってしまった。夢と現実を交錯するのでわけがわからなくなるのである。内容はともかくアクションシーンは激しいものだし、近未来を映す映像も見応えがある。ここで映すコロニーの映像は近未来映画「ブレードランナー」を意識した感じに見えた。猥雑なアジアンテイストで「漢字」の看板が目立つし、東洋人がたくさん出てくる。

ここで凄いと思ったのは妻役を演じたケイト・ベッキンセールだ。

美人だが最後の最後まで男勝りの武闘アクションシーンを見せる。武侠映画を見ているみたいだ。目つきはオリンピックで活躍した柔道の松本薫を連想させる。最初妻が突如夫に襲ってきたのにはビックリしたが、そのあともずっとアクションが続いた。調べたら監督の奥様みたいだ。ジェシカ・ビールとの女性同士の格闘シーンにはわくわくさせられた。

アクション的には凄いけど、内容がよくわかりづらかったかな?
少し幻惑させられたのかもしれない。
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映画「最高の人生の選び方」

2013-01-04 22:44:24 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画は「最高の人生の選び方」DVDスルーの人間ドラマだ。
昔から大好きなジェフブリッジスが出演するので見た。いつもながらの飲んだくれキャラで、元メジャーリーガーを演じる。息子のプロ野球選手が病弱の母のために、別れた父を母の元へ連れて帰ろうとする旅路を描いたロードムービーだ。

マイナーリーグのプロ野球選手のカールトン(ジャスティン・ティンバーレイク)は、スランプから脱せず監督から次の試合次第では降格だと告げられる。そこへ母親キャサリンの心臓が悪化し、すぐにでも手術が必要だと連絡が入った。病院へいくと、母キャサリンが手術前に別れた元夫のカイル(ジェフブリッジス)にもう一度会いたいと告げる。カールトンはガールフレンドのルーシーを伴って何年も会っていない父親カイルのいるオハイオへ向かう。
カイルは元・大リーガーの人気スター選手だった。家族との付き合いが苦手だった。サイン会の行列に並んで、父親に事情を話す。しばらくぶりに会う2人の間にはわだかまりがあった。それでも父はヒューストンに行くという。カイルを飛行機に搭乗させようとすると、財布を忘れセキュリティ検査を通れない。ともかく行かねばならないと、仕方なく3人は車でメンフィスへ向かう事にするモーテルに泊まりながらの珍道中が始まる。車を走らせてしばらくして、ガールフレンドがいう。「実は今プロポーズされているの」彼女は昔の彼女だったが今は違う。唖然とするカールトン。しかも1日でも早くヒューストンに帰りたいというが。。。

ごく普通のロードムービーである。いくつか波をつくるが途中に大きな起伏はない。わがままな父親にスポットを当てるがさほど楽しい話でもない。ジェフ以外の出演者は小物だ。しかも上映時間も短い。これではDVDスルーもやむをえないだろう。元妻が自分が手術する前に別れた男に会いたいと思う設定自体が奇妙な感じがする。こんなことあるのって?でもそれよりも離れていた父子が一緒に車の旅をするのが主題だろう。親子関係を取り上げる映画に出会うことが多い。父と娘とか息子の離れかけた関係だ。

ジェフブリッジスは相変わらず絶妙のうまさだ。本当に酔っているんじゃないだろうかと思わせる何かがある。息子に対して「俺なら可愛い娘を待たせて、オヤジと飲んだりしないな」など大人のセリフが冴える。でも他が何もないのがさびしい。ジェフは元メジャーリーガーたる貫禄があるけど、息子の体格は細すぎて野球できる?といった印象だ。
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映画「汚れた心」 伊原剛史

2013-01-03 16:23:30 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「汚れた心」は二次大戦終戦時のブラジル移民を描いた昨年の作品、日本語中心のブラジル映画だ。

正直この映画の存在を知らないまま、洋画のケースでこの作品をみつけた。伊原剛史、常盤貴子、奥田詠二のメジャーな俳優が出演している。どうして洋画なんだろうと思いながらケースから手に取った。見てみると自分が知らなかった歴史の事実が隠されていて、怖くなった。
日本が負けたにもかかわらず、当時国交のないブラジル日本人移民の間では、敗戦というのがでっち上げということになっていた。どっちを信じるかで、日本人同士の争いが起き、多くの日本人が亡くなっていた事実があったのだ。凄い話である。樺太など旧日本領の一部で戦闘が続いていたなどの話は聞いたことがあるが、遠く海を越えたブラジルでこんなむごい話があったということに驚いた。

第2次世界大戦終戦時サンパウロにある日本人街が舞台だ。
そこで写真館を営む高橋(伊原剛史)が主人公だ。妻(常盤貴子)は地元の子供たちに日本語を教えていた。ある時ブラジル人の公安が来て、日本の国旗を破り、日本人を侮辱する事件が起きた。そこで元大日本帝国陸軍大佐という渡辺(奥田詠二)は、同志を募り公安に抗議に向かう。ブラジルに住む日系移民たちは日本に対する正確な情報が得られず、戦争は日本の勝利で終わったと信じきっていた。

しかし、一部の日本人は短波放送で日本が降伏したことを知った。その事実を受け入れる者たちが現れると、それを認めない元帝国陸軍の渡辺らが負けを認めた男たちの粛清を始める。写真館の店主高橋は渡辺により日本刀で刺客に仕立てられた。日本人の仲間同士を消す血生臭い粛清に巻き込まれるのだが。。。

ざっとこういう話だ。
現代のような情報社会でなければ、こんな話があってもおかしくない。日本では戦時中ラジオが普及していたが、ブラジルはまだまだ遅れていたのであろう。日本だって村の名主が言うことに全部従わなければ、村八分になってしまっていたのだ。同じようなことだ。最後はブラジルに渡った小野田少尉も救出されるまでずっとジャングルの中で戦っていた。終戦の知らせは敵の謀略だと信じ切っていた。
戦前の「お国のために」の発想はある意味オウム真理教のような宗教と一緒である。最近は戦後の日教組教育を批判する人も多いが、戦前の教育の方が危険であろう。戦前共産主義者が取り締まられていたが、実際のところハイエクがいう全体主義イコール共産主義的な国家だったというしかない。現代の北朝鮮と同じである。極端から極端になりすぎるのはどこの世界も同じだが、どっちもどっちだ。

もし北朝鮮の国家が滅亡したら、同じような人が出てくるかもしれない。北朝鮮に昔からいる人は、戦前は日本の天皇崇拝、戦後は金日成の崇拝と個人崇拝に慣れている。これが民主主義になったら、内部で抗争が起きるかもしれない。

この話は日本ではタブーなのであろうか?だからブラジルで制作されたのであろうか?右翼が怖くて作れないのであろうか?「ラストサムライ」で明治天皇が臆病な人物に表現されたり、映画「太陽」での昭和天皇の描写などいずれも外国での製作である。メインとなる登場人物は日本人だ。それも一流の俳優だ。

映画「愛と誠」で50近くにして高校生を演じていた伊原剛史はあのおバカキャラから一転精悍な役を演じている。本来はこういう役の方が合うのであろう。意に反して同志を殺さなくてはならない運命のつらい役だ。悪役である元軍人を演じた奥田詠二も左右両方できる器用な役者である。陸軍の大佐が何でブラジルにいるのかが、いささか疑問?だが、こういうキャラの人物が当時ブラジルにいたからこそ日本人同士の抗争が起きたという事実があったのは間違いないだろう。そういった意味では架空の人物であっても実在に近いものを感じた。常盤貴子もこういうシリアスな役がうまくなってきた。40になり良い女優になった。


一見の価値はある気がする。ただこの話のむごさには閉口した。平和な時代に生まれてよかった。
飽きずに最後まで一気に見れた。
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映画「ルビースパークス」 ポール・ダノ&ゾーイ・カザン

2012-12-26 21:48:32 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ルビースパークス」を劇場で見た。
実におもしろかった!脚本、美術、音楽そして出演者すべていい。
好きなタイプの映画だ!

「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン&バレリー・ファリスが同作以来6年ぶりに手がけた監督作ということに目をひかれた。この映画大好きだ。スランプ中の若手作家と現実世界に出現した小説のヒロインが繰り広げる恋を描いたラブストーリーという触れ込みに関心をもった。最近DVDは外れっぱなし、正直あまり見に行きたい映画がない中、ミニシアターでファンタジー的青春映画の楽しさに引き込まれた。


主人公カルヴィン(ポール・ダノ)は作家である。高校中退で書いた作品は人気を集め、天才作家と言われた。まずはその彼が愛犬とともに一人暮らしをしている姿を映す。マスコミの取材を今でも受けることはあれど、タイプ打ちは進まない。新作が書けない。相談している心療内科科医に自分の好きな女性をイメージをして小説を書いてみろと言われる。夢に一人のかわいい女の子が現れる。


ルビー(ゾーイ・カザン)という。小説には関心がない。アートが好きだという。ハッと気が付くと目が覚める。やはり夢だったのだ。その子のことをタイプに打ち始めた。何度か彼女の夢を見た後、ある時兄(クリス・メッシーナ)夫婦が主人公の家に遊びに来た。義姉が引き出しをあけると、女性のブラジャーがある。何これと問い詰められた主人公は犬が隣から持ってきたんだろうという。でもそれにしても至る所に女性用小物がある。おかしいなあ?と思っていたら、家の中で女性の声がする。部屋の中に夢に出てくる女の子がいるではないか?「うそだろ!」と机の下に隠れながら電話しまくる。主人公が外に出ようとすると、夢だと思っていた彼女が一緒に遊びに行こうと誘われる。


2人で一緒に外に出た後、主人公は街のカフェでこっそり昔の同級の女の子と会う。同級生はしつこく主人公に迫っていた。そんな時夢の中にいるはずの彼女が脇から話しかけてきた。昔の同級生に向かって、「カルヴィンの恋人です。」と話しかける。それを見て主人公は驚く。同級生に聞く。「彼女見えるの?」当然とばかりに憤慨して帰っていく。ルビーは嫉妬する。その場を去ろうとするが、カルヴィンが追いかけ2人は抱擁する。


驚く主人公。兄が訪ねてくる。弟の話はどうせの夢の話だろという兄は実在する彼女に驚く。料理を作り始めたら、フランス語を話しはじめた。主人公は小説の中で「SHE SPEAKS FRENCH」と書いたからだ。彼女は主人公が書いた通りのプロフィルになって行くのだったが。。。

エンディングロールになって脚本がkazanという名を見た。覚えておこうと思ったら、俳優のところで2番目に出てくる。「え!」「男女どっち?」なんて思って、解説を読んだらなんとエリアカザンの孫だという。しかもあのかわいい女の子!?これは驚いた。おじいさんはジェームスディーンの「エデンの東」であまりにも有名だし、マーロンブランドの「波止場」など50年代から60年代にかけて大活躍していた監督だ。

最近遺伝の本を読んで、人の能力はかなりの比率で遺伝によることを知った。この間有馬記念で優勝した馬のことを「血統が抜群」と新聞で評していたが、馬にあって人間にないことはない。世襲を否定する人は、遺伝の否定にもつながる。これ自体は潜在能力の否定だ。人間は誰もが比較優位の才能をもっているはずで、カザン家にとっての比較優位である映画の才能を生かした彼女は凄い。



そのキュートなカザンのお相手のポール・ダノが抜群にいい。インテリ風に見えるけど、ちょっとナイーブな男の子。セルロイドのメガネをかけて演じる姿はその昔のジョンレノンの匂いもある。その彼から発せられるオーラが自分の感覚に合う。どうも実生活でも付き合っているらしい。2人の呼吸は確かにあっている。あえてポールと対照的に兄役でマッチョ系のクリス・メッシーナ、母親の恋人役でラテン系濃い目のアントニオ・バンテラスをもってくる所が憎い。配役のうまさだ。

この後主人公の母親が恋人と住む住まいに2人で遊びにいくシーンもある。母親はアネットベニング、自分の好きな女優だ。その恋人がアントニオ・バンテラスというメンバーだが、この家のインテリアがトロピカルテイストでいい。住まい自体にプールがあってリゾート感覚抜群、まわりのグリーンがうまくマッチしている。主人公の自宅は空間が広く使われている現代モダン建築のテイストで別荘とは対照的だがプールがある。ずいぶんといい家だ。衣装もそうだが、小物のセンスもいい。この映画裏方の実力がずば抜けている。それを包む音楽もいい。


いいことばかり言ったが、途中緩慢になりそうな部分もいくつかある。でもすぐに素早くいい方向に向かう。自分が書いた小説通りの彼女が出現するという設定が新鮮だし、笑える場面をいくつか作る。手塚治虫の漫画「火の鳥」に持ち主が自由に性格も設定できるロボットがいたが、それよりも凄い「発明」である。書いたらすぐその通りになる。突然フランス語を流暢に女の子が話しだすシーンは笑えるし、つれないのでもっとくっついてと言ったらべったりする。この脚本1年近く練られたというが、じっくりアイディアが積み重ねられた痕跡がある。それだけによくできていると言える。

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007 スカイフォール ダニエル・クレイグ

2012-12-12 20:20:15 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「007スカイフォール」を劇場で見てきました。
ジェームスボンドがダニエルクレイグになって三作目だ。今年はロンドンオリンピックの開会式でエリザベス女王をエスコートしたのが印象的だった。前作が割と短かったのと対照的に2時間半近くの作品となっている。いきなりのアクションに度肝を抜かれた。ボンド作品では珍しい登場人物の深層心理に迫る比較的違った展開だ。

各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われる。トルコイスタンブールで同僚のエージェントが負傷して、ジェームスボンド(ダニエル・クレイグ)は犯人を市内で懸命に追いつめる。そしてボンドは列車の上で逃げる犯人と格闘する。そこをMI6の長官M(ジュディ・デンチ)の命令で黒人女性から放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底の川へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され上官(レイフ・ファインズ)から辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。死んだと思われたジェームスボンドは生きていた。ひっそりと海辺の街でアルコール漬けの生活をしていた。テレビでこのニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰する。そして犯人の手がかりを求めて上海へと渡るが。。。


いきなりのアクションが凄い。末梢神経を刺激される。
同僚が撃たれているのを見て、犯人を追いかけていく。見ている方がひやひやする人ごみの中のカーアクションのあとにバイクに乗って色づいた瓦葺屋根の上を走り回る。ドーム形の建物がイスラム系寺院に見える。しかも、歴史あるバザールを映し出すのでイスタンブールではないか。そう思っている時もアクションが続く。列車の上を格闘する。格闘している2人がトンネルに差し掛かるを見るとひんやりする。そうしている間にMからの指令が届く。あれよという間にボンドが狙撃され鉄橋の下におちていく。連続性があるこの活劇的アクションにビックリする。でもこれがこの映画のアクションのピークであった。

前回は短くまとめるために、次から次へと舞台が変わり、内容がわかりづらかった。今回のテンポは自分向きだ。サムメンデス監督というと「アメリカンビューティ」「ロードトゥパーディション」いずれも好きな作品だ。特にジュードロウの悪役ぶりが冴える「ロードトゥパーディション」はよく人に薦める。最近は精彩を欠く印象だったが、Mや悪役の心理的な動きに注目させるあたりが他と若干違う。

上海やマカオの映像も見ていて楽しいが、度肝を抜かれるような部分はない。

マカオの海上カジノのイメージがちょっと違う。どちらかというと、コンチネンタルスタイルのカジノほど品よくない。タキシード姿は見たことないなあ。大声を出す中国人が目立つ大衆的な感じである。しかし、ここで見せるアジアンテイストのインテリアがなかなか素敵だ。格子が美しい。上海での狙撃場面にモジリアー二の絵画が出てくるのが御愛嬌だ。ライティング設計がエキゾティックだ。マカオのボンドガールもなかなかエロティックだ。


この映画で冴えるのは悪役バビエル・バルデムだ。

彼はなかなか出てこない。「ジョーズ」でサメが約1時間半近く姿の全容を見せないと同様である。そして廃墟の一角で姿を現す。コーエン兄弟のオスカー作品「ノーカントリー」で演じた非情な殺人鬼のイメージもあるが、どちらかというと「バットマン」のジョーカーのような変態的な要素をもつ。登場する時に派手にあらわれるところが似ている。「恋するバルセロナ」で演じた色男もうまいけれど、西洋版「生きる」というべき「ビューティフル」で演じた末期がんの男を含めワルが似合う俳優である。

今回はMが重要な役割を果たす。データ漏えいも含め、MⅠ6の存在意義が問われるという設定である。ジュディ・デンチがピンチである。ましてやレイフ・ファインズ演じる上官が加わる。辞職まで迫られるし、サイバーテロを起こしたのは昔の部下だ。存在感がある。ボンド対テロリストというよりも、M対テロリストの構図とも考えられる。ジュディデンチもいい年だ。死んだ僕の母と同じ年だ。こんな映画に呼ばれることも少なくなるだろう。いつもながらのブリティッシュイングリッシュがなかなかいい。そう言えばボンドがMのことをBITCHと言っていた。戸田奈津子さんはこれを「クソババア」と訳していたのには笑えた。

この映画で一番驚いたのは長崎の軍艦島がロケに使われていたことだ。

この9月に行ったばかりなのでなおのこと驚いた。でも廃墟の島に上がった時に出てくる映像は軍艦島でないと思う。エンディングロールは普通途中帰ってしまうんだけど、確認するために最後まで見ていた。漢字で「軍艦島」と出てきたので、間違いないことを確認して帰った。

早くもボンド誕生50周年だという。初期の「007はニ度死ぬ」「サンダーボール作戦」とかで父親と一緒に映画館に行ったのがつい昨日のことのように感じられる。月日の流れるのは早い。ボンドカーのアストンマーチンが出てくると無性にしびれる。
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幸せへのキセキ マットデイモン

2012-11-19 05:10:01 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「幸せのキセキ」はキャメロン・クロウ監督によるマットデイモン主演の作品だ。

英題は「we bought a zoo」
動物園付きの建物を買ってしまった元ジャーナリストの奮闘記だ。

ジャーナリストのベンジャミン(マットデイモン)は人がやらない突撃取材を得意とする名ジャーナリストだ。最近妻を亡くして、14歳の息子と7歳の娘と暮らしていた。仕事上で会社とイザコザがあったことや妻の思い出が住んでいる街に染みついていることで、気分転換をしようと家さがしをする。ところがなかなかいい物件がない。そんな時7万平米を超える大きな土地付き住宅を見ることにした。

現地と住居を見てすぐに気にいる主人公だ。しかし、仲介の不動産屋がここには動物園が付属しているという。亡くなった動物園の持ち主の遺産で動物たちを管理しているらしい。それじゃ止めようとしたら、娘が動物になついているのを見て、移転を決意する。思いを胸に動物園の再オープンを目指す決意をする。

そこでは飼育係のケリー(スカーレットヨハンソン)をはじめとした大勢のスタッフがいた。

素人の彼の前には動物の維持費でかかるたくさんの請求書の山である。それに加えて所轄官庁の厳しい検査がある。本来7月からの繁忙期の前に検査に来るはずなのが、新しいオーナーの存在を知り、検査官が来る。早速検査官は動物園の中を巡回する。いくつかの指摘事項が出てきたが、それを直そうとすると15万ドルかかるという。そんな金は持ち合わせていないどころか、懐はかなりさみしくなっている。一体どうしたら良いのか。。。

映画のテンポは悪くない。短いカットを多用して、主人公およびその家族の状況を簡潔に紹介する。大体の筋がわかりやすく頭に入ってくる。動物園のシーンになっても同様だ。出演者は動物になじんでいる。適度な起伏もあるが、胸にしみる何かはない。暇つぶしにはいいけれど程度かな?マットデイモンもスカーレットヨハンソンも割と普通だ。

ここでもエルファニングが登場、年齢を経るにつれ頻繁に顔を出す。大ブレイク寸前だ。「スーパーエイト」「somewhere」に続きここでもいい感じだ。大女優の道を歩んでいる印象だ。
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ラムダイアリー ジョニーデップ

2012-11-14 08:06:08 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ラムダイアリー」はジョニーデップ主演のカリブの島プエルトリコを舞台にした作品だ。
男性がウキウキするような映画だと思う。楽しい!

アメリカ人著名ジャーナリストであったハンター・S・トンプソンが自らの青春時代を描いた原作がベースだ。ジョニーデップはすでに98年に『ラスベガスをやっつけろ』で主人公のトンプソン自身を演じた。その縁で友人関係にあったデップが企画・製作し主人公のジャーナリストを演じている。

カリブ海の強い日差しを浴びた海岸ロケが主体で、映像がイケる。笑いを誘うユーモアがピリッと利いている。ストーリー自体に魅力があるわけではないが、見ていて快適だった。自分には相性のいい映画だ。素顔のデップが趣味で作った映画という感じもする。そのためか評判が今一の印象だったが、殺人的美貌を見せる共演女優アンバーハードとの呼吸もよく、デップが好き勝手やっているのが伝わりこちらも映画を楽しんでやろうとする気がする。女性ファンの多いデップだが、この映画は男性向けだ。

舞台は1960年だ。ジャーナリストである主人公ケンプ(ジョニーデップ)は喧噪のニューヨークを離れ、カリブ海に浮かぶアメリカ直轄の島プエルトリコにやってきた。いきなり二日酔いで目が充血しているデップを映し出す。地元の新聞社に就職しようと社主(リチャードジェンキンス)との試験に臨む。その新聞社自体経営も不安定で、中にいる面々も酒を飲みながらぐうたら仕事をしている次第だ。勤め始めた後もラム酒を片手に毎日ぐうたらな遊びを続けていた。あるパーティに潜り込んでいったときに、海辺でものすごい美女(アンバーハード)と出会う。

主人公は現地でアメリカ人実業家サンダーソン(アーロン・エッカート)と知り合う。彼にはプエルトリコを総合レジャーランドとして不動産開発しようとする野望があった。自分の都合がいいように記事を書いてもらおうと主人公に好意的に近づく。当時プエルトリコは無税でビジネスができるメリットがあり、実業家にはたまらないエリアであった。サンダーソンには恋人がいた。紹介されて驚いた。何と海辺で出会った美女であった。

その後実業家サンダーソンが近づく軍OBその他と関係を会合をもっていた。一方で相変わらず仲間の記者とプエルトリコを徘徊していた。ある時、地元の不良連中にからまれ、止めに入った警察に火を浴びせてしまった。危うく長期の留置になるところを助けてくれたのがサンダーソンだった。その後タッグを組んでいくように見せるが、自由奔放な恋人が妙に主人公になれなれしくする中で気持ちが彷徨うようになるが。。。

カリブ海を舞台にする映画ってどの映画もハイな気分にさせてくれる。「カリブの熱い夜」その他一連のキューバ危機前を描いた映画はどれもカリブ海ミュージックの独特のリズムと強い日差しの映像でウキウキさせる。この映画も同じだ。当時のアメ車を走らせたりするが、基本的に現状の街の姿をロケすれば済む。プエルトリコでは時の流れが止まっているからであろう。

ジョニーデップは二枚目と三枚目の中間点に立つ。オンボロ車で街中を走る場面や、100マイル以上のスピードでシボレーを走らせているうちに危うく海に落ちそうになる場面や、地元のチンピラにからまれる場面などは笑える。コメディ的な色彩を織り交ぜるところが粋だ。その彼が共演の美人女優と楽しむためにつくったんじゃないかと思わせる部分がずいぶんとある。

アンバーハードはそれにしても美しい。1960年前半を彷彿させるメイクや服装も見せるが、グレースケリーの優雅さにマリリンの自由奔放さを組み合わせたようなブロンド美女の姿には見ているこちらも目を奪われる。実際に目の前で演技しているデップは完全にいかれてしまっただろう。真っ赤なシボレーでデップとドライブをする場面、ダンスフロアーで踊りまくる場面、デップとの出会いの場面いずれもわくわくさせられる。

そんな映像を楽しむ映画だと思う。
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映画「アルゴ」 ベン・アフレック

2012-10-31 19:41:03 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「アルゴ」を劇場で見た。
ベンアフレックが自らメガホンをとり実話の回想をリアルに描く。スリリングだ。
ベンアフレックもイーストウッドのようになるのかな?と予感させる快作だ。

イランがホメイニ師の配下となった後、アメリカ大使館が襲撃を受ける。その時、間一髪逃げ出して、カナダの大使館員宅に潜んでいた6人をCIAが救出する実話に基づく。何しろその作戦が「ニセ映画」を企てて、イラン人の厳重な警備を欺くというわけだから興味深い。
ベンアフレック以外はそんなに有名な俳優は出ていないが、これは面白い。

まずは歴史的背景が語られる。
ペルシャ帝国だったエリアをイランと呼ぶようになった。パーレビ国王が実権を握ると、石油の利権を自分が牛耳り好き勝手にしていた。それに対してのシーア派の反発が強く、ホメイニ師による勢力がイランの政権を握る。1979年パーレビ前国王はアメリカに亡命した。
アメリカに対して、イラン国民は前国王を引き渡すように強く要求していた。デモの軍団がアメリカ大使館の前で暴れるうちに、大使館内に乱入する。アメリカ大使館員は警察を呼ぶがくる気配はない。自衛の軍隊による抵抗は催涙弾のみだ。そしてデモ隊は建物の中へ乱入する。その中で6人の大使館員が秘密の出入り口から脱出する。脱出先はカナダ大使館員宅だ。密かにかくまってもらう。
アメリカ国内では人質問題で大騒ぎになった。当時のカーター大統領はなかなか問題の打開策を打ち出せない。大統領選を控えてイライラしていた。そんな時、CIAで密かにイラン大使館員脱出作戦が練られていた。外国語学校の教師のふりして救出とかいろんな作戦が検討された。

しかし、人質救出のプロである主人公(ベン・アフレック)はテレビで映画「猿の惑星」が上映されているのを見て、映画のクルーのふりをしてイランに入国して、潜んでいる大使館員を救出する作戦を思いつく。上司に提案するが、周りから反対を受ける。それでも行動派の主人公はロスに飛び、旧知のハリウッドの映画スタッフと組み、架空の映画「アルゴ」の製作にあたろうとする。「アルゴ」はSF映画の脚本だ。イランの砂漠でロケをする設定だ。マスコミにも記事にしてもらうために、記者会見まで開いてまわりを欺く。

主人公は周到に準備し、隣国トルコのイスタンブールに入る。映画の製作者だと偽り、そこでビザを取る。そしてテヘランに入国した。そこではいきなり映画等を所轄する文化系の官庁へ向かい、映画製作の主旨を説明する。アリバイ作りだ。理解を得てから、カナダ大使館員宅に入って6人のアメリカ大使館員に会う。ところが、彼らは脱出のために来た主人公のことを信用しないのであるが。。。。


前作「タウン」とは違い、激しい銃撃戦やカーチェイスがあるわけではない。末梢神経に響く様なシーンもそんなにはない。実話に基づく分普通のスパイ映画のような激しいシーンはないが、ドキドキさせられる。脱出作戦に対しても、政府やCIAの中でも意見が交錯しているわけだから最後の最後まで着手できるかわからない状態だ。それぞれの葛藤の描写はしっかりしている。

印象に残ったのは、イラン人が大使館に乱入しようとしたときに、懸命に大使館員たちが証拠隠滅で様々な書類をシュレッターにかけていた姿だ。今の機械のように紙が粉々にはならないから、あとで乱入した連中が懸命にシュレッターした内容を調べようとしている姿が映る。いずれにせよ、機密情報のシュレッター処理の重要性がよくわかる。

いわゆる第2次石油ショック騒ぎのころだ。当時日本ではイランの政変で三井物産の石油プロジェクトが大変なことになったと大騒ぎだった。大学生だった自分のまわりでもこの話題でもちきりだった。しかもすぐ後にソ連のアフガニスタン侵攻があった。今と違いソ連に対する恐怖意識が強かった。結局モスクワオリンピックには不参加となる。それでも当時の論調は最初のショックよりは和らいでいたと思う。しかも、自動車やテレビがアメリカで売れすぎていると批判されるような状態だ。景気がいいとは言えないが、経済は今ほど深刻な状態でもなかった。
学生運動は影を潜めて、夜のディスコは大フィーバーだ。自分も含めて何とかなるさと脳天気だったのかもしれない。そういえば、主演のベンアフレックは当時人気のドゥービーブラザースのマイケル・マクドナルドに似ている気がする。「ホワット・ア・フール・ビリーブス」はよくディスコで流れたなあ。

イランはどうやって撮ったのかなあ?と見ていた。8000年続いたバザールの様子とか、イラン人がかなり大量に出演していたけど、街の中の撮影とかどうやったのかは気になる。セットも多いと思うが、トルコでロケしたのかもしれない。今もイランとアメリカは仲が悪い。ずっと引きずっている感じだ。最後にかけて映し出される空港の警備役のイラン人がなかなかリアルだった。

それにしてもいい題材に目をつけたものだ。なんと18年も脱出へのCIAの関与は秘密だった。
それを描きよくできた映画だと思う。

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