映画「ウォーリアー」は2011年の作品で日本未公開作品だ。
レンタルショップでdvd散策している時におもしろい映画を見つけた。これはなかなかの掘り出し物だ。
人気作「ダークナイト・ライジング」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」へかけて大活躍しているトムハーディが総合格闘技の映画に出演しているのだ。先日香港映画「激戦 ハートオブファイト」をみてコメントした時に、これまで総合格闘技の映画って見たことがないとしたが、実はすでにこの作品があったのだ。むしろ「激戦」の方がこの映画「ウォーリアー」からの影響を感じさせる。
少し前、視聴率を稼ぎまくっていた「プライド」では「紅白歌合戦」の裏番組に総合格闘技の猛者たちを集めて派手にやっていた。最近ずいぶん鳴りをひそめたのには理由があるのであろうが、何でもありの総合格闘技が真に「ケンカ№1」を決めるものというのは間違いあるまい。プロレスとちがって、ショー的な要素は少ないけど、獲物を狙う猛獣のようなスピード感がある。ここでのトムハーディの動きはきわめてすばやく、圧倒的な強さをほこる。なかなか見ごたえある。
アルコール中毒の父親を逃れ、母親とともに家を出たトミー(トムハーディ)が14年ぶりに実家に戻った。父(ニック・ノルティ)の指導により、学生時代はレスリングの選手として名を馳せていた彼は、総合格闘技の大イベント“スパルタ”に出場するため、父にトレーナー役を依頼する。一方、トミーが家を出て以来、生き別れとなっている兄のブレンダン(ジョエル・エドガートン)もまた、かつて格闘家だったが、今は教師として働いていた。しかし、娘の病気にかかる医療費のため家計は厳しく、銀行から自己破産をすすめられてしまう。愛する家族を守るため彼に残された道は、総合格闘技の試合で金を稼ぐことだった。奇しくも再び格闘技の世界へと足を踏み入れた兄弟が再会したのは、“スパルタ”の会場だった―。(作品情報より)
物語の基本は「欠落」である。
対決する兄弟の兄は物理の教師になったのにもかかわらず、子供が難病にかかって金がかかる。ストリップ劇場で興行されている格闘技戦にでて賞金稼ぎをしなければならない。弟も金を稼ぐために、長年縁を切っていた元の指導者である父親の元を訪れ、多額の賞金がかかっている格闘技大会に出場するのだ。出る理由がある。ともにハングリーな男たちである。
弟は圧倒的な強さで勝ち抜く。
でも兄はすんなりはいかない。いつもやっとの思いで勝ち抜くのだ。
軽いネタばれあります。
1.トムハーディ
今年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で完全にスターと言える地位を築いている。不死身というイメージがついてきた。存在感のある悪役だった「ダークナイト・ライジング」でもバットマンを寄せ付けず、その覆面を取り去るシーンがある。見ていてうなってしまった。その前に「ウォーリアー」に出演しているのだ。推測であるが、「ウォーリアー」での強さというのが、キャスティングの際「ダークナイト」の製作側にも頭にあったに違いない。
トミーの動きは早い。すぐさま相手をとらえると強いパンチを打ち、そのまま自分のペースに持ち込んで速攻で勝つのだ。勝っても試合後のリングの網によじ登るというようなパフォーマンスはいっさいなく、相手もいたわらずにさっそうと控室に向かう。かっこいい。
トミーは元々海兵隊にいた。その同僚が窮地をトミーが救ってくれたことを発表し、海兵隊のメンバーが集団で応援する。しかし、勝ち抜いていくうちに素性が明らかになる。なんと軍の職務から逃げ出したことがばれてしまうのだ。さあどうする。北朝鮮から拉致者の曽我さんが帰ってきたとき、夫のジェンキンスさんの軍からの離脱が問題になり、超法規で解決させたが、本当は厳罰なのである。トミーも同じだ。
2.ジョエル・エドガートン
学校で物理を教える場面が出てくる。作用には必ず反作用があるなんていうニュートンの法則を語っているのだ。何これ??
そうしているうちにリングで戦う場面も出てくる。要は金がないのである。上を目指してジムにいくが最初は歯が立たない。コテンパンにやられるが、最後関節技で逆転する。その繰り返しだ。
このとき相手を倒す技の名称が「キムラロック」なんてセリフが出てくる。そう戦前元日本柔道の頂点だった木村政彦の必殺技だ。1951年グレイシー柔術の主エリオグレイシーをこれでやっつけている。手元にある木村政彦著「柔道の技」(昭和49年版)には日本名で「腕がらみ」となっている。極めて実践的な本だ。ブラジルでグレイシーを倒したフィルムは残っているが、木村がかける強烈な大外刈りの切れ味が凄すぎる。力道山戦は八百長だったので手をぬいていた。それは「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で語られるが、バカなことをしたものだ。
いずれにせよ2人は勝ち抜いていく。
特に兄は見た目に普通これくらいやられたらもう立ち上がれないんじゃないかな?と思う場面もあるけど、これは劇画のようなものだ。
そしてアル中だったオヤジも含めて最終場面に向かう。
ちなみにこのオヤジ役ニック・ノルティ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。
普通ノミネートされる作品で日本未公開というのは少ないけど、やっぱりこの出演者ではお客は呼べないと配給元も思ったんだろうなあ。でもこれはなかなかいける映画だ。
(参考作品)
レンタルショップでdvd散策している時におもしろい映画を見つけた。これはなかなかの掘り出し物だ。
人気作「ダークナイト・ライジング」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」へかけて大活躍しているトムハーディが総合格闘技の映画に出演しているのだ。先日香港映画「激戦 ハートオブファイト」をみてコメントした時に、これまで総合格闘技の映画って見たことがないとしたが、実はすでにこの作品があったのだ。むしろ「激戦」の方がこの映画「ウォーリアー」からの影響を感じさせる。
少し前、視聴率を稼ぎまくっていた「プライド」では「紅白歌合戦」の裏番組に総合格闘技の猛者たちを集めて派手にやっていた。最近ずいぶん鳴りをひそめたのには理由があるのであろうが、何でもありの総合格闘技が真に「ケンカ№1」を決めるものというのは間違いあるまい。プロレスとちがって、ショー的な要素は少ないけど、獲物を狙う猛獣のようなスピード感がある。ここでのトムハーディの動きはきわめてすばやく、圧倒的な強さをほこる。なかなか見ごたえある。
アルコール中毒の父親を逃れ、母親とともに家を出たトミー(トムハーディ)が14年ぶりに実家に戻った。父(ニック・ノルティ)の指導により、学生時代はレスリングの選手として名を馳せていた彼は、総合格闘技の大イベント“スパルタ”に出場するため、父にトレーナー役を依頼する。一方、トミーが家を出て以来、生き別れとなっている兄のブレンダン(ジョエル・エドガートン)もまた、かつて格闘家だったが、今は教師として働いていた。しかし、娘の病気にかかる医療費のため家計は厳しく、銀行から自己破産をすすめられてしまう。愛する家族を守るため彼に残された道は、総合格闘技の試合で金を稼ぐことだった。奇しくも再び格闘技の世界へと足を踏み入れた兄弟が再会したのは、“スパルタ”の会場だった―。(作品情報より)
物語の基本は「欠落」である。
対決する兄弟の兄は物理の教師になったのにもかかわらず、子供が難病にかかって金がかかる。ストリップ劇場で興行されている格闘技戦にでて賞金稼ぎをしなければならない。弟も金を稼ぐために、長年縁を切っていた元の指導者である父親の元を訪れ、多額の賞金がかかっている格闘技大会に出場するのだ。出る理由がある。ともにハングリーな男たちである。
弟は圧倒的な強さで勝ち抜く。
でも兄はすんなりはいかない。いつもやっとの思いで勝ち抜くのだ。
軽いネタばれあります。
1.トムハーディ
今年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で完全にスターと言える地位を築いている。不死身というイメージがついてきた。存在感のある悪役だった「ダークナイト・ライジング」でもバットマンを寄せ付けず、その覆面を取り去るシーンがある。見ていてうなってしまった。その前に「ウォーリアー」に出演しているのだ。推測であるが、「ウォーリアー」での強さというのが、キャスティングの際「ダークナイト」の製作側にも頭にあったに違いない。
トミーの動きは早い。すぐさま相手をとらえると強いパンチを打ち、そのまま自分のペースに持ち込んで速攻で勝つのだ。勝っても試合後のリングの網によじ登るというようなパフォーマンスはいっさいなく、相手もいたわらずにさっそうと控室に向かう。かっこいい。
トミーは元々海兵隊にいた。その同僚が窮地をトミーが救ってくれたことを発表し、海兵隊のメンバーが集団で応援する。しかし、勝ち抜いていくうちに素性が明らかになる。なんと軍の職務から逃げ出したことがばれてしまうのだ。さあどうする。北朝鮮から拉致者の曽我さんが帰ってきたとき、夫のジェンキンスさんの軍からの離脱が問題になり、超法規で解決させたが、本当は厳罰なのである。トミーも同じだ。
2.ジョエル・エドガートン
学校で物理を教える場面が出てくる。作用には必ず反作用があるなんていうニュートンの法則を語っているのだ。何これ??
そうしているうちにリングで戦う場面も出てくる。要は金がないのである。上を目指してジムにいくが最初は歯が立たない。コテンパンにやられるが、最後関節技で逆転する。その繰り返しだ。
このとき相手を倒す技の名称が「キムラロック」なんてセリフが出てくる。そう戦前元日本柔道の頂点だった木村政彦の必殺技だ。1951年グレイシー柔術の主エリオグレイシーをこれでやっつけている。手元にある木村政彦著「柔道の技」(昭和49年版)には日本名で「腕がらみ」となっている。極めて実践的な本だ。ブラジルでグレイシーを倒したフィルムは残っているが、木村がかける強烈な大外刈りの切れ味が凄すぎる。力道山戦は八百長だったので手をぬいていた。それは「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で語られるが、バカなことをしたものだ。
いずれにせよ2人は勝ち抜いていく。
特に兄は見た目に普通これくらいやられたらもう立ち上がれないんじゃないかな?と思う場面もあるけど、これは劇画のようなものだ。
そしてアル中だったオヤジも含めて最終場面に向かう。
ちなみにこのオヤジ役ニック・ノルティ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。
普通ノミネートされる作品で日本未公開というのは少ないけど、やっぱりこの出演者ではお客は呼べないと配給元も思ったんだろうなあ。でもこれはなかなかいける映画だ。
(参考作品)
ダークナイト ライジング | |
ゴッサムシティを狂乱させるテロリストを演じる強いトムハーディ | |
激戦 ハート・オブ・ファイト | |
香港版総合格闘技映画 | |