映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

台湾青春ミステリー映画「共犯」

2016-01-31 21:29:42 | 映画(アジア)
映画「共犯」は2015年日本公開の台湾映画である。


映画の宣伝で少年少女たちが一緒になっている写真が気になり、見ようと思ったが時間がなくてdvdスルーになる。サスペンスというけど、写真に写る少年少女が何の悪いことをたくらんでいるんだろうと思っていた。結局のところ、この全員が映し出されるシーンはない。

こうやって見てみると、最初に少女が死体で発見される場面から思いがけない画面が連なっていくことに気づく。この奇妙なサスペンスのリズムには幻惑される。途中で想像を超える事態の推移に心の底から驚いてしまう。青春物のようで実はホラーじみた青春サスペンス映画であった。

同じ高校に通っているというだけで、口もきいたことがなかった男子高校生、ホアン、リン、イエは、通学途中、偶然同じ時刻に通りがかった路地で、女生徒シャーが変死しているのを発見。奇妙な縁で友達になった三人は行動を共にするようになり、死の真相を探り始めた。。。

最初に水中で少年少女たちがさまよう姿が映し出される。何を意味するんだろうと思ったとき、1人の少年が3人の少年たちにカツアゲされそうになっているシーンが映し出される。何これ?この3人が共犯なの?なんて考えていると、1人の女子生徒が大量出血で倒れている。誰かに殺されたのであろうか?それを見つめる1人の少年が少女に触れる。すると2人の同じ制服を着た少年が何やっているんだろうと近づく。他殺でなくどうやら自殺のようだ。警察に知らせて、第一発見者ということで事情徴収を受けるが、この段階で3人は一緒に帰る。そして精神的にダメージを受けただろうと3人が一緒にカウンセラーを受ける。

最初の少女の変死シーンは冷静に受け止められる。その後3人は自殺した少女の自宅に忍び込み、少女の遺留品を探り出すのだ。謎を探ろうとする姿にヒッチコック的ドキドキ感もある。やがて、この少女は誰かにいじめられていることがわかる遺留品が見つかる。しかも、その少女の名前は判明している。なぜか、この3人が共同してその少女に軽い復讐をしようとするのだ。

この少女にいじめを受けているという証拠をホアンが次から次へと提示する。別にこの時点でもどうってことない。そしてその少女を裏山に誘い、ハメていくのだ。
でもその次に驚く場面が出てくる。想像を超える事態が起きていくのだ。

これはドッキリだ。
この場面が映画に映し出される時から、事態は急変する。そして予想もしない展開となってくる。テレビドラマで言えば、数回にわたって放映できそうな場面を約90分にまとめる。端正な少年少女の顔から想像もつかない妙な緊迫感がある。

この少年少女たちが単独でとてつもない熱演をするわけではない。
でも総合的に見てはまっていく奇妙な映画だった。



(参考作品)
共犯
自殺した少女の謎を追う3人の少年
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映画「俳優 亀岡拓次」 安田顕

2016-01-31 21:29:23 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「俳優 亀岡拓次」を初日いきなり映画館で見てきました。


心温まるいい映画で、安田顕演じる主演の亀岡拓次に気持ちが同化してしまう。笑いあり、恋あり、そしてトジありで2時間いい感じで過ごせた。意外に女性の多い館内では常に笑い声が響いていた。

安田顕が脇役俳優亀岡拓次を演じる。亀岡は映画の玄人筋ではひっぱりだこになる脇役だけど、殺されたり、殴られたり、川にぶち込まれたりハチャメチャなシーンに登場させられる。私生活では独身で一杯飲み屋やうらびれたスナックで飲んだくれることも多い。突然もてたり、売れっ子になるわけでもない。そんな彼に焦点をあたえる。ある意味、渥美清の「男はつらいよ」に通じるストーリーだけど、安田顕が抑制のきいた演技で、まったくきどらない。亀岡拓次が自己顕示欲とは無縁の謙虚な人柄であることを示す。しばらく出会ったことのない非常に味がある映画だ。雰囲気に酔いしれる。

亀岡拓次(安田顕)、37歳独身。職業は脇役メインの俳優。泥棒、チンピラ、ホームレス・・・演じた役は数知れず。監督やスタッフから愛され、現場に奇跡を呼ぶ?と言われる“最強の脇役”。呼ばれればどこへでも、なるべく仕事は断らない。プライベートは一人お酒を楽しむ地味な生活。


そんなある日の夜、ロケ先で訪れた長野県諏訪市でのこと。初めて入った居酒屋「ムロタ」のカウンター席でうとうと眠りこけていた亀岡。冷たい隙間風に起こされると、そこには美しい若女将の姿があった。
名は室田安曇【アヅミ】(麻生久美子)。地元の名物だという寒天をつまみながら、気の利いた彼女の会話にすっかり癒される亀岡。「淋しくなったら、また飲みに来てくださいよ」―優しく微笑む安曇に、亀岡は恋をしてしまう。


甘い時間も束の間、再びロケや撮影所など、都内から地方へと忙しく飛び回る日々。はじめて引き受けた舞台の仕事で、劇団・陽光座の稽古場にも通う。ある日、亀岡に大きなチャンスが訪れた。彼が心酔する世界的巨匠、アラン・スペッソ監督が極秘で来日しており、その新作オーディションを受けることになったのだ。
カメタクの一世一代の恋の行方は?そして初の海外進出なるのか・・・?
(映画の作品情報を引用)

1.亀岡拓次
映画のHPを見て、設定の年齢が37歳ということを知ったが、全くその年には見えない。どう見ても40代後半の設定のようだ。仕事があれば、やりたくなくても引き受ける。独身なので、気楽に地方ロケも行ってしまう。普段は殺され役や殴られ役など何でもこなす。それを演出する監督たちから絶大な信頼がある。ストレス発散なのか、夕方は居酒屋で過ごす。それも一人酒が多い。気がつくとカウンターやソファで寝てしまうこともある。このしがない感じがいい。


飲み屋のカウンターで見る夢と、自室で見る夢と演技している時演じている姿が交錯して、ふらふらしながら亀岡拓次は生きている。そんな亀岡を安田顕が実にうまく演じた。
飲み屋でのパフォーマンスが、1人で自分が飲む時のパフォーマンスに通じていて引き込まれてしまう。




殴られ役を演じているとき、改めて亀岡を撮った映像をみると、目の玉が飛び出している。それを見てみんなから亀岡さん凄いなあといわれている姿がある意味かっこいい。

2.麻生久美子
小さい一杯飲み屋にいる女将という設定である。
これまでテレビ「時間ですよ」で影のある藤竜也が場末の小料理屋のカウンターで一人飲んでいる時、対応する女将篠ひろ子やテレビ日曜劇場「課長さんの厄年」萩原健一が小洒落たバーでしみじみ飲む時、山口いずみママが着物をきて対応する姿、ちょっと違うかもしれないが「はぐれ刑事純情派」で刑事藤田まことが通うバーで対応する真野あずさママなど、男性の自分から見てうらやましいなあ!!と思うような飲み屋のお相手を映像で見てきた。



それらに匹敵するいやそれ以上にいい感じなのが麻生久美子の女将ぶりである。普段着のようなセーターを着て、手作りのたこぶつや寒天をだす。そのしぐさや亀岡に勧められて飲む酒の飲みっぷりのかわいさなどにむちゃくちゃそそられる。客は1人しかいないけど、こんな素敵なママが1人でいたら、それを目当てに次から次へと客は来るよ。いくつもそんな店あるなあ。でもここまで癒し系はいない。

3.映画監督役
山崎努も三田佳子も50年以上映画界の現役で活躍している。凄い話だ。ここでの両者がまたいい味出している。山崎努が演じるのは巨匠のベテラン監督、スタッフからも恐れられている。俳優たちが演じた後、なかなか監督が口火をきらないで、一瞬沈黙の世界だ。この間がおもしろい。OKをだした後、周囲がほっとする感じをうまく横浜聡子監督が描き出している。


あとは大森一樹監督が地のままでている。新井の監督もいい感じだ。フィリピンバーでホステス役のフィリピン人と亀岡拓次の会話を何度も撮り直す時の染谷将太の監督姿がまた滑稽だ。なかなかOKの出ない2人のかみ合わない会話は下手な漫才よりムチャクチャ笑える。


それにしても、日本映画で西川美和、呉美保、タナダユキなどの女流監督の活躍が目立つ。この映画ってちょっとうだつのあがらない飲んだくれの役者という設定だけに普通だったら男性がメガホンとりそうなものだが、横浜聡子監督は見事に演出したと思う。まさに女性監督恐るべしといった感じだ。


(参考作品)
ウルトラミラクルラブストーリー
横浜聡子監督作品
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映画「ブラック・スキャンダル」 ジョニー・デップ

2016-01-31 19:41:25 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ブラック・スキャンダル」を映画館で見てきました。


ジョニーデップの新作はハゲ頭姿でちがった雰囲気だ。何度か予告編で見て、FBIとアイリッシュ・マフィアと上院議員が共謀する映画だとわかってはいた。ジョニーデップ作品では「ラムダイアリー」などのように世間一般で評価が高くなくても自分には悪くないと思えるものがある。ともかく見てみようと映画館に向かった。


FBIの捜査官としてマフィア浄化に取り組んでいたジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)は、南ボストンのイタリアンマフィアが自分と同じアイリッシュ系ギャング組織を率いるジミー・バルジャー(ジョニーデップ)のことを狙っているという噂を聞き、ジミーに忠告する。そして、イタリアンマフィアをつぶすためにジミーの情報を得ようと密かに協力者にしようとする。FBIの上司(ケビン・ベーコン)はコノリーのたくらみに反対するが、押し切られる。FBIの協力者になったことで、ジミーの組織はあやういことをしても捕まらない。しかも、ジミーの弟は州の上院議員ビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)である。

やがて、イタリアンマフィアのボスが捕まると、ジミーはし放題となってしまうのであるが。。。


1.ジョニーデップ
いつもと面構えがちがう。個人的には彼の出演作品で一番好きなのはマイケルマン監督作品「パブリック・エネミーズ」である。稀代の銀行強盗ジョン・デリンジャーを演じた彼の人相はまさに殺人鬼の凄顔だったし、作品のテンポも抜群によかった。正直テンポの良さでは本作品は「パブリックエネミーズ」に劣るが、ジョニーデップのギャングとしての脅しはこの映画の方が効いている。特にFBIの協力捜査官に脅しを入れる場面には背筋がさむくなるような凄味を感じる。

自分の組織の情報を漏らそうとする人間の制裁場面も恐怖を感じさせる。誰も救えない世界で、なすすべもなく密告者は追いつめられる。

2.東映映画「県警対組織暴力」
ハリウッド映画でも実話ものも多いが、どちらかというと「ブラック・スキャンダル」は70年代の東映実録路線の映画に通じるものがある。「仁義なき戦い」との共通点もあるが、1975年の東映映画で深作欣二監督菅原文太主演の傑作「県警対組織暴力」と類似点が多い。「仁義なき戦い」の大ヒットで東映は山口組に関する映画の公開が難しくなっていた。そんな時「仁義なき戦い」名脚本家笠原和夫に警察を主演とする作品をつくらせたのだ。


主演の菅原文太演じる刑事は、ヤクザとの癒着や暴力捜査もやるすご腕刑事だ。松方弘樹演じるヤクザの若衆頭と旧知の中で、互いに情報を共有していた。そこに梅宮辰夫演じるエリート警部が強力な捜査に乗り出して組織潰しに入るという筋書きだ。「ブラック・スキャンダル」をネタバレすると、FBIとアイリッシュ系ギャングの癒着に対して、連邦検察官がメスを入れるという構図に持ち込む。全体的構図は似ている。
演歌の節回しがどれもこれもにかよるのと同じで、ヤクザギャング映画も似たような感じになるんだよね。

エニグマで好演したベネディクト・カンバーバッチはここでは普通かな。適役だと思う。うまかったのがジョエル・エドガートン。「華麗なるギャツビー」ではギャツビーの恋のライバルトム・ブキャナンを演じ、最近日本でも公開になった傑作トムハーディ主演「ウォーリア」ではボクサーを演じる。徐々に腐敗に手を染めていくワルをうまく演じて、ジョニーデップの怪演を引き出したと言える。

(参考作品)
県警対組織暴力
日本版「ブラックスキャンダル」警官の腐敗を描く(参考記事


パブリック・エネミーズ
稀代の銀行強盗を演じるジョニーデップ(参考記事)
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映画「ビューティ・インサイド」 ハン・ヒョジュ&上野樹里

2016-01-24 17:37:45 | 映画(韓国映画)
韓国映画「ビューティ・インサイド」を映画館で見てきました。


これはおもしろい。
上野樹里が出ているということで足を運んだが、想像以上によくできている映画である。

ファンタジー恋愛ものであるが、既視感のない奇抜な発想でたのしい映画である。一人二役、三役というものは何度も見ているが、主役が数十人いるというのはあり得ない。結局主人公ウジンを演じる俳優はなんと123人、主だったウジンだけでも21人という前代未聞の主人公である。

朝起きると、別人になっているというのはカフカの「変身」だ。でもこの主人公は毎日違う他人の容姿になってしまうのである。そんな主人公が一人の女性を好きになる。逢引きした後朝もう一度会おうとしたら、顔がハゲ親父になっている。待ち合わせ場所に彼女が来ているのに出ていけない。そういう間抜けな場面と正統派に恋愛を楽しむシーンと交互に出てきて、次はどういう展開なのかと期待してしまう。しかも、最後に向けてはジーンとくるシーンもあってちょっと泣けてきてしまう。おすすめの映画です。

29歳の男性、ウジン(キム・デミョン)が目をさます。小太りで、大きな顔のウジンがつぶやく。「昨日は手のひらより顔が小さかった、今日は手のひらの2倍」と。そう、ウジンは、18歳のある日、目覚めたときに、本来の自分ではない人物になってしまう。この日から、毎日、目覚めるたびに、別の人間に変身する。ウジンの秘密を知るのは、母親(ムン・スク)のほかに、小さいころからの友人、サンベク(イ・ドンフィ)だけである。


ウジンは、家具のデザイナーでインターネットだけで仕事をこなしている。今日のウジン(イ・ボムス)は、アンティークの家具専門店で、ひとりの女性を見初める。彼女の名が、イス(ハン・ヒョジュ)と分かる。ウジンは、さまざまな姿で、連日、イスの店に通う。

ある日、ハンサムの容姿になったウジン(パク・ソジュン)は、イスにアタックして、イスはデートの誘いを受ける。2人はすぐに意気投合して、ウジンは自分の工房にイスを案内し、ウジンは決心する。「寝なければ、同じ姿でいられる」。そして3日目の夜、ウジンはイスに言う。「明日、朝ごはんを食べよう」と。眠らないように頑張るウジンだが、うっかり寝てしまう。朝、目覚めたウジン(キム・サンホ)は、髪の薄い、中年男になっている。ウジンは、待ち合わせの場所に行くが、とてもイスに話しかけられない。

ある日、イスの店に、チェギョンと名乗る新人の女性が研修に参加してくる。チェギョンは、イスに真実を告げようと決心したウジン(チョン・ウヒ)である。女性になったウジンが、自宅にイスを招き「僕がウジンです」と告白する。ウジンは、スマートホンに記録した映像を見せるが、ただただ、驚くばかりのイス。イスは、逃げ出すようにウジンの自宅から去っていくのであるが。。。


それでもイスはウジンのことが気になる。翌日思い切って自宅へ訪問すると出てくるウジンが上野樹里である。そして意気投合したあとはさまざまなウジンとデートするのである。



1.現代韓国事情
キムギドク監督の映画や韓国得意のクライムサスペンスばかり見ていると、極端なくらいの韓国下層社会が浮かび上がるが、この映画は普通の韓国の世相が見えていい感じである。電車の中で座席でみんなスマホを手にしているシーンやクラブや若者がよくいくような飲み屋のシーンを見ると日本と似たようなものなんだなと思う。これでもかというくらい若手男優を登場させるが、韓流好みのおばさまにはたまらないんじゃないの?


2.上野樹里
主人公が好きになるハン・ヒョジュ演じるイスという女の子が上野樹里に似た雰囲気を醸し出しているなと思っていた。しばらくして、主人公の1人として現れる。そう、上野樹里はある1日だけの主人公ウジンとしての出演である。韓国語は一切話せない。日本語を話すのだ。この主人公は男性だけに化けるのではなく、女性にもなってしまう。2人が近づく重要な場面での上野樹里の登場はうれしい。

主演作「スウィングガール」や「亀は意外と速く泳ぐ」は傑作であるが、「陽だまりの彼女」では本当にいとおしくかわいい存在になってしまう彼女を見て、もっと好きになる。ここでの出番は少ないが、この経験を日本の次回作に活かしてもらいたい。

3.印象に残るウジン役
普通変身するとなると、同性に限られる映像作品が多いと思うけど、ここでは違う。異性である女性にも何度も変身してしまう。特におもしろかったのは、子供に変身してしまう時とおばあさんになってしまった時だ。

子供になってしまったときに、お店の人に大人に対してタメ口をきいているのでおいちょっとおかしい他人に言われたり、酒を飲んでもいつものようにはいかず、すぐ酔ってしまってイスに担がれてしまう。財布はウジンがだすが、どういう関係なんでしょうと言われ、親子だと答える場面には笑えた。

イスが勤務する家具ショップで男女同伴のパーティが開かれることになり、イスはウジンとカップルで参加することになっていた。ところが、その時に限ってウジンは白髪のおばあさんになってしまうのだ。どうしよう?祖母と言い張って行こうかとまで考えるが、とりあえず、ひと眠りしてどうなるか?ということで時間を稼ぐ。その時イスはパーティ会場でやきもきしていた。周りからも、イスの彼氏はこないのかと陰口をたたかれていたその瞬間、気がつくと隣にハンサムな男性がくる。まわりから美人美女のカップルでうらやましがられる。2時間前まではおばあさんだったよなんて場面も面白い。

ハン・ヒョジュのキュートな主演ぶりがよかった。次から次に恋人役がかわるのにはさすがに面喰ったろう。彼女は日本語もしゃべれるし、ケバイ化粧の女が多い韓国女性の中では割とあっさり目で好感が持てる。ぜひこれからも日本映画にも出演してもらいたいものだ。

最後に向けては、どういうふうに映画の決着をもっていくのか、ラスト40分くらいからずっと気になっていた。韓国映画の傑作は結末をただではすませない。ここでも展開に気分よく席をたてた。後味はよかった。

(参考作品)
陽だまりの彼女
上野樹里の純愛


ビューティー・インサイド
七変化する主人公
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映画「殺されたミンジュ」 キムギドク

2016-01-20 20:42:53 | 映画(韓国映画)
韓国映画「殺されたミンジュ」を映画館で見てきました。


「メビウス」以来のキムギドク監督の新作である。必ず見に行く監督の作品なので、早速に映画館に向かう。前作「メビウス」はまったくセリフがなく、息子の性器を切り取るなんて、かなりマニアックな映画だったが、逆にセリフがキムギドク監督作品の割に多い。


女子高校生を死に至らした犯行グループへの復讐という題材だが、最初は何が何だかわからない。正体不明の武装集団が1人づつ拉致して、拷問というべきリンチを加えて白状させてという構図が次から次へと映しだされる。いつもながらキムギドク監督は低所得の社会の底辺をさまよう連中をクローズアップさせる。ここでも同様のパターンだが、最後に向けてあれ?こういうふうに持っていくの??と若干疑問が残るような展開だった。それでも最後まで見るものを飽きさせないのはキムギドク監督のさすがの手腕である。

5月、ソウル市内の市場を必死に逃げ惑う女子高生、彼女を追う屈強な男たちがいた。
彼女の名はミンジュ。ミンジュは次第に追い詰められ、そして路地の片隅で顔にテープを巻かれ、叫ぶ間もなく無残に殺された。


しかし、事件から1年たった頃、平穏を装うこの街のなかで、ミンジュの死の真相を執拗に追いかける謎の集団が、暗闇の中で不気味に動き始める。ミンジュ殺害に関わったのは7人の男たち。謎の集団は、そのうちの一人を誘拐して、拷問を加え「去年の5月9日を覚えているか、その日何をした…」と執拗に問いただす。


恐怖と自責の念に襲われた容疑者は、全面的に自白して許しを請うのだった。謎の集団は変幻自在に変装して一人、また一人と誘拐して、自白を強要する。
それぞれの立場から語られる証言により、事件の背後に潜む闇が明らかになっていく…。 (作品情報より)

いきなり女子高校生が殺される。
何で殺されるのかはわからない。強姦されて殺されるのではなく、いきなり大人数に囲まれて殺される。
むごい話と思っていると、なぜか?ミリタリールックのような服を着た正体不明の集団がリンチを加えていく。さっぱりつかめない。しかし、同じようなことが繰り返され、復讐なんだなということがわかる。
でも殺されたミンジュとこの集団がどういう関係なのかは語られない。
そうしていくうちにこの集団の構成員が社会に不満を持っている連中だということが少しづつわかっていく。

1.社会の底辺で暮らす連中
キムギドク監督も苦労人で、映画監督になる前は自らが社会の底辺にいた経験を持つ。一方で海兵隊にも所属していて、軍隊の中で日常的に使われる暴力も映画でよく見せつけている。キムギドク監督の傑作「嘆きのピエタ」は借金取りの男をクローズアップしていた。ここでも同様な友人に金を騙したとられた自営業者や妻の病気で高利貸しから金を借りている男が借金取りに追いまわされている姿が印象的だ。ほかにも上司に侮辱される自動車修理工、客にバカにされるウェイター、DVに悩まされる女性などをいかにも社会の底辺を彷徨う連中として描く。ちなみにそういう不満をもつ面々が女子高生殺人事件の復讐に立ち上がったというのがこの映画の主旨だ。


2.暴力表現
韓国映画独特の暴力表現はここでもかなりきつく表現される。犯行を認めさせるために次から次へとリンチを加える。そして自分がやったということを認めさせるのだ。


犯行グループには社会的な地位が高い人たちもいて、最初はどういう権限で自分を確保したのかなんてほざいているのが、コテンパンにやられていやいや自分が何をしたのかを書いていく。でも戻っても公安に訴えるわけでもない。奥さんにも言えない。黙っているしかないのだ。でも、何でこんな高校生が殺されたんだろう?ちょっとそこだけは意味不明??

複雑な心情を抱える謎の集団のリーダーを演じたのは『悪いやつら』のマ・ドンソクでずっと暴力表現を続ける。いかにも韓国クライムサスペンスらしい顔役でなかなかうまい。DVで同棲した男に暴力をふるわれる女性を演じたアン・ジへも印象的だった。

(参考作品)
嘆きのピエタ
キムギドク監督の傑作(参考記事)
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映画「白鯨との闘い」ロンハワード&クリス・ヘムズワース

2016-01-17 19:43:05 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「白鯨との闘い」を映画館で見てきました。


ロンハワード監督の作品にはハズレがない。前作「ラッシュ」でも2人のレーサーのライバル物語をエキサイティングなレースシーンをからめながらすばらしい作品に仕上げた。今回の作品を予告編で何度も見て娯楽作品として楽しめそうなので早速映画館に向かう。
超有名なメルヴィルの文学作品「白鯨」のもとになった捕鯨船沈没事件を題材にしている。男を描かせると天下一品のジョンヒューストン監督によるグレゴリーペック主演の「白鯨」は以前見ている。「ジョーズ」のもとになったような映画だった。まさに白鯨との闘いが中心ではあるが、最終的にはサバイバルがテーマになっている。後半は軽くだれるが、迫力ある捕鯨シーンは見どころある。

1850年、アメリカの作家メルヴィルは、ニカーソンという男を訪ねた。彼は30年前エセックス号という捕鯨船に乗り組み、事故に巻き込まれた最後の生き残りだった。最初は渋っていたニカーソンだったが、やがてその重い口を開き始めて壮絶な話を語り始める。


石油が発掘される前クジラから取れる鯨油は産業革命以降の工業製品などに使われ、捕鯨は儲かる仕事であった。
1819 年、捕鯨船エセックス号はアメリカのナンタケット港を出航する。船長になれると思っていた一等航海士のオーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)は、経験の浅い名家の息子ジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォ―カー)が船長をつとめることにいらだつ。

航海途中でも2人の意見の相違が目立っていた。南大西洋を進んでいくが、鯨油が思ったほど取れていない。鯨を発見できずに、エクアドルで寄港する。そこで、ある船長から巨大な白鯨に遭遇した話を聞く。その情報を信じて鯨の群れを追って太平洋の沖合へ向かい、巨大な白いマッコウクジラと遭遇する。船員たちは喜ぶがこの白鯨はこれまでとは違う凶暴さをもつ。退治に手間取るのであるが。。。


予告編も迫力ある



1.迫力ある捕鯨シーンと大暴れする白鯨
最初に嵐に遭遇するシーンが出てくる。船長のミスジャッジで船を破損させるが、ミスを認めない。嵐で船がめちゃめちゃになるこのシーンも豪快だ。捕鯨のシーンでは、クジラを見つけると、ボートを海に落としてクジラに向けて船員が漕いで行く。そこからクジラ退治が始まるわけだ。こんな感じで捕鯨するんだなと、映像に見とれる。

最初は捕鯨に成功するシーンを映しだすが、次に出会う30mほどの白鯨との格闘シーンは大迫力だ。クジラというよりも怪獣のようだ。だって30mといえば、10階建のビルと同じ大きさだもんね。クジラは船に体当たりして、ムチャクチャにする。アレアレ?と思っているうちに底も水浸しで船は撃沈する。

これを見るだけでも元はとれるわけだ。映画館で見ないとダメな映画だなあ。

2.サバイバル(ネタバレあり)
船が撃沈し、3つのボートにわかれて漂流する。それでも白鯨がしつこくボートを追いかける。このしつこさにはあきれる。これが実話なら、よく助かったなあと思うが、食料も尽きて疲労困憊で亡くなってしまう人も出てくる。そうなると、亡くなった船員の人肉を食べて生き延びるしかないという発想がでてくる。本当にこのような状況になったら仕方ないよね。釣竿を持って魚を釣って食べたらいいのにと思ってしまうが、そうはいかないのかな?でも人肉を露骨に食べるようなシーンは見せない。もし、園子温監督だったら、「冷たい熱帯魚」のように人肉を刻んだりするシーンを見せるのかな?と映画を見ながら思っていた。

(作品情報)
白鯨との闘い
元になった原作


白鯨
ジョンヒューストン監督とグレゴリーペックのコンビ
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映画「グローリー 明日への行進」

2016-01-13 20:56:04 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「グローリー 明日への行進」は2015年日本公開のアメリカ映画


黒人の人権運動家として、歴史上の偉人になっているキング牧師が指導した「セルマの大行進」の全容が語られている。キング牧師の名前を知っていても、具体的に彼の活動はどんなことだったのかを知っている人は少ないと思う。私もその1人である。映画の内容は1965年におけるキング牧師の南部での活動に絞っている。強烈な黒人迫害の実像が浮かび上がり、気分が悪くなる。近代アメリカ史の重要な事件の全貌を垣間見れるだけでも見る価値はあった。


1965年、アメリカ。前年にノーベル平和賞を受賞したキング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は、差別撤廃に理解を示すジョンソン大統領(トム・ウィルキンソン)への働きかけとともに、ジョージ・ウォレス州知事(ティム・ロス)を中心に黒人の選挙人登録を妨害し続ける南部アラバマ州での抗議運動に力を入れていた。そんな中、セルマから州都モンゴメリーへと向かう黒人のデモ行進が白人の州警察らによって襲撃される「血の日曜日事件」が起きる。その様子はテレビでも報じられ、アメリカ中に衝撃をもたらした。やがてキング牧師の呼びかけに応じ、人種の壁を越えて全国から多数の人々がデモ参加のために集まってくるが…。


1.歴史背景
自分がものごころついた時のアメリカ大統領はリンドン・ジョンソンだった。テレビでみるジョンソンはやさしそうに見えたが、北爆の指令をだし、ベトナム戦争に本腰を入れた大統領として後年批判にさらされることも多い。ジョンソンはケネディ政権の副大統領だったが、1963年11月ケネディ暗殺のあと大統領に昇格する。そして黒人人種差別を撤廃させる公民権法を成立させ、1964年大統領選挙に当選する。同じ年キング牧師はノーベル平和賞を受賞している。この映画にも何度も場面が出ているが、2人の間はホットラインでつながれていた。


しかし、法律が成立した後も南部では黒人の選挙権が認められていない州もある。アラバマ州はジョージウォレス知事のもと、人種隔離廃止政策に反対する動きをとっている。この映画ではティムロスがウォレス知事を演じ、いかにもイヤな奴という嫌われ役を好演している。そこでのデモ行進に対して、警官隊が強烈な襲撃をする場面は目をそむけたくなる。


2.黒人弾圧
1967年にアカデミー作品賞を受賞した「夜の大捜査線」という映画がある。この映画を最初に見た時は黒人迫害が顕在化している南部の州が描かれていてビックリした。まさにリアルタイムで映像化されたものだ。黒人嫌いの白人警察署長とフィラデルフィアから来た敏腕黒人刑事の関係を描いたものだが、助っ人できた黒人刑事がエライ目にあうシーンが続く。
「グローリー」を見て、とっさにこの映画を思い出した。暴力的に白人を痛めつける場面がずっと続くのには驚く。さすがに今はこんな感じではないと思うが、保守的な人が多いエリアではどうなっているのであろうか?

「血の日曜日事件」が全米に報道され、多数の白人をはじめ、全米から行進に多数参加する場面には救いがあった。

グローリー/明日への行進
キング牧師の非暴力運動の実像


夜の大捜査線
黒人差別の激しい州で活躍する敏腕黒人刑事
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映画「ブリッジ・オブ・スパイ」 トムハンクス&スティーヴン・スピルバーグ

2016-01-11 05:02:13 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ブリッジオブスパイ」を映画館で見てきました。


スティーヴンスピルバーグ監督の新作は、トムハンクス主演でコーエン兄弟が脚本を担当しているという。超豪華なメンバーでつくられた作品だ。冷戦時代にアメリカで逮捕されたソ連のスパイをトムハンクス演じる弁護士が裁判で弁護するという話だ。
彼が演じるジェームズ・ドノヴァンという弁護士のことはこれまでまったく知らなかったが、すごい人だ。民主主義社会ではすべての人に公明正大に裁判を受ける権利があるということで、敵対国のスパイを弁護する。また、ソ連上空を偵察機で飛行していて爆撃を受け捕虜にされた米軍兵とアメリカで留置されているソ連スパイの交換交渉にもあたる。ものすごく行動力のある人のようだ。
スピルバーグ監督作品ならではの安定感のある映画で、無論トムハンクスも好演だが、ソ連のスパイを演じた俳優マーク・ライアンスの演技が抜群によかった。

1957年アメリカとソ連との冷戦が続いていた。お互いにスパイを忍ばせて情報収集にあたっていた。ソ連からニューヨークに来て密かに諜報活動を行っていたスパイのルドルフ・アベル(マーク・ライアンス)の身柄が確保された。民主主義国家アメリカでは弁護人をたて公明正大に裁判をやることでソ連とは違う立場をとることにした。その時保険関係の裁判を得意にしていた弁護士ジムドノヴァン(トムハンクス)に弁護の依頼が来た。いやいや引き受けたドノヴァンはアベルと面会したあとは、徹頭徹尾無罪を主張する。

陪審員からは有罪の決断がなされたが、両国における政治の駆け引きを考慮して、判事に死刑を避けるように申し出て、結果的に懲役30年の判決が出された。世論はなぜ死刑にしないのかと猛烈に反発した。しかも、ドノヴァンは最高裁に上告するということで、国賊扱いされ、自宅に銃弾が撃ち込まれる始末まであった。


アメリカ空軍はソ連の上空2万1000メートルの高さで偵察機を飛ばしていたが、ソ連軍に撃沈された偵察機のパイロットであるパワーズがソ連で捕虜にされていた。米露両国は互いに敵対していたが、アメリカの国務長官ダレスがドノヴァンを呼び出し、実際には政府の依頼ではあるが、秘密裏に民間人の立場でソ連のスパイで留置されているアベルを交換する交渉を依頼される。そしてドノヴァンは交渉のために東ベルリンへと向かう。手探りでおこなう交渉は難航するのであるが。。。

1.トムハンクス
「キャプテン・フィリップス」と「ウォルト・ディズニ―の約束」以来軽いブランクがあった。トムの弁護士役というと、エイズ裁判でアカデミー主演男優賞を受賞した「フィラデルフィア」が印象に残る。ただ、あの映画では実際にはデンゼルワシントンが弁護に立って、エイズで弱り切ったトムハンクスを助けるというやつれ役だ。ここでは堂々とソ連スパイを弁護し、米露両方に留置されている2人を交換する交渉にあたるのだ。まさに交渉人だ。正統派レジメンタルタイでスーツを着こなし、50年代の雰囲気を醸し出す。立場の違うソ連スパイであるアベルとの友情がこの映画の見どこるで、ラストに向かっていい感じだ。


2.マーク・ライアンス
いきなり自画像を描いている場面が映し出される。ふけたオヤジだ。一体誰だ?どうも彼がソ連のスパイのようだ。FBIとニューヨークの地下鉄付近で捕りもの劇を演じる。途中ボブマーレイに似ていると思ったけど、違う。履歴をみると、演劇で活躍してきた人のようだ。激情とは無縁の無表情で淡々と演じているが、実に渋い。本当のスパイって007みたいな動的でなくこんな静的な感じの人なんだろうか?各種賞レースで助演男優賞の候補になっているようだが、これはもらっても全然おかしくない。お見事というしかない。(ネタバレだが)最後の橋の場面で見せる弁護士ドノヴァンを信じる一言にはジーンときてしまった。


3.雪の降るベルリン
資料を見ると、実際にベルリンでも撮影されたようだ。雪が激しく降る中で、廃墟のような東ベルリンでのトムハンクスの交渉は難儀する。雪の降る中、貧しい東ドイツの若者にコートを奪われてしまい、寒そうに歩く場面が気の毒だ。最後の橋のシーンでは実際に交換が行われたグリーニッケ橋で撮影され、メルケル首相が見学に来ていたそうだ。東ドイツ政府がベルリンの壁をつくったのは1961年、これを越えようとして200名もの人が殺されたという。映像でも殺された場面が出てくる。


4.アメリカ史から類推すると
もともとアメリカのダレス国務長官はソ連に対して強硬な姿勢をとっていた。ところが、1956年ソ連のフルシチョフ首相が劇的なスターリン批判をおこなった以降は雪どけ政策に転換する。ソ連のスパイが死刑にならなかったのにはこういった背景もあったのであろう。でも結局ダレスは1959年4月に国務長官をやめ、翌月がんで亡くなっている。この映画では主人公ドノヴァン弁護士ダレス長官が会い、交渉を依頼されている。当然亡くなった1959年より前に会っていることなので、ベルリンでの交渉より3年ほど前ということになる。映画ではすぐさま交渉しているようにみえるが、この間、1960年5月1日のU-2撃墜事件が起きパイロットがつかまり、ベルリンの壁が1961年にでき、経済学を勉強する1人の学生がつかまるという映画の構図である。実際には米ソで交換を成立させたのは1962年民主党のケネディ政権になってからなのだ。

50年代のアメリカの映像も白黒テレビの映像も交えながらいい感じだ。いつもながら思うけど、アメリカ映画では50年代の自動車がいつもふんだんに出てくる。一体どんな所に保管されているんだろうと思ってしまう。トムハンクスの妻役のエイミーライアンがいかにも50年代の雰囲気を醸し出していて、子供の使い方では天下一品のスピルバーグらしく3人の子供たちも映画に良い味付けをしている。

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映画「真夜中のゆりかご」

2016-01-10 19:16:59 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「真夜中のゆりかご」は2015年日本公開のデンマーク映画だ。

これは実によく練られた上質のサスペンス映画だ。
刑事が、生まれてまだ数ヶ月で急死した自分の息子と、捜査で知り得た麻薬常習犯の息子をとっさの判断で取り替えてしまう話である。
デンマークには行ったことがない。ここで見る限り、水辺の風景が美しい。それをバックにした家族の映像と下層社会に生きる親子のドツボぶりを対比させながらじっくり映画を作り上げている。本来サスペンス映画ではないが、ストーリーは一筋縄ではいかず、次にどうなるのであろうかと画面に目をくぎ付けにさせてしまう。実にスリリングでここでは脚本のうまさが光る。

敏腕刑事のアンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)は、美しい妻アナ(マリア・ボネヴィー)と乳児の息子とともに、湖畔の瀟洒な家で幸せに暮らしていた。

そんなある日、通報を受けて同僚シモン(ウルリッヒ・トムセン)と駆けつけた一室で、薬物依存の男女と衝撃的な育児放棄の現場に遭遇する。方、夫婦交代で真夜中に夜泣きする息子を寝付かせる日々は愛に満ちていた。だが、ある朝、思いもよらぬ悲劇がアンドレアスを襲い、彼の中で善悪の境界線が揺れ動いていく…。(作品情報より)

1.取り違えっ子
福山雅治主演「そして父になる」では生まれた病院での取り違えで、まったく家庭環境の違うところでしばらく育つ2人に焦点を合わせる。クリントイーストウッド監督「チェンジリング」では行方不明の子供が突然見つかるという知らせを受け会ってみると、まったく違う子だったのに、警察がそれを認めず押し付けるという話である。そういった話とは今回は違う。


刑事が通報を受けて押し入った家にいる赤ちゃんと、死んでしまった自分の子を取り替えてしまうのだ。これは犯罪だ。幼い頃に養子に入った赤ちゃんは、思春期過ぎになるまで自分が育ての親から生まれた本当の子供と思って育つ。そのまま両親が育ててしまえば、わからないんだろうなあと思いながら映画を見ていくと、アッと驚くような行動に妻が出てしまうのだ。

2.ストーリー展開(ネタバレあり)
通報を受けて押し入った部屋で、主人公の刑事はうんこまみれになっている赤ちゃんを見つける。ほったらかしにしてもちょっとひどすぎる。しかも、父親は麻薬の常習犯だ。でも子供を認知していない。幼児虐待で子供を激しくいたぶりニュースに出る父親ってこんな感じの奴なんだろうなあと思ってしまうような奴だ。この父親のセリフによれば、母親も「客に生でやらせる女だ」なんて言うわけだから売春まがいのこともしているのだ。そんな最悪の家庭環境にいる赤ちゃんなら、育児の怠慢で子供を死なせちゃったと思わせても大丈夫だろうと刑事は思い、深夜にこっそりとりかえる。両親は麻薬を打った後でぐったり寝込んでいる。


死んでしまった子供と別の子供が入れ替わったことを知り、刑事の妻は動揺するが、じきに慣れていく。それで済むなら、越したことはないけど、次から次へと事件が起こる。このあたりは念入りに伏線を置きながら不自然にならないようにストーリーを作り上げていく。実にうまい。

主人公が住む湖畔?の家が素敵だ。北欧らしい木製サッシで、壁は少ない家だ。各部屋の大きさがかなり広い。でも、単なる刑事がこんないい家に住むのかな?と思ってしまう。あくまでドツボっている家庭との対比を見せるためであろう。独特な暗いムードに包まれながら、非常に巧みに映画をつくっているという印象を持った。ドツボ側の母親がいかにもアバズレという演技をしていたが、なかなかうまかった。途中から彼女の存在感が高まる。狂っていると警察に思われ精神病院に押し込まれてしまう映画「チェンジリング」のアンジェリーナ・ジョリーを思わず連想してしまう展開である。最後に向けて、思わぬ父子の再会がある。この作り方もうまい。


正月から昨年公開の旧作DVDをかなり見たが、一番よくできている映画だった。

(参考作品)
真夜中のゆりかご
刑事による赤ちゃんの取り換え
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映画「完全なるチェックメイト」 トビー・マグワイア

2016-01-06 20:21:19 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「完全なるチェックメイト」を映画館で見てきました。


映画「ボビーフィッシャーを探して」というチェス好きの少年の成長物語がある。そこでチェスの名人ボビーフィッシャーという名前は知ったが、どういう人物だったのかは知らない。今回スパイダーマンのトビー・マグワイアボビーフィッシャーを演じるというのも見に行きたいと思った理由だ。超人的な能力を得てもどこかナイーブな姿を見せていたスパイダーマンでのトビ―の演技が好きで、勝負の駆け引きをどう演じるのかが気になっていた。

ここではブルックリンで育ったボビーフィッシャーの子供のころからの成長物語と最強チェス王者ソ連のボリス・スパスキーとの世界王者をめぐって対戦する試合の様子を描く。50年代から70年代の世相を選曲のいい音楽を合わせながら的確に映し出しているのに好感が持てる。頭の使いすぎなのか精神が不安定になっているボビーフィッシャーの奇怪な行動をトビ―・マグワイアが表情豊かに演じている。
ただ、2人の対戦が終わった後、あっけなく映画が終了してしまう。あれ??これで終わりなの。と思ってしまうのは何か物足りなかったのかもしれない。

ブルックリンに生まれたボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)は幼い頃からチェスの才能を発揮し、1958年に史上最年少の15歳でグランドマスターとなる。弁護士ポール・マーシャル(マイケル・スタールバーグ)を代理人にし、チェスの名手ビル・ロンバーディ神父(ピーター・サースガード)をセコンドに付けたボビーは快進撃を展開する。


だが、IQ187の天才はチェスにのめり込むあまり精神のバランスを崩し、奇妙な言動が増えていく。1972年、ボビーはいよいよソ連のボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)への挑戦権を手に入れてアイスランドのレイキャビクで対決する。当時は冷戦時代、この勝負には米露両国の威信がかかっていたのだ。


小学校の時、チェスの盤を買ってもらって友人と遊んだことがある。でも全くうまくならなかった。将棋とちがうのは得た駒を打つことができないことだが、駒の進み方は将棋と似ている。電脳チェスがチェスのチャンピォンを破った記事が気になってもう一度トライしようとしたが、歳を重ねた後では難しかった。

ボビーフィッシャーも幼くしてチェスが好きになり、腕自慢の大人をまかすほど強くなる。日本の将棋名人たちは神童と周りに認められると、小学生時代から奨励会に入ってプロの道を歩んでいく。大学からスタートして奨励会育ちの神童たちに追いつくことなんかそうはできない。チェスも将棋も同じようなものだろう。我々には到達できないエリアだ。

1.トビー・マグワイアとリーヴ・シュレイバー(少しネタバレあり)
トビー・マグワイアも以前ほど主演作が多くはない。この映画でも製作に携わっているが、むしろプロデューサー業に関心を持っているのかもしれない。最近作「華麗なるギャツビー」のニックキャラウェイ役は適役だったし、ボビーフィッシャーの奇行も表情豊かなトビ―ならではの絶妙な演技でこなす。


でも、この映画でうまくいったのはライバルであるボリス・スパスキー役のリーヴ・シュレイバーのキャスティングであろう。比較的冷静沈着なのに、自分の立場が悪くなってきて見せるパフォーマンスがおもしろい。それにしてもあの場面での拍手って実際でもやったのかな?中盤というよりも序盤から新手の連発だったようで、とてつもない「常識外の新手筋」だったのであろう。勝負はあくまで2人なので受ける方の演技がうまくいかないとダメなだけによかった。

2.冷戦時代
いつのまにか冷戦時代の米露両雄ニクソンとブレジネフの代理対決になっている。キッシンジャーからボビーフィッシャーに直接電話が入ったり、スパスキーが優勢になったことでブレジネフが機嫌がよくなって19世紀の貴重な酒に手をつけたりする言葉が妙におもしろい。

3.60年代から70年代にかけてのバックミュージック
味のある曲が流れていて、いずれも映像にぴったり来ていた。
その中の3曲をピックアップ、どれもこれも好きだ。

まずはベンチャーズ「ウォークドントラン(急がば廻れ)」
日本でもいまだにファンが多いよね。全米ヒットチャート2位
全盛時代の映像です↓リードギターのノ―キーエドワーズも若い



CCRの「トラベリンバンド」
CCRは全米ヒットチャートでこの曲も2位だ。CCRは2位が多いんだよね。。
これもその曲の一つで、リトルリチャードばりのオーソドックスなロックンロール



ドゥービ―ブラザース「リッスントゥザミュージック」
このバンドだとすぐサーファーロックの「チャイナグローブ」か「ロングトレインラ二ング」だけど、これもいい感じだよ。



(参考作品)

完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯
文章でボビーフィッシャーの生涯を追うノンフィクション


ボビー・フィッシャーを探して
ボビーフィッシャーに憧れるチェス好きの少年の成長物語


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年末に和歌山へ

2016-01-02 09:26:14 | 家族
忙しい年末の日が続いた。
この12月は本当にいろんなことがあった。ブログもかけなかった。
最後に妻の母が突如亡くなった。入院していたが、容態が急変した。
通夜を30日、告別式が31日となりあわてて妻の実家のある和歌山に向かう。


朝の紀の川、水量が多い。遠くに見えるのは住友金属の和歌山製鋼所で、妻の父親が働いていた。
自分も和歌山にいるときはここで水上スキーをやった。


31日葬儀をすべて終えた後、市内中心部へ
まさに中心の商店街ぶらくり丁にはほとんど人が歩いていない。
横は和歌山を代表する地銀の紀陽銀行本店

倒産した丸正百貨店のあとは、中途半端なショッピングスペース
ここにも人がいない
(調べたら島精機の創業者一族が株主の会社が所有しているらしい。さすがにつぶれないでしょう。)

メインストリート本町通、さみしいものだ。

大阪は次から次へと変貌を遂げるが、和歌山はすたれる一方
31日夜、駅ビルをはじめとして店がほとんど6時にしまってしまい、食事の行き場所がなく困ってしまった。県庁所在地の主要駅でなんでそうなるの?どこもなくチェーンの居酒屋に入るしかない。オーダーしても全然出てこない。最悪!!
31日の朝、中国人が大挙して朝食会場に来ていて驚いた。大阪のホテルが予約できないという噂だから、和歌山にもながれているんだろうか。のんびりしている和歌山人は南紀白浜の人を除いてはインバウンドで儲けるなんてことはあまり考えていないだろう。

翌日元旦は妻の父などが眠る四天王寺へ
あべのハルカスも借景でよく見える。

初詣客はいたが、それほど多いというわけではない。大阪の人は戎さんとか行くだろう。
それにしても、泥棒と思しき事件であるマンションまわりに警察がいたり、コンビニのゴミボックスの中を浮浪者があさっていたり、相変わらず治安はよくなさそうだ。

昼飯にうどんやにはいるとこんなメニューが

大きなたこ焼きが2個はいっているうどん。
こういうのはさすがに東京では見ないなあ。こういうアイディアは関西人ならではだ。
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2015年に読んだ本

2016-01-01 18:30:27 | 
1.いつも彼らはどこかに 小川洋子
2.多元化する能力と日本社会 本田由紀◎◎
3.創造の方法学 高根正昭
4.スプートニクの落とし子たち 今野浩◎
5.誤解学 西成活裕
6.「灘→理Ⅲ」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方 佐藤亮子◎
7.武器としての交渉思考 瀧本哲史◎
8.続 見える学力見えない学力 岸本裕史
9.商売心得帖 松下幸之助
10.仕事の手帳 最相葉月
11.不平等社会日本 佐藤俊樹
12.階層化日本と教育危機 刈谷剛彦◎
13.教育の職業的意義 本田由紀
14.00年代の格差ゲーム 佐藤俊樹
15.ダニエル・カーネマン心理と経済を語る。 ダニエル・カーネマン
16.裸の経済学 チャールズ・ウィーラン 
17.自由の条件 フリードリッヒ・ハイエク
18.脳には妙なクセがある 池谷裕二◎
19.工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち 今野浩
20.物語論で読む村上春樹と宮崎駿 大塚英志
21.教育改革の幻想 苅谷剛彦
22.迷宮の花街 円山町 本橋信宏
23.常識人の作法 加藤秀俊
24.餃子の王将社長射殺事件 一橋文哉◎
25.学力と階層 苅谷剛彦
26.サマる技術 船登惟希◎
27.間違えだらけの学習論 西林克彦◎

28.新資本論 トマ・ピケティ  
29.わかったつもり 読解力がつかない本当の理由 西林克彦
30.創造的論文の書き方 伊丹敬之
31.死ぬまでに見たい洋館の最高傑作
32.フィールドワークの技法 佐藤郁哉◎
33.キャラクター小説の作り方 大塚英志◎
34.「機会不平等」論 橘木俊詔◎
(1月合計34冊)
35.勉強法の科学 市川伸一
36.学び方の科学 辰野千壽
37.学ぶ意欲とスキルを育てる 市川伸一
38.心理学から学習を見直す 市川伸一
39.見える学力、見えない学力 岸本裕史◎
40.勉強法が変わる本 市川伸一
41.ニッポン欲望列島 本橋信宏
42.建築とモノ世界をつなぐ 松村秀一
43.複眼の映像 私と黒澤明 橋本忍◎
44.裁判官が日本を滅ぼす 門田隆将
45.プロの知的生産術 内田和成◎
46.科学で勝負の先を読む ウィリアム・パウンドストーン
47.人はいかに学ぶか 稲垣佳世子、波多野誼余夫
48.1秒24コマの美 古賀重樹
49.A6ノートで思考を地図化しなさい 松宮義仁
50.すべて僕に任せてください。 今野浩
51.映像から音を削る 武満徹
52.君に友達はいらない 瀧本哲史
53.人はなぜ約束の時間に遅れるのか 島宗理
54.A6ノートで思考を地図化しなさい
55.「建築学」の教科書
56.人はなぜ忘れるのか 
57.映画監督への道
58.認知心理学 心のメガ二ズムを解き明かす 
59.凡才の集団は孤高の天才に勝る  キースソーヤー
60.HOT PEPPERミラクルストーリー 平尾勇司◎◎
(2月合計26冊)
61.タックスヘイブンの闇
62.工学部ヒラノ教授の青春 今野浩
63.ソニーはなぜ不動産業をはじめたのか 茂木俊輔
64.あなたの勉強法はどこがいけないのか? 西林克彦
(3,4月 多忙すぎて本読めず)
65.現場主義の知的生産法  関満博
66.流通大変動 伊藤元重
67.商店街はなぜ滅びるのか  新雅史
68.あんなお客も神様なんですか? 菊原智明
69.不労所得のつくり方 吉川英一
70.年収は「住むところ」で決まる エンリコ・モレッティ◎
71.世界が日本経済をうらやむ日 浜田宏一 安達◎
72.イノベーションのジレンマ  クレイトン・クリステンセン
73.取材学 加藤秀俊
74.三越伊勢丹ブランド力の真髄 大西洋◎
75.ビジネスは非言語で動く 博報堂
76.ヤル気の科学 イアンエアーズ
77.人生と投資で成功するために ジム・ロジャーズ
78.地名に隠された東京津波 谷川彰英
79.知識ゼロからのマインドフルネス
80.リーダーは自然体 
81.リスクにあなたは騙される 
82.ヴァージン流 世界を変える非常識な仕事
83.クリステンセン経営論 クレイトン・クリステンセン◎
84.社長は少しバカがいい 鈴木
(5月)
85.稼ぐまちが地方を変える 木下斉◎
86.ストレスフリーの仕事術 デビッドアレン◎
87.黒い迷宮 リチャード ロイド パリー◎◎
88.スタアのいた季節 中島賢◎
89.絶歌 元少年A◎

90.東京パワスポ散歩 まのとのま
91.学生による学生のためのダメレポート脱出法 慶應義塾出版会
92.住宅 安藤忠雄
93.日本の絶景&秘境100
94.東京B面ぶらぶら散歩 まのとのま
95.香港無問題 池上千恵
(6月)
96.マカオノスタルジック紀行 芹澤和美
97.学力の経済学 中室牧子◎
98.他力本願 押井守
99.エレクトラ 中上健次の生涯 山文彦◎◎
100.えんぴつ1本で始めるスケッチ手習い帖
101.映画を書くためにあなたがしなかればならないこと
102.全身翻訳家 鴻巣友季子◎
103.1日ひとつだけ強くなる 梅原大吾
104.ろくでなし 小島武夫
105.植草甚一スタイル
106.翻訳教室 鴻巣友季子
107.ノンフィクションの書き方 
108.勝てる「資料」をスピーディーに作るたった1つの原則 喜多あおい
109.建築デザインの解剖図鑑 スタジオワーク◎
110.傑作から学ぶ映画技法完全レファレンス
111.映画脚本100のダメだし
112.生きて帰ってきた男 小熊英二◎
113.成功する人は2時間しか働かない。ジョシュ デイヴィス
114.イラストルポの時代 小林泰彦
115.まちを歩く
(7月)
116.東京六花町 浅原須美
117.日本魅録 香川照之
118.なぜ一流はその時間をつくりだせるのか 石田淳
119.誰も教えてくれない人を動かす文章術  齋藤孝◎
120.赤を身につけるとなぜもてるのか タルマ・ローベル
121.1行バカ売れ 川上徹也
122.数学に感動する頭をつくる 栗田哲也◎
123.セールスのプロが教える!相手を思いどおりに動かす超数字術 菊原智明
124.だから日本はズレている 古市憲寿
125.小説家になる方法 清水義範
126.エッセイ脳 岸本葉子
127.大放言 百田尚樹◎
128.わが封殺せしリリシズム 大島渚
(8月)
129.アナログ主義の情報術 岩中祥史
130.歴史の作法 山内昌之
131.人の心を見抜いて成功する法 井原哲夫
132.職業としての小説家 村上春樹◎
133.超集中法 野口悠紀雄

134.断片的なものの社会学 岸政彦
135.水曜日の凱歌 乃南アサ
136.生身の暴力論 久田将義◎
137.窓と街並みの系譜学 東京工大 塚本研究室
138.上手な旅行記の書き方 岳真也
139.書いて稼ぐ技術 永江朗
140.シナリオ虎の巻 新井一
141.私の60年代 山本義隆◎◎
(9月)
142.頭の回転が速い人の話し方 岡田斗志夫
143.「空き家」が蝕む日本 長嶋修
144.教室カースト 鈴木翔
145.社会を結びなおす 本田由紀
146.キャロル夜明け前 ジョニー大倉
147.現代小説の方法 中上健次
148.涙の川を渉るとき 遠藤実◎
149.磁力と重力の発見2 山本義隆◎
150.「多様な意見」はなぜ正しいのか スコット・ペイジ◎

151.翻訳のこころ 鴻巣友季子
152.数字は武器になる 野口悠紀雄
153.超階級(スーパークラス) デヴィッド・ロスコフ◎
154.紀州木の国・根の国物語 中上健次◎
155.ヒトラーの科学者 ジョン・コーンウェル◎◎

156.それぞれの東京 川本三郎
157.十八歳海へ 中上健次
158.深夜特急2 沢木耕太郎
159.この店あの場所 松浦弥太郎
160.超思考 北野武
161.岬 中上健次
(10月)
162.日本売春史 小谷野敦
163.中上健次 路地はどこにでもあるか
163.みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記  星野博美◎◎
164.発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学  ジェイコブズ
165.戦争論(上) クラウゼヴィッツ(何度も読んでいる)
166.ラオスに何があるというのですか 村上春樹
167.本物の教養 出口治明
168.「読まなくていい本」の読書案内 橘玲
169.安売り王一代 安田隆夫◎
170.23区格差 池田利道◎◎

(11月)
171.映画を見る眼 小栗康平
172.イザベラバード「日本奥地紀行」を歩く 
173.記憶と沈黙 辺見
174.賢者の投資、愚者の投資 山崎和邦◎
175.のめりこませる技術 フランクローズ
176.解決!空き家問題 中川寛子
177.戦略がすべて 瀧本哲史◎

178.平成史 小熊英二
179.損したくない日本人 高橋秀実
(12月)

◎◎は非常に好き、◎はよい。
3,4月に忙しくてまったく本が読めなかった。
12月もだめ
結局2013年202冊→2014年278冊→2015年179冊
映画ともども量がこなせなかった1年だった。
本田由紀さんの本の構成の仕方はさすがだ。学術本ってこういうふうに書くんだなという見本だ。もともと自分とは思想が違う人だけど、山本義隆の「私の60年代」は綿密に資料を調べて、的確に引用を重ねて本を作り上げていく。「磁力と重力の発見」の時も感じたが、単なる学園紛争経験者とは知性に大幅な違いがあることを感じる。でも27年で一番好きだったのは「みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記」星野博美著だな。普通の日本史の教科書で触れられていない、江戸時代のキリシタンたちの悲しい殉死の歴史が淡々と語られる。お見事であった。
ルーシー・ブラックマン事件と織原受刑者の過去を追った「黒い迷宮」リチャード ロイド パリー、第一次大戦の毒ガス製造からドイツの科学者による科学の軍事利用の歴史を著述する「ヒトラーの科学者」ジョン・コーンウェルもノンフィクションとしては超一級品だ。

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2015年見た映画

2016-01-01 18:16:08 | 映画 ベスト
1.仁義の墓場◎
2.オーファーザー
3.バッドガイ 反抗期の忠面の男
4.図鑑に載っていない虫
5.紀子の食卓
6.殺人の疑惑
7.あと1センチの恋◎
8.百円の恋◎◎
9.野いちご
10.今日子と修二の場合
11.処女の泉
12.ニシノユキヒコの恋と冒険
13.0.5ミリ◎
14.運動靴と赤い金魚
15.薄氷の殺人
16.ジャッジ
17.怪しい彼女◎
18.イントゥザストーム
19.第七の封印
20.友よさらばといおう
21.インスタント沼
22.ビッグアイズ◎
23.コフィー
24.TOKYO TRIBE
25.ジゴロ・イン・ニューヨーク
26.二つ目の窓
27.サードパーソン
28.ポルトガルここに誕生す
29.女の園
30.罪の手ざわり
31.楊貴妃
32.恋の棘
33.アメリカンスナイパー
34.フォックスキャッチャー◎◎
35.シェフ◎
36.イミテーションゲーム エニグマ
37.ステイコネクティッド
38.グレートビューティ追憶のローマ◎
39.監視者たち
40.レクイエム 最後の銃弾
41.FRANK
42.あやつり人形
43.私の息子
44.マルティニ―クからの祈り
45.バツイチは恋のはじまり
46.リスボンに誘われて
47.イン・ザ・ヒーロー
48.バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡◎
49.旅人は夢を奏でる
50.不思議な岬の物語▼
51.イコライザー
52.ケープタウン
53.マダムマロニーと魔法のスパイス▼
54.サイレントパートナー
55.超能力学園Z
56.月下の恋
57.殺したいほど愛されて
58.ゲノムハザード
59.龍三と七人の子分たち◎
60.カリフォルニア・ドールズ◎
61.ビリギャル
62.ニンフォマニアック2
63.フランシス・ハ
64.ブラック・ハット
65.拓瑠坂の仇討◎
66.グランドセントラル
67.アバウト・タイム
68.泣く男
69.トワイライトささらさや
70.サンドラの週末
71.イニシエーションラブ◎
72.新宿スワン
73.夜はいじわる
74.黒蜥蜴
75.夜の蝶◎
76.夜の河
77.海街ダイアリー
78.禁忌
79.ニューヨークのパリ夫▼
80.真夜中の五分前
81.ソニはご機嫌ななめ
82.トラッシュ
83.墨東奇譚(山本富士子)
84.マッドマックス怒りのデスロード
85.きみはいい子
86.インヒアレント・ヴァイス
87.スキマスキ
88.嗤う分身
89.イロイロ
90.激戦 ハートオブファイト
91.フレンチアルプスで起きたこと
92.アニー
93.欲動◎
94.GF*BF
95.花宵道中
96.K2初登頂の真実
97.新宿泥棒物語
98.セバスチャン・サルガト 地球へのラブレター
99.やぶにらみニッポン
100.日本の悲劇◎
101.にっぽん昆虫記◎
102.博士と彼女のセオリー◎
103.自由が丘にて▼
104.ミッションインポッシブル・ローグネーション◎
105.六月燈の三姉妹
106.ウォーリアー◎
107.KANO 1931海の向こうの甲子園
108.浮城
109.ラブ&マーシー終わらないメロディ◎◎
110.この国の空
111.暁の脱走
112.愛のタリオ
113.最後まで行く◎
114.ザ・ギャンブラー
115.海を感じる時
116.ナイトクローラー◎
117.長崎ブルース
118.サニー永遠の仲間たち
119.500日のサマー
120.ホタル
121.ギリシャに消えた嘘
122.ガガーリン
123.女神は二度微笑む
124.おみおくりの作法◎
125.セックスチェック 第二の性◎
126.恋の渦
127.見知らぬ乗客
128.セブンイヤーズインチベット
129.カリフォルニア・ダウン
130.赤い玉
131.セッション◎
132.鰻の男
133.味園ユニバース
134.深夜食堂
135.からっ風野郎
136.わたしに会うまでの1600キロ
137.パパの遺した物語
138.JIMI栄光への軌跡
139.バクマン◎
140.ミツバチのささやき
141.ゼロの未来
142.アメリカンドリーマー
143.ジョンウィック
144.ドローン・オブ・ウォー◎
145.アクトレス
146.カミーユ 恋はふたたび
147.忍びの者
148.誘惑
149.白河夜船
150.ジヌよさらば
151.マジックインムーンライト
152.私の少女◎
153.読書する女
154.コードネームUNCLE
155.サンバ
156.ホワイトゴッド◎◎
157.さまよう刀
158.FOUJITA
159.愛人
160.プーサン
161.ピクセル
162.スライストーン◎
163.妻への家路
164.ピッチパーフェクト
165.ジェームス・ブラウン◎
166.海にかかる霧
167.007スペクター
168.第三の男◎
169.イタリアは呼んでいる
170.WISH I WAS HERE
171.靴職人と魔法のミシン◎
172.ウォント・バック・ダウン
173.グッドライ
174.マイデンジャラスビューティ
175.クリード◎
176.恐怖分子
177.チャッピー
178.マイファニーレディ

今年は忙しくて見る本数が昨年より大幅ダウンしてしまった。
記事も全然かけなかった。
年末も妻の母上が亡くなったりして関西へ行ったりあわただしかった。
2009年 254本、2010年 222本、2011年 210本、2012年 191本、2013年 216本、2014年 258本
近年最低だ。

◎◎がものすごく好き ◎が好き
「百円の恋」「フォックスキャッチャー」「ラブ&マーシー終わらないメロディ」「ホワイトゴッド」「セッション」あたりが上位かな。次は「ナイトクローラー」「最後までいく」あたりか
キレのよいところで旧作を除き10作にするならあとは「バクマン」「クリード」「ミッションインポッシブル・ローグネーション」
「龍三と七人の子分たち」「イニシエーションラブ」も大好きだ。
これはあくまで自分の好み
コメント
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