映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ナイトクローラー」 ジェイク・ギレンホール

2015-08-26 19:09:10 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ナイトクローラー」を映画館で見てきました。

夜のロスを舞台にした、スリリングでドキドキしながら楽しめる快作だ。
ジェイク・ギレンホールの一人舞台の怪演が光る。


テレビのワイドショーでは凶悪犯罪の報道にかなりの時間がかけられているのは、日本もアメリカも同じだ。日本でもときおり読者提供と称されるすごい映像が見れることがある。ここでは警察無線を傍受して事件現場に一目散に駆けつけ、きわどい映像を映し出してそれをテレビ局に売り飛ばす男の物語である。

この男はワルである。
そもそもコソ泥した盗品を買い取り業者に引き取らせることを生業としている悪いやつだ。その男がひょんなことから、事件現場の映像をテレビ局に売りつけると、金になることを知りはまっていく。映画の中では軽い紆余屈折があるが、この男は生活力がありたくましい。ひと時代前だったら、こういうワルの手口を成功させようとすると、映倫系で厳しいチェックが入ったはずだが、最近はどうなんだろう。
ワルが有利に話を終えるパターンも割と多く、最後までどっちに転ぶかヒヤヒヤして見れる。
眠気を全く起こさせないように映画は一気に2時間駆け抜ける。面白い!!お見事!

眠らないロサンゼルスの街で、闇にまぎれて金網を盗もうとしている男(ジェイク・ギレンホール)がいる。呼び止める警備員を殴り倒した男は、戦利品を車に載せて工場に売りつける。そこで男は自信満々で自分を売り込み、「コソ泥は雇わない」と断られても笑顔で去って行く。この不気味な男の名は、ルイス・ブルーム。友達も家族もなく、ネットとテレビと共に孤独に暮らしている。

帰り道、交通事故現場を通りかかったルイスは、事件や事故報道のスクープを専門にしている映像パパラッチ、通称〈ナイトクローラー〉と遭遇する。悲惨な映像がテレビ局に売れると聞いたルイスは、盗んだ自転車と交換にビデオカメラと無線傍受器を手に入れる。
その夜から警察無線を盗み聞き、車で現場に急行するようになったルイスは、カージャックの被害者の撮影に成功する。しかも先に到着していたナイトクローラーより接近した生々しい映像だ。


あるテレビ局に早速映像を持ち込むと、女性ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)が映像を買い取ってくれた。そこで「視聴者が求めているのは、刺激的な画。さらに望ましいのは被害者が郊外に住む白人の富裕層で、犯人はマイノリティや貧困層。」とアドバイスをもらう。ルイスは、何か撮ったら一番に彼女に連絡すると約束するのだった。

 本格的に事業を始める決意をしたルイスはアシスタントを募集し、面接に来た住所不定で何の特技もないリック(リズ・アーメッド)を僅かな賃金で雇う。助手席で進路を指示する仕事さえ満足にできないリックを冷酷に叱咤するルイス。 


 ある夜、住宅街の発砲事件に駆けつけるが、負傷者もなくハデな映像は撮れそうになかった。ルイスは被害宅の裏に周りこみ、関係者たちの隙をついてコッソリ中に忍び込み、冷蔵庫の生々しい銃弾跡の横に家族の写真を置いて撮影する。映像を持ち込まれたニーナは「最高の素材よ!」と絶賛、編集担当の「不法侵入だ」という制止を振り切って放映する。
 それからもセンセーショナルなスクープ映像を次々にモノにしたルイスは、車はスピードの出る赤い高級車に、機材も最新型に買い替える。壮絶な横転事故の無線を傍受した時も、その車で誰よりも早く現場に駆け付け、絶好のアングルのために、ルイスは血だらけの遺体を車の下から引きずり出すという暴挙に出る。


ネットで学んだビジネスノウハウや格言を狂信し、成功だけに邁進するルイスに、怖いものなど何もなかった。そんな絶頂への階段を駆け上がるルイスに、思わぬ落とし穴が待っていたが。。。(作品情報引用)

夜のロスアンゼルスを描いた作品なので期待して見に行った。ロスには魔物が住んでいるとよく言われる。サスペンスもので比較的新しいのでは「カリブの熱い夜」「マルホランドドライブ」と現代の夜のロスを的確にとらえた傑作が多い。その期待はまったく裏切らなかった。
最新の「ミッションインポッシブル」は娯楽として実に楽しめたが、最終的にイーサンハントが死ぬわけがないという先入観がある。ここではワルの設定の主人公が最後までどうなるのかわからない。事件のある場所へ車ですっ飛んで行く姿にはすごいスピード感もあるし、次どうなるのか予測がつかない展開がドキドキさせる。

1.ジェイクギレンホールと主人公
ジェイクギレンホールとは相性がいい。最近ではヒュージャックマンと共演した刑事役の「プリズナーズ」はおもしろかったし、「ソディアック」グゥイネス・パルトロウとの共演の「プルーフオブライフ」も自分の好きな映画だ。

この主人公は高等教育を受けてない。でも弁がたつ。ネットのビジネススクールで学んだという。ビジネス本で語られるようなセリフが次から次へとでてくる。しかも、要領よく生きるすべを知っている。こういうワル賢いやつって日本にもいる。育ちは悪いけど、実生活での「私の大学」を出て生活力のあるたくましい男である。アメリカも一部の高学歴の連中に支えられているようにみえるが、実は悪知恵のはたらくこういった男もかなりいるんだろう。かなりの早口でセリフを全部理解できなかったが、dvd化の時にもう一度セリフをかみしめてみたい気もする。


2.ルネロッソ
主人公ルイスが売り込む先のテレビのディレクターだ。「あれ?どこかで見たことある」と思いつつ、途中でルネロッソだと気がつく。イーストウッドの「シークレットサービス」、メルギブソンの「身代金」はいずれも悪役に切れ味のあるムチャクチャおもしろいサスペンスだし、トラボルタの「ゲットショーティ」もいい。50年代セクシーハリウッド俳優の系譜を受け継ぐ色っぽいルックスには昔から魅了されていたので、懐かしい感じがする。その彼女も60代、何で彼女が起用と思ったら、なんと監督のダン・ギルロイの妻だという。なるほど


ルイスが映像を売り込むと同時に、彼女を口説こうとするシーンがある。「あなたの倍の年齢なのになんでくどくの。。。?」と彼女はためらうが、結局デートすることに。確かにこの2人実年齢も倍近い。さすがにルネロッソは60になってもきれいだけど、いくらなんでも脱げないよね。

3.最後の逸話(ネタバレあり)
ラストに向けて緊張感が高まる。
いつものように警察無線を傍受する。強盗犯らしい。しかも、ニーナがネタになると言っている高級住宅街で起きている。
現場へ速攻で行くと、警察はまだ来ていない。まだ犯人が住宅の中にいてドンパチやっている。それを隠れて撮影すると同時に、犯人の2人が逃げるところをカメラがとらえる。車のナンバーも撮っている。
そのあとで、豪邸の室内に入る。すでに殺されている。それをじっくり映像に撮っていく。


警察がいつ来るのかと思うと、見ているこちらもドキドキしてくる。相棒は外で待っている。全部撮り終わってテレビ局へ向かう。映像を見せるとディレクターはビックリ。同時にギャラのアップ要求を出す。
あまりにきわどさに周囲は放映をとまどうが、ディレクターは思い切ってオンエアーさせる。

放映後しばらくして、刑事の訪問をルイスは受けるが、犯人の顔や車のナンバーについて何も言わない。
そうしているうちに、主人公は犯人の車のナンバーから人物を特定して、密かに内偵する。そして2人が中華料理屋に入っているところを警察に通報するのだ。ここから最後に向けての緊迫感はなかなかだ。予測が立たない。(さすがにこれは見てのお楽しみ)
この展開の見事さに思わずうなってしまった。

(参考作品)
プリズナーズ
ジェイクギレンホール出演犯人が読みづらいサスペンス


身代金
今よりはずいぶんと若いルネロッソ
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映画「浮城」 アーロン・クォック

2015-08-23 12:02:27 | 映画(アジア)
映画「浮城」は2012年の香港映画だ。今年ようやく日本公開となる。


返還前香港で、下層からのステップアップを語った映画は多い。中国本土でひどい貧困を味わい、国境を泳いで香港に逃げてきて苦労して巨万の富を得るというパターンだ。
今回は蛋民(たんみん)という言葉がクローズアップされる。要は水上生活者である。以前は香港を舞台にした映画というとアバディーンのエリアに浮かぶ船が必ず出てきたものだ。それなので、香港に行く前は、かなりの水上生活者が居るのでは思っていたが、自分の知る限りでは90年代にはもう少なくなっていた気がする。

この作品は水上生活者として育った混血の少年が、英国植民地支配の香港社会で高い地位を得ていくまでの苦労を描いた作品だ。
傑作というわけではないが、香港好きの自分は興味深く見れた。

1940年代末、イギリス人と香港女性の間に生まれた子供が、流産したばかりの貧しい蛋民の夫婦に買い取られる。赤ん坊は華泉と名付けられ、船の上で成長。人とは違う外見から“あいの子”と揶揄される彼を、母は、その後生まれた弟妹たちと分け隔てなく可愛がった。

ある日、華泉はプロテスタントの牧師から学ぶことを勧められた。「漁師に学はいらない」と反対する父だったが、母の後押しで船を降り、教会の夜学で文字を学び始める。間もなく父が海で命を落とし、自分が買われた子だと知った彼は、長男として身を粉にして働き出す。


やがて憧れの東インド会社に雑用係として採用されると、21歳にして初めて正式な小学校教育を受けることに。イギリス人の上司から差別的な言葉を投げつけられながらも、華泉(アーロン・クォック)はたゆまぬ努力を重ねて次第に頭角を現していく。反英運動に加担した同僚が逮捕されたことなど関係なく、正社員となり幼馴染みの娣(チャーリー・ヤン)とも結婚、順調に出世の道を歩み続けていた。その頃、アメリカで建築学を学んだエリート女性の菲安(アニー・リウ)が仕事のパートナーとして現れる。


菲安は上流社会での振る舞いを華泉に教え、彼もその知識を吸収していく。ついには中国人として初の重役にまで上りつめたが、華泉は常にどこかで「自分は何者なのか?」と問い続けていた。

時は流れ、香港が中国に返還される時がやってきた。かつて赤ん坊の自分が売られた場所を訪ねた華泉は、自らの出生の秘密について聞かされる。それと同時に、改めて育ての母の深い愛情を知るのだった。(作品情報より)


1.水上生活者
古くは映画「慕情」ウィリアムホールデンジェニファージョーンズがアバディーンまでドライブして船に乗るシーンが出てくるし、「燃えよドラゴン」は香港の水上生活者の船に乗ってブルースリーが登場する。漫画「ゴルゴ31」でも香港というと水上生活のうらぶれた船に悪の巣があるというパターンである。それなので、水上生活者に強い関心を持っていた。当然普通の教育を受けずに育った人ばかりだろう。この映画の主人公は実際運がいいとしか言いようにないラッキーでのし上がった男である。


日本ではほとんど聞かないが、映画「女経」若尾文子が演ずる男をたぶらかす女は川の船で暮らす水上生活者の娘という設定だった。昭和30年代半ばくらいまではいたのであろう。

2.アーロン・クォック
成り上がりの役だが、端正な顔をしているのでハイソサエティの香港人役にも合う。今回はアニー・リウとの恋がいい感じだ。
「コールド・ウォー 香港警察」での警察幹部の役がなかなかピッタリ合っていた。もともと「香港四天王」と言われたアーロンもむしろ30代半ば過ぎてからの活躍が著しい。


3.香港の東インド会社
主人公の勤める会社は、ジャーディンマセソン社がモデルになっている気がする。中国とのアヘン交易の利権を得ようと英国政府をそそのかした悪徳商社のように高校の「世界史」の教科書にも出てくる名前だ。ジャーディン社というと、英国あたりの著名な学校で高等教育を受けた人だけが香港人で偉くなれるイメージがあるので、この映画が実話に基づくというとたいへんな立身出世である。

(参考作品)

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義
アーロン・クオック演じる警察幹部がかっこいい


浮城
香港の水上生活者の成り上がり物語


慕情
1950年代の香港水上生活
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映画「最後まで行く」 イ・ソンギュン&チョ・ジヌン

2015-08-19 09:05:15 | 映画(韓国映画)
映画「最後まで行く」は今年2015年公開の韓国得意のクライムサスペンス映画

これは抜群に良くできているクライムサスペンスだ。今年一番のおすすめである。


ひき逃げ事故を起こした警官がその死体をトランクの中に隠して逃亡する。葬儀があったばかりの母親の棺桶に入れ込んで免れたと思ったら、事故を目撃したという男から電話が入る。かなりしつこそうな奴だ。ドキッとする警官。
電話が入った時は見ている自分までドキッとした。
主人公を徹底的に追い詰める脚本がすばらしく、悪役も徹底的に怖い。サスペンスというよりもスリラーとかホラー的な怖さも備えている。

母の葬儀を抜け出した殺人課の刑事ゴンス(イ・ソンギュン)は、車で警察署へ向かっていた。急遽所内に監査が入ることになり、ゴンスは横領の証拠を隠そうとしていたのだ。しかし、夜道での無謀な運転が仇となり、通行人を轢いてしまう。


ゴンスはひき逃げを隠匿するため、死体を持ち帰り母の棺桶に入れて一緒に埋葬する。数日後、警察内部でこの被害者不明のひき逃げ事件の捜査が始まり、ゴンスが事件の担当となってしまう。そんななか、謎の男からゴンス宛てに電話が入り、電話口で「お前が殺したことを知っている」と囁く……。(作品情報より)

約2時間近く、ずっと目が離せない映画も珍しい。
次に何が起こるのか?!と期待させる。それもびくびくしながらだ。。



自分の母親の葬式当日にもかかわらず、本庁から監査が入ることになり、裏金をもらった証拠を見られたらやばいとあわてて所轄署にもどろうとする矢先に人をひいてしまう。あわててトランクの中に入れる。

そこからは、近くをパトロールするパトカー、飲酒検問する交通課の警官、所轄署を監査する本庁の警官などなど次から次へと主人公をドキッとさせる人物が現れ、いろんな事象がおきる。見ているこっちもドキドキしてしまう。

映画を年間200本前後毎年見ているけど、ドキドキ感がここまで続く映画って日本ではないなあ。母親が永眠している棺桶に、死体を運び込むときのドキドキ感もヒッチコックばりのスリリングな世界である。


でもこれだけではすまない。
「お前が犯人だ」といいきる人間が出てくるのだ。
ストーリーを面白くするために、登場人物しかもキーパーソンを増やす。途中まで全然出てこないのに突然出現する。

これが強烈だ。(ここから完全ネタバレ)

最初は姿を現さない。でも警察のそばの公衆電話から署に電話を掛けている男に気づく。この男が自分を脅迫しているのに違いない。その目撃者はタクシーにのって去っていく。懸命に追いかける。一瞬カーチェイスのモード。でもこの追いかけ方反対車線を逆走気味に走ったりやばいよね。でも逃してしまう。


そのあと、目撃者が警察署の中に入ってくる。
いきなり主人公を殴る。何なんだ!これもドキドキしてしまう。

そのあとは延々と目撃者と主人公の葛藤が続く。
抜群の面白さである。

目撃者の男を演じるチョ・ジヌン「容疑者X 天才数学者のアリバイ」「悪いやつら」などで見たことのある男だ。
でも顔つきが違う。目に軽いメイクをしていて、凶悪犯人のような顔つきに見させている。ケンカは強い。しかも不死身である。韓国映画って不死身な男が好きなようだ。この男は「危険な情事」のグレンクローズのように執拗だ。しかも悪さの限りを尽くす。


この映画での取っ組み合いはかなりマジだ。
どちらかというと、腕力に勝る目撃者のほうが主人公を懲らしめるけど、本気で殴ったり叩いたりしている。この本気度がヤバい。

(参考作品)

最後まで行く
近年最高の韓国クライムサスペンス


悪いやつら
黒社会の裏側を描く
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映画「愛のタリオ」 チョン・ウソン

2015-08-17 19:38:34 | 映画(韓国映画)
映画「愛のタリオ」は今年2015年日本公開の韓国映画だ。


dvdジャケットをみたら何か面白そう.「タリオ」という言葉の意味を調べると、ラテン語で「被害者が受けたのと同種の害を加害者に加える処罰法」だという。いかにも復讐劇はクライムサスペンス映画の得意な韓国映画向きだ。
実際やることがかなりエゲツナイ。よくありがちなストーリーの流れだけど面白い。単なる復讐劇だけでなく、エロティックサスペンスというべき要素が強い。韓国映画としては割と大胆な濡れ場も用意している。飽きずに見れた。

ソウルの大学で不祥事に巻き込まれ、片田舎の講師として赴任してきた教授ハッキュ(チョン・ウソン)は、退屈な毎日に懲り懲りしていた少女ドク(イ・ソム)と、激しい愛に溺れる。


しかし、ハッキュは復職することになり、妊娠したドクを中絶させソウルへと戻ってしまう。 その後も、ドクからの執拗な連絡があり、ハッキュは手切れ金を渡して別れよとする。その話し合いの最中にドクの家が火事になり、耳の聞こえない母は死んでしまう。時を同じくして、ハッキュの度重なるスキャンダルが原因でうつ病にかかっていた妻が、娘の前で自殺する

8年後、ハッキュは作家として名声を浴び放蕩な日々を送っていたが、高校生になった娘のチョン(パク・ソヨン)は母親の自殺が父親のせいだと思い憎しみを抱く。そんな折、ハッキュは病気で徐々に視力を失っていった。全てを失いかけたハッキュの前に現れた女セジョン。


目がほとんど見えないハッキュはセジョンがドクだとは気づかず依存していく。そしてチョンもまたドクにある想いを抱くようになる。ドクなしでは何もできなくなってしまったハッキュ、そして二人の関係に気づき嫉妬をするチョン。三人の危険な関係の中、ついに全てを手中に収めたドクは、ハッキュを破滅に導くが…(作品情報より)

1.主人公チョン・ウソンと女にはまる構図
主人公は女子学生に手を出した疑いをもたれ大学から干されているようだ。縁のない地方に行き「小説の書き方」を教える講師になっている。
色男なので、色恋沙汰も多かったのか、妻は地方にいっても夫が浮気しているんじゃないかと気になりやきもきしている。そんな妻のいるソウルに主人公は戻りたがらない。そんなときに、地元の素朴な女の子ドクと知り合う。


耳の聞こえない母親と2人暮らしだった。彼女も教室に通うが、気がつくと2人の関係は急接近するのだ。
しかし妊娠、そして中絶する。

そんな時、女子学生へのセクハラ疑いが晴れて、大学の教壇へと戻ることになる。妻に恋愛感情は残っていないが、娘のこともありすぐには別れられない。離れたところにいるドクからは執拗に連絡がある一度肉体関係になると、相性の合うカップルは中絶しても、なんだかんだで元に戻ることが経験的には多い気がする。気持ちが高ぶるのは仕方ない。
手切れ金をもってドクの元に向かう主人公が別れようと言葉を発するのに動揺しているうちに、調理中の火がカーテンに燃え移り、火事を起こしてしまう。母親は火に巻き込まれる焼け焦がれてしまう。

妊娠中絶と男の身勝手な別れ方は実話としてよくある話だ。自分も50代にもなるまで、同じような話は何度も聞いた。
渡辺淳一は小説「北都物語」で、札幌に単身赴任している支店長が夜のバイトをしている学生に惚れてしまい、デートを重ねるが、妊娠し中絶する物語を書いている。渡辺はあっけらかんとしていた彼女があっさり別れてくれるという構図に持っていく。話のネタのために浮いた話が絶えなかった渡辺らしい持っていきかただ。でもここではそうはさせない。

恨みを加害者に向けるのである。
ここでヒッチコックの「めまい」カーティスハンソン監督の「ゆりかごを揺らす女」を意識したような流れに持っていく。

2.復讐劇
ドクは主人公のすぐ隣に住む。(すぐ近くに住んでしまうのは「ゆりかごを揺らす女」と同じ)まずは娘と親しくなり、視力が落ちている主人公に接近する。面倒を見るようなふりをするが、視力が回復しないように眼科医師をたぶらかして治療させる。
しかも、ギャンブル好きの主人公を賭博場に連れて行って、派手に賭けさせる。負けた時には、月利45%で借入させ博打を続けさせる。


小説家として大量に印税が入るのにもかかわらず、ドツボってしまう。しまいには借金の形にヤクザまがいの金貸しに娘を提供させられてしまう。金貸しグループは娘を眠らせ、船に乗せて日本に連れて行こうとする。

この程度だったら日本映画でもよく見る動きだ。
ここからはちょっとひねりがある。
「目には目を」という形に対して、それに対抗してもう一発復讐を入れる。娘である。

(これからは完全ネタバレなのでやめるけど。。。すごいね。そのあとがもっと面白い)

3.チョン・ウソンの濡れ場
男前チョン・ウソンは鍛えているせいかおなかの筋肉がすごい。さぞかし、そそられたご婦人方もいるだろう。この映画で見せるイ・ソムとの濡れ場が割と大胆、惜しげもなくヌードになっているイ・ソムも開脚全開で、本当にしているが如くの動きを見せる。

(参考作品)
愛のタリオ
韓流エロティックサスペンス
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映画「暁の脱走」 池部良&山口淑子

2015-08-15 05:03:59 | 映画(日本 黒澤明)
映画「暁の脱走」を名画座で見た。


田村泰次郎の小説「春婦伝」を元に黒澤明と谷口千吉が共同で脚本をつくり、谷口千吉がメガホンをとった1950年(昭和25年)の作品だ。まだ占領下で米軍の検閲をうけていたこともあるが、原作とは登場人物の設定がずいぶんと変わっているようだ。最前線で敵と交戦しているうちに、中国軍の捕虜になってしまった兵士と軍慰問団の女が、再度日本軍に戻るけど重罪をかぶせられ、逃亡するという話。日本軍の内部での暴力をあからさまに描いた映画である。

軍隊の行列の中に1人の兵隊と女性が一緒に引っ張られている。彼らは中国軍に捕虜にされたのだ。
男は取り調べを受けこれまでの話を回顧する。
慰問団の帰りを送るトラックは途中敵襲にあい引返した。そのとき三上上等兵(池部良)は警乗した射手だった。慰問団はそのまま足止めされ、部隊の酒保に宿泊して手伝いをすることになった。副官成田中尉(小沢栄)は慰問団の春美(山口淑子)に目をつけ、その階級と権力にものいわせ、春美をわがものにしようとしていた。春美は副官を毛嫌いし三上に愛情をもつ。そのはげしい恋情に三上も心がうごき、ある夜酒保の裏で、二人ははじめて結ばれる。
それを巡察将校に見とがめられ、営倉送りときまった。ちょうどその夜敵襲があり、射手不足から、三上は軍備につく。春美は、身の危険を考えず、防戦する三上の姿を追う。三上は城外で敵弾にたおれ負傷、戦友は彼をおいて後退した。春美は「三上!」と叫びながら、傍にぴったりとついて、彼と共に死のうとした。三上の帯剣を手に握り春美が自刄しようとしたとき、二人は中国兵に囲まれていた。


三上が意識を取もどしたのは中国軍の陣営であった。
軍医や将校は彼をやさしく扱った。中国将校が理解ある対応をしてくれたので、中国語が話せる春美は再び日本軍陣地へは帰りたくないと思う。しかし、三上の軍に戻ろうとする気持は変らず傷の全快を待たず、三上は帰される。三上は「自分は投降したのではない、傷ついて意識不明だったのだ。」と主張することで、中隊長も副官も判ってくれるだろうと思ったがそうではなかった。。。。

理不尽な話だ。
忠実に勤務していたのに、ケガをしていったん敵軍陣地にいったばかりに罪人扱いだ。
逆に中国軍の方が捕虜の扱いについてまともだったといえる。

1.池部良
戦前に東宝に入社した時は脚本家希望であったが、俳優になってしまう。それでも徴兵を受けたあと、幹部に登用され中尉まで昇進したという。昭和30年代以降の池部良しか知らない人がこの映画をみると、若干イメージが違うと思うであろう。ともかく線が細い。栄養が行き届いていない時期とはいえ、さすがの男前も10年後に比べると貧弱に見えてくる。


捕虜として中国の八路軍(共産党)に捕えられる。負傷して入った病院では中国人に看護を受けるが、戦前の教育では敵に捕らわれるくらいなら死んだほうがましだと池部上等兵はいう。捕虜の扱いを扱うジュネーブ条約なんてものは知るはずもない。中国人は逆にもしこのまま日本軍に戻るならば罰を受けるはずだというがその話は聞かず、戻ろうとする。

もし戦況を冷静に分析できる地位にいるならば、そのまま中国の捕虜として残る選択もあるだろう。この時の池部上等兵の立場ならば、天皇という「神」がついている皇軍が負けるわけがないと信じているので、日本軍が相手を撃破した後はもっとひどい目にあってしまうと思ってしまう。つらいところだ。

何せ「一億総玉砕」なんて話まであった日本である。今となれば、何をばかなことをと思っても、当時の時代の流れには逆らえないのである。

2.山口淑子
日本人でありながら、戦前は李香蘭として中国人女優であったことはあまりにも有名。戦後まだ5年しかたっていない。戦勝国から中国人のふりをしていたと処罰されてもおかしくないのに、戦後の混乱をうまく避けて日本にこれたのは運がいいとしか言いようにない。途中、中国語で会話をする場面がある。当たり前だが、かなり流暢だ。でも一部の会話以外は字幕が出ない。何でかな?

ここでは兵士の慰問団に所属する女性の一人である。この慰問団は従軍慰安婦とは違うというセリフがある。それでも、いったい私たちは何のためここにいるのと彼女たちが自問する場面もある。


この映画では山口淑子ふんする春美は池部良ふんする上等兵にぞっこんになってしまう。盛りのついた動物のようで、目つきが違う。もちろん演技だと思うが、男前の池部良が相手だと思わず大胆になってしまう気持ちはわかる。むしゃぶりつくような接吻だ。黒澤明監督「醜聞 スキャンダル」ではこんな表情はみせない。このエロっぷりは、なかなか貴重な映像である。
昭和25年「また逢う日まで」では、岡田英次と久我美子のガラス越しのキスで大騒ぎになったといわれる。同じ年だったんだけど、池部良と山口淑子のキスはどう評価されたんだろう。
昭和26年に山口がイサムノグチと結婚する前の年である。

3.小沢栄
池部良の上司の副官という役である。山口淑子演じる春美がお気に入りで、部屋に呼び寄せ自分のものにしようとするが、なかなかいうことをきかない。一方で春美は部下の池部良にはぞっこんである。むかついた副官はサディストのように理不尽ないじめをはじめる。

昭和20年代から30年代までこの人ほど、幅広く映画に出演している人はいないだろう。憎たらしい悪役を演じると天下一品のうまさである。ラストに向けての機関銃を乱射する場面を見て、香川照之「るろうに剣心」で同じように機関銃を撃ちまくるシーンを思わず連想した。

同じような役を今だったらできる俳優って誰かな?竹中直人とか香川照之かな?エロなムードが強いほうが似合うので竹中なんだろうなあ。

4.最後の場面に思うこと(ネタバレ注意)
軍曹の黙認もあり、2人は中国人たちと一緒にその場を逃走できるようになる。


しかし、2人のことを絶対許さないという副官は、機関銃で逃げる2人を撃ちまくる。そして映画が終わりに向かい、最後に2人の病死を記述した証明書が発行される場面が映る。証明書には昭和20年8月9日という日付が書いてある。日付を見てこれは無情だなあと思ってしまう。あと6日そのままにしていれば、生き延びれたのにという意味合いをこめただろう。

結果を知っている我々はあともう少し我慢すれば終戦と思うけど、その場にいる兵士と女は未来のことはわからない。
追い詰められている。むなしいなあ。

原作では2人は手榴弾で一緒に自殺するだけなのが、ここでは将校によって機関銃で銃撃されてしまう。
まさしく日本軍部の悪さを弾劾する面が強調されていると言える。
「暁の脱走」は戦争のなかでは人間がサディストになり、強者は弱者に対して、ほとんど、暴力をふるうことそれ自体を喜ぶようになることを描いている。(黒澤明の世界 佐藤忠男より引用)
ほとんどイジメと一緒だね。

(参考作品)
暁の脱走
山口淑子のよろめき
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映画「この国の空」 二階堂ふみ

2015-08-14 19:00:41 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「この国の空」を映画館で見た。


空襲が続く終戦間際東京杉並の住宅街で、隣同士に住む所帯持ちの男と嫁入り前の娘が恋に落ちていくという話だ。荒井晴彦の監督脚本で二階堂ふみ が出演するということで映画館にいってみた。観客にはおばあさんが多いという印象をもったがどうしてだろう。途中までは若干緩慢で、思わず眠くなりそうだった。後半戦に入り二階堂と長谷川が一気に近づくところで多少の盛り上げは見せるが、もう一歩かな。競馬で言うと、中盤より後方につけていた差し馬が最後の直線で一気にまくるけど5着に終わるといった映画という印象を持った。

1945年、終戦間近の東京。
19歳の里子(二階堂ふみ)は母親(工藤夕貴)と杉並区の住宅地に暮らしている。
度重なる空襲に怯え、雨が降ると雨水が流れ込んでくる防空壕、
日に日に物価は高くなり、まともな食べ物も口には出来ないが、健気に生活している。


妻子を疎開させた銀行員の市毛(長谷川博己)が隣に住んでいる。
里子の周りでは日に日に戦況が悪化していく。
田舎へ疎開していく者、東京に残ろうとする者...。
戦争が終わると囁かれはするものの、すでに婚期を迎えた里子には、
この状況下では結婚などは望めそうもない。
自分は男性と結ばれることなく、死んでいくのだろうか。
その不安を抱えながら、市毛の身の回りの世話をすることがだんだんと喜びとなり、
そしていつしか里子の中の「女」が目覚めていくのだが──。(作品情報より)

1.二階堂ふみ
町役場の職員役である。父はおらず、母と2人で暮らす。横浜に住む伯母(富田靖子)が戦災にあったということで逃げ込んでいる。途中までは話し方の不自然さに??という感じであった。後半戦、長谷川と近づいていくうちに、色気づいていく。
大胆なラブシーンは「私の男」でも見せつけていたが、後半情事のあとの水浴びで背中のヌードを見せつける。ここでは戦前の日本の女が男にすり寄るというのがテーマで、積極的な女の匂いも見せる。


2.長谷川博巳
テレビドラマ「家政婦のミタ」では、長身の松嶋奈々子と共演だったせいでそんなに背が高く見えなかったが、二階堂ふみと並ぶとこんなに背が高かったんだと改めて思う。
杉並から大森まで通勤する銀行員という設定で、妻子は疎開に出している。メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲の有名なフレーズを流暢に奏でる。それを二階堂がうっとり聞いているという構図だ。
まあ男の立場からすると、よくいる自分勝手な奴である。
それでも同じ立場だったら、誰しもが同じようにつまみ食いしてしまうだろう。ただ、あとが怖そう。

3.印象に残るシーン(2人の接近1)
米を用立てするため、2人で大森へ取りに行く。その時2人で神社に立ち寄る。2人きりしか境内にいないので、とっさに長谷川博巳二階堂ふみにぐっと近づく。二階堂は少しづつ後ずさりしていくが、後ろには大木がある。このまま長谷川が抱きつくのかなとなったとき、逆に二階堂が長谷川に抱きつく。意外性のある展開にドキッとしてしまう。そして接吻をかわそうとしたときに思わぬ妨害が。。。。


4.印象に残るシーン(2人の接近2)
寝付かれぬ二階堂ふみ長谷川博巳のことが気になってしかない。母親が寝ついたことを確認した後に、外に出てしまう。井戸の前に実がなっているトマトをもぎ取り洗う。それを二階堂は夜中に長谷川の元へいき、食べさせる。むしゃむしゃ食べたのを見届けた後、二階堂は長谷川の家に入り、くっついていく。。。


こんな感じのシーンがラストにかけて続き、少しは面白くなっていく。戦前は受け身に徹していた女性が積極的に男を求めることもあるというのを見せたかったんだろう。昭和25年の映画「暁の脱走」に通じるものを感じた。あの映画では山口淑子演じる慰問団の女性が、池部良ふんする上等兵に惚れてしまい情熱的に迫っていく。この山口淑子はかなりやばい。二階堂ふみはそれに比べると今回に限ってはおとなしめに感じてしまう。

空襲で身近な人が大勢死んでいく中、死を意識せざるを得ないのだ。長谷川も自分は丙種合格で戦争に行かなくて済んだけど、これからはわからない。現に自分の年齢に近い男が招集されている。そう言って、死を恐れている。女性ももしかして長く生きられないかもしれないので大胆に相手を求めるというわけだ。

それにしても途中までは退屈でつらいなあ。焼け出されて杉並の家にやってきた横浜の伯母さんが空襲が怖いとのたうちまわったりするシーンなどは興味深いけどあとは。。。

(参考作品)
私の男
近親相姦まがいの恋


ほとりの朔子
浪人生のひと夏の想い出


家政婦のミタ
長谷川博巳のなさけない父親につかえるミタさん
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映画「ウォーリアー」 トム・ハーディ

2015-08-14 04:10:14 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ウォーリアー」は2011年の作品で日本未公開作品だ。


レンタルショップでdvd散策している時におもしろい映画を見つけた。これはなかなかの掘り出し物だ。

人気作「ダークナイト・ライジング」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」へかけて大活躍しているトムハーディが総合格闘技の映画に出演しているのだ。先日香港映画「激戦 ハートオブファイト」をみてコメントした時に、これまで総合格闘技の映画って見たことがないとしたが、実はすでにこの作品があったのだ。むしろ「激戦」の方がこの映画「ウォーリアー」からの影響を感じさせる。

少し前、視聴率を稼ぎまくっていた「プライド」では「紅白歌合戦」の裏番組に総合格闘技の猛者たちを集めて派手にやっていた。最近ずいぶん鳴りをひそめたのには理由があるのであろうが、何でもありの総合格闘技が真に「ケンカ№1」を決めるものというのは間違いあるまい。プロレスとちがって、ショー的な要素は少ないけど、獲物を狙う猛獣のようなスピード感がある。ここでのトムハーディの動きはきわめてすばやく、圧倒的な強さをほこる。なかなか見ごたえある。


アルコール中毒の父親を逃れ、母親とともに家を出たトミー(トムハーディ)が14年ぶりに実家に戻った。父(ニック・ノルティ)の指導により、学生時代はレスリングの選手として名を馳せていた彼は、総合格闘技の大イベント“スパルタ”に出場するため、父にトレーナー役を依頼する。一方、トミーが家を出て以来、生き別れとなっている兄のブレンダン(ジョエル・エドガートン)もまた、かつて格闘家だったが、今は教師として働いていた。しかし、娘の病気にかかる医療費のため家計は厳しく、銀行から自己破産をすすめられてしまう。愛する家族を守るため彼に残された道は、総合格闘技の試合で金を稼ぐことだった。奇しくも再び格闘技の世界へと足を踏み入れた兄弟が再会したのは、“スパルタ”の会場だった―。(作品情報より)

物語の基本は「欠落」である。
対決する兄弟の兄は物理の教師になったのにもかかわらず、子供が難病にかかって金がかかる。ストリップ劇場で興行されている格闘技戦にでて賞金稼ぎをしなければならない。弟も金を稼ぐために、長年縁を切っていた元の指導者である父親の元を訪れ、多額の賞金がかかっている格闘技大会に出場するのだ。出る理由がある。ともにハングリーな男たちである。

弟は圧倒的な強さで勝ち抜く。
でも兄はすんなりはいかない。いつもやっとの思いで勝ち抜くのだ。

軽いネタばれあります。

1.トムハーディ
今年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で完全にスターと言える地位を築いている。不死身というイメージがついてきた。存在感のある悪役だった「ダークナイト・ライジング」でもバットマンを寄せ付けず、その覆面を取り去るシーンがある。見ていてうなってしまった。その前に「ウォーリアー」に出演しているのだ。推測であるが、「ウォーリアー」での強さというのが、キャスティングの際「ダークナイト」の製作側にも頭にあったに違いない。


トミーの動きは早い。すぐさま相手をとらえると強いパンチを打ち、そのまま自分のペースに持ち込んで速攻で勝つのだ。勝っても試合後のリングの網によじ登るというようなパフォーマンスはいっさいなく、相手もいたわらずにさっそうと控室に向かう。かっこいい。

トミーは元々海兵隊にいた。その同僚が窮地をトミーが救ってくれたことを発表し、海兵隊のメンバーが集団で応援する。しかし、勝ち抜いていくうちに素性が明らかになる。なんと軍の職務から逃げ出したことがばれてしまうのだ。さあどうする。北朝鮮から拉致者の曽我さんが帰ってきたとき、夫のジェンキンスさんの軍からの離脱が問題になり、超法規で解決させたが、本当は厳罰なのである。トミーも同じだ。

2.ジョエル・エドガートン
学校で物理を教える場面が出てくる。作用には必ず反作用があるなんていうニュートンの法則を語っているのだ。何これ??
そうしているうちにリングで戦う場面も出てくる。要は金がないのである。上を目指してジムにいくが最初は歯が立たない。コテンパンにやられるが、最後関節技で逆転する。その繰り返しだ。


このとき相手を倒す技の名称が「キムラロック」なんてセリフが出てくる。そう戦前元日本柔道の頂点だった木村政彦の必殺技だ。1951年グレイシー柔術の主エリオグレイシーをこれでやっつけている。手元にある木村政彦著「柔道の技」(昭和49年版)には日本名で「腕がらみ」となっている。極めて実践的な本だ。ブラジルでグレイシーを倒したフィルムは残っているが、木村がかける強烈な大外刈りの切れ味が凄すぎる。力道山戦は八百長だったので手をぬいていた。それは「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で語られるが、バカなことをしたものだ。


いずれにせよ2人は勝ち抜いていく。
特に兄は見た目に普通これくらいやられたらもう立ち上がれないんじゃないかな?と思う場面もあるけど、これは劇画のようなものだ。
そしてアル中だったオヤジも含めて最終場面に向かう。
ちなみにこのオヤジ役ニック・ノルティ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。


普通ノミネートされる作品で日本未公開というのは少ないけど、やっぱりこの出演者ではお客は呼べないと配給元も思ったんだろうなあ。でもこれはなかなかいける映画だ。

(参考作品)
ダークナイト ライジング
ゴッサムシティを狂乱させるテロリストを演じる強いトムハーディ


激戦 ハート・オブ・ファイト
香港版総合格闘技映画
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映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー 」 ポールダノ&ジョン・キューザック

2015-08-13 19:15:40 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー 」を映画館で見た。


これは今年一番好きな映画だなあ。

夏といえばビーチボーイズの季節だ。最近では車でドライブのチャンスが減ったが、当然のごとく夏になるとビーチボーイズ「endless summer」を聴きながら運転したものだ。そのご機嫌なサウンドを基調にして、ほとんどの歌を作曲しバンドを引っ張っていたブライアンウィルソンの裏話が語られる。ここまで凝り症だったのは知らなかったし、精神に異常をきたしてスランプの時期があったということも知らなかった。
ポールダノとジョンキューザックのダブル主演だが、60年代のブライアンを演じたポールダノが抜群にうまかった。

客層は自分の同世代から少し下くらいの音楽好きと思われる男性が多く、一部カップルもいたが男性比率が高い。最後のエンディングロールでは連発でブライアンの曲がかかり、最後の最後まで席を立つ人がいないというめずらしいパターンだった。

60年代のカリフォルニア。人気の絶頂期にあったザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン(ポール・ダノ)は、ツアーには出ずスタジオでの音楽作りに専念したいと宣言する。心血を注いで完成したアルバム『ペット・サウンズ』は批評家の評価は高かったが、チャート1位を逃し、ブライアンは曲作りのプレッシャーや父親との確執から、次第にドラッグに逃げ込んでいく。


二十数年後、車ディーラーのメリンダ(エリザベス・バンクス)は、来店したブライアン(ジョン・キューザック)と惹かれ合う。彼の主治医である精神科医のユージン(ポール・ジアマッティ)の過剰な干渉と治療方針に、メリンダは疑惑を強めていく。(作品情報より)

映画が始まってすぐに「サーフィンUSA」が流れる。チャックベリーの「スウィートリトルシックスティーン」をベースにつくられたこの曲ほど夏モードを高める曲はあるまい。「ファンファンファン」「アイゲットアラウンド」と続き、太いストライブシャツでのバンド演奏の場面が出てくるだけで興奮が高まって、この作品への期待が高まる。


しかし、この映画の根底にあるのは天才ブライアンウィルソンの心の変調である。もっと暗い映画になってもおかしくないのに、終わってみるとそこまで思わせないのはビーチボーイズのハーモニーを存分に聞かさせてくれるからであろう。 

1.ペットサウンズ
1965年にビートルズがアルバム「ラバーソウル」を世に出す。「ノルウェイの森」のシタールにしろ、「インマイライフ」ジョージマーティンが弾いたと言われるバロックピアノの間奏といいロックに変質をもたらしたのは確かである。それに感化されたのはブライアンウィルソンだ。このままではビーチボーイズが取り残されると感じてアルバム「ペットサウンズ」の製作にかかった。当時ローリングストーンズビートルズの動きの変化に合わせて「アフターマス」から「サタニック・マジェスティーズ」にかけて路線を変えたことを思えば当然の動きである。

ここで映されるのは凝り症のブライアンの動きだ。音響効果にこり、外部の演奏家を大量に呼ぶ。メンバーたちはあくまでコーラスに徹して演奏させない。何回も何回も同じテイクを重ねる。呆れるメンバーとは不協和音が生まれる。


苦労したにもかかわらず、全米のセールスは今一つのびなかった。逆に英国では評価が高い。マネジャーである父親が元来のサーフミュージックに戻ってやればいいじゃないかと口を出す。それがますますブライアンウィルソンの混乱をましていく。

2.「Wouldn't It Be Nice 」と陽だまりの少女
ペットサウンズのA面の一曲目が「Wouldn't It Be Nice 」である。コーラスが美しく、いかにもビーチボーイズらしいリズムの名曲である。この曲がラスト寸前にかかる。思わず胸がジーンとしてくる。これってつい最近に同じような衝動を覚えた。2013年の松本潤、上野樹理主演の日本映画「陽だまりの少女」ではメインテーマになっていたからだ。この映画がまた泣ける映画だったが、湘南の海の映像と相性が良かったので記憶に新しい。


(参考記事) 「陽だまりの彼女 松本潤&上野樹里」

3.薬物使用と統合失調症
ペットサウンズを制作するころから、ブライアンはコカインなどの薬物に手を出すようになる。その後の奇怪な行動はこの映画で語られる。凝り性な性格も精神を不安定にする要因であるが、この変調は薬物のせいだと思う。

コカインを飲んで中毒になったマウスでは。。。脳の中のドーパミンの量を測ると、確かに過剰になっていて、シナプスのドーパミンが多いことがわかっている。すなわちコカインで生ずるような被害妄想とか多動の症状はすべて脳の中のドーパミンが多くなっていることが原因だと証明された
(遺伝子が明かす脳と心のからくり 石浦章一著 引用)

「フィルスペクターが盗聴している」なんて被害妄想の言葉もブライアンが話している。映画では最終的には妄想性統合失調症の病名は覆されたが、まさしくこれって単なる心の病気でなく統合失調症の症状でしょう。
そうなると精神病向けの薬漬けになるのも止むを得ないし、日本の精神病院に行くと、薬漬けになっている人はいくらでもいる。今回は1人の精神科医を悪者にした。たしかにやり過ぎの感はあるけど、実際にはどっちもどっちの部分もあるような気もする。

ちなみにこの精神科医を演じたポールジアマッティはいつもながらの好演技。うまい!!この役は故フィリップシ―モアホフマンでもいい気がする。でも彼が亡きあと、こういう悪役はポールしかできる奴いないなあ。かつらをかぶっているんで一瞬分からなかった。

4.ポールダノ
ナイーブな役柄を演じさせると実にうまい。「ルビースパークス」の作家役もいい感じで、ゾーイカザンが書いた素敵な恋の物語だった。「プリズナーズ」では精神障害を持っている青年の役で犯人と誤認されてしまう役を演じた。主人公に顔がぐちゃぐちゃになるくらい殴られる役柄だ。そのあたりはこの映画に通じるところである。「それでも夜は明ける」では黒人奴隷をいじめる。でもこれくらいじゃないかな?いやな奴の役
役にも恵まれているが、彼のようなルックスを持つハリウッドスターって割と少ない。今後も起用されるんじゃないかな。


5.ビーチボーイズとの出会い
クリスマスの季節にジョンレノンとオノヨーコのデュエットが流れるのと同様に、夏になるとビーチボーイズの歌が日本各地でBGMのように流れる。定番は「サーフィンUSA」と「サーファーガール」。「ファンファンファン」カーペンターズの「ナウアンドゼン」で知る。心地よい歌を知るために、少年だった自分はベストアルバムから入ったが、そのころ「エンドレスサマー」というビーチボーイズのベストアルバムが全米ヒットチャートで1位になる。アメリカでも根っからのファンは多いのだ。それにしてもこのグループは奇妙なことが起こる。トムクルーズの映画「カクテル」で気持ち良くバーカウンターでカクテルををふるまう場面で、ビーチボーイズ「ココモ」が流れる。

これは本当に久しぶりの全米ヒットチャート1位である。この時は自分のことのようにうれしかった。忘れられない存在なのだ。

こんな想い出が次から次へと頭に浮かんできて気分がものすごく高揚した。
本当によかった。

(ポールダノ 参考作品)
ルビー・スパークス
ナイーブなポールダノと抜群のシナリオ


プリズナーズ
殺人犯人にさせられるポールダノ


ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
究極の傑作。若きポールダノがダニエルデイルイスに絡む
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映画「博士と彼女のセオリー」エディ・レッドメイン

2015-08-12 05:55:20 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「博士と彼女のセオリー」は2014年のアカデミー賞主演男優賞受賞作品である。


公開当時ものすごく忙しく見に行けなかった。待望のdvd化ですぐ見たが、映画全体を流れるほんわかした感じが自分には合っている。
天才科学者の物語って割と好きなほうだ。こういう天才って何から何までできるというわけでなく、どことなく抜けている場合が多い。そのギャップを埋める女性がそこに登場することが多い。この作品はその女性による手記がベースになっているようだ。

ケンブリッジ大学の大学院で天才物理学者として将来を嘱望されているスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)がパーティで中世スペイン詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、二人は恋に落ちる。そしてスティーヴンはペンローズの特異点理論を宇宙に応用できるのではと考えた。ところが、スティーヴンの身体に異変が起こる。医師の診断では難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症で余命2年という宣告を受ける。落胆してひきこもってしまう。しかし、恋の覚悟を決めたジェーンは、彼と一緒に病気と闘う道を選択し二人は結婚する。


2年目には子供も生まれ、「時空の特異点」の論文で博士号を得ることができた。それでもスティーヴンの病状は進行し、車椅子が手放せなくなる。その後スティーヴンは「ブラックホールの消滅」を提唱した論文を発表し、ネイチャー誌の表紙を飾る。ジェーンはスティーヴンの介護と2人の子供の養育に疲れ、教会の聖歌隊に通うことになる。そこで運命の男性と知り合うのであるが。。。

1.エディ・レッドメイン
自分の不勉強のせいか、スティーヴンホーキングの学問上の業績というのは知らない。よく雑誌やテレビで見て、彼が宇宙についての博学だといわれてもぴんと来なかった。生まれながら小児まひにでもかかったのかなと思っていた。大学院時代に発症して、余命少ないといわれた時は本人も動揺しただろう。でもこの病気で今でも生きているのは脅威だ。


ここで語られるのは無神論者のスティーヴンホーキングだ。英国では生活の基盤が信仰であるのに、宇宙論を信じる彼にとっては神などいない。

オペラ公演の最中にスティーヴンは肺炎で病院に担ぎ込まれる。医師はジェーンに対して、昏睡状態にあるスティーヴンの生命維持装置を外すことをアドバイスした。ジェーンはそれを断固拒否する。スティーヴンを声が出なくなっても生かせるために、喉を切開して呼吸装置を付ける。

このあたりはドツボにはまっていく感じだ。

2.奇妙な四角関係
ジェーンは気分転換のため、週に1度教会の聖歌隊に通うことになる。そこで聖歌隊の指揮者ジョナサンと知り合う。その後、ジョナサンは息子にピアノを教えるため、スティーヴンの家に出入りするようになる。これまでと状況が一変する。スティーヴンも何かおかしいと嫉妬心を見せる。ここで接近してしまうのがなんか嫌な感じだけど、スティーヴンがこんな感じだと仕方ないのかな?しかも、スティーヴンがヨレヨレなのにジェーンが第三子を妊娠する。おいおい本当にスティーヴンの子なの?と周囲まで思ってしまう。つらいよね。ジェーン。


手術後声を失ったスティーヴンは新たな訓練が始まったが、エレインという女性を看護師兼教師役として雇う。コンピュータプログラムによる合成音声を使っての意思疎通がエレインとの間で頻繁になるにつれて、新たな関係が生まれてくるのである。

これはとんでもない四角関係だけど、成り行き上、仕方ないのかもしれない。

3.フェリシティ・ジョーンズ
このやさしいムード好きだなあ。ちょっと奥手のホーキングと結ばれるシーンはジーンとくる。このあたりの恋愛映画としてのリズムは最高だ。


ところが、ある時から豹変していく。スティーヴンの介護と子供たちの世話に明け暮れる中で、次第に疲れ果ててくる。それはそうだろう。この看病に付き合うのには忍耐がいる。これが映画の最大のテーマなんだろうなあ。




(参考作品)
博士と彼女のセオリー
障害をもってしまった天才物理学者の恋
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映画「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」 トム・クルーズ

2015-08-09 19:30:34 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」を早速映画館で見てきました。


気がつくと前作より3年半経つんだね。あの時はドバイの高層ビルをよじ登るシーンに度肝を抜かれたが、今回も予告編をみると、トムクルーズが離陸する飛行機につかまっていくシーンはすごすぎる。当然のごとく、映画館に足を運ぶ。夏休みのせいもあって、少年たちの姿が目につく。アメリカでは早速興行成績ランキング1位で初登場、幸先いいらしい。

タイトルの「ローグ・ネーション」とは米国、ロシア、英国各国の秘密機関からドロップアウトした元エリート・エージェントたちがつくった組織だ。これがなかなか手ごわい。しかも、CIA長官からIMFの存在自体が否定されてしまうということで、自分の居場所がなくなるイーサンハントは絶体絶命だ。ベラルーシ、ウィーン、モロッコ、ロンドンと次々舞台を替えてド派手なアクションをみせる。

IMFのエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は謎の多国籍スパイ組織<シンジケート>を秘密裏に追跡していたが、催涙ガスによって敵の手に落ちてしまう。目覚めると後ろ手に拘束されており、目の前には謎の女(レベッカ・ファーガソン)と、3年前に死亡したはずのエージェントがいた。まさに拷問が始まろうとしたその時、女は驚くべき格闘術でイーサンを脱出させる。


IMFのアナリストブラント(ジェレミーレナー)からIMF解体を知らされたイーサンは<シンジケート>の殲滅を誓うのだが、彼は国際手配の身となっていた…。組織の後ろ盾を失ったイーサンと仲間たちは<シンジケート>とどう闘うのか?敵か味方か、謎の女の正体とは?そして究極の諜報バトル、その結末は―??(作品情報より)

映画が始まってすぐに、予告編で見せたシーンを見せる。一気に観客を興奮させる魂胆だ。映画ファンは誰もがトム・クルーズがスタントなしで過激なシーンに挑むことを知っているのでドキドキする。でもこれだけでは最初の10分で映画は終了してしまう。
ウィーンのオペラ座での立ち回り、カサブランカでのカーチェイス、ボンベなしで水中に潜ったりなど次から次へとアクションは用意されている。

印象に残ったシーンをネタばれありで語る。

1.飛行機につかまるシーン
よくやるなあというのが本音。時速400KMのスピードで軍用機は離陸して1500Mの上空に上昇する。さすがのトムクルーズもやらなきゃよかったとまで思わせるようなそのアクションを合計8回のテイクを演じたそうである。


2.オペラ座での立ち回りとトゥーランドット
ウィーンのオペラ座で、味方か敵かわからない謎の女とシンジケートのメンバーが政府要人をねらっている。それを阻止しなければならないシーンにはうなった。プッチーニの「トゥーランドット」が演奏される中で、舞台裏で懸命にイーサンハントと敵が戦いを続ける。ヒッチコックの「知りすぎた男」でも使われている手であるが、ドキドキ感がすごい。このシーンが大好きだ。

荒川静香さんがオリンピックで金メダルを取った時の「イナバウアー」のバックに流れたのが「トゥーランドット」だ。一番有名な「誰も寝てはならぬ」は、あのトリノ・オリンピックの開会式で世界三大テノール歌手の1人パヴァロッティがこの曲を歌ったのがあまりに印象が強いからね。

パヴァロッティのトゥーランドット↓



映画に関係ないけど荒川静香さんの「トゥーランドット」をバックにした金メダル演技↓




3.カサブランカでのカーチェイス
映画「カサブランカ」で有名なモロッコ・カサブランカの街中でド派手なカーチェイスが繰り広げられる。いつもは人が大量にたむろっていると思われる街中に人がいない。完全に撮影のために閉鎖されているんだろう。こんなこと日本じゃ無理だよな。そこをBMWの最新モデルM3を使って、バイクを追い細い道を走りまくる。最後には強烈なバック走行のあとで空中ジャンプするシーンがでてくる。さすがにこれはスタントだろうなあ。


でもそれだけでは終わらない。ヘルメットなしでものすごいバイクチェイスが繰り広げられる。山道をスポーツバイクであるBMW S1000RRで素っ飛ばす。前を走るのは謎の女だ。自動車の間をくりぬけていく。カーブを全速力で曲がるが、日本のオートレースのバイクのように器用に曲がる。モロッコの山道じゃ舗装もされていないところもあるだろう。最後は謎の女のせいでエライ目に会うが、ご愛嬌


4.レベッカ・ファーガソン
ミステリアスな存在である。謎の組織に属するのに、イーサンハントを助ける。でも味方か敵だかわからない。
この映画じゃ完全にトムクルーズをくっているような存在だ。


敵の上に飛びついてひねり倒していきなり大男を始末する。普通の女の子とは違う、ダイナミックな身動きが堂に入っている。どうやら映画の出演が決まってから激しいトレーニングをしたようだ。それにしてもスウェーデン出身というレベッカは色っぽいなあ。自分はオペラ座のドレス姿が一番好きだ。


いつもながらの手を思いっきりふる「トムクルーズ走り」を見ているとまだまだやってほしいと思ってしまう。



(参考記事)
ミッションインポッシブル ゴーストプロトコル

コラテラル(自分の一番好きなトムクルーズ作品)

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
ドバイの超高層ビルをよじ登るトムクルーズ


コラテラル
稀代の殺人鬼を演じるトムクルーズ
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久々名古屋へ4(熱田神宮~名古屋城)

2015-08-09 08:15:02 | 散歩
1900年の歴史のある熱田神宮にいかないとバチが当たる。
西門から入る


本宮できっちり参拝


神妙な神官たち


神楽殿
御祈祷をするところ


信長塀
桶狭間の戦いの前に参拝、勝ってお礼に奉納


宝物館
三種の神器の1つ「草薙の剣」が祀られているだけあって、中にはたっぷり刀が陳列
横山大観の日本画も展示されている。


名古屋城だ。


本丸神殿を復元中
なかなかすごい壁画だ。






最終完成まであと3年かかるらしい。


金のシャチホコは城のシンボル


天守閣から名古屋駅付近の高層ビルを見る


市役所


県庁


なかなかいい建物がたっている。
名古屋は建築に金をかける風土なのかもしれない。

昼飯は栄にいってエビフライ


若干並ぶが、中に入ると吹き抜けで感じいい。


エビ2本は写真よりもボリュームある
しかも造りに厚みがあり、ムチャクチャおいしいのがラッキー
店員も親切だ。


(おわり)
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久々名古屋へ3(大須商店街)

2015-08-09 07:38:08 | 散歩
大須で台湾ラーメンを食べたあとはコメダ珈琲店で休憩
娘はでっかいシロノワールを食べる。妻はソフトクリームアイスコーヒーに大満足
そのあと大須の商店街へ

これが予想を超えておもしろかった。こういう商店街って、いま東京にはないなあ。
看板が凄い。


招き猫は縁起がいいが、赤とゴールドの招き猫は珍しい。
中国人にとってのラッキーカラーだから飛ぶように売れるかも?


この手の洋服屋がものすごく多い。
普通の日本人の感覚では買わない服が多い。


似顔絵屋がショッピングモールの一角でなく、一軒家でお店になっているのは今まで見たことがない。


お酒の買取店
ブックオフのお酒版だ。これにも驚いた。もらいもので高級酒いただいても飲めないと意味がない。
買い取ってもらえるとそれに越したことない。逆に飲み屋さんからの購入需要があるんだろうから。




店頭に価格を表示している店もある


大招き猫だ。縁起がいい。


ユニークな看板が多かったのでいくつかピックアップする。
金のとりから


タコス専門店も珍しい


名古屋人はコカコーラが好きなのか?最近ではめずらしくこの商標が目立った。


気のきいたピザ屋でもコカコーラマークが

コカコーラの営業マンがセールスうまいのであろうか?
店の中もコカコーラの赤い椅子


トルコ料理のケバブ専門店も関東では見たことがほとんどない。


こんな看板もいいねえ


赤鬼が商店街を歩く
こんなに暑いのにたいへんだね。


何これ?と思わせる店頭


からあげにタピオカの組み合わせが妙


ずうずうしい議員だね


食べてみたくなるよね。このカレー
次に来た時トライ


そして大須観音へ


なぜか観音様のそばに赤まむし屋が
精力つくぞ


おみくじは吉


ミソカツを食べる
店員が味噌をとんかつの上にかける。ジューと鉄板の音がする。
ネギをたっぷりかけるとおいしい!
お客は食べざかりの若いあんちゃんたちが多い。




新宿西口にもモード学園のビルあるけど、これもいい感じ。


(4に続く)
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久々名古屋へ2(文化のみちの建築遺産)

2015-08-09 06:54:45 | 散歩
翌日は由緒ある家を見て回る
「文化のみち」と言われているエリアでは建築遺産の保存がおこなわれている。

川上貞奴と福沢桃介が暮らした家を見る。「文化のみち 二葉館」だ。
洋風の外観がきれいだ。


階段の上から居間を眺める.ベイリビングがアクセント


ステンドグラスが美しい




元々芸者だった「貞奴」が日本最初の女優になる。
1900年パリの万国博覧会で出演して、ピカソが彼女のあでやかな姿をスケッチしている。
映像で解説してくれてわかりやすい。

福沢諭吉の娘婿福沢桃介は日露戦争後の相場で大成功してそのまま勝ち逃げしたことでも有名
電力会社でも成功した稀代の実業家だ。2人が晩年一緒に暮した家が二葉館だ。まさに腐れ縁

愛知県出身ということなのか、なぜか2階に城山三郎の書斎がある

大学生から社会人にかけて彼の著作はほとんど読んだなあ。
経済小説を読むことで、政財界でリアルに生きる人たちのことを垣間見ることができた。

文化のみち撞木館
陶磁器商の大正末期に建てた豪邸


茶室のある庭

サロン


キリスト教教会(カトリック主税町教会)
明治20年に建てられた名古屋最古の教会堂らしい。
教会の礼拝堂を見せてくれた。怖れ多くて写真が撮れなかった。
非常に親切な人たちだった。


元々武家屋敷だったエリアで雰囲気は落ち着いていてよい。


豊田佐助邸
実業家で豊田佐吉の弟らしい。なぜかここだけ入場料無料なのはトヨタが支援でもしているのであろうか
大正時代に建てられた洋館だ。


居間には号数の大きな絵が飾っている。


娘が台湾ラーメンを食べないと名古屋に来た意味がないと言いだす。
矢場町から大須に向かって行き、食べる。


中華風手羽先


台湾ラーメンメニューには辛さの弱めのアメリカンがあったが、それにはしなかった。
唐辛子とひき肉の組み合わせで坦々麺とは違う。
もっと辛いかと思ったら、そうでもなかった。しかもドンブリは小さい。

妻は冷麺にした。時間かかりますよといっていたが、本当にかかった。古典的な冷やし中華といった感じ
写していないが妻は絶賛していた。

(3へ続く)
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久々名古屋へ1(水族館~栄の街)

2015-08-08 22:07:53 | 散歩
久々に家族3人で名古屋に行ってきました。

新幹線で名古屋についたら、すぐにきしめんを食べる。
ミソ味の鍋きしめんで名古屋めしの準備体操


名古屋市の科学館へ行く。
美術館と同じ公園内にある。


これが予想よりもおもしろい。高校の科目でいうと物理、化学、生物、地学すべてをカバーするのが凄い。
理科の実験みたいな水の装置


恐竜の骨


地下鉄に乗って名古屋港水族館へ


そばには、昔懐かしい南極観測船「ふじ」が停泊している。
小学生のころはテレビニュースを見てあこがれたよね。


遠くに見える吊り橋もいい感じだ。


童心にかえってイルカショーを見る。
色々見たけど、ここのイルカショーは全国の中でもすぐれ物だ。


きれいな女の子がエサをやるからイルカも妙に素直だ


スピード感あるけど、気持ち良さそう


こんなパフェ売っているのは名古屋だけか?
まさに「アンビリバブル」、こんなの食いきれるやついるのかな。


繁華街の栄に向かう
町のど真ん中に観覧車


夕暮れのテレビ塔


オアシス21


錦にある老舗の店でひつまぶしを食べる。


セオリー通りの食べ方で食べるが、お茶は昔ながらの煎茶の味。
それで茶漬けにする

これが抜群にうまい。
老舗だからか、「渡る世間は鬼ばかり」に出てくる食堂「幸楽」の白い制服を着た給仕のおばちゃんたちも昔ながらの客扱い。この店予約取らないんだよね。たくさんかかっている電話をみんな断っていた。同伴出勤もいるけど、錦のクラブホステスたちが1人で気軽に入ってくるのにはビックリだ。

(次へ続く)
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映画「にっぽん昆虫記」 今村昌平&左幸子

2015-08-06 07:36:19 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「にっぽん昆虫記」は1963年(昭和38年)公開の今村昌平監督作品だ。
名画座で見てきました。


今村昌平が助監督から監督昇格した後、女のバイタリティを描いた初期の傑作だ。農家に生まれた一人の女性を力強い昆虫にたとえる。父親との近親相姦まがいの関係をもったあとに、製紙工場の女工、組合活動家、新興宗教の信者、売春婦を経て売春組織を仕切る元締になっていく。最後は娘との強烈な葛藤の場面まで用意されている。

昭和38年のキネマ旬報1位となっており、3億3000万円の興行収入も断然邦画でトップという怪作である。ここですごいのはキネマ旬報2位が黒澤明監督「天国と地獄」であることだ。1位にあげている選者は「天国と地獄」の方が多いけど、総合点数で逆転している。私自身の日本映画のトップは断然「天国と地獄」だ。それを抑えてのトップとは別の感覚を感じるが、こうして大画面であらためてみてみるとやっぱりすごい。

大正7年の冬、主人公とめは、母親の松木えん(佐々木すみ江)が少し頭の弱い忠次(北村和夫)を婿にもらって二カ月目に生まれた。自宅の中で力む妻えんの出産間近の姿を観ながら、虫次は自分の子だと舞い上がっていた。母は別の男と乱れた関係があり、本当に父母は夫婦かと疑問に思いながらとめは育っていった。
とめ(左幸子)は成人して製紙工場の女工となったが日本軍がシンガポールを落した日、とめは父危篤の電報で実家に呼び返された。危篤ではなく本当は借金のある地主の本田家に足入れするため呼ばれた。そこでは出征する本田家の息子俊三(露口茂)に無理矢理抱かれ懐妊する。

昭和18年、とめは生まれた子が女の子なので始末するかと言われたが、生かせてくれといい信子と名付けた。農作業の合間、赤ん坊の信子に乳を与えていたとめは、赤ん坊があまり飲まぬので、乳が張って仕方がないと、側にいた父親忠次に吸ってもらうのだった。


本田の家に信子を預け再び製糸工場に戻った。そこで係長の松波(長門裕之)と肉体関係を結び終戦を迎えた。工場は閉鎖となり実家に帰ったが、弟の沢吉(小池朝雄)夫婦も同居していた。地主たちが集まっている。アメリカは日本を農地改革するらしいなどと噂している。
松波に誘われ、とめは再開した製糸工場に戻り、とめは組合活動を始めた。同時に松波とこっそり逢引きをしていた。ところが課長代理に昇進した松波からは邪魔とされた。やがて会社を辞め退職金を5000円もらい、とめは七歳になった信子を行くなとごねる忠次に預け単身上京した。

とめは、朝鮮戦争で軍曹になったと言うアメリカ軍人ジョージのオンリー谷みどり(春川ますみ)の家で、メイドとして働いていた。混血の娘はある日、とめが目を離している隙に台所で火にかけていた鍋をひっくり返してしまい、全身火傷で死亡してしまう。
懺悔のためにとめは正心浄土会と言う新興宗教に入信する事になる。全ての過去を懺悔しろと班長(殿山泰司)から迫られたとめは、かつての製糸工場での不倫や、メイド先で娘を死なせてしまい、今は化粧品のセールスをしている事を告白する。

その正真浄土会で知り合った女将蟹江スマ(北林谷栄)に誘われ、とめはその女将の店「ラブラブ」の女中として働くようになったが、女将にいきなり売春を強要させられた。こんなことをやりたくないと言うが金に目がくらみ、その道に足を踏み込むようになった。マジメに勤めて、正真浄土会で幹部になる女将は信頼できるのはとめしかいないと仕事を手伝わせるようになる。
その後基地にいたみどりに再会する。けんちゃん(小沢昭一)と言う朝鮮人がヒモとしてくっついていた。とめはみどりと一緒に外で客をとるようになった。信子(吉村実子)への送金を増すためであった。問屋の主人唐沢がとめの面倒をみてやろうと言い出してきた。店が警察の摘発を受け、女将は警察に連行されてしまう。 とめは、署内で女将から、何も言うなと目で合図されるが、何もかも全部打ち明けてしまう。そして、仲間の女たちに、逃げるなら今だ、客の名簿は自分が持っているから、今後は、コールガール組織にしようと提案する。

1.今村昌平
日経新聞「私の履歴書」の中では、今村昌平の著述は本当におもしろいと思えたものの1つである。読んでかなりの衝撃を受け、切り抜きをした記事が今でも残っている。失踪した男を探すというドキュメンタリータッチにした「人間蒸発」で題材となった女性のことを書いた部分のおもしろさには鳥肌がたった。
脚本家の長谷部慶次と一緒に、以前売春斡旋業をしていた南千住の旅館女将に綿密な実地調査をして今回の作品をつくった。しかも、売春婦と斡旋業者との関係を聞くだけで大学ノート3冊になったという。素朴な田舎娘がすさみ、非人間的なやり手の女になっていく過程を、頭の中で考えたストーリーにない厳しいリアリズムで切り取ったら、現代人の気質の形成過程が浮かび上がるのではないかと思った。(私の履歴書より引用)


2.左幸子
映画会社からは主人公には岸田今日子をと言われたが、今村自身が左幸子を強く推したようだ。都会育ちの岸田よりも富山出身で逆境に打ちのめされない強靭さをもっているので、描こうとしている女にぴったりと感じたからと「私の履歴書」に記述されている。でも当時左幸子は妊娠していて、羽生未央を身ごもっていた。体調を崩した時には村の保健婦さんに「おらの方の嫁はこんなことでは休まねえ」といわれたとか。ともかくは乳を吸われぱなしですごい熱演である。のちの「飢餓海峡」の情念のこもった殺され役もいいけど、「にっぽん昆虫記」が彼女のベストだろう。

3.北村和夫
今村昌平とは東京府女子師範付属小学校の同級生である。昔も今と同じでお育ちのいい子が通っていたのであろう。それでも2人はスカートめくりをして遊んでいたらしい。性を描くと天下一品の今村のルーツだ。しかし、ここでの北村和夫の怪演には驚く。少し頭の悪いオヤジということであるが、ここまで自分を落とした役柄を彼が演じるのは見たことがない。左幸子の豊満な乳房をむさぼりつくという役得もある。これは当時うらやましがられたであろうなあ。

(参考作品)
NIKKATSU COLLECTION にっぽん昆虫記
左幸子の怪演
コメント (1)
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