映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

地上より永遠に  モンゴメリークリフト

2011-02-27 20:24:24 | 映画(洋画 69年以前)
「地上より永遠に」1953年のオスカー作品賞を受賞した作品。真珠湾攻撃直前のハワイ米軍を舞台に、軍隊内の生活をクローズアップさせている。豪華俳優陣がそろうが、デボラカーの殺人的な美貌に目を引かれる。


1941年夏、ハワイホノルル兵営に主人公ことモンゴメリー・クリフトが転属してきた。彼は上官に反目したため一兵卒に落され、転属の憂き目となったのだ。この新しい部隊の中隊長大尉は、ボクシングに夢中で、モンゴメリーが以前、ミドル級ボクシングのファイターであったことを知って、下士官に昇進を条件に彼にチーム入りをすすめた。しかし、モンゴメリーはボクシングはもうやらないと誓いをたてており、断った。中隊の軍曹ことバート・ランカスターは、警告したが、強情なモンゴメリーは聞き入れなかった。そのため大尉のモンゴメリーに対するプレッシャーが強くなり、虐待行為を受けた。一等兵ことフランク・シナトラのみがモンゴメリーの味方だった。大尉の妻ことデボラ・カーは美しく、G・Iの間に噂の的となっている女性で、冷酷で不貞な夫を憎んでいた。バートランカスターがデボラカーと密通していた。週末オフの時間に、フランクシナトラはモンゴメリーを街のクラブに連れていった。モンゴメリーはその店で女給のドナ・リードという女に惹かれた。

大体の人間関係はそんなところである。虐待や軍隊内のケンカが頻繁に画像にでる。
後年ベトナム戦争当時を舞台に「フルメタルジャケット」が作られるが、そのはしりというべき作品だ。フランクシナトラが「猿」とからかわれる一兵卒を演じて、笑いを誘う。こんなに3枚目だったかな?と思わせるくらいだ。アーネスト・ボーグナインの嫌味な軍曹もいかにもという感じである。「マーティ」でオスカー主演賞を受賞する2年前の作品、「北国の帝王」でも取り上げたが、彼が脇に回った作品はどれも間違いない。



そんな芸達者に加えて、デボラカーが美しいその姿を映す。バートランカスターとの海辺でのキスシーンは今見てもかなり強烈なシーンである。アーネストボーグナインほどではないが、バートランカスターはどちらかというと3枚目だ。彼にとっては一世一代の大ラブシーンだったろう。この翌年アルドリッチ監督「ヴェラクルス」で見せるあの前歯を強調した不気味な笑い方とは究極の対称性だ。でもこの映画のクレジットトップはバートランカスターである。


最後に真珠湾攻撃のシーンが出てきて、いかにも不意打ちの攻撃であることを強調する。しかし、それ以外のストーリー展開はさほどおもしろいわけではなかった。個別の演技に注目する映画かな?
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無事合格  娘の受験準備

2011-02-24 21:07:59 | 家族
会社に行く前から落ち着かない。
家を出てから、つい時間が気になる。会社で承認の押印をしている時もそうだ。
9時に発表だ。一緒に行った妻からメールが来るまでの間どきどきだ。絶対うまくいったと思う試験の発表ほど緊張するもんだ。

娘や妻よりもこっちの方が朝からやきもきしていた。
そうしたら「合格していたわ」とメールが来た。
ほっとした。火曜日に行った最後の神頼みも通じた。

受験の日、娘と一緒に試験場に向かった。
歩きながら自分が若いころ、高校や大学を受けた時の話をした。
昔の試験場での失敗を話して、同じようなミスをしないように、試験場で力が出し切れるようなこつを伝授した。
試験場に向かうと、どこかの塾の生徒たちが先生たちとワイワイやっていた。
こっちは塾には、いっていない。一人で行かさないで付いていって良かったと思った。

昨日話したように、点数が取りにくい埼玉の県立高校の数学の問題も少し易化しているような気がした。でも、試験場独特の難しさがある。焦りが出ると実力が発揮できないことがある。
果たして、最後の特訓の成果が出たのか?ひやひやした。それでも自己採点はやらなかった。
絶対に受かっているからとやらなかった。
振り返ってみると、自分が試験を受けた時も、自信があった試験は確かに合格している。
確率の問題で3回さいころを振る問題が出ていた。県立あたりの確率問題で3回さいころを振る。すなわち216通りの場合の数を計算する問題はほとんどない。高校受験というよりも大学入試級である。
実は30年以上前、自分が行った大学を受けた時に偶然だが、数学の問題で216通りの事象から確率を計算する問題があったのを思い出した。その時は得意の数学がむしろうまくいかず、英語と社会で稼いで合格した。
娘はその問題は捨てて、他の問題をやったと言っていた。それは正解であろう。
自分も電車の中でその問題をやった。10分では出来なかった。しかも、数え間違いをしていた。
試験場に向かう途中、得点力が上がるようなコツを最後に教えた。それがよかったのかもしれない。記述が多いので、しぶとく粘れ、部分点狙いで貪欲に点数を取りにいけ!といった。
本当によかった。公立は金がかからなくて助かるなあ

それにしても、今日発表が終わって学校に戻ると、落ちた人たちがたくさん先生と面談をしているという。北辰テストの成績優秀者欄でうちの娘以上のところに名前がのっていた子が落ちて泣いていたようだ。
学校では受かったことはあまり言うなと指導されているという。昔とはちがうなあ。
来年から変わるのであるが、前期後期と分ける妙な形式をとっている。
今日は半数近くが県立に落ちて元気のない顔をしていたという。学校の先生もつらいなあ。
埼玉の県立高校入試はちょっとおかしい。妙に難しい問題をだして、中学の勉強をちゃんとやっていれば解けるはずだと、涼しい顔をしているようだ。これじゃ教育委員会の実験材料みたいだ?
それなのに娘の中学校の教科の進捗は異様に遅い。あんな難しい問題を解くような準備は全くしない。216通りを計算する確率の問題はどこにも見当たらない。自分のように親が教えないと、無理なんじゃなかろうか?矛盾を感じた1年だった。

蹴ることになる私立は、北辰テストの好成績のおかげで何とか引っかかった。
私立行こうと思えば、北辰テストだけ頑張っていればいい。奇妙だが私立校はちゃんと評価する。3年間の北辰の過去問は繰り返してやった。ある意味楽だ。それはそれで不思議な制度だ。
私立高校の方が面倒見がいいような気もする。実際立ち読みで週刊誌の高校別大学進学の記事を見ると、娘が行かなかった学校の成績がすばらしい。おそらく3年間みっちりやるのであろう。逆に県立に行った生徒は手を抜いて、レベルを落とすのかもしれない。どっちがいいのかはわからない。
でも家計を助けてくれる娘に感謝したい。これで受験準備が終わったと思うとさみしい。
楽しまさせてもらった。受験の話題もこれで最後だ。
何度も解いた過去問、品川の家にしばらく保管しておこう。孫の受験準備のために。。。。
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いよいよ 明日発表

2011-02-23 21:43:03 | 家族
いよいよ明日娘の県立高校発表だ。

ちょっとドキドキする。
私立は無事2校とも合格で、両方とも選抜クラスに引っかかった。
そのあと、県立に向けてラストスパート、自分も丸付け中心に共同作業だった。
埼玉の県立の数学は、県立高校の割にはむずかしめの問題だ。というより誰でも解ける問題も多いけれど、一瞬暗闇に包んでしまうような応用問題が、非常にやりづらい。得意の社会、理科の増強と数学の得点力向上を中心にやった。

自分が解いてみると数学は昨年よりはやさしい気もする。
でも帰ってくるなり「この数学クソだ」とかそんな乱暴な言葉を使う。
みんな自己採点するようだけど、うちの子はやらない。絶対に受かっているからと、やらない。でも考えてみると大学のときは自分も一部を除いてやらなかった。そんな中一週間が過ぎた。明日発表を迎える。

昨日は夕方から本社でお偉いさんとのミーティングがあった。早めに千葉の支店をでて、東京に向かう。高輪のお墓にいく。祖父祖母、父母にまだ私立合格を報告していなかった。そして明日の合格を祈る。そのあと、上野にいき、とんかつ御三家の一つ「ぽん多」でカツレツを食べる。黄金の衣がいいが、小さくなったのでは?
そして坂を上って、湯島天神へ。梅がきれい。受験シーズンなんで人も多く、絵馬もたくさんあった。
そこでも参拝
湯島の医療機器店が立ち並ぶ、裏通りを通って、神田明神へ行く。こうなったら、お参り三昧だ。
亡き母が好きだった甘酒を飲むのも目的だ。
そこでとんでもない人に出会った。テレビのロケをやっていて、なんと嵐の二宮君がいた。
これにはびっくりした。
ところが、神田明神をうろうろしている人たちは、老人が多く、誰も気が付いていないようだ。若者たちが少しでもいたら、大騒ぎだったと思う。服装はカジュアルで、体も大きいわけではない。一瞥しながら、甘酒屋に向かった。黒塗りの車で移動している模様。まわりにスタッフたちがいたが、比較的地味に撮影していた。もう一度ネットで顔を再確認したが、間違いない。
ついでに湯島聖堂まで寄った。そして好きな街お茶の水から神保町を歩きながら、地下鉄に乗って新宿に向かった。困った時の神頼み、この間は千葉に来て初めて成田山へいった。ちょっとやりすぎかな?
さて結果はいかに?
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レイルウェイズ  中井貴一

2011-02-23 18:00:39 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
映画「RAILWAYS」は中井貴一が50歳にして、電車の運転手になる話である。
大きな起伏のないストーリーだが、田舎の田園風景が妙に心に残る映画だ。



大手家電メーカーの経営企画室室長こと中井貴一は50歳を目前に、取締役への昇進を告げられるが、家族を顧みる余裕もなく仕事に追われる日々を送っていた。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしている母こと奈良岡朋子が倒れたという連絡が入る。更に追い討ちをかけるように、同期の親友が事故死したという知らせが届いた。久しぶりに帰った実家で、中井はかつて必死に集めていた電車の切符を見つけ、子供の頃、“バタデン”の運転手になるのが夢だったことを思い出す。中井は会社を辞め、地元島根の一畑電車の運転士採用試験を受けることを決意した。49歳、しかも大手企業のエリートだった中井の応募に、会社は驚くばかりであった。熱意に動かされ、採用を決める。妻と娘を東京に残して、中井の運転士見習いの研修が始まったが。。。



同じような年齢だけに、気になる映画であった。この年になると、定年までなんとか居残ることを考えるものである。会社にいたらもらえるであろう賃金を計算すると、思いきれないものである。転職すると大幅年収ダウン。人的資本という資産を捨てるわけにはいかない。よほどの余裕があれば、話は別だけど。。。。


島根の田舎の風景を見ていると、ほのぼのとしてくる。過疎が進む県である。退屈で死にそうになるのではと思うが、こういう生き方も本当はあるのかもしれない。レトロな電車もいい。自分も小さい頃は鉄道が好きで、よくおばあちゃんと品川御殿山の八ツ山橋にオレンジと緑の東海道線を見に行ったものだ。そんな小さいころを思いだしながら映画をみていた。
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コーチカーター  サミュエルジャクソン

2011-02-21 20:30:05 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「コーチカーター」はサミュエル・L・ジャクソン主演のバスケットものだ。
高校のバスケットボールの名選手で、今はスポーツ用品店を経営しているサミュエルジャクソンがコーチに推挙されてチームを強くすると同様に、学力も増強しようとする文武両道を目指す話だ。



サミュエルジャクソンはリッチモンド高校のOB、往年は名プレイヤーとして活躍していた。
現在はスポーツ用品店を経営する実業家であった。リッチモンド高校のバスケットボールチームは現在では弱小チームに成り下がっていて、負けが込んでいた。同時にほとんどが大学進学をあきらめていた。
校長からコーチに指名され、1500$という薄給にもかかわらず引き受ける。
全権を委任され着任したが、部員の態度はめちゃくちゃ、明らかに新監督をバカにした態度をとっていた。
その部員に3つの約束をさせる。一定レベル以上の学業成績の取得、授業で一番前に座る。試合のときはネクタイ着用。サミュエルはいきなりボールを持たせないで基礎体力増強のためダッシュ練習を始める。
そのやり方に反発した学生が離脱したりした。
しかし、サミュエルの指導に従った学生たちは徐々に力をつけていくのである。


このあと面白いくらいチームが強くなる。
しかし、気がついてみると、学生たちの成績は、一部学生を除いて落第すれすれの点数だった。
それをまずいと思ったサミュエルジャクソンは、それに対して強権を発動するが。。。。

日本の高校では文武両道が当たり前と言った風土ではない。
進学校では、勉強もスポーツも出来てなんてパターンはあるだろうが
大会の上位になろうという学校では、一部の例外を除いて、体育会イコール勉強の劣等生のイメージが強い。仮に勉強が出来なくても、スポーツの実績がよければすべて許してしまう風土がある。
それはそれで良いじゃないという気もするが、アメリカではそうはいかない。
そこが日本とアメリカの大きなちがいであろう。



とはいうものの「練習するな!」とまでいう風土はさすがにアメリカにはない。
マスコミや父兄といった外野のほうが大騒ぎする。
そこにどう立ち向かっていくのか?それがこの映画のテーマだ。

割と長い映画だ。テンポを速めることは出来たかもしれない。
できの悪いチームが、優秀なコーチが来て強くなるなんてパターンはいくらでもある。
でも、それにとどめないところがこの映画の奥行きの深さであろう。

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スーパーサイズミー  マックを30日食べ続けたら

2011-02-20 21:32:36 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
マクドナルドのメニューを30日食べ続けたらどうなるか?というドキュメンタリー的作品だ。
ちょっと極端な話だが、アメリカ人に肥満が増えすぎていることへの警鐘ともいうべき話で、映画の中のデータを見ていると、日本人から見ると異様な食生活が垣間見れる。

監督兼主演のモーガン・スパーロック自身が一日に3回、30日間、マクドナルドのファストフードだけを食べ続けたらどうなるかを記録したものである。彼の身におこる身体的・精神的な影響について記録している。まず最初にこの生活を始める前に健康診断をする。
スパーロックは当時33歳、身長188cm、体重84.1kg、体脂肪率11%、健康体で肥満ではない。30日後、体重は11.1kg増、体脂肪率は18%になった。精神的にうつ、性欲減退、かなり深刻な肝臓の炎症を起こした。 スーパーサイズのマックの食品を中心に、一日5000kcalをマクドナルドで摂った結果である。尋常でない食生活をドキュメンタリー的に描く。
スパーロックの実験の動機は、米国社会の急速な肥満の増加にある。データを見ると凄いことになっている。映画上映の前、ある女性からマクドナルド社に対して起こされた肥満訴訟があった。この訴訟自体はマクドナルド側の勝利に終わったものの、監督はタバコ会社に対するのと同様の非難がファストフード業界にもあてはまるのではないかと指摘した。

主人公の奥さんがベジタリアンで、肉も食べると本人は言うが、もともと奥さんの影響を受けた食生活であると思う。実験前の体脂肪率11%はかなり低い方だ。増加した体脂肪率18%でもまだ20%以内であるから、まだ低い方ではないか?知っている限りでもっと高い人間の率の方がはるかに多いと思う。それでも、体重増加11キロはすごい。
どちらかというと実験が始まって、精神的に病んできていた気がした。妻が主人公との性生活の話を率直に語っている。徐々に弱くなっていることを示している。それはそうだろう。もっとも日本よりは奥さんが主人に求める性的欲求の強い国であるから、むしろこの弊害が日本よりも強く語られるような気がした。

個人的にはマックは月に2回程度かな?喫茶店かわりに100円マックで飲み物だけで入ることが多い。マックを食べるときはビックマックに100円マックのハンバーガーを加える。ポテトは食べない。食べるときは割と食べる。でもしょっちゅうは無理だなあ。月に1,2回だからいいのかも

なんだかんだ言いながら笑える部分も多く、楽しめた。
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狂っちゃいないぜ  ジョンキューザック

2011-02-18 05:23:31 | 映画(洋画 99年以前)
映画「狂っちゃいないぜ」は航空管制官の日常を描く99年の作品。
ツタヤでは「パニック」のジャンルにおいてあったが、どちらかというとラブコメディ的な要素が強い。めったに取り上げられることのない航空管制官の日常の姿は見ていて面白い。ジョンキューザック、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナジョリー、ビリー・ボブ・ソーントンと4人出演するが、それぞれがその後の代表作でブレイクする前で、今現在のギャラだったらとんでもない額になっていたであろう。しかもアンジェリーナジョリー、ビリー・ボブ・ソーントンの二人はこの映画をきっかけに本当に結婚してしまうのだ。



ニューヨーク航空交通管制官たちは、端末レーダー着陸誘導システムのセンターで、ケネディ、ラ・ガーディア、ニューアーク飛行場で離陸着陸する一日に7000機の飛行機の安全を管理していた。一日中の神経の緊張をほぐすために、仲間同士でジョークを飛ばしあい、レーダースコープをゲーム感覚で監視しながら、業務に励んでいた。しかし、ストレスに悩まされる者も多かった。
主人公ことジョン・キューザックはメンバーの中でもレーダー操作と飛行機の誘導に自信を持ち、自分こそ管制局の№1だと信じていた。家には妻ことケイト・ブランシェットと二人の子供にも恵まれて幸せな家庭を築いていた。
そんな折、ライバルとなるビリー・ボブ・ソーントンがチームに加わることになった。腕が立つというの噂に、ジョンは彼をライバル視する。各地の空港を経てニューヨークに来たラッセルは、強烈な個性と独特の生活スタイルを持っていた。
仲間うちのパーティに、ビリーの妻ことアンジェリーナ・ジョリーがやってきた。若くてグラマーな美女で誰もが驚き圧倒された。ある日、スーパーでジョンはアンジェリーナに出会う。彼女は人前もはばからず泣いており、ジョンが事情を聞くと、ビリーがバイクで出かけたきり帰ってこないという。彼は知らない土地で孤独だというアンジェリーナをイタリアンレストランに誘い、話をするうちに意気投合してしまうのであるが。。。。

航空管制官は、飛行機の安全を担う仕事である。ブルーカラーの中では10万ドルの年収は高い方だ。それだけ神経をすり減らす仕事で、離婚率も高い。そんな役柄をジョンキューザックが楽しそうに演じている。テレビゲームなら、飛行機同士が衝突してもリセットボタンを押せばいいが、これはそうはいかない。しかも、ニューヨークマンハッタン近くに3つ飛行場があって、常に数多くの飛行機が飛んでいる。他の飛行場の倍以上大変な仕事であるのは十分想像できる。どちらかというと、普段の生活では性格破綻しているような連中が多いようだ。ビリー・ボブ・ソーントンの役柄にその個性が強調されている。


ケイト・ブランシェット、アンジェリーナジョリーの二人が若い。ケイトは特にそう感じる。もう少し年増の役を演じることが多いせいであろう。今よりもチャーミングである。アンジェリーナジョリーは今も色気をむんむんさせるが、24歳の彼女はグラマーぶりを今よりも強調している。でも3流映画からメジャーへ這い上がろうとしているころの映像なので、なりふり構わないスタンスだ。この映画ではバストトップも見せている。さすがに億単位のギャラである最近のメジャー映画ではありえない。そんな映像を見るのも悪くはない。

掘り出し物といった感じだ。
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息もできない  ヤン・イクチュン

2011-02-17 05:43:40 | 映画(韓国映画)
むごい!暴力的!
いろんな噂に包まれていた「息もできない」ついに見てしまった。
キネマ旬報2010年のベスト1の高評価は、ここまで暴力描写が多いと「本当にいいの?」とつい思ってしまう。
いやー凄かった。
主人公はその昔「夜のヒットスタジオ」でバンドマスターをやっていたダン池田に似た男。狂犬のように大暴れするその姿は、身体を張っての暴力だけをとってみると、映画史上指折りの暴れん坊だ。手持ちカメラ中心のライブ感ある映像にどきどきしながら2時間プラスアルファを走り抜けた感じだ。


取立て屋の主人公ことヤン・イクチュン借金回収だけではなく、大学の学生運動の妨害や屋台の強制撤去などでも大暴れしていた。ある日、主人公は街を歩いていて、女子高生ことキム・コッピと出会う。主人公が吐いたツバがキムの制服のネクタイにかかり、彼女が強く怒り、男をピンタする。怒った主人公は彼女を殴る。そんな出会いだったが、2人はお互いに通じるものを感じる。

二人とも親の暴力に悩まされていた。主人公の小さいころ、暴力的な父が家族を虐待した後、妹を殺してしまう。しかも、外に出た母が交通事故で死亡という悲しい過去を持つ。主人公の姉は刑務所から出所した父親をかばい、父親は甥をかわいがっていたが、それ自体は主人公が最も気に入らないことであった。主人公は、父のもとを訪れると殴りつける。

一方の女子学生キムには、認知症の気がある父がいた。母は屋台の強制撤去に遭い、抵抗しようとして殺される。ボケた父は今も母親が生きていると言いながら家で暴れている。弟は荒れた生活を送っていた。主人公の前ではそう見せないが、家は家賃滞納し、生活に困っていた。
そんな2人がなぜか結びついていく。


韓国映画の暴力描写は、手を抜かずにむごく展開することが多い。この映画の主人公は、ピストルや刃物に頼らず肉体的である。身体を張って取り立てをする。短気である。これでもかってくらい蹴りを入れる。そんなシーンが次から次へとつづいていく。取り立ての相手だけでなく、父親にも暴力をふるう。親を思う気持ちが強く、儒教思想が根付いているといわれる韓国ではこれは珍しい。これでもか、これでもかと続く。その昔、「仁義なき戦い 広島死闘編」で千葉真一が演じた野獣のようなやくざも、容赦のない男だったが、この男はそれ以上だ。でも一度だけ、違う動きをする。そこがポイントとなったが。。。。

最初に大学でバリケードを張って学生運動をやっているところへ、主人公たちが突入して学生たちをコテンパンにする場面がある。これは見ていてすっきりする。個人的に左翼系学生運動をする連中って古今東西大嫌いなんでこれにはほくそ笑む。60年安保くらいのころは、暴力団系の連中が抗争を鎮めるために使われたとよく聞く。そんな話がいまだに韓国では続いているのか?金融の取り立ても直近の日本では、ほんの一部のやくざ裏金融以外は考えづらい世界だ。韓国の前近代的一面が浮き彫りになっている。それだから韓国で凄い映画が作れるともいえる。

監督、脚本、主演を兼ねたヤン・イクチュンには驚かされる。発展する韓国の中でも、下町の泥臭い世界がこの映画の舞台だ。「チェイサー」「殺人の記憶」も泥臭かったが、スピード感があった。この映画が持つリズムはまた違う。妙にねっとりする暴力描写があまりに執拗だと思う。そして反復する。この反復継続は次第にリズムのようになっていく。揺さぶられる。カメラワークがねっとりと映し出していく。しかも、クソやろう!(シバラマ?)というような言葉が何度も何度も出てくる。その反復が強烈だ!



あとは女子学生役のキム・コッピが良かった。韓国女性独特のあくの強さをうまく表現する。家の中も暴力に包まれていて、悲惨な家庭である。そんな中たくましく生きていこうという姿を好演する。

これでまたむごい韓国映画のレパートリーが増えた。
韓国映画イコール暴力のイメージがますます強くなった。でも韓国映画のトップレベルは日本の数段上だ。
昨年の日本映画のレベルからすると残念だがそう言わざるを得ない。
韓国やっぱり怖い!
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フローズンリバー メリッサレオ

2011-02-16 21:03:39 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
サンダンス映画祭でグランプリに輝いた話題作。映画「フローズンリバー」は、白人の中年女と少数民族の若い女という2人の女性を中心としたシリアスドラマだ。悲惨な状況にある女性二人が、せっぱつまった状況を切り抜けるために、不法移民の輸送という犯罪に手を染めていく話。極寒の地でどん底の状態にいるアメリカの底辺の人たちの悲哀を描く。


カナダとの国境に面し、モホーク族の保留地を抱える極寒のニューヨーク州最北部の町が舞台だ。
白人女性の主人公ことメリッサ・レオは、2人の息子を育てながらスーパーの店員として働く。新居を買うために貯めていた大金を、ギャンブル依存症の夫が持ち逃げしたのだ。
夫の行方を探す主人公は、ビンゴ会場の駐車場で、モホーク族の女が夫の車を運転している現場を目撃する。追跡して問いつめたところ、女は「“盗んだ”のではなく、バス停でキーがささったままだったので“拾った”」と主張した。保留地でトレイラーハウスに暮らすモホーク族の女は、義理の母に奪われた自分の幼い子供をいつか引き取り、一緒に暮らしたいと願っていた。金を稼ぐために、冬の寒さで固く凍った川を車で渡り、カナダとの国境を越え、アジアからの不法移民をアメリカ側に密入国させるという危険な「裏仕事」に手を染めていた。


その夜も国境を越えるために車が必要だったモナーク族の女は、儲けを山分けすることを条件に、主人公を共犯パートナーに引き入れた。白人と先住民という人種の違いゆえ、初めは不信感を抱いた。しかし、2人は互いに協力し合い、不法移民を無事に引き渡すことに成功する。
不法移民をアメリカへ密入国させる裏仕事の稼ぎは最高にいいが、先住民保留地の外で警察に見つかれば即刑務所入りの“危ないアルバイト”だ。この成功に味をしめた二人は、お金を稼ぐために、再びペアを組むことにするが。。。。


現代アメリカにおいて、移民問題が深刻だというのが改めてよくわかる。
先日見た「闇の列車光の旅」でも中米からの移民の話が出ていた。今回はカナダからアメリカへのアジア系の移民を不法輸送する。一体不法移民ってどれだけいるんであろう。その昔は中国から香港への不法侵入がよく映画で出てきた。川を懸命に渡って逃げていく話だ。今回の舞台はまさしく「凍りついた川」だ。北朝鮮から中国へ、川を渡っての脱北者の話がよく出るが、ここでは車で移動する。トランクに入りこむのだ。ここまで寒いと管理もずさんになるのかもしれない。同時に先住民のための保留地という治外法権的な法規逃れの場所も存在するのは知らなかった。これほどまでに映画化されるというのはよほどの問題なのであろう。

テーマは女の友情と母性の強さかなと思うけど。。。
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女が階段を上る時  高峰秀子

2011-02-15 20:35:47 | 映画(日本 昭和35年~49年)
高峰秀子さんが年末亡くなられた。

自分も年齢を重ねて、高峰秀子の魅力がわかるようになってきた。ブログで何か作品をとりあげてみたいと思っていたが、むしろ普段のキャラと違う作品がいいと思った。「女が階段を上がる時」は銀座のママを演じる映画である。成瀬巳喜男監督がメガフォンをとり、いつもと違う高峰秀子の魅力を引き出している。「浮雲」で共演した森雅之も一緒だが、東宝のスターを中心に豪華キャストである。音楽は黛敏郎の担当、MJQを思わせるバイブを基調とした音楽は成瀬作品では珍しい。でも夜の銀座を舞台にしたこの映画にぴったり合っている。



主人公こと高峰秀子は銀座のバー“ライラック”の雇われマダムである。
夫に死なれた高峰が、マネジャーこと仲代達矢にスカウトされ、この道に入ったのは五年前であった。ある日、店のオーナーに呼ばれ、売上げ減ったことを責められた。利権屋こと小沢栄太郎が最近店に寄りつかなくなったという。売り上げになるような客をもっと呼ぶように出来ないものかという。小沢は以前高峰のバーで働いていた淡路景子の店に通い詰めていた。
マネジャーの仲代が電話で呼び込みをして、小沢が高峰の店へ久々に現われた。彼は淡路の店へ高峰を案内した。店は繁昌していた。高峰の店のなじみの客がとられていた。高峰が好意を持つ銀行の支店長森雅之も来ていた。高峰は客足をもどすため、雰囲気を変えることを決意し、店の場所を移した。すると、上京した関西の実業家こと中村鴈治郎が、店を持たせるからと高峰に迫ってきた。雇われマダムの高峰は心を動かされるのであるが。。。。



高峰秀子には独特の品位がある。腐れ縁の極地の映画ともいえる「浮雲」で、戦後落ちに落ちていった女性を演じたが、その品位は崩しても残るものであった。ここでも銀座のママとして、貞操概念を守りながら、うまく男をはぐらかす役を演じる。本当は普通の主婦が似合う女性なのだと思う。成瀬巳喜男作品ではずいぶんといろんなことをやっている。個人的には「乱れる」が一番好きだ。

この映画をみると昭和35年ごろの銀座の光景が出てくる。リアルな画像である。これを見ているだけでも楽しい。外のネオンの雰囲気は若干違う。でも飲み屋街としては大きくは変わっていないのではないか?ちょうど2月の初めに銀座のクラブへ行ったばかりだ。そんなに違和感がない。銀座らしさは一緒だ。だからこそ銀座の常連というべき人がずっときつづけているのであろう。車で帰るのは一流のホステス、電車で帰るのは二流のホステス、客としけこむのは最低のホステスとナレーションで高峰秀子が話していた。


俳優が豪華だ。みんな芸達者である。森雅之は「浮雲」からのまさに腐れ縁。ポマードで髪を決めているその姿がジェントルマンのいでたちで、銀行の支店長という配役が実に似合う。煮え切らない男の役が多い。森雅之であるが、ここでも若干その匂いを出す。中村雁治郎が映画で一番活躍していたころの作品である。あくの強い関西弁を駆使する。美人に弱いスケベ親父がよく似合う。仲代達矢は売れ始めてきたころの作品だ。「人間の条件」を取り終えたころである。「用心棒」「天国と地獄」など黒澤明作品に連続で主演するのはこのあとだ。

このころの淡路恵子は美しい。高峰秀子はバーのママがあまり似合わないキャラだが、淡路の場合銀座のママという役がまさに水を得た魚のようだ。他には成瀬作品の常連中北千枝子、若大将シリーズにも顔をよく見せる団令子、チャコちゃんシリーズのおばあちゃん賀原夏子など。その後ヒステリーおばさんの代名詞になった塩沢ときが若かりし日の美貌を見せるのが面白い。お店の大女将として細川ちか子が貫禄を見せる。政治家藤山○一郎さんとの関係はあまりにも有名だ。おていちゃんこと沢村貞子は加東大介と兄弟で出演。

まさに映画全盛時代のオールスター映画いいものである。
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瞳の中の秘密 

2011-02-13 17:25:06 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
09年度米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したサスペンスである。
2000年のブエノスアイレス。刑事裁判所を定年退職した主人公が、25年前に担当した殺人事件についての小説を書く。その原稿をもって元上司の女性検事補と再会し、当時の捜査を振り返りながら、殺人事件の裏側に潜む謎に迫るという話である。ストーリーは非常に上手にできている。
ただ、濃淡が少ない。もう少しうまく作れるのではないか?という気がする。


映画は、1974年と2000年のブエノスアイレスを往復する。
74年のアルゼンチンは軍事独裁政権が猛威を振るっていたころである。ブエノスアイレスで一件の強姦殺人事件が起こる。幸せな新婚生活を送っていた銀行員モラレスの妻で23歳の美しい女性教師が、自宅で暴行を受けて殺害された。刑事裁判所の捜査官ことリカルド・ダリンは容疑者の検挙に執念を燃やす。警察が安易に隣人を逮捕して、拷問して自白させる。誤認逮捕であった。
やがて、捜査線上に1人の男が容疑者として浮上する。
時は流れて2000年、刑事裁判所を定年退職した主人公は、25年前の殺人事件を題材に小説を書こうと決意し、久しぶりに彼の元女性の上司イレーネことソレダ・ビジャミルを訪れる。今は検事に昇格している。
原稿を読みながら当時の事件を思い出す。
容疑者の男は死んだ妻の幼なじみで古い写真に写っていた。主人公は部下で友人のパブロと共に、その男の居場所を捜索した。容疑者をつかまえるが、警察に釈放される。しかも、判事の指示を無視して強引な捜査を行ったことで主人公はとがめられる。その1年後、主人公は駅で偶然被害者の夫と再会。彼は毎日駅で容疑者が現れるのを待っていたのを見て驚く主人公であるが。。。。


ストーリー展開は実に見事で、脚本もいいと思う。ラスト30分を切ってからの意外な展開には目が離せなくなる。途中緩慢な部分もあったが、川の流れに流されるがごとく引き込まれていった。
でも何か物足りない。言葉が聞きなれないこともあるのかもしれない。薄味の味付けで、味の濃さがたりない料理のように自分は感じてしまった。作り方によっては、末梢神経にぐいぐい迫るようにつくれたのかもしれない。殺害の現場のシーンはドッキリするようなむごさである。でもそれ以外は薄目だ。音楽もラストにかけて以外は静かだ。正直別の監督につくらせてみたい映画である。

大観衆のサッカースタジアムで犯人を追うシーンが出てくる。10万人は収容できると思われるような大スタジアムでの凄いロケがある。黒澤明の「野良犬」で、超満員の後楽園球場の中、捜査員三船が犯人を追うシーンがある。まさにそれを連想した。このシーンにはさすがサッカーの本場と感じた。
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必死剣鳥刺し 豊川悦司

2011-02-12 06:00:37 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「必死剣鳥刺し」は藤沢周平原作の時代劇である。
豊川悦司が主人公の剣士、仕える女性を池脇千鶴が演じる。「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」同様のタッチで描くが、今回は平山秀幸監督がメガホンをとる。ストーリーの流れはいかにも藤沢時代劇らしいながれで個人的には大好きだ。最終に向けての展開は実に楽しめた。


いきなり城中で主人公兼見三左エ門こと豊川悦司が、藩主の妾連子を刺し殺すシーンからスタートする。
江戸時代、東北の海坂藩で藩主の妾が藩政に口を出すようになった。もともと苦しい財政状況だったにもかかわらず、ぜいたく三昧で自分に逆らう勘定の長老に切腹を言いつけるなどしたい放題であった。城下の空気は重苦しさを増していた。豊川が妾を刺殺したのはそんな時だった。

最愛の妻を病気で亡くした豊川にとって、切腹覚悟の行動だったが、下されたのは意外にも寛大な処分であった。1年の閉門の扱いを申し伝えられた豊川は、亡き妻こと戸田菜穂の姪こと池脇千鶴に支えられていた。一年の閉門後、藩の権力者こと岸部一徳の配慮で再び藩主の傍に仕え、近習頭取となった。しかし、藩主は豊川になじまない。自分を再度ひきたててくれた岸部の屋敷に行き相談したら、藩主は別家の主こと吉川晃司に地位を脅かされていると聞かされるが。。。

藤沢作品に登場する剣の達人は物静かである。大はしゃぎして自分の実力を誇示するようなタイプはいない。そして自ら対決を申し出るのではなく、周りにやむなく仕向けられるという特有のパターンである。
ネタばれになるので、控えたいが、今回も同様のパターンである。「鳥刺し」も「隠し剣」の一つだという。「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」はいずれも大好きである。甲乙つけがたいが、「隠し剣鬼の爪」の秘技にしびれた。今回もラスト30分にわたる展開は実にすばらしい。


豊川悦司の剣の達人は、そもそもの物静かなキャラから言って、適役だったと思う。ラストの演技には御苦労さんと言ってあげたい。今後同様の活躍をすることを期待したい。
あとは脇役陣にはおそれ入った。岸部一徳はなんてうまいんだろう。悪役を演じさせたら当代きっての名手。切腹せざるを得ない状況にあった豊川を救うなんて、珍しく善人なのかと思しき動きを見せたところは迷彩か?吉川晃司もいい役者になってきた。「チームバチスタの栄光」の医者役も堂に入っていたが、今回もよくやったと思う。「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」の宮沢りえ、松たか子に比べると池脇千鶴は地味である。でもそこにリアリティがあるのかもしれない。徐々に成長していく姿を感じた。

藤沢周平映画はやっぱりいいなあ!

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闇の列車光の旅 

2011-02-11 17:58:33 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
これはすごい傑作に出会ってしまった。
まだ2010年日本公開の主要作品全部見終わったわけではないが、自分がキネマ旬報の審査員であれば、たぶんこの作品を1位にしたと思う。

「闇の列車光の旅」は中米メキシコ、ホンジュラスを舞台に、アメリカへの移民となることを目指してまさしく「闇の列車」で移動する人たちの物語である。映画に例えるとブラジル映画の傑作「シティオブゴッド」をロードムービーにしたような基調に、アルドリッチの「北国の帝王」、ペキンパーの「ワイルドバンチ」のスパイスをかけたような雰囲気を持つすばらしい作品だ。
地球の裏側で100年近くタイムスリップしたような世界があることに驚かされる。



ホンジュラスで暮らす主人公の少女サイラの元に、別居していた父がアメリカから強制送還された。アメリカにいる家族と一緒に暮らすため、主人公の少女は、父と叔父と共にメキシコを経由してアメリカを目指す旅に出た。
メキシコのある町。主人公の青年カスペルは、ギャングの一員として堕落した生活を送っている。彼は美しい恋人と密会を重ねていた。それはリーダーには秘密だった。結局ばれて彼女にリーダーが言い寄り、犯そうとする。ところが抵抗したはずみに頭をぶつけて死んだのだ。主人公の青年は落胆するが、逆らえず黙って現実を受け入れる。
そのころ、少女たち3人は、アメリカ行き貨物列車の屋根に乗り込んだ。同じようにアメリカを目指す移民たちとともに列車が進んでいた時、ギャングのリーダーと主人公の青年とギャング仲間に入った12歳の少年の3人が、強盗目的で列車の屋根に上がってきた。3人は移民たちを脅し、なけなしの金品を容赦なく強奪。さらにギャングのリーダーは、少女に銃をつきつけて暴行を加えようとした。それを見た主人公の青年には、同じような経緯で命を落とした彼女の姿が浮かんだが。。。。



映画を見始めてすぐに画像に引き寄せられ、ずっと目が離せなくなった。
序盤戦からあっと言わせる。
いきなり少年のリンチのシーンが出てくる。1、2、3から13まで数えながら少年がリンチされ続ける。泣きべそをかく少年を見ながら、むごいなあと思ったら、ギャングの仲間に入るための儀式であった。そこで耐え忍んで初めて仲間に入れるということなのだ。少年も主人公の二人同様の重要人物だ。このシーンの直後にギャング団の映像が出てくる。近代的ギャングというより、強烈な刺青がアフリカの部族のようだ。
青年と少女全く別々に暮らしている二人の話を同時並行に交互に写していくので、最初はどっちがどっち?というように感じさせる。ストーリーというより中米で現実に起きているあっと言わせるようなシーンが続きどきどきする。映画「シティオブゴッド」を連想させるようなスラム街にたむろするチンピラ達の偶像と移民たちの悲惨な姿を見ていると画像から目を離せない。
そうしていくうちに列車の上で2つの物語を合体していく。そのあとは逃走劇的スリル感のあるシーンをつぎからつぎへと我々の前に見せてくれる。



ホンジュラスなんて国の存在まったく意識していなかった。調べると、世界でも有数の貧困国のようだ。家並みの映像が出てくる。映画「望郷」に出てくるカスバの街のようだ。そんなところを抜け出してアメリカに向かう移民はかなり多くいるのであろう。アメリカは日本と違い年間300万人ほど人口が増えている。不法移民を取り上げた映画は最近ずいぶんと多い。映画に映る光景を見ていると、日本でいえば戦中戦後通り越して、明治大正くらいにさかのぼるのではないか。ギャングたちのふるまいは「青春の門」の初期のころの映像や土佐を舞台にした任侠抗争の映画がちかいのかなあ?

ロードムービーはその映像の変化が楽しみである。列車の移動というのは不思議な気持ちを見ている我々に感じさせる。貨物列車の屋上を舞台にして移民たちを写す。列車から見る中米の田舎は美しいという風景ではない。むしろその強烈な貧しさを印象づける。カメラワークは巧みである。同時に日系の血も入っているフクナガ監督の手腕に脱帽である。
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トイストーリー3

2011-02-09 18:56:18 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
おもちゃの世界を描いたディズニーアニメである。おもちゃを大切にしてきた持ち主の少年が大学に入るにあたり、やむなくおもちゃを処分することになることに伴う顛末だ。最後にかけてのストーリーの盛り上げ方には、同伴の大人たちもディズニーワールドに入り込んでしまうであろう。製作費2億$はちょっとびっくりだが、トムハンクス以下吹き替えの超豪華キャストにはもっと驚く。



おもちゃ達の持ち主である主人公は17歳になり、大学に進学することになった。主人公は引っ越しに際して、母親と相談してカウボーイ人形のウッディだけを持っていき、他のおもちゃたちを屋根裏にしまうことを決めた。
ところが、屋根裏行きのおもちゃ達が手違いでゴミに出される。危ういところで難を逃れたおもちゃたちは、捨てられたと思い込み、地元の託児施設へ寄付されるおもちゃたちの段ボールに自ら入り込んだ。託児所「サニーサイド」のおもちゃたちに歓待を受けたたちはいることを決意した。新入りのおもちゃたちに割り当てられたのは、おもちゃを乱暴に扱う幼児たちが集う部屋だった。しかも、託児所は人間不信を抱えるぬいぐるみの熊によっておもちゃの牢獄と化しているが。。。



この作品のおもちゃたちの気持ちは、「いつまでも遊んでくれる子供たちと一緒にいたい。」ということだ。持ち主になりそうな子供を見るとおもちゃたちは「遊んでもらえる」と率直に喜ぶ。でもスクラップになってしまう運命と背中合わせである。捨てられる危機のシーンには妙にしんみりとしてしまう。失業の危機と隣りあわせの、現代の労働者たちを思う気持に通じる。

この映画を見ると、妙にモノを大切にしようという気持ちが起きてしまう。クルマを手放す時や、使い慣れたパソコンや電気機器とお別れするときに同じような気持ちになる。物体と思いながら妙に割り切れない気持ちだ。そういうせつない気持ちに訴えるハートフルな映画だ。途中からの展開はさすがに巧みであった。子供よりも同伴の親たちの方が涙の洪水にボロボロにされてしまったのではないかな?

余計だが、ウォーレスショーンは吹き替えの一人。正月恩師から頂いた作品、ルイマル監督「my dinner with andre」のウォーレスである。30年近くたって今も現役でがんばっている彼に敬服する。

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踊る大捜査線 THE MOVIE  織田裕二

2011-02-06 17:45:43 | 映画(日本 1989年以降)
踊る大捜査線 THE MOVIEを久々にみてみた。
これまでの警察モノとは若干違うテンポで、映画で想像以上の大ヒットをした。こうやって見るとかなりアラが見えるし、設定もあり得なさそう。観客を笑わせようとしているユーモアもあまり面白くはない。でも故いかりや長介の姿を見ているとすべてが許せてしまう気になるのはどうしてか?


湾岸署管轄の川で男の水死体が発見された。胃に熊のぬいぐるみを詰められていた。一方対応に追われる湾岸署内で領収書や小銭入れなどが盗まれるまさかの窃盗事件が続出する。
そんなとき、警察庁参事官こと柳葉をはじめ、本庁の面々が物々しい装備でやって来る。彼らは湾岸署に特別捜査本部を設置した。警視庁の副総監こと神山繁が身代金目的の誘拐にあっていた。本庁の連中はそこで秘密裡に捜査を進めるばかりだった。織田裕二、いかりや長介はじめ湾岸署のメンバーは本庁のやり方に腹を立てながらも、殺人事件の捜査に躍起になっていた。被害者がインターネットで仮想殺人のホームページに頻繁にアクセスしていたことを知った織田刑事は、そのホームページの開発者との接触を図る。同じ頃、柳葉参事官たちは誘拐犯との身代金1億円の受け渡しを実行に移そうとしていた。ところが、指定された遊園地に刑事たちを配備していたことが犯人グループに知られてしまい、計画は失敗する。そのとき、犯人の電話の声をきくと遠くに織田刑事の声が聞えるではないか。。。。。


確かにこの映画までは、キャリア及び本庁職員と警察署員の対立をここまで前面にとりいれた作品は少なかったと思う。セリフの中でも、特別本部を置くと捜査費で多額の費用がかかっているとか、捜査にかかる領収書の取り扱いとか普通のサラリーマンのような話も出てくる。
藤田まことが「はぐれ刑事純情派」で真野あずさがママのバーで飲み歩いているのを見て、こういう金どうしているんだろうかなあ?と思っていたけど、警察内部の裏面をみると面白いところはある。
でも警察署内で窃盗事件が起きるとか、負傷者を救急車で運ばないで警察の車で運ぶとか、普通あり得ないなあ!というシーンは実に多い。



故いかりや長介は貫禄の演技というべきだろう。我々から下の世代は彼には大変お世話になった。あれだけテレビで見ていた彼を見ないのはさびしい。「紅白歌合戦」にドリフのメンバーと最後に出た雄姿は忘れられない。植木等の紅白メドレーもすばらしかったが、それと同じくらいドリフの紅白メドレーは素晴らしかった。思い出すとしんみりする。
ここでも臭い芝居とも思うが、「天国と地獄」もどきの煙突パートカラーのシーンはいい感じだ。


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