映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」 ジョディフォスター&ベネディクト・カンバーバッチ

2021-10-30 20:11:07 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」を映画館で観てきました。


映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」は911のテロの首謀者の補助をしたとして捕らえられた男をジョディフォスター演じる人権派弁護士が弁護する話である。ジョディフォスター主演作品は久しぶりに観る。ついこの間クーリエで見たばかりのベネディクトカンバーバッチが共演する。ベネディクトが出演するので英国系かな?と思いきやBBCが製作に関わって、英国のケヴィンマクドナルド監督がメガホンをもつ。

ビンラディンを探し出して殺害する話を描いたゼロダークサーティでも被疑者への水責めの拷問が描かれる。ここでは被疑者の冤罪を晴らすと言うよりも,被疑者に対するアメリカ当局の常識外れのきつい拷問に焦点が当てられる人権擁護の映画である。現代世界史の裏側を描く国をまたいだスリリングな展開は日本映画では見られないスケールの大きさが醸し出される。

911テロの2ヶ月後2001年11月アフリカのモーリタニアでモハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)が拘束される。ビンラディンと親しく、NYテロの航空機の操縦士をアルカイダにスカウトした疑いがかけられている。拘束後裁判は一度も開かれていない。生死さえ不明であった。キューバのグアンタナモ収容所で投獄生活を何年も送っていた。2005年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はスラヒの弁護を引き受ける。ナンシーは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。


時を同じくして、テロへの報復で政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。起訴事実を固めるために調査が始まる。一方で開示請求でようやく政府からナンシーに許可がでた機密文書は、重要な部分がほとんど黒ペンで消されていて何もわからない。ナンシーは隠された部分を公開するように法廷に問うのであるが。。。


⒈ジョディフォスター
2度もアカデミー主演女優賞を受賞している現役女優はほかにヒラリースワンクくらいしかいない。「タクシードライバー」の子役時代からジョディフォスターとの付き合いは長い。それでも、久しぶりに映画館での再会だ。ラブコメディは全く似合わず犯罪の香りがよく似合う。名門イェール大出身でインテリ女が得意である。「インサイドマン」でも弁護士を演じたが、ここでも人権派弁護士である。適役といえる。


ブロンドというよりプロレスのフレッドブラッシーばりの銀髪というべきヘアに黒いサングラスがよく似合う。童顔だったジョディからするとむしろ老け役といえる。円熟味を増してきた。こんな弁護士を相手側にしたら面倒だろうなあという怖い女性で、一度喰いついたら離さないこの役柄はうまい。

⒉アメリカでどう評価されるのかなあ?
どうしてもゼロダークサーティと比較してしまう。さまざまな事件に関係するイスラム教絡みの被疑者を徹底的に拷問により調べ出し、ビンラディンの居場所をパキスタン内で突き止め秘密裏に飛行機で他国侵入して殺害するスリリングな映画だった。

西アフリカのモーリタニアで生まれ育ち、優秀でドイツの大学で電気工学を学んだモハメドゥ・スラヒはビンラディンと近い筋だったのは確かだ。しかし、テロに関わったことは否定している。自白を強要されたとは言うもののこればかりはわからない気がする。

ジョディフォスター演じるナンシーには「テロの弁護をするとテロの支持者と思われる。」と言う台詞がある。ナンシーが裁判の法廷に向かう際に「911を忘れたのか」というプラカードを持った人に囲まれているのを見るとなんとも言えない気分になる。


911のあとすぐは米国をあげて報復ムードは強かった。大量破壊兵器があるという前提でイラク戦争に駆り出されたアメリカには、大義名分が本当に正しかったの?という疑念があるだろう。それだけにビンラディンと付き合いがあったイスラム教徒というだけでテロに絡らんでいる疑念の映画も今やつくれてしまうんだろう。でも、BBC中心に強引につくった感じもして自国の米国人にとっては複雑な映画ではないだろうか?

確かに拷問シーンは想像を超える。作品情報には例によってリベラル系の人のアメリカ政府を非難するコメントが目立つ。でも、国家機密書類に関する消し込みは当然のことでコメント者のレベルがちょっと低いなあという気がする。
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番外懐石

2021-10-29 16:02:20 | 食べもの
久々に東京のど真ん中で高級懐石を賞味しました。
カニとうに


戻り鰹


白子


造り


焼き物


ヤバイ飲み過ぎで手ブレしてしまった。


たっぷり松茸


お肉


ごはん撮り損なった、デザート


緊急事態解除して良かった
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映画「護られなかった者たちへ」 佐藤健&阿部寛&清原果耶

2021-10-26 10:01:46 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「護られなかった者たちへ」を映画館で観てきました。


「護られなかった者たちへ」は予告編で何度も見て気になっていたが、後回しになった作品である。佐藤健と阿部寛の共演でクライムサスペンス風のタッチのようだ。桑田佳祐の主題歌が鳴り響く短い予告編は佐藤健が顔を泥水につけるシーンなど印象的なショットが多い。でも、完全に老けた倍賞美津子の風貌を見るのが忍びない気もしていたのが遅くなった理由である。公開して時間が経つが好評なんだろうか、映画館は割と満席で中年の夫婦連れが目立った。後ろのおばさんが途中から泣きまくっていた。

東日本大震災から9年たった仙台で、周囲に善人と言われる2人の公務員が殺される連続殺人事件が発生。宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)が被害者2人からある共通項を見つけ出し犯人を追う。以前、放火事件で服役し、刑期を終えて出所したばかりの利根泰久(佐藤健)が、容疑者として捜査線上に浮かび追うという話だ。

殺人事件の検挙に向けた動きと並行して、大震災後に家族を亡くして喪失感をもつ人たちを映す。時代は2011年と2020 年を交互に映すが、セリフで内容が理解できるように考えられていて頭は混乱しない。謎解きの要素よりも、生活保護の苦しみにスポットをあてる映画である。でも、途中で様相が変わる。ミステリー的に思わぬ方向に展開する。観ている人間も予想外の進み方に戸惑ったのではないか。

⒈生活保護
生活保護が大きくクローズアップされる映画である。佐藤健と阿部寛とともに重要なキャストが区役所で生活保護の相談をする清原果耶である。娘の給食費すらまともに払えないシングルマザーが生活保護受給者なのにバイトで他に収入を得ているという垂れ込みがあって清原演じる相談員は訪問する。切羽詰まっている。一方で生活保護を受けているのに外車を乗り回すヤクザ風の男に文句をつけにいく。両極端の生活保護受給者を映す。


生活保護を受けないと自活できないような老女の元にも訪問する。生活保護を受けると世間様に申し訳ないという。実は世の中には手続きをしないこういう人も多いらしい。どういう生活保護受給者を取り上げるのかは考えただろうが、いい例をピックアップする。勉強不足で自分は生活保護についてあまり知らない。生活に苦しんでいる人だけでなく、対峙する相談員の辛さもわれわれに訴えている。いい歳なのに普通に給料をもらえて自分は恵まれているなと思ってしまう。

⒉東日本大震災のダメージ
原発を絡めて福島の震災被害をクローズアップした映画が目立ち、宮城県で被害を受けた後の苦しみについて言及した方が少ない。街にリアリティがないと、人物を描いても臨場感が出ない。臨時待機所になった学校のロケなどを見ると、身内を亡くして辛い思いをした人物も浮き上がってくる。宮城県でのロケハンでリアリティに富むセッティングはできている。うまく作られている。


⒊倍賞美津子と清原果耶
先日倍賞美津子の80年代の姿を名画座で観た。イイ女だった。その良き日の姿を見たのもこの映画の予告編で老けた倍賞美津子の顔を見たからだ。まあ歳を重ねてずいぶんと変わったものだ。「」でも年老いた姿を見せてくれたが、あの映画も瀬々敬久監督作品だった。連続して起用した。ここでは、震災の避難所で佐藤健と知り合う老婆である。気のいいおばあさんだけど、生活保護を受けないと生きていけないという役柄だ。あの倍賞美津子がこんな姿になってしまったかと思うとなんとも言えない気分になる。


清原果耶は成田凌との共演作まともじゃないのは君も一緒で注目した。ませた高校生の役だったが、実にうまい。大物になりそうな予感を感じた。気になっていくつかの映画を観たが、たいしたことはないものが多い。やっぱり作品によるのであろう。ここでは区役所の生活保護の相談員で高校生時代の映像も映す。みようによっては童顔なので、らくらくこなす。これで一皮むけたんじゃなかろうか?


佐藤健と阿部寛のダブル主演はいずれも手堅い。いつもより目つきのキツい佐藤健が役になりきってうまかった。阿部寛のサブ刑事が好かねえやつだと思ってみていたら、大島優子の亭主らしい。驚いた。

⒋瀬々敬久
監督は瀬々敬久で、最近も明日の食卓」「と高回転で作品を作り出す。自分は「友罪」「64」や「最低なども含めて監督作品はずっと観ている割にはブログ記事に監督の名前を出していない。ちょっと悪い気がした。

これまでプロフィルに関心を持たなかった。自分と似たような世代だ。もともと京大出のインテリだけど、キャリアは裏街道まっしぐらのようだピンク映画の世界で量産した後に、「ヘヴンズストーリー」「感染列島」でメジャーな世界から声がかかるようになったようだ。現代のサスペンス小説をもとにした題材も多く、連続して人気俳優のそろったメジャー作品で起用されるのも長めのミステリー小説を簡潔にまとめる力に優れていると評価されているのではないか?


ピンク映画は量をつくらなければならない。客も興奮させねばならないので、単なる自己満足に終わらないサービス精神が旺盛になるかもしれない。佐藤健の今までなかったパフォーマンスも観客へのサービスだろう。でも、自分なりの評価は「」も「明日の食卓」も5点中3.5〜4点という感じだな。逆に、一番よかったのが最低」、これは濡れ場もある。本当はこういう方がうまいのかもしれない。
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映画「コレクティブ 国家の嘘」

2021-10-19 06:11:18 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「コレクティブ 国家の嘘」を映画館で観てきました。


「コレクティブ 国家の嘘」はルーマニアのドキュメンタリー映画である。ルーマニアは元社会主義国だけに、官民の癒着と腐敗はひどい。それに加えて医療の倫理がまったくない。それを顕著に表して、東欧には絶対行きたくないと強く思わせる映画である。

ライブ会場で火事が起き、火傷で多数の死者を出す。その後病院の衛生状態の悪さから、多くの死なせてはいけない追加の被害者をだす。病院はその治療に対して真摯に取り組まない。しかも、消毒液を手抜きする。こんなことありえる国って最低だ。まあ、ルーマニアの後進国ぶりには呆れる。

2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。

事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。


記者たちは真相を暴こうと進み続ける。一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる保健省大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。(作品情報より)

⒈消毒剤を10倍に薄めるって正気?
ライブ会場でのロックバンドが演奏する映像が残されている。興奮が頂点に達して会場内に花火が舞うわけだ。でも、そのあと建物の一部で火災が発生する。バンドのリードボーカルが火事は演出じゃないよと言っている間に火は広がる。停電してたちまち会場内が狂乱の渦となりカメラの映像も途絶える。大惨事となってしまう。

その後、カメラはジャーナリストの姿を映し出す。入院患者が次々に亡くなっていくのがおかしいと調べると、医療の不備があらわになる。消毒液を10倍に薄めているのを国家の保健大臣が当初認めない。正当な医療だと主張する。でも、調査が進み、真実がわかってくる。しかも裏もありそうだ。こりゃ酷い。入院患者をもともと生かせるつもりなんかないんじゃないの。薬品会社と病院とグルになっているみたい。ありえない。


⒉ルーマニアに比べれば日本はまとも
日本の「リベラルという名で金儲けをしている人たち」の談話が数多く作品情報にある。これは日本と同じだと。こういう人たちの偽くさいセリフに騙されてはいけない。いくら何でもこんなに酷い医療行政は日本には存在しない。いかにも社会主義国だったルーマニアだからでこうなるのだ。

火傷で入院した患者の火傷でただれた部分にウジ虫が群がるリアル映像が映る。見るのに耐えられない。これって病院内でしょう。野戦病院じゃないよ、清潔な病院に何でこんな虫が湧くの?!酷いや。何より看護師の皆さんが嫌でしょ。こんなに不潔なの。衛生的でない超薄めた消毒剤を出すのは患者を殺すつもり?倫理感どうなっているの?こんなことする医療関係者はいくら何でも日本にはいない。

⒊後任の保健大臣
観る前はジャーナリストの告発中心の映画かと思ったけど、そうではない。それだけにおもしろい場面が後半続く。事件当初の保健大臣は、レベルの高い医療処置だと病院をかばった。でも、真実が暴かれ辞任した。そのあとで、後任大臣が登場する。途中から後任大臣の日常をカメラが舐めるように追っていくのだ。就任してしばらくして選挙がある。それに対する反対派への対応を含めて追っていくのだ。この辺りでおもしろくなってくる。


保健大臣の対応に不満を持っている人も多い。肺移植を国内の病院で実施するのを大臣が容認しない。術後の医療体制が整っていないからだ。それに対して、ルーマニアの首都ブカレストの市長が猛反発、選挙では逆の立場のようだ。普通は単なる政治家を映し出しても、国家の中枢である大臣の日常をここまでドキュメンタリーでは映さない。政党間の対立も浮き彫りになるのだ。

いずれにせよ、共産主義主導になるとこういう風になるという悪い見本だ。今の日本人は共産主義者に誘導されないように気を付けたい。
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映画「最後の決闘裁判」マットデイモン&アダムドライバー&リドリースコット

2021-10-17 07:21:32 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「最後の決闘裁判」を映画館で観てきました。


「最後の決闘裁判」はリドリースコット監督の新作である。百年戦争最中の1386年のフランスで行われた決闘によって裁判の決着を仰ぐという決闘裁判を描いている。決闘するのはマット・デイモンとアダムドライバー。脚本にはマット・デイモンに加えてベン・アフレックが名を連ねる。2人のコンビによる名作グッドウィルハンティングを連想し映画館に向かう。

この時代はまだ鉄砲もなく、戦争といっても人対人で激しくぶつかり合う。そんな戦いの映像が何度も出てきて迫力ある。ただ、ここでは強姦を受けた側の妻マルグレットを演じるジョディカマー心の揺れにも注目したい。

夫(マット・デイモン)と義母が不在の時に夫の知人(アダムドライバー)に強姦された妻(ジョディカマー)が裁判に訴え、決着を決闘に委ねるという話である。強姦の真実のみに焦点を当てるわけでもなく、法定モノのように裁判での駆け引きを述べるわけでもない。夫と妻、そして強姦の加害者の3人それぞれから見た視点で強姦という事実を取り巻く3つのストーリーが展開する。


脚本をまとめるマット・デイモン黒澤明の映画「羅生門」を当然意識している。ある事実をめぐる3人の心の動きを映し出すのを主眼にこの作品を企画してリドリースコット監督に委ねている。

⒈黒澤明「羅生門」を意識した3人の立場
黒澤明の映画「羅生門芥川龍之介の小説「藪の中」が基本になっている。三船敏郎、森雅之、京マチ子3人の視点での告白が映像となる、真実は藪の中としている。映画では通りかかった人物が見た真実ということで黒澤明の解釈を加える。強姦が絡むという意味では、この映画と同じである。

しかし、羅生門」の3人はそれぞれのエゴが前面に出ていて三者三様に証言している。強姦に関わる事実がまったく違う。妻京マチ子が豹変して夫森雅之を罵倒するシーンが見どころだ。


ここでは、ストーリーの流れに映画「羅生門」のような登場人物が極端に違う告白をするようにはしてない。ただ、同じ事実、場面を3つのテイクでカメラ目線も少しづつ変えている。それぞれのテイクを観ていくうちに深みが感じられるようになる。

⒉女性の立場がおもしろい
最初は夫カルージュ(マットデイモン)の立場ということでスタートする。決闘裁判が結審する1386年の16年も前から背景を語っていく。敵との戦いの中で、一度はルグリを助けたこともあったが、結局上位者に引き立てられるのは自分でなくルグリの方である。そんな男の嫉妬心も映画に露骨にあらわれる。


2番目が強姦したルグリ(アダムドライバー)の視線で語られ、3番目が妻マルグリット(ジョディカマー)の視線になる。ここで断然面白くなってくる。単純に強姦の事実が語られるだけでなく、夫との関係が必ずしもうまくいっていると言い切れない部分や義母との嫁姑問題なども絡んでくる。地代の徴収に関する話も取り混ぜているのもリアル感がある。女性目線になり急激に表情の変化による心理描写を増やす。事実中心の単純な描写から登場人物の心の葛藤を捉えるリズムがいい。


⒊決闘裁判
最後はヴァロワ朝の王シャルル6世の目の前で決闘が行われる。精神に変調をきたしていたと言われるシャルル6世は、男系がなく王位を継いだ日本で言うと大正天皇と似ている。ちょっとまともでない王として登場して決闘裁判に興奮する。2人の決闘は逆転に次ぐ逆転で迫力たっぷりに映像を映す。決闘裁判は神が真実を述べた方を勝たせるということなのだ。これだけは決着を知らずに見た方が良い。


映画の最後で闘いの勝者が数年後十字軍の遠征で亡くなると字幕が出ていた。え!とっくの昔に終わっているよ十字軍。これって絶対におかしいよと歴史の教科書引っ張り出した。誤訳?か大きなミスか?
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映画「THE MOLE ザ・モール」

2021-10-16 17:41:56 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )


ノンフィクションドキュメンタリー映画「ザ・モール」を映画館で観てきました。


これって本当にノンフィクションなの?と思わせる凄いドキュメンタリー映画である。国連制裁で貿易ルートを閉ざされている北朝鮮が自国で生産された武器を表立たないで諸外国で売ろうとする取引の一部始終をカメラで捉えるというわけだ。

北朝鮮に関心を持ちデンマークの北朝鮮友好協会に入会した元料理人のデンマーク人が、北朝鮮親善協会のボスとされるうさんくさいスペイン人に近づき信頼される。平壌郊外の汚い建物の中で北朝鮮の武器取引の幹部と密会し、ウガンダの離島で武器工場をつくる計画に関わったり、ヨルダンの密輸商と取引の話をしてシリアへの輸出の依頼をされたりする。

出来すぎたフィクションにも見える映像だ。BBCが関わっているので、信憑性は高い。10年にもわたる数多くの映像をまとめる構成力に優れる映画である。デンマークのマッツ・ブリュガー監督の力量を感じる。とはいえ、二度三度見ないと内容の真意は捉えられないかもしれない。

詳細を語るのも一度見たきりでは難しいので作品情報を引用する。

すべての始まりは、ブリュガー監督のもとに届いた一通のメールだった。その送り主であるコペンハーゲン郊外在住の元料理人ウルリク・ラーセンは、謎に満ちた独裁国家、北朝鮮の真実を暴くためのドキュメンタリーを作ってほしいという。ブリュガーは返答を濁したが、自らの意思でコペンハーゲンの北朝鮮友好協会に潜入したウルリクはたちまち信頼を得て、協会内でスピード出世を果たしていった。そして北朝鮮のピョンヤンでKFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロという怪しげなスペイン人と出会い、違法の投資ビジネスに深く関わっていくことに。


ウルリクから報告を受けたブリュガーは、元フランス軍外人部隊の“ジム”という男に偽の石油王ミスター・ジェームズを演じさせ、陰ながらウルリクの潜入調査を指揮していく。やがて世界各国でアレハンドロ、北朝鮮の要人や武器商人らとの商談を重ねたウルリクとジェームズは、その巨大な闇取引の全貌を隠しカメラに収めていくのだった……。

⒈正規ルートの貿易から阻害された北朝鮮
何気なくTVを見ていたら、北朝鮮軍部が独裁者金正恩の前で武器のデモンストレーションをしている映像が出た。日本を脅威に陥れるミサイルを作っているだけでなく、工場でシコシコ兵器をつくっている。イスラム国にも渡ったこともあるようだ。麻薬だったり、武器だったり裏社会が取り扱う取引品目が多い。それが数少ない外貨獲得の手段だ。


気候の異変に弱く、国内は飢餓状態のエリアも多いと言われる。コロナで東京オリンピック出場辞退したけど、本当は貧困がひどくて来日できないのかもしれない。外国から来た人は平壌から外へは出ない。隠されたベールに包まれる世界だ。そんな郊外のスラム街の地下で取引をする。成立すると、可憐で美しい北朝鮮の女の子から歌や踊りで接待を受ける。「喜び組」的エロい微妙な世界もあるのであろうか?

この映画では、ウガンダの映像も映し出される。離島の子どもたちが大歓迎で迎えるが、最終的には住民は立ち退かされる。離島をレジャー施設の名目で開発して武器工場を隠密に作る計画だ。誰でも作れるというわけでなく武器工場づくりもノウハウがあり、専門の設計士が設計する。

北朝鮮のスウェーデン大使館員から取引の重要書類を受領する映像も映る。国家をあげての違法取引だ。国連制裁があるので、取引も石油などの別の物品を媒介して迂回するルートになるようだ。

でも、ビジネスのスケール感もそれなりにあるので、こんなこと偽のビジネスマンが長期間バレずにできるのかな?北朝鮮の当局は信頼できる取引者として綿密に調査していなかったのかな?という疑問も残ってしまう。

⒉佐藤優の本での北朝鮮の話
最近出版された佐藤優「危ない読書」という本は、内容がマンネリ化している佐藤優の本の中では、飛び切り面白かった。北朝鮮をうまく取り込めば、日本経済にとって利点が多いという話である。投資家ジムロジャースも北朝鮮の将来について希望的観測を語っているが、佐藤優の著述は妙に説得力がある。


日本の民間企業からすると日朝国交正常化は魅力的である。圧倒的に低コストのアウトソース先となり得るからだ。生きることに必死な北朝鮮の人たちにすれば日本語を学ぶことなどたわいもない話であるし,プログラマーやシステムエンジニアもおり,洋服工場などもある。時差もないので例えば日本の出版社がDTP作業を北朝鮮に発注するようなことも可能だろう。労働者一人当たり日給は200円位か。健康保険年金労災なしで31日労働も可能だ。高官の取り分として月4000円位プラスと想定すれば一人当たり月10,000円で労働力を確保できる。p63
片や韓国は世論の反日感情が強い故に,下手をすれば日本よりも最低賃金が高いためにアウトソース先には不適切だ。もし北朝鮮と韓国が統一されたらその道はなくなる。今後,日本と韓国の関係がさらに冷え込むと,逆に日本と北朝鮮の関係が近づく可能性は十分ある。p63





拉致問題で日朝両国は接点が見出せない。両国で意固地になっている人が多すぎる。ちょっとした発言でも議員の首が飛ぶ。ただ、北朝鮮と国交がある国は英仏をはじめ世界を見回すと少なくない。いったん味方にすれば日本にとってはとてつもないメリットがあるという論点を朝鮮人嫌いの日本人はなかなか気づかないけど重要だ。インチキ経済を抜け出せるかどうかは隣国日本にかかっている。



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映画「ONODA 一万夜をこえて」 小野田寛郎

2021-10-13 19:29:45 | 映画(フランス映画 )
映画「ONODA 一万夜をこえて小野田寛郎」を映画館で観てきました。


ONODAはフランス人監督アルチュール・アラリによる小野田寛郎さんの物語である。
すべての日本人に観てほしい情感のこもる傑作である。

戦後ずっとフィリピンルバング島で戦っていた小野田寛郎さんが帰国してからはや47年も経つ。今や日本人なら誰でも知っているという存在ではなくなったかもしれない。横井庄一さんが戻ってきた時も日本中大騒ぎだったが、小野田少尉は毅然とした態度とその規律正しい振る舞いにすべての日本人をあっと言わせた。まだ十代だった自分も武士道の香りを感じた。

フィリピンルバング島でアメリカ軍に圧倒されていた若き小野田少尉が、部隊をまとめあげられないまま、3人を引き連れ島のジャングルで徹底抗戦する姿からスタートする。部下が1人離脱し、現地での銃撃戦で亡くなった2人の部下と別れた後に、現地を1人で捜索していた冒険家鈴木紀夫氏と出会うまでを描いている。


小野田少尉が日本に帰国した昭和49年(1974年)当時は、戦争に行った経験のある人もまだ現役でバリバリ働いていた。誰しもが、孤軍奮闘していた姿に敬意を表していた。TVの論調でも否定的なものは一切ないと記憶している。同時に小野田少尉を発見して一夜を過ごした鈴木紀夫氏は日本中から大絶賛された。飛行機のタラップを降りるときのピリッとした小野田さんと普段着のままのお気楽な鈴木氏を見てその対比がいまだに脳裏に映像として残る。


ここでは英雄視された中であまり語られていなかったサバイバル生活を映画でクローズアップする。何で日本映画でないの?と思う人もいるであろうが、逆にフランス映画だからできたとも言える。アルチュール・アラリ監督には敬意を表する。映画館の年齢層は普段よりぐっと高くなり、年老いたおじいさんに付き添うおばあさんが目立ち、座席に着くのがやっとの昭和戦前生まれ世代がかなり多かった。

⒈日本映画では無理
日本でも戦争映画はいくつも作られているが、核心には迫れない。右翼からの圧力を恐れているからであろうか?例えば、「ラストサムライ」では明治初期に関わる作品だが、若き日の明治天皇が出てくる。発言も存在もひ弱そのものである。ここでも出てくるイッセイ尾形昭和天皇を演じる「太陽」も同様だ。これって日本映画じゃ無理なんだろうなあと思った。そんな例はいくらでもある。逆に、外国製作の日本映画の方が日本人が触れたがらない真実が暴かれておもしろい。


自分は未見だがジョニーデップの「MINAMATA」も水俣病の水銀を流し続けたチッソの社長が出てくるようで、雅子皇后の母方祖父である江頭元チッソ社長が絶対絡んでくるはずである。これも日本では絶対に製作できない作品であろう。

⒉陸軍中野学校と特殊命令
戦前の日本軍というと、一億玉砕という言葉が代名詞のようだ。天皇陛下のために自ら命を断てというわけだ。事実、小野田少尉も親からは万一の時にと短刀を受けとって出征した。ここでは違う。

小野田少尉は陸軍中野学校で、「お前たちには死ぬ権利はない。別の解決策を探れ。生き延びて秘密戦に備えろ」と指導を受けるわけだ。戦争が終わっている気配は感じても、それは敵の陰謀で徹底抗戦しろというわけだ。


ある意味、小野田少尉は頑固そのものである。帰還命令が出るまで帰らない。彼に長期にわたって付き合った部下の小塚上等兵もたいしたものだ。

⒊美化された小野田少尉
小野田少尉は美化されて実際にはひどいことをしているという説もあるようだ。でも、そんなことを知っている日本人はあまりいないと思う。民家に押し入って強奪したり、収穫されたコメを奪い取った上に、焼き払ったりする姿が描かれる。戦争終わったあとに人も殺している。ほぼ真実なんだろう。まだ戦っているんだからということでそれらの無罪放免というのも最近の世論からすると、良くは捉えられないだろう。


最近のよくできた日本映画で割とよく見る出演俳優はいずれも好演である。小野田少尉を演じた遠藤雄弥や津田寛治はいずれも頑張った。鈴木紀夫さん役の仲野大賀は役柄にピッタリだ。でもいちばん良く見えたのは小塚上等兵を演じた松浦祐也である。コミカルな部分が映画に風味を残す。


身障者の妹に売春をさせる男を演じる岬の兄妹では主演を張ったが、「由宇子の天秤」をはじめ脇役での活躍が目立つ。登場人物の心の迷いを映し出す映像アングルが良く、カンボジアだというロケハンに成功している。ただ、これって日本映画ではないよね。年末のベスト10で日本映画に入らないのかな??
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番外ディナー

2021-10-10 12:21:54 | 食べもの
久々のフルコースはいいね

美しいサーモン


グリーンのリゾット


魚のポワレ


シャーベット


ビーフテンダーロイン




緊急事態はもう勘弁して
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映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」ダニエルクレイグ&キャリー・フクナガ

2021-10-03 19:27:03 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」を映画館で観てきました。


公開延期に延期を重ねた007シリーズ「ノー・タイム・トゥ・ダイ」が遂に公開された。少年の頃からずっと追い続けてきた007シリーズだけにすぐさま映画館に向かう。今回でダニエルクレイグも引退するという。どういう結末かも気になっていた。脇を固める悪役やボンドガールも気になる。

ストーリーを説明しようと思うが、なかなか難しい。
引退を決め込んでいたジェームズボンド(ダニエルクレイグ)がイタリアでマドレーヌ(レアセドゥ)と優雅に過ごしているときに、悪玉スペクターの一味に襲われ恋人と別れる。その後、中米のリゾートエリアにいたジェームズが再度CIAやMI6に駆り出されて悪玉サフィン(ラミマレック)と対峙するというストーリーなんだけど、自分の理解力が弱いせいもあってか、わかりづらい展開だ。


ロシアの科学者が出てきて、DNAや遺伝子が絡んだセリフも多い。ナノボットという言葉を見ると、レイ・カーツワイルの「シンギュラリティは近い」の内容を思い出す。生体工学的要素も含めている。字幕はお馴染み戸田奈津子さんだが、横に監修という男性の名前があったのも、テクニカルタームが連発されていたからだと思う。近未来的に人類の行方を左右する技術が映画の場面に具現化されてはいない。ただ、言葉遊びをしている印象を持つ。

163分はいかにも長い。過去には「慰めの報酬」のように106分でまとめたので、テンポが早すぎて頭がついていけない作品もあった。そういった意味では143分のスカイフォールが007シリーズ独特の小道具の連発も用意されていて楽しかった。今回は悪玉が絞りきれず、ボヘミアンラプソディで名を売ったラミマレックの存在が中途半端という印象を持った。過去の悪者よりちょっと弱い。怖くない。長い割には締まっていない。


⒈素晴らしいロケ地とアクション
このシリーズの見所に一つは、自分が絶対に行くことがないと思われる海外の素晴らしいエリアのロケが毎回取り混ぜられていることだ。映画を一瞬見ただけでは何処だかわからない。最初に映るイタリアのマテーラも山の中に埋め込まれたような建物の数々に思わずうなる。そこにボンドが運転するアストンマーチンがなじむ。今回は007シリーズ独特の小道具が少ないが、一応用意されている。


歴史のある街って日本でもそうだけど、道が狭い。その狭い道路での追跡劇は迫力ある。バイクが陸橋のようなところを駆けあげるシーンはすごい。スタントがやっているなら凄すぎる。他にも空からヘリコプター、道路上で車やバイクに追われ絶体絶命の状況になるシーンを切り抜けるのはいかにも007シリーズの醍醐味である。

⒉フクナガ監督とジャパニーズテイスト
凍りつく湖の側に住むスペクター幹部の娘だったマドレーヌの家に殺人鬼が復讐にやってくる。仮面をかぶっている。日本流オカメの仮面である。日本のサスペンス映画で殺人鬼がよくかぶっているパターンだ。いきなりジャパニーズテイストだ。


今回はキャリーフクナガ監督がメガホンを持つ。日系の血筋も入っている。それだからというわけではないが、悪玉サフィン(ラミマレック)がいる孤島の中でもジャパニーズテイストを含ませる。申し訳ないが、ちょっと中途半端な美術だけど、畳や日本庭園を模した部分がある。「007は二度死ぬ」を思わせる悪玉の基地である。


キャリーフクナガ監督には闇の列車、光の旅というメキシコ移民を描いたすごい傑作がある。2010年日本公開では飛び抜けてよくできている。彼の名をクレジットで見てすぐさま連想した。

⒊ダニエルクレイグ
ここで一旦区切りということでご苦労様と言いたい。ただ、これだけ活躍したダニエルクレイグの割には、終わりかたは間抜けな感じがして残念である。これよりもっときつい危機をこの映画でも通り抜けてきているのになぁ。


ラストに向かって涙が出てくるように言う人はちょっと変。ルイアームストロングの歌声を聴きながら次はどうなるのかな?と考えてしまう。今回欠番にならなかった007を黒人女性が名乗っていたが、いくら何でも違うよね。

コメント
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