映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「レッド・スパロー」 ジェニファー・ローレンス

2018-07-16 07:17:41 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「レッド・スパロー」は2018年公開のアメリカ映画


ジェニファー・ローレンスがロシアのスパイを演じるという。おもしろそうだ。アカデミー賞主演女優賞を受賞して着々と大女優の道を歩むが、まだまだ若い。とっさにシャーリーズ・セロンが最近演じた「アトミックブロンド」を連想する。ここでのセロンはムキムキの筋肉派できっちり鍛えて迫力ありなかなか見ごたえがある。それと比べると、若干落ちるかな。ただ、脇役陣がなかなか個性的でいい味を出しているのに助けられている。

スパローとはロシア語でスズメだ。これをもって女スパイに読み替える。元ロシアの外交官だった佐藤優の著作にもロシア秘密警察によるハニートラップの話はよく出てくる。ここでは予備学校で育成されるスパローを映し出す。


ボリショイ・バレエ団のドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は、本番中に負った大怪我により再起不能になってしまう。ロシア情報庁幹部の叔父・ワーニャ(マティアス・スーナールツ)にある弱みを握られた彼女は、スパイの養成学校に送られ、自らの肉体で相手を誘惑し、心理操作する技術を学ぶ。スパロー(女スパイ)となった彼女に与えられた任務は、ロシア情報庁の上層部に潜む、アメリカとの内通者を見つけ出すことだった。その人物と通じているCIA捜査官のナッシュ(ジョエル・エドガートン)にブダペストで接触すると、2人は強く惹かれ合うようになる。そしてアメリカのみならず、母国からも命を狙われる立場になってしまう。(作品情報引用)


話のテンポは序盤からわるくない。最初バレリーナだった主人公の可憐な姿を映し、舞台上での接触事故で足を大けがする様子やその後後任のプリマドンナが男性ダンサーと親しくするのを見て、大暴れした後に別の道に入っていく姿を簡潔に映し出す。

その後の養成所での鍛錬が面白い。素人がスパイに育て上げられる過程の話はたまにある。でもハニートラップを含めた教育というのは意外に少ない。男を骨抜きにして秘密を得るためのスパイ指導をするのがシャーロット・ランプリングだ。これがなかなかいい味をだしている。


シャーロットランプリングといえば、最近では老人同士のふれあい映画で見かけることが多い。フランソーズオゾン監督映画でいい味を出す。自分でベストと思うのは、ポールニューマン主演「評決」である。当時まだ30代、これがまたいい女だ。できの悪いポールニューマン演じる弁護士が不利な訴訟に立ち向かう中、謎の女が現れ、適切な助言を与えてストーリーメイキングをする。今とは想像できないくらい色っぽい。

ジェニファーローレンスもかなりいいギャラをもらっているであろう。昔の東映で池玲子や杉本美樹が演じたような軽く汚れたお色気シーンもこなす。シャーリーズ・セロンのようなシャープさはない。脂もタップリのっているような全裸もご披露する。ワニ分署の若き日の横山エミーを連想させる。この辺りは目の保養だが、シャーロットランプリングがご指導する男扱いの心理戦を身につけ、徐々にプロになる。研修後の実技も含めて見ていて面白い。


そこに絡むのはロシアの情報局の幹部である主人公のおじさん役マティアス・スーナールツだ。これがプーチン大統領に似たいかにもロシア人ぽい顔である。でも、喋るのは英語、仕方ないけどなんか不自然。それでもこの男もいい味を出す。

最後に向けては途中で結末が見える。昔フランス映画で「密告」というアンリ−ジョルジュ−クルーゾー監督の傑作があったが、街中を騒がせる告発文書を書いているのは誰か?と真犯人を追う映画だ。途中まで読めなかったが、ある時点で「密告」と同じだなと思う。ストーリーの定跡にかなった展開だった。
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映画「否定と肯定」レイチェル・ワイズ

2018-07-15 17:50:39 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「否定と肯定」は2017年の英国映画


二次世界大戦中のホロコーストといえば、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺として繰り返し取り上げられる。当時のナチスドイツ幹部は戦後生き延びても捕まって裁判を受け裁かれる。ハンナアーレントの映画では逃げ切れず逃亡先で捕まった元ナチス幹部アイヒマンの裁判がテーマになった。

ところが、アウシュビッツ刑務所でのユダヤ人惨殺が本当にあったのかと異議を唱える学者もいるという。英国の歴史学者デイヴィッド・アーヴィングだ。その学者がホロコーストの悲惨さを訴える学者デボラ・リップシュタットに対して、自分への批判を名誉毀損として訴える裁判を起こすというのがこの映画の主題だ。南京大虐殺があったか?なかったか?という話のドイツ版というべきか。

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講演が行われていた。彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”の主張を看過できず、真っ向から否定していた。アーヴィングはその講演に突如乗り込み彼女を攻め立て、その後名誉毀損で提訴という行動に出る。


異例の法廷対決を行うことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度の中でリップシュタットは〝ホロコースト否定論“を崩す必要があった。彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現地調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。

そして2000年1月、多くのマスコミが注目する中、王立裁判所で裁判が始まる。このかつてない歴史的裁判の行方は…(作品情報引用)


最初はこんなの相手にするな!と主人公のユダヤ人教授リップシュタットは無視していたら、虐殺はなかったとするアーヴィング教授自身が大学の講義に乱入して反論を述べたり、巧みなマスコミ誘導で主人公に不利な場面をつくる。しかも、訴訟を提起した場所は英国である。英国では被告人が自分の無罪を証明する反証を出す必要がある。相手は手強い。これまでもこういう裁判を乗り越えてきた。一流の弁護団と乗りきる必要がある。手弁当という訳にはいかない。金も必要だ。それでも、全世界に散らばるユダヤ人から援助の申し出がある。入念に準備して裁判に立ち向かう。


悪戦苦闘を描いた映画だ。
映画でも取り上げられるが、アウシュビッツ刑務所内でのホロコーストの指摘に対して、細かい矛盾点をピックアップしながら原告アーヴィング教授は対抗者を論破して乗り切ってきた。被告人であるリップシュタットのもとには自分が証人台に立つという被害に遭われた人たちが訪れる。彼女は証人として被害者を登壇させようとする。しかし、それは原告の思うツボだと言って、弁護団は断固拒否する。当惑する主人公だ。何で被害者を証人申請できないのと訴えてもダメだ。どうやってしのぐのであろう。


法廷劇としては見ごたえがある映画だ。映画「情婦」のチャールズ・ロートンの緩急自在な演技を思わせる法廷弁護士のトム・ウィルキンソンの名演が光る。ただ、どうしても主人公に共感できない。嫌いなタイプの女だ。常に女のいやらしいところばかりさらけ出す。そんなところは苦手だ。
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映画「ギフテッド」 クリス・エヴァンス&マッケナ・グレイス

2018-07-15 08:43:21 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)

映画「ギフテッド」は2017年公開のアメリカ映画


孤児になってしまった数学の天才少女をめぐり、育ての親である叔父とその叔父や実母の親である祖母の間で娘の養育権を争うという話である。誰が育てるのが望ましいという問題提起がストーリーの根底に流れる。

独身のフランク(クリス・エヴァンス)は、フロリダの海辺の町でボートの修理で生計を立てながら、生後すぐに母(=フランクの姉)を亡くした姪のメアリー(マッケナ・グレイス)と、片目の猫と楽しく暮らしている。メアリーが7歳になり学校に通い始めて間もなく、数学の“ギフテッド(天才)”である彼女は問題児になってしまう。周りは特別な教育を受けることを勧めるが、フランクは「メアリーを普通に育てる」という姉との約束を守っていた。しかし、天才児にはそれ相応の教育を望むフランクの母イブリン(リンゼイ・ダンカン)が現れ、フランクとメアリーの仲を裂く親権問題にまで発展していく


小学校に少女が通うようになるが、彼女にとって初歩しか教えない授業は退屈だ。周りは1桁の足し算がやっとなのに、2桁の足し算や掛け算をスラスラ答える。担任は驚く!もっと難しいレベルの問題を担任が与えてもこなす。父親はよくバーでたむろっている優男だ。

担任は名前をネットで追っていくと、同姓に数学の天才女性の名前を見つける。どうやら、その数学の天才女性は少女の母親で、父親と称している男はその数学の天才女性の弟ということがわかる。この親の元で育った方がいいのか?一般レベルに合わせた授業を受けるのではせっかくの数学の才能がもったいないのでは?と担任教師は男性に近づいていく。



数学の才能が天才的でという設定は意外に多い。どれもこれも面白い。ここで他とちょっと違うのは、少女が快活で明るく人の気持ちもわかるということ。映画にでてくるこの手の天才は、人付き合い苦手な自閉症タイプが多い。この辺りがちょっと違うかな?

それにしても、こんな小さな女の子が難しい数式を書くのはたいへんだったのでは?∫∫積分マークにせよ、指数関数 の底eやそのべき乗 など、普通の数字すら書くのがやっとな女の子が普通は書けないよね。微分方程式が好きだなんて出てくる。父親もそれなりの素養があるとはいえ、7歳までほぼ独学でここまでのレベルまで達することができるかどうかは疑問だな。突っ込むとなるとそこだ。

でも、その天才少女を普通に飛び級で大学レベルまでの教育をさせてしまうシステムがあるのが、日本とアメリカの違い。公平という言葉が浸透してしまい、なかなか日本では難しいが、これから先はどうなるのか?


映画にスパイスを与えるのはアフリカ系名女優オクタビアスペンサーだ。どの映画に出ても特別な存在感を示す。隣人で主人公の数少ない理解者だ。そんな隣人がいても母親と息子が争う。その対決を法廷で行うということに別に金がからんでいるわけではない。双方に言い分がある。どちらもごもっともだ。こんなパターンいやだな。

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映画「ペンタゴン・ペーパーズ」 メリル・ストリープ&トム・ハンクス

2018-04-08 18:01:29 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ペンタゴン・ペーパーズ」を映画館で観てきました。


メリル・ストリープとトムハンクスの超一流俳優の共演をスティーヴン・スピルバーグが監督する映画となれば、だれもが必見であろう。1971年ベトナム戦争が厭戦となっていた時代のアメリカで名門ワシントン・ポスト社の社主と編集主幹が報道の自由をめぐって政府に反発する姿を描いている。

メリル・ストリープとトム・ハンクスの軽めの長まわしシーンでの会話を聞いて、この映画ちょっと格が違うと2人のベテランのトークの掛け合いに引き寄せられる。「スリー・ビルボード」「シェイプ・オブ・ウォーター」も確かに傑作だが、この映画は実録物として違った意味での魅力を感じる。


いきなりCCRジョン・フォガティーの歌声が聞こえて1966年のベトナム戦線での地上戦の場面が出てくる。アメリカ国務省の本省からダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)が戦況を確認に現地地上部隊に同行している。報道とは反してベトコンゲリラ部隊に苦戦を強いられている姿を見てきた。帰りの飛行機の中で戦地を視察していたアメリカ国防長官マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)に地上戦の戦況はよくないと報告する。しかし、マクナマラは帰国後の記者会見ではそうは言えない。

数年後のある夜。政府系シンクタンクのランド研究所に勤務するエルズバーグは、ベトナム戦争の経過を記録した機密文書をコピーする。トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンと4人の大統領政権にわたって隠蔽してきたベトナム戦争に関する事実が記録されていた。

名門ワシントン・ポスト社の社主キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は経営基盤が安定することを意図してニューヨーク証券取引所上場を目指していた。一方で編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は購読者を増やすためのネタを探っていた。ライバルニューヨーク・タイムズの人気記者ニール・シーハンの最新記事がでないことを気にしていた。若い社員に潜入させ、特大ネタをつかんでいることを確認した。するとニューヨーク・タイムズに、何者かがリークした文書の一部が記事になることがわかる。しかし、ニクソン政権は連邦裁判所に、ニューヨーク・タイムズの記事の差し止め命令を要求する。


ワシントン・ポストの編集局次長のベン・バグディキアン(ボブ・オデンカーク)は、以前、ランド研究所に在籍していて、リークしたのが元同僚だったエルズバーグであることを突き止める。やがてバグディキアンは、文書の全文コピーを手にいれるのだが。。。

1.厭戦ムード
この当時思春期に入り始めていた自分はロックに目覚めた。ビートルズから入って、すぐさま当時流行のニューロックのとりこになる。ブラスが基調のシカゴは大好きだった。そのシカゴは「1968年8月29日シカゴ、民主党大会」とか反戦のメッセージが強い曲を当時つくっていた。そんなころを映し出した映画の一つが「ディアハンター」である。現地での北ベトナムとの激しい戦闘と主人公が捕虜になってからのロシアン・ルーレットのシーンは極めて気味悪く、クリストファー・ウォーケンの不気味さが印象に残る。戦闘に駆り出される前に故郷で長い壮行会のシーンには若き日のメリル・ストリープも出演している。

そんな独特のムードが立ち込める。ヒッピー風長髪の若者が騒ぐ姿を映し、新聞の印字や公衆電話など小道具を使って時代の古さを示す。日本でも学生運動のいやらしさがギリギリ残っていたが、実際に戦争に若者を送り込んでいるアメリカとは緊張感が違う。

2.グラハム女史の葛藤
ニューヨークタイムズが記事差し止めの裁判所判断を受けている。今回秘密文書を入手した後で、法的問題がないかどうかワシントン・ポストの顧問弁護士を呼び出す。もしこのネタが同じ出どころだったらダメだといわれる。下手をすると逮捕される可能性もあると。しかし、報道機関としてのワシントン・ポストの存在感を示すために編集主幹ベン・ブラッドリーは記事にすることを主張し、編集がされていない秘密文書を短時間で整理して記事にまとめる。経営幹部はニューヨーク証券取引所に上場したばかりで、万一経営に影響があると困るので記事にしてほしくない。輪転機は待機している。


そこでキャサリン・グラハム社主に伺いをたてる。この映画の一番の見どころである。そこから始まる一連の動きは映画を見てのお楽しみだが、さすが大女優という貫録を感じる。今回エンディングロールのクレジットの順番が気になったが、さすがに先輩に敬意を表してかメリル・ストリープトム・ハンクスより先だった。当然だろう。あとはスピルバーグは相変わらず子供の使い方がうまい。
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映画「ザ・サークル」トム・ハンクス&エマ・ワトソン

2017-11-12 20:20:08 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ザ・サークル」を映画館で観てきました。


トムハンクスの新作は予告編で観て気になっていた。SNSで自分の生活そのものが24時間が世間にさらされるなんて話は、現代におけるIOT系の発展で真実味がある。今回のトムハンクスはSNS企業「サークル」のトップだが、いかにも新興宗教の親玉のようなふるまいをする。


映画の出来は別として「ブレードランナー2049」を観たときは、正直本当にこうなるかな?と思うことばかりなのに対して、「ザ・サークル」でのいくつかの逸話はあっという間に実際そうなるのでは?とリアル感があるところがいい。観終わって映画評を見ると、あまりよくないようである。自分的にはこんなこと本当に起こりそうで気になってしまうし、むしろ鑑賞を勧める。


世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業“サークル”。憧れていたこの企業に採用された新人のメイ(エマ・ワトソン)は、ある事件をきっかけに、カリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)の目に留まり、新サービス“シーチェンジ”のモデルケースに大抜擢される。それは、サークルが開発した超小型カメラを使って、生活のすべてを世界中にシェアするというものだった。自らの24時間をカメラに晒したメイは、瞬く間に1000万人超のフォロワーを得て、アイドル的な存在となるが……。(作品情報より)

もともとは身体の不自由な父親と母親と三人でうだつの上がらない生活をしていたエマ・ワトソンが、親友アニー・アレストン(カレン・ギラン)の誘いで大きなSNS企業の中途入社試験を受け合格する。高額賃金の会社でクリエイティブなメンバーと仕事をはじめる。


そこでは、独自のコミュティが形成されており、仲間から休日であっても一緒に過ごすことを勧められる。この連中が新興宗教にそめていく急進的な信者のような体裁をとる。
田舎でカヌーを漕ぐのが趣味だったエマ・ワトソンが深夜に海でカヌーを漕ぐ。荒海で海に飲み込まれあわや死んでしまうのをシーチェンジのカメラが察知したおかげで助かるし、父親が難病で具合が悪いというのをコミュニティのネットワークが助け舟をだし、急激によくなる。


それがきっかけで一気にシーチェンジにはまっていくし、死に損なったおかげで存在をトムハンクスに知れ、ある指令を受けるのだ。これからはネタバレになるので抑えるが、どれもこれも近未来に実現可能と思われるものである。重罪を起こして逃げている女性を10分で見つけてしまう光景はしびれるし、人権の問題は残っているが十分ありうる。

中途半端なストーリーのようだが、面白い要素は多々ある。
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映画「ノクターナル・アニマルズ」 エイミー・アダムス&ジェイク・ギレンホール

2017-11-04 19:41:48 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ノクターナル・アニマルズ」を映画館で観てきました。


ファッション・デザイナーのトム・フォードが監督だ。視覚的に楽しめそうな映画という先入観で映画館に入る。当然、エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホールいずれもこのブログで再三取り上げているおなじみの俳優であることも観に行く大きな理由である。

時代の軸を少しづつずらして、エイミーアダムスの生活を映し出す。同時に主人公に送られてきた元夫の著書の内容を追っていくストーリーを映像にする。その物語は緊迫感を持って流れていく。スティーブン・スピルバーグの「激突」クウェンティン・タラティーノの「デス・プルーフ in グラインドハウス」がもつ怖さを連想させる小説の内容である。それをフォローするアベル・コジェニオウスキの音楽も緊迫感を助長する。ペドロ・アルモドバル監督作品で音楽を担当するアルベルト・イグレシアスのテイストだ。


同時にアートギャラリーの経営者を演じるエイミー・アダムスの周辺を美しく映す。美術衣装および色彩設計は実にお見事である。ロケする住宅もすげえ家だ。映画というのはストーリーだけではない。それだけだったら、小説で読めばいい。プロットを中心に視覚、聴覚でどう観客に訴えるかということが大事だと改めて教えてくれる作品である。


スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫ハットン(アーミー・ハマー)とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。


夜のハイウェイの運転中に、レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)らに襲われるトニー(ジェイク・ギレンホール二役)とその妻(アイラ・フィッシャー)と娘(エリー・バンバー)。家族を見失ったトニーはボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)と共に行方を探す。


彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。彼はなぜ小説を送ってきたのか。


いきなり、強烈に太った女性が 裸で踊る姿がオープニングだ。何これ?と見始める。アートギャラリーの陳列みたいだが、これもよくわからない。

1.我々に起こさせる錯覚
エイミー・アダムスが元夫から送られた小説を読み始める。時代が遡って、ジェイク・ギレンホールが家族と運転する車が、チンピラの乗る車に挑発されるシーンが出てくる。ここで我々を1つの錯覚に導く。この車に乗っているのが、妻であるエイミー・アダムスとその娘ではないかと。自分の嫌な思い出をつづっているかのように。途中までそう信じて、妻と娘が行方不明というけど、違うのでは?今、生きているじゃないと。この錯覚があるから、この映画の緊張感がもっている。


最後のエンディングロールで、アイラ・フィッシャーというクレジットを見つける。あれ?彼女が主演の「お買い物中毒な私」ってブログアップしたことあったっけ。「グランドイリュージョン」の一作目でも水槽トリックを演じていたよね。暗めに車の中をとらえていたので、てっきりこの車中の人をエイミー・アダムスだと思ってしまった。でも似ているよね。この2人

2.二人のなれそめと妨害するもの
この小説を送った意味を観ているものに考えさせる設定にしているのであろうか。映像はテキサスから大学進学時に出てきた旧知の2人がニューヨークで再会して付き合いはじめるシーンを映す。2人はアイビーリーグの名門大学にいずれも通うという設定で、あえてジェイク・ギレンホールは正統派アイビールック風にボタンダウンシャツを着ている。もともと惹かれあっていたのだ。


このあと、名優ローラ・リニーエイミー・アダムスのお母さん役で出てくる。セレブ役をやらせるとうまい。彼女が二人の結びつきに徹底的に反対するのである。これが二人の別れと結びつくと想像させるのであるが、露骨には映画ではそれを見せない。今は、エイミー・アダムスの家庭はうまくいっていない。というよりも夫が浮気をしている。映画では露骨に示す。どんな意味があるんだろう。

なぜ小説を送ったかは、どっちにもとれる内容である。ネタバレにならないように自分の見方を言うと、自分なりには復讐と感じる。だからこそあの終わり方をするのだと思う。最後に着飾ったエイミー・アダムスが向かうレストランの和風を織り交ぜたインテリアはすばらしく、ウィスキーロックを淡々と飲むエイミーアダムスの姿が目に焼き付く。

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映画「女神の見えざる手」 ジェシカ・チャスティン

2017-10-24 21:24:46 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「女神の見えざる手」を映画館で観てきました。

最終場面に向けて面白くなっていくスリリングな映画である。社会派の映画なので、男性観客のほうが多かったが、男の自分がいうのも何だが、女性が見るとすっきりするんじゃないかな?と思う。


「ゼロダークサーティ」以来相性のいいジェシカ・チャスティンの主演。ロビー活動というのは日本語にもなってきているけれど、ロビイストというと日本ではまだなじみはない。映画を見始めたときは、むずかしい言葉が飛び交い何が何だかわからない。そんな状態が続いた後で、銃規制をめぐっての肯定派と反対派の対決になり、徐々にわかっていく。テレビ討論の場面なんか迫力たっぷりだ。

金品や物品の授受で議員たちの言動を変えるとなると、ヤバいことになる。ではロビイストたちはどうやって自分が有利となる方向にもっていくのか?結局、議員たちは選挙で負けてしまうとただの人になる。議員がこころから望むのは自分のエリアでの票を集めるための手助けをしてもらうことだ。そしてそれがロビイストたちの仕事となる。今回の衆議院選挙でも、ライバルの出馬をやめてもらったとかずいぶんあったよね。そういうことを裏で操る。

ロビイストたちは全米をまわって、地道に自分たちに優位になるように議員説得に頑張るのだ。

ワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会が開かれていた。召喚されているのは、敏腕ロビイストとして名高いエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&W在職中に手がけた仕事で不正を行っていたとされ、その真偽が問われている。


聴聞会から遡ること、3ケ月と1週間前。
エリザベスは、コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストだった。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。
エリザベスは、銃擁護派団体からの仕事を依頼されていた。新たな銃規制法案に対し、女性の銃保持を認めるロビー活動で、廃案に持ち込んでくれというのだ。団体の代表者は議員たちにも強い影響力をもつ人物だが、エリザベスは彼の目の前でその仕事をきっぱりと断る。その結果、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)から、「依頼を断るなら、君にいてもらう必要はない」と言い渡される。
その夜、パーティに出席したエリザベスは、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、自分と一緒に闘わないかと誘いを受ける


次の日、エリザベスは部下を引き連れ、シュミットの会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。だが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれていくのだが。。。
(作品情報引用)

弁護士が活躍する法廷映画のような展開である。ジェシカ・チャステイン演じる主人公は男勝りで、慢性的な不眠症だ。起きているあいだじゅう頭の中が冴えわたる。弁舌ではだれにも負けない。テレビ討論の場面は見ものだ。パリッとした服装に身を包み、真紅のルージュが白い肌に妙なコントラストをつくる。独身であるが、性的な欲求の解消に男を買っている。優秀なロビイストというのは高額な収入を得ているのであろう。物事の解決に自腹を切ることもよくある。ドライな女だ。


そういう主人公を演じるジェシカ・チャステインのワンマンショーと言えるだろう。常に勝ち続けるかというと、そうでもない。聴聞会にも呼ばれるくらい不利な状態をつくるし、カッとしてとっさにまずい言葉も吐いてしまう。もうこれで終わりかと思うところで、脚本家は別の手立てを仕組む。ここでのストーリー作りは実にうまい。脚本術を独学で学んだ元弁護士のジョナサン・ペレラが、不正行為で逮捕された共和党系ロビイスト、ジャック・エイブラモフのインタビューを見たことで着想を得て、初めて執筆したのが本作のシナリオだという。お見事だ。


ロビイストはいないけれど、自分たちの業界の陳情がなりたつように、業界団体がずいぶんと動いている。自分の会社にも政治家に入れ込んでいる人はいる。業界団体の専務理事のような人はほとんど所轄官庁の天下りだ。だから選挙の業況が悪いと、とたんに政党から応援要請が来る。今回は途中の世論調査を経て、思ったほど応援要請はなかったので、気楽であった。

昨日、財界関係者も出席するある夜の会合があり、冒頭ある財界の大物が与党の勝利で選挙が無事終了してよかった、小池台風があっという間に去ってパリに行ってしまったなんて話をしていた。個人的にも日本経済のためにもよかったと思う。なかなか女性が這い上がろうとしても障壁は多い。しかも、小池自らポカをやってしまって、選挙は彼女の思い通りにはならなかった。もしかしたら、この映画でも見たら、再度やる気を出すんじゃないかしら?
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映画「ドリーム」 タラジ・P・ヘンソン&オクタヴィア・スペンサー

2017-10-05 19:00:46 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ドリーム」を映画館で観てきました。


ソ連に遅れてアメリカがはじめて有人宇宙飛行に成功したとき、NASAで働く3人の黒人リケジョの裏方に支えられていた話を描いている。こういう3人が活躍していたことは初めて知った。

自分がなり切れないあこがれもあってか、数学の能力に優れた天才を描いた映画って好きだ。天才ぶりをあらわす逸話もふんだんに披露される。現代アメリカ映画らしく、美術、衣装は完璧で色彩設計もすばらしい。ソウルフルなミュージックも画面にあわせて軽快に流れる。気分よく見れるサクセスストーリーである。

東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。


幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、オール白人男性である職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。(作品情報より)

1.数学にすぐれたキャサリンの活躍
60年代初め、アメリカは明らかにソ連に宇宙開発で遅れていた。ソ連はガガーリン飛行士による有人宇宙飛行を成功させ、NASAは焦っていた。ケビン・コスナー演じる研究本部のハリソン本部長は軌道の設計ができる解析幾何学にすぐれた奴はいないのかと部下をしかりつめる。その時、遡上に上がったのがキャサリンだ。この当時、黒人女性で大学院まで卒業するというのはめったになかったと思う。若き日から数学の才能にすぐれたキャサリンが研究本部の計算係として異動する。


研究本部はエリート白人男性ばかりで、黒人はもちろんいないし、白人女性も補助だけだ。広い本部の部屋に入るとみんなから白い目で見られる。ロケットの軌道計算の見直しをやるように指示を受けるが、肝心な数字が黒のマジックで消されている。おいおい、これじゃ仕事できないじゃないの。でも彼女は光にあて、マジックの下の字を一部読み取り、行間から推測して正しい数字を見せつける。これにはみんな唖然だ。


そんな感じで、徐々に本部長の信頼を得る。しかも、宇宙飛行士グレンのいる前で、大気圏突入と落下位置をスパッと計算するのだ。こんな逸話がたのしい。

2.計算センターの女性リーダーの昇進
一方、別館の計算センターにいる優秀な黒人女性のなかで実質リーダーをしていたドロシーは、何度も昇進を懇願したが、受け入れられなかった。(ここでのキルスティンダンストの嫌味っぷりも見どころだ。)その中でコンピューター言語のFORTRANを自力で学んで、IBMの大型CPUの操作をマスターするなんて逸話もある。目のギョロっとした芸達者なオスカー女優オクタビア・スペンサーはいつもながらの名演技である。


映画の世界でも60年代前半というと、黒人と白人との激しい対立が描かれている。アカデミー賞受賞した「夜の大捜査線」なんか見てもすごいよね。グレゴリーペックが黒人の冤罪を弁護する正義あふれた弁護士を演じた「アラバマ物語」も1962年だ。キャサリンがいる研究本部には黒人女性用のトイレがない。わざわざ別館まで走っていかねばならない。こんな場面も黒人の阻害ぶりを示している。

ただ、解析幾何って高校で習う図形を座標軸で計算するやつだよね。微分積分の解析と違うなら、解析幾何学ってそんなに特殊な学問かなあ?訳し方が違うのかなあ?あと、天才少女ぶりを示すという黒板の問題って誰でもできるずいぶんと簡単な問題だけど、アメリカってこういうのが難しいということになるの?このあたりは不思議だけど、主人公が計算能力に優れているということは間違いないだろうね。
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映画「スウィート17モンスター」ヘイリー・スタインフェルド

2017-09-24 17:41:50 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「スウィート17モンスター」は2017年日本公開のアメリカ映画


映画「トゥルーグリット」で大ベテランのジェフブリッジスを相手に聡明な天才少女を演じた子がいた。ヘイリー・スタインフェルドである。父の復讐のためにジェフブリッジスと組む役で頭はキレる。彼女が主演する新作はそれとは真逆のちょっといけてない変人の女の子という設定だ。それでも、ヘイリー・スタインフェルドがホントパンツをはいているアメリカンスクールスタイルのいでたちは、カッコイイ女の子だけど。

監督のケリー・フレモン・クレイグは女流監督で、女ならではのいやらしさの表現がうまい。男の前ではいい顔するけど、女の前では陰湿ないかにもイヤな女ぽさが本人、友人いろんな役から感じさせる設定になっている。

主人公のネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は17歳。キスもまだ経験なしの,イケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空まわりして,教師のブルーナー(ウッディ・ハレルソン)や,母親(キーラ・セジウィック)を困らせてばかり。


たったひとりの親友クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけが,自分のすべてだと思っていたのに,何をしてもかなわないとコンプレックスを抱いていた天敵の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と親友クリスタが恋に落ちてしまう。

この衝撃的事件により,ネイディーンは父が他界して以来ずっと取り乱しがちな母や,何故かシンパシーを感じる変わり者の教師ブルーナー,自分とは正反対のイケメンで誰からも愛される兄ダリアンなど,自分を取り巻く人々へ新たな視点と気持ちを向けざるをえなくなる。
人生は,彼女が思う以上に複雑で,誰もが何かをこじらせながら大人になっているのだ...。(作品情報より)

小さい頃から優等生の兄貴に母親はかかりっきりで、ネイディーンはひねくれて母親とはケンカしっぱなし。そんな主人公を暖かく見守るのは父親だけ。その父親がまさかの交通事故で亡くなってしまう。学校では一人ぼっちで、イジメっ子の女どもにはやられっぱなしだ。そんなとき、1人の少女が声をかけてくれる。たちまち大親友になる。2人で似たような青春を過ごし成長して今に至る。


友人のクリスタはときおり家に遊びにきてくれたが、あるとき兄貴とたちまち意気投合してしまう。2人一緒にベッドにいるところを見てしまいビックリだ。兄貴と別れなきゃ絶交よと言っても、離れられない。また、一人ぼっちだ。

その彼女には気になる男性が3人いる。
教室の隣席にいるアジア人、ぐちをぶつける教員、そして憧れの先輩である。
⒈グチをぶつける教員
ハゲ男だ。もう学校辞めてやると何度も来るネイディーンに対して、柳に風とばかりに優しく見守る。ネイディーンはハゲで独身で年収も4万5000ドルしかもらっていないと、豊田議員ばりに暴言を吐くがさらっと流す。いい奴だ。


⒉隣席のアジア人
アニメ映画オタクで韓国人。ネイディーンに話しかけるけど、素っ気ない。自主映画製作に燃えている。誘いを受けて自宅に行くとプール付き大豪邸。親のいない隙に一緒にプールに入るシーンはいい感じだ。でもちょっとブルジョアすぎる設定かな?キッスのチャンスをうかがうが、外されっぱなしでちょっとムカつく。


⒊上級の憧れの先輩
フェイスブックで友達申請をしても無視される。アルバイト先のペットショップに乱入して、働いている熱帯魚売り場で言いよるが相手にされない。それでも、エロい言葉を並べた下書きを書いていたら、うっかり送信してしまう。これには笑う。今度は誘いに乗ってくる。さて、どうなる。


こんな不器用な女の子の話って好きだな。

スウィート17モンスター
自由奔放な17歳の女の子のふるまいを楽しむ
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映画「ワンダーウーマン」 ガル・ガドット

2017-09-02 17:28:54 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ワンダーウーマン」をみてきました。


ガル・ガドット演じるワンダーウーマンの姿はかっこいい。これは観るしかないと映画館に向かう。ルパート・グレグソン・ウィリアムズの音楽が終始高らかに鳴り響く中で、テンション高いままに映画は進む。途中退屈な部分もあり、一瞬寝てしまったが、美しいガル・ガドットを見ているだけで楽しい。

女性だけのアマゾン族は、外界から隔絶された島に住んでいる。プリンセスのダイアナ=ワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、子供のころから叔母のアンティオぺ(ロビンライト)の指導で戦士として鍛錬を積んでいた。ある日、ドイツ軍の攻撃を受け海岸に不時着した小型飛行機から、初めて目にする男性を助け出す。米軍のスパイだと身分を明かすスティーブ(クリス・パイン)から、外の世界で戦争が起きていることを聞いた。


ダイアナは、2度と戻れないことを承知の上で、争いを止めるために故郷をあとにする。2人は、軍事会議でドイツ軍の毒ガス砲撃計画の阻止を訴えるが、進行中の休戦協定交渉を理由に却下される。そこで彼らは、計画の首謀者であるルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)の息の根を止めようとするが……。(作品情報より)

最初、パリにいるガル・ガドットのもとに写真と手紙が届くシーンが出てくる。現代の物語かと思うと、離れ小島で暮らす女一族が剣の鍛錬に励むシーンと幼いダイアナの姿が映し出される。やたら、古代ギリシャ神話の話も出ているので、これっていつの時代背景なの?と思ってしまう。


そうしたときに、突如戦闘機が海に墜落するシーンが出てくる。これってまだ初期の飛行機だ。特に時代は語られていない。ただ、オスマン帝国がまだ登場し、墜落した飛行機の乗組員は米軍からドイツ軍に侵入したスパイだと独白する場面があり、第一次世界大戦のころとわかってくる。第一次世界大戦は初めての戦車、飛行機利用と毒ガスで有名だ。戦いの神が大暴れをしているのではと、ワンダーウーマンが心配し、神を征伐すれば戦いが終わると信じている。その中でバリバリ現代の映像特撮技術を駆使してワンダーウーマンが大暴れをする。


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映画「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」 ナタリー・ポートマン

2017-04-05 20:21:50 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ジャッキー」を映画館で観てきました。


最近の若い人には知らない人も多いだろうけど、自分が小さいときはジャクリーンというのはセレブの象徴のような人であった。船舶王オナシスとの再婚も女性週刊誌にずいぶんと取り上げられているのを新聞の広告で見ていた気がする。まさに劇的な人生を送っていた彼女だが、ここではJ・F・ケネディが暗殺され葬儀に至る非常に短い期間を描いている。時間的には短いが非常に濃い日々である。

映画として抜群といった作品ではないが、ナタリーポートマンはいつもながらお見事な演技。「女の業」や情念のようなものをその表情とセリフできっちりと見せている。


1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領は、テキサス州ダラスでのパレードの最中に銃撃される。 目の前で愛する夫を暗殺されたファーストレディのジャッキーことジャクリーン・ケネディ(ナタリーポートマン)は、怒りと衝撃に震えていたが、悲しんでいる時間はなかった。すぐにジョンソン副大統領が新たな大統領に就任して激務を引き継ぎ、刻一刻と夫が過去の人になっていくのを目の当たりにしたジャッキーは、彼の名前と功績が後世に残るかどうかは、この数日間の自分の行動にかかっていると気付いたのだ。
自らの手で築き上げてきた<ケネディ伝説>を永遠にするために、ジャッキーは命の危険さえも顧みず、最後の使命に身を投じる──。(作品情報より)

ケネディ大統領が暗殺されてからジャッキーがホワイトハウスを出るまでにこんな出来事があったのかは知らなかった。
まずは、ジョンソン大統領の大統領就任の宣誓を暗殺されて半日もしないうちにしてしまうという事実に驚く。おなじみのピンクのシャネルスーツに身を包んだジャッキーがすぐその横に立ち会うのだ。ジャッキーのスーツには殺されていた時の血痕が飛び散っている。空白を作らないというのはわかるけど、ものすごい残酷なことである。


JFKの葬儀にあたっては、ジャッキーはこれまでに暗殺された大統領の葬儀の資料を取り寄せ、それを意識した葬儀をボビーことロバートケネディ長官とともにプロデュースしている。暗殺されたあと、周囲は警戒してジャッキーの希望を拒絶しようとするが、ジャッキーは押し通す。まだ小さい子供たちのけなげな姿を全世界に対して結果として強く印象付けた。


今回はアップの映像が目立った。血痕が飛び散った顔をジャッキーが涙ながらに拭いていく映像が印象的だ。ジャッキーを追うカメラのアングルもすばらしい。





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ドキュメンタリー映画「AMY」 エイミー・ワインハウス

2016-07-27 21:14:02 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
ドキュメンタリー映画「AMY」を映画館で見てきました。


2011年7月に27歳で急逝した英国人シンガー、エイミー・ワインハウスの人生を追ったドキュメンタリーだ。これはなかなか良くできている。あくまで現存するフィルムを中心に彼女の人生を追っていく。第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞他、世界で40以上の賞を受賞している。

少女のころからハスキーな美声に恵まれジャズ好きの少女が歌手となり、シングル「Rehab」を大ヒットさせ、2008年のグラミー賞で5部門を受賞する。それだけでいえば、サクセスストーリーのようだが、似たような堕落しきった若者とつき合い、結婚しドラッグとアルコールにはまっていく。その姿を別の俳優が演じる再現フィルムでなく、実際のエイミーが歌う姿をすでに撮ってあるオフィシャルな映像に加えて、プライベート映像を構成し、ドキュメンタリーにまとめる。この編集能力は凄い。

若くして亡くなった名ロックシンガーといえば、ジャニス・ジョプリンだ。ハスキーボイスでヒット曲を連発したあと、あっけなく亡くなってしまう。ドラッグにはまったという意味では経路は同じだが、エイミー・ワインハウスのほうが歌はうまい。

それだけに惜しまれるが、このドキュメンタリーを見ると、到底長生きなんてできない生活をしていたことが身にしみてよくわかる。

「Rehab」は日本の街でも随分と流れていた大ヒット曲
you tubeの再生回数が1兆をこえて凄すぎる。



グラミー賞の受賞者発表のプレゼンテイタ―がトニーベネットとナタリーコールだ。エイミーの父親がトニーベネットの大ファンで、彼から自分の名前を呼ばれることに感激する。そして、トニーベネットがさまざまな歌手とのデュエットアルバムをつくった時にエイミーとジャズのスタンダード「BODY&SOUL」を歌う。このメイキングのシーンが一番印象に残る。エイミーのこの歌声は本当にしびれる。
そしてこの年2011年彼女はこの世を去る。




(参考作品)
AMY エイミー
サウンドトラックで聞くエイミーの歌声


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映画「ブルックリン」 シアーシャ・ローナン

2016-07-06 18:19:48 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ブルックリン」を映画館で見てきました。


1950年代の匂いがする映画って好きだ。ケイト・ブランシェット「キャロル」のもつしっとりしたムードに酔わされた自分は映画「ブルックリン」を見てみたいと感じる。

この映画も見て良かった。田舎娘が都会に出てきて、都会の荒波にもまれながら成長していくという類の話は古今東西たくさんの映画が作られてきた。ここではアイルランドからニューヨークブルックリンへの移民女性の物語だ。イタリア移民の青年との恋物語が語られたあとで、悲報が入って故郷に戻る。そこでまた恋物語が生まれる。さあどうなる?という展開だが、優しいムードの中で焦らずゆっくりと語られるので心地よく見ている時間を過ごせた。

1950年代アイルランドの町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、意地の悪い店主のいるドラッグストアで働いていた。彼女の将来を案じた姉の勧めでエイリシュはニューヨークへ渡米し、アイルランドからの移民が多いブルックリンの女子寮に住むことになる。しかし、高級デパートでの接客には慣れず、激しいホームシックに陥いる。


アイルランドから届く姉の手紙を読み返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷の神父(ジム・ブロードベント)はブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。エイリシュは夜学に通い簿記を学ぶうちに少しずつ前向きになっていく。
そんな中、あるダンスパーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会う。


彼女は、水道工のトニーの誠実さに少しずつ心を開いていく。ところがある日、故郷から突然の悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷する。そんな彼女を待ち受けていたのは、富豪の息子ジム(ドーナル・グリーソン)との再会であったが。。。

1.シアーシャローナン
映画「ハンナ」ではケイトブランシェット共演で小さい頃から暗殺者に育てられた少女を演じた。ラブリーボーンなどと比べてこの激しい映画での印象が強い。彼女自身アイルランド移民の家系に生まれ、ニューヨークで育つ。主演にこれ以上の適役はいないであろう。


田舎育ちでニューヨークに移住する時のドギマギする様子がらしくていいし、服装出で立ちが徐々に洗練されていく姿を見ると、ぐっと映像に引き寄せられる。かわいい。

2.50年代のムード
映画「キャロル」とほぼ同じ時代設定だ。しかも、シアーシャローナンが演じるのはルーニーマーラと同じデパートガールである。美人の職場主任に指導されながら少しづつ成長していく姿が健気だ。


映画キャロルもポストプロダクションのうまさが際立ち、色彩設計が豊かだったが、この映画も色合いがきれいな映画だ。タクシーのイエローでキリッと引き締めて、主人公が着る薄いイエローや水色の服装が明るい。恋人といくニューヨークの海水浴場での風景の全体的色彩設計がカラフルで、アイルランドの緩やかな海岸線での映像と対照的なのもいい。見ている間、ずっと快適な心地良さを感じることができた。

3.予測不能な動き
ブルックリンで1人のイタリア移民系の青年と知り合う。典型的なプロレタリア階級で優しい彼にグイッと引き寄せられる。ところが、故郷アイルランドから悲しい訃報が届き、帰国する。飛行機で気軽に移動できる現代とはまだ違う。青年は帰国して会えなくなるのかと思い、求婚する。合意して帰国するが、戻って富豪の家系に育った青年と接近する。家族も彼女がアイルランドにとどまることを望み、この恋愛を後押しする。


これってどうなるんだろうと思わせる予測不能な雰囲気が良い。ミステリーではないが、謎めいたものを感じる。この結末ってどうなんだろう。違う展開を予測しながらラストを見届けた人も多いかもしれない。自分はホッとした。

(参考作品)
ハンナ
シアーシャ・ローナンが演じる傑作アクション映画
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ドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」

2016-04-24 19:44:08 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
ドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」は2015年公開のアメリカ映画だ。


「ビル・カニンガム&ニューヨーク」と「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」という2つの写真家を題材にしたドキュメンタリーは映画館で見ていずれもよかった。それなので女性写真家をフューチャーした「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」も気になって仕方なかった。上映映画館が少なく、残念ながらスケジュールに合わなかった。結局DVDスル―となってしまったが、なかなか良くできたドキュメンタリーである。

ヴィヴィアン・マイヤーを女性写真家と言ったが、実際には1人の写真好きの独身ベビーシッターにすぎない。生前、彼女は写真として15万枚以上の作品を残しながら、一般に公表していなかった。シカゴ在住の青年ジョンマルーフが彼女のネガをたまたまオークションで得てブログにアップすると、その出来の良さにプロのカメラマンからも賛辞が寄せられる。そこで彼女の半生を追うことが製作者ジョンマルーフのライフワークになったのだ。

(製作者ジョンマルーフの言葉  作品情報より引用)
2007年、地元シカゴの歴史の本を執筆しているときに、その本に掲載する古いシカゴの街並みの写真を 探して、地元のガラクタや中古家具などを扱っているオークション・ハウスに出かけた。そこで、写真のネガでいっぱいの箱をひとつ競り落としたが、それらの写真が本に使われることはなかった。。。「僕には見る目がある。時間があるときにゆっくり見よう」そう思ったのだ。2年後、そのとき買った写真が20世紀最高のストリート・フォトグラフの発掘の始まりとなったのだった。僕はこの素晴らしい写真を撮った人物を探す旅を記録して、映画にすることを決めた。


そのネガは、ヴィヴィアン・マイヤーという女性のものだった。僕は彼女の遺品と大量の奇妙な所有物を手に入れて、彼女のことをもっと詳しく調べ始めた。僕は、マイヤーがどういう人物なのかを解き明かしていく過程を映画にしたいと思ったのだ。彼女の残した証拠物件は僕を、彼女を知る人物から人物へ導いていった。しかし、さらなる事実を発見すればするほど、疑問が湧いてくるのだった。彼女は僕がやっていることをどう思うだろうか? なぜ彼女は自分の写真と私生活を、他人の目に触れないように したのか? 一体全体、どういう女性なのだろう?。。。


すっかり取り憑かれた僕が集めたインタビューと、世界中に散らばった彼女にまつわる奇妙な物語のライブラリーができた。僕たちはおよそ100人程度の、ヴィヴィアン・マイヤーと接触のあった人々を見 つけ出した。映画の中では、彼らの好きなように話してもらった。(一部略)


1.インタビューを通じて半生を追う手法
ミュージシャンのスライ・ストーンの周辺をインタビューをすることにより、彼の実像を追うドキュメンタリー映画「スライストーン」も同じ手法であった。人気の出ていた70年代前半から不可思議な奴と評された彼の実像をインタビューだけで浮き彫りにしようとする。映画の最終展開で彼本人へのインタビューを成功させることで締めに持っていくのである。しかし、ヴィヴィアンはもうすでにあの世の人である。インタビューはできない。それでも彼女は自分の生きてきた軌跡を大量の写真だけでなく、8mmや16mmの動画にも残すと同時にカセットテープに自分の思いを吹き込んだりもしている。それを製作者ジョンマルーフが丹念に整理している。しかも、フランスの人里離れた村に2回行ったことがあることに注目して、自ら取材してしまう。この作業はなかなか凄い。


2.ヴィヴィアン・マイヤーの性格
過去の雇い主のインタビューをきくと、若干変わりもので孤独を愛していたということがうかがわれるようだ。その雇い主自体リッチな人たちが多いが考えが偏り、むしろそっちの方が偏屈なような気もする。
もともと母親と2人で暮らしていて、その他の親戚もいない。独身で子どももいない。過去に男性にいたぶられたことがあるような言動があったと聞くと、孤独を愛するようになる気持ちはわからなくもない。その方が気が楽なんだろう。


隣人の家でペンキを塗る作業があった時に、家主が古新聞をあげてしまいヴィヴィアンが憤慨したことがあったそうだ。私が想像するに、新聞に載っている報道写真をみながら次にこういう構図で写真をとってみようと参考にしていたのであろう。それができなくて雇い主に珍しく反発したなんて話を聞くと、諸外国で活躍する報道写真家のような気分になって2眼レフのシャッターを押す瞬間が一番幸せだったのであろう。

3.監督の手法
雇い主や面倒をみた子どもたちからの評価は悪くはないが、彼女のパフォーマンスに対して酷評をする人もいる。また、ヴィヴィアンが話すフランス語に対して、フランス訛りの英語という人もいれば、それは絶対に違うと言い切る言語学者だった雇い主もいる。そういう両方の評価を対比してどっちが正しいと言い切るわけでない。ヴィヴィアンをクローズアップするわけなので、ジョンマルーフ監督はヴィヴィアン寄りなはずである。それでも強く評価を下すわけでなく客観的にそのインタビューを並列で構成する監督の手法がいい感じだ。



(参考作品)
ビル・カニンガム&ニューヨーク
NYタイムスの写真家のドキュメンタリー


セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター
全世界を駆けめくる写真家のドキュメンタリー


ヴィヴィアン・マイヤーを探して
生前に日の目をみなかった孤独な写真家


Vivian Maier: Street Photographer
ヴィヴィアンマイヤーの作品
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映画「ボーダーライン」 エミリーブラント&ベニチオ・デル・トロ

2016-04-17 14:08:34 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ボーダーライン」を映画館で見てきました。


「灼熱の魂」のもつ緊迫感に圧倒され、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品を追いかけている。今回はエミリーブラント主演でアメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実を、リアルに描いた作品だ。

アメリカとメキシコの国境における麻薬取引を描いた名作「トラフィック」は正直見ていてわけがわからなかった。この麻薬取引というのを理解するのは簡単にはできないような気がする。大統領候補ドナルド・トランプは不法移民のアメリカ流入を徹底的に阻止すべしというが、ここの国境にではアメリカに不法移民として入ろうとする人たちだけでなく、麻薬を持ちこもうとする連中の両方がいる。しかも、アメリカ側からメキシコ方面を眺めると、至る所で銃撃戦が繰り広げられている。すさまじい仁義なき戦いだ。

FBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)は、メキシコの麻薬カルテルの壊滅を目指す特殊チームにスカウトされ、リーダーのマット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)と、謎めいた男アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)とともにメキシコのフアレスへ向かう。

極秘任務とはいえ具体的な作戦を知らされないことや、渋滞した国境手前で銃撃戦を繰り広げて敵を皆殺しにするといった、チームの常軌を逸したやり方にメイサーは反発する。さらには自分がスカウトされた本当の理由を知り無力感に襲われるが、やがて作戦に秘められた衝撃の真実にたどり着く。(作品情報より)

この映画も余計な説明は省いているので、最後まで見終わった後でもよくわからないことだらけだ。それでも効果的な音響効果や音楽で映像イメージが強化されて緊迫感が高まるのでスリル満点である。エミリーブラントが映画ポスターの前面に出ているけれど、実際に強烈な存在感を持つのは「トラフィック」にも出ていたベニチオ・デル・トロだ。メキシコ系スペイン語も話せる彼の不死身度が凄い。ジョシュ・ブローリンも影が薄くどちらかというとベニチオ・デル・トロのワンマンショーに近いかもしれない。


1.ドゥニ・ヴィルヌーヴ
彼が監督した「灼熱の魂」では1人のレバノン人女性の生きざまをイスラム対キリスト教の宗教戦争を並列で描きながらド迫力で描いた。今回はメキシコの麻薬カルテルを壊滅を目指すFBIやCIAなどの面々が集まったアメリカの特殊組織が法令を飛び越えて対抗する姿を描く。
国境を超える大渋滞の中で敵を見つけ、激しい銃撃戦を起こす場面では心臓の鼓動のようなドキドキものの音楽を流しながら緊迫感を高める。そこで映像に目が釘づけになる。こんなのは法令に沿っていないとするエミリー・ブラントの存在感がだんだん弱くなり、ベニチオ・デル・トロに主役が移る。クライムサスペンス映画「プリズナーズ」でもドキドキさせてくれたが、ここでも監督はうまい。


2.ベニチオ・デル・トロ
比較的シリアスな映画にも出てくるが、この風貌はクライムアクションにあう。ましてやメキシコ国境の麻薬が絡んだ映画となれば、彼が一番の適役だろう。韓国映画「哀しき獣」キムユンソクが演じたどんなことがあっても不死身の男を連想した。まさにボーダーを越え、麻薬シンジケートの親玉に接近していくシーンではドキドキしっぱなしである。「ゼロダークサーティ」でビンラディンを追い詰めるシーンを思い出す。ここで追いつめた彼がとったパフォーマンスはちょっと意外の持ち込み方だった。


凶悪犯罪を解決するのには普通な方法じゃ無理なんだということと、そういう捜査における女の非力を印象付けるような映画だと思う。

(参考作品)
灼熱の魂
ドゥニ・ヴィルヌーヴの生んだ傑作


トラフィック
メキシコ国境における麻薬捜査を描く
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