映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「四十九日のレシピ」永作博美&二階堂ふみ

2014-05-31 05:59:08 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「四十九日のレシピ」は昨年2013年公開のドラマ
ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督がメガホンを取り、永作博美、石橋蓮司の芸達者が主役を演じる。二人ともうまい。あとのキャスティングも絶妙で、二階堂ふみ、淡路恵子、原田はイメージぴったり。日系ブラジル人役の岡田将生君はご愛嬌

こういうテイスト大好きだなあ。タナダユキ監督は間合いの取り方がうまい。
それなので映画全体に流れるテンポは急ぎすぎない。落ち着いて映画を見ていられる。
途中むかつく発言にむっとするときもあったが、川沿いに建つ家のそばでのどかに流れるムードがいいので十分カバー。
ロケハンティングにも成功しているし、撮影の巧みさも随所に光っている。
いい映画だ。

妻・乙美が突然亡くなり熱田良平(石橋蓮司)は独り残される。家の中で抜け殻のようになり部屋に横たわっていた。そこへ派手な服装に身を包んだ女の子井本通称イモ(二階堂ふみ)が訪ねてくる。彼女は依存症の少女たちの更生施設「リボンハウス」でボランティアをしていた乙美の元生徒だった。ズカズカと上がり込むと、乙美が生前に作っていた「暮らしのレシピ」カードを取り出す。“これ、やろう!”と良平に告げる。開いたそのページには、“四十九日のレシピ”の文字が。乙美から、自分が死んだら父娘を手伝って、みんなが楽しく飲み食いする“四十九日の大宴会”をしてほしいと頼まれていた。


一方、東京へ嫁いだ娘の百合子(永作博美)は不妊治療を受けていて、義母の面倒を献身的に見ていた。それなのに夫浩之(原田泰造)の浮気相手に子供ができたことがわかる。印鑑を押した離婚届と結婚指輪を残して、東京の自宅を出て実家に戻る。
恐る恐る家に入ろうとすると、父・良平とイモがお風呂で一緒にいる様子を見て面くらう。


百合子は、離婚を考えていると父に打ち明ける。叔母(淡路恵子)も家にもどれと諭すが、彼女はそのまま居残る。
イモとともに訪れた朝市で、良平は浩之の好物イワナを見つける。それを届けようとするが、勤め先の前で愛人とその子と一緒にいる浩之の姿を目の当たりにして、声をかけずに戻っていった。百合子は義母とヘルパーとの関係がうまくいっていないことを聞き、いったん東京に帰ろうとするが、父にそれは向こうの家に任せろという話になった。
「やるぞ、四十九日の大宴会!」
百合子と自分自身を励ますように宣言する良平。


イモは、助っ人に日系ブラジル人のハル(岡田将生)を連れてくる。乙美がパートをしていた自動車工場で働いていた青年だ。こうして、乙美のレシピ通りに家を整理して準備を始めた。百合子は乙美の“人生の年表”を作って貼り出すことを提案する。年表は空白だらけで「子供のいない母親」は寂しいものだと百合子は感じるのであるが。。。。

小説の映画化である。すでにテレビ化もされているが、この映画は題名からして縁のないものと思っていた。
ところが、見始めると独特のムードが妙に心地よい。


1.家庭内の諸問題
不妊の妻の心理とうるさい外野(小姑)、浮気相手の懐妊と別れられない男、後妻と子供の関係などここで取り上げられている
家族内の問題は多い。それを表現するのに絶妙な脚本が用意してある。


2.二階堂ふみ
ここでも一番の存在感を見せる。最初おかしな格好の女の子が出てきたなあと思ったら声で二階堂ふみとわかる。それからの縦横無尽の活躍はいつもどおりだ。大学進学おめでとう!進学先知り今まで以上に応援する気になった。学校ちゃんと行ってよ


3.永作博美
子供のいない母親の悩みを表情でうまくみせる。実生活では高齢出産で2人の子持ちになったようだ。でも今まで第三者から子供のことでプレッシャーになる発言を受けたことはあるんじゃないかな?実感がこもっている印象を受ける。
離婚のつもりで家を出ているのに、義母のことが気になっている。裏切られた夫の母親にもう一度会おうとするだろうか?そこはどうかなという感じ


4.四十九日の大宴会
この設定いいよね。準備をする時点から、家族と手伝う2人に連帯感が生まれる。
何かが欠けていた家族なのに、共同作業をしようとするパワーが生まれる。バルコニーのペンキ塗りのシーンは見ていていい感じだ。途中紆余屈折を経て当日になり年表が埋まっていくシーンは胸にジーンとくる。

5.淡路恵子
残念ながら遺作となった。この意地悪ばあさん役は淡路恵子にしかできないなあ。
石橋蓮司の姉という設定である。いつまでたっても姉に頭が上がらないオヤジっているよね。
その微妙な関係を絶妙な2人の間合いでこなす。
不妊のめいに対して、気を使っているとは言うけど普通ではいわないような言葉をどんどん使う。
顔も嫌味たっぷりだ。テレビその他で見る彼女のプロフィルからしてこの役はまさに適役である。
最後のダンスには少々びっくり、唖然とした石橋蓮司の顔つきを思い出すと吹き出してしまう。

最後に味のある演技を見せてくれて、本当に良かったと思う。

ラストについては異論もあると思う。自分も少々疑問
それでもこの映画ゆったりとしたムードが自分にはあっている。
タナダユキ監督の次作に期待する。

(参考作品)

四十九日のレシピ
やるぞ、四十九日の大宴会!


ふがいない僕は空を見た
コスプレ主婦と少年の恋
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アイスランド映画 「アウトロー」

2014-05-29 05:31:30 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「アウトロー」はニコラス・ウィンディング・レフン監督が製作したアイスランド映画だ。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督「ドライヴ」ではライアンゴズリング主演ですばらしいアクション劇を見せてくれた。彼の作品と明示されているdvdジャケットを見て思わず手に取った。よく見ると、監督はオスカー・トール・アクセルソンとなっている。まあいいか。
アイスランドには行ったことはない。映画「LIFE!」で美しい風景を見て関心を持ったばかりであった。

映画はどす黒いムードで進んでいく。B級映画の匂いがプンプンする。完成された感じではない。

アイスランドの首都レイキャビックが舞台だ。学生の主人公ステビ(ソー・クリスチャンソン)が酒に酔って傷害事件を起こし収監されている。いったん釈放され警察署の外に出ると、幼馴染のトティ(ヨハネス・ハウクール・ヨハネソン)とと偶然出くわした。スキンヘッド頭のギャング風のトティはもし事件のことでややこしい話になったら、弁護士を紹介するよといい名刺をくれた。後日事件の処分で5年の懲役刑と罰金が課せられるがわかるとすぐさまトティに連絡する。

弁護士を紹介する前にお願い事をされた。指定場所へ行き、警察すら見つけることのできなかった茶色をした物を探して欲しいというのだ。
何はともあれ、主人公は現場に向かい、現場で壁をこわして物を発見する。
ところが、後ろに誰かの影がする。やくざ風の中年が進入してきた。とっさに身近にあるものを凶器にして中年を半殺しの目にあわす。麻薬業界を牛耳るファラオの片腕だった。
気がつくと、なかなか度胸があるとみなされて、ステビはトティの仲間に入っていた。
麻薬の売人たちと付き合うようになる。そしてクスリとセックスにずぶずぶに溺れていく。


今主人公は困っている。酔った勢いで過剰に暴力をふるい、傷害で訴えられているのだ。このままでは懲役刑を食らう。
ピンチなので、もうどうなってもいい。
最初はうだつの上がらない学生の雰囲気をかもし出す。髪はボサボサで、ひげはぼうぼうと生えている。
そうしたときの救世主がたまたま出くわした同郷の先輩だった。見かけからしてあやしい。でも弁護士を紹介してくれるなら仲良くするしかない。
ただし、捕まっている麻薬の売人の部屋から麻薬を見つけてこいというのだ。そこは誰もが狙いを定めている部屋
行って見つけると、麻薬シンジケートの親玉と出くわしてしまう。いきなりピンチに出くわす。

1.先輩の教え
ピンチになったら、「fuck you」とつぶやいて、最初に目に付いたものに目を合わせろという。
この場面が2度出てくる。肝心な場面だ。


2.不吉な男ブルーノ
途中から出てくる麻薬組織を牛耳ろうとする男だ。
雰囲気がただならない。何より喧嘩が強い。先輩トティも一発やられる。
しかも、ワル知恵が働く。ずっと映画をリードするのはこの男だ。

このあとアッと言わせる場面が出てくる。
男色の匂いを出す。洗面所で自分のものを洗うシーンが痛烈だ。
最近のワルってこういう感じの男多いかもしれない。日本の関○連合にいる奴も同じような顔つきだよね。

3.組織の美女
トティたちの仲間のカワイ子ちゃん。美人というわけではないが愛嬌がある。
仲間になってすぐに主人公は惹かれる。でもすぐはくっつけない。
しばらくしてようやく機会が到来

そこで見せるダイナマイトボディにビックリだ。

4.アイスランド
レイクキャビといえば、ゴルバチョフとレーガンが会談した場所という印象が強い。
アイスランドは意外にも非武装の国である。それだから選ばれたのであろう。
海岸から見える山が平たい屋根の形をして美しい。ここは観光の宝庫だ。

金融危機でバブル崩壊したということを本で読んだ。うさんくさい印象をもっていた。

5.最後の謎
ラストの場面で秘密の箱に1つ「手」が加われる。いったい誰のものなのか?
666と書いてある。
dvdを見直してみる。この数字を手につけた男がでてくる。それも2人だ。
でも両方とも死んだはずだ。
ではいったい誰?ちょっとよくわからない。

(参考作品)

アウトロー
アイスランドマフィアをめぐる黒い影
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映画「青天の霹靂」 劇団ひとり&大泉洋

2014-05-28 20:12:14 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「青天の霹靂」を映画館で見た。
劇団ひとりの監督作品で、大泉洋の主演だ。

情報によると大林宣彦監督作品「異人たちとの夏」と似たようなタッチだという。この映画を見た時泣けて泣けて仕方なかった。「異人たちとの夏」では主演だった風間杜夫も出ているというではないか。期待感を持って映画館に向かった。

タイムスリップして若き日の父母に会うという設定こそ「異人たちとの夏」と同じだが、まったくのオリジナル脚本である。生まれてから会うことのなかった実母との交情は思わずシーンとくる。図ったように涙が止まらなくなる。

場末のマジックバーで働く39歳の晴夫(大泉洋)は、母に捨てられ、父とは絶縁状態。ある日、父の訃報を聞いて絶望した晴夫は、気がつくと40年前の浅草にタイムスリップしていた。浅草の演芸場で若き日の父・正太郎(劇団ひとり)と母・悦子(柴咲コウ)と出会い、スプーン曲げのマジックで人気マジシャンになった晴夫は、父とコンビを組むことになる。

やがて母の妊娠が発覚し、10カ月後に生まれてくるはずの自分を待つ晴夫は、自身の出生の秘密と向き合うこととなる。

主人公が40年前にタイムスリップしたとき、まだ赤ん坊は生まれていない。
もし生まれたら2人は同じ世界に生きていることはできない。それまでしか40年前の世界にいることができないのである。そこで自分の母親と初めて会話を交わす。
巨人がV9の優勝をすることなど主人公が予言してきたことが当たっていた。それなので「自分の将来はどうなるの?」と母親が主人公に聞く。言葉を詰まらす主人公と母親を映すところは実にジーンとくる。あと少ししか生きない母親のことを思うとせつない主人公がポツリポツリ話す。素敵なシーンだった。
私事だが、母が6年前に亡くなった時、自分が生まれる時の経緯を書いた母の日記帳がでてきた。それを読んでいると泣けて泣けて仕方なかった。その時のことを思い出す。


1.マジック
売れないマジシャンという設定がうまい。マジックと映画との相性はいい。最近の洋画では「グランドイリュージョン」香港映画「大魔術師Xのダブル・トリック」などいずれも楽しまさせてもらった。そういえば日本映画ではあまりないなあと思っていた。マジックのレベルはさほどではないがいい感じだ。

2.胎盤剥離
母親は主人公を捨てて飛び出したと父親に伝えられてきた。ところが、真相はそうではなかった。胎盤剥離で生むと同時に亡くなってしまったようなのだ。
実は自分の娘が生まれる時、妻が早期剥離で危険な状態になった。母体の方を優先させますが、2人とも極めて危険な状態と医師から伝えられたのである。結局帝王切開で娘は母体から脱出、母親は大出血だったがなんとか生き延びた。娘が看護婦さんに抱かれているのを見て、一旦はあきらめた子が生きているということに驚いた。
妻はなかなか自宅に戻れず、一か月近く入院した。うちの家族はそういった意味ではラッキーだったが、この映画の母親は残念なことになる。改めて娘が生まれた済生会病院に感謝の気持ちを持った。

3.時代背景
昭和48年のはずだが、自分が見ている感じでは走っている車や街角の風景など昭和42年~44年前後くらいの設定のように感じる。少し古めじゃないかな?万博を起点に街の雰囲気はずいぶん変わるんだけどなあ。劇団ひとりも昭和52年生まれだけにこれは仕方ないか

4.エンディング
この終わり方はよかった。大泉洋のセリフを聞いてすがすがしく映画館をあとにすることができた。

劇団ひとりの映像作りのセンスに驚いた。
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映画「お嬢さん乾杯」 原節子

2014-05-28 18:53:41 | 映画(日本 昭和34年以前)
映画「お嬢さん乾杯」は昭和24年(1949年)の木下恵介監督、新藤兼人脚本の作品
原節子、佐野周二のコンビで身分のちがう2人の恋愛話である。

戦争に敗れて、戦前の上流階級の多くが没落した。その後の生活については多くの文学作品や映画がつくられている。
逆に復興景気にのり成金となったひとも多い。その成金が没落貴族のしりぬぐいをするという話だ。

石津(佐野周二)は自動車修理工場を経営する34歳独身である。顧客の佐藤から見合い話が持ちかけられてきた。お相手は学習院出のお嬢様である。話を聞いてすぐさま断るが、佐藤はしつこくお見合いを迫ってくる。やむなく石津が常連の銀座のバーで会うことになった。
そこに現れたのは清楚な美女池田泰子(原節子)である。お見合い写真は女学校時代の写真でよく分からなかったのだ。性格もよく石津は一目ぼれする。しかし、育ちの違いで当然自分を選んでくれるはずはないと思っていた。直後に女性側からいい返事が返ってきた。石津は大喜びであった。

お屋敷街にある彼女の家に訪問する。祖父母と母(東山千栄子)そして姉夫婦とその2人の子供が同居していた。
2人きりで会話を始めると、お見合いの真相が分かってきた。
彼女の父親がある事業に関わったところ、騙されてしまう。事業にあたり現在の居住には100万円の抵当がついていた。それなのに、父親は詐欺罪で現在小菅の刑務所にはいっている。返済の期限は3ヶ月先まで、それまでに残債抹消しないとお屋敷を出ねばならない。そこで昔から池田家に関わっていた佐藤が石津に目をつけたのだ。

何かはめられた感じを覚えたが、石津は2人で会うようになる。緒にバレエを見に行ったり、逆に石津の趣味のボクシング(拳闘)を見に行ったり2人は楽しい時間を過ごす。
その後もデートしたが、泰子が気乗りしているように見えない。そこが気になるのであるが。。。

戦後間もない映画だけに粗い部分は多々ある。現代と比較するのは酷だろう。
戦前の方が明らかな身分格差があったわけで、それがなくなったための影響は民衆にとっても関心事であったに違いない。
テレビがない時代で、ラジオでここまでの話ができるかどうかは疑問。活字媒体を除けば映画で伝えるしかないだろう。

1.小佐野賢治
この映画の主人公のモデルは小佐野賢治と思われる。のちにロッキード事件が発覚し「記憶にございません」の小佐野の国会答弁が流行語になった。山梨の田舎者だった小佐野が戦後資産を蓄えて学習院出身の華族の令嬢と一緒になったのは有名な話である。推測の域を超えないが、巷のうわさで2人の結婚は話題になったのかもしれない。目ざとい新藤兼人が目をつけたのもわかる。

2.昭和24年の道路事情
銀座付近でも車はほとんど走っていない。佐野周二が軽快にオートバイに乗るシーンが印象的だ。
まるで田舎の道を走るがごとく、すいすい大通りをUターンするのが滑稽である。赤坂見附の交差点を映しているシーンも同様だ

3.当時の100万円は?
日経平均は昭和25年を100として、途中補正を加えながら持続性のある指数になっている。現在は14500とすると、大雑把な数字であるが映画に出てくる担保の100万円は1億4500万円ないしはそれ以上の数字といっていいだろう。原節子がタクシーで自宅のある「小石川西片町」に向うシーンがある。
このあたりは現在でも人気のある場所で坪単価200万円はくだらないであろう。お屋敷の敷地が120~150坪前後と推定されるからまあ時価3億円といったところか
そう考えると不自然ではない。当然この家族は稼ぎなさそうだから、一括返済は無理。そこに主人公登場するしかないのだ。

4.安城家の舞踏会
類似した話である。いずれも新藤兼人の脚本だ。やはり戦後没落した上流の家が資産を維持するために、元の運転手に自宅を身売りするという話である。華族が自宅を売らざるをえないくらいに没落するということが同じである。

安城家の舞踏会もそうだが、戦前の上流階級が過去の栄光を捨てきれないセリフを何度も発する。金のために結婚という話を何度も口にして、腹だたしい場面が何度も出てくくる。映画を見ていて何度もムカついたが、それが新藤兼人の思うつぼなのだろう。
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映画「謝罪の王様」 阿部サダヲ

2014-05-24 21:09:29 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「謝罪の王様」はこのところ上昇基調を強める阿部サダヲ主演のコメディ映画である。
映画ポスターが強烈、土下座する阿部サダヲの顔を見て吹き出した人も多いと思う。

阿部は「奇跡のりんご」では菅野美穂、「夢売るふたり」では松たか子と共演している。美人女優と共演が続き、今度は井上真央だ。現代日本映画を代表する若手女優との主演が続くということ自体阿部サダヲの格が上がっているということだ。その期待にこたえるような活躍ぶりである。
吹き出すほど笑うというわけではなかったが、人生訓としてためになることが盛りだくさんにある。
若手研修にはもってこいの部分もある。

話に連続性があるのかと思ったら、それぞれが独立しているストーリーだ。
その独立した話が究極的にはつながっていくオムニバス映画に近い展開をとる。謝罪というくらいだから、謝る方にもミスがある。でも謝る立場なのに妙に頭が高い。よって感情的にもつれる。
それをどう始末をつけるかが映画の見所だ。

東京謝罪センター所長、“謝罪師”を生業とする黒島譲(阿部サダヲ)は、ケンカのような小さなトラブルから国家存亡の危機まで、ひと癖もふた癖もある依頼人から舞い込む様々な事件に遭遇。降りかかる難問を次から次へと謝罪のテクニックを駆使して解決していくのだった……。

〈CASE1〉司法書士を目指す帰国子女の倉持典子(井上真央)は、車の運転中に追突事故を起こしてしまい、車から現れたヤクザ風の男たちに対しうまく謝罪ができず、気が付くと組事務所で内容を読まないまま誓約書に判を押してしまう。それは「示談金400万円、毎月12万円の返済、利子が10日で3割、来週から大阪のデリヘルに就職」という最悪のものだった……。

明らかに倉持という女性は変だ。こんなバカな交通事故を起こす女性って多い。自分勝手な女ぶりをみるとそのままデリヘル行ってしまえという気になる。世間知らずの女とは逆に、主人公の老練な活躍はすごい。

〈CASE2〉下着メーカーの中堅社員・沼田卓也(岡田将生)は、開けっ広げな性格が災いし、飲み会で酔った勢いで共同プロジェクトの担当者・宇部美咲(尾野真千子)にセクハラ三昧。さらには軽いノリで謝る沼田に対し、美咲は怒り心頭。結局、沼田はプロジェクトをはずされ、セクハラで訴えられてしまう……。

これは話の決着の仕方がおもしろい。あのシーン本当に鉄道上の鉄橋でロケしているのかしら??

〈CASE3〉大物俳優・南部哲郎(高橋克実)の息子が傷害事件を起こし、南部が謝罪会見を行うことになった。そんな中、黒島が謝罪の指南をするが、芝居じみた謝罪で糾弾され結果は裏目に。仕方なく元妻の大物女優・壇乃はる香(松雪泰子)を引っ張り出すと、自身の出演舞台の十二単の衣装で登壇、宣伝までしてしまう始末。そして拘置所から出所した息子のTシャツには「Kill You Next Time」の文字が……。

よくありそうなパターンだ。芸能人の息子たちはよく不祥事を起こす。全然関係ないのに親は大変だ。このバカ親も別のところですごい活躍をする。

〈CASE4〉一流国際弁護士・箕輪正臣(竹野内豊)は、沼田の訴訟の弁護士であり、典子の大学時代の講師でもある。コロンビア大学卒、27カ国で弁護士資格を取得した完璧なエリート弁護士の彼だが、離婚して離れ離れになってしまった当時3歳だった娘に手を挙げてしまったことを今でも謝りたいと思っている。法律に携わる人間として自分が許せないと言うが……。

ここですごい少女が現れる。何バカなこと言っているのかと思っていたけど。。。実はすごい秘密が

〈CASE5〉映画プロデューサー・和田耕作(荒川良々)がプロデュースした作品に、たまたまお忍びで来日していたマンタン王国・皇太子がエキストラ出演していたことが発覚。マンタン王国皇族の肖像権侵害は懲役20年の重罪であることが判明し、黒島を介し謝罪に行くものの国の習慣や国民性の違いから誤解が生じ謝罪は失敗に終わる。正式に日本政府に謝罪を求めるという国際問題へと発展していく中、マンタン王国は日本との貿易停止を発表。打開策の見えない黒島は絶体絶命の窮地に追い込まれる……。

〈CASE6〉謝罪師・黒島譲はなぜ、謝罪を生業とするのだろうか。なぜ謝罪にこだわるのだろうか。それは、ほんの些細な出来事が発端であった……。(kinenote 引用)

こんなことくらいでこだわるなよ!と言ってやりたいが、これ自体が官藤の人生観なのか?

「わき毛ぼうぼう 自由の女神」そう叫ぶ少女のセリフが最後に向かって重要な言葉になっていく。
まとめ方のうまさは、さすが官藤官九郎の脚本というべきであろう。

映画の終りまであきないでさらっと見れた。
最後の「マンタン王国」の話はちょっとアホくさいなあといった感じかな?

「ただあやまってくれればよかったんだよ」
クレーム客も「誠意をみせろ」なんて言わないで、そんな感じでいつも終わればいいんだけど
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映画「父の秘密」 テッサ・イア

2014-05-23 22:28:10 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「父の秘密」はメキシコ映画
カンヌ映画祭のある視点部門でグランプリを受賞している。


どぎつい映画である。途中何度も目を伏せた。
DVDなのでストップすることができたが映画館だったらどうだっだのであろう。
気分を悪くして途中退席をする人もいたのではないだろうか?
そのくらいイジメの場面の描写はきつい。

ごく普通の父娘-ロベルト(ヘルナン・メンドーサ)とアレハンドラ(テッサ・イア)は、最愛の妻・ルシアを自動車事故で失い、深い悲しみに打ちひしがれていた。2人は新しい土地でやり直そうと、高級住宅街のプエルト・ヴァラルタを引き払い、メキシコシティへと引っ越してくる。
アレハンドラは新しい学校で受けた尿検査で陽性反応が出てしまい、マリファナを吸っていたことをロベルトに知られてしまう。彼は娘を心配するが「もう吸わない」と約束するアレハンドラに、それ以上の言葉をかけることができない。 「父子関係は順調ですか?」「仲がいいよ」

一方、ロベルトは保険会社で妻の事故について調査を受けるが、事故の日の詳細を尋ねられて、動揺してしまう。 「娘さんが運転を?」「娘は乗っていなかった」

アレハンドラは悲しみから立ち直れない父親を気に掛け、必死に亡き母の代わりを務めようとする。妻の服を着て、大人びた振る舞いをする娘に戸惑うロベルト。 「ママの服を?」「着替える?」

次第に新しい学校生活に馴染み始めるアレハンドラ。ある週末、仲良くなった同級生たちと遊びに出掛け、クラスの人気者であるホセと一夜限りの関係を持ってしまう。行為の一部始終を録画するホセ。
翌日、学校中にその動画が配信されるやいなや、彼らの態度は一変する。ホセに好意を抱いていたカミーラはアレハンドラを激しく罵り、仲間たちと彼女をいじめ始める。 「このアバズレ!」

日々エスカレートしていくいじめ。カミーラたちに髪の毛を切られてしまったアレハンドラは耐えきれなくなり、すべてを捨てて逃げ出そうとする。しかし、いまだ悲しみで心を閉ざし、自身のレストラン経営もうまくいかない父親に余計な心配は掛けられないと思い直した彼女は、いじめられていることを相談もできず、自分一人で耐えることを選ぶのだったが。。。。 (作品情報より)

最初は問題が何もなく映画が流れる。
だるい流れが続く。友人もでき、一緒に開放感あふれる学校生活になれたと思った矢先だった。
気の合った男とやってしまったところを動画にとられて配信されてしまうのだ。

1.動画
韓国映画「母なる復讐」に類似したところがある。
そこではレイプにあった女の子が動画をとられていて、配信するぞと脅されていいようにレイプ犯にもて遊ばれる。

ここでは予告もなく動画を配信されてしまっている。
みんなから白い目で見られて、いじめもうけるし、尻軽女と見られてしまう。
以前だったら8mmカメラをこっそり誰かが映してということだったが
ここでは男がやっている横においてそのまま撮影する。

こんな話は日本でもあるだろう。

2.過酷なイジメ
ここで繰り広げられるイジメはむごい。
まずは尻軽女と見られてから、男仲間が執拗にからかう。嫌なやつらだ。
その後で、自分の彼氏を寝取られたと感じた女の子たちが彼女の髪を大胆に切る。
でも何か強い反発をするわけではない。
誕生日パーティと称して、ケーキを無理やり食べさせる。ケーキを顔に塗りつくす。ひでえ!!!!
史上最高のイジメだ。


でもこれだけでは終わらない。
あまりのむごさに目をそむける。

3.復讐
ネタばれだけど、彼女自らイジメの復讐をしない。親にも言わない。
でも最終発覚する。
そこで出てくるのは父親だ。この気持ちよくわかる。
余計な説明もせずにその復讐劇を映す。無情の響きを感じる。

マイケルフランコ監督インタビューより引用
「学校の世界を映し出すには俗悪と言われようと、徹底したいやらしさが必要でした」
彼女のクラスメートたちは、アレハンドラがいじめに耐え、さらにはそのことを誰にも言わないことを確信していました。彼らは彼女の事情も、その境遇さえも知っていますが、同情する代わりに弱みにつけ込み、いじめはどんどんエスカレートしていくのです。こうしたいじめは、普通のどこにでもある教室で起こっています。メキシコだけではなく、世界のどの国にもいじめのない学校なんてありません。

このいやらしさ尋常ではない。
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映画「ワールドエンド 酔っぱらいが地球を救う」 

2014-05-21 17:37:09 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ワールドエンド」を映画館で見てきました。
「ワールドエンド」という題名は世紀末的な印象を持たせる名前だが、昔の仲間と12軒の飲み屋をハシゴするという設定に魅かれてしまう。自分も高校や大学の悪友たちとはしご酒をついついしてしまうタイプなので、こいつらどんな飲み方するのだろう?という関心のもとに見に行ったが、途中からの展開は予想外であった。

コメデイと思ったら、実はSF系映画だった。いやゾンビ映画ともいえる。
ちょっと。。。という感じだ。

イギリス郊外の町ニュートン・ヘイヴン。ここに、いまや冴えない中年オヤジに成り下がったゲイリーキング(サイモン・ペッグ)らかつての悪友5人組が集結する。目的はただ一つ。学生時代に果たせなかった“パブ・クロール(パブのハシゴ呑み)”を今度こそ完遂すること。こうして5人は、ゴールとなる“ワールズ・エンド”という店を目指し、一晩で12軒のパブを巡る過酷な挑戦を開始する。そんな中、町では思いもよらぬ事態が静かに進行していたのだが…。

主人公の変人ぶりにまず戸惑う。まともな男じゃない。最初に集団でカウンセラーを受けている姿が「何で?」と思っていたが、せっかく集めた4人と一緒になつかしむ話かと思ったら、やることなすことハチャメチャで普通とは違う。
何この映画と思っていたら4軒目のバーでケンカを始める。何じゃこれ!!

話が急転換で変わりはじめる。
大物も続々登場する。これって元ネタがあるようだけど、自分はちょっと苦手





それでも
ディスコのシーンで「 Step Back In Time」が流れた時は懐かしさで身体がよじれていったけど




このリズム最高!!
カイリー・ミノーグは去年映画「ホリーモーターズ」に出ていたけど、きれいだったよネ。
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映画「オンリーゴッド」 ライアンゴズリング

2014-05-19 20:45:27 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
映画「オンリーゴッド」はライアンゴズリング主演のサスペンススリラー映画だ。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督映画「ドライヴ」でライアンが演じたドライバーはなんともカッコよく鮮烈な印象を残した。その名コンビが再度組む。タイのバンコクが舞台で、夜の映像がメインのエキゾティックな雰囲気の映画である。

アメリカを離れタイに移り住んだジュリアン(ライアン・ゴズリング)は、バンコクでボクシング・クラブを経営しているが、実は裏で麻薬の密売に関わっていた。そんなある日、兄のビリーが、少女の娼婦を暴行しようとして殺してしまう。その報復で娼婦の父親に惨殺される。

巨大な犯罪組織を取り仕切る母のクリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)は、溺愛する息子ビリーの死を聞きアメリカから駆け付ける。クリスタルは他の部下に命じて父親を殺させるのだが、実は父親の他に元警官(ウィタヤー・パーンシーガーム)がいたことが判明する。

クリスタルは元警官だという謎の男チャンの抹殺も部下に命じるが。。。

映画を見始めて最初は何が何だかよくわからない。
説明が少ないので、意味がわからないままに話が進んでいる。そこにクリスティンスコットトーマスがアバズレ女の形相で登場する。なるほど母親による息子殺人の報復だな?でもそんなに単純ではない。
夜のムードを見ていくうちに、次第に奇妙な世界に引き寄せられる。

1.ライアンゴズリング
本当にカッコマンだ。ネオンの色と独特のオリエンタルムードの映像に彼の男前ぶりが映える。
ジャケットを見るだけでは、「ドライヴ」と同じように縦横無尽の活躍をするように思われる。
でも違った。そこが意表をつくところである。

2.美形のタイ女性
ライアンゴズリングには美形のお相手がつく。これが実に色っぽい。見せるところはちっとも見せないけど究極のエロスを感じる。

3.謎の男チャン
このタイ人最初から映っているんだけど、いったい何者という感じだ。無表情で東洋人的不気味さをもつ。でもこの映画の主人公はライアンだろと思って映像を追っていくと、元警官だという謎の男チャン(ウィタヤー・パーンシーガーム)が実質的主人公であることに気づく。ともかく強い。格闘技でいえばヒクソングレイシー的落ち着きを持ちながら、必殺仕置き人的な剣の捌きを見せる。自分に狙いを定めたアメリカ人をめちゃくちゃにするシーンにぞっとしてしまった。思わず目をそむけた。

4.クリスティンスコットトーマス
「イングリッシュ・ペイシェント」のころから彼女との付き合いは長い。つい先ごろも「危険なプロット」を見たばかりであるが、どうも映画とは距離をおくらしい。これにはビックリだ。彼女しかできない役って多いと思うだけに残念。ここでのアバズレ女ぶりもなかなかである。日本映画でマフィアの姉さん役でもやってくれればいいのに。。


究極のカルト映画になる要素を持つ作品である。一見の価値十分あり。

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映画「レニングラード・カウボーイズ ゴーアメリカ」 アキ・カウリスマキ

2014-05-16 22:32:27 | 映画(洋画 89年以前)
映画「レニングラード・カウボーイズ ゴーアメリカ」は89年のアキ・カウリスマキ監督の作品
フィンランドの巨匠だが、ここでの舞台はアメリカだ。
「ブルーズブラザース」を意識したようなシベリアの地からアメリカ大陸を横断してメキシコまで旅をするロードムービーである。コメディタッチである。

ツンドラ地方を拠点に活動するレニングラード・カーボーイのマネージャー(マッティ・ペロンパー)は、彼らの演奏があまりにもひどいことを理由に、プロモーターからアメリカに行くことが唯一の希望であると助言され、ニューヨークのプロモーターを紹介してもらう。

そして彼らは、ニューヨークでそのプロモーターに会うが、与えられた仕事は、メキシコに住む彼のいとこの結婚披露宴での演奏だった。そのプロモーターから、今はやっているのはロックンロールという音楽である、と教えられた彼らは、本を買って勉強を始める。

メキシコへ向うために、巨大なキャデラックを購入した彼らは、道中田舎の農夫たちがたむろするバーで演奏をし、日銭を稼いだりする。途中、彼らは行方不明だったバンドのメンバーのいとこに偶然出合い、彼の加入で次第にアメリカ受けするバンドになってゆく。

日本でいえば氣志團のようなヘンチョコリンなリーゼント頭である。
無言で無愛想なのはブルースブラザースバンドと同じだ。
90年代半ば以降のアキ・カウリスマキ監督作品を想像するとちょっと違う。
中期まで常連のマッティ・ペロンパーがプロデューサーを演じている。彼とメンバーとの絡みが実におもしろい!



これは有名なプレスリーのデビュー曲
下手くそと作品内ではいわれるが、割とうまいと思うんだけど



受けが悪い時に、「イージーライダー」のテーマ曲でライブハウスを盛り上げる。

このアホなパフォーマンスには笑うしかない。
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映画「二郎は鮨の夢を見る」 小野二郎

2014-05-15 22:08:59 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「二郎は鮨の夢を見る」 
すごいドキュメンタリーである。
銀座の名店すきやばし次郎を撮った映画の存在は知っていたが、こんなレベルまで達しているとは思わなかった。
1度ならず2度見てしまった。いやもっと見てみたいと思わせるすばらしい作品だ。

東京・銀座の地下にあるたった10席ほどの鮨店・すきやばし次郎の店主・小野二郎。88歳の今でも職と技に対するこだわりを持つ彼が握る鮨は、「ミシュランガイド東京」で7年連続で最高の三つ星の評価を受け、フランス料理最高シェフのジョエル・ロブションや、ハリウッドセレブなど、世界中の食通たちをうならせてきた。

そんな彼の作り上げていく鮨の味に驚嘆し、職人としての技や生き様に魅了された、アメリカ人監督のデヴィッド・ゲルブ。あのメトロポリタンオペラの総帥、ピーター・ゲルブ氏の息子でもある彼は、来日中に「すきやばし次郎」の鮨と出会い、その芸術性に感動して映画制作を決意。約3ヵ月にわたり東京、静岡と密着取材を敢行した。
(作品情報より)

おまかせ握り3万円也の銀座ならではの店、オバマ大統領が来日で寄ったことで一段と有名になっている。
何せ88歳にして現役ということ自体が凄すぎる。ここにきて予約の取りにくさが異常になっているらしい。

でもこの映画はその小野二郎さんだけを映し出しているわけではない。
実質本店店長の長男、六本木店の店長の二男の目に見えない葛藤を映しだすだけでなく、築地市場や下ごしらえをする職人たちにもカメラを向ける。それがいい。

1.築地のセリ
長男が自転車に乗って築地魚市場に向かう。まぐろ、えびそれぞれに最高の食材を次郎に提供する仲買人から仕入れる。そしてセリの場面が映し出される。かつてこんなに緊迫感のある映像で場内を映しだしたことってあるだろうか?少なくとも自分は見たことがない。何を言っているのかわからないセリ用語を発する築地のお兄さんの粋の良さはさすがである。

2.若い衆の手際の良さ
4人いる若い衆が分担して手際よく、下ごしらえをして焼き物などをつくっている。仕入れてきた活きの良い食材を捌いていく姿に驚く。アナゴにしろ単純にご飯にのっけて出すわけではない。若い衆がきっちりとした包丁さばきでつくったものを最終的に二郎さんが絶妙の手さばきでお客に出す。こういう助手たちの仕事ぶりにも感動した。
単なる個人プレイではなく、チームプレイだということに気づいた。


3.美しい握り
映像で美しい握りを映しだす。しなやかな二郎さんの手からお客の前に出されるその手つきも美しい。
人間国宝と言ってもいい二郎さんの姿を映し出すこの映像はずっと語り継がれるだろう。

4.水谷のおやじ
銀座の「水谷」と言えば、泣く子も黙る有名頑固おやじだ。その彼が以前次郎に修行していたとは知らなかった。水谷のオヤジが映画の中でインタビューを受けている。これがなかなかいい感じだ。さすがミシュラン三ッ星の銀座の老舗である。

5.昭和48年発行の「新東京うまい店」(柴田書店)
亡き父が所有していた40年前のグルメ本だ。團伊久磨や三井家の人をはじめとしてそうそうたるメンバーが共同で書いている。まさに口の肥えた人ばかりだ。そこに次郎のことが書いてある。(以下引用)
「久兵衛」「なか田」「与志乃」の三軒が銀座の、すなわち東京のうまい寿司屋の御三家というのが定評である。すぐそれに続く店が何軒かあるが、この「次郎」もその一つである。元来「与志乃」の数寄屋橋支店だったのが独立したのだから、御三家並みなのに不思議はない。
この店の気持ちのいいのは、清潔で明るく、若いモンの動作に一つのリズムがあり、気合いが漲っていることで、これは主人小野二郎君の人柄なのであろう。

そのルーツは知らなかった。昭和40年に独立と伝えられているから、昭和48年当時ではまだまだ開店してから歴も少ないはずだ。それでも評価が高い。今どき「君」付けで呼ぶ人はいないと思うけど。。。
「味は一流で、値段が二流のところが気に入っているんだ」と言って小野君を苦笑いさせている
さすがにこれは今は違うよね。
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映画「ブルージャスミン」 ウディアレン

2014-05-15 05:14:34 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
ウディアレン監督の新作映画「ブルージャスミン」を映画館でみた。
ウディアレンの新作は必ず映画館に向かう。今回はケイトブランシェットのアカデミー主演女優賞受賞でハクがついた。
前作「ローマでアモーレ」、前々作「ミッドナイトインパリ」ほど面白い映画ではない。ケイトの「いやな女ぶり」を楽しむという感じかな?

欧州に行くことが多かったウディがアメリカにリターン、しかもサンフランシスコで撮影する。ヒッチコックの「めまい」など坂道の多いサンフランシスコは映画と相性がいい。

ジャスミン(ケイト・ブランシェット)がニューヨークからサンフランシスコに向う飛行機内の映像からスタートする。
金融系の実業家ハル(アレック・ボールドウィン)が詐欺罪でつかまり、セレブな生活を送っていたジャスミンは財産没収される。結局サンフランシスコにいる血の繋がっていない妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)を頼っていくところだ。ジンジャーも夫と別れ2人の子供と暮らしている。働いたことのないジャスミンはインテリアデザイナーを目指しパソコン教室に通いながら歯科医の受付のバイトをしていた。
しかし、セレブ生活が抜けきれない。精神安定剤とウォッカを手放せないジャスミンは情緒不安定だった。そんなある時、パソコン教室の仲間からパーティにこないかと誘われる。ジャスミンはパーティで国務省に勤めるドワイト(ピーター・サースガード)と親しくなる。妻と死別したドワイトに惹かれたジャスミンは子供はいないとかいくつかのウソをついてしまう。求婚されつき合いは進展するのであるが。。。

ざっとストーリーを追うとこんなところだが、セレブ時代の回想場面を自然な流れで挿入する。ニューヨーク時代とサンフランシスコの話が交差するそのリズムがいい感じだ。映画が始まってしばらくして「欲望という名の電車」のオマージュだな?ということに気づく。実にいやな女だ。

そもそも予想外の収入があったジンジャー夫妻に投資を勧めたのはジャスミン夫妻である。投資の失敗がもとでジンジャー夫妻は離婚してジンジャーはサンフランシスコで息子2人と暮らしているという構図だ。迷惑をかけた妹のところへ転がり込むという姉もずうずうしいを通り越している。しかも、自分の過去の栄光を引きづって妄想にふけっている。「サンセット大通り」のグロリア・スワンソンのようにも見える。ましてや国務省のエリートに出会ってもウソつき放題だ。でもこんな人って日本人にもいるかもしれない。

1.サンフランシスコ
ロスアンジェルスと比較すると、映画の舞台になるケースは少ない。しかし、この街の地形は映画との相性がいい。ヒッチコック「めまい」も「鳥」の舞台もサンフランシスコだ。クリントイーストウッドの「ダーティハリー」のキャラハン刑事はサンフランシスコ警察である。スティーブ・マックイーンが全速力でサンフランシスコの坂道を運転する「ブリット」も地形の特性をうまく生かした映像だ。
自分は1回サンフランシスコに行ったことがあるが、何度も行ったような錯覚を受けることがある。今あげた4つの作品を見れば、古い映画だけどこの町のことがよくわかる。あとはオーソンウェルズの「上海から来た女」チャイナタウンに逃げ込むシーンが出てくる「ブルージャスミン」でも一部チャイナタウンが映されるが、ここまでおさえてショーンペンの「ミルク」を見れば完ぺきだろう。

2.サリーホーキンス(ここからネタばれあり)
社会の底辺というわけではないが、一般的アメリカの労働者階級の女性を演じる。アカデミー賞の助演女優賞の候補になったのがうなづける巧さを発揮している。
セレブのジャスミンはイヤな女だが、サリー演じるジンジャーは男に頼って生きているよくいるずるい女だ。離婚した夫に金のことで愛想を尽かしたと思ったら、すぐさまシスコで修理工と仲良くなる。でもパーティでサウンドクリエーターと知り合ったら、すぐパカパカやりまくる。その男が所帯持ちだとわかると、一旦は捨てた修理工に逆戻りだ。こういう女は多いよね。ウディはジャスミンだけでなく一般階級のジンジャーのずるさも見逃していない。

3.ケイトブランシェット
シャネルの服がよく似合う。イヤな女を演じているけど、容姿だけをみているとこの映画のケイトはきれいだ。彼女の映画の感想はかなりアップしてきたが、演技としては「ハンナ」「あるスキャンダルの覚書」がいい感じだと自分は思う。「ハンナ」の悪役ぶりを見て、こういう路線に進むのかと思ったらイヤな女を演じてしまった。どれもこれもうまいけどね。

4.内田樹「映画の構造分析」
この映画をみて、内田樹の本を真っ先に連想した。彼はこう書く「ハリウッド映画がその全史を通じて強烈な女性嫌悪にドライブされているということについては深い確信を有している。これほど激しく女性を嫌い、呪い、その排除と死を願っている性文化を私は他に知らない。」なるほど
ここでジャスミンとジンジャーの2人を使って、イヤな女というのをウディは描いている。2人の女に愛想を尽かしたウディの苦笑いが見えるようだ。

最後のオチには笑えた。すべての転落の始まりは自分がまねいていたのだ。
こういう女っているよね。
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映画「セイフ・ヘイヴン」 ジュリアン・ハフ

2014-05-14 13:39:41 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「セイフ・ヘイヴン」は2013年日本公開のアメリカ映画だ。
予告編を何度か見た。素敵な2人の恋愛物語なのに、彼女が殺人鬼だとわかって男が仰天するという映像になっている。面白そうじゃない?と思っていたが、映画館はいかなかった。dvd化されてすぐ見た。

ここでの見モノはサスペンスタッチのストーリー展開だけど、それがすべてではない。映画のバックに映るサウスポートの町が美しいので驚く。「カイロタイム」の時も感じたが、観光案内的な要素を持つ映画は見ていて楽しい。一生行くこともないような美しい場所での人々の息づかいを感じるのも映画の醍醐味であると自分は思う。

どしゃ降りの雨の夜、彼女(ジュリアン・ハフ)はボストンからアトランタ行きの長距離バスに乗り込んだ。髪を切り、ブロンドに染め、妊婦に見えるように変装して。しかし、休憩で立ち寄った港町の素朴な風景に心惹かれた彼女は、その場所にとどまる。町の名は、サウスポート。彼女はケイティと名乗り、海辺のレストランでウェイトレスの仕事をする。さらに、森の中にひっそりと建つキャビンを借り、新しい生活をスタートさせた。

忌まわしい過去から逃れるためにサウスポートへやって来たケイティは、他人に対してつねに警戒心を働かせ、誰かと必要以上に親しくなることを避けていた。まもなくケイティには2人の友人ができる。ひとりは、雑貨店を営むアレックス(ジョシュ・デュアメル)。愛妻をガンで亡くしたあと、2人の幼い子供を男手ひとつで育てている彼は、車のないケイティが買い物に不自由しているのを見かねて古い自転車をプレゼントしてくれるような、親切で思いやりのある人物だった。

もうひとりのジョー(コビー・スマルダーズ)は、キャビンの近くに住む女性。彼女は、ケイティがアレックスの親切を拒んで自転車を返しに行った話を聞くと、「南部では要らない物でももらうのが礼儀」と言ってケイティを諭す。 そのアドバイスを受け入れたケイティはアレックスに謝罪し、自転車を受け取る。

この出来事をきっかけに、急速に縮まるケイティとアレックスの距離。子供たちを交えてビーチに出かけたり、2人でカヌーに乗ったりとデートを重ねるなかで、妻を亡くした悲しみに占められていたアレックスの胸の中にはケイティの居場所が作られていく。「君と一緒にいて前を向きたくなった」と、素直な気持ちを打ち明けるアレックス。その思いは、過去との決別を願うケイティも同じだった。2人は、子供たちの母を慕う気持ちに気遣いながらも、お互いに愛し合う関係になる。

 そんなある日、友人を訪ねて警察署へ出かけたアレックスは、思いがけないものを目にする。それは、ケイティの写真の上に「エリン」の名前と「第一級殺人」の文字を印刷した指名手配書だった。めまいがするほどの衝撃を受けるアレックス。。。
(作品情報より引用)

1.ラッセ・ハルストレム
アカデミー賞の監督賞こそ取ってはいないが彼の履歴はすごい。個人的には孤児院の話の「サイダーハウス・ルール」が好きだが、最近の「砂漠でサーモンフィッシング」も悪くない。まさにハリウッドという映画ではなく、やさしい雰囲気で映画を盛り上げる。ここでも流れるムードは変わらない。

2.サウスポート
ノースカロライナ州 に位置する初めて知る地名である。それにしても美しいところだ。おしゃれな港、公園もあるオークの並木道もすばらしいし、カヌーを2人が楽しむ森の中を流れる川も趣きがある。

サウスポートの美しい景観が映画で演じる人々にうまく溶け込んでいる。 こんなに美しい町だけど、観光産業もあまり手をつけていないようだ。独立記念日のパレードが、映画のクライマックスの舞台として取り入れられる。 夜打ち上がる花火が美しい。


3.ミステリーの要素
予告編では2人の恋愛が続いた後で、突如殺人が発覚という流れをとる。そういう流れかと思ったら、主人公が長距離バスに乗って懸命に逃げている姿が最初に映し出される。そして彼女を追う警察の刑事が映る。まさに殺人者を警察が追跡するという展開だ。追う刑事が彼女の行く先を調べていくが、簡単にはわからない。そうするうちに主人公の指名手配の張り紙が張られる。いったい何をしたんだろう?という疑問を持ちながら、映像を追うとついに現地で恋人になった男性がお尋ねの張り紙を見つけるのだ。「ドッキリ!」する場面だ。このあとどんな展開なんだろう??
気がつくと全然予想とちがう展開だった。これには騙された。
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映画「プリズナーズ」 ヒュージャックマン

2014-05-14 11:51:36 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「プリズナーズ」を久々に映画館で見てきました。ヒュージャックマン主演の謎解きの要素を持つサスペンス映画である。

ようやく映画館で見てみたいという映画がいくつか出てきた。評判も上々のようなので、すき間時間に行ってみた。
メガホンをとるのはカナダ人監督ドゥニ・ビルヌーブだ。彼の監督作品日本公開2012年の「灼熱の魂」にはあっと驚いた。映画に流れる緊迫感がすごく、凄い映画と自分もブログにアップした。あれだけの作品をつくる監督ならハリウッドから当然声がかかる。ふんだんに予算を使わせてもらい、今回は主演級の俳優で主要な役を固めた。
前作ほどうならせられるということではないが、それなりに楽しめた。


舞台はペンシルヴェニア州にある普通の住宅街だ。ケラー(ヒュー・ジャックマン)は妻グレイス(マリア・ベロ)と息子ラルフと6歳の娘アナと静かに暮らしていた。
感謝祭の日、ケラーは家族と一緒に近所のフランクリン(テレンス・ハワード)とナンシー(ヴィオラ・ディヴィス)の家に行きホームパーティを開いていた。

6歳の娘アナが自宅に取りに行くものがあるといってフランクリンの娘ジョイと2人で出かけた。ところが2人は戻ってこない。周辺を懸命に探すが姿を見せなかった。
路上に不審なRV車があったという長男の証言により、警察はRV車を探し、乗っていた青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束する。
彼は10歳程度の知能しか持たない青年だった。警察では刑事ロキ(ジェイク・ギレンホール)がアレックスを取り調べる。父ケラーは釈放するなとロキ刑事にくぎを刺していたが、自白も物証も得られず2日後に釈放となり、伯母のホリー(メリッサ・レオ)が迎えに来る。

ケラーは釈放されたアレックスに掴み掛かる。そのときアレックスが誘拐犯しか知りようのない言葉を漏らす。もう一度ロキに調べさせようとするが、アレックスは何も言っていないと否定する。

ケラーはアレックスが犯人だと確信する。空き家に連れて行き監禁する。自らの手で幼い2人がいる場所を聞きだそうとする。

一方ロキ刑事は自宅付近で不審な男を発見する。逃げる男を追う刑事は別の容疑者の存在を突き止めていくが。。。

1.豪華な出演者
ヒュージャックマンだけでなく、脇役陣も主演級だ。マリア・ベロは傑作「ヒストリーオブバイオレンス」の奥さん役の体当たり演技が印象的、テレンスハワードはアカデミー賞作品「クラッシュ」で名を上げ、主演映画もいくつかある。ハンサムな黒人という設定が多い。ヴィオラ・ディヴィスの「ヘルプ」における演技は素晴らしかった。メリッサ・レオは「フローズンリバー」で社会の底辺を彷徨う役を演じたあと、「ザ・ファイター」でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。この映画では最初に彼女とは判らなかった。判ったときはオヨヨという感じだった。

2.リンチまがいの拷問
この拷問シーンも凄い。主人公は口を割らそうと、アレックスを殴って殴って殴りまくる。これでもか!というくらいに
そうなった後でポールダノは端正な顔をつぶしてしまう。この拷問の場面は何度も手で映像を隠してしまう。
いやな感じだ。当然メイクだと思うけど、このハレた顔を見ているとぞっとする。
サウナみたいな場所に詰め込んで熱湯のシャワーをかけるという拷問もある。叫び声だけ聞えるだけなのに怖くなってしまう。

3.謎解きのリズム
事件が起きる前に、RV車から誰かが家族の動きを見ている映像が映る。怪しそうだ。そのあとすぐにRV車の犯人が捕まる。
しかも、釈放されたとき子供たちの動静を知っていそうだ。こいつかなと思ったら第2の男が出てくる。いかにも変質者といった雰囲気だ。こいつも絡んでいそうだと観客に怪しませる映像が映る。そうやって少しづつタネが明かされそうになるのかと思っていた。
こいつが怪しいと思わせて第三者を登場させるリズムがいい。

4.ラスト
最後事件解決に向っていったけど、1つだけ懸案が残っている。肝心な人物は死んでしまっている。おいおいどうするのかな?いくらなんでもこれで終わることないでしょう。そう思ったところでうまくラストにつなげた。この締めくくりが一番いいでしょう。

長時間にわたる映画である。絶対見せるべきところ、見せなくてもいいところ、観客に想像させるところうまく分けている。編集がうまいということだと思う。ラストにしてもこれ以上見せないことがベストだと思う。ジェイクの横顔が脳裏にこびりつく。

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映画「黒いスーツを着た男」 ラファエル・ペルソナ

2014-05-11 19:56:40 | 映画(フランス映画 )
映画「黒いスーツを着た男」はフランス映画
アランドロンの再来と言われているラファエル・ペルソナスの主演作、確かにスーツの着こなしは往年のドロンを思わせる男前ぶりである。交通事故の加害者男性と目撃者の女性、被害者の妻の人間関係を描いたサスペンスドラマ


自動車ディーラーの社長令嬢との結婚を10日後に控えたアラン(ラファエル・ペルソナ)は、友人たちと騒いだ帰り道、深夜のパリの街角で男を轢いてしまう。同乗していた友人たちに促され、アランは茫然自失のまま男を置き去りにして逃走するが、向かいのアパルトマンからその一部始終をジュリエット(クロティルド・エスム)が偶然目撃していた。

翌日、被害者の容態が気になり病院を訪れたジュリエットは、そこで轢かれた男の妻ヴェラ(アルタ・ドブロシ)に会う。ヴェラと夫はフランスの滞在許可証を持たないモルドヴァ人だった。
そんな中、ジュリエットは病院の廊下で若い男の後ろ姿に目を留めるが、その男こそ、罪の意識に駆られて様子を確かめに来たアランだった。即座にジュリエットはアランを追いかけるが。。。

映画自体は普通でビックリするところは何もない。
何で入院している男のそばに轢いた主人公が行くのか?「犯人は現場に一度戻る」とは言うけれど、バカじゃない?しかも、目撃者は何で警察に言わないのか?突っ込みたくなる話がたくさんある映画である。

1.モルドヴァ移民
普通であれば、交通事故の被害者であればもっと強い立場になれるのに、移民なので事態を突き詰められない。最近の欧州の映画には付き物の不法移民パターンだ。モルドヴァなどのルーマニア系は夜のロシア東欧系の女が多いパブによくいる気がする。何度かそんな店で出会ったことがある。だいたい3ヶ月で本国に帰ってしまう女の子多い気がするけど

2.ラファエル・ペルソナ
アランドロンの出世作「太陽がいっぱい」で起こしてしまった殺人を隠し通す役柄だ。
同じように弱いところもずいぶん見せるけどかっこいい。

人気出るんじゃないかな?次の作品次第か

3.交通事故の処理
今の日本では飲酒運転で捕まると会社も首になってしまうし、あまり起きそうもない事件かもしれない。ひいてしまってそれがばれたら刑務所行きである。飲酒じゃ保険もきかない。逃げる人多いのかなあ?今の日本は防犯カメラが至る所で映されているからすぐわかってしまう気もする。フランスはどうなんだろう?ダイアナ妃が交通事故で死んだ時も飲酒運転だったみたいだし、ワイン好きのフランス人にはもしかして飲酒モラルがないのかな?

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映画「危険なプロット」 フランソワ・オゾン

2014-05-11 10:03:25 | 映画(フランス映画 )
映画「危険なプロット」は現代フランス映画を代表する監督フランソワ・オゾンの2012年の作品
このところフランス映画を見ることが多い。ハリウッド大作と比較するとシンプルに普通の人間関係を取り扱うことが多い。
登場人物の心理状態をサスペンスタッチで描くこういう映画に魅かれる。

小説家崩れの高校の国語教員と文才のある高校生との関わりをオゾン監督らしいスリルあふれるサイコサスペンスドラマに仕上げている。

舞台はフランスのある高校だ。元小説家志望の国語教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒への課題作文を読んでいた。2行しか書いていない稚拙な作文が多い中で、クロード(エルンスト・ウンハウワー)という少年の書いた文才のある作文を見つける。
同級生ラファの家族を描写する文章が、実にうまく書けていることにジェルマンは驚く。ラファの母親を「中産階級の女」と呼んだり、描写のニヒルさにジェルマンの妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は「この子は心に問題があるのでは?」と思う。

文章のうまいクロードに作家になる手ほどきをしたいという思いから、ジェルマンはクロードに作文の個人授業を始める。自分の果たせなかった夢を彼に託すかのように発奮する。クラスメートの家庭について皮肉っぽく綴るクロードの作文は、いつも「つづく」という文字で終わっている。

友人ラファはバスケットボールが好き、父親も同様だ。クロードは時々家によってラファが苦手の数学を教えていた。しかし、たびたび家に立ち寄るクロードに不穏な雰囲気を感じた母親(エマニュエル・セニエ)は家庭教師を雇ったらどうかと父親に話す。その話をこっそり盗み聞きしたクロードは、このままだとラファの家族関係を引き続き文章にするのが無理だと感じる。その事情をジェルマンに話す。そして数学の定期試験の問題用紙をこっそり持ち出せないかとジェルマンに頼むのだ。もしいい点数が取れたなら、自分はそのままこの家にいて、ラファの家のことを書くことができると。。。


1.シェエラザード(シェヘラザード)
村上春樹の新作短編集「女のいない男たち」「シェエラザード」という作品がある。自分もブログアップした。「千夜一夜物語」で王様に夜な夜な物語を語るシェエラザードという王妃がいる。「シェエラザード」は本来殺される運命にある女だが、じらしじらし物語を「続く」で終えながら語り、生き延びていく。村上の作品はある場所にかくまわれた男に、自分の奇妙な昔話を語る女を「シェエラザード」にたとえて描いている小説だ。この映画でも「シェヘラザード」としてセリフの中に登場する。

ここでも、少年クロードは国語教師に自分が忍び込んだ家の話を話す。いつも「続く」で終わっていく文章を読みながら、国語教師は次を読みたいと思う。その欲望は強くなっていくわけだ。「知りたい」という欲求をじらされればされるほど、よけい追いたくなる。とどのつまりはとんでもない要求までのんでしまうのだ。

2.フランソワ・オゾン監督
「リッキー」「スイミングプール」をはじめとして、いくつもここでブログアップしてきた。流れはいつものフランソワ作品と同じである。一瞬万事うまくいくようになった後で、地に落とす。しかも登場人物の妄想、嫉妬、野心が絡み合っていく。ここが彼のうまさである。それぞれの作品に好き嫌いはあれど新作を見逃せることができない監督だ。


3.クラスメートの母親
クラスメートの母親に魅かれるという経験は自分もある。中学生くらいなら母親は30代後半から40代前半だ。年齢的にはまだまだ女として現役で、今の自分の年齢からすると射程距離だ。
クロードは、ラファの一家にどんどん深入りし始める。ラファの家に通えなくなりそうになると、大胆な行動にも出る。そのうちに、クラスメートの母親に惹かれるてしまう。ここでクラスメートの母親を演じるエマニュエル・セニエは巨匠ロマン・ポランスキー監督の妻である。自分が中学や高校の時に彼女にはまっただろうかと考えると疑問だけど。。。
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