映画「四十九日のレシピ」は昨年2013年公開のドラマ
「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督がメガホンを取り、永作博美、石橋蓮司の芸達者が主役を演じる。二人ともうまい。あとのキャスティングも絶妙で、二階堂ふみ、淡路恵子、原田はイメージぴったり。日系ブラジル人役の岡田将生君はご愛嬌
こういうテイスト大好きだなあ。タナダユキ監督は間合いの取り方がうまい。
それなので映画全体に流れるテンポは急ぎすぎない。落ち着いて映画を見ていられる。
途中むかつく発言にむっとするときもあったが、川沿いに建つ家のそばでのどかに流れるムードがいいので十分カバー。
ロケハンティングにも成功しているし、撮影の巧みさも随所に光っている。
いい映画だ。
妻・乙美が突然亡くなり熱田良平(石橋蓮司)は独り残される。家の中で抜け殻のようになり部屋に横たわっていた。そこへ派手な服装に身を包んだ女の子井本通称イモ(二階堂ふみ)が訪ねてくる。彼女は依存症の少女たちの更生施設「リボンハウス」でボランティアをしていた乙美の元生徒だった。ズカズカと上がり込むと、乙美が生前に作っていた「暮らしのレシピ」カードを取り出す。“これ、やろう!”と良平に告げる。開いたそのページには、“四十九日のレシピ”の文字が。乙美から、自分が死んだら父娘を手伝って、みんなが楽しく飲み食いする“四十九日の大宴会”をしてほしいと頼まれていた。
一方、東京へ嫁いだ娘の百合子(永作博美)は不妊治療を受けていて、義母の面倒を献身的に見ていた。それなのに夫浩之(原田泰造)の浮気相手に子供ができたことがわかる。印鑑を押した離婚届と結婚指輪を残して、東京の自宅を出て実家に戻る。
恐る恐る家に入ろうとすると、父・良平とイモがお風呂で一緒にいる様子を見て面くらう。
百合子は、離婚を考えていると父に打ち明ける。叔母(淡路恵子)も家にもどれと諭すが、彼女はそのまま居残る。
イモとともに訪れた朝市で、良平は浩之の好物イワナを見つける。それを届けようとするが、勤め先の前で愛人とその子と一緒にいる浩之の姿を目の当たりにして、声をかけずに戻っていった。百合子は義母とヘルパーとの関係がうまくいっていないことを聞き、いったん東京に帰ろうとするが、父にそれは向こうの家に任せろという話になった。
「やるぞ、四十九日の大宴会!」
百合子と自分自身を励ますように宣言する良平。
イモは、助っ人に日系ブラジル人のハル(岡田将生)を連れてくる。乙美がパートをしていた自動車工場で働いていた青年だ。こうして、乙美のレシピ通りに家を整理して準備を始めた。百合子は乙美の“人生の年表”を作って貼り出すことを提案する。年表は空白だらけで「子供のいない母親」は寂しいものだと百合子は感じるのであるが。。。。
小説の映画化である。すでにテレビ化もされているが、この映画は題名からして縁のないものと思っていた。
ところが、見始めると独特のムードが妙に心地よい。
1.家庭内の諸問題
不妊の妻の心理とうるさい外野(小姑)、浮気相手の懐妊と別れられない男、後妻と子供の関係などここで取り上げられている
家族内の問題は多い。それを表現するのに絶妙な脚本が用意してある。
2.二階堂ふみ
ここでも一番の存在感を見せる。最初おかしな格好の女の子が出てきたなあと思ったら声で二階堂ふみとわかる。それからの縦横無尽の活躍はいつもどおりだ。大学進学おめでとう!進学先知り今まで以上に応援する気になった。学校ちゃんと行ってよ
3.永作博美
子供のいない母親の悩みを表情でうまくみせる。実生活では高齢出産で2人の子持ちになったようだ。でも今まで第三者から子供のことでプレッシャーになる発言を受けたことはあるんじゃないかな?実感がこもっている印象を受ける。
離婚のつもりで家を出ているのに、義母のことが気になっている。裏切られた夫の母親にもう一度会おうとするだろうか?そこはどうかなという感じ
4.四十九日の大宴会
この設定いいよね。準備をする時点から、家族と手伝う2人に連帯感が生まれる。
何かが欠けていた家族なのに、共同作業をしようとするパワーが生まれる。バルコニーのペンキ塗りのシーンは見ていていい感じだ。途中紆余屈折を経て当日になり年表が埋まっていくシーンは胸にジーンとくる。
5.淡路恵子
残念ながら遺作となった。この意地悪ばあさん役は淡路恵子にしかできないなあ。
石橋蓮司の姉という設定である。いつまでたっても姉に頭が上がらないオヤジっているよね。
その微妙な関係を絶妙な2人の間合いでこなす。
不妊のめいに対して、気を使っているとは言うけど普通ではいわないような言葉をどんどん使う。
顔も嫌味たっぷりだ。テレビその他で見る彼女のプロフィルからしてこの役はまさに適役である。
最後のダンスには少々びっくり、唖然とした石橋蓮司の顔つきを思い出すと吹き出してしまう。
最後に味のある演技を見せてくれて、本当に良かったと思う。
ラストについては異論もあると思う。自分も少々疑問
それでもこの映画ゆったりとしたムードが自分にはあっている。
タナダユキ監督の次作に期待する。
(参考作品)
「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督がメガホンを取り、永作博美、石橋蓮司の芸達者が主役を演じる。二人ともうまい。あとのキャスティングも絶妙で、二階堂ふみ、淡路恵子、原田はイメージぴったり。日系ブラジル人役の岡田将生君はご愛嬌
こういうテイスト大好きだなあ。タナダユキ監督は間合いの取り方がうまい。
それなので映画全体に流れるテンポは急ぎすぎない。落ち着いて映画を見ていられる。
途中むかつく発言にむっとするときもあったが、川沿いに建つ家のそばでのどかに流れるムードがいいので十分カバー。
ロケハンティングにも成功しているし、撮影の巧みさも随所に光っている。
いい映画だ。
妻・乙美が突然亡くなり熱田良平(石橋蓮司)は独り残される。家の中で抜け殻のようになり部屋に横たわっていた。そこへ派手な服装に身を包んだ女の子井本通称イモ(二階堂ふみ)が訪ねてくる。彼女は依存症の少女たちの更生施設「リボンハウス」でボランティアをしていた乙美の元生徒だった。ズカズカと上がり込むと、乙美が生前に作っていた「暮らしのレシピ」カードを取り出す。“これ、やろう!”と良平に告げる。開いたそのページには、“四十九日のレシピ”の文字が。乙美から、自分が死んだら父娘を手伝って、みんなが楽しく飲み食いする“四十九日の大宴会”をしてほしいと頼まれていた。
一方、東京へ嫁いだ娘の百合子(永作博美)は不妊治療を受けていて、義母の面倒を献身的に見ていた。それなのに夫浩之(原田泰造)の浮気相手に子供ができたことがわかる。印鑑を押した離婚届と結婚指輪を残して、東京の自宅を出て実家に戻る。
恐る恐る家に入ろうとすると、父・良平とイモがお風呂で一緒にいる様子を見て面くらう。
百合子は、離婚を考えていると父に打ち明ける。叔母(淡路恵子)も家にもどれと諭すが、彼女はそのまま居残る。
イモとともに訪れた朝市で、良平は浩之の好物イワナを見つける。それを届けようとするが、勤め先の前で愛人とその子と一緒にいる浩之の姿を目の当たりにして、声をかけずに戻っていった。百合子は義母とヘルパーとの関係がうまくいっていないことを聞き、いったん東京に帰ろうとするが、父にそれは向こうの家に任せろという話になった。
「やるぞ、四十九日の大宴会!」
百合子と自分自身を励ますように宣言する良平。
イモは、助っ人に日系ブラジル人のハル(岡田将生)を連れてくる。乙美がパートをしていた自動車工場で働いていた青年だ。こうして、乙美のレシピ通りに家を整理して準備を始めた。百合子は乙美の“人生の年表”を作って貼り出すことを提案する。年表は空白だらけで「子供のいない母親」は寂しいものだと百合子は感じるのであるが。。。。
小説の映画化である。すでにテレビ化もされているが、この映画は題名からして縁のないものと思っていた。
ところが、見始めると独特のムードが妙に心地よい。
1.家庭内の諸問題
不妊の妻の心理とうるさい外野(小姑)、浮気相手の懐妊と別れられない男、後妻と子供の関係などここで取り上げられている
家族内の問題は多い。それを表現するのに絶妙な脚本が用意してある。
2.二階堂ふみ
ここでも一番の存在感を見せる。最初おかしな格好の女の子が出てきたなあと思ったら声で二階堂ふみとわかる。それからの縦横無尽の活躍はいつもどおりだ。大学進学おめでとう!進学先知り今まで以上に応援する気になった。学校ちゃんと行ってよ
3.永作博美
子供のいない母親の悩みを表情でうまくみせる。実生活では高齢出産で2人の子持ちになったようだ。でも今まで第三者から子供のことでプレッシャーになる発言を受けたことはあるんじゃないかな?実感がこもっている印象を受ける。
離婚のつもりで家を出ているのに、義母のことが気になっている。裏切られた夫の母親にもう一度会おうとするだろうか?そこはどうかなという感じ
4.四十九日の大宴会
この設定いいよね。準備をする時点から、家族と手伝う2人に連帯感が生まれる。
何かが欠けていた家族なのに、共同作業をしようとするパワーが生まれる。バルコニーのペンキ塗りのシーンは見ていていい感じだ。途中紆余屈折を経て当日になり年表が埋まっていくシーンは胸にジーンとくる。
5.淡路恵子
残念ながら遺作となった。この意地悪ばあさん役は淡路恵子にしかできないなあ。
石橋蓮司の姉という設定である。いつまでたっても姉に頭が上がらないオヤジっているよね。
その微妙な関係を絶妙な2人の間合いでこなす。
不妊のめいに対して、気を使っているとは言うけど普通ではいわないような言葉をどんどん使う。
顔も嫌味たっぷりだ。テレビその他で見る彼女のプロフィルからしてこの役はまさに適役である。
最後のダンスには少々びっくり、唖然とした石橋蓮司の顔つきを思い出すと吹き出してしまう。
最後に味のある演技を見せてくれて、本当に良かったと思う。
ラストについては異論もあると思う。自分も少々疑問
それでもこの映画ゆったりとしたムードが自分にはあっている。
タナダユキ監督の次作に期待する。
(参考作品)
四十九日のレシピ | |
やるぞ、四十九日の大宴会! | |
ふがいない僕は空を見た | |
コスプレ主婦と少年の恋 | |