映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「シェフ!」 ジャン・レノ&ミカエル・ユーン

2013-08-28 17:54:14 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
映画「シェフ!」は2012年に公開したコメディタッチのフランス映画だ。

dvdジャケットにシェフ姿のジャン・レノミカエル・ユーンが写っている。映画ポスターを見た後時も気になったが、DVDにスルーした。何気なく手にとったが、映画を見てみるとムードがほのぼのして悪くない。映画として傑作というわけではないが、見ているうちに気持ちが安らいでいく映画である。美しい料理を目で楽しむのにもいい。

若き料理人ジャッキー・ボノ(ミカエル・ユーン)は、料理へのこだわりが強すぎて、お店や顧客とトラブルばかり起こしていた。レストランを次々とクビにされる。彼は有名シェフのレシピを数多く記憶するオタク的料理人であった。彼の婚約者ベアトリス(ラファエル・アゴゲ)は妊娠していた。彼女のために稼ぎがないと困るので、老人ホームのペンキ塗りをはじめる。それでも料理のことしか頭にない彼は、ホームの厨房に口を出し始める。

パリの超高級三ツ星フレンチレストラン「カルゴ・ラガルド」は、ベテランシェフであるアレクサンドル・ラガルド(ジャン・レノ)がいることで有名だ。テレビの人気料理番組でも腕をふるう彼は超メジャーだった。しかし、最近マンネリに陥り評判を落としていた。レストランとの契約では、店の「三ツ星」を守ることがシェフ契約の大前提だった。 レストランオーナーからはメニューが時代遅れだと批判され、有能な助手たちも他店に移っていた。そして、オーナーから契約書通りに店の星が減ればクビだと通告されていた。

スランプ気味のアレクサンドルは前オーナーに会いに老人ホームを訪れた。そこで一緒に一皿のスープを飲むと、アレクサンドルが以前つくったスープのレシピを再現したものと気づく。それはアレクサンドルのレシピを完璧に暗記したジャッキーの手によるものだった。ペンキを塗っていたジャッキーは、料理の腕を見込まれスカウトされ、無給で彼の助手として働くことになる。
しかし、身重の婚約者ベアトリスには無給となる転職の話は言えなかった。

「三ツ星」の調査員は覆面で突如あらわれる。店に来るまでわからない。当日ギャルソンが感づいてわかる。ある調査員が来た時、ジャッキーはアレクサンドルのレシピを勝手にアレンジしてしまう。味付けを少し変えたのだ。それを聞いてアレクサンドルは憤慨するが、結果的にはその方が調査員には受ける。しかし、本審査する調査員はこれからやってくる。しかも審査員の好みは「分子料理」だという。今のままではまずいと、メニュー作りのため2人は他店への偵察を始める。ジャッキーが声を掛けた老人ホームのシェフたちもチームに加わり、新しいメニューの開発に取り掛かり始める。

そんな中、ジャッキーが再び厨房で働いていることを知ったベアトリスが、彼のウソに激怒し実家に帰る。とりなしてもうまくいかない。相棒のピンチに上司のアレクサンドルが仲裁にのりだすが。。

貧乏料理人ジャッキーは、自分の流儀に合わないと気が済まない職人肌だ。
顧客がオーダーした食事に合わせるワインが違うと、厨房から座席までやってきて違うワインを勧める。今飲んでいるワインを変えないなら、別の料理を持ってくると言い張る。当然クビだ。彼がつくるレシピでは食材にコストがかかってしまって店の利益率が落ちる。その店もクビだ。そんなことを続けてもまったく懲りない。
そんなジャッキーなのに奥さんが超べっぴんなのは何か不自然な気もするが、それは仕方ないだろう。

本屋で万引きしたアレクサンドルのレシピ本を細やかにジャッキーはマル暗記している。当然暗記するだけでなく、自分で料理を作っているのであろう。離婚経験者のアレクサンドルをつかまえて、離婚前の方がおいしいものを作っていたなんて平気でいう。このキャラクターも凄い。

融通が利かない男なのに、食材がまったくないという最後の修羅場では機転を利かす。ある意味スーパーマンだ。
有名シェフのレシピを完全にマスターことだけでも、かなりの実力がつくんだなあということを感じさせる。現実にはそんな簡単なものではないだろうとは思うが、本当に映画のように身につけているなら、それなりの料理人になれるかもしれない。
その昔、有名な料理家の辻静雄さんが「料理学校で1年に1500種類の料理を教えるが、そのうちの1%つまり15品を自分のものにできれば、一生食っていける。」と語るのを読んだことがある。この言葉って印象的だった。
料理だけでなくどんな仕事だって同じようなことが言えるだろう。何か一つを極めるということって大切なんだなって。



映画に出てくるフレンチはどれもこれもおいしそう。
勉強不足のせいか「分子料理」って知らなかった。なんか化学の実験風景みたいなところで、料理しているような感じだ。おいしいんだろうなあ?調べて一度賞味したい。
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映画「初恋」 宮崎あおい

2013-08-28 06:51:19 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「初恋」は2006年の三億円事件犯人がテーマになる映画作品だ。
犯人をなんと宮崎あおいが演じる。

1968年の三億円強奪事件は未解決事件として、長らくマスコミの話題になった。いろんな推理がされたが、結局は時効を迎える。真犯人に関する説は数多くあったが、この映画化はそれらとは全く違う犯人像である。60年代後半の学園紛争時代の世相を巧みに描きながら事件と結び付ける。
宮崎あおいの好演に魅かれる。

1966年の東京を映す。
高校生のみすず(宮崎あおい)は、親と別れ親族に預けられていた。学校の同級生とはなじめない。家に帰っても引き取られた叔母家族ともなじんでいない。みすずの母親は幼い頃、兄を連れていなくなったきりだった。
ある日、みすずは新宿の繁華街にあるジャズ喫茶Bに足を踏み入れた。数日前、母が家を出てから会うことのなかった兄が突然現われ、手渡したマッチがこの店のものだったのだ。暗闇にジャズが店中に響き渡り、音楽に酔いしれる客がいる。フロアの奥に常連の兄の仲間がいた。そこには、女にもてて人望も厚い兄の亮(宮崎将)、亮を慕うアングラ劇団の看板女優ユカ、作家志望で積極的にデモに参加している浪人生のタケシ、ケンカっぱやい肉体派のテツ、お調子者でムードメイカーのヤス。そして、他とは違う雰囲気でひとりランボーの詩集を読む東大生の岸(小出恵介)がいた。みすずは彼らの仲間に加わり、少しずつ生活が変化してゆく。Bで過ごす時間が多くなり、いつの間にかみすずにとって、Bはかけがえのない場所になりつつあった。
ある日、岸はみすずに驚くべき計画を持ちかける。現金輸送車の強奪計画だった。みすずは驚いたが、岸の役に立ちたい一心で、この壮大な計画にのめりこむが。。。


当時の新宿のジャズ喫茶の風景が懐かしい。今ではずいぶんと減った。
自分が中学に上がったのは70年代前半だ。最初ビートルズから入って、当時ニューロックと呼ばれた世界にはまった。ヒットチャートマニアでもあった。ニューロックの中にはシカゴやブラッドスウェット&ティアーズがあり、その延長でジャズを聴くようになった。最初は何が何だかわからなかったが、次第にはまっていった。中学3年になり、高校受験の講習会で渋谷に行くようになったころ、おそるおそる1人で新宿のジャズ喫茶を覗くようになっていた。この映画では描かれているような若者たちが大勢いた。
自分は学園紛争時代の少し後の世代である。他大学に行くと、プラカードの前で演説する闘士たちを見たものだが、母校にはそういう奴らをバカにするムードがあった。実際にまわりにもいなかった。ああいう人間のクズたちと別の世界にいれてよかったと思う。ここではそういう60年代後半の若者をクローズアップする。この映画でジャズ喫茶でたむろった仲間たちが、新宿の騒乱で機動隊にボコボコに殴られる場面を見てバカな奴らだなあと笑ってしまった。
そういう場に高校生ながら「自分の居場所」を見つけた一人の少女の物語だ。

三億円事件が起きたのは年末だった。子供心ながら当時は大騒ぎだったと記憶している。自分が通う小学校でも話題が集中していた。でもこの時、自分の家では家長である祖父のがんが発覚したところであった。それどころではなかった。結局祖父は翌年4月に亡くなる。そのため、この事件に関心を強くもつようになるのは、高校生になって事件の時効がマスコミの話題になってからかもしれない。


沢田研二が三億円事件の犯人を演じたテレビドラマ「悪魔のようなあいつ」は名曲「時の過ぎゆくままに」が劇中で流れていたので有名だ。ジュリーが一番妖艶なころだ。荒井(松任谷)由美の歌でのちに石川ひとみが歌って大ヒットした「まちぶせ」を最初に歌ったのはこの番組で主役に絡む少女を演じた三木聖子だ。瀟洒な彼女の印象が強い。そんな訳でこの番組をやる日は勉強がまったく手につかなかった。
そして三億円犯人に関する情報を収集した。今のようにネットがあるわけでない。本屋や図書館で情報を得た。一人の少年が直後に自殺していて、それが一番有力そうに見えるが、この事件一人で完結するには難しいものがある。この映画のようにコンビで組んでやらないと出来そうもない気がする。

宮崎あおいがいい。新宿のタバコの煙がムンムンとするジャズ喫茶に一人おそるおそる入っていく姿や、初めてバイクを運転する場面の初々しさが実にかわいい。白バイに乗って黒のセドリックに向かう場面はドキドキしてしまう。年上の男性に憧れる少女の恋心を身体全体でうまく表現していた。

予想よりはおもしろく見れた。
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6年目の追想

2013-08-25 09:00:11 | 家族
この夏休みは娘の学習指導に明け暮れた。
ともかく疲れた。ブログ更新もままならない。

7月の初めに模擬テストがあった。
英語の点数が悪い。読解が全然できないという。英単語の習得が進んでいない。
そこでまずは7月中旬英単語暗記からスタートした。
8月4日にあるセンターマーク模試に向けてスタートした。
カタカナでの発音まで書いてあるような単語集を使った。ベースになる1400単語を7月に2週間で覚えた。
もう宇宙語にしか英語長文が見えないという状態は脱却した。
センター模試は60%を超えるくらいまで来た。
夏休みに入って学校でセンター長文対策の特別講習をやってくれた。これはよかった。英文の慣れができた。センター形式の英語長文を50分で解いて、その解説をするというやりかただ。英単語をある程度覚えた後なので効果的だった。
予備校その他には行っていないし、これまでいったことがない。それだけに助かった。

学校の課題になっている英文法語法問題集を2周した。といっても最初は答えをマーカーするだけ、1回目は流すだけだ。2回目は自分の夏休み6日間を使ってやった。
1197問ある問題を1日200問づつやった。これはいきなり解いていき、できないものをチェックするやりかただ。きつかったが自分の夏休み中に終了した。
そのあとも苦手部分に絞って、同じ文法問題集をやっている。
7月初旬気がつくと英語は壊滅的状態まで陥っていた。反復練習で少しづつよくなっているという段階だ。

世界史はまず1年、2年から今までの中間期末テストで出題された問題と模試の復習をした。
まずは中間期末で出題されている語句を覚えて、世界史の概要をつかむのである。
それに加えて「世界史5分前」という軽い問題集をやった。これはよくできている本だ。
その結果8月4日のマーク模試は70%までいった。上出来だ。偏差値60程度まで戻る可能性もある。
そのあと自分の夏休みにセンターの過去問をやっている。
世界史Bになった1997年以降の過去問はすべて2回以上解いた。今は3回目だ。
私立の一般入試向けの対策というより世界史の全容をつかむのにはもってこいである。
最初は45~55%くらいの正答率だ。入試問題なので仕方ない。2回目以降は80%~90%にアップする。
11月にはセンター全過去問正答率100%をめざし、そこからディテイルに進む。

一年の夏に入るくらいから、今年5月末まで普段の家庭学習の時間がほとんどゼロに近い状態だった。毎日夕方7時までやっている部活で頭がイカレタのだ。
学校のテストは1年最初は真ん中くらいが、2年はほとんど底辺を彷徨った。
勉強しなければ成績が悪いのは当然だ。少し持ち直してきたかもしれない。
習慣というのは凄いものだ。あれほど何もやらなかった人間がよく立ち直ってきた。

自分が苦手なだけに国語をあまりやっていない。
これは少しづつやるしかない。本来は自分が得意な数学をやりたかったがもう無理だ。
ここでできた習慣をいかに来年2月まで継続させるかが勝負であろう。

今年の夏、上映している映画にみたいものがあまりなかった。
DVDで旧作を割と見た。ゴッドファーザーⅠ、Ⅱ、Ⅲ通しで見た。ブログに「ゴッドファーザーⅡ」の記事を書こうとしたら頭が混乱してまとまらない。その他にも韓国映画の「悪魔を見た」なんて映画は凄かった。「チェイサー」「殺人の記憶」レベルの韓国らしいクライムサスペンスだ。書きたいことがありすぎて記事にならない。「塀の中のジーザスクライスト」も半分書いてブログ記事がまとまらない。そろそろ準備に入る。

本はそれでもずいぶんと読んだ。想像したものと違って楠木建「戦略読書日記」が実におもしろかった。一橋大教授で今でも本屋に平積みになっている「ストーリーとしての競争戦略」の著者である。会社の研修の教科書として以前熟読した。
「戦略読書日記」の中に21冊プラス1冊(ストーリーとしての競争戦略)取り上げられている。22冊ののうち読んだことのあったのは4冊だった。単なる読書論だったら2000円以上もする本は購入しないのであるが、楠木教授が取り上げた本の中に小林信彦「日本の喜劇人」があった。驚いてすぐレジに向かった。
この本はすぐれものである。同じく小林信彦作「植木等と藤山寛美(現題:喜劇人に花束を)」「おかしな男 渥美清」も含め自分は何回も読んでいる。ここで楠木教授が「日本の喜劇人」で書いている文は絶品だ。他もしびれる。
その後、井原高忠、石井妙子、広木隆、内田和成、笠原和夫、平尾勇司、若桑みどりの本は読了した。柳井正とハロルド・ジェニーンの本は好きな本で書棚にあり、再読した。これらについてはあとで触れたい。
楠木教授はノンフィクションがお好きなようだ。自分もその影響受け伝記を3冊(またまた井原高忠、町井久之、グリーシャ・ペレルマン)ほどピックアップして、通勤時に読了した。読書というのは連鎖していく。一つの本を読むとそれに関連した本が読みたくなる。広がりができていい。

知的な夏だったが、インプット中心だった。7月は英単語を娘と一緒に1400暗記するところから始まったが、アウトプットの時間がなかなかとれていない。熱い夏が終了すると同時にそろそろアウトプットに移行するころかな?
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映画「ゴッドファーザー」 マーロン・ブランド

2013-08-17 09:06:57 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ゴッドファーザー」は1972年度のオスカー作品賞
映画史上に残る傑作である。

中学生の時、公開されるや否や友人と銀座の「テアトル東京」へ行った。当時マスコミの話題はこの映画のことでもちきりであった。テレビを見ると、人気絶頂の尾崎紀世彦が「ゴッドファーザー愛のテーマ」を歌っていた。衝撃的な映像だったけど、この映画を理解するには自分はあまりに幼すぎた。
その後まだビデオがない時代にテレビの名画劇場でもう一度見た。テレビだと気が散って映画全体を把握していない。夏休みにもう一度第三作まで見てみようとdvdを手にとった。40年前初めてみた時の記憶がよみがえるシーンもあるが、ストーリーのディテイルは忘れていた。久々に見てこの映画の奥行きの深さに改めて感銘した。基調となるドンファミリーの物語に複数の線が張り巡らせる。重層構造だ。そして世紀の傑作だと改めて思い知らされた。

記憶にとどめるために細かくストーリーを確認する。有名なストーリーなのでネタばれ前提。

1945年ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、彼の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が行なわれていた。一族、友人やファミリーの部下たち数百名が集まった。

ボスのビトー・コルレオーネは、書斎で陳情する人たちの訴えを聞いている。
彼は助けを求めてくれば親身になってどんな困難な問題でも解決してやった。
ファミリーが支援してきた落ち目の歌手ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)も当日結婚式で歌うために来ていた。彼がカムバックするために出演を願望する新作映画があった。しかし、ハリウッドで絶大な権力を持つプロデューサー、ウォルツ(ジョン・マーレイ)からその主役をもらえずにいた。ドンの指示が一家の養子でファミリーの顧問役のトム・ハーゲン(ロバート・デュヴァル)にくだった。トムは出演依頼のためハリウッドに飛び立った。ドンがバックとわかってウォルツの対応が変わったが、要望は拒絶された。ある朝、目を覚ましたウォルツはシーツが血染めになっているのに気づく。60万ドルで買い入れた自慢の競走馬の首が、寝ているベッドの上に転がっていたのだ。ウォルツは大声を出し卒倒する。

ある日、麻薬を商売にしているソロッツォ(アル・レッティエーリ)が仕事を持ちかけてきた。政界や警察に顔のきくドンのコネに期待したのだが、彼は断った。ドンの長男ソニー(ジェームズ・カーン)はその話にのっていたので、ソロッツォは、ドンさえ殺せば取引は成立すると思い、彼を狙った。ドンは街頭でソロッツォの部下に5発の銃弾を浴びせられた。ソロッツォの後にはタッタリア・ファミリーがあり、ニューヨークの五大ファミリーが動いている。

末の息子マイケル(アル・パシーノ)は戦争で軍の功労者となり帰国していた。彼は恋人ケイ(ダイアン・キートン)とのデート中に街の新聞スタンドで父が狙撃を受けたことを知った。すぐに一命をとりとめた父のいる病院に駈けつけた。そこには父のボディガードも警察も病院から返されていて誰もいない。異変を感じた。とっさにドンの病室を別室に移して2度目の襲撃からドンを救った。マイケルは警察とソロッツォがつるんでいることに気づいた。やがてソロッツォが一時的な停戦を申し入れてきた。だがソロッツォを殺さなければドンの命はあやうい。ファミリー内での話し合いでマイケルがその役目を買ってでた。ドンの入院後仕切っていたソニーは堅気のマイケルの申し出に驚いた。慎重に作戦を練って、手打ちとなる席であるイタリアンレストランにソロッツォと警部を呼び出した。そして任務は遂行された。

マイケルは父の故郷シチリア島へ身を隠した。そこで一人の娘と知り合い、マイケルは結婚する。
ところが、追手はどこまでも追いかけてくる。マイケルの妻が車を爆破されてしまうのだ。

一方ニューヨークではタッタリアとの闘いは熾烈をきわめていた。ソニーは持ち前の衝動的な性格が災いして敵の罠に落ち、殺された。ドンの傷もいえ、ニューヨークの五大ファミリーに自ら呼びかけ和解が成立した。ドンにとっては大きな譲歩だが、マイケルを呼び戻し、一家を建て直すためだった。アメリカに帰ったマイケルは、ドンからファミリーの切り盛りを任された。そして離れ離れになっていたケイと結婚することになる。

マイケルはボスの位置につき少しずつ勢力を拡大しつつあった。そんなある日の朝、孫と遊んでいたドンが急に倒れた。ドンは安らかに死を迎えた。マイケルの計画によってライバルのボスたちは次々に殺され、その勢力は一向に衰えなかった。


ゴッドファーザーというと長らく記憶に残っているシーンがいくつかあった。
1つはジェームスカーンが有料道路の料金所でお金を払おうとしたところを大人数の敵にハチの巣状態にむちゃくちゃに撃たれるシーン、映画を見終わって一番衝撃的だったシーンだ。日本映画やテレビのアクションものでも人が殺されるシーンはたくさん見ていたはずだが、ここまでやる??といった感じでビックリした。

もう1つはアル・パシーノが父の故郷シチリア島で美貌の娘をみつけ求婚して結婚した日の初夜シーンだ。思春期真っ盛りの自分にとって、美しいイタリア娘の色薄い乳輪が目にまぶしかった。見終わった後友達にこの話をするのは恥ずかしかったけど、ある時みんなで雑談している時に思いが爆発した。この映画を見た誰もが同じように思っていたのだ。「精気盛んな中学生」にはあの刺激は誰にも強すぎたのだ。


ここで見直して、最初の結婚式のシーンやハリウッドのプロデューサーの寝床に馬の首を置いておくシーン、孫と遊びながらドンの死んでいくシーンなど思い起こされるシーンは数多くある。
40年後の自分が見ていて一番刺激的だったのはマイケルがイタリアンレストランで敵を撃ち殺すシーンだ。このシーンの緊迫感はなんとも言えず凄い。車に乗る際も、トイレに行く際も身体に何か隠していないか2人に丹念にボディチェックを受ける。大丈夫だと警部に言われてトイレに行く。便器の裏側にピストルが隠されているのだ。相手を撃つ直前からバックで列車が走りぬける音が聞こえる。マイケルの目の動きは落ち着かない。線路の音がキーと流れる。その音がピークとなった時に拳銃をぬく。終わった後、不安を呼び起こすように何度も流れるメインテーマが高らかく鳴り響く。自分の身体中に電流が走る。
黒澤明「天国と地獄」の重要場面で流れる音楽を連想した。よく最初の結婚式のシーンが同じように結婚式シーンで始める黒澤作品「悪い奴ほどよく眠る」を参考にしていると言われる。類似点は少ない気がする。むしろこの管楽器の使い方に類似点を自分は見出す。


中学生の自分には気の荒いソニーの性格が一番印象的だった。社会人として30年以上もやってくると、ドンの凄味を感じる。陳情を受けた内容を即座に頭で整理して部下に指示する姿をみて何か感じるってことって中学生には無理だよなあ。マーロンブランドはやっぱり凄い。「波止場」の一不良少年がこんなに立派になるのだ。彼は辞退したけど、オスカー主演賞は当然である。同時に自分が大好きな名優ロバートデュバルの理性的な動きにものすごく魅かれる。インテリやくざには必ず法律顧問のような存在がいるのだ。

中学から高校の時に読んだ古典文学を再度読み直すとのと同じように傑作と言える映画を見直してみる重要性を改めて感じる。
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映画「エアポート75」 カレン・ブラック

2013-08-16 09:08:31 | 映画(洋画 89年以前)
映画「エアポート75」は1974年公開のパニック映画だ。

カレンブラックという俳優が亡くなった。「イージーライダー」の売春婦役で名を売り、「華麗なるギャツビー」ではヒロイン、デイジーの夫と不倫を重ね不慮の死を遂げるウィルソン夫人を演じた。「エアポート75」ではメジャーな俳優が大勢出演している中で実質的な主演を演じている。彼女にとっても一番いい時代だったのかもしれない。彼女が好きかどうかを別として、全盛時の彼女を映す航空パニック映画を見てみたくなった。娯楽としてみる分には十分楽しめるスリルあふれる映画と言える。

コロムビア航空の409便が、定刻通りにワシントンのダレス国際空港を飛び立ち、ロサンゼルスに向かった。
飛行機に乗り合わせている乗客には、有名な映画スター、グロリア・スワンソン(本人)とその秘書ウィニー・グリフィス(O・サマーランド)、ロスへ難しい腎臓の手術を受けにゆくジャニス・アボット(リンダ・ブレア)とその母、アル中気味の中年婦人デバニー(マーナ・ローイ)、コロムビア航空副社長婦人のパトローニ(スーザン・クラーク)と息子、カトリックの尼僧、ルース尼(ヘレン・レディ)とベアトレス尼、かつては有名な喜劇俳優だったバーニーなどがいた。
ジャンボ機の2階にある操縦席にはステイシー機長(エフレム・ジンバリスト・ジュニア)、彼を補佐する副操縦士、航空機関士のがいた。そしてナンシー・プライア(カレン・ブラック)が多勢のスチュワーデスを指揮していた。
ロス上空に濃霧が発生。やむなくソルト・レイク・シティに急拠着陸することになり、下降を開始していた。同じ時刻、ジャンボ機のすぐそばを自家用の小型ジェット機が同じ空港をめざして飛んでいた。ところが、操縦者は、操縦桿を握りしめめたまま、心臓発作で胸に激しい痛みを感じていた。操作不能になり小型ジェット機は急カーブを描いてジャンボ機に接近、激突した。前面ガラスが破壊され、副操縦士は機外に放り出された。機関士も即死、機長は重傷を負って操縦不能となった。巨大なジャンボ機と乗客の命はナンシーの手に委ねられた。彼女は地上の管制塔から送られてくる指示で操縦桿を握りしめた。

一方、地上ではこの緊急事態のために関係者が急拠空港に駆けつけた。コロムビア航空の副社長ジョセフ・パトローニ(ジョージ・ケネディ)、パイロットでナンシーの彼氏アラン・マードック(チャールトン・ヘストン)。そして空軍の軍人たち。ジャンボ機を救う方法は激突の際にあいた穴からパイロットを乗り込ませることことだった。直ちにジェット・ヘリコプターの準備が整えられ飛び立った。数千フィートの上空でヘリコプターをジャンボと等速にしてからロープを渡し、ジャンボの破壊した穴へ降下しようとしたのであるが。。。

この映画のそれぞれの場面がありうることなのか?なんてことはあまり考えない方がいいだろう。
一言で言うと、小型ジェットがジャンボ機の操縦席に激突して、操縦者が死亡または負傷し、スチュワーデスが操縦桿を握るということなのだ。そして、救助隊が突入して助けるという構図である。それなのでスチュワーデスが実質主演ということになるのだ。


この航空機が衝突からずっと危険にさらされている。脚本家は次から次へとピンチに陥らせる。
観客を次から次へとハラハラさせる。このタイミングがいい。飽きがこない100分であった。

そういうパニック映画にまさにあっている女優が2人出ている。
まずはグロリア・スワンソンだ。トーキー映画時代に人気俳優だった彼女のキャリアはあまりよくはしらない。ただ、凄い活躍だったそうだ。しばらく沈黙があった後、映画史上に残る名作「サンセット大通り」に出演する。この映画はある意味スリラーだ。そこで演じる不気味な女優役は凄い。

この映画で割と小柄なことに気づいた。アメリカ人みんな背が高いからそう感じるのかと思っていたら、実際彼女は150cmだったそうだ。意外だった。「サンセット大通り」の彼女はどうみてもウィリアムホールデンと背の高さが変わらないように見えたからだ。

そしてこの映画の数年前に大ヒットになった「エクソシスト」で主演を演じたリンダブレアが出演している。この映画はリアルに公開の時友人と見に行った。映画を見ている間ずっと圧倒されっぱなしであった。気触悪くてしばらくこの映画の余韻が残った。

ここではおとなしい。難病の患者を演じているからだ。

それでもこの2人が出ていると何かが起きるかもしれないと当時の観客は妙な期待をしてしまうのではないだろうか?

あとはヘレンレディが尼さん役を演じてギターで弾き語りをする。これがなかなかいい。
自分秘蔵のヒットチャートノートによれば、彼女は72年12月に「アイアムウーマン」73年9月「デルタの夜明け」で2曲全米ヒットチャート№1に輝いている。そのあとの出演だ。

一発屋はいくらでもいるが、2曲№1になる人は少ない。ここで歌われる声は懐かしい。
チャールトンヘストン、ジョージケネディという名優も加わり楽しく見れる娯楽作品に仕上がった。

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映画「東ベルリンから来た女」

2013-08-15 14:47:46 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「東ベルリンから来た女」は80年代の東ドイツを舞台に、国外脱出を画策する女性医師の葛藤を描く人間ドラマ。
2013年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作品である。


非常に重苦しい映画だ。共産圏国の田舎町を描くわけであるから、当然華がない。
ドツボだった共産主義社会の暗部をなめるように映す。
終始映し出される主人公ニーナ・ホスの自転車姿が実に印象的だ。

1980年夏。東西合併を9年後に控える東ドイツが舞台だ。
バルト海沿岸にある小さな町の病院に、女医バルバラ(ニーナ・ホス)が赴任してくる。西ドイツへの移住申請を出したため、東ベルリンの大病院からこの地に左遷されてきたのだ。そんな彼女に、医師アンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)と秘密警察<シュタージ>の諜報員シュッツ(ライナー・ボック)の監視の目が光る。

ある日、トルガウの矯正収容施設から逃亡して、髄膜炎を発症した少女ステラ(ヤスナ・フリッツィー・バウアー)を警察が連れてくる。バルバラは、西ベルリンに住む恋人ヨルク(マルク・ヴァシュケ)が用意した逃走資金を協力者から回収して森に隠していた。長旅から戻ると、突然シュタージの家宅捜索と女性職員による屈辱的な身体検査を受ける。
翌朝、アンドレは血清を作っていてステラの妊娠に気づいたことを告げる。翌日、バルバラは森の奥でヨルクと密会する。

アンドレの血清のお陰で回復したステラは、施設に戻りたくないと懇願する。アンドレはかつて致命的な医療ミスを犯し、政府にもみ消してもらう代わりに地方勤務と密告の義務を課せられたことをバルバラに告白する。

その直後、ステラは人民警察によって強制退院させられる。3階から転落して意識不明に陥った少年マリオ(ヤニク・シューマン)が運ばれてくる。マリオの脳にはレントゲンでも見えない血栓がある可能性があったが、リスクを伴う開頭手術をするか、アンドレは苦悩する。
その夜、外国人専用ホテルでヨルクと密会したバルバラは土曜日に密航することを告げられる。翌朝、マリオとの会話で頭蓋骨内出血による記憶障害を直感したバルバラはアンドレを探すが、彼は末期癌を患うシュッツの妻を診察していた。嫌悪感を示すバルバラに、アンドレは病人なら助けると答える。マリオの手術はバルバラの出奔と同日に決まる。

バルバラが旅立とうとした瞬間、再び逃亡してきたステラが彼女を訪ね、一緒にいてと叫ぶが。。。。(kinenote 引用)

日本はマッカーサーのおかげで運良く国が分断されずに済んだが、ドイツは大変だった。
東ドイツは社会主義体制をとったために不自由な生活を余儀なくされた。
グッバイ・レーニン」なんて映画はベルリンの壁前後をコミカルに描いている。

南北に分断された朝鮮半島では南北の往来は命懸けとなった。東西ドイツ間の交流はそれとは全然違うものだったという。1961年に「ベルリンの壁」が構築されても、一部の東ドイツ市民は合法的に西ドイツに移り住むことができたらしい。ところが、社会の担い手として活躍することを期待されていた東ドイツ人に移住の許可が容易に下されることはなかった。
その典型が本作の主人公バルバラだ。医師の彼女は簡単には行かせてくれない。可哀そうだ。冷戦当時、東ドイツはオリンピックでたくさんのメダルをさらっていた。メダリストたちも同様なのであろう。

主人公は知的美人なんだけど、なんか冷たい雰囲気が漂う。気も強そう。
この役には適役だ。
そんな彼女も恋人と会うときだけは、ルンルンとしている。こうも変わるもんかといった感じだけど、女医さんってこんな感じじゃないかしら?女性の丸秘部分まで秘密警察に検閲されるのは屈辱的な感じするけど、仕方ないのかなあ?
そういえばメルケル首相は東ドイツ出身だったなあ。厳密に言うと西側ハンブルグ生まれの東側育ちだ。
エリートが抱くこんな思いわかるのかしら?
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映画「フライト」デンゼルワシントン

2013-08-15 05:57:50 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「フライト」は今春公開のデンゼルワシントン主演のシリアス物

気にはなっていたが、劇場はスルーしてしまった。
事故を回避できたが、検査をしたら飲酒反応が出たという情報だけは知っていた。デンゼルワシントンがオスカー主演男優賞候補と聞いていたが、この映画は飛行そのものというよりもアルコール中毒に焦点が合わさっている映画だった。

フロリダ州オークランド発アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)。
一流の操縦テクニックを誇る彼は、この日も激しい乱気流を鮮やかに切り抜け、機体が安定すると副操縦士に任せて眠ってしまう。だが突然の急降下が、ウィトカーの眠りを破る。

機体は制御不能、車輪を出し、燃料を捨て、あらゆる手段で速度を落とそうとするが、降下は止まらない。

緊迫するコックピットでウィトカーは、機体を逆さまにする背面飛行を決行。高度は水平に保たれ、前方に草原が現れた。ウィトカーは機体を元に戻し、決死の不時着陸に挑む……。
アトランタの病院で目覚めたウィトカーは、パイロット組合幹事のチャーリー(ブルース・グリーンウッド)から、102人中生存者は96人だと告げられる。高度3万フィートからのそれはまさに奇跡の着陸だった。しかし密かに付き合っていた客室乗務員のトリ―ナ(ナディーン・ヴェラスケス)が亡くなったと聞き、ウィトカーはショックを受ける。
見舞いに来た友人のハーリン(ジョン・グッドマン)が、興奮して世の中の騒ぎをまくし立てる。マスコミがウィトカーの偉業を称え、彼は一夜にしてヒーローとなったのだ。

翌朝、チャーリーに呼び出されたウィトカーは、弁護士のラング(ドン・チードル)を紹介される。フライト・レコーダーから、事故の真相は機体の故障だと解明されるはずなのに、なぜ弁護士が必要なのかと声を荒げるウィトカー。実は調査委員会で、ある重大な疑惑が浮上していた。

事故後、乗務員全員に行われた検査の結果、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたのだ。それが事故の原因と特定されれば、ウィトカーは過失致死で終身刑となる。一方、10人のパイロットに挑戦させた事故のシミュレーションでは、全員が地面に激突、全乗客が死亡、ウィトカーの神の腕が証明される。だがマスコミが疑惑を嗅ぎつけ始める中、ある客室乗務員はウィトカーを命の恩人だと感謝しながらも、彼に有利な証言を断り、副操縦士はTVのインタビューで思わせぶりな発言をするのだったが。。。

いきなり抜群のスタイルの女性がヌードになり、デンゼルワシントンの横に出てくる。
すごい美乳でドキドキさせられるが、これは最初だけ
あれ?デンゼルは白人とキスシーンやらないんじゃないの?と思ったらイスパニア系の方だった。
そういえばエヴァ・メンデスとキスシーンあったっけな。。。

飛行がはじまりいきなり乱気流に入る。悪天候だ。
ここで最初の実力を示す。
抜群の操縦で乱気流を脱出したはずだったが、突如機体に異変が。。
操縦管も制御が難しくなる。一気に高度が下がっていく。
そこで突如背面で飛行するという所が凄い。以前こんな話実際にあったのであろうか?初めてみた。

今日本ではパイロットへの飛行前アルコールチェックは相当厳しいと聞く。
アメリカでも同様だと思うけど?どうなんだろう?
この映画は「航空ショー」ではなく「アル中物語」なのだ。イメージが違っていた。
展開的にはだらけモードである。カッコいい機長ではない。一人のダメ男として映し出すのだ。

明日は運輸安全委員会の公聴会という日。ヒュー・ラング弁護士とチャーリーからホテルの部屋で缶詰にされる。これなら安心ということなのに、ウィップは眠れない。深夜隣室とのドアの辺りで不審な物音が聞こえる。ドアのカギがかかっていない。隣室に向かい冷蔵庫を開けると、大量の酒が並んでいる。ウィップはウォッカのミニボトルを握ってしまい。映像はいったん閉じる。
翌朝ドアをノックした仲間は卒倒する。飲みすぎでぶっ倒れているのだ。
アルコール依存症の人間の弱さを見せつける。この辺りも脚本が振り回す。
そんな時も脚本家はいい将棋の駒をすでに盤上に放っていた。最終局面に向かう。
意外に展開が読めそうで読めないところがいい。

ここでも名曲が流れる。
ローリングストーンズの「Sympathy for the Devil 」だ。



サンバ調のリズムで始まる。ラテン調リズムのアレンジが彼らの長い歴史の中でも抜群にいい。
慢性のアル中、ドラック狂いをデヴィルに結びつけるところがうまい。
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映画「君のいないサマーデイズ」

2013-08-13 05:53:00 | 映画(フランス映画 )
映画「君のいないサマーデイズ」は2010年のフランス映画だ。
dvdのジャケットをピックアップして、フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、ジャン・ドゥジャルダンなど現代フランス映画を代表する豪華メンバーがそろっていることに驚く。
それでも日本未公開

毎年、夏のバカンスをボルドー近郊のリゾート地カップ・フェレで過ごす男女12人の仲間たち。
ある日、バカンス直前にリュドが交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ってしまう。無惨な姿にショックを受けながらも、今年のバカンスはどうしようかと悩む仲間たち。
もちろんリュドの事は心配だけれど、バカンスは1年の中で最も重要な行事。悩んだ挙句、リュドに何かあったらすぐに飛んでいくことを約束し決行する。しかし、素敵なビーチ、美味しい料理とワインを堪能するはずが、リュドの容態が気になり心底楽しめない。そればかりか、それぞれの悩みや問題が噴出し、信じていた友情さえも揺らいでいく・・・。

一緒にバカンスに行くはずだった友人が大けがをしてしまう。
その場面が最初に出てくる。スクーターを乗っていての交通事故だ。バカンスに行くべきかと悩むが、結局突入する。一か月を二週間に短縮とは言え、こんなに休めるところが凄い。しかも、年齢的に学生時代の同級生仲間にも見えない。
不思議な仲間たちである。日本とフランスの国民性の大きな違いを感じる。

二週間の間には次から次へとトラブルが発生する。
普段は気が合う仲間でも普通こんなに長く一緒にいれば、トラブルが起きない方が不思議だ。
もっともこの映画はそれを映すだけのストーリーなのだ。それで2時間半は若干疲れる。
それでもこれだけの俳優よく集めたものだ。
フランソワ・クリュゼ(最強のふたり)


マリオン・コティヤール(ダークナイトライジング)


ブノワ・マジメル(引き裂かれた女)


ジャン・ドゥジャルダン(アーティスト)


オスカー俳優2人に加えて、欧州系映画祭の受賞者が盛りだくさんだ。
フランスを代表する俳優たちの演技合戦もいいけど、バックに流れる音楽のセンスには感心した。
バカンスに向かう車が海辺の街につくとき流れるのがアイズレーブラザース「this old heart of mine」
60年代ソウルのリズムにウキウキする。海辺を俯瞰するカメラ映像も夏っぽくていい。
これってそののちロッドスチュワートがリメイクしたね。それもいいけど、原曲の方がルンルン気分だ。



みんなで海に向かうときにCCR「フォーチュネイト・サン」が流れる。いざバカンスに出陣といった感じだ。
ジョンフォガティの叫ぶようなヴォーカルが炸裂する。
「フォレストガンプ」「ダイハード4」でも流れるし、戦争映画の出陣場面で聞いた覚えがある。
いかにも戦闘開始といった感じを醸し出す。



そしてザバンドの名曲「ウェイト」だ。南部アメリカの匂いがプンプンする。
おいおい何て選曲良いんだろう!!と思わず場面に身をだす
中学生の時、彼らのライブレコードをすり減るほど聞いた。すばらしい。
このVIDEOも最高だ!



でもフランス人のバカンス話なのになぜかアメリカのアーティストの英語の曲ばかりである。
不思議な感じもするが、フランス映画に「DISCO」なんて映画もあったし、意外にアメリカンポップスに魅かれている部分もある気がする。

最後は「マイウェイ」で締める。
これがようやくフランス人アーティスト、きっとフランスで受けたんだろうなあ

映画ってストーリーや演技だけで楽しむものだけじゃないよね。
改めて認識させられる映画だった。
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映画「ジェーンエア」 ミア・ワシコウスカ

2013-08-07 17:51:12 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ジェーンエア」は日本では2012年公開の文芸作品の映画化

両親を亡くしたジェーン・エアは、伯父に引き取られる。彼女を引き取った伯父も亡くなり、その妻と息子たちと暮らすようになった。ところが、気の強いジェーンは家族と気が合わない。その結果、寄宿学校に行くことになる。そこでも教師たちから虐げられる。親友の女の子は結核で死んでしまう。孤独で不遇な幼少時代を経て、家庭教師として大きな館に住みつくことになった。

ジェーン(ミア・ワシコウスカ)はソーンフィールド家の家庭教師となる。フランス語のみを話す少女を教えていた。屋敷には女中頭(ジョディ・デンチ)はじめ召使たちが数人雇われていた。屋敷の主の姿を見ぬまま3カ月が経ったある日、郵便を出しに行こうと外出したときに、見知らぬ男の馬を驚かせて落馬させてしまう。その男こそ、屋敷の主ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)だった。気難しげなロチェスターはジェーンに横柄な質問を投げかけるが、ジェーンはありのままに素直に答える。ロチェスターには結婚するであろうと周囲も思っていた女性がいた。彼女は屋敷にも何度となく訪れていた。しかし、ジェーンを深く知りあううちに、ロチェスターはジェーンに求婚する。

彼女もそれに応える。女中たちからも祝福を受け、2人が教会に向ったとき突如この結婚は無効だと言い張る人間が出てきた。そして、ジェーンはロチェスターには屋敷に幽閉された妻がいることを知るのだ。。。。

ミアがかわいい。ミアが一番よかったのはショートヘアの「永遠の僕たち」だ。そこでは余命わずかな少女を演じた。実にキュートだった。今回の役柄は本来は芯が強いイメージだ。でも彼女が持つやさしさで映画がやわらかくなる。
昔は住み込みの家庭教師がついていた。住み込みの使用人に手を出すのは、男の性。映画「ハウスメイド」と基本構図は同じだが、主人が独身で普通の結婚が出来るはずだった。ご主人様に彼女はいるが、奥さんはいないと思っていたが。。。
文芸作品は苦手。かわいい彼女を見ているだけでいい感じになれる映画


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映画「フォローミー」 ミア・ファロー

2013-08-05 18:48:41 | 映画(洋画 89年以前)
映画「フォローミー」は1972年のイギリス映画だ。

「第三の男」のキャロルリード監督の遺作にあたる。人気俳優ミアファローが主演で、割と人気あるのにdvd化されていなかった。いつものようにツタヤ復刻版はありがたい。この映画は「先入観なしに見るといいよ」と聞いていた。確かにその通り。
コメデイタッチの展開が軽快な映画だ。

英国の上流階級に属する会計士チャールズ(マイケル・ジェイスント)には深刻な悩みが1つあった。
新妻ベリンダ(ミア・ファロー)が動きがおかしいのだ。いったん外出すると帰ってこないことが多い。夫は「浮気しているのではないか。」と心配してしまう。チャールズは私立探偵のクリストフォルー(トポル)に妻の調査を依頼した。
結婚のいきさつを語った。ある日チャールズが街で小さなレストランを見つけた。出来たばかりの店で客がいない。覗いてみると、かわいいウェイトレスがいた。アメリカ訛りのイングリッシュで愛想がいい。話し込んでみると惹かれるものがある。彼女はうぶだった。チャールズはいろんなことを教えてあげた。そのあどけなさに魅かれて結婚する。

彼は仕事一辺倒の生活だった。仕事を終えたアフターは上流の人たちとの付き合いがある。べリンダも付き合わせられる。でも慣れない。最近は一度外出したっきりなかなか帰ってこないことが多かった。公園でボーとしたら時間がたっていたといって、チャールズと同伴するパーティに遅れてきたりすることが多かったのだ。義母も憤慨している。
本当は何だろうか?依頼を受けた探偵のクリストフォルーはベリンダの追跡を開始した。


しばらくしてクリストフォルーはチャールズに報告をした。「恋人」はいるようだと。。。
外交官風の紳士らしい。チャールズは落胆した。
報告を受けたチャールズは、ベリンダを怒鳴った。
彼女は自分の潔白を語った。そのあとで最近ちょっとおかしな人に付きまとわれることがあるというのだが。。。。

ここで一つのサプライズがある。
一瞬笑ってしまう。起承転結の「転」の場面に入りかかったところだ。
ここが一番のヤマ場だ。キャロルリード監督の名作「第三の男」でオーソンウェルズが現れる場面と同じようなときめきを感じる。

旦那の様子がおかしいと浮気を疑うのは「シャルウィーダンス」で、逆はヒッチコックの「めまい」だ。
基本的には「めまい」と同類だが、ストーリーの流れは違う。
探偵が追う風景が出てくるのはもう少し後だ。しかも、それがコメディチックだ。


ミアファローの長いキャリアでも、抜群にキュートな役である。かわいい。
この映画はセレブな英国上流社会になじめない女の子を演じる。
アンバランスな感じで、ホラー好きな若妻だ。
2人が結婚前につきあっているところを映す場面がいい。芸術や音楽に関心のなかった彼女を一生懸命教育しようとしている夫の姿もいいし、それに素直に従っているミアファローも可愛い。
モンキーダンスのようなダンスをロックもどきの曲で踊っている姿には時代を感じる。でもこれがいいんだよね。
「華麗なるギャツビー」のデイジー役がこの2年後だ。一転ずるいセレブ女になる。
ウディアレンの映画に出るようになるのは10年近く先である。

ウキウキさせられるいい作品だ。
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映画「終戦のエンペラー」 トミーリージョーンズ

2013-08-02 05:59:41 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「終戦のエンペラー」を劇場で見た。

マッカーサー元帥が日本に来たあと、天皇陛下と面会する話は普通のまともな日本人なら誰でも知っている話だ。軍服のマッカーサーにモーニング姿の天皇陛下が訪問し、一緒に写した写真を見て日本国民の誰もが驚いたという。戦後生まれの自分にはよく理解できない部分もある。実はこのご対面には準備段階があったというのが映画の主旨だ。

そこにはフェラーズ准将がからんでいた。当然事務方のおぜん立てがあったと思っていたが、正直彼のような存在がいることは知らなかった。ここではその昔付き合っていた日本人女性アヤの逸話と彼女とのラブストーリーも語られる。その話がちょっとうっとうしい気がする。それでも改めて今の日本があるのは天皇陛下とマッカーサーのおかげであると言い切れる何かを感じさせる映画だ。

1945年8月30日の厚木基地
第二次世界大戦で無条件降伏した日本にダグラスマッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)が降り立つ。
彼は直ちにA級戦犯の容疑者たちの逮捕を命じる。マッカーサーに同行していた日本文化の専門家であるボナー・フェラーズ准将(マシュー・フォックス)は自決を止めるため、部下たちを急がせる。元首相東條英機(火野正平)は自ら胸を撃つが、心臓を外して未遂に終わる。マッカーサーはフェラーズに、戦争における天皇(片岡孝太郎)の役割を10日間で探れと命じる。連合国側は天皇の裁判を望み、GHQ内にも当然と考える者たちがいたが、マッカーサーは天皇を逮捕すれば激しい反乱を招くと考えていたのだ。フェラーズは天皇を無実とする証拠をみつけるために高官に会う。

13年前大学生の頃、フェラーズは日本人留学生アヤ(初音映莉子)と恋に落ちるが、彼女は父の危篤のため帰国した。フェラーズがアヤの捜索を頼んでいた運転手兼通訳の高橋(羽田昌義)から、アヤが教員をしていた静岡周辺は空襲で大部分が焼けたという報告が届くが。。。

このあとフェラーズは近衛文麿(中村雅俊)、宮内次官の関屋貞三郎(夏八木勲)そして天皇に最も近い相談役である内大臣木戸幸一(伊武雅刀)と会う。木戸から天皇が降伏を受諾し玉音放送に踏み切る際に、軍部が皇居を襲撃したという経緯を聞かされる。その話を証明する記録は全て焼却していないのだ。天皇を無罪に持ち込む証拠はない。そういう報告をフェラーズはするしかない。
そうなると、マッカーサーは天皇に直接会うしかないのだ。

歴史上の人物が次々現れる。

近衛文麿が首相になった時、日本全国が沸いたという。日本人は血統がいい人を好きである。公家の本流の血を継ぐ彼は貴公子然として格好がよかったそうだ。それを中村雅俊が演じる。フェラーズとの面会で近衛文麿は英語で会話するのだ。これは意外だった。慶応英語会OBの英語自慢中村雅俊が天皇を弁護する。戦争開戦当時、天皇を差しおく勢いで、無理やり軍部が戦争開戦に持ち込んだという。軍部を悪者にして、自分は逃げてしまおうとする魂胆が見え見えだ。結局出頭がいやで自殺する。映画では彼の自殺部分は終わってから語られるだけだった。いかにも近衛はお坊ちゃん。そういえば孫の細川首相も最初はカッコよかったが、すぐ逃げだしたよなあ。近衛はもう少し調子のいい奴の配役が良かったか?

東京裁判の資料というと、木戸孝一日記がずいぶんと引用されている。

自分もずいぶんと読んだものだ。天皇の側近である彼が一番よく丸秘事項を知っていたのは間違いないだろう。意外だったのは、最初進駐軍からの出頭命令に木戸が逃げ回っていたということ。それは知らなかった。映画の中で准将が「天皇が死刑になるのだったらお前のせいだぞ」といって呼び出す場面がある。
三船敏郎が阿南陸軍大臣を演じた「日本のいちばん長い日」という映画がある。それこそここに描かれている将校たちが天皇の録音レコードを懸命に回収しようとする場面を描いたものだ。あの映画での木戸の振る舞いを忘れてしまったが、こいつも調子いいお坊ちゃんといったイメージがぬぐえない。

火野正平が東條英機を演じる。雰囲気はある。
でもセリフが少ない。アメリカから見たら、ヒトラーと同じくらいの独裁者といったイメージだろう。でも現実にはそこまでの権力を彼が持っていたとは思えない。戦後何から何まで東條のせいにしてしまったのはアメリカ人であり、戦後の日本人たちだ。
自分は戦後天皇が語られた「昭和天皇の独白録」を読んだ時、ものすごい衝撃を受けた。
昭和天皇が誰よりも信頼していたのは東條英機なのだ。
「報告もよくするし、真面目だ」と何度も東條をかばう。
逆に松岡洋右外相あたりは最悪だ。彼は国際連盟を辞める時のパフォーマンスが有名で、英語の堪能な外交の天才とも言われた。ソ連が最終的に裏切った「日ソ中立条約」を締結したのも松岡の功績だった。でも天皇は三国同盟締結もヒトラーに買収されたんじゃないだろうかと言い切る。この辺りは一般の会社内の人間関係に通じる。真面目な男は好かれる。

マッカーサーに日本は本当に助けられている。

もともと北海道をソ連が占領しようとしたところを阻止したのはマッカーサーだ。日本がもし2つに分れていたら、朝鮮戦争ならぬ日本分裂戦争が起きていてもおかしくないのだ。しかも「アカ嫌い」と言われるマッカーサーの考え方もいい方向にはたらいた。「天皇がいなくなったら、日本中で抗争が起きる」というのは極論かもしれない。でも共産主義者が戦後まもなく増えたのは事実である。しかも貧しい人たちは多い。教室では日教組のダメ教師たちが戦前の反対の思想教育を植え付けている。きっとアカ化がもっと激しい動きを見せ日本はおかしくなっていただろう。

そして昭和天皇だ。右翼を怖がる日本では映画で天皇を語れない。外国映画でしか見れない実像だ。

特攻や玉砕も辞さなかった狂信的な軍隊が天皇の「聖断」により武器を捨てた。この事実は大きい。天皇の戦争責任についてはずいぶんと語られている。大元帥閣下である。天皇が開戦を止められなかったのか?という人もいる。でも違う。日本社会独特の「空気」によって軍部というより日本国民すべてが一気に突き進んでいたのだ。先ほどの松岡洋右の国際連盟脱退も天皇は反対していた。でも松岡が旧国連で一席ぶったことで、日本中の称賛を浴びた。一種の心神喪失である。天皇は従わざるを得ない。しかも終戦に向かっては一億総玉砕だ。誰もがそのつもりである。狂っている。自分がどうなってもいいからもうやめてくれといった天皇がいなかったらどうなったのか?我々は存在しなかったかもしれないのだ。

いずれにせよ、戦後の2人の英断をもう一度考えさせてくれただけでも見る価値はあった気がする。
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