映画「愛のこむらがえり」を映画館で観てきました。
映画「愛のこむらがえり」は先日「渇水」で初長編監督作品を発表したばかりの高橋正弥監督の作品だ。監督昇格できず万年助監督に甘んじている男が同棲している彼女と一緒に自ら書いた脚本を売り込んで日の目をみようとする物語だ。磯山さやかと東京乾電池に所属する吉橋航也の主演である。東京乾電池の親分柄本明をはじめとして、吉行和子、浅田美代子といったベテラン勢が脇を固める。
子どもの頃からの夢で公務員になるべくしてなった香織(磯山さやか)が、地元鉾田の映画祭で賞を受賞した映画に感動して映画の仕事をしようと上京する。賞を受賞した浩平(吉橋航也)と映画の仕事で一緒になり、同棲を始めて8年になる。しかし、浩平は18年も助監督という名の雑用係で、今では自分より若い監督の下につく始末だ。
自ら限界を感じながら、浩平が起死回生で書いた脚本「愛のこむらがえり」を読んだ香織が感動して映画製作者に売り込む。でも、なかなかうまくいかない。香織が映画プロデューサーの友人橋本(菜葉菜)に脚本を見せて、いくつかアドバイスを受け脚本はブラッシュアップした。ただ、いいキャストがでなけりゃ映画製作のカネは出せないということで名優西園寺宏(柄本明)に出演交渉しようと香織がストーカーまがいに近づいていく。でも、門前払いをくらってしまう。
主演2人に好感が持てるコミカルテイストをもった作品だ。
もう40近いけど、磯山さやかは、かわいい。映画に感動して周囲を気にせずずっと拍手し続けたり、同棲相手が書いたシナリオを読んで涙を流しながら感動している姿がいい感じだ。そこまでやられると相方もやる気にもなるだろう。しかも、各映画会社などに率先してtel打ちして売り込み、名優にも出演してくれと強引な出演交渉をする。映画の中の存在だけど、熱心さにしびれる。
万年助監督の浩平を演じる吉橋航也は、今回初めて知った存在だ。才能はあるけど、うだつの上がらないボーッとしたキャラクターの役づくりだ。プロフィールを見ると、東大法科出身だという。昭和の時代には、山村聰や渡辺文雄の東大出身俳優がいて、現役には香川照之もいるけど、いずれも法科卒ではない。ただ、3人とも政財界の大物のような役ができる。今回観た限りでは、吉橋航也はちょっと出来なさそうなキャラだ。むしろ東大理系研究者の匂いがする。自分の経験では頭のいいやつってこんなボーッとしたやつが多い。
高橋正弥監督には長らく助監督をしてきた経歴があるので、自分で自分のことを題材にして書いたのかと思ったら違う。脚本は「ツユクサ」の安倍照雄、三嶋龍郎との共同脚本だがメインは加藤正人である。東北芸術工科大学の教授で、比較的最近では白石和彌監督で香取慎吾主演の「凪待ち」の脚本を書いている。2019年の公開作品では自分なりには評価が高い。競輪狂いの主人公を描いているのに白石和彌がギャンブルをやらないと聞き変だな?と思った記憶がある。どうやらピンク映画上がりの加藤正人は裏筋の人生にもくわしいのだろう。
助監督が長いという経歴の高橋正弥を意識して加藤正人が書いたのかもしれない。履歴を見ると、加藤正人も高橋正弥も秋田出身なので同郷のよしみもあるのだろう。助監督がロケ地で交通整理をしたり、なかなか監督作をもらえないと助監督仲間とキズを舐め合うシーンは映画製作内部にいないとわからない。
柄本明も出演作に事欠かない。「最後まで行く」はやくざ役だったけど今回は名優役だ。日経新聞で「私の履歴書」を既に書いた吉行和子も80代半ばを過ぎてスクリプター白鳥あかね役で出演しているし、往年の名映画監督役で品川徹が出ているのも味があるセリフが出せて良い。往年のファンとしては浅田美代子の出演もうれしい。
いくつかの映画で出会っている菜葉菜が、映画プロデューサー役で出ている。これがうまい。現代映画のプロデュース事情を語ってくれたのでわかりやすくて良かった。それによれば、最近の映画は「原作至上主義」で名の通った原作がないとスポンサーがつかない。オリジナル脚本なら著名キャストを連れてこないとダメだと語る。なるほどと思った。
映画「愛のこむらがえり」は先日「渇水」で初長編監督作品を発表したばかりの高橋正弥監督の作品だ。監督昇格できず万年助監督に甘んじている男が同棲している彼女と一緒に自ら書いた脚本を売り込んで日の目をみようとする物語だ。磯山さやかと東京乾電池に所属する吉橋航也の主演である。東京乾電池の親分柄本明をはじめとして、吉行和子、浅田美代子といったベテラン勢が脇を固める。
子どもの頃からの夢で公務員になるべくしてなった香織(磯山さやか)が、地元鉾田の映画祭で賞を受賞した映画に感動して映画の仕事をしようと上京する。賞を受賞した浩平(吉橋航也)と映画の仕事で一緒になり、同棲を始めて8年になる。しかし、浩平は18年も助監督という名の雑用係で、今では自分より若い監督の下につく始末だ。
自ら限界を感じながら、浩平が起死回生で書いた脚本「愛のこむらがえり」を読んだ香織が感動して映画製作者に売り込む。でも、なかなかうまくいかない。香織が映画プロデューサーの友人橋本(菜葉菜)に脚本を見せて、いくつかアドバイスを受け脚本はブラッシュアップした。ただ、いいキャストがでなけりゃ映画製作のカネは出せないということで名優西園寺宏(柄本明)に出演交渉しようと香織がストーカーまがいに近づいていく。でも、門前払いをくらってしまう。
主演2人に好感が持てるコミカルテイストをもった作品だ。
もう40近いけど、磯山さやかは、かわいい。映画に感動して周囲を気にせずずっと拍手し続けたり、同棲相手が書いたシナリオを読んで涙を流しながら感動している姿がいい感じだ。そこまでやられると相方もやる気にもなるだろう。しかも、各映画会社などに率先してtel打ちして売り込み、名優にも出演してくれと強引な出演交渉をする。映画の中の存在だけど、熱心さにしびれる。
万年助監督の浩平を演じる吉橋航也は、今回初めて知った存在だ。才能はあるけど、うだつの上がらないボーッとしたキャラクターの役づくりだ。プロフィールを見ると、東大法科出身だという。昭和の時代には、山村聰や渡辺文雄の東大出身俳優がいて、現役には香川照之もいるけど、いずれも法科卒ではない。ただ、3人とも政財界の大物のような役ができる。今回観た限りでは、吉橋航也はちょっと出来なさそうなキャラだ。むしろ東大理系研究者の匂いがする。自分の経験では頭のいいやつってこんなボーッとしたやつが多い。
高橋正弥監督には長らく助監督をしてきた経歴があるので、自分で自分のことを題材にして書いたのかと思ったら違う。脚本は「ツユクサ」の安倍照雄、三嶋龍郎との共同脚本だがメインは加藤正人である。東北芸術工科大学の教授で、比較的最近では白石和彌監督で香取慎吾主演の「凪待ち」の脚本を書いている。2019年の公開作品では自分なりには評価が高い。競輪狂いの主人公を描いているのに白石和彌がギャンブルをやらないと聞き変だな?と思った記憶がある。どうやらピンク映画上がりの加藤正人は裏筋の人生にもくわしいのだろう。
助監督が長いという経歴の高橋正弥を意識して加藤正人が書いたのかもしれない。履歴を見ると、加藤正人も高橋正弥も秋田出身なので同郷のよしみもあるのだろう。助監督がロケ地で交通整理をしたり、なかなか監督作をもらえないと助監督仲間とキズを舐め合うシーンは映画製作内部にいないとわからない。
柄本明も出演作に事欠かない。「最後まで行く」はやくざ役だったけど今回は名優役だ。日経新聞で「私の履歴書」を既に書いた吉行和子も80代半ばを過ぎてスクリプター白鳥あかね役で出演しているし、往年の名映画監督役で品川徹が出ているのも味があるセリフが出せて良い。往年のファンとしては浅田美代子の出演もうれしい。
いくつかの映画で出会っている菜葉菜が、映画プロデューサー役で出ている。これがうまい。現代映画のプロデュース事情を語ってくれたのでわかりやすくて良かった。それによれば、最近の映画は「原作至上主義」で名の通った原作がないとスポンサーがつかない。オリジナル脚本なら著名キャストを連れてこないとダメだと語る。なるほどと思った。