今日は快晴です。貴方を今日のヨット遊びの紙上体験コースへご案内致します。
静止画と動画を組み合わせて臨場感が出るように工夫しました。どうぞ最後までお付き合い下さい。
まずヨットに着くといろいろな準備で30分くらいかかります。漏電を防ぐために外していたバッテーリーをエンジンへ繋ぎます。エンジンをかけます。自働操舵装置をキャビンの戸棚から取り出して、舵に取りつけます。次に一番厄介な仕事をします。下の写真の左のようにキチンとカバーのかぶったメインセイルを、沖ですぐに上げられるようにほどいて置きます。右の写真が準備完了の状態です。
準備完了したら、4本の舫綱を解いて、出港です。下の写真のように沖の広い所に出てから2枚のセイルを順次あげます。
船に乗って爽快に走っているとご想像下さい。心地良い初夏の風が貴方の頬をなでています。広い沖に出たら風上に船を立てて、メイン・セールをゆっくり上げて行きます。10mのマストへ上げるので5分位かかります。最後は手動ウインチでシッカリ上まで上げます。そうすると、風を受けて帆走が始まります。
次に前の帆も上げます。すると2枚の帆が風を受けて一層早く走りだします。
動画、「035.avi」をダウンロード をお楽しみ下さい。
沖のセイリングを楽しんだ後は船首をグルリと港のほうへ返します。
メイン・セイルを上げたまま港の中へ入って行きます。今日は仕事の船が動いていないので狭い港内を帆走する練習をしながら帰りました。普通は帆を港の外で降ろして入港します。動画、「046.avi」をダウンロード をご覧下さい。
如何でしたでしょうか?今日は風が少し強くて良く走りました。気温も丁度良く、爽快なセイリングが楽しめました。貴方も一緒にヨットに乗っているとご想像なさって、楽しんで頂ければ嬉しく思います。(終り)
老境に入ると過去の苦しかったこと、悲しかったことなどは忘却の彼方へ消えて行きます。そしてその反対に楽しかったこと、感動したことなどを鮮明に思い出します。そんな楽しく、そして感動したことに外国人との温かい心の交流があります。今日はベネズエラでの事を書いて見ます。故郷でも無いのに郷愁のような甘い、悲しい思い出です。
ベネズエラは南米大陸の北の部分を占める国。1976年に、2週間ほど滞在した。貧しい人々が都会を囲む山の斜面にビッシリと住んでいる。巨大な、荒れた闘牛場を埋め尽くし、人々がキリスト教のミサをしている。ジャングルの奥地で鉄鉱石を掘ってているスペイン人技師は、望郷の念からスペイン料理の材料を本国から取り寄せている。
熱帯特有の、あくまでも深い色合いの青空と白雲の下、人々は陽気で、明るく生きている。しかし、貧富の差の大きさと、生活の厳しさは想像を絶する。ベネズエラの風景は何故か胸の痛くなるように悲しく、懐かしい思い出だ。
@山の斜面の貧民住宅地帯
首都、カラカス市の国際会議で知り合った研究者に山の斜面を案内して貰った。彼も貧民地帯の出身と言う。斜面の下の入り口に、蛇口の壊れた水道が一個あり、水が流れている。半身裸の男の子が水の入ったヤカンを2個持って坂道を登って行く。レンガやシックイで固めた不揃いの小さな家々が重なるように、斜面を埋めて、上へ、上へと続いている。誰も居ない。ガランとした空虚な路地を乾いた風が吹いている。悪臭もせず清潔な感じである。中腹まで登ったら家の前で老婆が編み物をしている。我々をとがめるように、険しい目つきで見ている。案内してくれた彼が何か現地語で挨拶する。途端に笑顔を見せる。彼と老婆が何か話し合っている。
後で彼に聞いた。ガランとして誰も居ないのは、日雇いの仕事で、皆な出た後だからと言う。そして観光客が現地の案内人なしで来ると殺されるから私へ注意するようにと言ったという。案内してくれた彼とはしばらく付き合っていて、後に日本へもよんだ。
@荒れた闘牛場でのキリスト教のミサ
ホテルでキリスト教のミサに行きたいと言った。受付のところにいたボーイが、それなら裏にある競技場へ、朝7時に行けと言う。翌朝行く。荒れて崩れかかった巨大な闘牛場の観客席を人々が埋め尽くしている。清潔そうではあるが、みんな貧しそうな身なりである。真ん中の円形の土の上に小さな絨毯をしいて神父さんが2、3人と、白い服を着た20人くらいの侍者を務める者の姿が見える。
普通のカトリックのミサのようでもあるが。スペイン語が分からない。でも雰囲気や式次第が日本のカトリックと違うようだ。現地に昔からある原始宗教と交じり合ったようなミサの雰囲気である。ああ、これも良いものだと思いながらミサに参加した。
回りの人々はスペイン人とインデオの混血で浅黒いひとが多い。日本人のように見える人々も多い。そんな中へ溶け込んでしまい、一緒に祈った。賛美歌も一緒に歌った。メロディーを鼻声で。忘れられないカラカスでの思い出。
@ジャングル奥地のスペイン料理
早朝のカラカスの街を、四輪駆動車で出発する。舗装の無いジャングルの道を4時間。鉄鉱石を露天掘りしている鉱山に着く。
スペイン本国から来ている技師が英語で説明しながら採掘現場をあちこち案内してくれる。見学後、会社のゲストハウスで一緒に昼食をとる。案内してくれたスペインの技師がワインを勧めてくれる。良く冷えた辛口の白。スペインのある地方から取り寄せたと彼が説明する。アペタイザーに、透きとおる細長い小魚のカルパッチョ風の皿がでる。
味が良い。感心して褒める。それまで悲しそうな顔をして一度も笑顔を見せなかった技師が始めて笑顔になる。これはアンギュラスと言ってスペイン独特の魚です。これが無いとスペイン料理になりません。本国から取り寄せました。日本人がスペインから輸入して、養殖してウナギにするので高くなりなかなか食べられません。
急に饒舌になり、説明してくれる。ジャングルの奥地に住んでいると、料理の材料をスペインから取り寄せる以外、何の楽しみも無いと、寂しそうに話し続ける。
食後はシエスタ(長い昼寝)をしますと言って別れた。彼は本国の故郷の夢でも見るのかも知れない。我々は赤茶けた凸凹道を車に揺られながらカラカスへ帰る。
道路沿いには幹がスラリと高い椰子類のような樹木が茂り、木の下には見慣れない草が生えている。鉄鉱石を運ぶ長い無蓋貨物列車がゴットン、ゴットンと熱帯樹の向こうを走って行く。スペインから来た技師の寂しさが身にしみる風景である。
以上のように人々との交流の場面が忘れられないのです。よく走馬灯が回るように思い出すと言いますが。老境の入ると実に数多い楽しく、悲しい絵が出て来ます。毎日のように走馬灯が回ります。楽しい思い出は心の財産と言いますが、本当です。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します、藤山杜人
ベネズエラの写真です。カナイマ国立公園で、観光客が丸木舟のような形の船に乗って、写真の奥の方の瀑布を見に行こうとしています。
抜けるような青い空と白雲が力強く湧いているのをご覧下さい。出典:http://www.lonelyplanet.com/worldguide/venezuela/